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第2節  r地理スタンダード」におけるr内容知」の構造

 前節において,「内容知」にかかわるスタンダードと「方法知」にかかわるスタンダード を地理スタンダード全体の構成において示した。そして,「地理スタンダード」における内 容知については,13のスタンダードにおいて示されていることを明らかにした。

 「内容知」を分析するにあたって,今一度18スタンダードの「内容知」と「方法知」

の構造を,その目標と関連づけて【表2−2−1】のように整理する。

【表2−2−1】「18スタンダード」における「内容知」・「方法知」の構造

頒 本質的要素

18ス タ ン ダー ド の 概要

目標

内    容    知 場所と地域

41場所の自然的特徴と人文的特徴

:地球の複雑さを解釈するための地域

:文化と経験による場所と地域に対する人間の見方

空間的事象 配置の意

自然システム 7:地表面の様式を決定する自然の作用過程

:生態系の特徴と空間的分布

入々,場所,

境の相互

の螺 人文システム

9:人口の分布,移動などの特徴

0:文化的モザイクの分布,複雑さなどの特徴

1:経済の相互依存性の様式とネットワーク 2:人間の定住の過程,様式,機能

3:相互の協力,対立の作用による地表面の区分,統制 環境と社会

14:人間の活動による自然環境の改変

5:自然システムによる人文システムヘの影響

6:資源の意味,重要性,使用によって起こる変化,分布

方法知

空間的世界

1:地理的表現方法,手段,科学技術を使う方法

:情報を組織するためにメンタルマップを使う方法

:空聞的組織を分析する方法

空間的事象 配置にか わる技能

地理の効用 17:過去の解釈に地理学を活用する方法

8:現在の解釈と未来の計画に地理学を活用する方法

日常生活へ

(0θo騨ρ如乃■ム施,GESp1994,pp,33−35より訳出して筆者作成〉

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この「内容知」にかかわる13のスタンダードの目標の構造性をより具体的に示すため に,「地理の5大テーマ」におけるr位置」,「場所」,「人間と環境との相互関係j,「移動」,

「地域」の各概念に区別して,その考察を行う。なぜなら【資料2・2・1】に示すように,「地 理教育ガイドライン」は地理的概念や地理的技能を構造的・系統的に教授するための指針

となるものであり,冒頭で述べたように「地理スタンダード」の開発のスタート点である からである。また,rレッスン・プラン」においても「地理の5大テーマ」の概念そのもの

を学習するプランがある。

そこで,「内容知」にかかわるスタンダード4〜16の目標を「地理の5大テーマ」で示 された五つの概念に分けて示し,その内容について概念ごとに考察する。そうすることに よって,地理スタンダードの構造をより明らかにする。

【資料2−2−1】「地理の5大テーマについて」

 「地理の5大テーマ(the丘vethemesingeography)」は,1985年以降,地理的概念 および地理的技能を教授するために行われたアメリカの地理教育復興運動において発表 された『地理教育ガイドライン』の中に盛り込まれたものである。

 この運動では,「地理教育の重要性について,社会的関心を向上させること」,「幼稚園 から高等学校までの各学年で,地理教育の強化を促進すること」,「地理教育の方法と教 材開発の援助を積極的に促進すること」の3点が目標におかれた。

 以下にr地理の5大テーマ」を簡潔に示す。

位置(10cation)一地表面での位置

絶対的位置(緯度・経度など),相対的位置 場所(place)一自然的・人文的特徴

自然的特徴(地形,水系,気候,植生,動物相など),人文的特徴(人口の構成,集 落形態,建築様式,レクリエーション活動の様式,運輸・通信のネットワークなど)

人間と環境との相互関係(humanlenvironmentinteraction)

場所内の文化的・自然的相互依存関係(自然環境への適応,自然環境の改変)

移動(movement)一地表における人々の相互作用

地球規模の人間の相互依存,場所間の関係(空間的相互作用)

地域(region)一その成り立ちと変化

地域の単位(国家,地方,郡,都市など),地域の効用

(中山修一(1991)『地理にめざめたアメリカ』古今書院,pp.85・93を参照して作成,

       英語は加550四舳5より)

・67・

1 r位置』にかかわるr内容知』

18スタンダードにおいて「位置」にかかわる概念が記述された目標を抽出して示すと,

【表2−2−2】のようになる。

【表2−2・2】「位置」にかかわる「内容知」の構成

「K〜4」の目標 「5〜8」の目標

7℃.地球上の事象と状態に影響する太陽と の関連における地球の位置を記述する。

11・b.経済的活動を位置づけ,分類する。

12・b集落群を位置づける。

12−d.都市の位置を記述する。

冒  一  一  一  噌  一  一  一  『  曜  ,  冒  一  一  一  一  一  一  ロ  騨  ,  r  一  冒  冒  一  冒  冒  冒  一  一  一  一  一  一  一  一  一  薗  騨  F  冊  冒  一  冒  冒  ロ  ー  ロ  ー  一 騨  一  ,  一  冒  冒  冒  −  一  一  一  一  一  一  甲  ●  一  層  冒  一  一  一  冒  一  一  甲    甲  辱  一     冒  冒  冒  冒  冒  冒  一  冒   冒  一  一  一   一  一  甲  一  甲  ,  聰  冒

15・d.自然環境における自然の脅威を位置 づける。

一  聯  ,  ・  ・  一  冒  一  一  一  }  冒  一  冒  一  一  一  一  一  一  印  胃  一  一  一  冒  冒  一  一  一  一  一  一  甲  甲  ●  騨  一  一  薗  一    胃  冒  冒  冒  一  冒  一  一  一 一  一  一  ・  騨  ・  ,  冒  冒   冒  冒  冒  一  一  一  一  一  一  一  響  噌  口   冒  一  冒   ロ  ー  一  一  一   P  一  一  甲  騨  甲  ,  甲  囎  一  一  冒  一  一  一  甲  甲  ■  曹  O  ,

16・a,再生可能な資源,再生不可能な資源,

流動性資源を位置づけ,識別する。

* 目標の数字はスタンダードのナンバー,アルファベットは項目を示す。

* 内容によっては二つ以上の概念にあてはまるものがあり,筆者がそれぞれに分けて記述した。(以  下【表2−2−7】まで適用)

      (61θo脚ρゐ17あr血捻,GESp1994,pp.113・178より訳出して筆者作成)

 このように「位置」にかかわる内容知は,グレードK〜4のみにおいて6項目あり,【表 2・2・3】に全体の項目数をまとめて示したように全体と比較すると少ない(以下,全体と比 較する際は同表を参照)。これは,「位置」の概念を軽視しているわけではなく,場所や地 域などその他の概念の前提条件となる絶対的位置や相対的位置などの内容は,他のスタン ダードの中にも含まれていることが考察できる。

 内容をみると,「7・c,地球上の事象と状態に影響する太陽との関連における地球の位置」

のみが絶対的位置についての目標であり,立地,集落,自然環境,資源といった相対的位 置についての内容が多い.なお,緯度や経度といった絶対的位置にかかわる知識ついては,

方法知にかかわる「空間的世界」の領域で取り扱われている。

・68・

【表2・2・3】18スタンダードにおける「内容知」の項目数

概  念 K〜4の目標(割合) 5〜8の目標(割合) 計(割合)

位  置 6(12,2) 0(0.0) 6(5.5)

場  所 20(40,8)

25(41.7)4

5(41,3)

人間と環境との相互関係 9(18.4)

12(20.0)2

1(19,3)

移  動 4(8.2) 9(15.0) 13(11.9)

地  域 10(20.4)

14(23.3)2

4(22.0)

(筆者作成)

2 「場所』にかかわる「内容知」

18スタンダードにおいてr場所」にかかわる概念が記述された目標を抽出して示すと,

【表2−2−4】のようになる.

【表2・2・4】「場所」にかかわる「内容知」の構成

「K−4」の目標

4・a,場所の自然的特色を地元から地球全体 までの様々なスケールにおいて記述し,

比較する。

4−b,場所の人文的特色を地元から地球全体 までの様々なスケールにおいて記述し,

比較する。

4・c.多様な場所を地元から地球全体までの 様々なスケールにおいて記述し,比較す

る。

4・d,場所の特色を形成する自然的・人文的 特色を記述し,説明する。

6・段,多様な方法で場所を記述する。

6・b,人々の場所にかかわる見方の多様な方 法を比較する。

r5−8」の目標

4−a。場所の自然的特色を分析する。

4・b.場所の人文的特色を分析する。

4・c.場所の自然的・人文的特色を形成する 科学技術について明らかにし,分析する。

6・a,様々な視点から場所の特色を評価す

る。

6−b,文化グループにおける場所の理解と使

用の方法に作用する科学技術を説明す

る。

6・c,文化が人々の場所の見方に影響する方

一69・

7−a,地球の大気,岩石,水,生物の範囲の 自然的構成要素を明らかにし,記述する.

7−b.地表面の特徴と様式を形成するのに役 立つ自然的過程を説明する。

8−a様々なスケールにおける生態系の構成 要素を記述し,図解する。

8−b.生態系の分布と様式を明らかにし,説 明する。

9・a,人口の空間的分布を記述する。

9・b.様々なスケールにおける人口の特色を 記述し,比較する。

10・b.地球全体の文化様式を記述し,比較す

る。

10・c,文化の変遷を記述する。

12・a.合衆国および世界地域における集落 と土地利用の様式を記述する。

12−b.集落群の分布の理由を提示する。

15・d,自然環境における自然の脅威を記述

する。

16・b,資源の位置と人口分布の様式との関 係を説明する。

法を明らかにする。

6−d.文化的象徴となる場所を,実例を挙げ て説明する。

7・a.自然環境の様式を説明するために,自 然的過程を適用する。

7−b.自然がつくられた過程に関するパター ンを分析する。

7℃.地球上の自然的過程と自然の様式をっ くるのに影響する地球と太陽との関連に ついて説明する。

7−d.再生可能な資源と再生不可能な資源の 生産過程を記述する。

7−e地表面に影響を及ぼす具体的な自然的 過程の結果を予想する。

8−a地元から地球全体までのスケールにお ける生態系の分布を説明する。

8−b,生態系の機能とダイナミクスを説明す

る。

8・c.生態系に影響する自然的過程について 説明する。

9・a.人口統計学の基本的概念を適用して多 様な人口構造を記述する。

9・b.人口の様式を説明するために場所にお ける人口の特色を分析する。

10・c.地球の多彩な文化的モザイクの形成 における文化様式の普及の重要性を記述

し,説明する。

12・a,集落の様式を明らかにし,記述する.

12・b都市の発展に必要な要因を明らかに

する。

12・c,集落の形成における散らばりから集 中への移行の結果としての景観と社会の 変化について分析する。

12・d,都市化の原因と結果を説明する。

12・e。都市内部の空間的構造を明らかにし,

定義する。

16−a.世界の資源の分布と利用の様式を記 述し,明らかにする。

16−b.現代世界における資源の使用による 結果を記述する。

(6!θo騨即妙伽血乃,GESR1994,pp,113・178より訳出して筆者作成)

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