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フェーズ(2020-2024)行動計画」 308 では、他者の痛みや感情を共感的に受容す るための想像力や感受性に関する具体的な記述は確認できない。そのため、国際的な動向と関連性

53 することの重要性を指摘している。

めの世界計画第 4 フェーズ(2020-2024)行動計画」 308 では、他者の痛みや感情を共感的に受容す るための想像力や感受性に関する具体的な記述は確認できない。そのため、国際的な動向と関連性

が乏しいように思われるが、文部科学省(2008)

309

は、 「国連の『人権教育のための世界計画』行動 計画では、人権教育について『知識の共有、技術の伝達、及び態度の形成を通じ、人権という普遍 的文化を構築するために行う』ものとし、その要素として(a)知識及び技術-人権及び人権保護 の仕組みを学び、日常生活で用いる技術を身に付けること、 (b)価値、姿勢及び行動-価値を発展 させ、人権擁護の姿勢及び行動を強化すること、 (c)行動-人権を保護し促進する行動をとること が、含まれるものとしている。これらを踏まえれば、人権教育の目的を達成するためには、まず、

人権や人権擁護に関する基本的な知識を確実に学び、その内容と意義についての知的理解を徹底し、

深化することが必要となる。また、人権が持つ価値や重要性を直感的に感受し、それを共感的に受 けとめるような感性や感覚、すなわち人権感覚を育成することが併せて必要となる。 」と明示して いる。また、文部科学省(2008)は、技能的側面について、 「他者の痛みや感情を共感的に受容でき るための想像力や感受性」

310

を参照例として挙げており、人権が持つ価値や重要性を直感的に感受 し、それを共感的に受けとめるような感性や感覚の醸成は、国際的な動向を踏まえた上で人権教育 を通じて育てたい資質・能力として説明している。

一方、梅野 (2013)

311

は、人権侵害を受けた方々の現状や悲痛な心情を共有していくことの重要 性をふまえつつ、日本における人権課題をめぐる問題状況を国民的課題として共有することの重要 性を強調している。また、梅野 (2013)

312

は、人権教育におけるコミュニケーション・アクティビ ティの役割は、自分自身が他者の心身の痛みに向き合い、これを受容的共感的に想像し、正義感を もって対応し行為する能力を醸成していくことを人権教育における重要な能力として挙げている。

さらに、人権侵害、被害の事実から目をそらさずに、被害者の痛みと姿を記憶にとどめることが、

次の機会に、自身の人権感覚を前に進めるものとなることを強調する(梅野、2015)

313

上記のことを踏まえれば、 「m 他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受性」は、

国際的な動向を考慮しながら、国内の独自性が反映されている技能的側面の構成要素だと考えられ る。

(14) 「n 自他を尊重するためのコミュニケーション技能」

技能的側面「n 自他を尊重するためのコミュニケーション技能」に注目すると、ヨーロッパ評議

会における主要な目標における領域(ヨーロッパ評議会、 2006)

314

では、自他を尊重するためのコミ

ュニケーション技能に関連している内容として、「能動的な傾聴とコミュニケーション:自己自身

の人権ならびに他の人々の人権を擁護するために、自分とはちがう意見をも傾聴できる技能」が確

認できる。また、 「人権教育のための世界計画第 4 フェーズ(2020-2024)行動計画」

315

では、 「(viii)

人権に関する政策又は法令の改正を(例:教育環境、コミュニティ又は社会の状況に照らし)求め

る提案を作成及び擁護し、居住地域の内外において、人権基準を用い、合法的及び非暴力的な方法

で義務履行者に対する権利を主張する」と明示しており、人権を尊重していくためには、能動的な

コミュニケーションや、差別を是正するために人権基準を用いて非暴力的な方法による技能を強調

している。また、 「人権教育のための世界計画第 4 フェーズ(2020-2024)行動計画」

316

では、 「(x)

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オンライン及びオフラインのヘイト(憎悪)及び差別と闘い、メディア・リテラシーを育み、ソー シャルメディア上のリスク(獲物を狙っている者との接触を含む) 、暴力的なコンテンツ、いじめ、

ヘイトスピーチ、及び暴力的な過激主義者に対処する。」と明示しており、メディア・リテラシー に関しての重要性もこれからの人権教育の視点として重要なことが確認できる。これらのことから、

文部科学省(2008)が技能的側面について、「能動的な傾聴、適切な自己表現等を可能とするコミ ュニケーション技能」や、「他の人と対等で豊かな関係を築くことのできる社会的技能」

317

を参照 例として挙げている点と関連している。

さらに、福田(1996)は、 「知的諸技能(様々なかたちの言語コミュニケーション技能)」

318

を身に つけることを挙げており、他者と言語によるコミュニケーションをとる技能の重要性を指摘してい る。さらに、平沢(2005)は、人権教育で育成するスキルについて、 「気持ちや考えを言語的、 非言 語的に伝えるスキル」

319

が重要であることを述べており、言語だけでなく、非言語によるコミュニ ケーションをとっていくスキルを身につけることの重要性を指摘している。

上記のことから、 「n 自他を尊重するためのコミュニケーション技能」は、国際的な動向と関連 している構成要素であり、自他を尊重していくために人権基準を用いて非暴力的な方法による技能 として、言語や非言語に関する技能やメディア・リテラシーに関する技能を習得していくことが、

技能的側面の要素であることが確認できる。

(15) 「o 偏見や差別を見きわめる技能」

技能的側面「0 偏見や差別を見きわめる技能」に注目すると、ヨーロッパ評議会における主要な 目標における領域(ヨーロッパ評議会、2006)

320

では、自他を尊重するためのコミュニケーション技 能に関連している内容として、「地域レベルでも、全世界レベルでも、人権の促進と保護のために 活動できる技能」が確認できる。また、 「人権教育のための世界計画第 4 フェーズ(2020-2024)行 動計画」

321

では、 「(ii)自分自身及び他の人々の人生の重要な領域(教育及び職業環境、家族及びコ ミュニティなど)に関連する重要な人権問題を見極める」、 「(iv)青少年の個人的、教育的及び職業 的ニーズ・興味に関連する人権の情報及びリソースを、情報通信技術の利用などにより探し出し、

情報リソース(メディア及び学習リソースを含む)を評価し、その見解、偏り及び信頼性を見分け る」と明示しており、人権の保護と促進のために、人権問題を見極めたり、情報リソースに関する 偏りを見分けることを挙げている。これらのことは、文部科学省(2008)が技能的側面について、

「人間関係のゆがみ、ステレオタイプ、偏見、差別を見きわめる技能」

322

を参照例として挙げてい る点と関連している。さらに、福田(1996)は、 「情報処理・判断、偏見等を見極める技能等の「判断 的技能」

323

を身につけることを挙げており、情報処理・判断、偏見等を見極めていく技能の重要性 を指摘している。

上記のことから、 「0 偏見や差別を見きわめる技能」は、国際的な動向と関連している構成要素

であり、人権の保護と促進の観点から、情報リソースに偏見をもたずに見極める技能を習得してい

くことが、技能的側面の要素であることが確認できる。

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(16) 「p 協力的・建設的に問題解決する技能」

技能的側面「p 協力的・建設的に問題解決する技能」に注目すると、ヨーロッパ評議会における 主要な目標における領域(ヨーロッパ評議会、2006)

324

では、自他を尊重するためのコミュニケーシ ョン技能に関連している内容として、 「社会的集団を組織したり、参加したりする能力」や、 「協力 的に活動したり、対立に対して建設的に取り組める能力」が確認できる。また、「人権教育のため の世界計画第 4 フェーズ(2020-2024)行動計画」

325

では、 「(ix)私的及び公的な領域において、人 権の促進及び保護のための活動(市民の意識啓発のための活動を含む)を準備・実行し、人権に関 する組織づくり及びキャンペーンの取組(権利侵害の被害者のためのものを含む)を指揮し、適切 な方法論を用いて人権教育活動を実施する。」と明示しており、人権の促進や保護のためには、対 立的問題に対して、市民が建設的に協力していく能力を挙げている。これらのことから、文部科学 省(2008)が技能的側面について、「対立的問題を非暴力的で、双方にとってプラスとなるように 解決する技能」

326

を参照例として挙げている点と関連している。さらに、福田(1996)は、 「非暴力的 問題解決の技能等々」

327

を身につけることを挙げており、非暴力によって問題を建設的に解決して いく技能の重要性を指摘している。また、中川(2002)は、 「人権の養護・促進に寄与し、人権問題の 解決に資する技能」

328

の重要性を指摘している。

上記のことから、 「p 協力的・建設的に問題解決する技能」は、国際的な動向と関連している構 成要素であり、対立的問題においては、非暴力かつ建設的に協力していくように寄与していく技能 を習得していくことが、技能的側面の要素であることが確認できる。

(17) 「q 複数の情報を合理的・分析的・批判的に思考する技能」

技能的側面「q 協力的・建設的に問題解決する技能」に注目すると、ヨーロッパ評議会における 主要な目標における領域(ヨーロッパ評議会、2006)

329

では、自他を尊重するためのコミュニケーシ ョン技能に関連している内容として、「批判的思考:関連する情報を発見し、証拠を批判的に査定 し、先入観や偏見を自覚し、さまざまな形態のごまかしを認識し、合理的な判断を基礎として決断 できる技能」が確認できる。また、 「人権教育のための世界計画第 4 フェーズ(2020-2024)行動計 画」

330

では、 「(i)過去及び現代の政治的、法的、経済的、文化的及び社会的プロセスを、人権の観 点から、人権に関する専門用語を用い分析する」や、 「(iii)根本原因及び結果を含む人権侵害の特 定及び分析を行い、人権の実現が個人又は集団にもたらす利益を特定する」、 「(xi) 情報通信技術 の進歩が人権の保護、尊重及び実現に与える影響(ソーシャルメディアに関連するリスク及び機会 を含む)を特定及び分析する」と明示しており、人権の保護に向けて複数の情報を分析し、均衡を とった判断を行うことに言及している。これらのことから、文部科学省(2008)が技能的側面につ いて、 「複数の情報源から情報を収集・吟味・分析し、公平で均衡のとれた結論に到達する技能」

331

を参照例として挙げている点と関連している。さらに、平沢(2005)は、 「批判的に思考するスキル」

332

として、事実やデータをもとにしながら、多面的で批判的な思考をすることで、状況や問題を分 析し、一定の認識や見解をまとめていくスキルを例として挙げている。

上記のことから、 「q 協力的・建設的に問題解決する技能」は、国際的な動向と関連している構

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成要素であり、人権の保護に向けて複数の情報を分析し、均衡がとれた見解をまとめていく技能を 習得していくことが、技能的側面の要素であることが確認できる。

(18)人権教育を通じて育てたい資質・能力の構成要素の特徴の考察

これまで、 「人権教育を通じて育てたい資質・能力の構成要素」 (河野辺、 2017)

333

と、ヨーロッパ 評 議 会 の 『 人 権 教 育 の た め の コ ン パ ス [ 羅 針 盤 ] 』 に お け る 「 知 識 理 解 (Knowledge and understanding)」 、 「技能(Skills)」、 「態度・価値(Attitude and values)」や、 「人権教育のための 世界計画第 4 フェーズ(2020-2024)行動計画」

334

に明示されている「知識」、 「スキル」 、 「姿勢」の 領域における能力と関連性を検討してきた。表 6 に人権教育を通じて育てたい資質・能力の構成要 素と先行研究の一覧を整理したように、 「人権教育を通じて育てたい資質・能力の構成要素」 (河野 辺、2017)

335

は、人権教育に関する国際的な動向と関連性が認められる。なお、 「人権教育のための 世界計画第 4 フェーズ(2020-2024)行動計画」

336

では、差別を是正するためにメディア・リテラシ ーやオンラインを活用していく技能を身に付ける重要性が指摘されていることを併せて確認して おきたい。

国内においては、 「人権教育・啓発に関する基本計画」(閣議決定 2002 年)において、国内にお ける人権及び人権教育上の課題として、①「女性」、②「子ども」、③「高齢者」、④「障害者」、⑤

「同和問題」 、⑥「アイヌの人々」、⑦「外国人」、⑧「HIV 感染者・ハンセン病患者等」、⑨「刑を 終えて出所した人」、⑩「犯罪被害者等」 、⑪「インターネットによる人権侵害」 、⑫「北朝鮮当局に よる拉致問題等」

337

などが国の「重要課題」として位置付けられており、人権教育を通じて育てた い資質・能力は人権課題を解消に向けた資質・能力だと考えられる。このことから、「人権教育を 通じて育てたい資質・能力の構成要素」は、国際的な動向と関連性がありつつも、 [第三次とりま とめ](文部科学省、2008)

338

や先行研究によって国内独自の人権教育に関する研究の内容が反映さ れている。具体的には、知識的側面「b 人権や人権課題の歴史・現状に関する知識」と技能的側面

「m 他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受性」が挙げられる。つまり、人権課 題に関する知的理解や、他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受性を育成するべ き資質・能力に位置づけていることは、国内独自の人権教育に関する研究の内容が反映されている 構成要素であることが考察できる。なお、国内における人権教育は、「人権教育及び人権啓発の推 進に関する法律」の第7条

339

に基づいて、2002 年に「人権教育・啓発に関する基本計画」が閣議決 定され、総合的かつ計画的に推進されてきた。人権教育・啓発の推進方策としては、人権に関わる 普遍的な概念を念頭に置き、人権尊重の理念の実現に向けて推進される人権一般の普遍的な視点か らの取組と、各人権課題に関するあらゆる偏見や差別をなくすために、様々な人権課題に関わる差 別意識の解消を図る個別的な視点からの取組に大別できる。つまり、人権に関わる普遍的な概念は 国際的な動向や先行研究を基盤としており、様々な人権課題に関わる差別意識の解消を図る個別的 な視点からの取組に関しては国内の独自性が反映されていると考えられる。とりわけ、⑤「同和問 題」や⑧「HIV 感染者・ハンセン病患者等」 、⑫「北朝鮮当局による拉致問題等」は、国内の固有の 人権課題であることを確認しておきたい。

なお、 「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」(2000 年 12 月 6 日法律第 147 号)が策定さ