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ドキュメント内 知財戦略事例集 (ページ 47-51)

1.特許発明の周辺を固めていく研究開発   

研究開発により有力な発明が創出された場合に、その発明について特許権を取得 するなど

持 て

を創造していくことが重要となる。このような発 究開発が促進される。 

ただし、単にやみくもに特許発明の周辺の開発を行い、特許権を取得していくとい うことでは効果的な特許群を構築できるということにはならない。ここでは優れた特許 発明を固めていく研究開発戦略を積極的に取り入れている企業の取組の

る。 

   

[47] 効果的に事業独占のための研究  

ライセンス供与せずに独占を享受する戦 略が会社の収益を増大 るために最善であると考えている。そして、特許によって効果的に事業 を 占するため 、単独 許によって独占しようとするのではなく、特許群を形成する戦略が 効果的である。仮に、他社 ス供与すると 果的な特許群をパッケージで取り 扱 方が、付加 高いロイヤリティで 与をすることができる。 

一つの有力な発明をして、特許権を取得すると、他社は、これを回避して代替技術を開発しよう 逃げようとする。そこで、「自分が他社だったら、どこを研究して、代替技術を開発しようと いう命題に基づいて、権利化しておきたい部分を浮かび上がらせ、そこを重点的に研 開発して、有力な特許群を構築している。 

 

※効果的に事業を独占するための特許群の構築 

 

     

 

当社の商品は化学分野の製品が中心であり、他社へ させ

独 には の特

しても、その効 ライセンス供 にライセン

う 価値が高く、

と周辺へ するか?」と 究

注 : 中 心 と な る 特 許 発 明 は、開発過程で生まれ た最適な態様やデータ に基づいているが、この 開発過程で捨てた態様 やデータを集めて、それ

 

中心特許 

       

2.素材(中間)部材産業における用途発明の創造 

については、自社が製造販売する 製品を使用する用途の発明も合わせて開発していくことが、自社製品の付加価値を 高

限されることになる。 

               

[48] コラム:シェア1位で好循環 

 

当社のような部品メーカーにとって、シェア1位の製品は重要である。シェア1位であることを 顧客となるメーカーにいうと、次世代製品に関連した部品の開発相談も最も早くに入るようにな る。こうした情報に基づいて研究開発を開始して、顧客メーカーのスペックに合致した特許網を 他社に先んじて構築でき、競合部品メーカーの追随を許さない。この好循環が途切れないよう にするために、顧客のスペックに合致した最適な特許網の構築に向けた指南は、知的財産部 の重要な役割である。   

 

素材、中間材料もしくは部品の製造を行う企業

めると共に、自社の事業の有利な展開に資することになる。むしろ、そのような開 発活動を行わないとすれば、自社が多額の投資を行って研究開発した成果物である 自社製品に関する発明についても、特許権を取得する意味が失われることにもなり かねない。仮に、用途発明について競合他社や顧客企業が用途発明に関する特許 権を取得してしまった場合、自社製品の販売先が大きく制

 

[49] 中間製品に用途の知財を付加して販売 

 

当社の多くの事業は、中間製品の製造・販売である。したがって、当社の研究開発の主たる対 象

する特許が生きている間は、その中間製品を当社から購入せざるを得ない状況を維持でき、当 製品のシェアを確保できる。そのためには、当社の中間製品に関する発明が創造された後は、

品をユーザーに提供する前に先行して用途発明の開発を進めて、ユーザーよりも先に権利を押 ていくことが重要となる。 

Aが、当社の ー企業に対し て、その用途発明に用いるための中間

は、「中間製品自体」および「その製造方法」である。しかし、特許が取得できるような「中間製品 自体」や「その製造方法」に関する発明を創造した場合には、さらに、開発対象として、①中間製品 を利用した最終発明(いわゆる「用途発明」など)、および、②中間製品を最終製品にするための配 合剤、③中間製品から最終製品を製造する方法、④中間製品から最終製品を製造する装置など、

下流事業に関する全ての段階の技術を含ませるようにしている。 

これにより、最終製品を製造するユーザー企業は、中間製品の特許が切れた後も、最終製品に 関

該 製 さえ

また、反対に、用途も含めて特許を取得しないと、仮に中間製品の納入先の企業 を用いた用途発明特許を取得した場合に、当社は、企業A以外のユーザ 中間製品

製品を納入することができなくなり、事業としては非常に問 題となる。つまり、企業Aの用途特許により、他のユーザー企業がその最終製品を製造できなくなる ために、実質的に企業A以外は、当社の製品を購入する意味がなくなる。 

このように、中間製品に用途の知的財産を付加して販売するのが、当社の事業戦略でもある。 

 

 

 

 

[50] 自社の機械を購入した企業には、使用方法のノウハウを提供 

提供するために活用している。当社は、機械のメ テナンスなどのアフターサービスや機械の活用のための技術指導が充実していることに加えて、

このノウハウの提供もあり、機械を購入した企業の面倒を最後までみるというビジネスモデルで成功

 

 

当社は、製造機械の製造販売を主力事業としている企業であるが、当社の機械で製造される製 品の製法も研究しており、この製法については特許出願せずに当社のノウハウとしている。このノウ ハウは、当社の機械を購入してくれた顧客企業に

してきた。 

 

[51] 材料とその成形方法を組み合わせて成功 

 

当社の製品である中間材料を用いると良好な結果が得られる成形技術についても、特許出願し、

利化しておいた。そして、当社の製品と共に、その成形技術の特許のライセンスをあわせて販売

、結果として自社製品の売上を伸ばしている。

 

 

52] 食材と調理方法を組み合わせて成功

権 し

 

[  

当社は、ある食材を開発して特許を取得し、これを製造販売する事業を行っている。さらに、当 は、この食材を使った調理方法についても開発を行い、この調理方法についても特許を取得し

。そして、この食材と調理方法の特許権をセットにして販売している。 

   

3.特許の群管理による更なる研究開発の方向性の決定 

自社特許群の構築状況と、他社特許群の状 を整理することにより、事業戦略の視点から有益な技術であると認められるにもか か

  社 た

             

[53] コラム:仕入先の事業に関する発明 

 

当社の仕入先の事業に関する発明(原料、素材、製造機械等)について、当社で開発や特 許出願を行うことに関心を持っている。当社にとっての競合他社に納入させないようにしたいと いう思いがあるからである。ただ、そのような技術について知的財産権の取得以外の別の手 法、例えば仕入先との契約による縛りなどで対処できるかどうかを検討することが現実的となっ ている。 

     

研究開発が進むことによって生まれた 況

わらず、特許群(研究開発成果)からみて空白地がある場合には、その技術につい て集中的に研究開発を行うことも効率的である。自他社特許群の整理は、更なる研 究開発を進める方向性を決定する際にも有効となる手法である。 

 

 

 

 

[5 ] 特許群の隙間に研究開発投資 4  

 

ある商品に関する研究開発に先立ち、事業部からの要請に基づき特許マップを作成した。この ップは、技術に対応する「基本特許」、「自社特許及びその契約状況(利用可能性)」、「競合他 の特許取得・出願状況」、「自社における試行実績と結果」、「その技術の利点」、「その技術の欠 点」が整理されたものである。その特許マップを見てみると技術的に有用と思われる分野に、特許 群の隙間があることに気がついた。そこで、その技術分野の開発に着手し、その開発成果物は、後

量産化までこぎ着けることができた。 

   

                 

マ 社

に    

       

[55] コラム:ある知財部長の憂い 

 

日本人は、改良技術の開発が得意だと思ってきた。しかし、他社製品をばらして解析し、これ 自社製品に適用するというアプローチは中国や韓国等の企業の方が得意としているように思

。更に、コスト削減を行う工夫も日本人より得意かもしれない。これは、日本の企業にとって脅 だと思う。したがって、知的財産権を適切に確保して、追随者との距離をできる限り大きく保 ちながら、先を行く開発を怠らないことが肝要だろう。加えて、知的財産権を尊重しつつ、他社 の良い技術に習う心も忘れてはいけない。 

を う 威

[56] コラム:博士も現場に出るのが日本の製造業の強み 

 

当社では、博士クラスの研究者であっても研究所で研究をするだけではなく、工場の現場に 出て開発業務に従事することで現場の熟練技能者の知見を吸収でき、両者は互いに刺激しな がら切磋琢磨できる。こうしたことにより、研究者は、現場に反映できる発明を創造し続けること ができるのではないかと思う。これは、日本企業に共通する強みなのではないかと思う。 

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