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⑵ 第 二

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 五 ︶ (ページ 99-102)

部﹁

﹃自 然﹄ とい う概 念﹂

①第 一章

﹁﹃ 自然

﹄の 語の 二つ の意 味﹂ につ いて

﹁自 然﹂ の語 には

︑﹁ 自 ラ然 リ﹂ の意 味で

︑副 詞・ 形容 詞・ その 名詞 化し たも の︑ およ び︑

﹁自 然界

﹂の 意味 で︑ 人為 によ るも の以 外の 全存 在の 総称

︵集 合名 詞︶ の二 種が ある

︒語 源的 には 前者 が古 く古 代・ 中世 に使 われ

︑後 者 は近 代に 入っ てで きた 訳語 であ る︒ 前者 は︑

﹁お のず から

﹃続 日本 紀﹄

︑︶

﹁ひ とり でに

﹃枕 草子

﹄︶

︑﹁ 天性

﹃古 今和 歌集

﹄︶

︑﹁ 本性

﹃太 平記

﹄︶ の 意で ある

︒何 れも

︑﹁ 人間 の力 が及 ばぬ 世界 で﹂

︑水 の流 れ︑ 草木 の自 生な どに 使わ れる

︒ 後者 は︑ ネー チャ ーの 訳語 で自 然界 のこ と︒ 人間 の営 為に よる 社会

・文 化を 除く

︑天 地と その 間の 万物

・万 象︒ 人間 と無 関係 に存 在す る外 界︒ 人間 社会 をと りま く環 境的 外界

︒都 市に 対す る農 村・ 山野 のこ とな どに 使わ れる 集 合名 詞で

︑現 在の

﹁自 然観

﹂﹁ 自然 科学

﹂﹁ 自然 観察

﹂﹁ 自然 保護

﹂﹁ 自然 環境

﹂﹁ 自然 改造

﹂﹁ 自然 破壊

﹂な どの

﹁自 然﹂ は︑ みな この 訳語 であ る︒

﹁シ ゼン

﹂︵ 漢音

︶と よむ も﹁ ジネ ン﹂

︵呉 音︶ とよ むも

︑意 味は 同じ

︒後 者の 典型 例は

︑親 鸞の

﹁自

﹂で あ る︵ 第一 節︶

︒ ヨー ロッ パ諸 語に おい ても

︑﹁ 生ま れつ き﹂

﹁本 性﹂

﹁生 成力

﹂︑ およ び﹁ 万物

﹂﹁ 自然 界﹂ の二 義が あっ た︵ 第二 節︶ 洋 ︒ の東 西を 問わ ず︑ 如上 の二 義が 発生 した のは 何故 か︒

﹁そ れは 人間 の自 然認 識の 過程

︑人 類の 自然 認識 の深 化・ 発展 の過 程そ のも の﹂ が二 義を 生ん だの であ る︒ 即ち

︑人 間は 自然 物を 観察 した とき

︑﹁ おの ずか ら成 るも の﹂

﹁生 成力

﹂と 認識 する

︒次 いで

︑﹁ おの ずか ら﹂ な認 識を 蓄積 した 上で

︑そ こに 共通 性・ 同質 性・ 普遍 性を 見出 し て︑ それ ら全 体を 概括 して

﹁自 然﹂ と呼 んだ から であ る︒ 従っ て﹁ 自然

﹂の 二義 とは 二つ の意 味で はな く︑ 人間 の 認識 過程 の二 段階 を意 味し てい るこ とに なる

︒﹁ 自然 性﹂ から

﹁自 然界

﹂へ の進 化の 過程 には

︑ア ニミ ズム

︑神

観 念︑ 造物 主観 念が 介入 して いる こと は︑ 読者 にも お判 りだ ろう

︵第 三節

︶︒

自然 界の こと を自 然と いう 観念 は︑ 古代

・中 世に はな く︵﹁ 自 ラ然 リ﹂ の意 で︑

﹁ひ とり でに そう なる

﹂﹁ ある がま ま﹂ のこ と︶

︑当 時は

︑﹁ あめ つち

﹂﹁ 天地

﹂﹁ 造

﹂等 々と いっ た︒

﹁自 然﹂ と称 した のは

︑安 藤昌 益の

﹃自 真営 道﹄

︵一 七五 三年

︶が 最初 であ るが

︑江 戸時 代に は︑ ほと んど 知ら れず

︑狩 野亨 吉が 一八 九九 年に 発見 し︑ 戦後

︑ノ ーマ ンに 紹介 され 有名 にな った

︵詳 しく は﹃ 日本 歴史 大事 典﹄

︒︶ もっ とも

︑ヨ ーロ ッパ で自 然界 の意 の自 然概 念が 確 立し たの も︑ 一八 世紀 のフ ラン ス百 科全 書派 によ って であ る︵ 第四 節︶

②第 二章

﹁自 然界 のさ まざ まな 呼び 名﹂

﹁自 然﹂ は和 語に も漢 語に もな い︒ そこ で和 語の

﹁天 地﹂

﹁乾 坤﹂

﹁造 化﹂

⁝⁝ につ いて 検討 し︑ なぜ

﹁自 然﹂ 概 念が 成立 しな かっ たの かを 論ず る︑ と︒ まず

︑古 くか ら最 も多 く使 われ たの は﹁ 天地

﹂の 語で ある

︵﹃ 記紀

﹄﹃ 万葉 集﹄ あめ つち

︒︶

﹁天 地﹂ は上 下の 意が あ り﹁ 天﹂ が上 位で ある から

︑自 然界 は﹁ 上天

﹂に 集約 され て︑

﹁天 地﹂ と﹁ 万物

﹂は 別物 とい う思 考が 働い てい た

︵第 一節

︒︶

﹁乾 坤﹂ は易 学上 の言 葉で あり

︑﹁ 乾ヲ 天ト 為シ

︑坤 ヲ地 ト為 ス﹂

︵﹃ 易経

﹄︶ とあ る︒

﹁乾 坤一 擲﹂ は今 でも 使わ れ てい る︵ 第二 節︶

﹁﹃ 宇宙

﹄と は︑ 古今

・世 界の 総体 のこ と﹂

﹃荘 子﹄

﹃荀 子﹄

︶︒

﹁往 古来 今︑ 之ヲ 宙ト 謂ヒ

︑四 方上 下︑ 之ヲ 宇ト 謂 フ﹂

︵﹃ 准南 子﹄

︶︒ 宇が 空間

︑宙 が時 間で

︑自 然界 の無 限の 広が りと 永遠 の流 れを 表し てい る︒ しか し︑

﹁万 物﹂ は 含ま れず

︑自 然の 実体 を表 現で きて いな い︒

﹃日 本書 紀﹄ にい う﹁ 宇宙

は天 下の 意で ある

︵第 三節

︒︶

﹁世 界﹂ はサ ンス クリ ット の漢 訳語 で︑

﹁三 千大 千世 界﹂ のこ と︒

﹃傍

経﹄ に﹁ 世ハ 遷流 ヲ為 シ︑ 界ハ 方位 ヲ為 ス﹂ とあ り︑ 時間

・空 間を 合し た﹁ 宇宙

﹂と 同義 であ る︒ 古い 日本 では

﹃竹 取物 語﹄

﹃蜻 蛉日 記﹄

﹃源 氏物 語﹄ など で︑

﹁宇 宙﹂ の意 で使 われ てい る︒ 現代 では

︑地 表上 の諸 現象 とな り︑ 天体 は除 かれ た︒ だか ら︑

﹁星 の世 界﹂ とい

わね ばな らな い︒ また

︑社 会現 象を 中心 にし た国 際関 係の 全範 囲を いい

︑自 然界 とは 無関 係で ある

︵第 四節

︒︶

﹁造

﹂と は︑ 万物 を創 造し 化育 する こと で︑ 造り ださ れた 森羅 万象 の意 とも なる が︑ それ を為 す力 もし くは 者 のこ とを いう

︒初 出は

﹃荘 子﹄

︵﹁ 偉ナ ル哉

︑造 化﹂

︶で

︑造 物者 のこ と︒ 日本 では

︑記 紀︑

﹃本 朝文 粋﹄

︑﹃ 神皇 正統 記﹄

︑﹃ 笈の 小文

﹄︑

﹃お くの ほそ 道﹄ など

︑﹁ 天地 自然

﹂の 意に 多用 され てい るが

︑天 地そ のも ので はな く︑ それ を 創造 する 者の 力の 意味 に傾 いて いる

︵第 五節

︶︒

﹁風 土﹂ とは 特定 の地 域圏 の気 候・ 地味

・地 勢・ 産物 など のこ とで

︑自 然そ れ自 体で はな く︑ 社会

・文 化の 自然 環境 を意 味す る︒ 似た 言葉 に﹁ 風水

﹂と いう 語が ある

︒﹁ 天の 風気

︑地 の水 気﹂ のこ とで

︑風

・水 が生 活に 与え る 影響

︑つ まり

﹁自 然﹂ を意 味し

︑中 国で 地相 術と して 広く 使わ れた

︵第 六節

︶︒ 地上 の自 然に つい て﹁ 山河

︵山 川︶

﹂と いい

︑﹁ 山水

﹂と いう こと があ る︵ 第七 節︶

﹁万 物﹂ は︑ 自然 界に ある すべ ての 事物

・現 象を 意味 する が︑

﹁天 地﹂ は含 まれ ない

︵第 八節

︶︒ 以上 のよ うに

︑自 然界 につ いて は︑ さま ざま な呼 び名 でい われ てき たが

︑天 地系

・万 物系 に分 けて 考え れば

︑両 者は 洋の 東西 をと わず

︑古 くか ら別 物と 考え られ てき た︒ しか し︑ 双方 を同 じ自 然物 と考 える よう にな らな けれ ば︑

﹁自 然﹂ の観 念は 成立 しな い︒ この 人間 の自 然認 識に つい ての 問題 が︑ 本書 の後 半と なる

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 五 ︶ (ページ 99-102)

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