スクラムジェットエンジン内部形状の空気力学的効果

Aerodynamic Research on Flow Path Configuration of a Scramjet Engine

今年度の成果

エンジン流路の中央に設置される支柱（ストラット）の後縁がボートテイル形であるエンジン形態に ついて，エンジン試験実施済み形態と対比し，エンジン内部諸量の違いを比較した．（図 1） 比較は 3 次元，気流条件にて行い，エンジン内の衝撃波等の影響を調べることで行った．図2にはエンジン内の 途中断面における質量流率（ρu）分布と共に，ストラット側面12点（両面で24点）を通過する流線を 黒で示したものである．ストラット噴射を想定した流線であるが，必ずしも高ρu分布位置を通るとは限 らない．そこで高ρu分布出位置を通る流線を探すため，高ρu分布位置に点を定めその位置から流線を 上流に遡り辿る方法を採った．その結果が図2中に示されている赤流線である．高ρu分布位置に定め た5点とは，ρu分布がエンジン断面の中央に纏まっているボートテイル形ストラット形態のものを基準 とし，エンジン天板から0.2ｍの点を中心としその周囲に4点を定めた計5点のものである．この5点 から遡った内2点からの流線は辿り切ることができ，ストラットのカウル寄りの位置を通過してくるこ とが分かった．この手法により，燃料噴射位置の候補を見出すことができる．

a) 5/5高さストラット形態 b) ボートテイル形ストラット形態

＜エンジン試 験済みの形態＞ ＜改良を見込んだ仮想形態＞

図1 ストラット二形態－両形態についてCFDで比較

【計算情報】

1ケースあたりの経過時間：

ケース数：

ジョブの並列プロセス数：

プロセスあたりのコア数(=スレッド数) ： プロセス並列手法：

スレッド並列手法：

利用計算システム：

200時間 8ケース

8プロセス or 16プロセス 8コア

MPI 自動並列 JSS-M

成果の公表状況 査読なし論文

1) 佐藤，福井，渡邉，宗像，｢スクラムジェットエンジン燃料最適化分布に向けた検討－燃料偏在の補正 法｣，第46回流体力学講演会及び平成26年度航空宇宙シミュレーション技術シンポジウム論文集，宇宙 航空研究開発機構特別資料，平成27年3月

口頭発表

2) Sato, Fukui, Watanabe, and , Munakata,” Consideration for Optimization of Fuel Distribution in a Scramjet Engine”, AIAA 2014-2214, 19th AIAA International Space Planes et al Conference, June 2014, Atlanta.

3) 佐藤，福井，渡邉，宗像，｢スクラムジェットエンジン燃料最適化分布に向けた検討－燃料偏在の補正 法｣，第46回流体力学講演会及び平成26年度航空宇宙シミュレーション技術シンポジウム，平成26年7 月 弘前

4) 佐藤，福井，渡邉，宗像，｢スクラムジェットエンジン内流れにおける衝撃波構造と燃料当量比分布

－流線遡上法による適正噴射位置探索｣，平成26年度衝撃波シンポジウム，平成27年3月 伊香保

5) 佐藤，福井，渡邉，宗像，｢スクラムジェットエンジンにおける燃料適正噴射位置探索｣，2015年日本 航空宇宙学会北部支部講演会及び再使用型輸送技術シンポジウム，平成27年3月 能代

年間利用量

※ JSS-Mの利用

事業形態

科研費

事業の責任者・構成員

責任者：宇宙科学研究所 飛翔工学系，大山 聖(oyama@flab.isas.jaxa.jp) 構成員：宇宙科学研究所 飛翔工学系，野々村拓(nonomura@flab.isas.jaxa.jp)

客員准教授，Li Weipeng(li@flab.isas.jaxa.jp) 東京大学，関本諭志(sekimoto@flab.isas.jaxa.jp) 東京大学，李 東輝(lee@flab.isas.jaxa.jp)

東北大学，森澤征一朗(morizawa@flab.isas.jaxa.jp) 東京大学，阿部圭晃(abe@flab.isas.jaxa.jp)

東京大学，Taufik Slaiman(taufik@flab.isas.jaxa.jp) 東京理科大学，近藤勝俊(kondo@flab.isas.jaxa.jp) 東京理科大学，長田裕樹(nagata@flab.isas.jaxa.jp) 東京大学，寺門大毅(terakado@flab.isas.jaxa.jp) 東北大学，安藤善紀(andoh@flab.isas.jaxa.jp) 東京大学，加藤宏基(terakado@flab.isas.jaxa.jp) 九州工業大学，佐々木岳(sasaki@flab.isas.jaxa.jp) 東京大学，Gabriel Pichon(pichon@flab.isas.jaxa.jp) 東京大学，Fortunate Nucera(nucera@flab.isas.jaxa.jp) 東京大学，福本浩章(fukumoto@flab.isas.jaxa.jp)

The Ohio State University，浅田健吾(asada.2@osu.edu)

事業の目的

世界初の火星飛行探査実現に向けた翼周りの低レイノルズ数流れの基本特性理解．

事業の目標

世界初の火星飛行探査実現に向け，高解像度数値シミュレーションを用いて翼周りの低レイノルズ数 流れの基本特性を理解し，高性能な翼設計に繋がる知見を得る．