3.5 各国のICカードプロジェクトの状況
3.5.4 ドイツの状況
現在展開されている中で最も大きなシステムとして、ドイツの GeldKarte (ゲルトカル テ)を挙げることができる。このシステムは、ドイツの全金融機関(金融業界連合会−ZK A)が一体となり,この GeldKarte を作り上げ、1996年3月26日から試行を開始し、
97年から本格展開をしている。スキームは総てZKAで取りまとめられ、カードや各種 端末等の仕様もここで検討され、誰でもがこの市場に参入することができるようになって いる。但し、ここに機材を提供するメーカは、認可を与えられた公認メーカである必要が ある。この認可プロセスに関する考え方が、現在の日本には存在しない。
GeldKarte のシステム概要は、図1−12に示す通りである。この図からも分かるよう に、オンラインとオフラインとを組み合わせ、運用コストの低減化を図っていることが理
解できると思う。これもカードとして、ICカードを採用することにより、安全性を維持 しつつ実現することが出来たわけである。
この安全性を確保しているICカードに記録されている情報・種類は、次の通りである。
1) カード情報: アプリケーション
• 電子マネー(口座連動)
• 電子マネー(口座なし)
いずれもリロード可能(ロード上限額 400 マルク)
• 付加的応用情報
2) カード種類: 個人カード 商店カード
また、消費者には残高表示器があり、いつでもカード内の残高と直近取引(15 件)
と ロード記録(3 件)を見ることが出来る。
ここで、デュッセルドルフでの利用状況として、パン屋で利用した場合を例にとり、
その操作の流れを紹介する。
• パン・コーヒー等商品を選択
• GeldKarte で支払うことを告げる
• 店員は GeldKarte 専用端末に合計金額を打込む(5〜10 秒)
• 客が専用端末にカード挿入
• 0.5 秒程度で残額表示、2〜3 秒後に買い物金額が表示
• 確認し端末の「OK」ボタンを押下
• 1〜2 秒後に完了表示
• カードを抜き取る
これが一連の操作である。店員はまだ馴れてはいないが、面倒がらずに操作してい る。印象として、レジとは連動されていないが、パン屋の場合現金を扱う手で商品を
銀 行
(小売店口座)
ロードセンター
(シャドウ口座設定)
証拠センター
(シャドウ口座管理)
銀 行
(消費者口座)
ネットワーク
ロード端末
小売店カード GeldKarte
個人カード GeldKarte 小売店端末
オフライン
オフライン
オンライン
<ロード端末>
設置台数(97年末): 19,882 台 平均チャージ金額: 134.12 ドイツマルク チャージ総額: 209M ドイツマルク
<小売店端末>
設置台数(97年末): 50,453 台 平均利用額: 20.78 ドイツマルク
図3−6GeldKarteシステムの概要
持つことより衛生的であり、消費者にとっては小銭の煩わしさが無く、受け入れやす い状況である。
GeldKarte のメリットは次の通りである。
(1) カード保有者からのメリット
• 現金持ち歩き不要
• IDカード不要
• どの銀行でも使用可能
• 口座無しでも利用可能
• PIN番号不要
• 偽金の心配なし
• 釣り銭の心配なし
• 取引記録で確認可能 (2) 小売店のメリット
• オンライン/オフライン適切に端末選択可能
• 合理化が可能
• 現金取り扱いの減少
• カードベースが拡大(電子小切手共用)
• 安全性確保
• 決済が翌営業日 (3) 銀行のメリット
• 現金ハンドリング負担の減少
• 市場シェアの保全
• 付加的応用分野拡大
• 金利フロート上のメリット
• 手数料収入
現金領域
GeldKarte (口座連動) 60K White Card
(口座非連動) 369K
EuroCheck Card 38M Cash Card 20M
デビット領域
EuroCheck Card 8M Cash Card 4M
クレジット領域
利用資格 要 利用資格不要
少額 利用金額
高額
ゲルトカルテ領域
貯蓄銀行中心に発行<戦略商品>
GeldKarte 併用カード GeldKarte 単独カード
総発行枚数:約 2,200 万枚(97 年時点)
図3−7 GeldKarteの位置づけと発行枚数
GeldKarte の利用状況は、図1−13に示す通りカードの発行量は 5,000 万枚近くまで 配布が完了している。この GeldKarte は、各地貯蓄銀行の戦略商品のひとつとして取組ま れている。
ドイツは、日本と同様現金中心社会であるが、現在までの GeldKarte システムの安全性・
信頼性をベースに、社会インフラとして浸透していく気配が伺える。
3.5.5 オーストリアの状況