• 検索結果がありません。

⑴ 前 者

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 五 ︶ (ページ 77-82)

は一 二編 の論 稿を カタ ログ の冒 頭に 記す

①﹁ 西洋 美術 と空 間の 知覚

E・ H・ ゴン ブリ ッチ

﹁絵 画に おけ る空 間は

︑個 々人 の想 像力 の問 題な ので ある

︒こ の単 純な 事実 を多 数の 概要 的な 線描 画に よっ て示 すこ とは

︑容 易で ある

﹂︒

﹁物 体が 空間 内に ある とい う解 釈を もた ない 芸術 的表 現形 式は あり えな い﹂

︒こ れは

︑先 史時 代の 洞窟 画も 古代 エジ プト 画に もあ ては まる

︒そ のな かで

︑極 東美 術が 描き 表し た自 然の イメ ージ を包 む空 間 を暗 示す る方 法は 見事 な成 功を 収め てき たが

︑﹁ 西洋 美術 にお ける 空間 表現 はひ とつ の特 別な 問題

︑す なわ ち光 学 と知 覚の 学と に関 係づ けら れる べき 問題 とし て見 られ た﹂

︒つ まり

︑空 間の 三次 元的 効果 は光 と陰

︵明 暗の 諧調

︶の 巧妙 な扱 いに よっ て達 成さ れる とさ れて きた が︑ 一五 世紀 初め にフ ィリ ッポ

・ブ ルネ レス キに よっ て行 われ た幾 何 学的 光学 の実 験に よっ て︑ 遠近 法

が空 間の 表現 に決 定的 役割 を演 ずる こと

︵レ オン

・バ ッデ ィス タ・ アル ベル ティ

﹃絵 画論

﹄一 四三 五年 では

﹁法 則的 作画 法﹂

︶が 明ら かに なっ た︒ この 作画 法は 一九 世紀 には 極東 にま で影 響を 与え たが

︑そ の前 提に は物 の形 につ いて の予 備知 識が 必要 とい う仮 定が 存在 して おり

︑想 像上 の情 景に は現 実を 離れ た無 数の 空間 的脚 色を 表現 しう ると いう 問題 があ った

︵も のの 形

が平 面上 に輪 郭線 で描 かれ ると 多数 の解 釈を 可能 にす ると いう 欠点

︒︶ そこ で︑ 空間 にお ける 位置 判定 のた めに 光と 影 のコ ント ラス ト︵ 離れ てい る物 体よ り近 くの 物体 の方 が強 くみ える に︶ よっ て奥 行を 示す こと にな る︵ 空気 遠近 法と し て知 られ る︶

︒そ れで も実 際の 水平 線は 曲線 なの に︑ 絵で は一 本の 直線 とし て表 現し てい るの で︑ 平面 のカ ンヴ ァ スに 描か れた 風景 画は 知覚 的経 験を 再現 して はい ない こと にな る︒ パノ フス キー は︑ 直線 を真 っ直 ぐに 表す とい う古 典的 方法 は非 現実 的で ある と断 定し た︵

﹁象 徴的 形式 とし ての 遠 近法

﹂と いう

︒︶ また 一点 の静 止し た目 でみ た遠 近法 では

︑見 る人 が同 じ視 点に 目を おか なけ れば なら ない が︑ 見て いる 人が どの 位置 にた とう とも 肖像 画の 目は こち らを 指し てい ると いう 錯覚 に陥 って いる

︵知 覚的 不変 性︶

︒そ れ は︑ 見る 人の 移動 に従 って 変化 する 物体 の位 置に 対し て︑ 想像 上の 空間 をみ てい るか らで ある

︒つ まり

︑遠 近法 は 視覚 と知 覚の ズレ を利 用し てい るわ けで

無垢 の目

と は視 覚的 経験 を忠 実に 描く 法を わが 物に する しか ない と いう こと にな るだ ろう

⁝⁝ と︒

・こ のよ うに 空間 描法 につ いて

︑余 りに も科 学的 に考 えよ うと する 西洋 画で は︑ 無機 的・ 技術 的と なり

︑感 情を 重ん ずる 日本 人の 芸術 観か らは かけ 離れ てし まう だろ う︒ もっ とも

︑そ れが

︑現 代の コン ピュ ータ ー社 会に 見合 う芸 術だ とい う なら ば何 をか 言わ んや だ‼

②﹁ 西洋 美術 とそ の古 代観

ジュ リオ

・カ ルロ

・ア ルガ ン︶ 冒頭

︑東 西両 美術 の相 異に つい てい う︒ 東洋 美術 は︑ 主題

・様 式に つい て何 世紀 にも わた って 伝承 され た︵ 筆 者・ 西洋 に較 べて 伝︶ 統の 不変 性と 連続 性を 有す るの に対 し︑ 西洋 美術 は︑ 起伏 に富 み︑ 苦悩 に溢 れ︑ つね に飛 躍 を試 みる もの の︑ 絶え ざる 回帰 と危 機を 経験 して いる

︑と

・筆 者は 思う

︒日 本の 場合

︑時 代変 化︵ 公卿

︱武 士︱ 四民 平等 へ︶ によ る社 会変 動は 文化 の輻 輳を 招い ただ けに 終わ り︑ 西欧 のル ネッ サン スの よう な文 化遺 伝子 の変 化を もた らさ なか った こと に︑ 比較 文化 の骨 子が ある と思 う︒

西洋 文化 にお いて は︑ ギリ シャ 神話 やロ ーマ 諸観 念に とっ て必 須の 役割 を演 じた 審美 観と 芸術 は︑ ロー マ帝 国の 崩壊 後︑ キリ スト 教道 徳に 反す ると して 否認 され た︒ 中世 千年 の造 形美 術は

︑東 方の ビザ ンチ ン文 化と 西方 のロ マネ スク

・ゴ シッ ク文 化で ある

︒後 者の 文化 の最 大哲 学者 は︑ いわ ずと 知れ たト マス

・ア クィ ナス で︑ 市民 が都 市を 建設 する さい の芸 術的 性格 に強 い影 響を 与え

︑ジ

ット の出 現に よっ て完 成さ れた とい う︵ 三一 頁︶

︒ ルネ ッサ ンス では

︑宗 教改 革を 惹き 起こ し︑ ゴシ ック 様式

︵語 源は 非文 明的 と考 えら れた

﹁ゴ ート 族の

﹂の 意︶ も 非ラ テン 的で ある と

視さ れて

︑有 機的 なヨ ーロ ッパ

︵国 民文 化の 連合 体︶ の観 念が 取っ て代 わっ た︒ 芸術 では

︑ 客観 性の 追求 と現 実認 識が 重視 され

︑一 五世 紀初 めに はフ ィレ ンツ ェと フラ ンド ルが

︑一 方は 急進 的で 理論 的な

︑ 他方 は優 雅で 暗示 的な

︑後 期ゴ シッ クを リー ドし た︒ アル ベル ティ の遠 近法 的空 間理 論が

︑印 象主 義に 至る まで

︑ 美術 制作 の基 本図 式で あり 続け たこ とを 知る 読者 は多 いと 思う

︒あ とは ルネ ッサ ンス 芸術 家の 特徴

⁝⁝

︑カ ラヴ ァ ッジ

の 写実 主義

⁝⁝

③﹁ 古代 ギリ シャ 美術 と空 間﹂

︵イ オア ニス

・A

・サ ケラ ラキ ス︶

ミ ュケ ナイ 文明

ア ルカ イク 美術

神殿

・彫 刻︶

︑と くに アテ ネの アク ロポ リス のパ ルテ ノン

︵紀 元前 五世 紀︑ 美と 大き さの 調和

︑浮 彫に みる 遠近 法︶

︑紀 元前 四世 紀の 個人 的特 徴を 示す 肖像 彫刻

︒ギ リシ ャ美 術は アジ アの 辺境 にま でヘ レニ ズム の刻 印を うち こん だ︵ 五一 頁︶

︒肖 像彫 刻は その 最た るも の︵ 仏像 彫刻 はと くに 有名

︶で ある

④﹁ イタ リア とロ ーマ

リチ ア・ ヴラ ッド

・ボ レ リ︶ ロー マ美 術は

︑ロ ーマ が支 配す る版 図全 体の 美術 を取 り込 む傾 向を 有し てお り︑ その 表現 形態 は版 図の 周辺 から 中央 へ遠 心力 と求 心力 をも って 作用 し︑ 相互 的影 響関 係に あっ た︒ が︑ ギリ シャ の影 響の 強さ は読 者も 承知 であ ろ う︒ コリ ント スか ら移 住し た美 術家 によ るエ トル リア の造 形美 術︵ 構築 的な 人体 表現 の青 銅像 に特 徴を もつ

︒か の有

名な

﹁カ ピト リー ノの 狼﹂ も︶ がい い例 であ る︒ 遠近 法︵ 言葉 はル ネッ サン スで 初め て使 用さ れた は︶ 紀元 前五 世紀 から ギリ シャ 人に 知ら れて おり

︵ス ケノ グラ フィ ア= 舞台 画と よば れた

︶︑ ポン ペイ 壁画 も舞 台画 の影 響を うけ てい る︵ 五七 頁︑ パノ フス キー は単 純な 幾何 学的 整合 性に 由来 する

﹁均 質な 空間

﹂に つい ての 哲学 的概 念で ある とい う︶

︒ ロー マ美 術は

︑ヘ レニ ズム の造 形法 を基 にし なが ら︑ 視界 の奥 行は 形象 の曲 線上 に配 置す る︵ ギリ シャ では 観る 者に 並行 する 一直 線上 に配 する と︶ いう

︑そ れと は異 なる 空間 性を 確立 した

︒そ の代 表例 を︑ われ われ はト ラヤ ヌス 記念 柱に みる こと がで きる

︒そ して

︑観 る者 が標 的と する 一種 の逆 遠近 法︵ コン スタ ンテ ィヌ ス記 念門 浮彫

︶︑ 抽象 性・ 象徴 性を 付加 した 肖像 彫刻

⁝⁝ と変 化し

︑ヘ レニ ズム 文化 の伝 統的 規範 は変 質し てい た︒ キリ スト 教の 布教

︑西 ロー マ帝 国の 滅亡 によ り︑ 古典 美術 の系 譜は 断ち 切ら れ︑ ビザ ンチ ン美 術・ 中世 美術 への 道が 拓か れた

︵五 九頁

︶︒

⑤﹁ 古代 建築 にお ける 空間 の解 釈﹂ ジョ ルジ ョ・ グッ リー ニ︶ 人間 活動 の所 産は 一定 空間 の中 に実 現・ 具体 化さ れる ので ある から

︑空 間と は︑ 人間 が自 らの 創造 力を 測る 尺度 の一 つで ある が︑ 所産 の解 釈に つい ては 複雑 多岐 にわ たる とい う点 に人 間と 空間 の関 係が 存在 する

︑と 冒頭 にい う︒ が︑ 動産 とし ての 生産 と建 造物 の造 営と いう 区別 があ り︑ 後者 は有 史以 前︵ 古く は前 四千 年紀 のシ ュメ ール 建 築︶ より 豊か さと 権力 の象 徴で あっ た︒ 空間 解釈 の最 初の 革命 はギ リシ ャ文 明の 幾何 学文 様式 の時 代︵ 前九 世紀 から 前八 世紀 末ま で︶ に起 こっ た︒ 高さ

・ 長さ

・奥 行の 三次 元が 総合 され る空 間解 釈の 確立 であ る︒ こう して 直角 の規 範が 生ま れ︑ 建築 と都 市計 画︵ 第七 章 で詳 しく 述べ る︶ に幾 何学 文様 式の 時代 が始 まる

︒建 築に おけ る部 屋の 定型 オイ コス

︵平 面矩 形で 短辺 に入 口が ある

︶ の立 体感 が生 まれ

︑そ れが 平面 プラ ンを 基盤 にし た建 築法 に発 達し てゆ く︒

﹁こ の幾 何学 的起 源は

︑ギ リシ ャの ア

ルカ イク 期お よび 古典 期の すべ ての 建築 の中 で発 達し

︑本 質的 には 建築 様式 全体 を規 制す る程 であ った

六四 頁︶

︒列 柱建 築の リズ ミカ ルな 反復 も立 体感 から のも ので あり

︑ギ リシ ャ文 明を 特徴 付け る空 間の 三次 元的 解釈 は︑

論 理的 構図

と 呼ば れ︑ 精神 的示 唆か ら直 接的 処理 に発 展し

︑都 市計 画の 街割 り法 を造 形美 術の 分野 でも 実現 し た︵ 市街 地の 中心 は広 場で はな く市 街地 を横 断す る街 路と なる

︒︶ この よう な空 間解 釈は ロー マ建 築に も残 り︑ ルネ ッサ ンス も︑ この 空間 解釈 を高 く評 価し てい る︒ が︑ ロー マ皇 帝ネ ロの 治世 から 都市 のイ メー ジが 変わ り︑ 新し い空 間概 念が 現れ て︑ トラ ヤヌ スの 大造 営事 業が 始ま る︒ アポ ロ ドロ スに よる 広場 と列 柱道 路の 組み 合わ せに よる 都市 空間 であ る︒ 空間 の三 次元 的解 釈は 姿を 消し

︑機 能的 な都 市 観に 基づ く空 間結 合の 実現 であ った

︵現 在も 残る

﹁ト ラヤ ヌス の市 場﹂

︶︒ 利用 可能 な空 間の 相関 的結 合が 本質 的要 素 とさ れて

︑視 覚的 には 二次 元に 回帰 した

⑥﹁ 中世 の美 術に おけ る空 間﹂

︵ヴ ィリ バル ト・ ザウ アー レン ダー

︶ ロー マ時 代の 壁画 が︑ 絵画 空間 に建 物や 人物

・動 物を 包み 込ん でい るの に対 し︑ カロ リン グ朝 時代 のペ ン素 描で は︑ 山・ 木・ 建物 は物 語情 景の 道具 立て とし て統 合さ れて いる よう に思 う︒ とく に一 一世 紀の 社会 にお いて は︑ 土 地・ 自然 は実 用の 対象 とみ られ 精神 主義 的要 素と 呼ぶ こと はで きな い︒ また 次世 紀に おい ても

︑絵 画表 現は 伝説 や 歴史 物語 の忠 実な 視覚 的報 告で あっ て︑ 空間 的イ リュ ージ

ン は最 小限 にと どめ られ てい る︒ さら に︑ 一三 世紀 に は︑ ゴシ ック 大聖 堂に みら れる よう な建 築革 新が 行わ れた が︑ 絵画 にお ける 空間 表現 に新 しい 展開 はみ られ ない

︒ 他方

︑ゴ シッ ク美 術の 発展 から とり 残さ れた イタ リア では

︑一 三世 紀末 に行 われ たフ レス コ画 の修 復か ら﹁ 空間 の再 生﹂ が一 四世 紀か ら行 われ

︑パ ドヴ ァの アレ ーナ 礼拝 堂に おい て﹁ 絵画 空間

﹂の 再生 が完 結し た︵ ジョ ット

︶︒ 自然

・風 景の 美を 享受 し始 め︑ 風景 画と して 制作 され た︒ 一五 世紀 の﹃ ペリ ー公 のい とも 豪華 なる 時禱 書﹄ にみ ら れる

色 合い の変 化に よる 遠近 表現

で は︑ 拡が りの イリ ュー ジ

ンが あり

︑光 と空 気に 満た され た風 景が

︑自 然

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 五 ︶ (ページ 77-82)

関連したドキュメント