図
5-28
により、EU
圏北部の最適立地を選択された回数と立地数で示すとドイツが5
回で最高である。つまり、最適立地シミュレーションの全ての結果に顔を出しているというこ とである。次いで、多い国はイギリスで
4
回、ポーランド3
回、スウェーデン2
回、スロバ キア1
回のみがこれに続いている。従って、北部ではドイツ、イギリス、ポーランド、スウ ェーデン、スロバキアの順位でハブを決めることが一義的に考えられる。上記の結果により、
EU
圏北部の最適立地はあくまで人口距離の総和が最小となる立地で あり、トポロジー、経済と物流ネットワーク、人口、経済などの側面からは現実と解を離し ている。従って、先述のように、EU
圏最適立地で決定した立地はハブ類型決定を、その最 適立地の結果から読み替え、最終的に評価基準に準拠して決定する必要がある。2013
年世界港湾ランキングからEU
北部の港湾物量の実態を分析するとトンベースでは図
5-28 EU
圏北部最適立地1
ヶ所~5
ヶ所までのまとめ図表
5-27 EU
圏北部における港湾の取扱量・コンテナ量世界ランキング
出典:
American Association of Port Authorities, “2013 World Port Ranking”, http://www.aapa-ports.org
(1) Unit of TONS = Tons, 000s (kiloton) (2) TEUs: Twenty-Foot Equivalent Units
Note
星マーク:最適立地回数
:最適立地1ヶ所
:最適立地
2
ヶ所:最適立地3ヶ所
:最適立地4ヶ所
:最適立地
5
ヶ所ストックホルム、
スウェーデン
ロンドン、イギリス
ベルリン、ドイツ
ワルシャワ、
ポーランド
ブラチスラヴァ、
スロバキア
Northern EU Rank World
Rank Port Country TONS
1 6 Rotterdam Netherlands 440,464
2 18 Antwerp Belgium 190,849
3 25 Hamburg Germany 139,050
4 41 Amsterdam Ports Netherlands 95,753
5 49 Bremen/Bremerhaven Germany 78,768
6 62 Grimsby and Immingham United Kingdom 62,615
7 94 London United Kingdom 43,206
8 96 Zeebrugge Belgium 42,832
9 99 Milford Haven United Kingdom 41,106
10 Total - - 1,134,643
Northern EU Rank World
Rank Port Country TEUS
1 11 Rotterdam Netherlands 11,664,195
2 15 Hamburg Germany 9,257,358
3 16 Antwerp Belgium 8,578,269
4 22 Bremen/Bremerhaven Germany 5,830,711
5 40 Felixstowe United Kingdom 3,432,786
6 68 Zeebrugge Belgium 2,026,270
7 71 Dublin Ireland 1,985,646
8 80 Southampton United Kingdom 1,524,691
9 96 Gdansk Poland 1,177,626
10 Total - - 45,477,552
123
第
6
位のアムステルダムから第99
位のメールフォード・ハベンまで9
港の半分以上(
イギ リス以外)
が北海の大陸側にある。また、TEUs
ベースで世界100
位に入っていたEU
北部 の港湾は9
港で、この中に6
港湾(
イギリスとアイルランド港湾以外)
が大陸側の港湾であ る。特に上位3
港はオランダ、ベルギー、ドイツの港湾である(
表5-27)
。EU
北部における 港湾の特徴は上位2
港が河川港湾である。ハンブルグはエルベ川の約120 km
、アントワー プは川上流の約60 km
で、共に世界の30
大港湾に入っている。また、ヨーロッパでは2
位 と3
位である。これにより、実態社会対応としては、グローバルハブとしてハンブルグ、ロ ッテルダム、アントワープが最有力候補と考えられる。ポーランドのグダニスクはTEUs
ベ ースでは世界の96
位に入ってはいるが、人口及びGDP
などと伴にEU
圏北部の歴史な政治 力学上からしてもナショナルハブが妥当である。一方、イギリスもロンドンの北に位置する フィーリクストー(Felixstowe)
や北海に面し、ノッティンガムの北方でハル川河口に位置 するイギリス港湾最大のイミンガム港も北海に面している。しかし、イギリスは島国でアイ ルランド1
ヶ国のエリアハブであり、グローバルハブとしての立地ではない。ここまで
EU
圏北部最適ハブネットワークはドイツをグローバルハブとし、オランダが最 適立地とならないがエリアハブとした。同様にイギリスもエリアハブとして提案する(
図5-29)
。ちなみに、オランダがエリアハブとなっているが、ベネルクス3
ヶ国は複雑で、ベルギーはフランス語圏とフラマン語圏に分かれ、前者は地理的並びに文化的にフランスに近 く、後者はオランダに近い。しかも、ルクセンブルクはドイツと国境を接しており、オラン ダとはベルギーが間に入っている。従って、オランダがエリアハブより、むしろオランダは コンチネンタルハブとしてマクロ的に機能すべきであると最終的に提案したい。また、スウ ェーデンがフィンランドとバルトの
2
ヶ国のハブになっているが、その間にバルト海があ り、陸地を利用するとなるとボスニア湾の奥を迂回しなければならず、スウェーデンはハブ としては立地不適格である(
図5-27)
。従って、スウェーデンまたはポーランドをエリアハ ブかナショナルハブの候補地とした。図
5-29 EU
圏北部における最適ハブネットワークの提案最適立地:
ベルリン
:
ドイツ最適立地:
ロンドン、イギリス
1 2 3 4 5
・ドイツ
・オーストリア
・チェコ
・デンマーク
最適立地:
ストックホルム、スウェーデン
4 5
・スウェーデン
・エストニア
・ラトビア
・フィンランド
5
・オランダ
・ベルギー
・ルクセンブルグ 最適立地:
ロッテルダム、オランダ
2 3 4 5
・イギリス
・アイルランド
(
注)
1.
赤枠:最適ハブ2.
赤点の枠:最適立地以外3.
黒枠:そのハブのネットワーク傘下4.
:最適立地回数5. 1~5:最適立地数に選択される最適立地
最適立地:
ワルシャワ、ポーランド
3 4 5
・ポーランド
・リトアニァ
・スロバキア
・ハンガリー
124
EU
経済圏における階層構造型最適ハブネットワークの考察と提案本章では
EU
経済圏全体の最適立地、さらに南部並びに北部の最適立地整合性について検 証し、併せてハブ類型を決定することにした。これによる最適立地シミュレーションの結果 をまとめて表すと、表5-28
のようになる。表
5-28 EU
経済圏(UK
を含む)
最適立地1
ヶ所から5
ヶ所までの結果一覧しかし、既に述べたように最適ハブ立地及びそのネットワーク傘下を提案するには、立地 のみでは無く、その最適立地の結果によるモード別取扱貨物量や物流設備、特に
EU
圏では 歴史的、文化的などをそれぞれ配慮し、最終的にハブ類型を決定してネットワーク傘下を検 討する必要がある。本章で検討できた最適立地の結果を見ながらその立地の港湾取扱物量 を配慮すると、図5-30
のようにドイツ、フランス及びイタリアをEU
経済圏のグローバル ハブとして提案した。またはオランダ(
ロッテルダム港)
とベルギー(
アントワープ港)
は 最適シミュレーションの結果にならないが、EU
経済圏で世界の港湾Top 20
にランクイン する為、コンチネンタルハブとしての有力候補である。従って、結論的には北海沿岸でドイ ツ、オランダ、ベルギー、地中海側ではイタリアをコンチネンタルハブとした。なお、ドイ ツ、フランス及びイタリアをグローバルとコンチネンタルを兼ねるハブとした。同様な基準判断により、世界港湾ランキング
Top 100
位にも入り、最適立地の結果にも顔 出ているイギリス、スペイン及びルーマニアをエリアハブをとした。ルーマニアは港湾のランキング
Top 100
位で75
位にあるが、黒海に面してギリシャとキプロスを切り離している為、エリアハブとした。加えて、エリアハブについては文化的、政治的、歴史的、経済的背 景を加味してスカンディナビア半島
(
ノルウェーを除きフィンランドを加える)
、バルト3
国、バルカン半島の一部でくくった。バルト3
国については、エストニア132
万人、ラトビ ア203
万人、リトアニア294
万人でエストニアが一番少ないが、首都タリンがフィンランド立地数
1
ヶ所 ルクセンブルク ルクセンブルク イタリア ローマ ドイツ ベルリン2
ヶ所 チェコ プラハ フランス パリ ドイツ ベルリンフランス パリ イタリア ローマ イギリス ロンドン
3
ヶ所 フランス パリ フランス パリ ドイツ ベルリンドイツ ベルリン イタリア ローマ ポーランド ワルシャワ イタリア ローマ スペイン マドリード イギリス ロンドン
4
ヶ所 ドイツ ベルリン フランス パリ ドイツ ベルリンイタリア ローマ イタリア ローマ ポーランド ワルシャワ スペイン マドリード ルーマニア ブカレスト スウェーデン ストックホルム イギリス ロンドン スペイン マドリード イギリス ロンドン
5ヶ所
ドイツ ベルリン フランス パリ ドイツ ベルリンイタリア ローマ ギリシャ アテネ ポーランド ワルシャワ ルーマニア ブカレスト イタリア ローマ スロバキア ブラチスラヴァ スペイン マドリード ルーマニア ブカレスト スウェーデン ストックホルム イギリス ロンドン スペイン マドリード イギリス ロンドン
EU
全体最適立地EU
圏南部最適立地EU
圏北部最適立地125
図
5-30 EU
経済圏(UK
を含む)
最適SCM
ハブネットワークシステム体系の提案湾に面しているので、エリアハブとした。スカンディナビア半島ではスウェーデン
975
万 人、デンマーク563
万人、それにフィンランド548
万人であるが、バルト海中央部に位置す るスウェーデンもエリアハブとした。これらによって、図5-30
のように最終的にEU
経済 圏における最適SCM
ハブネットワークシステムが提案できた。本章のまとめ
EU
経済圏の最適SCM
ネットワークについて、マクロとミクロの二面から検討した。つ まり、本章の目的であるEU
圏南部とEU
圏北部を含むEU
経済圏におけるグローバルハブ、コンチネンタルハブ、エリアまたはナショナルハブとしての最適ハブ立地並びにそのハブ のネットワークの検討を行った。さらに、
EU
南部とEU
北部のハブネットワークについて 分析し、EU
全体のハブネットワークについての構築と提案を行うことについては目的を実 現することができた。しかし、ミクロになればなるほど単に数値上の最適問題だけでは無く、物流インフラ、歴史、経済、政治などに基づく判断が必要となり、数値上の最適から乖離す るケースが多くなる。
この問題は立地問題の二面性を提起している。すなわち、最適解あるいは近似解に近づけ るのであれば、事前準備の基本数値のフィルターを厳密にすることである。また、仮に厳密 なデータ入力が不可能な場合には、定性論的な検討と評価が必要となる。この問題は立地問 題全般に関係する問題である。本研究では、第一に数値上の最適解もしくは近似解を推定し、
次いで実態との定性的調整によって最適解または近似解を補正する方法を採っている。こ れは第
2
章のはじめのところで明らかにした。EU
経済圏+UK
における最 適SCMハブネットワーク最適立地 ドイツ
最適立地
フランス 最適立地 イタリア
最適立地 ルーマニア 最適立地
スペイン グローバルハブ:
コンチネンタルハブ:
最適立地 エストニア
*
エリアハブ:ナショナルハブ:
最適立地 チェコ
最適立地 スウェーデン 最適立地
ドイツ
最適立地 フランス
最適立地 イタリア 最適立地
オランダ*
適的立地 ベルギー*
最適立地 スウェーデン
最適立地 イギリス
・ バルト3国 ・ スカンジナビア2国
・フィンランド
・イベリア半島 ・バルカン半島一部
最適立地 ルクセンブルク
最適立地 ギリシャ 最適立地
ポーランド