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ラットにおける鉄欠乏性貧血状態からのマルトビオン酸の早期 回復効果の検証( Exp. 6 )

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第 7 章 ラットにおける鉄欠乏性貧血状態からのマルトビオン酸の早期

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し,貧血誘導期間の飼料として AIN-93G 標準飼料(Control 飼料;Control 群)およ

びControl飼料から鉄を除いた(鉄欠乏飼料)の2種類を調製した。そして鉄欠乏か

らの回復期間中の試験試料として Control 飼料(MBCa-0 群),Control 飼料にマルト ビオン酸Caを3%添加した飼料 (MBCa-3群),MBCaを6%添加した飼料(MBCa-6群)の 計3種を用いた。なお3種の回復飼料の鉄含量は, 50%相当となるように調製した。

2-4 動物実験方法

Control群(n=8)と鉄欠乏群(n=24)に群分け後,28日間飼育を行い,鉄欠乏

群については鉄欠乏性貧血状態へ誘導した。次に回復期間に移行し,鉄欠乏群は血中 Hb とHtが等しくなるようにMBCa-0群,MBCa-3群,MBCa-6 群に群分け(n=8)し28 日間飼育行った。なお,飼育期間中の飼料は自由摂食とし,飲料水はイオン交換水を 与えた。回復期間開始0日目,7日目,14日目, 21日目,28日目を採血日とし,尾 静脈より350 µL 採血を行った。また回復期間開始3~5日目(1週目),10~12日目

(2週目),17~19日目(3週目),24~26日目(4週目)の各3日間,計4回糞を回 収し,糞は凍結乾燥後にミルサー(IFM-600DG,岩谷産業,大阪,日本)で粉砕して鉄 の測定に供した。

2-5 解剖

ラットは本飼育開始後29日目の9:30 am にソムノペンチル(共立製薬,東京,日 本)麻酔下で開腹後,ヘパリン処理したシリンジを用いて腹部大動脈から採血後,頸 椎脱臼により安楽死させ,脾臓および肝臓を採取し重量を測定した。肝臓は生理食塩

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水にて潅流を行い肝臓内の血液を除去した。

第3節 各サンプルの調製法および分析方法 3-1 血液学的パラメーターの測定

第6章 第3節 3-1に準じて行った。

3-2 肝臓中鉄量および見かけの鉄吸収率の測定 第6章 第3節 3-2に準じて行った。

第4節 統計解析

データは平均±SEで表した。統計処理は先ずStudentのt-検定を用い,Control群

と MBCa-0%群間での検定を行った。Control 群に対して有意差が確認された場合に,

MBCa-0群にアスタリスク(*)を付して示した。そして鉄欠乏群である3

群(MBCa-0群,MBCa-3群,MBCa-6群)のデータについてバートレット検定により等分散の場合

は一元配置の分散分析を行い,続いてTukeyの多重検定により解析を行った。等分散 でない場合は,ノンパラメトリック検定およびクラスカル・ウォリス検定を行い,続

いてSteel-Dwassの多重検定により解析を行った。有意差記号にはアルファベットを

用いて,同じ記号を含まない群間において有意差ありとした。以上の検定はすべて危

険率5%未満(p<0.05)にて有意差ありと判断した。解析には,エクセル2010および

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エクセル統計2012(社会情報サービス,東京,日本)を用いた。

第5節 結果

5-1 成長パラメーター

最終体重,体重増加量,飼料摂取量,飼料効率をTable 7-2に示した。最終体重は

Control群と比較してMBCa-0%群は有意な低下が確認された。重増加量,飼料摂取量,

飼料効率については,全群間に差は見られなかった。

5-2 血清鉄濃度,血漿トランスフェリン飽和度

試験期間中のHb,Ht,SIおよびTSATの推移をFig. 7-1a,Fig. 7-1b,Fig. 7-1c , Fig. 7-1dにそれぞれ示した。

Hb (Fig. 7-1a)とHt(Fig. 7-1b)は,全ての採血日においてMBCa-0群はControl群 と比較して,有意な低下が確認された。鉄欠乏群間での比較では Hb ,Ht ともに,

MBCa0%群と比較して,MBCa-6%群は試験21日目以降,MBCa-3%群は試験28日目におい て有意に高い値であった。

SIは回復開始時点において,Control群では 317 µg/L に対し,鉄欠乏食群(MBCa-0群,MBCa-3群,MBCa-6群)は,約 20 µg/L まで低下し, Control群とMBCa-0群と の比較では,MBCa-0%群は全期間を通じて有意な低下が確認された(Fig. 7-1c)。鉄欠 乏群間での比較においては,MBCa-6 群は試験21 日目以降,MBCa-3群は試験 28日目 において有意に高い値であった。

TSATは回復開始時において,Control群では63%に対し,鉄欠乏食群は,約3%まで

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低下し,Control群との比較では,MBCa-0群は全ての期間で有意な低下が確認された (Fig. 7-1d)。鉄欠乏群間での比較では,MBCa-6群は試験28日目に有意に高い値であ った。

5-3 肝臓重量,脾臓重量および肝臓中鉄含量

肝臓重量,脾臓重量および肝臓中鉄含量をTable 7-3に示す。肝臓重量,肝臓中鉄

含量はControl群と比較してMBCa-0%群は有意な低下を示した。脾臓重量について差

は見られなかった。

5-4 見かけの鉄吸収率

試験期間中の見かけの鉄吸収率の推移をFig. 7-2に示した。見かけの鉄吸収率は,

Control群との比較では,MBCa-0群は全ての期間で有意に高い値であった。更に鉄欠

乏群間での比較では,MBCa-6群は飼育1週目,MBCa-3群は飼育2週目において MBCa-0群と比較して,有意に高い値であった。

第6節 考察

第7章では,鉄欠乏貧血状態における,マルトビオン酸の早期回復効果について検 証を行った。鉄欠乏誘導期間後は,鉄欠乏食群は,SIとTSATに加えHb, Htについて も有意な低下が確認され,鉄欠乏性貧血であることが確認された(Fig. 7-1a-d)。回 復開始28日目には MBCa-6群ではSI,TSAT,Hb,Htが,そしてMBCa-3群ではHbと

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Htにおいて有意な回復効果が確認された。鉄欠乏性貧血からの回復は,先ずHbやHt などの血液パラメーターが上昇して貧血が回復し,次に SI が増加し,最後に貯蔵鉄 が回復して潜在性鉄欠乏状態が回復する(Huebersら 1990)。よって潜在性鉄欠乏,

鉄欠乏性貧血のどちらの症状においても,マルトビオン酸摂取による早期回復効果が 示された。

鉄の見かけの吸収率は,回復食摂取1週目ではMBCa-6群が,2週目ではMBCa-3群

がControl群と比較して有意な高値を示した(Fig. 7-2)。これは,腸管内にマルト

ビオン酸が存在することで,鉄の可溶化状態を維持して腸管吸収効率を高めて貧血の 早期回復に寄与するという第6章での推察を裏付ける結果となった。また鉄吸収率は 生体内の鉄欠乏状態に依存しており,貧血状態と鉄吸収率は逆相関の関係にあること が知られている(Bothwellら 1958,Cook 1990)。このことからマルトビオン酸摂取 により速やかに深刻な貧血状態から回復したことで,生体の鉄要求性が低下し,3週 目以降において鉄吸収率が低下したものと推察された。

以上の結果をまとめると,マイナスチャージを持つマルトビオン酸を潜在性鉄欠乏 および鉄欠乏貧血を誘発したラットに与えることで,早期回復効果が認められた。こ れらの結果はマルトビオン酸が腸管全体で鉄の可溶化状態を維持したことで,効率的 な鉄吸収が行われたためと推測された。

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Table 7-1 Composition of the experimental diets for Exp. 6 (gram per 100 g of diet) ControlIron-deficientControlMBCa-0 3 MBCa-3 3) MBCa-6 3 Gelatinized starch53.4353.4553.4353.4450.7748.10 Casein20.0020.0020.0020.0020.0020.00 Sucrose10.0010.0010.0010.0010.0010.00 Soybean oil7.007.007.007.007.007.00 Cellulose powder5.005.005.005.005.005.00 L-Cystine0.300.300.300.300.300.30 Choline bitartrate0.250.250.250.250.250.25 AIN-93 Vitamin mixture1.001.001.001.001.001.00 AIN-93G calcium, iron-free mineral mixture1)1.751.751.751.751.751.75 Calcium carbonate1.251.251.251.250.920.59 Maltobionic acid calcium salt 2)        3.006.00 Ferric citrate 0.02  0.020.010.010.01 1) The concentration of the AIN-93G-based calcium iron-freeineral mixture was doubled, as compared to that of the AIN-93G mineral mixture. 2) The calcium content of maltobionic acid calcium salt is 4.4% (w/w). 3) The iron content per 100 g of diet: Control diet, 4.51 mg; Iron-deficient diet, 0.13 mg; MBCa-0 diet, 2.54 mg; MBCa-3 diet, 2.50 mg; MBCa-6 diet, 2.53 mg.

IngredientsPreliminary dietExperiemtal diet

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Table 7-2 Growth parametersfood intake and feed efficiency of rats fed the experimental diets during recovery period (Exp. 6)

Final body weight (g) 388 ±8 356 ±6 * 352 ±7 369 ± 6

Body weight gain (g/day) 4.27 ± 0.12 4.76 ± 0.15 4.57 ± 0.14 5.28 ± 0.15

Food intake (g/day) 19.8 ± 0.4 19.9 ± 0.7 19.6 ± 0.5 20.8 ± 0.7

Feed efficiency 1) 0.207 ± 0.004 0.231 ± 0.005 * 0.225 ± 0.004 0.232 ± 0.012 Rats were fed the experimental diets listed in Table 2 for 28 d. Values are expressed as mean±SE values (n=8).

1) Feed efficiency = body weight gain/food intake

* Significantly different from the Control group at p<0.05 as determined by Student's t-test.

Groups Control Iron-deficient

MBCa-0 MBCa-3 MBCa-6

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Table 7-3 Weight of spleen and liver, and iron concentration in liver of rats fed the experimental diets (Exp. 6)

Weight of spleen (g) 1) 0.623 ±0.022 0.647 ±0.038 0.654 ±0.035 0.644 ±0.016

Weight of liver (g) 1) 12.2 ± 0.2 10.7 ± 0.3* 10.9 ± 0.3 11.9 ± 0.3

Iron concentration (mg/g liver) 64.7 ± 7.0 19.6 ± 0.9* 23.4 ± 2.5 19.3 ± 0.6 Rats were fed the experimental diets listed in Table 2 for 28 d.

Data are expressed as mean±SE values (n=8).

* Significantly different from the Control group at p<0.05 as determined by Student's t-test.

1) Wet weight

Groups Control Iron-deficient

MBCa-0 MBCa-3 MBCa-6

)LJXUH䚷+HPRJORELQDKHPDWRFULWEVHUXPLURQFRQFHQWUDWLRQFDQGWUDQVIHUULQVDWXUDWLRQGRIUDWVIHGWKHH[SHULPHQWDOGLHWV([S

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