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参考文献  2. 3

3. 既往火山噴火被害(現象)

3.6. エイヤフィヤトラヨークトル

航空機に対する火山灰情報は,航空路火山灰情報

センター(VAAC)から提供される.VAACは世界9箇

所に設置されている(図3.6.2.46).ヨーロッパはロ ンドンVAACとトゥールーズVAACの責任領域にま たがっているが,エイヤフィヤトラヨークトルの噴 火ではロンドンVAACが情報提供を行った.

ヨーロッパに火山灰が到達してから数日間は飛 行禁止の措置が取られたが,試験飛行の実施などを 行い航空路火山灰の濃度に応じて飛行の禁止基準を 緩和し,3つの飛行区域に区分した(表3.6.2.14)).「事 前許可が必要」の区域は,許可を得るために地上型

LiDARによる計測を行う必要がある.

火山灰の分布範囲は火山活動や風向きにより変 化するものの,人工衛星によるモニタリング,航空 機による観測,地上型LiDAR,数値シミュレーショ ン7)などを用いて,科学的な(定量的な)結果に基づき 意思決定を行っている.

3.6.2.1  火山灰濃度に応じた飛行区域区分 

火山灰濃度 飛  行  区  域 4 mg/m3以上  全面飛行禁止 

0.2〜4 mg/m3 事前許可が必要 

条件遵守で飛行可能(飛行時間の制限)  0.2 mg/m3以下 通常飛行可能 

(3)アイスランド国家警察庁国内保安・緊急対策 部からの情報提供

  エイヤフィヤトラヨークトルの噴火に関して,ア イスランド国家警察庁国内保安・緊急対策部からさ まざまな情報提供がなされた 8).また,これらの情 報は在アイスランド日本国大使館から日本語に翻訳 された情報が提供された 9).在アイスランド日本国 大使館から発信される情報は,アイスランド国家警 察庁国内保安・緊急対策部の情報がほとんどであっ たが,国際空港が閉鎖された4月22日はアイスラン ド観光局およびアイスランド貿易協議会からの情報 も発信した. 発表内容は,4月中は火山活動や空港 閉鎖状況などが A4用紙1枚程度にまとめられてい た.4月30日から,火山活動,出水,航空,道路,

農家,清掃作業,大気粒子観測などの項目に分けら れ,各項目に簡潔なコメントが記述されるように変 化した.項目ごとに記述された情報の方がわかりや すく,良い工夫であると思われる.

  発表される情報で注目すべき項目は「大気粒子観 測」である.ある地点の大気中火山灰濃度が記述さ れ,影響の有無が書かれている.例えば,5月17日

12:30の発表では,「5月15日(土),ミールダルの

ビーク町にて観測された大気中の粒子濃度は高い数 値を示した.12:00,13:00,15:00 の観測値及び 24 時間平均値は健康被害水準を越えた(50μg/m3).」

と記述されている.

3.6.3. 二次災害

  4月14日06時50分に,氷河の融解に伴う洪水(ヨ ークルフロイプ:Jökulhlau)の発生が,エイヤフィ ヤトラヨークトルの北側で確認された(図 3.6.3.110)).

住民は噴火前から設置されていた自動電話警報シス テムの情報で避難を開始し,800 人が夜明け前に避 難を完了した.情報配信は地元の警察署長によって 行われた.避難した住民の大部分は翌日には帰宅す ることができた 2).警報システムはアイスランド気 象庁により運用されており,水位計を用いて急激な 水位変化をモニタリングしている10)

  アイスランド気象庁のホームページ 10)によると,

4月14日〜15日に発生したヨークルフロイプは,エ イヤフィヤトラヨークトルの北側に流下した後,西 側に流路を変えて海まで到達し,約 35km流下した

(図 3.6.3.210)).南側でもヨークルフロイプが発生し

たが,約5km流下したのみで,海までは到達しなか った,と報告されている.

3.6.2.4  各航空路火山灰情報センターの責任領域

出典:東京航空路火山灰情報センターホームページ 3.6.2.3  4 月 19 日の衛星画像(ENVISAT)

出典:欧州宇宙機関(ESA)ホームページ http://www.esa.int/esaCP/SEMM16XN58G_index_1.html

3.6.4. まとめ

  エイヤフィヤトラヨークトルの噴火は,遠方の火 山の噴火で大きな影響を受けるという特異な事例に 思われる.しかしながら,わが国でも北朝鮮と中国 国境にある白頭山が約 1000 年前に噴火した際の火 山灰が北海道から東北にかけて分布しており11),決 して想定外の事象ではない.

  日本近郊で大規模な噴火が発生すると,航空路線 に影響を与える可能性が高く,2011年に発生した東 日本大震災やタイの洪水で生じたようにサプライチ ェーンへの影響もあると考えられる.これらの影響 を減ずるためには,エイヤフィヤトラヨークトルで 実施されたようなモニタリングと解析に基づく科学 的な意思決定が重要であり,火山工学分野で平常時 から取り組むべき課題であると考える.

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参考文献

1) http://www.lmi.is/pages/kort/okeypis-kort/okeypis-kort/pag e/2/

2) Gudmundsson, M. T., R. Pedersen, K. Vogfjord, B.

Thorbjarnardottir, S. Jakobsdottir, and M. J. Roberts:

Eruptions of Eyjafjallajokull Volcano, Iceland, Eos Trans.

AGU, 91(21), 190, 2010, doi:10.1029/2010EO210002.

3) http://www.vedur.is/skjalftar-og-eldgos/frodleikur/greinar/n r/1856

4) 安田成夫・梶谷義雄・多々納裕・小野寺三朗:アイス ランドにおける火山噴火と航空関連の大混乱, 京都 大学防災研究所年報,第54A,p59-65,2011 5) 小野寺三朗:航空機災害,火山の事典(下鶴大輔,荒

牧重雄,井田喜明編),朝倉書店,p382-392, 1995 6) http://ds.data.jma.go.jp/svd/vaac/data/Inquiry/vaac_operati

onj.html

7) Dacre, H. F., Grant, A. L. M., Hogan, R. J., Belcher, S. E., Thomson, D. J., Devenish, B., Marenco, F., Hort, M. C., Haywoood, J. M., Ansmann, A., Mattis, I. and Clarisse, L.: Evaluating the structure and magnitude of the ash plume during the initial phase of the 2010 Eyjafjallajokull eruption using lidar observations and NAME simulations, J. Geophys. Res., 116, D00U03, 2011, doi:10.1029/2011JD015608.

8) http://www.almannavarnir.is/displayer.asp?cat_id=413 9) http://www.is.emb-japan.go.jp/

10) http://en.vedur.is/hydrology/articles/nr/2097

11) 町田  洋・新井房夫・森脇  広:日本海を渡ってきた テフラ,科学,51,562-569,1981.

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3.6.3.1  ヨークルフロイプ

写真(414日).矢印の方向に時速5kmで流下.

出典:アイスランド気象庁ホームページ10)

3.6.3.2  ヨークルフロイプの分布図

4 月 14〜15 日に発生した.濃灰色部が到達範囲 出典:アイスランド気象庁ホームページ