座長 辻恵子(東海大学健康科学部看護学科) P-l05
大学生の代理出産に関する意識調査
0
西川桃子 我部山キヨ子 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻母性看護・助産学分野[緒言]
近年、生殖補助医療の技術は著しく進歩し、世間に広く認識されるようになった。代理母に|刻しては学会 ガイドラインでは禁止されているが、現実に実施されており法的問題もある。今回大学生を対象に代理母、
生殖補助医療に関する意識調査を行い、代理母が社会的に受け入れられる素地に関して検討した。大学生は . 生殖補助医療の利用者ではないが、年齢が上がるにしたがって、 AID、代理侍などを認めるものの割合が少
なくなったという調査結果もあるので将来の意識動向を先取りする意義があると考えられる。
般
[方法]
演
関西の都市部の総合大学の学生に調査の目的、方法、参加の自由、プライバシーの保護等を文書で説明し
題
ボランティアを募った。調査は無記名自記式質問紙で封書にて回収した。まず代理出産に関して賛成、反対、
どちらでもないを選択し、その理由を
3
つ以上記載してもらい、生殖補助医療の今後のあり方についての見 解を自由記載してもらいKJ法で分析した。呼びかけた対象者(全学部対象)は 100名、回収は 76名(男 性40名女性36名すべて有効回答)であった。[結果
l
代理出産に賛成28名、反対30名、どちらでもない18名であった。男子は賛成が17名反対15名、女子 は反対が15名賛成 11名であった。賛成の理由は、[個人やカップルの希望がかなう]27名、 [同意があれ ばよい]11名、[卵子精子の提供、養子よりよい ]11名、[少子化対策] 10名であった。反対の理由は「お 腹を痛めて産んでいない子に愛情を注げるかわからないJ(子のアイデンティティ、福祉、親子関係、愛情 の問題]
2 9
名、「代理母が子に愛着を持ち争いが生じる」など [依頼者代理母聞のトラフル] 18名、 [営利 目的化] 17名、 [代理母の身体的リスク] 17名であった。生殖補助医療の今後のあり方については、「倫理の問題とのバランスを考えて発展していくべき」等 [問 題に取り組みつつ進める] 14名、「倫理問題が多々起こっていることを考えると、ないほうがいいのでは」
など [倫理面で大きな問題がある]11名であった。一方、「倫理問題は当事者間でクリアできれば世間がと やかく言うことではない」等[子がほしい人の希望優先] 10名も代理出産賛成の人を中心に見られた。
[考察及び結論]
[個人やカップルの希望がかなう]は全体として最も多い意見(38名)であった。生殖補助医療が一般化し、
代理母によって子を得た報道もあり、不妊症カップルに対する理解同情は広がっていると考える。「子が産 めない体だったら代理出産を望むかわからない」、「子に伝えられるかどうかJ
r
自分が代理出産で生まれた 子だったら嫌j と、当事者の立場を考慮した意見がみられた。当事者意識を持つことは社会がこのような医 療を議論していく素地になる可能性が示唆された。j.Jpn.Acad. Midwif.Vol.23,No.3,March 2010493
3
月2 1
日(日)第2日目| 一 般 演 題 ( 即 時 ) 生 殖 医 療 ケ ア / 調 査
1 0 : 3 8 - 1 1 : 1 8 1
階 ポ ス ヲ 一 会 場1 0 2
三
座長 辻 恵子(東海大学健康科学部看護学科)
P-l06
助産学 ・周産期ケア分野の学術論文で用いられる英語の分析
0
千葉陽子 京都大学大学院 医学研究科人間健康科学系専攻[緒言]
助産学・周産期ケア分野で用いられる言語(英語を母語としない者にとっては 「英語J)は今まであまり 量的に分析されておらず,これに関する情報もほとんどない。この分野で特に母語が英語でない者にとって の言語学習負担を明らかにするため,本研究では助産学・周産期ケア分野の英語論文を用いて,語黛や文章 構造の特徴を分析した。
[方法
1
2005
年1
月から1 2
月に発行された助産学・周産期ケア分野の英語雑誌の中からインパクトファクター をもとに主要 5誌 (Birth,JOl1rnal of Midwifery&
Women's Health,JOl1rnalof Obstetric Gynecologic& Neonatal Nursing,JOl1rnal of Perinatal & Neonatal Nl1rsing,and Midwifery) を選び, これらの中 の研究論文 論説,解説,概説で用いられた英語をもとにコーパス(総語恭数)を作成した。そして,ソフ トウェア WordSmith
5 . 0
Tools (Oxford University Press,Oxford) を用いて, 一般英語 (General English) および保健分野 (P l1blicHealth) の英語との量的比較を行い,キーワードを抽出した。また頻出 熟語を抽出し,読みやすさ尺度(1文あたりの単語数, Uii語あたりの文字数,受動態構文の割合, Flesch Reading Ease指数)を計算した。[結果]
分析対象は,
312
論文,延べ語数1.0 1
1.870
,異なり語数(重複語はカウントしない場合)2 3
,316
であ った。助産学・周産期ケア分野で特に重要な語句として,頻出諮粂242
語を含む3
,590
語のキーワードと 頻出熟語を抽出した。語誌の中には,母親・子供・ケア提供者間の関わり合い,出産のプロセス,包指的ケ アの重要性に関する語がよく認められた。身体の名称や疾病に関する用語の使用はあまり認められなかった。読みやすさに関する FleschReading Ease 指数の平均は 30.7 士 5 で,アメリカの大学卒業者の指数 (O~
3 0 )
に相当した。受動態構文の多さは読みにくさに関係し,当該分野の論文中29
.4土6%
の文章が受動態 であり,保健分野の論文( 2 6 . 0
i:4%)
よりやや高い割合を示した。[考察]
助産学・周産期!ケア分野の英語には, 一般英語や保健分野の英語と比べて特徴的な点があった。読みやす さ尺度より,この分野の英語論文を読むには,平均的にアメリカの大学卒業者程度の英語能力が必要である ことが示唆された。量的分析の結果をもとに語句の焦点を絞って学習することで,助産学・周産期ケア分野 の英語は比較的習得しやすくなると考えられ, 一般英語の理解とはまた独立した形で,当該分野の英語をよ りスムーズに理解することが可能であることが示された。
[結論]
量的分析によって,助産学・周産期ケア分野の英語論文の中で核となる重要頻出語句を摘出することがで きた。当該分野の核となる語句にフォーカスした英語学習プログラムを桃築することによって,関係者,特 に母語が英語でない者にとっての言語学習負担を軽減させることができると考えられた。
494日 本 助 産 学 会 誌
2 3
巷3
号( 2 0 1 0 )
3
月2 1
日(日)第2
日目1 3 : 1 0
ー1 3 : 5 8 1
階 ポ ス タ ー 会 場1 0 2
座長 :波逸典子(新潟県宵陵大学)
P-107
大学生の喫煙情報の実態調査~禁煙中の学生と喫煙中の学生を比較して~
0
藤 田 小 矢 香 西 村 正 子 鳥 取 大 学 医 学 部 保 健 学 科{緒言]
近年,喫煙に伴う健康被害の拡大が指摘されている 日本における男性の喫煙率は,現在もなお高い値を 示している。また女性においては
2 0
歳代の喫煙率は憎加傾向が続いている 今回,将来医療に従事しようとする学生の喫煙状況の実態を調査し 今後の健康への取り組みについて検討した。 -[方法]
調査期間:平成
20
年1
月から1 0
月T
大学医学部学生496
名を対象に無記名自記式質問紙調査を行な般
った 授 業 の 前 後 に 調 査 用 紙 を 配 布 し , そ の 場 で 記 入 し て も ら い 回 収 し た 調 査 内 容 は 平 成
1 0
年度の 「喫演
煙と健康問題に関する実態調査」を参考に検討を重ね作成した 質問内容は対象者の属性(年齢,性別),
題
喫煙の経験,喫煙習慣,喫煙と疾患の関係性に関する知識,喫煙が子どもに与える影響に関する知識,健康 に関する情報源等で構成した 統計処理はSPSS ver.
1 3
を用い, ジ検定により検討し,5%
水準を有意の差 とした 倫理的配慮についてはT大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。{結果]
有効回答数は
436
名( 8 7 . 9%)
であった 非喫煙者390
名( 8 9 . 4%
に 現 在 禁 煙 中1 4
名( 3 . 2%
に 喫 煙 者3 2
名( 7 . 3%)
のうち,禁煙中と喫煙者を対象に分析した 喫煙のきっかけについて喫煙者が有意に 「好 奇心Jと回答した( p< 0 . 0 5 )
健康に関する情報源において 「講義」と答えたのは禁煙中5
名,喫煙者2 1
名であった
( p< 0 . 0 5 )
喫煙に関係がある疾患として 「心臓病」と答えたのは禁煙中3
名(25%
に 喫 煙 者1 8
名( 6 4 . 3 % ) (p<0.05)
,r
脳卒中」が関係していると答えたのは禁煙中4
名( 3 3 . 3%)
,喫煙者24
名
( 8 5 . 7 % ) ( p < 0 . 0
1)であった.喫煙によるこどもへの影響について禁煙中と喫煙者では有意差は認め られなかった。[考察]
調査に回答したものの内
10%
は喫煙経験があり,全体の7%
は現在も喫煙していた 喫煙者の総数は国 民栄養調査と比較して大きく下回っていた 喫煙のきっかけは好奇心が多く,興味本位で喫煙し習慣化して いることが伺える また,健康の情報源が講義が多かったのは,医学部学生であったためと思われる 将来 医学に携わる者として,講義による健康教育は有益であると恩われる。[結論
1
1.他の調査と比較し,喫煙者は少なかった 医学部学生の健康に対する高い強い関心が影響している恩わ れる 2喫煙のきっかけは好奇心であり,興味本位での喫煙が習慣化していることが伺えた 3健康に関 する知識は講義から得ており,喫煙と健康への影響の情報を得ていた 将来医療職に就くものへの効果的な 健康対策となることが期待できる 4医学部以外の学生での調査も必要である。
j.Jpn.A田d.Midwif.VoL 23,No.3,March 2010
4 9 5
3月21日(日)第2日目 13: 10-13: 58
| 一 般 演 題 ( 即 時 ) 思 春 期 教 盲
1階 ポ ス タ ー 会 場102
目
座長 波透 典子(新潟県背陵大学)
P-l08
10代の人工妊娠中絶再発予防支援者セミナ一実践報告
0
安達久美子¥} 石田登喜子2) 1)首都大学東京 健康福祉学部 2)福島県立医科大学看護学部[緒言
1
10代の人工妊娠中絶実施率は減少傾向にあるものの、人工妊娠中絶を繰り返す子どもたちが多いことが 指摘されている。 10代の子どもたちの人工妊娠中絶再発予防のためには、支援者の育成が必要である。そ
こで、彼女たちを支援する立場にある医療従事者を対象として支援者セミナーを実施したので報告する。
[実践内容
1
10代の人工妊娠中絶の実施率の高い3県において、医師、保健師、助産師、看護師を対象として r10代 の人工妊娠中絶再発予防支援者養成ベーシックセミナーj及び、「フォローアップセミナー」を開催した。
ベーシックセミナーは、 10代の人工妊娠中絶の現状と当事者のニーズが分かることを目的として、 1 .10 代の人工妊娠中絶に関する既存の統計や研究結果を示すとともに、 10代で人工妊娠中絶術を受けた人への 面接調査で得られた当事者の思いを紹介する、
2
.10代の若者の特徴を理解し、彼女たちの気持ちに共感し 寄り添う姿勢が必要であることから、ピアカウンセリングの理論とスキルの演習を行い、 3実際の支援の 具体的方法を説明するといった内容で展開した。参加者それぞれが、臨地で支援を実施した後に、次のフォ ローアップセミナーを開催した。フォローアップセミナーでは、 1 ピアカウンセリングの理論とスキルを 再確認し理解を深める、2 実際に支援を行った経験を共有する、3
地域においての支援システムやネット ワークについて検討するといった内容で展開した。本セミナーへの参加は自由意思による参加であること、プライバシーの厳守について説明し同意を得た。
[結果及び考察]
参加者は、ベーシックセミナ-48名、フォローアップセミナー 36名であった。セミナ一実施前には人 工妊娠中絶を繰り返す10代の子どもへの対策として、性教育や、個別指導 ・教育という指導的関わりを考 えている者が多かったが、受講後には、
r
lO代の人工妊娠中絶の実態や当事者の思いが分かったJ、「積極的 な関わりをしようとすれば、もっとできることはあると気づいたJなど、当事者のニーズを理解し、若者に 対する意識の変化が見られた。また、フォローアップセミナーを実施することで、実践の中で見いだされた 課題解決や、お互いの実践を共有し合う中で地域に即した支援が示され、ネットワークづくりにおいても効 果があったと考える。[今後の課題]
人工妊娠中絶の再発予防には支援者の育成が重要であることから、今回実施したセミナーを全国的に普及 するための方策を検討していくことが必要である。
本セミナーは、平成20年度財団法人こども未来財団の委託を受けて実施した、児童関連サービス調査研 究等事業「十代の子どもたちの人工妊娠中絶後の対応と再発防止のための支援に関する調査研究J(主任研 究者高村寿子)の一環である。
496日 本 助 産 学 会 誌 23巻3号(2010)