最適グローバルハブネットワーク システムの選定に関する基本研究
マネジメント工学専攻
SALA NGAM SARINYA
最適グローバルハブネットワークシステムの選定に関する基本研究 目次
序論
... 1研究背景と研究目的
... 1先行研究
... 2本論文の構成
... 3グローバル
SCMハブネットワーク類型に関する研究と提案
... 5本章の目的
... 5ハブの定義と一般類型
... 52.2.1
ハブの定義
... 52.2.2
ハブの一般類型
... 62.2.3
ロジスティクスハブの類型
... 7ハブ関連輸送方法論の考察
... 92.3.1
ハブ輸送の基本
... 92.3.2
ランドブリッジ
(Land Bridge)方式
... 102.3.3
モーダルリンケージとモーダルシフト
(Modal linkage and Modal Shift) ... 12ハブ関連輸送方法論の考察:輸送システムの基本類型
... 122.4.1
ハブシステム
(Hub System) ... 122.4.2
マルグェリト・システム
(Marguerite (or Margaret) System) ... 132.4.3
一貫パレチゼーション
(スウェーデン方式
) ... 14グローバルハブネットワークモデルの基本要素
... 152.5.1
貨物取扱実績の現状と分析
... 152.5.2
グローバルハブネットワークモデルの基本
... 212.5.3
モーダルリンケージ型グローバルハブネットワーク類型
... 222.5.4
三極経済圏間基本ハブネットワーク
... 23本章のまとめ
... 24最適立地シミュレーションモデル及び直線近似方式の有効性の検証
... 26本章の目的
... 26重力モデルによる最適化問題の定式化
... 26直線近似方法の誤差分析
... 273.3.1
地球楕円体における
2点間直線距離の導出
... 273.3.2 2
地点間直線距離の導出方法による誤差
... 29本章のまとめ
... 31拡大東アジア経済圏における最適ハブネットワークの提案
... 32本章の目的
... 32拡大東アジア経済圏における最適ハブネットワークの検討と考察
... 324.2.1
拡大東アジア経済圏の各国人口の都市への割り付け
... 334.2.2
拡大東アジア経済圏都市間直線距離及び人口・距離の算出
... 334.2.3
重力モデルによる拡大東アジア経済圏最適立地シミュレーションの計算結果
38 4.2.4拡大東アジア経済圏の階層別分析最適立地とハブネットワーク特性分析
... 454.2.4.1
中国における国内最適ハブ立地の検討
... 454.2.4.2
日本における国内最適ハブ立地の検討
... 594.2.4.3
インドネシアにおける国内最適ハブ立地の検討
... 73拡大東アジア経済圏における階層構造型最適ハブネットワークの考察と提案
... 87本章のまとめ
... 89ヨーロッパ
(EU)経済圏における最適ハブネットワークの提案
... 91本章の目的
... 91EU
経済圏における最適ハブネットワークの検討と考察
... 925.2.1 EU
経済圏の各国人口の首都への割り付け
... 925.2.2 EU
経済圏首都間直線距離及び人口・距離の算出
... 925.2.3
重力モデルによる
EU経済圏最適立地シミュレーションの計算結果
... 935.2.4 EU
経済圏における最適ハブネットワークの考察
... 104EU
圏南部における最適ハブネットワークの検討と考察
... 1075.3.1 EU
圏南部の各国人口の首都への割り付け
... 1085.3.2 EU
圏南部首都間直線距離及び人口・距離の算出
... 1085.3.3
重力モデルによる
EU圏南部最適立地シミュレーションの計算結果
... 1105.3.4 EU
圏南部における最適ハブネットワークの考察
... 114EU
圏北部
(UKを含む
)における最適ハブネットワークの検討と考察
... 1155.4.1 EU
圏北部の各国人口の首都への割り付け
... 1155.4.2 EU
圏北部首都間直線距離及び人口・距離の算出
... 1165.4.3
重力モデルによる
EU圏北部最適立地シミュレーションの計算結果
... 1165.4.4 EU
圏北部における最適ハブネットワークの考察
... 122EU
経済圏における階層構造型最適ハブネットワークの考察と提案
... 124本章のまとめ
... 125北米経済圏における最適ハブネットワークの提案
... 126本章の目的
... 126北米経済圏における最適ハブネットワークの検討と考察
... 1266.2.1
北米経済圏の各州人口の州都への割り付け
... 1276.2.2
北米経済圏州都間直線距離及び人口・距離の算出
... 1286.2.3
重力モデルによる北米経済圏最適立地シミュレーションの計算結果
... 1286.2.4
北米経済圏における最適ハブネットワークの考察
... 144アメリカにおける最適ハブネットワークの検討と考察
... 1466.3.1
アメリカの各州人口の州都への割り付け
... 1466.3.2
アメリカ州都間直線距離及び人口・距離の算出
... 1466.3.3
重力モデルによるアメリカ最適立地シミュレーションの計算結果
... 1526.3.4
アメリカにおける最適ハブネットワークの考察
... 156カナダにおける最適ハブネットワークの検討と考察
... 1566.4.1
カナダの各州人口の州都への割り付け
... 1566.4.2
カナダ州都間直線距離及び人口・距離の算出
... 1576.4.3
重力モデルによるカナダ最適立地シミュレーションの計算結果
... 1586.4.4
カナダにおける最適ハブネットワークの考察
... 162北米経済圏における階層構造型最適ハブネットワークの考察と提案
... 162本章のまとめ
... 164三極経済圏における最適グローバルハブネットワークの提案
... 166本章の目的
... 166三極経済における最適ハブネットワークの検討と考察
... 1667.2.1
三極経済圏の各国人口の州都
/首都
/都市への割付
... 1677.2.2
三極経済圏州都
/首都
/都市間直線距離及び人口・距離の算出
... 1677.2.3
重力モデルによる三極経済圏最適立地シミュレーションの計算結果
... 1867.2.4
三極経済圏における最適ハブネットワークの考察
... 196三極経済圏における階層構造型最適
SCMハブネットワークの考察と提案
... 198本章のまとめ
... 199タイにおける最適ハブネットワークの提案
... 200本章の目的
... 200研究プロセス概要
... 201タイ現行港湾の実態分析
... 2018.3.1
主要港湾の分析
... 2028.3.2
主要港湾別国際貿易国の分析
... 204タイにおける最適物流拠点立地及び最適生産拠点立地の検討
... 2058.4.1
各県の人口
/GPPの県都への割り付け
... 2068.4.2
タイ県都間距離及び人口
/GPP・距離の算出
... 2078.4.3
重力モデルによる消費ベース及び
GPPベースの最適拠点立地の計算結果
.. 207物流拠点立地と生産拠点立地との統合型最適ストックハブ立地の提案
... 241タイベースのグローバル
SCMネットワークの考察と提案
... 246本章のまとめ
... 248結論
... 249結論
... 249今後の課題
... 250参考文献
... 251謝辞
... 254A Basic Research on Optimization of Site Selection for Global Hub Network System
SALA-NGAM SARINYA
The world is already connected through Global SCM, and we are getting into the era of borderless economics now. From the result of this, the research of Global SCM Hub Network System, especially Hub and Spoke networks have received much attention. Unfortunately, the research articles in this field are a few in number. Therefore, the researcher is interested in studying on optimization problem for allocation hub locations in the world`s three economic zones comprise 64-state in North America, 28-country in Europe, and 20-city in East Asia. Attempts to determine the number of global hub locations was unsuccessful due to the parameters such as the total logistics cost, cargo/freight weight and real-life freight flows are required to solve the problem. Hence, this research considers only allocation hub location problems, the number of the optimal hub locations for global will not be considered to determine. Moreover, a prototype model of global SCM Hub network system is also focused on in order to propose in this dissertation.
To achieve the purposes of the research, Gravity Model is employed to model formulation in order to determine the optimal hub locations. Gravity Model is well-known as the solution method used to determine demand centers of gravity with minimizing the sum of weighted distances. According to this model algorithm, the population of states/countries/cities, and the distance between 2 points in the world`s three economic zones were considered to use as simulation parameters in order to select the optimal hub locations.
Computational results have shown that the optimal locations for global hub were determined as well as hub networks were designed by the pattern of single allocation (non-hub location is allocated by a single network to a single hub).
Furthermore, the results of hub location obtained from the computational simulation were evaluated by consideration of its statistical freight volume by transportation mode as logistic hub types (for example, Global hub, Continental hub, Area hub, National hub), in order to propose prototype model for global SCM Hub network system.
Finally, the optimal hub locations for North America, Europe, and East Asia called the world`s three economic zones, as well as for each continent were selected. Additionally, global hub network system of a multi-level type in term of a prototype model of global SCM networks was also proposed in this study. For future research, muti-objective hub locations, the number of hub locations in optimization problem would be concentrated to solve with using more efficient solution algorithm.
1
序論
研究背景と研究目的
経済圏の三極化や、グローバル化が叫ばれて久しいが、サプライチェーンマネジメント
(SCM)
の領域ではグローバル
SCMの最適化やコスト最小型
SCM戦略の理論の確立が緊急
の課題である。しかし、グローバル経済圏を前提としたグローバル最適立地問題に関する研 究論文は、国内はもとより海外においても極めて少ない。この為、グローバル
SCMネット ワーク理論の前提となる最適グローバルハブネットワークに関する研究が非常に重要とな っている。一方、タイ国内における最適立地の推定とグローバルハブとの関連についての研 究が望まれているが、現時点ではゼロに近い。
そこで、本研究ではグローバルハブの類型を整理して定義すると共に、グローバルハブシ ステムの理論的類型を提案し、グローバルハブ最適立地問題に関する理論的研究の第一歩 となることを研究目的にする。
第一には、研究の対象となるハブの一般的な定義を明らかにし、且つ本研究にて提案する ハブ類型について総合的に考察し、研究者のハブに関する基本的な研究スタンスを明らか にする。 グローバル
SCMネットワークの構成要素であるリージョナルハブ
(Regional hub)、 ナショナルハブ
(National hub)、エリアハブ
(Area hub)、コンチネンタルハブ
(Continentalhub)
とグローバルハブ
(Global hub)ネットワークとの関係を検証する。その為に、最適立
地モデルにより三極経済圏とする東アジア経済圏、
EU経済圏並びに北米経済圏に限定して 最適ハブ立地
1ヶ所から
5ヶ所をそれぞれ検討し、次いでグローバル経済圏における最適 ハブ立地及びその階層構造型最適グローバル
SCMハブネットワークを提案する
(今回は最 適立地数の多寡で最適ハブ立地が決定できない為、
1ヶ所から
5ヶ所の最適ハブ立地を検証 することにする
)。加えて、グローバル
SCMネットワークの研究の一環としてタイ国内の
77県を対象に最適物流拠点立地と最適生産拠点立地を推定すると共に、主要港湾施設並びに 貿易国を与件とし、国内生産物の輸出及び海外生産物の輸入を総合的に配慮して、輸出入物 量の国内最適立地をシミュレートすることによってタイベースのグローバル最適
SCMハブ ネットワークシステムを提案する。
今回の研究は重力モデルを採用することにより、人口と距離をシミュレーションの基本 数として、最適立地シミュレーションの基本数値を PK
(Population:人口、
Kilometer:距 離
)が最小となる立地が最適立地となることを前提としている。その為、人口データの収集 を第一に行い、次いで国家の首都、都市または州都を代表地点として選定した。人口以外に
も
GDP、
GNI (Gross National Income)あるいは県または州の総生産額あるいは総所得なども
考えられるが、将来、所得水準が平準化すれば総生産、総消費は人口に比例する為あえて人
口をパラメータとした。本来はミクロのような物量ベースなどで最適立地シミュレーショ
ンを実行すべきであるが、データ取得が困難である為、人口を基準として代表地点へ各国
(または各州
)の人口を割り付けると共にその代表地点間の距離を直線近似し、距離を推定
2
した。ここで、直線距離を計算する為には、どの地球楕円体モデルを用いると、正確な緯度 経度情報が取得できるのかについての検証を本研究でも行った。
このようにして作成した人口・距離マトリックスを基本数値として、重力モデルに基づき 最適立地シミュレーションを行った。さらに、検証できた最適立地からロジスティクスハブ 類型になる為には、必要な物流施設
(特に港湾施設
)や物流インフラなどを配慮し、ハブ類 型を評価して決定することによって、最終的にグローバル経済圏における階層構造型最適
SCMハブネットワークシステムの選定を行った。
先行研究
上記に述べたように、グローバル
SCM戦略展開を支援する主要課題はグローバルハブネ ットワークの最適化問題であるが、グローバル最適ハブ立地及びその最適
SCMネットワー クに関する研究論文が少ない。その理由は、グローバル経済圏における最適ハブネットワー クを検討する為に重要なデータ
(例えば、対象諸国による物流データ実績及び輸送先、産業 別物流データ、モード別取扱物流貨物量データ、貿易の場合が取り扱う船の種類など
)を把 握するのが非常に困難である一つの理由である為である。
神奈川大学の花村綾・相浦宣徳・唐澤豊は北米圏
54州都、
EU圏
19首都、東アジア圏
15都市を対象にして、重力モデルによって各地域の最適ハブ立地の決定を行った。尚、研究者 たちは対象地域による物流データ予測が極めて難しいと分かって、人口をパラメータとし、
対象の州都
/首都
/都市に人口を割り付けた。加えて、
ARモデルを用いることで
2010年と
2020年の人口データ将来予測を行うと共に
2010年と
2020年において各対象範囲の最適ハ ブ立地
1ヶ所から
6ヶ所までが選定できた
[1]。しかし、花村綾らは最適ハブ立地を選定し たのみであるが、ハブ決定要素を配慮することによってハブ類型の評価を行い、グローバル
SCMネットワークを提案しなかった。
相浦宣徳らは
GA (Genetic Algorithm)を用い、立地総コストをベースとして日本全国国内 における物流センター最適立地選定に関する研究を行った
[2]。相浦宣徳らは物流総コスト、
工場から物流センターまたは物流センターから市場まで輸送された製品品目及び数量のデ ータを手に入れた為、
GAによる解法を適用して多段階物流センター立地の選定、並びに物 流センターからの出力フローと入力フロー
(物流センターからの輸送経路
)を提案した。し かしながら、この研究対象範囲は日本国内で研究スコープが小さい為、立地総コストが最小 となるセンターが選定できたが、グローバルにおける対象諸州都
/首都
/都市レベルではその 詳しいデータが貧弱であるところで、立地総コストを配慮することによって最適ハブ立地 及びハブ立地数が決定できなかった。
また、豊谷純・渡邊昭廣・若林敬造・唐澤豊は営業所と集配達先との総距離を最小化する
ことによって、営業所の最適再配置を求め、最適な場所の結果をリアルタイムに地図表示す
る手法を提案した。その為に、ヒュベニの距離計算式を採用して、
2地点間のユークリッド
距離を算出した。この地図上の直線距離と道のり距離との相関関係が強くあることが示さ
3
れている為、豊谷らは直線距離を用いることで、最適である営業所の位置を算出した。ヒュ ベニの計算式によるユークリッド距離
(直線距離
)を算出するには、緯度経度情報を
x、
yの 座標に変換する必要がある。これにより、豊谷らは
Geocodingというヴェブサービス
APIを 利用して緯度経度を自動的に取得し、取得した緯度経度情報を
x、
y平面に座標変換してか らヒュベニの計算式による
2点間のユークリッド距離を算出した。尚、緯度経度を平面地図 に変換する際に誤差が生じるが、十分に無視できる程度の誤差であることを検証した
(わず かな
0.3%の誤差
) [3]。
従って、本研究では人口とヒュベニ公式によって計算する直線距離のみにより、三極経済 圏における最適ハブ立地を検証し、階層構造型最適グローバル
SCMハブネットワークシス テム構築を提案することにする。
本論文の構成
本論文は
9章より構成されており、以下にその要旨を示す。
第
1章では、研究の背景と目的を述べ、本研究に関する従来の研究と本研究全体の構成並 びに研究成果について概述する。
第
2章では、グローバル
SCMハブネットワーク類型に関する研究でグローバル
SCMハ ブネットワーク類型に関する統合ベースのハブ類型やハブの機能類型について論じ、次い でロジスティクスハブの基本要素であるハブ類型化の基本要素、ハブの基本、ハブの階層構 造類型並びにハブネットワークの階層構造型、ハブネットワークモデル設計の基本要素な どについて述べる。さらに、ハブ立地移転の典型的な特徴について言及し、ハブ発展の基本 要素について理論的に体系化する。加えて、ハブ間の輸送手段となる基本理論を歴史的事実 から整理し、ハブ相互のパイプラインの方策を明らかにする。ハブ・アンド・スポック
(Huband Spoke)
から成る
FedExのハブシステム
(Hub System)、宅配システムの原型とも言える
フランスのマルガレット・システム
(Marguerite (Margaret) System)、表面上輸送の代表ともい うべき大陸間輸送のランドブリッジ
(Land Bridge)方式、一貫パレチゼ―ションあるいはモ ーダルリンケージについて言及し、グローバルハブの定性モデル
(State of Art Model)を提 案する。
第
3章は、本研究で採用する最適立地シミュレーションモデル
(重力モデル
)の定式化ま たは距離推定方法について説明する。最適立地モデルシミュレーションの基本数値である 人口・距離テーブルについては、地図上で
2地点間の距離を座標上で数学的に直線近似する
座標方式
(Coordinate Method)及び緯度経度から直線近似する方式と
2地点間の距離を直接
計測する実距離方式が考えられる。そこで、今回の研究では採用する緯度経度直線近似方式 の地球を真球とする方式と楕円とする方式の誤差について予め検証して、誤差の許容範囲 を明らかにする。つまり、直線近似方式の有効性の検証と提案を行うものである。
第
4章では、拡大東アジア経済圏における最適
SCMハブネットワークの提案で、
5都市
に割付とする中国、ニュージーランド及びオーストラリアを含み、
16ヶ国
20都市を含む拡
4
大東アジアを対象としたハブネットワークの生成を狙うものである。または、ハブ類型の決 定要素によって評価し、拡大東アジア最適階層構造型
SCMハブネットワークシステムを提 案する。
第
5章は、イギリスを加えたヨーロッパ
(EU)経済圏の最適ハブネットワークの提案で
EUに限定し、
28ヶ国
28首都を対象に最適ハブネットワークの生成と提案を目的とする。
さらに、本研究では
EUの歴史的、文化的、伝統的、及び地形的などという基準で
EU南部 と
EU北部圏を区分することにし、この
2つの地域における最適立地整合性についての検討 をそれぞれ行い、
EU全体と併せてハブ類型を決定することによって、対象とした
EU経済 圏における最適
SCMハブネットワークシステムの構築を提案する。
第
6章では、北米経済圏における最適
SCMハブネットワークを提案する為には、北米経 済圏の構成国であるアメリカとカナダ全州の州人口を各州都所在地に割り付け、次いで人 口・距離表を作成し、
1ヶ所から
5ヶ所までの最適ハブ立地をシミュレーションで検討する。
さらに、最適立地のハブ候補としての評価基準を設定し、最適ハブネットワークを計算し求 めて提案する。ちなみに、最適立地は
1ヶ所がインディアナポリス、
2ヶ所がサクラメント とコロンバス、
3ヶ所がサクラメント・オルバニー・ナッシュビル、
4ヶ所がサクラメント・
フランクフォート・オルバニー・オースティン、そして
5ヶ所がサクラメント・アトラン タ・スプリングフィールド・オルバニー・オースティンとなっている。
第
7章では、三極経済圏全体における最適グローバル
SCMハブネットワークの構築を検 証と提案する為に、拡大東アジア経済圏
(16ヶ国
20都市
)、
EU経済圏
(28ヶ国
28首都
)、 並びに北米経済圏
(アメリカとカナダ全州で
64州都所在地
)、から構成されている三極経済 圏についての最適ハブ立地や最適グローバル
SCMネットワークシステムを本研究の共通方 法で検証して、提案する。
第
8章は、主要貿易相手国とタイ主要港湾との関連があるタイベースのグローバル
SCMハブネットワークシステムの構築を提案する為の検証を本章で行う。まず、主要港湾とその 貿易相手国を選択する為には、タイ現行港湾の実態を分析する。次いで、タイ全国の
77県
77県都を対象にし、県別人口及び生産額、または実際距離をシミュレーションのパラメー タとして最適シミュレーションを実行することで消費ベースの最適物流拠点立地及び生産 額ベースの最適生産拠点立地
1ヶ所から
5ヶ所までの最適ハブ候補地を選定するのを行う。
最終的には物流のインフラ整備、港湾基地、距離、人口、及び拡張性などを基準判定とし、
この基準判定点から考慮することによって最適物流拠点と生産拠点立地との統合型最適ハ ブを検証して、主要貿易と貿易国に関連するタイ自体のタイ最適グローバルハブネットワ ークシステムの提案を行う。
第
9章では、結論として、提案を含んで課題と本研究の研究目的とその結論並びに今後の
課題について論じる。
5
グローバル SCM ハブネットワーク類型に関する研究と提案
本章の目的
本章はグローバルハブネットワーク構築の前提となるハブの定義と一般類型を明らかに すると共にハブ関連の輸送方法について歴史的に考察し、ハブネットワーク構築の基本理 論を整理し、ハブネットワーク実現の理論を体系化する。これは主として経済圏間あるいは 国内における移動手段である輸送システムの方法論について歴史的にその経緯を考察し、
ハブネットワークに必要な輸送方法を明らかにすることを狙ったものである。さらに、グロ ーバルハブネットワーク構築のインフラ要素として重要なモード別取扱物量を統計的に把 握し、現状を明らかにすると共にハブ類型の決定要素として利用すべく整理している。つま り、グローバル
SCMネットワークを支援するロジスティクスハブを検証し、さらには輸送 手段についてもその原型を明確にすることにある。最後に、グローバルハブネットワークモ デルの基本要件を整理し、提案し、最適ハブ選定の要件を明らかにする。またはモーダルリ ンケージ型グローバルハブネットワーク類型を提案し、ハブ類型の決定要素を提案し、 三 極経済圏間基本ハブネットワークを明らかにすると共にハブとその移動手段である基本モ ードとの関係についても明らかにする。
ハブの定義と一般類型
2.2.1
ハブの定義
ハブシステム
(Hub System)は後述する
Federal Express社
(現
FedEx社
)の
Spur & Spokeシステムが有名であるが、代表的な定義を以下に示す。
1. The Oxford English Dictionary [4]
によれば、ハブとは、
2a:
車輪の中心の個体部分、 そこからスポークが放射状に出ており、 車軸とともに回転する。
こしき。
2b:
ターゲットの中心あるあるいはボスである。
3:
車輪のハブと類似した、革命、活動、生活、関心の中心、を意味している。
2. Webster’s Third New International Dictionary [5]
によれば、ハブとは、
A:
車輪のシリンダー部分の中心。
B:
プロペラやモーターの中心部分-刃が付けられている駆動用翼。
C:
活動の主な中心:焦点
(R.H. Brow:インディアナポリスは、あらゆる方面に走る線路
のある鉄道の中心になった
)であり、中心部を指している。
3.
研究社新英和大辞典
[6]により、ハブとは、
“
(車輪の
)こしき
(nave)、
(活動、興味などの
)中心、中
(center)、
The Hub (Boston俗称
)” であり、やはり中心部を意味している。
4.
広辞苑ではハブの記載はなく、馴染みの少ない用語であることが分かる。
従って、本研究では“ ハブとは、物の流れの中心 ”であるという定義に止めることにする。
6
図
2-1統合ベースのハブ類型
図
2-2ハブの機能類型
2.2.2
ハブの一般類型
ハブを機能類型の視点で整理すると、図
2-1及び図
2-2のように示すことができる。す なわち、ハブが単なる
SCMやロジスティクスの特殊用語としてでは無く、芸術や文化の中 心としての文化ハブ、金融、証券など経済活動の中心としての経済ハブや情報や通信の中 心としての情報ハブとしても使用されている。つまり、ロジスティクスハブはハブ概念の 一つに過ぎないということである。
第一に、文化ハブの代表はエジプトのピラミッド、ギリシャのパルテノン、中国の万里の 長城に代表される古代遺跡を中心とする歴史的ハブや、パリに代表されるように文化、芸術 あるいはファッションがこれに当該する。
第二は経済ハブで、金融と証券市場に代表されるニューヨークやロンドンがこれに該当 する。いわば経済取引の中心である。
Level 4 : 統合ハブ:
Level 3 : 複合ハブ3 :
Level 1 : 単一ハブ: Level 2 : 複合ハブ2 :
Integrated Hub Three Hubs Complex
Two Hubs Complex
文化ハブ
・歴史的遺跡
・ファッション
・文化・芸術
経済ハブ
・金融
・証券市場
ロジスティクスハブ
・海運
・航空
・陸上
情報ハブ
・ネットワーク
・IT 技術
・IT 研究開発
・国内型
・国際型
・国際型
・国際型
・国際型
・複合型
・国際型
・複合型
・立地
・Ex. Memphis
・経済
・Ex. New York
・貿易
・Ex. Rotterdam, Hamburg
・金融
・Ex. N.Y., Lon., Zurich
・文化・芸術・ファッション
・Ex. Paris, N.Y., Rome
・総合・全般
・Ex. N.Y.
経済類型 ロジスティクスハブ類型
貿易ハブ類型
金融類型 文化ハブ類型
情報類型
・国際型
7
図
2-3ハブ立地移転の特徴
第三はロジスティクスハブで、特に港湾貿易面では中国の上海を初めオランダのロッテ ルダム、ドイツのハンブルク、シンガポールなどがこれに当該する。
第四は情報類型で、ニューヨークや半導体等情報技術の集積地であるサニーバレーなどを 挙げることができる。また、インドのモンバイなども新興国の中では注目されている地域で ある。
当該ハブは、相互に関連がありハブの移転という形で示すことができる。ハブ立地の移転 がそれである
(図
2-3)。
立地移転の特徴の一例としては、海外進出を引用すると、需要地の中心に生産地の中心が 誘引され、生産技術や新技術開発の移転が生じる。生産量が増加すれば、当然のことながら 物量も増加し、ロジスティクスハブの確立が要求される。販売、生産、ロジスティクスのハ ブ化が促進されると総合技術や情報のハブ化が促進され、人流の加速を促進させる。物が移 り、技術や情報が移り、人が移ると金融活動を中心とする経済の活性化が促される。経済ハ ブの誕生である。
2.2.3
ロジスティクスハブの類型
(1)
ハブ類型化の基本要素
ロジスティクスハブ類型のベースとして、まず配慮しなければならないことはハブ類型 化の基本要素の抽出である
(図
2-4)。ハブ化の基本を、統合、地域、輸送モード、対象物、
機能のいずれをベースとするかを明らかにしなければならない。本研究はグローバルハブ を中心としているので、地域ベースを主体に理論を展開している。いずれにしてもこれなど の要素を軸に、ハブの基本型を配慮して類型化する必要があるからである。以下に本研究で 展開するグローバルハブ展開の基本理論を明らかにする。
ハブの基本型は、
Hub and Spoke Systemである。中心ハブに対して地方ハブを設置し、中 需要地と生産地の中心
物流の中心
技術・情報の中心
金融の中心
経済発展地域に関する限りは ハブ機能の移転
・ 新技術開発
・ 生産技術
・ 技術交流
・ ネットワーク
・ ロジスティクス・ハブ
・ 金融オペレ-ション
人流の中心
・ 旅行者・商用者・ 国内
・ 国際
・ 国内
・ 国際
・ 国内
・ 国際
・ 国内
・ 国際
・ 国内
・ 国際
8
図
2-4ハブ類型化の基本要素
図
2-5ハブの基本型
心を軸に展開する方式である
(図
2-5)。いわゆる
FedEx方式である
[7]。
FedExシステムの 特徴は空輸主体のハブで、メンフィス
(Memphis)に空港ハブを設置し、全米から貨物を集 荷し仕訳して全米の空港に戻し、主としてバンで配送する方式を採用している。末端での集 配荷、航空機の往復輸送によって輸送効率とスピードを実現したシステムである。三大経済 圏
(東アジア経済圏、
EU経済圏、北米経済圏
)の輸送手段としては海上輸送が圧倒的な取 扱量を占めているので、当該システムはほとんどほとんど適用できないが、シベリアンラン ドブリッジ
(Siberian Land Bridge; SLB)やアメリカ向けのミニランドブリッジでは既に実稼 働しているシステムである。
(2)
ハブの階層構造類型
グローバル
SCMネットワーク構築に当たっては、ネットワークシステム自体が大陸間、
エリア及び国内というように階層構造になっている為、階層構造型ハブネットワークの構築 が必要であることは論を待たない。すなわち、グローバルハブからローカルハブに至るまで をネットワーク化し、高効率、高スピード、高品質、高安全のシステムの構築と実現である。
要素
輸送モード ベース
地域ベース 機能ベース
対象物ベース 統合ベース
統合型
Terminal Type
Trade Center Type
可視型 複合型 非可視型
単一型 国際型 国内・地域型
単一型
Hub Spoke
9
本研究では、世界を代表するハブをグローバルハブ
(またはメガハブ
)とし、大陸を代表す るハブをコンチネンタルハブ
(またはスーパーハブ
)と定義付けている。以下同様に、地帯 の中央ハブをエリア、国の中央ハブをナショナルハブ、国内地域の中央ハブをリージョナル ハブ、そして地方の中央ハブをローカルハブとして定義付けた
(図
2-6)。
階層構造型のハブシステムをさらに詳細に示したものが図
2-7である。基本的には階層 構造をより詳細に示したものであるが、ハブ毎にそれぞれのネットワークを持ち経済圏に 対応したハブの存在を明らかにしている。
ハブ関連輸送方法論の考察
2.3.1
ハブ輸送の基本
ハブをベースとする輸送の基本は、海上輸送、航空輸送、鉄道輸送、トラック輸送及び河川 輸送に大別できる
(図
2-8)。それぞれの輸送モードがその必要性に応じて、中央ハブとして
図
2-6ハブの階層構造類型
図
2-7階層構造型ハブネットワーク
Level Ⅵ
Level Ⅴ
Level Ⅳ
Level Ⅲ
Level Ⅱ
・3大陸の中央ハブ(メガハブ)
・大陸の中央ハブ(スーパーハブ)
・国の中央ハブ
・地域の中央ハブ
・地帯の中央ハブ グローバルハブ
コンチネンタルハブ
エリアハブ
ナショナルハブ
ローカルハブ
Level Ⅰ ・地方の中央ハブ
リージョナルハブ
メガハブ メガハブ
グローバルハブ
スーパー ハブ
スーパー
ハブ スーパー
ハブ
スーパー ハブ コンチネンタルハブ
エリアハブ
ナショナルハブ
リージョナルハブ
ローカルハブ
世界経済圏
三大経済圏 広域経済圏
地帯経済圏
国家経済圏
国内地域経済圏
地方経済圏
ハブ名 経済圏
10
図
2-8ハブ輸送の基本型
機能したり、地方ハブとして機能したりすることになる。しかしながら、一般論としては、
グローバルハブは海上輸送が主で、航空輸送がこれに次いでいる。しかしながら、
1993年
9月に開通した中国とヨーロッパを結ぶ
CLB (China Land Bridge)は鉄道幅あるいはこれに基 づく積み替え作業などの問題もあり、加えて
1990年代後半における港湾設備の整備拡張等 合理化が進み、結果として飛躍発展はできなかったが、
2008年以降に中国国内鉄道のイン フラ整備が飛躍的に進み、
2011年頃からヨーロッパに直接鉄道で輸送する体制が整いつつ
ある
[8] [9]。従って、中国に関係のある東アジア地域のヨーロッパ輸出入の戦略は早晩転換期
を迎えるものと思われる。しかしながら、現時点ではトラック輸送を含めて鉄道輸送は大陸 内または国内輸送が主であるグローバルハブというよりエリアハブや国内ハブとして機能 している。
河川ハブは、国内輸送モードとしての河川と流域地域の河川とがあるが前者は、アマゾン 川、ミシシッピー川、長江、ナイル川などがこれに属し、後者にはタイのチャオパヤ川など の流域地域のモードとして機能している。
2.3.2
ランドブリッジ
(Land Bridge)方式
大陸間輸送またはグロ-バル
SCM輸送の主軸は、物資流通の物量から見て海上輸送が主 力であり、このような意味からするとグローバル
SCM輸送手段の主役はランドブリッジ
(Land Bridge; LB)
方式である
[10]。
LB方式の本来の意味は、大陸を橋代わりにして海上輸
送と海上輸送を直結する理論で開発されたものであり、日本とヨーロッパを直結するアメ リカンランドブリッジ
(American Land Bridge; ALB)方式がその代表例である。具体的には、
日本・マラッカ海峡・喜望峰周り路線から、日本・マラッカ海峡・インド洋・スエズ運河・
ヨーロッパ経由での海上輸送を日本・アメリカ大陸・ヨーロッパというように大陸で海上と 海上とを直接接続するルートを開発し、輸送期間の短縮というリードタイムの短縮とコス ト削減を実現した
(図
2-9)。グローバル
SCM輸送ネットワークを開発する場合には輸送上
Spoke
①
Sea (海上輸送
)②Rail (鉄道輸送)
③
Road (トラック輸送
)⑤
Water (河川輸送
)④
Air (航空輸送
) Central HubSpoke
Spoke Spoke
Spoke
Local Hub
Local Hub Local Hub
Local Hub Local Hub
11
のボトルネックをいかに克服するかが常に課題となるが、スエズ経由やパナマ経由は当に ボトルネック解消の大きな事例である。日本からアメリカにシッピングする場合には、ミニ ランドブリッジが有効で海上または航空と鉄道またはトラックの結合であるモーダルリン
ケージ
(Modal linkage)が有効に機能している。東アジア、特に中国、韓国、日本島中国周
辺国では
CLBに注目すべきである。
一方、日本とロシアやロシア経由ヨーロッパをリンクする輸送手段としては、
SLB方式
(
図
2-10)を挙げることができる。季節的な問題はあるが、これも大きな輸送ルートとして
考えることができる。近い将来は北極海経由の海上ルートの開発が考えられており、環境問 題の克服を前提に大きな輸送ルートの開発につながるものと考えられる。
SLBに対する穂
北極海
(North Pole Sea)ルートの幕開けである。また、
1993年より開始された
CLBは、中
国とヨーロッパとの間を鉄道で直結する方式として今後の発展が期待されている
(図
2-11)。
図
2-9 American Land Bridge (ALB)方式
図
2-10 Siberian Land Bridge (SLB)方式
図
2-11 China Land Bridge (CLB)方式
①アメリカンランドブリッジ: Sea-Rail -Sea
Sea Rail Sea Rail
日本 アメリカ ヨーロッパ
日本
②ミニランドブリッジ: Sea/Air-Rail またはRoad
Sea Rail
アメリカ Air Road
シベリア 日本
ヨーロッパ
Air Rail/Road
Air
中国 日本
ヨーロッパ
Rail
12
2.3.3
モーダルリンケージとモーダルシフト
(Modal linkage and Modal Shift) (1)定義と対象範囲
一般に、モーダルリンケージとは、異なった輸送機関の連結を図ることであり、モーダル シフトとは輸送機関の転換を図ることであるとして定義付けられている。ここで、モーダル
とは
Rail, Road, Sea, Water, Airなど輸送機関の種類を表す用語である
[11]。
モーダルリンケージの対象の基本は国内と国際またはグローバルの
2種類であり、一般 に国内型、国際型及び複合型の
3種類の型式が存在している。
(2)
種類
モーダルリンケージの種類としては、
Rail-Sea型、
Sea-Road型、
Water-Road型並びに
Rail- Road型の
4型が存在している。すなわち、
Rail-Sea型では
Roll-On Roll-Off型と呼ばれる方 式で具体的には、ハンブルグ港にて使用されている
RORO船や輸送方法では
SPR (SouthernPacific Railways)
の
Double Deck Styleと呼ばれる二段積みコンテナ用貨車などがある。船で
荷卸、鉄道貨物に転載や船積みなどのような一貫システムに利用されている。
一方、広く一般に利用されている一貫輸送方法としては、
Sea-Road型で代表例は連絡船 型で、例えば、カーフェリーなどを挙げることができる。
Water-Road型では
Barge Ship、例 えば、バージ船などがあり、河川のカーフェリーの代表である。一方、
Rail-Road型の代表
は
Piggy Back (日本
JRなど
)や
Settle方式
(オーストリア国鉄
)で、前者はアメリカなどで
利用されていたが、日本ではインフラ整備に投資が必要である為、断念された状態である。
且つては、東ヨーロッパとスペインを結ぶ動脈であったブレンナールートを経由して東ヨ ーロッパ諸国の排ガス基準を満たさない車両を規制し、オーストリアを
NOxや
CO2から守 る為の手段として開発されたが、廃止されたシステムである。
ハブ関連輸送方法論の考察:輸送システムの基本類型
2.4.1ハブシステム
(Hub System)ハブシステムは
FedExシステムやインディアナポリスの鉄道ハブなどがその代表例であ
る。
1971年設立の
FedExシステムの特徴は国内型航空ハブの代表的なシステムで以下に述
べる
(図
2-12) [12]。
① 全米各地で集荷したバン車が各地域の空港ターミナルに戻る。
② 地域の空港内にあるセンターから荷物を飛行機でハブであるメンフィスに運ぶ。
③ メンフィスでは全米からは運ばれた荷物を検品、仕訳、及び分類して方面別の飛行機に 積み込む。
④ メンフィスから送り返された全米の地方ハブは、荷物の検品・分類・仕訳・ヴァンニン グをして配荷し、集荷するシステムである。
時間工程としては夕方から夜までに集荷、真夜中までにハブに空輸、ハブでは分類や仕訳
作業を行い方面別に空輸し、地方センターは午前
5時頃までにヴァンニング作業を完了、配
荷体制完了、配荷開始という順番で作業時間が流れる。従って、早朝
6時頃にセンターを訪
13
図
2-12ハブシステム
(Hub System)問しても作業は見ることができないことになる。このシステムはスピード、正確性、安全性 がセールスポイントでシステム的にはトレーサビリティシステム
(Traceability System)の 強力なバックアップの存在が異彩を放っている。例えば、ロサンゼルスとサンフランシスコ と間の運賃は
UPSの郵便貨物料より送料は高いが、貨物のトレースや着時間の正確性で競 走優位を維持できたものと言われている。
FedEx社のハブシステムは航空とトラックのリン ケージであり、トラック主体の日本の宅配便とは基本的な思想は異なっている。
2.4.2
マルグェリト・システム
(Marguerite (or Margaret) System)フランスのコンセプトであるこの概念は、集配荷同時システム、基幹センター間の往復 輸送さらには両社の一貫輸送による車両運用効率と積載効率の向上とにより、低コスト高 パフォーマンスのシステムを実現した。日本の宅配便はまさにこのシステムの日本バ
―シ ョンであるものと言える。
マルガリータとはマーガレットのことであり、花弁は集配荷先を表し、花芯はセンターを 意味している
(図
2-13)。末端では集配荷同時に行い、幹線輸送は往復輸送を実現し、末端 から末端までの効率的な一貫輸送を実現している。 フランスは短絡的に
5角形で表現でき、
それぞれのエリアが半径
150 kmで、およそ国の端から端まではどこを切っても約
900 kmで表すことができる。従って、各円に
1ヶ所の基幹センターを設置すれば直径
900 kmのエ リアをカバーするセンターが最大
9ヶ所あれば、フランス全体のマーガレットシステムは可 能となる。尚、アメリカの統合
(Consolidation)は東部、中部、西部の積荷を一括して積載し、
幹線往復輸送を実施することによって積載効率と車両運用効率の向上を狙ったものである が、マルガリータシステムは末端輸送までを含む効率化を目的としたものである。いずれに しても、国内ハブを中心としてシステムを展開する場合には非常に有効な概念であることは 間違いのないことである。
FedEx
の航空ハブシステムのように地形を前提として広範囲の地域をカバーする場合に
スポーク
スパー(拍車) Spur & Spoke
New York
・Spoke & Spur (or Hub & Spoke)
・ 旧Federal Express 社1971 年創業 現FedEx 社
・ 航空による集中分散方式
メンフィス
(Memphis) Los AngelesLocal to Local :
San FranciscoからLos Angelesへの 直送便などでハブ輸送を回避する。
(注) 特徴
14
図
2-13マルグェリトシステム
(Marguerite/Margaret System)は有効であるが、一般的にはマルガリータシステムの利用が多いものと言える。
2.4.3
一貫パレチゼーション
(スウェーデン方式
)一貫パレチゼーションとは、工場で製品をパレットに積載し、問屋等種々の流通経路を流 し、最終的に店頭展示されるまでパレットの状態でハンドルするシステムをいう
(図
2-14)。 このシステムはスウェーデン
(Sweden)で誕生した為に、スウェーデン方式とも呼ばれてい る。また、スカンディナビア
(Scandinavia)で流行した為にスカンディナビアン方式とも呼 ばれている。
GMS (大型量販店
)などで商品をパレットに載せたまま販売したり、ボックス ストアーのようにパレットの段ボールを乗せ、段ボールの中の商品を直接消費者に取らせ る方式の販売形態の小売業も存在している。
国内
SCMネットワーク展開の一つのシステムとして配慮すべきであり、特に一貫システ ムのコンセプトはあらゆる角度から検討すべき事項である。
図
2-14一貫パレチゼーション
r = 150 km (150 x 2) x 3 = 900 km 集配荷同時
フランス
幹線往復輸送
集配荷同時
工場 問屋 小売
工場 小売
パレット
パレット
パレット パレット
パレット
一貫パレチゼ―ション
15
グローバルハブネットワークモデルの基本要素
2.5.1
貨物取扱実績の現状と分析
本項では貨物取扱量がグローバル総合ハブを選定する際の条件となることを言及する。
具体的にはグローバル
SCMハブの条件は取扱物量が最大であることを軸に、港湾を主に空 港並びに鉄道のネットワークの有無を勘案して決定するからである。鉄道については、トラ ック輸送と共に国内ハブ主軸として検討する。
(1)
港湾貨物取扱実績
世界港湾ランキング
(AAPA)により、
2013年における世界港湾貨物取扱上位
30港は表
2-1の通りである
[13]。すなわち、上位
10港のうち中国が
6港を占めている。他の
4港はシンガ ポール、ロッテルダム
(オランダ
)、へドランド港
(オーストラリア
)、及び釜山
(韓国
)であ る。アジアは世界のトップ
10のうち
9港を占めていることになる。また、その下位からベス
ト
20港
(11位~
20位
)では中国
4港を占め、南ルイジアナ港
(アメリカ
)、名古屋
(日本
)、
ヒューストン
(アメリカ
)、ケラン港
(マレーシア
)、アントワープ
(ベルギー
)、及びダンピア ー
(オーストラリア
)で
EU 1港、北米
2港がアジア以外の港湾
(7港
)である。要するに、地 域別にみると、アジア
14港、
EU 2港、北米
2港、オーストラリア
2港となっている。
加えて、
2013年における世界港湾コンテナ輸送取り扱い上位
30港は表
2-2の通りである
[13]
。すなわち、上位
10港のうち中国が
7港を占めている。他の
3港はシンガポール、釜山、
及びドバイある。これにより、アジアは世界のトップ
10港のうち
9港を占めていることが 分かった。さらに、トップ
11位から
20位までは中国が
2港を占め、ロッテルダム
(オラン ダ
)、ケラン港
(マレーシア
)、高雄
(台湾
)、ハンブルグ
(ドイツ
)、アントワープ
(ベルギー
)、 ロサンゼルス
(アメリカ
)、
Tanjung Pelepas、及びロングビーチ港
(アメリカ
)で
EU 3港、北 米
2港がアジア以外の港湾
(5港
)となっている。つまり、上位
20港まで地域別でみると、
アジア
14港、
EU 3港、北米
2港、中近東
1港となっている。
表
2-1世界港湾貨物取扱量トップ
30港
(2013)Unit of Kiloton Rank Port/State Country Cargo RankTotal Port/State Country CargoTotal
1 Shanghai China 696,985 16 Shenzhen China 201,546
2 Singapore Singapore 560,888 17 Port Kelang Malaysia 198,928
3 Tianjin China 477,339 18 Antwerp Belgium 190,849
4 Guangzhou China 472,760 19 Dampier Australia 177,528
5 Qingdao China 450,111 20 Xiamen China 171,885
6 Rotterdam Netherlands 440,464 21 Ulsan South Korea 167,884
7 Ningbo China 399,250 22 Dubai Ports UAE 163,681
8 Port Hedland Australia 372,301 23 Newcastle Australia 159,578
9 Dalian China 320,843 24 Chiba Japan 153,961
10 Busan South Korea 313,295 25 Hamburg Germany 139,050
11 Hong Kong China 276,055 26 Itaqui Brazil 135,421
12 Qinhuangdao China 253,293 27 Metro Vancouver Canada 135,010
13 South Louisiana /LA United States 216,445 28 Tubarao Brazil 131,183
14 Nagoya Japan 208,241 29 Kwangyang South Korea 127,642
15 Houston /TX United States 207,973 30 Tanjung Pelepas Malaysia 120,047
出典:American Association of Port Authorities, “2013 World Port Ranking”, http://www.aapa-ports.org
16
表
2-2世界港湾コンテナ取扱量トップ
30港
(2013)(2)
航空貨物取扱実績
世界航空輸送貨物量ランキング
(ACI)により、
2013年における航空別取扱貨物量トップ
30位のうちベスト
10位では、アメリカが
3空港を占め、次いで中国が
2空港となっている
(
表
2-3) [14]。地域別では、東アジアが
4空港、北米
3空港、
EU 2空港、中近東
1空港とな
っている。さらに、上位
20空港まではアジアが
9空港で第一を占め、次いで北米
6空港、
EU 4
空港、中近東
1空港という数値をそれぞれ示している。
表
2-3航空取扱貨物トップ
30空港
(2013)
TEUs = Twenty-Foot Equivalent Units
*: Include transit freights
Rank Port/State Country Container
Traffic (TEUs) Rank Port/State Country Container Traffic (TEUs)
1 Shanghai China 33,617,000 16 Antwerp Belgium 8,578,269
2 Singapore Singapore 32,578,700 17 Xiamen China 8,007,900
3 Shenzhen China 23,278,000 18 Los Angeles United States 7,868,572
4 Hong Kong China 22,352,000 19 Tanjung Pelepas Malasyia 7,416,518
5 Busan South Korea 17,611,882 20 Long Beach United States 6,730,573
6 Ningbo China 17,326,800 21 Laem Chabang Thailand 6,041,476
7 Qingdao China 15,520,000 22 Bremerhaven/Bremen Germany 5,830,711
8 Guangzhou China 15,309,200 23 Lianyungang China 5,488,000
9 Dubai Ports UAE 13,600,000 24 New York / NY United States 5,467,345
10 Tianjin China 12,996,510 25 Tanjung Priok Indonesia 5,466,048
11 Rotterdam Netherlands 11,664,195 26 Yingkou China 5,301,000
12 Port Kelang Malasyia 10,350,410 27 Saigon Port Co. LTD Viet Nam 5,112,319
13 Kaohsiung Taiwan 9,978,857 28 Tokyo Japan 4,885,271
14 Dalian China 9,912,000 29 Jeddah Saudi Arabia 4,561,364
15 Hamburg Germany 9,257,358 30 Valencia Spain 4,327,838
出典:American Association of Port Authorities, “2013 World Port Ranking”, http://www.aapa-ports.org
Freight and mail in matric tonne (ton) Rank City/State Country Code Total Cargo Rank City/State Country Code Total Cargo 1 Hong Kong China HKG 4,166,303 16 Amsterdam Netherlands AMS 1,565,961 2 Memphis/TN USA MEM 4,137,801 17 London England (UK) LHR 1,515,056
3 Shanghai China PVG 2,928,527 18 Guangzhou China CAN 1,309,746
4 Incheon South Korea ICN 2,464,384 19 New York/NY USA JFK 1,295,473
5 Dubai, UAE DXB 2,435,567 20 Bangkok Thailand BKK 1,236,223
6 Anchorage/AK USA ANC* 2,421,145 21 Chicago/IL USA ORD 1,228,791
7 Louisville/KY USA SDF 2,216,079 22 Indianapolis/IN USA IND 991,307
8 Frankfurt Germany FRA 2,094,453 23 Tokyo Japan HND 954,446
9 Paris France CDG 2,069,200 24 Shenzhen China SZX 913,472
10 Tokyo Japan NRT 2,019,844 25 Doha Qatar DOH 883,264
11 Miame USA MIA 1,945,012 26 Leipzig Germany LEJ 878,024
12 Singapore Singapore SIN 1,885,978 27 Cologne Germany CGN 717,146 13 Beijing China PEK 1,843,681 28 Kuala Lumpur Maleysia KUL 713,254
14 Los Angeles/CA USA LAX 1,747,284 29 Abu Dhabi UAE AUH 712,488
15 Taipei Taiwan TPE 1,571,814 30 Osaka Japan KIX 682,338
出典:Airport Council International, “ACI Releases 2013 World Airport Traffic Report”, http://www.aci.aero