第 8 章 ポーラス Ir 触媒をアノードとする水電解セルの電位変動に対する耐久性評価
8.2 ポーラス Ir をアノードとする水電解セルにおける電位サイクル耐久性試験
ポーラスIrをアノードとするMEAについて,第7章においてもっともI-V性能の低下 が確認された条件(II)1.5~2.0 V,50 mV s-1(7.2項参照)を用いて,耐久性試験をおこな った.ハーフセルにおける耐久性試験で用いた 500 サイクルに比べ,より明らかな変化を 確認するためにサイクル数に関しては2000サイクルとした.耐久性試験前後で,I-V性能 評価,およびインピーダンス測定をおこなった.また,比較として市販IrO2をアノードと するMEAについても同様に評価した.
ポーラスIr,また市販IrO2をアノードとするMEAにおける耐久性試験前後のI-V性能
をFig. 8.1に示す.耐久性試験後,市販IrO2からなるMEAのI-V性能が低下したことに
対して,ポーラスIrからなるMEAのI-V性能には変化がみられなかった.したがって,
ポーラスIrは市販より高い電位サイクル耐久性を有することが確認できた.
また,より詳細に検討するため,インピーダンス測定から得られたオーミック抵抗(Fig.
8.2)を用いて各種過電圧分離をおこなった結果をそれぞれFig. 8.3,8.4に示す.また,セ
ル抵抗値についてTable 8.1にまとめている.両触媒のMEAにおいて,得られたオーミッ ク抵抗は第6章で考察したとおりNafion® 117由来の抵抗であり,耐久性試験前後で変化は ない結果となった.さらに,ポーラスIrからなるMEAでは活性化過電圧の変化はほぼ同 等であり,濃度過電圧はわずかに増加する傾向がみられた.一方で,I-V性能低下した市販 IrO2からなる MEA では,活性化過電圧の増加に加え,濃度過電圧が特に上昇しているこ とが確認できた.したがって,これらの過電圧の増加,特に濃度過電圧の増加が性能低下 に大きく影響していることがわかった.
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Figure 8.1 電位サイクル(2000サイクル)耐久性試験前後の(a)ポーラスIrと(b)市販IrO2を
アノードとして作製したMEAから得られたI-V曲線 黒線:初期 赤線:耐久性試験後
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Figure 8.2 電位サイクル(2000サイクル)耐久性試験前後の(a)市販IrO2と(b)ポーラスIrを
アノードとして作製したMEAから得られたナイキスト線図 黒線:初期 赤線:耐久性試験後
Table 8.1 市販IrO2,ポーラスIrをアノードとして作製したMEAから得られた耐久性試
験前後のオーミック抵抗
Ohmic resistanace / Ω
MEA with commercial IrO2 MEA with porous Ir
Initial 0.19 0.19
After durability test 0.20 0.17
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Figure 8.3 電位サイクル(2000サイクル)耐久性試験前後のポーラスIrをアノードとして作
製したMEAから得られたI-V曲線の各種過電圧分離結果
(a)オーミック抵抗 (b)活性化過電圧 (c)濃度過電圧
黒線:初期 赤線:耐久性試験後
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Figure 8.4 電位サイクル(2000サイクル)耐久性試験前後の市販IrO2をアノードとして作製
したMEAから得られたI-V曲線の各種過電圧分離結果
(a)オーミック抵抗 (b)活性化過電圧 (c)濃度過電圧
黒線:初期 赤線:耐久性試験後
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