第 3 章 リスクマネジメントの現状と課題
3.3. インタビュー⽬的と⽅法
期限が設定されて順次実⾏される。
7. 続く“コントロール”のステップでは、報告に基づいて作業の実績を監視する。計 画との差異を分析した上で、必要に応じて是正措置を検討する。結果は“計画”の ステップにフィードバックされて、追加タスクまたは修正タスクとして WBS に 反映される。なお、リスクはプロジェクトの進⾏にともなって時々刻々と変化す るものであるため、継続的な“リスクの監視”が必要となる。また、リスクマネジ メントは最初の1回だけ実施すればよいプロセスではなく、リスクの変化に応じ て、プロジェクト期間中、繰り返し実⾏する必要がある。図中の“コントロール”
から“リスクの特定”への複数の⽮印、および、“対応計画策定”から“コントロール”
への複数の⽮印は、リスクマネジメント・プロセスの繰り返し実⾏の可能性を⽰
している。
8. 最後の“終結”のステップでは、プロジェクト全体の実⾏結果を整理し、メンバー による振り返りを実施する。そこには、リスクマネジメントの振り返りも含まれ る。プロジェクトの知⾒と反省点を将来のプロジェクトに伝えることは、継続的 な組織改善という観点からも⾮常に重要である。
3.3インタビュー⽬的と⽅法 49
表 3.1:インタビュー(第1回)の対象者
インタビューは、あらかじめ⽤意したスクリプトに沿って開始し、適宜、気になる 点について⾃由に意⾒を述べてもらうという“半構造化インタビュー”の形式を採⽤し た。各インタビュー対象者には、インタビューの冒頭において、インタビューの⽬的、
研究の⽅法、インタビュー内容の公開⽅法と注意点、過去の経験に基づく率直な意⾒
を聞きたい旨、などを伝えた。
インタビュー・スクリプトに含まれる質問項⽬の最終版を表 3.2 に⽰す。ここで、
質問項⽬中の“有識者”とは、対象の製品開発において豊富な知⾒をもっており、レビ ュー会議や認定会議などの製品開発における重要な意思決定の場への出席が求められ るような管理者またはベテラン技術者のことを指している。質問項⽬はインタビュー 対象者に対して事前にメールで送付した。その上で、インタビュー時に、まず、各質 問項⽬に対して Yes/No で回答してもらい5、続いて「なぜ、そのように思うか?」と 尋ねることによって、回答の背景にある思いや考えを聞き出すようにした。このよう な⽅法をとった理由として、リスクマネジメントの概念は⾮常に幅広く、各インタビ ュー対象者の役割や関⼼事もそれぞれ異なるため、漠然と質問すると発散してしまい 核⼼部分にたどり着けない可能性を考慮した。⼀⽅、インタビュー結果を特定の答え に誘導してしまうのではないかとの懸念もあったが、表 3.2の質問項⽬⾃体がかなり 抽象的であるため、インタビュー結果の⽅向性を必要以上に限定しないと判断した。
5 Q9、Q10、Q11を除く.
対象者 実務年数 事業領域 インタビュー⽇時 場所
A 20年以上 社会インフラ 2019/01/24(⽊)14:15-15:00 X事業所 B 10〜19年 社会インフラ 2019/01/28(⽉)13:30-14:30 Y事業所 C 20年以上 半導体 2019/02/04(⽉)15:10-16:00 Z事業所 D 10〜19年 電⼒ 2019/02/05(⽕)11:00-11:45 Y事業所 E 20年以上 社会インフラ 2019/02/06(⽔)09:00-09:45 X事業所 F 10〜19年 社会インフラ 2019/02/07(⽊)17:30-18:15 X事業所 G 20年以上 電⼒ 2019/02/13(⽔)13:10-14:00 Y事業所
表 3.2:インタビュー(第1回)の質問項⽬
表 3.3 は、各質問項⽬に対するインタビュー対象者の Yes/No 回答の結果を⽰して いる。ただし、Q9、Q10、Q11は、Yes/Noを尋ねる種類の質問ではないため、ここに は含めていない。“Yes->No”は、最初の回答は肯定的だが、すぐ後に否定的な内容の補
⾜が続いたことを意味する。“No->Yes”は、逆に、最初の回答は否定的だが、すぐ後の 補⾜が肯定的だった場合である。斜線は、その質問に対する回答が得られていないこ とを⽰す。
表 3.3:質問項⽬への Yes/No 回答の結果 Q1 リスクマネジメントは重要か?
Q2 リスクマネジメントは難しいか?
Q3 リスクマネジメントにおいて有識者の知⾒は必要か?
Q4 リスクマネジメントにおいて有識者の知⾒の活⽤は難しいか?
Q5 有識者の知⾒の中に思い込みやバイアス(偏⾒)はあるか?
Q6 リスクマネジメントにおいて異なる⽴場間の対⽴が⽣じることはあるか?
Q7 リスクマネジメントにおいてデータの活⽤は必要か?
Q8 リスクマネジメントにおいてデータの活⽤は難しいか?
Q9 有識者の知⾒とデータの活⽤はどのように補完し合えるか?
Q10 リスクマネジメントの本質的な課題は何か?
Q11 リスクマネジメントの有効性を⾼めるには何が必要か?
A B C D E F G
Q1 Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Q2 Yes Yes Yes Yes No->Yes Yes No->Yes Q3 Yes Yes Yes->No Yes Yes->No Yes->No Yes Q4 Yes Yes Yes No Yes Yes Yes Q5 Yes Yes No Yes Yes Yes Q6 Yes Yes Yes Yes No Yes Q7 Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Q8 Yes Yes Yes Yes Yes Yes
3.3インタビュー⽬的と⽅法 51
表 3.3の各質問項⽬の細かい表現や質問の順番などについては、直前のインタビュ ーの結果をふまえて都度改良を加えている。図 3.2に、各質問項⽬の変遷を⽰す。各 質問項⽬は上から順番に実施され、括弧のついた質問項⽬は最終版とは異なる表現を
⽤いていたことを意味する。図 3.2から、インタビュー対象者BまたはCで概ね質問 項⽬の⼤枠が定まってきたこと、および、Q9はなかなか質問の表現が固まらなかった ことがわかる。
図 3.2:質問項⽬の変遷
すべてのインタビューの内容はボイスレコーダーで記録し、まず最初に、⼀語⼀句 の正確な⽂字起こしを⾏った。その上で、内容に直接関係ない間投詞の削除、意味や
⽂脈を変えない範囲での⽂章の修正(わかりやすい⽂章への書き換え、⾜りない語句 の補充、など)、特定の個⼈や組織や製品に関わる情報の削除といった前処理を⾏い、
分析⽤データとして整理して次のステップへ進んだ。
A B C D E F G
Q1 Q1 Q1 Q1 Q1 Q1 Q1
Q2 Q2 Q2 Q2 Q2 Q2 Q2
Q7 Q3 Q3 Q3 Q3 Q3 Q3
Q8 Q4 Q4 Q4 Q4 Q4 Q4
Q3 Q5 Q5 Q5 Q5 Q5 Q5
Q4 Q6 Q6 Q6 Q6 Q6 Q6
(Q9) Q7 Q7 Q7 Q7 Q7 Q7
(Q10) Q8 Q8 (Q9) Q8 Q8 Q8
(Q11) (Q9) (Q9) Q10 (Q9) (Q9) Q9
Q11 Q10 Q11 Q10 Q10 Q10
(Q10) Q11 Q11 Q11 Q11