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68 経営管理などの実

4.8 モニタリング

中小企業の融資では、融資実行前の審査であるスクリーニングと融資実行後の監視で あるモニタリングの両面の強化が重要になる。スクリーニングでは、企業の経営状態や 財務状態を審査することで債務不履行となる可能性や融資に係る担保物件の評価などを 行う。モニタリングでは、企業の経営状態や融資した資金の運用状況や企業の経営状態 を確認することで債務不履行となる可能性や債権保全に向けた行動を行う[27]。

現在、日本の中小企業は、厳しい経営環境下にあり、経営力の低下が著しい。金融庁は、

このような背景を考慮し、金融機関に、コンサルティング機能の発揮を要請し、特に経営 課題を把握・分析すること、最適なソリューションを提案すること等を求めている。特に、

返済緩和先や業績不振先については、実効性のある経営改善計画書の策定支援を行うよう に要請した[28]。このような要請を受け、近年、金融機関においては、中小企業再生支 援協議会や、経営改善支援センター等の専門的な機関や、中小企業診断士等の外部専門 家を活用し、経営改善計画の策定を支援するとともに、計画に対する達成状況を定期的 に確認し、経営者にヒアリングを行うような取り組みを行っている。

近年は、事業再生の方法が進化し、再生に伴う環境が整備されるに伴い、モニタリン グが益々重要であるとの認識が広がっている。

本章では、従来の中小企業の評価方法と課題について、財務評価、定性評価、案件審 査等について、整理した。財務評価は、主に財務諸表の数値を評価の対象とし、客観的か つシステマチックな評価が可能であることから、金融工学の分野において飛躍的に発展し てきた。近年は、金融機関に中小企業に対して経営面からの支援が求められている中で、

経営計画の評価も重要になってきている。一方、定性評価は、財務諸表に計上されない無 形の経営資源、例えば経営者の資質、技術力、販売力等を、観察や対話を通して評価する ものであるが、評価の多面性、簡便性、客観性等の課題がある。

今後、「企業を戦略的に育てる金融を提供できる金融機関」という意識が必要になる[29]。

現在の金融機関による中小企業の評価は、基本的には過去の財務諸表等の分析であり、将

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来、企業がどうすべきかを指導できる金融機関担当者はまだ少ない状況である。このよう な状況を踏まえ、金融機関の中で企業戦略・競争戦略に関する深く正しい知識と実績を持 つ人材を育てると共に、現状の企業評価方法が抱える課題を解消し、厳しい経営環境下に ある中小企業を効果的に支援することを可能にする企業評価方法の開発・活用が喫緊の課 題といえる。

【 注釈、引用・参考文献 】

[1]酒井俊行(2010)「中小企業のメインバンク・システム―リレーションシップ・バン キングとの接点を求めて-」『商工金融』第 60 巻第 12 号 商工総合研究所 pp.30-37

[2]中津正修、堀江則行、佐藤美恵、春日正男(2009)「感性的視点に基づく企業経営者 の定性的な調査分析手法の一試案」『日本感性工学会論文誌』Vol.8 No.2 pp.381-385

中津は、活躍企業と退場企業とでは、経営者の資質に差があることを確認した。

詳細は「4.4.1 技術力、販売力、経営者の資質」に記載。

[3]中小企業基盤整備機構「経営自己診断システム」http://k-sindan.smrj.go.jp/crd /servlet/diagnosis.CRD_0100 閲覧日:2015 年 2 月 18 日

[4]法人税法 昭和 44 年 3 月 31 日法律第 34 号 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S4 0/S40HO034.html 閲覧日:2015 年 2 月 18 日

[5]会社法 平成 17 年 7 月 26 日法律第 86 号 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H17/

H17HO086.html 閲覧日:2015 年 2 月 18 日

[6]中小企業の会計に関する指針 平成 25 年度版 http://www.nichizeiren.or.jp/ta xaccount/pdf/chusyokaikei140203.pdf 閲覧日:2015 年 2 月 18 日

[7]中小企業の会計に関する基本要領 平成 24 年 2 月 1 日 http://www.chusho.meti.

go.jp/zaimu/youryou/about/download/0528KaikeiYouryou-1.pdf 閲覧日:2015 年 2 月 18 日

[8]渋谷武夫(1994)『経営分析の考え方・すすめ方』中央経済社 pp.147-149 [9]久保田政純(1993)『企業審査ハンドブック』日本経済新聞社 p.142 [10]小野有人(2007)『新時代の中小企業金融』東洋経済新報社 p.50

[11]E.I. Altman(1968)Financial Ratios、Discriminant Analysis and the Prediction of Corporate Bankruptcy、Journal of Finance、Vol.23、No.4 pp.189–209 [12]白田佳子(2000)『企業倒産予知情報の形成』中央経済社 pp.147-152

[13]2008 年7月 22 日、ニューヨーク大学スターン・ビジネス・スクールのエドワード・

アルトマン教授は、ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード ・モーターの米自動車 大手2社が、5年以内にデフォルト(債務不履行)に陥る確率が約 46%との見解を

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示し、警告したところ、翌年 6 月 1 日、GM は連邦倒産法第 11 章の適用を申請し国有 化された。アルトマンモデルの有効性が再評価された。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-K4FOTE6JTSE801.html 閲覧日 2015 年 8 月 15日

[14]財務指標は、個々の重要な側面をとらえているが重複する評価も多い。企業倒産予 測の精度を上げようと説明変数を増やす場合は、因子分析あるいは主成分分析によ り互いに直行する因子あるいは主成分にまとめることが必要である。

[15]津田敏夫(2011)「キャッシュ・フローを改善するための『実抜計画』作成のポイント」

『ターンアラウンドマネージャー』pp.60-62

[16]中小企業再生支援協議会「中小企業再生支援協議会事業実施基本要領」p.9

[17]平井謙一(2006)『中小企業の定性分析と定量分析着眼点と評価法』生産性出版 p.5 [18]金融庁(2008)『金融検査マニュアル別冊(中小企業編)』

[19]社団法人中小企業診断協会(2002)「中小企業の評価マニュアル~中小企業金融の円 滑・適正化のために~」pp.14-24

[20]中津正修(2009)「感性的視点を利用した企業経営の分析評価方法に関する研究」

[21]経済産業省「知的資産経営ポータル」

http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html (Accessed2011) 閲覧日:2015年2月18日

[22]中森孝文(2010)「中小企業の知的資産の開示に関する考察-私募債発行企業と知的 資産経営報告書作成企業の比較分析を中心に―」『商工金融』第 60 巻 商工総合研 究所 p.41

[23]社団法人全国信用金庫協会(2010)『中小企業のライフサイクルと地域金融機関の役 割 リレーションシップ・バンキングの理論と「つなぐ力」の実践』近代セールス 社 p.76

[24]百武健一(2014)『中小企業のための融資判断の手引き』きんざい pp.12-15 [25]高橋俊樹(1993)『よくわかる融資稟議書起案法』金融財政事情研究会 pp.46-60、

pp.160-170

[26]中村中(2010)『中小企業金融円滑化法対応 新資金調達術』TKC 出版 pp.8-16 [27]井本亨(2006)「現代中小企業の資金調達の動向」『立命館経営学』第 45 巻 第 3

号 pp.158-175

[28]金融庁「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時的措置に関する法律 に基づく金融監督に関する指針」

http://www.fsa.go.jp/common/law/guide/enkatuka_b/02.html 閲覧日:2015 年 2 月 18 日

[29]自由民主党 日本経済再生本部(2014)「日本再生ビジョン」 平成 26 年 5 月 23 日 p.37

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