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ファン運用 ファン停止

温度低下防止

装置の稼働率が低下し,対象部位の流量が低下することにより,伝熱管表面温度の 低下現象は発生しやすくなる.伝熱管表面温度の変化と装置の稼働状況の変化の関係 を把握し,設計時に配慮することが必要と考えられる.

7.3.2 NH4HS腐食環境での新防食設計方案の提案

本研究により得られた7.3.1の結果から,NH4HSによる腐食環境での新たな防 食設計の観点として,以下の項目を導入することを明らかにした.

(1)気相凝縮水中での局所的な腐食性物質濃縮

通常,機器や配管の腐食環境評価を行うために,系としての腐食性物質の濃度 を推定する.当該部では系全体の気液平衡計算により,液相での濃度を推定し腐 食環境を評価する.ところが,実際には,気相での局所的な凝縮水生成による腐 食性物質の濃縮により,バルクの液相とは腐食環境が大きく異なることから,気 相凝縮水中での局所的な腐食性物質の濃縮を考慮することが有効である.

(2)風速の影響

風速が高くなるにしたがって,伝熱管表面温度は低下するが,風速は,空冷式 熱交換器の運転方法によっても調整可能である.図7‐6に示したように,ルーバ ーの閉止,あるいは複数設置されているファンを一部停止することにより,風速 は低下させることができ,防食対策としては有効な手段となる.

(3)空気温度の影響

通常,空冷式熱交換器の設計には,冷却性能において最も厳しい条件としての,

夏季での外気温度が使用される.しかし,腐食環境が最も厳しくなるのは,外気 温度が低下する冬季であることが判明した.よって,設計時には,夏季での条件 のみではなく,冬季での外気温度も適用することが重要となる.

また,ヒーティングコイルは,伝熱管の著しい冷却を防止する目的で設置され るが,NH4HS の腐食にも大きく影響することが,本研究により明らかとなった.

よって,ヒーティングコイルは空気温度上昇による防食対策のためにも重要な設 備となるため,設計当初から設置し,運用することが有効である.

(4)流量の影響

低稼働時には流量低下により伝熱管表面温度が低下し,腐食環境が最も苛酷と なるため,設計時には対象装置の稼働率を把握した上で,特に最低稼働時の管表 面温度を算出し,防食対策を施すことが必要となる.

7.4 小括

第2章で述べたように,従来の防食設計では,機器や配管内の環境設定のために,

系の流体性状,系の平均温度を使用し局所的な環境設定および腐食速度の推定を行っ ていなかったこと,高濃度のアンモニウム塩の腐食データが不足していたことが課題 となっていた.本章で述べた内容を新たな防食設計の概略の流れとして図7‐7に示す.

局所的な流体性状,流体温度の適用,高濃度のアンモニウム塩の腐食データおよび材 料の耐食性データの蓄積により,局所的に発生するアンモニウム塩の腐食を設計段階 で防止するための新たな概念を提案した.

NH4Cl,NH4HSに分けて以下のとおりまとめる.

(1)NH4Cl腐食環境における新防食設計方案

(ア)伝熱管のNH4Cl塩析出領域では,腐食環境となる相対湿度10 %以上の条件を外 すよう設計時に配慮し,相対湿度 10 %以上の箇所には洗浄水による塩析出防止 対策実施を提案した.

(イ)洗浄水による塩析出防止方法としては,相対湿度を100 %以上することで伝熱管 気相部に水膜を形成させ析出する塩を希釈する方法を提案した.

(ウ)材質による防食対策として,炭素鋼が許容できない濃厚 NH4Cl 溶液環境が形成 される場合,孔食指数40以上の二相ステンレス鋼,254SMO,改良型Alloy 825 も適用可能であることを提案した.

(2)NH4HS腐食環境における新防食設計方案

(ア)空冷式熱交換器伝熱管気相部での NH4HS の防食対策として,実験による腐食速 度と濃度の関係と解析による温度と濃度の関係を併せて,局所的な温度低下防止 による腐食速度低減方法を明らかにした.

(イ)ヒーティングコイルの運用,ルーバー開度調整により伝熱管表面温度の低下防止 を図り,腐食を改善したことで,解析結果を実機で実証した.

(ウ)空冷式熱交換器伝熱管気相部での NH4HS 濃縮防止方法として,以下の点を防食 設計に導入した.

局所的な流体性状

局所流体温度 腐食速度を推定 材質選定

技術データベース

文献データ,実装置での経験,実験データ(アンモニウム塩)

系の圧力

図7‐7 新たな防食設計概念

 各段の伝熱管表面温度を評価

 冷却性能上の制約だけでなく,伝熱管温度低下防止による防食効果も考慮し,

外気温は冬季,流量は最小流量も考慮.

 ヒーティングコイルを設置し,ルーバー開度調整可能な設備とする.

参考文献

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11) K. Toba, K. Kawano, M. Ueyama and J. Sakai, Proc. JSCE Materials and Environments 2010, p.426 , JSCE (2010).

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