第 5 章 p - ドリフト層を有する SiCGT のオン電圧劣化特性
5.3 SiCGT のオン電圧劣化
5.3.2 オン電圧劣化の温度依存性
76 したためと考えられる。
(a) (b)
(c) (d)
図5. 5 (a)通電ストレス試験前、(b)100A/cm2通電ストレス試験後、(c)200A/cm2通電ストレス 試験後、(d)300A/cm2通電ストレス試験後における室温でのSiCGTの発光像(撮影条件:電流 密度値/100A/cm2のパルス電流、周波数/15Hz、Duty/0.375%、露光時間/10秒間)
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さくなり、150℃を超えると、通電ストレス前後でSiCGTのオン電圧はほぼ等しくなる。そ の後、250℃まで上昇した後、室温に戻して測定すると、オン電圧劣化は、再び現れ、VT は変わらなかった。
図5. 6 通電ストレス試験前後における電流密度100A/cm2におけるオン電圧(VT)のの温度依
存性の変化: 通電ストレス試験は、次の順番で実施した。①通電電流密度100A/cm2、1時間、
②通電電流密度200A/cm2、1時間、③通電電流密度300A/cm2、1時間
続いて、オン電圧劣化の温度依存性を調べるために、発光像により、ショックレー型積 層欠陥の状況を観察した。図5. 7に、温度を室温、100℃、150℃のSiCGTの発光像と、加 熱後に室温に戻した状態での発光像を示す。発光像の温度特性は、300A/cm2 での通電スト レス試験を実施したあとに測定した。室温ではっきりと確認できた黒く強度の弱いショッ クレー型積層欠陥の領域は、100℃で縮小し始め、150℃ではほとんどなくなった。なお、
加熱後、温度を室温まで戻すと、通電ストレス電流を通電していないにも関わらず、ショ ックレー型積層欠陥が現れる。第2.4.2節で述べたとおり、ショックレー型積層欠陥は、350℃
以上に加熱すると縮小する。今回の測定では、250℃の測定後、室温に戻すと、オン特性(図
5. 6)は元に戻り、発光像(図5. 7)も過熱前と変わらなかった。一連の温度特性の測定中、通
電ストレス電流を通電していないことから、今回の測定において、加熱時、ショックレー 型積層欠陥は縮小していないと考えられる。つまり、ショックレー型積層欠陥が存在する にも関わらず、温度を150℃以上まで昇温すると、ショックレー型積層欠陥を無効化するこ とができたと考えられる。このような現象は TEDREC(Temperature Elevation Degradation Reduction of Electrical Characteristics)現象と呼ばれる。
100 200
5 6 7
Temperature [oC]
VT [V]
before Stress
after Stress (100A/cm2) after Stress (200A/cm2) after Stress (300A/cm2)
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(a) (b)
(c) (d)
図5. 7 300A/cm2での通電ストレス試験後における(a)RT、(b)100℃、(c)150℃、および、(d) 加熱後、RTまで冷却した状態でのSiCGTの発光像(撮影条件:電流密度/100A/cm2のパルス電 流、周波数/15Hz、Duty/0.375%、露光時間/10秒間)
さらに、この現象を利用し、外部からヒータなどを用いて、デバイスを150℃以上に加熱 し、デバイスを動作させる方法をTEDREC法と呼ぶ。ただし、TEDREC法においては、デ バイスの温度が上がりすぎないように注意する必要がある。SiCGTなどの4H-SiCバイポー ラデバイスにおいて、温度を上げると、キャリア寿命が増大し、ターンオフ時間が長くな り、ターンオフ損失などのスイッチング損失が増大する。また、150~200℃を超えると、
[1120]
0.5mm main (A-K) current flow
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キャリア寿命が長くなる効果より、キャリア移動度が低下する効果が支配的となり、オン 電圧が増加し、定常損失も増加する。その結果、更なる温度上昇が発生し、熱暴走に至る 恐れがある。そのため、デバイスの接合部温度は、できるだけ低い方がよい。TEDREC 法 では、デバイスの自己発熱および外部ヒータによる加熱と、空冷ファンによる冷却のバラ ンスをとりながら、デバイスの動作中の接合部温度を 150℃に維持する。著者らは、この
TEDREC法を用いて、SiCGTと4H-SiC pinダイオードを用いた180kVA級オールSiCイン
バータの動作に成功したこと報告している10。
図5. 8 SiCGTの表面写真
図5. 9 SiCGTのアノードフィンガとゲートの配置模式図
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anode
anode gate
1mm backside:cathode
main (A-K) current flow
_
[1120]
135 fingers ( ~ 8.8mm)
・・・・・・・・
・・・・・・・・ anode
finger gate
(backside)
cathode
main (A-K) current flow _
80