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第 5 章 日本の水産セクター協力の経済的効果

5.1 セネガルの経済成長への影響

検証

水産セクターの成長とセネガル全体の経済成長との間に、何らかの関連性がみられれば、

水産セクターはセネガル経済の成長にとって一定の役割を果たしているものと考えられる。

世界銀行や水産局のデータ27によれば、日本の水産協力が始まった1976年から最新の情報 が入手できた2015年までの過去およそ40年間のGDP平均成長率は7.2%28であるが、同時 期の漁獲量の伸びは1.7%、生産額では4.8%とこれを下回っており、マクロ経済全体の成長 を牽引する存在であるとは必ずしも言えない(図 17、表 12)。

図 17 セネガルのGDPおよび水産セクターの成長率推移

表 12 セネガルのGDPおよび水産セクター(漁獲量、生産額)の推移

27 World Development Indicators Database(世界銀行、20177月)と水産局漁業統計より。

28 現地通貨(CFAフラン)ベースの名目値。1994年にCFAフランの切り下げが行われたため、米ドル換 算の平均成長率は4.7%とこれより低くなる。物価上昇率を考慮した同期間の実質経済成長率は2.9%。

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名目GDP成長率 漁獲量伸び率 漁業生産額伸び率

1976 1980 1985 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 2015 1976-2015平均

名目GDP(億FCFA) 5,417 7,402 13,308 33,318 45,927 63,961 67,722 72,465 73,150 75,570 80,496 -GDP成長率 13.0% 7.8% 12.6% 5.2% 8.2% 6.1% 5.9% 7.0% 0.9% 3.3% 6.5% 7.2%

漁獲量(トン) 217,663 232,530 244,982 436,109 399,902 409,795 427,469 462,298 472,179 459,792 426,650 -前年比伸び率 13.0% 7.8% 12.6% 5.2% 8.2% 6.1% 5.9% 7.0% 0.9% 3.3% 6.5% 1.7%

水産業生産額(億FCFA) 251 N/A 280 835 1,175 1,423 1,514 1,516 1,440 1,350 1,540 -前年比伸び率 8.2% N/A -35.0% -22.6% 14.5% -11.2% 6.4% 0.2% -5.0% -6.3% 14.1% 4.5%

仮説⑯ 水産セクターの成長は、マクロ経済全体の成長にも一定の役割を果たしてい る。

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GDP 全体に占める水産セクターの割合は、1980 年代や1990 年代では3~4%台を保って いたものの、現在では 2%を割り込む水準にまで低下している(図 18、表 13)。ただし、

これはサービス業の成長などによる経済多角化の結果によって第一次産業と比率が低下し たことによる面が大きく、水産業自体は流通額の伸びが漁獲量の伸びを大きく上回るなど 高付加価値化が進んだことがうかがえる。

資料:世界銀行、水産局 図 18 セネガルの水産セクターの規模および対GDP比の推移

表 13 セネガルの産業別GDP構成

資料:国連統計、水産局

輸出拡大への貢献という観点で見ると、2016年現在、水産は輸出全体の14%を占めてい る 29(図 19)。20%を超えていた、かつてほどの勢いはなく、2000 年以降、輸出全体の伸 びに比べるとやや低調であるが、依然としてリン鉱石などの鉱産資源に次ぐセネガル最大

29 国連商品貿易統計データベース(UN Comtrade)、20174

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漁業生産高(左軸) 対GDP比(右軸)

(百万FCFA)

1976 1980 1985 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 2015

第1次産業 29.3% 16.0% 17.3% 18.7% 16.7% 17.2% 14.7% 15.5% 15.4% 15.1% 13.7%

(水産) (4.7%) N/A (2.1%) (2.4%) (2.5%) (2.2%) (2.2%) (2.0%) (1.9%) (1.8%) (1.9%)

(農業・林業ほか) (24.6%) (16.0%) (15.2%) (16.3%) (14.2%) (15.0%) (12.5%) (13.4%) (13.5%) (13.3%) (11.8%) 第2次産業 26.7% 29.2% 32.8% 32.2% 32.8% 31.9% 33.6% 32.9% 32.2% 32.6% 33.2%

(鉱業・エネルギー) (13.8%) (14.8%) (16.4%) (15.8%) (15.9%) (16.3%) (17.0%) (17.1%) (16.4%) (16.6%) (17.0%)

(製造) (11.6%) (12.3%) (14.2%) (12.5%) (12.8%) (11.9%) (12.5%) (12.0%) (11.8%) (11.7%) (12.0%)

(建設) (1.3%) (2.1%) (2.3%) (3.9%) (4.2%) (3.8%) (4.1%) (3.8%) (4.0%) (4.4%) (4.2%) 第3次産業 44.0% 54.7% 49.9% 49.0% 50.5% 50.9% 51.7% 51.6% 52.4% 52.3% 53.1%

(商業・飲食・宿泊) (16.3%) (16.7%) (17.6%) (18.6%) (17.4%) (16.9%) (17.3%) (17.2%) (17.4%) (17.3%) (17.6%)

(運輸通信) (5.2%) (6.2%) (5.7%) (6.2%) (9.6%) (10.2%) (10.2%) (10.3%) (10.6%) (10.3%) (10.6%)

(その他サービス) (22.5%) (31.8%) (26.7%) (24.2%) (23.4%) (23.7%) (24.3%) (24.1%) (24.4%) (24.7%) (24.9%) 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

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の輸出品目のひとつである。2000年代末に低迷し、一時は 10%を切る水準にまで落ち込ん だが、近年は持ち直しつつある。漁獲量が頭打ちとなり、右肩上がりの大幅な成長が望め ないなかで、輸出や関連産業などバリューチェーンの拡大、高付加価値化などによって、

輸出を中心とした水産セクターの発展がマクロ経済の成長に一定の貢献をしているものと 考えられる。

図 19 水産業の輸出額および輸出全体に占める比率

雇用という観点では、漁業者数は図 4(p.14)に示すように、1980 年ごろは 3 万人台で あったのが、2010年代には5万人台でほぼ推移しており、1.5倍程度になった。一方、同時 期のセネガルの人口は 3 倍弱に増加していることから考えると、水産セクターの雇用吸収 力は弱まっているともいえる。しかしその結果、図 10(p.34)にあるように、漁業者 1 人 あたりの生産性は向上しており、水産セクターの競争力強化に貢献しているといえる。関 連産業も含めれば、60万人程度が水産セクターに従事しているとされ30、国際労働機関(ILO)

による2013年の推計総就業者数390万人の15%を占める計算になる。

以上のように、水産セクターはセネガル経済において一定の役割を果たしていると言え るものの、GDP全体では2%弱を占めるにすぎず、その比率は、経済全体の多角化や水産資 源の減少などによって下がりつつある。その成長率もGDP全体の成長率を下回る状態が続 いており、マクロ経済面では水産セクターの重要度が上がっているとは必ずしも言えない 状況にある。こうした点をふまえ、次項では日本の協力がセネガルの水産セクター開発へ 与えたインパクトに絞って考察する。

30 EUや世銀、CRODTなどの複数の聞き取り先から同じ情報が得られたほか、セネガルを含む西アフリカ 7カ国で構成される漁業地域委員会(CSRP)のウェブサイト(http://www.spcsrp.org/en/senegal)にも同様 の記述がある。

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(百万US$)

2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2000-2016平均

全体輸出額(百万US$) 693 1,471 2,088 2,542 2,532 2,661 2,750 2,612 2,640 8.7%

水産輸出額(百万US$) 243 229 233 300 263 303 375 332 365 2.6%

構成比 35.1% 15.6% 11.1% 11.8% 10.4% 11.4% 13.6% 12.7% 13.8%

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