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ソフトシリコーン型 NAM マイクロフォン

ドキュメント内 博士論文表紙 (ページ 64-67)

第 3 章  ソフトシリコーン伝導型 NAM マイクロフォン

3.5   ソフトシリコーン型 NAM マイクロフォン

 もともとコンデンサマイクロフォンや圧電素子などのセンサーを手術で人 体の軟部組織内に直接埋め込んだり,OECMの振動電極を直接皮膚に密着さ せたりすることが可能ならば(実際には感電する),肉伝導音センサーである NAMマイクロフォンの効率としてはそれがベストかも知れない.

しかし人間の肉と同じ音響インピーダンスを持つような軟らかいゲル状の シリコーンを「擬似肉」として皮膚に密着させ,皮膚に人工的な肉のコブを 作って,その中にOECMを埋め込んだり,OECMの振動電極をその擬似肉 に直接接触させたりすれば,上述のような状態と音響インピーダンス的には 同等の効果を作り出すことができるのではないかと考えた.そこで前の図3.5 で,体内構造を観察するのにまったく影響のなかったソフトシリコーンを音 媒体に用いて,NAM マイクロフォンを試作した.いろいろなタイプのもの を数多く作成してみたが,結局の所,その構造や特性を分類すると,大きく 三つのタイプに分類できる.

‹ 第一のタイプは,図 3.6 のように聴診器型の空気部分に相当する円錐型 の微小密閉空間の空気を,そのままソフトシリコーンに置き換えた形で ある.OECMの振動電極はまったく空気を介することなしに,ソフトシ リコーンだけを媒体としてその全面に肉伝導音を拾うことになる.図3.6 の中間色で塗りつぶした部分が音響インピーダンス的には似通った物質 ということになり,空気と媒体こそ違え,やや隠喩的表現となるが,音 にとっては一種の洞窟と同じ肉伝導の反響空間となる.また視点を変え れば,直接皮膚に接触させたかったOECMの振動電極を,感電させるこ となく,言わば「擬似肉のコブ表面」に直接接触させた形となっている.

しかも聴診器型の構造を踏襲することによりパスカルの原理による感度 上昇も期待できる.

図3.6  Open Condenser Mediated with Soft Silicone Type (OCMSS型) ソフトシリコーン伝導型NAMマイクロフォン

‹ 第二のタイプは図3.7のようにソフトシリコーンでOECMを完全に包埋 してしまったタイプのものである.OECMは電極面だけでなく側面や背 面からの振動もかなり多く拾うからであり,またこの構造はマイク裏面 や側背部から外部ノイズの浸透する領域と,皮膚表面から伝わる振動音 の伝達する領域とを音響的に隔離しやすい.またちょうど「擬似肉のコ ブ」内部にOECMを直接埋め込んだことになり,皮膚に直接埋め込むの と音響的に同様の効果が期待できる.

図3.7  Open Condenser Wrapped with Soft Silicone Type (OCWSS型) ソフトシリコーン伝導型NAMマイクロフォン

‹ 第三のタイプは,OECM のようなコンデンサマイクロフォンではなく,

図 3.8 のように円盤状のセラミック圧電素子(元来はブザー出力用途)

と,音媒体としてソフトシリコーンを組み合わせて用いるものである.

完全に周囲を包埋して,圧電素子をソフトシリコーン内に浮かせるよう なタイプのものから,圧電素子の辺縁や一部を固定して片面だけをソフ トシリコーンで媒介したりするものなどがある.

図3.8  Transducer Mediated with Soft Silicone Type (TMSS型) ソフトシリコーン伝導型NAMマイクロフォン

以上 3 タイプとも,ソフトシリコーン素材として,松風(株)製の歯科複 模型用シリコーン印象剤デュプリコーン(DUPLICONE: vinyl polysiloxane) を用い,指で聴診器型と同じ位置に圧着して使用した.

図3.9 ソフトシリコーン伝導型NAMマイクロフォン試作品の外観

ドキュメント内 博士論文表紙 (ページ 64-67)