3.6 各国の通信業界の状況
3.6.3 イタリアの状況
98年10月23日、テレコム・イタリアのマリオ・ロシニョロ会長がアニェリ一族や 伊経済省をはじめとする主要株主の要請により辞任した。ロシニョロ氏は、10ヵ月前に グイド・ロッシ前会長に次いで家電会社ザヌシ(エレクトロラックス傘下)の社長を退任 して会長職に就任した。しかし、同会長は国際提携問題、業績の情報漏洩、ディ・ヴィニ ャーノ元社長、ガンベラーレ元社長の更迭等で「通信事業界のジョン・ウェイン」と揶揄 されるほど強権を振るい、株主等からの批判が高まっていた。
取締役会は、23日にベラルディーノ・リボナティ氏を臨時会長に指名したが、経営権 は経営委員会にあり、経営陣の決定は同委員会の承認を受けてから実行される。ただし、
これは会長と同程度の権限を持つ新社長が任命されるまでと見られている。
テレコム・イタリアには、こうした経営陣の問題のほか、国際提携の問題が残されてい る。AT&T、ユニソ−スとの提携に失敗し、現在は英ケーブル&ワイヤレスとの提携の
具体化が課題となっている。またディジタル放送部門でも、伊公共放送RAI、英BSk yBとの交渉が継続されている。インフォストラーダ(オリベッティと独マンネスマンの 電話部門子会社)等との競争も激しさを増していく状況にあり、前途多難である。
3.6.3.2 マンネスマン
98年10月21日、独マンネスマンは伊オリベッティと共同でマンネスマン・ユーロ・
マップ社(MEM)を設立することを発表した。マンネスマンは通信事業者として欧州最 大手になることを目標に掲げており、MEMは欧州市場を対象にした通信事業者として設 立された。新会社は、欧州大陸で「継目のない接続」を提供し、また新たな出資者も募る。
最初の一歩としては、マンネスマン傘下のアルコール社のドイツ国内電話網と相互接続契 約を結んだ。ただし、MEMの実質的な活動は来年初頭から開始され、まずオーストリア とイタリアに進出する予定である。
またマンネスマンは、同社が 55%の資本を保有するアルコールから、各々15%の資本を 保有している米AT&Tとユニソースが撤退すると発表した。AT&Tはブリティッシ ュ・テレコム(BT)との関係を強化しており、BTは独フィアックと提携していること から、マンネスマンとは対立する関係にあり、アルコールからの撤退も時間の問題と見ら れていた。
4 海外のEC推進団体の活動調査
ECのあらゆる分野において、ビジネスが驚異的な速度で、しかも世界規模で発展して いる。しかし、このグローバルな経済関係の新たな媒体に対しては、依然として非常に未 熟である、という見方が一般的である。さらに、ECには、新たな予測しがたい特質が数 多く存在することから、多くの国の政府やビジネス関係者らは、国際電子商取引、特にイ ンターネットを通じた商取引の普及の潜在的な影響や障壁について、さまざまな問題を提 起し始めている。
この分野に芽ばえ始めたもっとも重要な動向は、経済活動のグローバリゼーションであ る。世界貿易の自由化をめざす国際交渉や協定締結が盛んになると同時に、高度な技術に よって、大企業も消費者個人も同様に、ほぼ無限の国際取引のオプションを享受できるこ とになった。サービスや情報、決済が、国境や距離に妨げられることなく、即座にやりと りできるならば、自由貿易の究極のモデルとなるだろう。
しかしながら、国境や政府が、常にそれほど簡単に道を開くとは限らない。ECをどの ように推進し、または制限し、開放し、統制し、あるいは評価すべきか、またその是非に ついては、国家の数と同じだけ異なる見解が存在する。そして、ECとインターネットが 生む多くの新たな問題に適用される法的、技術的、その他の基準に関するどの見解や政策 案には潜在的な対立や混乱の可能性があり、ECの発展や経済的利益への妨害ともなりか ねない。したがって、ECの長期予測が、世界規模での業界の慣行と政府の政策のハーモ ナイゼーションに左右されることは、早期に明らかになっていた。
そこで、この2、3年の間に、国際機関や各国政府、民間企業で、政策発表や、会議、
レポート作成、討論集会などが急速に盛んになり、グローバルなECの急激な普及がもた らす多くの課題が取り上げられた。
日本のECを推進する立場から、世界規模で提起されているECの問題を検討する上で、
こうしたイニシアティブをある程度知り、この問題のグローバルな審議状況への理解を深 めることは有益であろう。ECがもたらす重要な政策問題に関連する多くの特定の措置、
政策、提案は、この報告書の他の部分でも取り上げ、説明されている。以下の要約は、進 行中の主要なイニシアティブの一部を手短にまとめたものである。