• 検索結果がありません。

それぞれの意味空間設計のモデル内での役割

第 6 章 議論 78

6.1.1 それぞれの意味空間設計のモデル内での役割

0 200000 400000 600000 800000 1000000 1200000

意味変化パス総数

実験1 実験2 実験3 実験4 実験5 実験6

12

10

8

6

4

2

0

×104

意味 変 化 経路 の総 数  [ 本]

実験1 実験2 実験3 実験4 実験5 実験6 取り違え設定

共起頻度設定 貸し借り設定 ----学習

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

(.090)

.013 *

完全   replaceOFF   完全 完全 完全    完全

.036 * .027 *

図 6.1: 意味変化総数の比較 :図の下部に、各実験の意味空間の設定と学習の設定を示した。また、

図の上部の数値は、各実験間のWilcoxon検定による有意確率であり、有意水準α= 0.05で有意差が認め られる場合で示した。また有意差が認められる実験間は実線で、認められない実験間は破線で結んだ。

また、実験3(意味の取り違えをする)においても、意味変化経路の総数がかなり減少 する。この原因については6.2節で議論する。

図6.1によると、意味空間の設計として、共起頻度と意味の貸し借りが有効であったと 考えられる。以下ではこれらの実験の結果に基づいて議論する。実験1(意味空間の設計

なし),実験4(意味の共起頻度),5(意味の貸し借り),6(意味の共起頻度+意味の貸し

借り)との間で意味変化の総数について有意水準.050として検定を行った結果有意差が認 められたのは、実験1と実験5(有意確率.036)、実験1と実験6(有意確率.013)、実験4

と実験6(有意確率.027)であった。すなわち何も設計しない状態との明確な差が認めら

れたのが

意味の貸し借りのみ

意味の共起頻度+意味の貸し借り

の二つである。従って、これらの意味空間の設計は意味変化を増大させることに関して有 効であるといえる。また、実験4と6に差があることは、意味の共起頻度だけではなく、

それに意味の貸し借りを加えることが有効であることを示している。

次に、各実験においてgoから機能語になる意味変化の経路の数がどう変化したかを図 6.2に示す。縦軸に意味変化経路の総数を表している。まず、意味空間の設定のない実験1

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000

1 2 3 4 5 6

go → past go → present go → future 8

6

4

2

0

×103

変 化経 路 の数  [ 本]

.000 *

.000 *

.825

.531

実験1 実験2 実験3 実験4 実験5 実験6

取り違え設定 共起頻度設定 貸し借り設定 ----学習

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

完全   replaceOFF   完全 完全 完全     完全

図 6.2: goから機能語になる意味変化経路の各実験設定間の比較 :図の下部に、各実験の意 味空間の設定と学習の設定を示した。また、図の上部の数値は、各実験間におけるgoから各機能語になる 意味変化の経路の間の3群間Kruskal-Wallis検定による有意確率であり、有意水準α= 0.05で有意差が認 められる場合を付した。

では、変化経路〔go−→p past〕、〔go−→p present〕、〔go−→p f uture〕の三者間の

Kruskal-Wallis 検定による有意な差がない(有意確率.531)。次に、意味空間を設定することで、

実験4(意味の共起頻度のみ)、実験6(意味の共起頻度+意味の貸し借り)においては

この三者間に有意な差が認められた(有意確率.000)。ただし実験5(意味の貸し借りの み)においては、この三者間に有意な差が認められなかった。すなわち、何も設計しない 状態との明確な差が認められたのが

意味の共起頻度のみ

意味の共起頻度+意味の貸し借り

の二つである。従って、これらの意味空間の設計は〔go−→p f uture〕の変化経路の増大に 有効であることが示された。

以上のことから、意味の共起頻度と意味の貸し借りという意味設計は、表6.1にまとめ られるような違った種類の役割をもつと考えられる。

従って、本モデルで有効な意味空間設計として、意味の貸し借りを設定することで意 味変化現象を活発にし、意味の共起頻度を上げることで特定の要素間(ここでは【go】と

【f uture】)の経路を増やすという方法が考えられる。狙った変化経路〔go−→p f uture〕の

表 6.1: 有効な意味設計とその役割

意味設計 意味変化の増大 特定の要素間の変化の増大 意味の共起頻度 有効とは認められない 有効

意味の貸し借り 有効 有効とは認められない

増大に最も効果的だったのが、両方の作用が含まれた実験6であったことがこれを裏付 ける。