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(c)

図5−8・10阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経回変化

上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初;期

1ミリ降雨の濃度変化

5.7 阪神地区におけるイオンの地理的変化

 図5−9−1から図5−9−10は各採水地点間における各イオンの年間 平均濃度の違いについてグラフ化したものである。

 「5.6 阪神地区におけるイオンの季節的変化」において記し たように、雨滴に対するイオンの取り込まれ方に違いが見られるこ

とから、5.6に示された3つのグループにわけて地理的変化をみ

てみた。

(1)Washout由来の物質とされたもの

(A>NO3一について(図5−9−1)

 図5−9−1〈a)に示した1週間降雨の濃度変化をみると、小松小学 校において若干濃度が高いものの、大きな違いはみられず、この傾 向は、図5−9−1(b)のおける初期1ミリ降雨の濃度変化でも同じで

ある。

 都市部では一様に交通量が多く、人間活動や風の影響などにより 大気中で拡融されている可能性が考えられる。このことから、年間

を通して見た場合、今回測定した地域の範囲では採水地点による違 いが認められなかった可能性がある。

〈B)nssSO42一について〈図5−9−2>

 図5−9−2(a)に示された1週間降雨における濃度変化についてみ

ると、小松小学校を除いて地点間における濃度差はほとんど認めら

れない。同様に、図5−9−2(b)に示された初期1ミリ降雨における

濃度についても、大きな差は認められなかった。小松小学校では、

このnssSO42一、前節のNO3一とも1週間降水の方で大きくなって いることから、後続の雨で補給されていると考えられ、この付近に 発生源がある可能性を示している。

 今回は降雨時の風向を測定していないため、風向きとイオン濃度 の関係について正確なことは言えないが、阪神地区における例年の 風向を調べると、北よりの風または南西の風が多い(付録2)ことが 報告されている。また、西宮市が過去に調査した大気中の汚染物質 についての風向別濃度をみると市中心部からみて南東の方向からの 風の時、汚染物質の濃度が最も高くなる結果がでている(付録3)。

採水地点を示した地図にもあるように、採水地点の東側、尼崎港付 近は発電所やガラスエ場、その他工場が多数存在する工場地帯であ

り、そこからの排ガスの影響が出ている可能性が考えられる。

 これら以外に、この付近上空が伊丹空港の飛行コースにあたる(付 録4)ことなどから、航空機の排ガスや大気の拡散なども考慮すべき だと考えられるがこの点については、調査方法や時間的関係で検証 することはできなかった。

〈C)nssC a 2+について(図5−9−3)

 図5一一9−3(a)に示された1週間降雨における濃度変化についてみ

るとnssCa2+については、小松小学校から池尻小学校にかけて比

較的濃度が高くなっている。この傾向は図5−9−3(b)において示さ

れている初期降雨の濃度変化を見た場合についても同じである。こ

れは、初期降雨と後続の雨で、nssCa2+の地域的な発生の仕方に違

いがないことを示すもので、むしろ初期降雨で大気中に浮遊してい たnssC a2+が洗浄除去され、それが1週間降水では降水量の拡大 により薄まった影響が出ているものと考えられる。

 通常Ca2+の供給源としては道路粉塵やコンクリートなどからが 考えられるが、都市部ではいたるところに道路があり、交通量も多

く、マンションや一般家屋の建設工事が行われているのに加え、土 壌からも供給される。採水地点を示した地図にも示した通り、今回 最も濃度が高かった武庫北小学校の近くには国道171号線が大き

く迂回しており、これに南北に交わる武庫川沿いの沿道が走り尼崎 宝塚線の迂回路として交通量も多い。さらに採水器具の設置した場 所のすぐ;横に坂道があることから複合的に、nssCa2+の濃度が高く でている可能性がある。

 同じWashoutの傾向を示すイオンでありながら、 NO3一やSO42 一と異なり、Ca2+の場合、場所による濃度の違いがはっきりと表れ

ている。この点について、Ca2+イオン含む物質の粒子が大きいた め拡散されにくく、局所的な濃度変化が表れているのではないかと 思われる。

(2)Rainout由来の物質とされたもの

(D)C「(図5−9−4)について

 図5−9−4〈a)にある1週間降雨の変化をみると小松/」・学校と末成

小学校において濃度が高くなっている。図5−9−4(b)に見られる初

期1ミリ降雨の濃度変化では、小松小学校から武庫南小学校にかけ

ての濃度が、武庫小学校から美座小学校よりも大きい。1週間降雨 における小松小学校から武庫南小学校にかけての濃度の増加は初期 降雨と同じであるが、1週間降雨における末成小学校付近での濃度の 増加は、後続の雨により補給されたことを可能性を示している。

(E)Na+についてく図5−9−5)

 ほぼ、Cl一と同じ傾向を示している。図5−9−5(a)にある1週 間降雨の変化をみると小松小学校と末成小学校において濃度が高く

なっている。図5−9−5(b)に見られる初期1ミリ降雨の濃度変化で は地域間の格差は高須南小学校から武庫南小学校項にかけての濃度 が、武庫小学校から美座小学校よりも若干大きくなっているものの 大きな差は見られない。

 このことから1週間降雨に見られる2っの小学校で見られる濃度 の増加は後続の雨から補給されたと考えられる。

(F)Mg2+についてく図5−9−6)

 図5−9−6(a)における1週間降雨の濃度変化、5−9−6(b)にお ける初期1ミリ降雨の濃度変化ともに、Na+イオンと同様の傾向が み6れる・

 C「、Na+、 Mg2+の各イオンについて、人為的な発生源が近 くにない場合、そのほとんどは海塩起源とされている。この場合、

海に近いところではこれらのイオンの濃度が高くなり、海から離れ

るに従い濃度は小さくなるはずである。しかし、最も海側にある高

須南小学校について、初期1ミリ降雨における濃度、1週間降雨に おける濃度ともに小松小学校に比べて濃度が低い。この原因につい ては今後検討する必要がある。

 小松小学校から武庫南小学校までの間に濃度のピークが見られる のに加え、池尻小学校から末成小学校付近でも濃度の増加が認めら れる。池尻小学校から末成小学校付近でこれらイオンの人為的発生 源となるものについては、池尻小学区の北約2kmの武庫川沿いの地 点に宝塚市クリーンセンターがある。そこから武庫川を挟んだ西側 約1kmにある末成小学校で濃度が高く、C「やNa+の濃度が南 側に下るにつれて、小さくなっている。C「については、ゴミの焼 却時に発生するガスとの関連が考えられるが、Na+については説明

できない。

(3)WashoutやRainoutに区別できないもの

(G)NH4+について(図5−9−7)

 図5−9−7(a)に示された1週間降雨における濃度変化についてみ ると、小松小学校、武庫小学校、末成小学校においで濃度のピーク が認められる。図5。9−7(b)にある初期降雨の濃度変化を見た場合、

小松小学校では濃度が著しく大きい傾向は同じであるが、武庫小学 校や末成小学校については濃度が小さい。これはNH4+が初期1ミ

リ降水に寄与する過程と、後続の雨が供給する過程の2つがあるこ

とを示していると考えられる。即ち、NH4+はWashoutとRainout

の両方で雨水に吸収されているように思われる。

 例えば、NH4+は硫酸アンモニウムになると雨滴の凝結核として 働く。(B)のnssSO42一濃度について地点間の濃度をみると、小 松小学校で高い濃度を示していた。このことから、大気中に存在す るNH4+がSO42}と反応し、凝結核となって降下した可能性も考

えられる。

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