第 3 章 CDM/JI に関する各国の動向の調査・分析
4. タイ
図16:タイの温室効果ガス排出量の概要:
排出源別、温室効果ガス別
(2000年、千トンCO2e)
(出所)MONRE(2011)12
タイの2000年の温室効果ガス排出量の概要を図 16エラー! 参照元が見つかりません。
に示す。工業化の進展に伴い、2000年には二酸化炭素ガスの排出は温室効果ガスの過半を 占めるに至っている。セクター別においては、エネルギー起源が最も多く、全体の 7 割程 度を占めている13。
(2). CDM承認体制
タイは1994 年12 月に国連気候変動枠組条約を批准し、2000 年11 月にUNFCCC に 対してInitial National Communication を非附属書I 国として提出している。この中で、
1994 年のGHG 排出インベントリーを報告している。
国家としての温暖化対策担当機関は天然資源環境省(Ministry of Natural Resources and
Environment、MNRE)であり、その内部組織である天然資源環境政策企画室(Office of
Natural Resources and Environmental Policy and Planning、ONEP)、および気候変動調 整室(Office of Climate Change Coordination、OCCC)が担当部署である。CDMの国家 指定機関(Designated National Authority、DNA)としては、2003年7月にMNREが指 定されたが、さらに新たなDNAとして2007年7月、タイ温室効果ガス管理機構(Thailand Greenhouse Gas Management Organization、TGO)が設置され、国内の温室効果ガスの 削減活動の実施機関とされている。図 17にTGOの組織図を示す。
12 MONRE (2011) Thailand Second National Communication under the UNFCCC.
13 2000年以降のGHG排出量の動向に関するデータは発表されていないが、CO2については2011年のエ ネルギー起源の排出量として約2億4300万tCO2eがIEAから報告されている。
図17:TGOの組織図
(出所)TGOホームページ
TGO では、①CDM プロジェクト承認のための審査およびモニタリング、②温室効果ガ ス(GHG)排出削減のための投資やマーケティングの推進、③GHG 情報センターの設立、
④CDM プロジェクト・CERs の承認に関する情報管理、⑤低炭素活動推進のためのGHG 緩和対策およびCDMプロジェクト関係者に対する能力開発、⑥気候変動緩和のためのすべ ての活動の推進とサポートを行っている。TGO 理事会は、CDM 案件承認の最終決定プロ セスを担い、持続可能な開発基準を満たしているCDM案件について承認レターの発行を行 う。TGO理事会は内閣により任命される。理事会は、政府と民間専門家それぞれ5名で構 成されている。具体的なメンバー構成は、以下に示す。
1. 政府(5名)
• 天然資源環境省(常任大臣)
• 天然資源環境政策計画事務局
• 代替エネルギー開発/省エネルギー省
• 交通運搬政策局
• TGO
2. 民間専門家(5名)
• エネルギー分野専門家
• ビジネス管理分野専門家
• 森林分野専門家
• 産業分野専門家
• 技術分野専門家
TGO理事会
内部監査 事務局長
TGO理事会顧問
事務局次長 事務局次長
カーボンビジネス
戦略事務所 事務所 承認と監視事務所 GHG情報センター
キャパシティビルディ ングアウトリーチ
管理事務所
タイにおけるCDMの承認のプロセスは以下の通りである。
1. プロジェクト実施者は以下の文書をTGOに提出する。
• プロジェクト設計書(Project Design Document、PDD)
• 承認済み環境影響評価(EIA)または初期環境評価報告書(IEE)
• 記入済みプロジェクト状況質問票(フォーム1‐2550)
• 記入済み持続可能な開発基準評価フォーム(フォーム2‐2550)
2. 全ての文書が提出されたら、TGOはそれらを関連省に配布する。この段階で、関連 省はプロジェクトの適格性の評価を求められる。
3. 集められたコメントに基づき、TGOは承認レターを発行すべきかどうか評価する。
4. TGOは各プロジェクトに対する最終決定をプロジェクト実施者に報告する。プロジ ェクトがタイの持続可能な開発を促進し、全ての必要条件を満たすと証明された場 合は承認レターが天然資源環境省の常任大臣によって発行されることとなる。
5. 承認レターの発行に当たり、DNAは気候変動国家委員会に通知する。
図18:CDM承認の流れ
(出所)TGOホームページ
タイ温室効果ガス管理機構
(TGO)委員会
CDMプロジェクト 審査小委員会
タイ温室効果ガス管理機構
(TGO)
プロジェクト実施者は初期 環境評価(IEE)または承認
済み環境影響評価(EIA)
報告書、持続可能な開発 基準評価報告書、PDDを
TGOに提出する 関連機関からの
コメント
1 8 0 日以内 2 0 日
DNAによる 承認レターの発行
CDMプロジェクトの承認基準としては、以下の「持続可能な開発基準」を設けている。
表15:持続可能な開発基準
(出所)TGOホームページ
CDMプロジェクトの承認手数料として、排出削減量が年間 15,000CO2 トン未満のプロ
ジェクトについては、承認手数料は1件につき75,000タイバーツである。排出削減量が年
間15,000CO2トン以上のプロジェクトについては、承認手数料は1CO2トンにつき10タ
イバーツである(ただし1件につき900,000タイバーツが上限)14。
(3). CDM登録・有効化審査状況
タイは省エネルギーに熱心な国であるが、CDM はあまり進んでいない。2013 年 12 月 31日現在、200件が国連CDM理事会に登録されている。バイオガスの利用の案件が最も 多く、それに次ぎ、バイオマスによるエネルギー生産関連のプロジェクトである。2013年 12月31 日までに、有効化審査についたプロジェクトの累計は390件となっているが、こ こでも大半は、メタン回収プロジェクトとなっている。
14 IGES (2012) CDM Handbook 2012年7月版 指標
京都議定書におけるGHGの削減 大気汚染
騒音 悪臭 排水処理 廃棄物管理 土壌汚染 地下水汚染 有害廃棄物
水需要と水利用効率
土壌および沿岸・川岸の侵食 緑地
その他顕著な影響が及ぶ指標 国民の参加
社会、文化、地域経済活動の促進 労働者や地域住民の公衆衛生 技術開発
プロジェクト終了またはクレジット期間終了後の実施計画 キャパシティビルディング活動
雇用
ステークホルダーの収入 代替エネルギーの利用 省エネルギー
現地調達率 社会
開発及び/または 技術移転
経済 基準
天然資 源・環境
環境
天然資源
図19:登録プロジェクト
(注)数字の上段はプロジェクト数、下段は割合
(出所)日本エネルギー経済研究所
図20:有効化審査プロジェクト
(注)数字はプロジェクト数及び割合
(出所)日本エネルギー経済研究所
1: エネルギー 産業
116 58.0%
4: 製造業 1.5%3 5: 化学工業
0.5%1 10: 燃料から
の漏出 1 0.5%
13: 廃棄物処 理・処分
74 37.0%
15: 農業 2.5%5
1: エネルギー 産業, 211, 54%
4: 製造業, 19, 4.9%
5: 化学工業, 1, 0.3%
10: 燃料からの 漏出, 1, 0.3%
13: 廃棄物処 理・処分, 145,
37%
15: 農業, 13, 3.3%