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本研究の目的で挙げた四つの課題の結論は、以下の通りである。

ア “畢”・“罷”・“訖”の特徴は以下の通りである。

① “畢”・“罷”・“訖”は地の文に多く用いられている。会話文での用例も極めて少 数ながら見られるが、明清白話小説においては、“畢”・“罷”・“訖”は地の文専 用と言える。地の文では、三者ともに接続用法の用例が比較的多く見られる。民 国期以前は句読点がまだ体系的に整備されていないため、会話文(実際に口に出 したものと心の中で思ったもの)と地の文などを明確に区別するために多用され ていたと考えられる。接続用法の用例は、固定化された表現がほとんどである

(“説畢”など)。

② “畢”・“罷”・“訖”三つのうち、用例数が比較的多いのは“畢”・“罷”である。

また、用例の内訳を見ると、両者は本動詞としての用例と、他の動詞の補語とし ての用例がそれぞれ一定の割合を占めている。

③ “畢”・“罷”は、“了”と併用されている用例も少数見られる。(「V+“了”+O

+“畢”/“罷”」、「V+“畢”/“罷” (+ O)+“了”」、「V+“罷”+“了”

+O」、「N+“畢”+“了”」など。)

④ “畢”・“罷”は、色々な動詞や名詞と結びつくことができる。

⑤ “畢”・“罷”が本動詞として用いられている例の中には、副詞が挿入される例が 見られる(S+副詞+“畢”/“罷”)。また、副詞は“已”と共起しやすく、否 定を表す副詞は“未”のみである。“訖”は副詞と共起できない。

⑥ 用例のタイプ別割合(動詞として使われているか、それともほかの動詞の補語と して使われているか)と、副詞が挿入される用例の割合から見ると、虚化の度合 いは、“訖”が最も高く、“罷”はその次であり、“畢”が最も低い。

⑦ 使われている用例数から見ると、“畢”が最多である。その次は“罷”で、“訖”

が最も少ない。ただ、“畢”と“罷”の間の差はそれほど大きくない。作品によ って、“畢”より“罷”が多用される場合もある(『金瓶梅詞話』は“畢”、『水滸 傳』は“罷”)。“畢”・“罷”両者と比べると、“訖”の用例数ははるかに少ない。

また、“訖”の場合、明代より、清代の用例数が減っている。

⑧ “畢”・“罷”には、先行する動詞が目的語をとる場合、Ⅰ型(VOVw)とⅡ型(VVwO)

の二パターンがある。大部分の作品においてⅠ型語順の用例数はⅡ型の語順の用 例数を上回る。一方、“訖”の場合は、先行する動詞が目的語をとることが少な く、「V+“訖”」の語順になる。

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⑨ “畢”・“罷”は共起する語彙が多く、その意味範疇も広い。一方、“訖”と共起 する語彙は少なく、ほとんどが固定表現である。

⑩ 『金瓶梅詞話』の“訖”だけが「V+“訖”+回数」の形式が用いられている。

“畢”、“罷”にはこのような用例が見当たらない。

⑪ 接続用法の用例にも、三者の間には差が見られる。“畢”の場合は、“説畢”が最 も多く、“罷”の場合は、“聴罷” が最も多い。“訖”の場合は、“説訖”と “聴 訖”はほとんど見られず、“言訖”が多く見られる。明代には“想畢”、“想罷”

という表現は見られなかったが、清代になると、見られるようになる。

⑫ “畢”・“罷”は“了”と併用できるのに対して、“訖”は“了”と併用できない。

イ 接続用法の用例は非常に多く見られ、しかも“畢”・“罷”・“訖”の用例数全体にお いても、大きな割合を占めている。これは明清以前の文献には見られないものであ る。一方“畢”・“罷”・“訖”と似たような使い方が見られる“完”には、この用法 の多用は見られない。

ウ 『金瓶梅詞話』ではⅠ型(V+O+Vw)よりも“畢”・“罷”・“訖”のⅡ型(V+Vw

+O)の語順が多用されている。この点については、その他の明清白話小説と異なっ ている。

エ “了”については、先行研究の結論から見ると、「前移説」、「後移説」は動詞によっ て、どちらかが当てはまると言える。“了”が前移したのか、後加したのかが異なる と考えている。「Vt+O+了」の語順の用例はそもそも多く存在し、この形式におい て“了”の虚化が進み、前接する動詞に対する付属性が強まり、文法的位置を変え ることができたと考えられる。一方、「Vi+O+了」の用例はそもそも存在しないの で、「前移説」の説明とは考えられない。つまり、Vtの場合は前移の可能性が高く、

Viの場合は後加の可能性が高い。“畢”、“罷”、“訖”を用いた形式に関しては、Ⅰ型

(V+O+Vw)の語順の用例が多数存在し、Ⅱ型(V+Vw+O)の語順の用例は明代 になってから、次第に多く見られるようになった。この点から見ると、Ⅰ型語順か らⅡ型語順へと変化したことが分かる。つまり、“畢”・“罷”・“訖”が先行する動詞 に密着したと考える「前移説」の説明が妥当である。“畢”・“罷”・“訖”は当初Ⅰ型 の用例が多く存在し、Ⅱ型の用例は少数であった。それに、“畢”・“罷”・“訖”は“了”

と異なり「Vi+“畢”/“罷”/“訖”」の用例がそもそも存在していない。従って、

「後加説」の説明が通用できない。

また、「終わる、終える」の意味を表す語彙の歴史については、以下のようにまとめる。

(一)先秦両漢時代から「終わる、終える」の意味を表す語が数多く存在している。“畢”・

“訖”・“卻”・“已”・“竟”・“了”・“罷”などである。

(二)南北朝時代には「終わる、終える」の意味の“卻”・“已”・“竟”三者の用例は散見 されていたが、明代になると、三者はほぼ消滅した。

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(三)唐五代には“卻”が圧倒的に多く用いられていた。一方、宋代以降になると、“了”

が次第に多く使用されるようになり、最も優勢になっている。また“了”の語順の 変化も起こった。

(四)“畢”・“罷”は「V+O」の後に付くという語順のまま、長い間使用されていた。一方、

“訖”を用いた形式は元代には語順の変化が見られ、用例数も増えた。明代になる と、“畢”・“罷”を用いた形式の語順の変化も見られた。しかし、“訖”の用例数は 減少した。

(五)南北朝時代の“了”の語彙交替と語順の変化は明代になると、“畢”・“罷”にも起こ った。しかし、依然として“了”は圧倒的に優勢であり、取って代わられたことは なかった。

(六)清代になると、“完”の用例は急激に増加し、“畢”・“罷”・“訖”に取って代わった。

(七)“完”と“了”は現代でも使われている。

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参考文献

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