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兵庫県尼崎市周辺における雨水の調査と化学的特徴についての研究

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(1)平成10年度. 修士論文題目. 兵庫県尼崎市周辺における雨水の調査と 雨水の化学的特徴についての研究. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 教科・領域教育専攻 自然系コース M97611D. 田中優i至. 主任指導教官 木原 寛 指導教官. 尾関 徹.

(2) 目次 1.緒言. 一一一一…一・一一一一……一一一一一一一…一一一・一一一一…一一一一…一一一一一一一1. 2.雨水の汚染過程. 一一一一一一一一“’‘一一一一一一一””一噛一一一一一‘一一一一一一一一一ロー一’”一p4. 2.1 雨水に含まれるイオンと発生起源 2.2 汚染物質の輸送・変質・沈着経路. 2.3 酸性雨の定義 3.採水方法と採水地点および期間一_一一一一.一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一12. 3.1 採水方法・器具について. 3.2 採水期間. 3.3 試料数 3.4 採水地点 3.4.1 兵庫県阪神地区. 3.4.2 兵庫県社町 4.分析方法と測定項目 一一一・一一一・一一一…一一…一一一…一一一一・一一一一一一一一一一一 16. 4.1 イオンクロマトグラフ法 4.2 pHメーター法(ガラス電極法) 4.3 電気伝導度法(EC). 5.結果と考察 5. 1. イオンバランス. …d・・一L一一一一一一…・…一一一一一一一一一一一…一一一一・18. 5. 2. pHの度数分布について 一・一一一一……一一一一一…一一一…一一一一一一’ 22. 5. 3. pHと電気伝導度の関係 ……一一一一一一一一一一…一一一…一一一一一24. 5. 4. pHと降水量の関係. 5. 5. 酸性化・アルカリ性化物質の影響について …一一一一一一一28. 5. 6. 阪神地区におけるイオンの季節的変化について 一一“一…一一38. 一一一一一…一一一一一一一一一一・一一一一一一一…… 26. 5.. 6.1 Washout由来の物質. 5.. 6.2 RainQut由来の物質. 5.. 6.3 WashoutやRainoutに区別できないもの.

(3) 5.7 阪神地区におけるイオンの地理的変化について 一一一一一一・一一一一…・58. 6.雨水を用いた化学的特徴の研究について 一一一一…一一一・一一一一一一・一一一t一一…一一76. 6.1 雨水試料におけるイオンバランスの検定について 一一一一一一一一一一一一78. 6.2 電気伝導度の測定値を用いたイオン総量の推定一一一一一一一一…一一一84. 6.2.1 EC測定値と計算値の比較 6.2.2 EC計算値とイオン総量の関係 6.3 pHとECの関係について一一一…一一一一…一一…一…一…一…104. 7.糸吉言命. 一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一112. 引用・参考文献一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一114. 付録(1)降雨測定データ (2)伊丹空港を発着する航空機の飛行コース (3)尼崎市における主な風向 (4)西宮市における二酸化硫黄風向別濃度.

(4) 1.緒言 「環境」は本来、我々人類が利用する科学技術の進歩と、バラン スを保たれながら守られていくべきものである。しかしながら、現 状は急速な科学技術の発展と産業の高度化に伴い、経済活動の成長 と消費活動の増大が自然環境の著しい破壊と人類生存への脅威を生. み出した。そして今、その代償として環境問題が叫ばれ、研究が行 なわれている。地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、産業廃棄物等 の処理問題、海洋汚染、野生生物の絶滅、熱帯雨林の減少、地球の 砂漠化、環境ホルモンなど環境問題について、これら問題の解決の ために政府や国民一人一人が地球環境についてどのように考え、ど のような方向に向かえばよいのか、何をすべきかが問われている。. しかしその一方で、1998年アルゼンチンのブエノスアイレスで 開かれていた地球温暖化防止国際会議(COP4)で先進国と発展途上 国との間で見られたような環境問題と経済的発展との兼ね合いが新 たな問題となってきた。このような問題の解決のためにも環境につ いて議論し、考える姿勢を育てることが必要である。. 教育現場においても「環境教育」の重要性が叫ばれて、その具体 的実践、応用など各方面においてさまざまな試みが続いている。地 球温暖化の問題のみならず、さまざまな環境問題について、これら の問題をいかに正しく理解させ、問題解決に向けてどのように生活 の中で取り組めるか、教育現場における環境教育の必要性と、問題 点がここにあるように思われる。. 高等学校における環境教育については主に理科や社会を中心に 様々な教科で行なわれているが、「特別な授業」という位置付けで行. 一1一.

(5) なわれていることが多い。これは、”環境”を理解する上で野外での. 調査や体験実習が重要であると認識されていること。そのたゆ内容 の教授に時間的余裕が必要であること。また、公害問題などすでに 社会問題化しその問題形成過程がはっきりしていることによる。そ して、何より、受験には直接関係しない内容であると考えられてい るためである。しかし、児童・生徒にとって重要なことはどのよう. な学習においても、自分達の生活について自ら考え、自主的に行動 していくためのカをつけることであり、環境教育はその点から推進 されていかれるべきものである。そこで、理科としてその具体的な. 取り扱いの改善方法を考えたとき、環境問題を理解するための科学 的な知識や思考力、および正確な情報収集の能力と洞察力の育成が 求められるのではないだろうか。. 酸性雨の問題については、すでに多くの小・中・高等学校の教育現. 場において取り上げられており、すでに身近な環境指標として定着 している。しかしながら、その利用はクラブ活動や特別活動におい. て生徒に雨水を採集させ、pHや導電率の測定を通じて環境理解を 図るといった活動が中心である。この点は、昨年本研究室の深水が 指摘している通り、教育機関等で行える分析測定には限りが有るた めであるが、環境問題への生徒の興味付けという点では一定の評価 がなされている。1). しかし、酸性雨間題はpHだけでは判断できず、酸の起源となる窒 素酸化物,硫黄酸化物の濃度、酸を中和するアンモニアやカルシウ ムの影響、河川を通した海洋,湖沼や生活用水水源への富栄養化な どの影響が理解されるべきである。このように酸性雨について論じ. 一2一.

(6) るとき、様々な要因が関係するが、酸性雨の測定方法やその原理が 測定結果にもたらす影響についても正しく評価される必要がある。. 一方で、酸性雨に関わる化学的知識や測定方法と原理など、理解 する上で必要な内容の提供についてはまだまだ、検討の余地が残さ れている。そこで、高等学校など教育現場において環境教育の導入 を考える時、このような酸性雨を通して化学教育への導入を行なう ことも可能ではないかと考えられる。. 以上のことを踏まえ、本研究では、「酸性雨」をテーマに次の点に 着目し、研究を行なった。. 1)兵庫県阪神地区における酸性雨調査を行い、雨水の汚染状況、. 雨水に含まれる汚染物質と地域環境との関係について調べた。兵庫. 県阪神地区の武庫川流域を中心に南北約15kmの地点に、8地点 の採水地点を設け、地域内の小学校の協力を得て採水器具を設置し、 採水した雨水の化学分析を行った。. 2)本研究で得たデータを含めて1996年から1998年における本化 学研究室における雨水調査結果から、雨水における各種イオンの濃. 度、導電率、水素イオン三度(pH)の関係を明らかにし、それら を支配する化学的法則と関連付けることにより、環:境教育における 酸性雨を利用した化学教育への発展性について考察した。5). 3>2)を踏まえ、高価なために教育現揚で実際に用いることので きないイオンクロマトグラフ法を使うことなく、雨水中の汚染イオ ンの総量(溶存イオンの総濃度)を、安価で教育現場でも使用可能 な電気伝導度計の測定結果から推定する方法について考案した。. 一3一.

(7) 2.雨水の汚染過程. 2.1 雨水に含まれるイオンと発生起源2). 雨水申に溶存する主要イオンはH+(pH)、 C1一、 NO2一、 N O3一、 SO42一, NH4+、 Na+、 K+、 Mg 2+、 Ca2+の9種類. である。これらのイオンの組成や各イオンの発生起源はそれぞれの 地域の地理,気象条件によって異なる。. ①水素イオン(H+). pHより得られる。 pH=一log[H+]の関係がある。一般にpH 値はpHメーターを用いて簡単に測定できることから、酸性雨の程 度を表わす重要な測定項目として取り扱われているが、イオン強度 の小さい試料においては測定誤差の問題がある。酸性雨を環境問題. として取り扱う時、このpHの値のみが単独で議論されることが多 いが、ECなど他の要因と総合的に理解していく必要がある ②塩化物イオン(Cl一). C「は大半が海塩粒子起源であり、海面から大気中へ供給され微 粒子(大気エアロゾル)となって飛散する可能性が考えられている。 そのため気象状況によって飛散量や飛散距離に大きな差が生じる。. また、HClとして火山からの放出量も多く,九州の桜島近辺では HClによる酸性雨が観測されている。また、人為的な発生源とし ては焼却炉における塩化ビニルなどの樹脂の燃焼によってHC1と して排出される。冬季には道路の凍結防止にCaC12を散布するた. t4一.

(8) め,雨水に混入することも考えられる。. ③硝酸イオン(NO3一). 化石燃料の燃焼時に発生するNOxが先駆物質であり,ほとんど が工場や自動車といった人間活動が発生起源である。このNOxか ら光化学反応によって生じた硝酸(HNO3)が,雨の酸性化の原因 になっている。. ④硫酸イオン〈SO42一). NO3一と同様に化石燃料,特に石炭の燃焼によって発生するSO. xが酸化され硫酸(H2SO4)が生成され、これがNH3ガスと結び つき(NH4)2SO4粒子となって雲や雨の凝結核となる。自然発生 起源として火山の噴出ガスと海塩がある。海塩中に一定の割合で含 まれるため、海塩成分の影響を差し引いてnss(non−sea−salt)SO 4として取り扱った方がよいといわれている。本研究においてtg、海. 塩由来の成分を除いたnssSO42一について評価した。近年、中国大 陸からの越境汚染が問題にされている。. ⑤アンモニウムイオン(NH4+). 人間活動から放出されたものと、農業地などの土壌や家畜などの. 排せつ物から放出されたNH3が雨水に取り込まれたもので、前駆体 (NH3)は酸性雨を中和する働きがある。しかし,一般に生態系で. は微生物等の働きによりNO3一に酸化されるので,H+を放出する潜 在的な酸であると言われており、土壌生態系へ落ちた後は悪影響を 及ぼす場合もある。また、自動車から排出されるガスにも含まれる。. ⑥ナトリウムイオン(Na+). 一5一.

(9) 海水中に多量に含まれるため、雨水中のものはほとんどが海塩由 来であるとされ,海塩成分のイオン量の寄与を知る上で重要な物質 である。. ⑦カリウムイオン(K+). もともと植物体に多く含まれる成分であり、降雨が木の表面を伝 わって来た林内雨や樹幹流に多く含まれる。また,植物を燃焼させ たときに発生する物質を取り込んだ雨にもみられる。一般に濃度は 低い。. ⑧マグネシウムイオン(Mg+). Na+と同様に海塩宙来が主である。しかし、海水中に含まれる比 率も低い。人為的発生はあまりないとされている。. ⑨カルシウムイオン(Ca2+). 土壌やコンクリートに多量に含まれており、都市部では自動車の 走行によって削られて生じる道路粉塵により、大気中にエアロゾル として飛散するためCa2+濃度が高い。当然,道路や建築工事など においても発生しやすい。春には黄砂として大陸から飛来してくる。. また、海塩中にも含まれるため海塩成分の影響を差し引いたnss (non−sea−salt)Ca2+を計算することも有効である。本研究にお. いては海塩由来の成分を除いたnssCaについて評価した。 Ca化合 物は酸性雨を中和させる成分であり、生態系にも悪影響を及ぼさな いことから,ヨーロッパの酸性化した湖沼では申和させるために多 量の石灰を散布している。. 2.2 汚染物質の輸送・変質・沈着経路. 一6一.

(10) 大気中に放出された汚染物質が,最終的に地球表面に沈着するま での経路は、大きく分けて次の5つの過程に分けられる。 (1)発生源での放出過程. 自然起源では環境に元々存在する物質の風による巻き上げ,生物 からの放出などが考えられ、人為起源では工場・自動車からの排ガ スなどがある。. (2)大気中での物質の輸送過程 大気中を輸送されるときは気体,エアロゾル〈土埃,海塩粒子, 排煙,粉じんなどのような微粒子状の状態を言う),雲の水粒子に溶 け込んだ状態で大気の動きによって輸送される。. (3)大気中に放出された物質の化学変化(気相反応と液相反応). 酸性雨の大きな原因である窒素酸化物(NOx),硫黄酸化物(S Ox)は発生源から放出された物質が大気中において酸化されるこ とで最終的な汚染物質となる。この酸化反応が気体状のままおこな. われることを気相反応といい,水溶液中でおこなわれることを液相. 反応という。窒素酸化物(NOx)については気相中での反応が、. 硫黄酸化物(SOx)については液相中での反応が重要である。例 えば、窒素酸化物の酸化反応は二酸化窒素と大気中のOHラジカル との気相反応の寄与が大きく、生成された硝酸ミストは雲水に取り. 込まれて酸となる。また、二酸化硫黄の酸化は過酸化水素やオゾン の存在下、液相で速く起こることがわかっている。. 一7一.

(11) (4)雲粒子や降水粒子によるこれらの物質の取り込み過程 (WashoutとRainout). 酸性雨における雨水への汚染物質の取り込まれ方には次の2つの 方法がある。. ①Washout〈雲下洗浄)とよばれ、大気中に存在する塩類やイオン類 などの汚染物質が降雨の際に雨水中に取り込まれながら落ちてくる ものである。. ②Rainout(雲内洗浄)とよばれ、大気中の水蒸気が気温や気圧の変. 化などで水滴や氷の粒子に変化して雲になる時,大気中に存在する 塩類やイオン類等を凝結核として取り込んだり、雲ができた後に雲 水の表面からそれらを取り込むことである。. Washoutは降水時に、汚染物質を取り込むため、大気の洗浄効果を 生じ、その結果、汚染源の影響は地域的なものにとどまるとともに、. わずか数km離れているだけでもpHが大きく異なることもある。 一方、Rainoutは雲内への汚染物質の取り込みが、雲の生成時か雲. の移動中の起こるため、汚染物質の発生源と汚染地域が異なると考 えられる。したがって広域的に汚染源の影響を受けることになる。. 雨水における溶存イオンの濃度や沈着量変化について、図2−1に WashoutとRainoutのよる雨水への寄与の違いを示した。. (A)Washoutによる雨水における三三イオンの濃度や沈着量変化. Washoutは大気申の汚染物質が雨水に取り込まれながら地上の降 下するため、降り始めの雨(初期降雨)によく見られる。局所的に. 一8一.

(12) いつも一定量の汚染物質が大気中に放出されているとすると、ある 量以上の降水量がある場合、それらは一様に地上に降下するため、 最終的な沈着量はいつも一定になる。. しかし、降水量が少ない場合、少量の雨滴に多量の物質が取り込 まれることになるので、濃度は高くなるが、降水量が多いと逆に薄 められる。このように降水量の変化に伴い、降水量変化と濃度変化 が逆相関の関係になる。. 以上のように、物質の沈着量がいつも一定であるのは自然条件下 では考えにくく、このような場合、物質の発生源は人為的である場 合が多い。. Washoutの寄与が大きくても、沈着量がいつも一定であるとは限ら ない場合もある。もともと、大気中に放出される物質量が少なく、. 放出量が時々において異なる場合、大気に放出された汚染物質は初 期降雨ですべて降下する。その後、大気中へ同じ物質が放出されな. かった場合、初期1ミリ降雨中に濃度の違いが表れる。沈着量につ いてはその時、その場で放出された量がそのまま表れることになる ので、いつも一定になるとは限らない。このような場合、汚染物質 の発生起源としては人為的なものより自然条件による方が多いと考 えられる。. (B)Rainoutによる雨水における溶存イオンの濃度や沈着量変化 Rainoutは雲の形成時や移動中に雨滴に取り込まれた物質が、降雨 とともに地上に降下する。そのため、雲や雨滴に取り.込まれた場所. と降下場所がかけ離れていることが多い。降水場所で同一物質の補. 一9一.

(13) 給がないとすると、降下場所での溶存物質の濃度は降水量に閣係な くほぼ一定で、降水量が増加すると物質の沈着量も増加し、降水量 が減少すると物質の沈着量も減少する。即ち、溶存物質の沈着量は、 濃度に関係なく、降水量により左右されることが多い。. (5)地表面への汚染物質の沈着過程(湿性沈着と乾性沈着). 汚染物質は降雨や雪による沈着(これを湿性沈着という)以外に、. 降雨のない時でもたえず物質が沈着(これを乾性沈着という)して. いる。最終的には地球表面に沈着する過程はこの2通りであり、乾 性沈着においてもかなり量の汚染物質が沈着している。. 一10一.

(14) 図2−1(A). .琴鱒醐鐙影蜘汰き.セ優駄. 遜含む汚染物質以「F「層・,.、. 物質が地域で発生.こ 、才:気中のイオン量は:同氏註. 少ない 降水量 多い aj}). 鮒洲⑳ 1 t, , ;. ・陣・汐・93ewン・ /. 降水量により雨水中のイ オン濃度は異なる. / / ’f t’. 浮遊イオン. ‘. ㊥,。齢ン 唾脅ン.藪1. /. // ’f. ノ ,. i. @’/ ’i. f. ’. ノ. /. /. f. t. i. ノ. 降水量力移いほどイオン濃度は薄くなる. 眞一. S.,,r””’””i”it’//f.pain.... 圏 幽≧. オ’. D擁鼠窓・..,,.、. 盧・. t/ 1 ノ. i. 圏■圏:置. ’. 穫絆. 好. 再. 闘 圓. 幽圏旨. 圓獣. 塞量. 囮. 変化も大きい場合は、各イオンの濃撲よりも蓋 沈着量を比較すると降水量の影饗がなくなる「. 図2−1(B). 補隊. G1. 1蕪髄b噸至聖綾紬齢1. 少ない 降水量 多い. i. / /fi ’/ //’/. /////// // rS. ワ//〃/’t、/ノ. f1. / ,/. /. ノ. f. ノ. 1/. /. 降水量に関わらず雨水 中のイオン濃度は同じ. / ノ. i. 降水量が多いほどイオン量も多い. . ’. E({(z)’. 蝕. 謄懇欝 圏 圓一/. 國馴國圏麗 塵 圏. 1イオン濃度の変化が降水盤の影饗をあま.Vう. 1砦躍勝戦や鶴頭羅盤嘉幕罷.. 1灘蟹.

(15) 2.3. 酸性雨の定義. 一般に純粋な水のpHは7である。よってpHの値がこれより低 いものは酸性であり、これを雨にも当てはめるとpHが7以下の雨 はすべて酸性雨ということになる。しかし、環境大気中には二酸化 炭素が存在し、雨水中にこの二酸化炭素が溶解すると炭酸が生じ、. 大気中の本に対する炭酸の溶解平衡がおきることで、雨のpHは酸 性側にシフトする。大気中に存在する約350ppmの炭酸ガスが水と. 溶解平衡に達したときにはpH5.6と計算される。そこで、このpH 以下の雨を酸性雨とよんでいる。しかし,大気中にはアンモニアや カルシウムイオンなどの酸性を中和する物質や、二酸化硫黄や窒素 酸化物から生じた硫酸、硝酸などの酸性化物質が存在するため、生. 態系への影響iなどを考慮したとき、pHが5.0以下のときに酸性雨 と定義するという意見もある。4). 一11一.

(16) 3.採水方法と採水地点および期間. 3.1 採水方法・器具について. 170mm. 300mm 〈F一一一一一一一一一一・一一一一・一一一一一一一一一一一一・・d一一・一一一一一一一一一)b. 1リットルポリビン. 発砲スチロール球. 100ミリリットノレ. ポリビン. 1週間降雨採水器. 初期1ミリ降雨採水器. 一12一.

(17) 図のようなバルク式採水器を用いた。バルク式採水器は容器に栓が 無いため、降雨が無くても大気中の乾性降下物が入るが、設置や交 換、回収が簡単であることからこの方法を採用した。. (1)1週間降雨の採水. 1週間降水にあった降雨のすべてを採集し、降雨が無くても1週 間ごとに新しく洗浄したものと交換した。. (2)初期1ミリ降雨の採水. 1週間のうち、降雨開始後1ミリに相当する降水を採集した。採. 水・器は図のように100m1のポリエチレン製ビンの中に発泡スチ. u一ル球が入っており、降水1ミリに相当する約73mlの雨水が 流入すると球が浮き上がり、入り口がふさがれ、後続の雨が横の出. 口から出て行く仕掛けになっている。1週間降雨の採水器同様、降 雨が無くても1週間ごとに新しく洗浄したものと交換した。. 一13一.

(18) 3.2 採水期間 1997年9,月∼1998年8月の;期間に行った。. 3.3 試料数 採集した試料は、1週間降雨試料が331個(阪神地区300個、. 大学31個)、初期1ミリ降雨試料が333個(阪神地区301個、 大学32個)であった。1週間降雨と初期1ミリ降雨の試料数が同 じになっていないのは、阪神地区と大学における1週間降雨の採水 器具で採水中に破損し採水できなかったものがあったためである。. 3.4 採水地点 兵庫県尼崎市、西宮市、伊丹市及び宝塚市にまたがる阪神地区に ある武庫川流域と兵庫県社町において採水を行った。. 3.4.1 兵庫県阪神地区 兵庫県阪神地区は兵庫県の南東部、大阪平野に隣接し、南は大阪 湾に面し、北に六甲を抱える位置にある。尼崎市を中心に古くは平 安時代から港町として名を馳せたところである。現在は多数の企業 が工場を構える工業地域で、中でも尼崎地区は阪神工業地帯の中核 地域として臨海部には工場や発電所が林立している。また、阪神高 速道路や名神高速道路、中国自動車道をはじめとし交通量の多い幹 線道路が多数あり、経済活動の盛んな地域である。尼崎市北部から 伊丹市にかけては今でも農地が点在し、その周辺部の西宮市、伊丹 市、宝塚市においては住宅地としてが開発が現在も進んでいる。. 一14一.

(19) 気候は、南を瀬戸内海に続く大阪湾に接していることから温暖であ るが、夏場には南もしくは南西方向からの浜風、冬場には六甲おろ しに代表される北風が吹く。. 3.4.2 兵庫県社町(兵庫教育大学) 兵庫教育大学は嬉野台地にあり、大学の周囲は小高い山もしくは 田園地帯で囲まれている。すぐ北側には中国自動車道があり、最も. 近い海である瀬戸内海からは約30km離れている。採水器具は言語 棟の屋上に設置した。ここでは、1991年より継続して降雨の測定を 行っている。. 一15一.

(20) 採水地点. N 〆∼も. 挙一.京都府. 臥能勢帽. 三田市. 大学. 場魅…)轟前〉♪ 宝. 川1. 塚票濾. 兵庫県 西. tt享 屋’ 市’. 神戸市. 市. 伊丹。. 葉. 市. 豊. 大 阪. 府. 中. 市噛舌、市 ,ノ 大阪市. / 淡 路. 大阪湾. 島. O 10Km 20Krn.

(21) 阪神武庫川流域1こ おける. 採水地点. ぜ. 宝. ’ JR 純m _一一. 川西市. ’. チ’. ロ自藺 ■閲口. s. 蟄∼=r一. 中国道 8. 宝塚市\. 煮妙. 市三’X一ン. 伊丹市. ・ 7,,. 171号線. 販N競馬場. 1 2 3 4 5 6 7 8. 西宮市立高須南小学校 西宮市立小松小学校 尼崎市立武庫南小学校 尼崎市立武庫小学校 尼崎市立武庫北小学校 伊丹市立池尻小学校 宝塚市立末成小学校 宝塚市立美座小学校. ,6. VNi” N. N Nt. 一一一 u驚一一. 西宮市 一』一 ;. )〉$WNx. 嫌. ’ lt. JR新幹線. 謡講雷. 沿岸部から中国道付 近まで南北間の距離. は約15km. 阪急. 』_■一」一..一一一幽一‘. _一一キ…一一 一. 量. ノ 噸顧テ’. 名神高速 顯■圃 自醐■■ 一 8脚■. 嫡階簡、顯噛. .b.. :N. 1. pa道 176号線. JR. >v >N. >N. :’. Q. 国道2号線 一.一 一一 一一k 阪神. 露出・、. 畷鐙. 阪神 速神戸線. 高層. 大阪湾. ソ. 発電所・工場などの密集 地帯. 卿/. 阪神高速湾岸線. 2 km.

(22) 4.分析方法と測定項目. 測定に使用した水はイオン交換水を2回蒸留し、さらに超純水製 造器(日本ミリポアリミッテド製 miU.i−Q)により処理したものを 使用した。. 4.1 イオンクロマトグラフ法 雨水に溶存するイオンのうち、水素イオンを除くイオンについて イオンクロマトグラフ法で測定を行った。. 使用機器:DIONEXseries2000i 標準溶液. 東亜電波工業(株)製標準溶液を使用. 測定イオン 陽イオン:Na+、 NH:4+、 K+、 Mg2+、 C a 2+. 陰イオン:Cl一、 NO2M、 NO3一、 SO42一 溶二三 陽イオン 20rnM/:L メタンスルホン酸. 陰イオン 1.8mM/L Na2CO3. 十1.7mM/L NaHCO3 再生液 陽イオン 0.375%テトラメチルアンモニウムヒドロキシ. ド溶液. 陰イオン 25mM硫酸. 濃度が既知の標準液を用いたピークの面積と雨水試料を測定した 際に現れるピークの面積比較から、各イオンの濃度を割り出してい るが、その際に誤差が生じることがある。そのため、ピークの面積 比較からの各イオンの濃度を割り出しは慎重に行った。. 一16一.

(23) 4.2 pHメータ法. くガラス電極法). 雨水中の水素イオンの濃度は、ガラス電極法で測定した。本研究 室の壷阪(1996)の研究から、酸性雨のようなイオン強度の小さな. 試料溶液に用いても測定誤差が小さいと考えられる、堀場F−22電. 極6378型を使用した。5)校正はpHが4、7、9の3点校正で行 った、ガラス電極を試料に浸漬後の5分後のpHメーターの値を読 んだ。雨水試料中の溶存イオン量が非常に少ない場合その測定値が 安定しないことがあり、多量の試料測定の際には直前に測定した値 の影響が残ることがある。このような場合、測定値が安定するまで 繰り返し測定した。. 4.3 電気伝導度法(EC) 導電率計(堀場C−172)を使用した。. 電気伝導度は水溶液中に含まれる電解質の電気の通しやすさを示 す値であるが、電解質の量が多ければそれだけ電気を通しやすいた め、電気伝導度の値が大きいほど溶存イオン総量が多いと考えられ る。. 一17一.

(24) 5.結果と考察. 5.1 イオンバランス. イオンバランスとは、試料中に溶存する陽イオンの当量(電荷×. 濃度)の総量と陰イオンの当量の総量が電気的に等しくなる、すな わち、溶液が中性の関係になることをいい、比の値(陰イオ?総量 /陽イオン総量)が1になる。しかし、実際には測定上の問題から、 1からずれることがある。. 今回の研究で採水した阪神地区及び大学での雨水試料のイオンバ ランスの度数分布を図5−1に示した。上の図が1週間降水のもので あり、下の図が初期1ミリ降水のものである。どの試料においても. イオンバランスが1からずれているものが多数認められるが、この 原因として次のことが考えられる。. 測定しているイオンは、陽イオンとしてH+(pH)、 NH4+、 N a÷ AK+、Mg2+、. Ca2+、陰イオンとしてCl一、 NO2一、. NOゴ、 SO42『であるが、雨水中にはこの他に陽イオンとして重 金属元素が、陰イオンとしてHCO3一が含まれることがある。この 場合、陽イオンに測定されていないものがあるとすると、相対的に 陰イオン総量は多くなりイオンバランスの値は1よりも大きくなる。. 逆に陰イオンのHCO3}が無視できない場合、イオンバランスの値 は1よりも小さくなるはずである。. しかしながら、雨水中のHCO3一濃度の測定についてはイオンク ロマトグラフ法において溶離液として炭酸水素ナトリウムと炭酸ナ. 一18一.

(25) トリウムを使っているため、雨水中のHCOゴ濃度を測定すること は出来ず、他にも簡便に定量する手段がないため現段階では測定が. 出来ない。そこで最も可能性があるのがHCO3一の未測定の問題で ある。. 大学については1週間降雨および初期1ミリ降雨のデータとも、 図5−2からわかるようにイオンバランスが1付近を中心とした分布 になっている。これに対し阪神地区の場合、図5−1に示したように. 1週間降雨については1付近を中心の分布になっているが、初期1 ミリ降雨についてはイオンバランスが1から大きくはずれている。. 1以下に大きく偏っている点について、HCO,『の未測定の問題に 照らした時、都市部では、コンクリートや土壌から多量の炭酸塩C. aCO3が大気中に供給されており、その点からもHCO3一濃度を考 慮する必要があるように思われる。. 一19一.

(26) 1週間 60 }. 50. i. 40 20. }. ii. 10 0. 。;岩き苫書害お害8,二黛讐コ2ヨ=磐ヨ個∼N イオンバランス. 初期1ミリ. 60. 一. 1. 5G 1. 40. ー. sk 30 5. 20. 1. 10 i. o. 。δさきΣ書巴1;;弩き■”’ニヨヨコ巴ヨ=田9cu&. イオンバランス. 図5・1阪神地区におけるイオンバランス(陰イオンノ陽イオン)の 度数分布. 一20一.

(27) 1週間 6. T. ド 1■ 7. }炉. i. −闇 r“噛.國 噛..“. 5. 4. 醤3 2 」量. i 0. 。;岩き苫ぎ巴お雪8一二,雲ココ箪=山脚個∼d イオンバランス. 初期1ミリ 7. 囲亨…唱冊炉. @. 6. @. …匡. i. 1. 5. 癒4 遡3 2 1. }. 0. 。開山きΣぎぎき曽8Fコ望雪三ヨヨ=撃ヨ個∼周 イオンバランス. 図5・2大学におけるイオンバランス(陰イオン/陽イオン)の. 度数分布. 一21一.

(28) 5.2 pHの度数分布について 図5−3は阪神地区で採水した試料について、pH度数分布を調べ たものである。. 1週間降雨についてみるとpHが5.6より小さな雨水が多く見ら れるが、初期1ミリ降雨ではpHの値が大きいものが多く、6.5付近 を中心に1週間降雨よりもアルカリ側に偏っている。 阪神地区のような都市部では、道路からの±:壌粉塵や建設現場か. らのセメント・コンクリート粉塵の飛来が報告されている。これら. は初期1ミリ降雨で洗浄されるため、初期降水中に多く含まれるこ. とになる。これらの主成分はCaCO3でアルカリとして働く。その ため清浄な雨水のpH5.6よりアルカリ側にシフトしたものと考え られる。また、このHCO3一は今回測定することはできないのでイ オンバランスが1よりも低くなる。. 一22一.

(29) 1週間 3e. ’ 1. 25 i. 20 醤15. r. i. 10 5. o. 寸等等等等ゆ鋸匿鴇零⑩器碁器器卜齪苺譲巽。。 pH. 初期1ミリ. 30. 漸一「}“岡Ψ醐麟門防帆噌叩「’ 「「 …、【四闘胴㎝…州「岬−…、一. r …り “. 25. 20 灘15 1e 5. o. 寸等闇闇等。錯匿鴇譲。旧基霧器トミ芝雲門。’ pH. 図5・3 阪神地区におけるpH度数分布. 一23一.

(30) 5.3 pHと電気伝導度の関係 図5−4に阪神地区における初期1ミリ降雨と1週間降雨について、. 電気伝導度とpHの関係を示した。. 初期1ミリ降雨では電気伝導度が大きな値を示す試料が多数認め られ、pH値との間には一定の関係は認められない。. 一方、1週間降雨の雨水では、電気伝導度の小さい試料が多くな っている。初期降雨で大量に含まれていた乾性降下物が後続の雨に より洗浄され、その濃度が薄められた可能性が考えられる。. 一24一.

(31) 9. 8 ●. ●. ●. ●. ●. ●◎ρ倉. o. ●. 8. ・鷺ミ凝∼ご勲∵島蒙. 7. .. 玉6. ≦覧 ・●.9・. ●、9●{ひ●●3・.. .●o.: ●. 5. o. ●. ・. ●. .. .. ・. ・. o ●8 ρ ・. ●. ●. 噛・ ● ■. ●. ●. 4. ●●. 3. o. so. 100. i50. 200. EC /uscm−2. 9. 8 の. 7. の. ●. ●● ●. ● の. コ. t’‘.:’ii.e.:ぞ●’●● ● 玉6 5. ○ の. ●. ●. 覧 .. .●●・ ・ ●. 4. 3. o. so. 100. iso. EC /u$cmff2. 図5・4. 阪神地区における電気伝導度とpH.の関係 (上は初期1ミリ.降雨、下は1週間降雨). 一25一. 200.

(32) 5。4 pHと降水量の関係 図5−5は阪神地区における降水量とpHの関係を示したものであ る。. 降水量が増加するのに伴い、比較的高いpH値を示す試料が少な くなっていることから、高いpH値を示す物質が多量の雨で洗い流 されている可能性がある。. 先に示した、図5−3や図5−4の結果から、都市部では、大気中に. CaCO3のような物質が大量に放出され、それらが雨水に溶存する と、pHをアルカリ側に偏らせている可能性があること。また、1 週間降雨では、それらが洗い流されている可能性があることを指摘 した。. そこで、図5−5に見られるような、雨量が少ない程、高いpH値 を示す試料が増加していることと、降水量が変化しても酸性側を示 す試料の数にあまり変化が見られないことからも、これらのことを 証明していると思われる。. 一26一.

(33) 9. P. i }. 8. . 3・. 7. ゆ ち. .」・も諏.こ 玉.6. ら ’,・. 5. ●.. ●. ●. 藷2㌃1:.・{噌:…:・:・. .3・●●・●. ら D・…・’・・詫. .%二●亀・.・・. P麟:.●丁丁.{. }. ● ・39 ●. ●. 1. .・. ●・● ●. 4. i l. 3. o. 20. 60. 40. 降水量mm. 図5−5 降水量とpHの関係. 一27一. 80. 100.

(34) 5.5 酸性化・アルカリ性化物質の影響について. 雨水を酸性化する物質は主に硝酸と硫酸であり、アルカリ化する 物質はカルシウムの酸化物や炭酸塩とアンモニアである。6)都市部. では人間の生活活動からこれらの物質が放出されている。それらは 雨水に溶けNO3一、 SO42一、 Ca2+やNH4+イオンを生成する。 そこで、これらのイオン濃度を調べることにより雨水の汚染物質と 汚染過程を知ることができる。ここでは、酸性化物質として硝酸と. 硫酸のどちらの影響が強いかを、また、アルカリ化物質としてカル シウムとアンモニアのどちらの影響が強いかを調べてみた。. (1>NO3一とSO4 2一について(図5−6−1、図5−6−2). 図5−6−1と図5−6−2は阪神地区と大学で採水した初期1ミリ降水、. 及び1週間降水の試料中におけるNO3一/SO42一の比の値を相 対度数で示したものである。1.0より小さな左側はS O 4 2merichの. 状態を示し、1.0より大きな右側はNO3−richの状態を示す。 図5−6−2の上図を見た場合、阪神地区で採水された降雨中のSO 42一 フ溶存量はNOゴより大きく、下図に示されたように、大学に. おいて採水された降雨試料中ではNO3一とSO4 2}の寄与がほぼ 同じであった。. 通常、都市部においてはディーゼルエンジンを使ったトラックや. 工場などの排出ガス中には硝酸を生成する窒素酸化物の含有量が 多いといわれている。しかし、阪神地区の沿岸部は工業地帯であり 発電所や工場の煙突が林立しており、それらから排出される硫黄酸. 一28一.

(35) 化物の影響が無視できない。化石燃料の使用による酸性雨への影響 という点では、阪神地区において硝酸だけでなく硫酸の影響も大き いと考えられる。. 硝酸は大気中の放出されたNO2が光化学反応により生じたOH ラジカルと反応し生成する。この反応は主に気相反応で進行し、早 い反応である。そのため、放出後、速やかに酸化された硝酸分子が 大気中に浮遊し、降水によって捕捉される。そこで、降り始めの雨 の中に多量:に存在する可能性がある。一方、硫酸も大気中に放出さ. れたSO2がOHラジカルと反応し生成するが、この反応は主に液 相反応で進行する。このような反応様式の違いのため、硝酸は降り 始めの雨に多く、後続降雨で減少するが、硫酸は降り始めの雨と後 続の雨で同じように含まれると考えられる。その結果、降水量の多. い一週間降水の場合には、雨水に溶存しているNO3一濃度よりも SO42一濃度の方が大きいものと考えられる。. 初期降雨と1週間降雨におけるそれぞれのイオンの濃度を比較 した場合、阪神地区、大学、両地区ともSO42一の濃度が、初期降. 雨より1週間降雨で高くなり、NOゴは逆に初期降雨で大きくな っている。このことは図5−6−1と図5−6−2の比較より明らかである。. (2)Ca2+とNH4+について(図5一一6−3、図5一・6−4). 図5−6−3と図5−6−4は阪神地区と大学で採水した初期1ミリ降水、. 及び1週間降水の試料中におけるNH4+/Ca2+の比の値を相対 度数で示したものである。1.0より小さな左側はC a 2+richの状. 態を示し、1.0より大きな右側はNH4+richの状態を示す。. 一一 29 一.

(36) 阪神地区で採水された降雨では、Ca2+の溶存量がNH4+より大 きい。建設現場などから生じる土壌粉塵やコンクリート、自動車が. 道路を削り取ることなどにより巻き上がる粉塵などの主成分はC. aCO3である。CaCO3や土壌から供給されるCaOは、硝酸 や硫酸などの酸に出会うと、中和反応により遊離されCa2+が生 じる。. 阪神地区では、全体的に交通量が多く、あちらこちらで建設工事 が行われているためであり、都市部特有の傾向が表れている。初期. 降雨により、浮遊していたCaCO3が洗い落とされると、後続の 雨に溶け込むCa2+は少なくなる。そのため1週間降雨における Ca2+の三三量の比率は少ない。. 一方、NH4+は農地や家畜などから出る排泄物申のアンモニア や肥料として散布される硫酸アンモニウムなどが起源とされる。ア ンモニアや硫酸アンモニウムも雨水に取り込まれ、酸と反応すると. 中和反応が起こり、NH4+を生成する。図5−6−3の下図より大学. の初期1ミリ降水にNH4+が多く見られるのはこれが原因と考え られる。. しかし、図5−6−4に見られるように農地が少ない阪神地区におい. ても、1週間降雨ではかなりのNH4+が見られる。このことから、. 農業以外からの発生起源の存在が考えられる。近年、NH4+の起 源として、自動車の排気ガス対策として導入されている三元触媒が. 大気中のN2から次のような反応でNH4+を発生させることが報告 されている。2). 7N,十12H,O. 8NH,十6NO,. 一30一.

(37) 〈3)赤穂市のデータとの比較から(図5+5、図5−6−6). 昨年本研究室の深水により、兵庫県赤穂市において雨水の成分分 析がなされている。図5−6−5、図5−6−6は赤穂市において分析され. たデータについて、阪神地区や大学と同じく採水した初期1ミリ降. 水、及び1週間降水め試料中におけるNO3一/SO42一の比とCa 2+ ^NH4+の比を求めたものである。. 阪神地区と同じ瀬戸内海に面し、太平洋側の気候の影響を受けて いる地域である。阪神地区と比べると都市部から離れた環境にある。. そこで両地域において、雨の酸性化をもたらすNO3『、 SO42一 とアルカリ化をもたらすCa2+、 NH4+の影響iについて比較を行 った。. 採水年度が異なるためはっきりしたことは言えないが、図5−6−5. よりNO3一とSO42一の比較では、阪神地区に比べ明らかにSO4 2一 フ寄与が大きく、NOゴの寄与が小さいことがわかる。これは. NO3一を生じる窒素酸化物の排出量が赤穂市の場合、阪神地区に 比べてはるかに少ないためであると考えられる。. 図5−6−6に見られるようにCa2+とNH4+の比較では、 Ca2+ の寄与が阪神地区より大きく現れているが、赤穂にはセメント工場. などCa2+を供給する発生源が存在することを、昨年深水が報告 している。. 一31一.

(38) 阪神地区初期1ミリ 12%. Nqrich. }. SO 42了ich …. IQ% }. 62.63%. 37.37%. 翫 遡 6%. 4%. 2%. 脇. os・容9苫38B霧8P二窪E1ri:r12ヨ:一曽雲Nよ o刈’. 大学初期1ミリ. 20%. @18% @↑6%. .」日. @SO 42’rich. き. @48。15%. i. NQぎ「ic噂 i. }. 51.85%. @14% W12% ?]10%. ?E% @ 6% @ 4%. @ 2%. @ 侃. 。;き器吝巴8き答8F二さヨコヨ9ロ田9N∼ @ 轟. 図5−6−1. 阪神地区と大学におけるNO,’fSO42一の度数分布 の比較. 一32一.

(39) 阪神地区1週間 18%. ¶一.1’”.『.…’『國「『「.一〒…『’”〒一 …7閲…’噌”’. SO 42−rich. 16%. NO∫・i・h i. …. {. }. 14%. 26.37%. 1. …. …. {. …. ∼. 73β3%. 12% 無10% 遡 軟 8%. 6% 4% 2%. ow. 。;9讐998B88一;,撃コヨヨ会撃ヨN∬∼ 扇. 大学書週間 18%. 、、r}層、V−4一A.一匿’【唱・炉「…P馳「L「nゴh.…隠りL■閣帆、「‘…一‘’}噛一剛…■.τゴ. }. i1. SO42hch. 16%. NO3’rich. 14%. i2%. 44.0%. 56.0%. 蟻10% 較 8% 6% 4% 2% o%. o;弩塁苫ぎ8Bき8’二斜:2Σヨ:9:一撃窪ov& N. 図5・6・2 阪神地区と大学におけるNO3ソSO42’の度数分布 の比較. 一33一.

(40) 阪神地区初期1ミリ 12%. i一−胴−− 【−「r −7−7. C. a. 2+ 窒奄モ. NH4+rlch 27.76%. 72.24%. 10%. ,. 8% 遡 6%. 4% 2%. o%. o 乙 2;;讐 苫 38き雪 8 1一 ;i摯 9 三 e・讐…:・ヨ9 0v. 主. N. 大学初期1ミリ 12%. P噛r門 u. …μ……博 p. PF」岬 ” 囲−噛■一馳r吊」−瞥} “剛■ら・騨.団弔 rn. Ca2+rich. NH4+dch. 10%. 48.15%. 51.85%. 8% 遡 6%. 4% 2%. 暇. a; 岩害 苫 383ぎき ▼一二 讐葺芝. 9雲)一雲雲Nこ N. 図5・6・3 阪神地区と大学におけるNH4+/Ca2+の度数分布. の比較. 一34一.

(41) 阪神地区. 1週間. 25%. Ca2+rich 20%. NH4+rich. 46.26%. 53.74%. 815%. ξ. {. 蕪 遡 蓬1・%. ∼. 5%. i 脇 o. 州姻卿巨⑭N∫ F F d. 層口. o 巳Ω d o喚o卜oα壱◎モ甲 o d d 「鴫 d 酎σ}. ∼. ▼■・. ▼■■. ▼一. ▼隔. ㌍■. ▼一. ▼囎. ▼■. 大学1週間 60%. .唯 ぼ 円 …. c・輸. NH勘i. き 36.0%. 一64℃%. @50% @4〔}% ウ蟻遡30%軟羅 20% 1D%. 0%. 。δ圏苫旨8圏8一二囎コ,簿囎瓠∬・ @. 轟. 図5−6−4 阪神地区と大学におけるNH4+/Ca2+の度数分布. の比較. 一35一.

(42) SO42’rich. 赤穂1週間. 89.0%. 20%. NO,一rich 11.0%. …「. …. …. …. 18% 16% @. i. @. {. …. 1 4Yo ぎ∼12% …. 額1・%. 蓬・%. @. 6%. }. @. 1. …. @. }. 1. 4Yo 2% o%. 。ε99998き88一;禦ヨニ99=撃ヨNss&. SO、宴rich. 35%. 初期剣. Nq・i・h 「. 1. 赤穂. 死6% 「. .一 一 置. @95.4%. 30%. 25% 承 20%蝋. 憾. 1. 夜15% 皿. 輪. 附. i. 5%. 0% o ▼『 d. @o d o. η 「詫 η 喚 卜 q3. o o o d d. 句 o F. G蝿鷲ヨ。蝉N∼1. “. 図5−6−5 赤穂におけるNO,’/SO,2’の度数分布の比較. 一36一. 馬 、.

(43) 赤穂 18%. 1週間. Ca2+rich. 16%. 「. NH4+rich. …. …. i. 445%. 555%. 14%. …. て2%. ぷ. i. 麟10%. i. 遡. 較 8%. 1. 睾 6% 4%. 器 0% o. ▼一. N姻⑭卜・・①_N姻卿卜鐙酬∬∼ o odd N. d o d o d. 冒■一. 胃■顧. 「P. ▼聯. 赤穂初期1ミリ. Ca2“rich. 「【■. ■■畢. 甲一. 雫一. 「■一. NH4’rich. 20%. {「.閉【. 18%. ッ. … 1 P6.3%. 「. 83.7%. 喝. r. 16%. ,. 鴫. 1. 14%. 「. 承1 2Y。. 也遷10%. 聖 8% 6% 4% 2% o%. 一 __創∬∼ 辱一}響一,FF「甲一帰一 o. ¶一: o. 周。. ηo. 寸 ηo. o. 璽。. 卜。. 閃。. ⑤o. 「. N. “. η. 図5−6−6赤穂におけるNH4+/Ca2+の度数分布の比較. 一37一.

(44) 5.6 阪神地区におけるイオンの季節的変化. 既に2.2で説明したように、大気中のイオンが雨水に取り込ま れる過程には、降水時に大気中の浮遊イオンを洗い流しながら取り 込む場合(Wash・ut)と雨滴が成長し雲粒を作り移動していく過程で. 取り込まれる場合(Rainout)との2種類がある。前者の場合、すな わち、Washoutの場合、降水自身は非常に清浄であるか、または、特. 定のイオンをまったく含んでいないと考える。その場合、今回の実. 験では、一週間ごとの採水であるので、大気中に蓄積した1週間分 の汚染物質が洗浄除去されることになる。もし、その汚染物質の発 生起源が季節などによらないで一定の割合で発生しているとすると、. 大気中に浮遊している汚染物質の量は1週間あたり同じになる。こ. の量をwmolとすると、その一週間の降水量VmLと、その期間に 採水される降水中の濃度Cの関係は、. C=w/V となる。すなわち、降水量が多いと濃度は小さくなり、降水量が少. ないと濃度は大きくなる。これは、その物質の濃度が降水量と逆数 の関係になることを意味している。また、濃度と降水量を掛けた量、 沈着量は、上記の式のwに相当するので、一定値になるはずである。. 一方、Rainoutの場合、その汚染物質は降水となる地点に雨雲が来 る以前に雨雲の移動の段階で吸収されていたものである。そこで、 雨雲がどのような場所を通過してきたかなどの雨雲の履歴により、. その汚染物質濃度は変わる。すなわち、降水申の汚染物質の濃度は 季節によっても変化するし、また、降水量に逆比例もしない。濃度. 一38一.

(45) と降水量を掛けた沈着量は一定とならない。. 上記のことから、降り始めの雨や降水が少ない場合には、大気中 に浮遊している塩類が洗浄されながら落ちてくるためWashou‡の寄. 与が大きく、降り始めてからしばらくした後の雨にはRainoutの寄 与が大きいと考えられる。以上のことを踏まえて、阪神地区で採水 された雨水試料中に含まれるイオンについて、それがRainout由来 の物質なのか、Washout由来の物質なのかについて、検討してみた。. 以下に示す図5−8−1から図5−8−10 は、阪神地区で採集した雨水. における汚染イオンの沈着量(各イオン濃度に降水量を掛け合わせ たもの)と各イオン濃度の月変化を示したものである。上殺(a). 図には1週間降水の沈着量の月変化を、(b)図には一週間降水の濃 度の月変化を、(c>図には初期1ミリ降水の濃度の月.変化を示した。 また、月あたりの降水量の.変化を図5−7 に示した。. 5.6.1 Washout由来の物質 図5−8−1に示したNO3一、図5−8−2に示したnssSO42一、図5− 8−3に示したnssC a 2+が、このグループに属する。これらは沈着. 量(降水量×濃度)の月変化がほぼ一定の値を示し、濃度が降水量. の月変化と逆相関になっているものである。また、初期1ミリ降雨 中の濃度の月変化も小さい。. (A> NO3}イオン(図5−8−1). 図5−8−1にNO3一イオンの場合を示した。濃度の,月変化くb)は10. 月に非常に高くなっており3月付近にもなだらかな山が見6れる。. 一39一.

(46) ところが、この濃度を降水量で掛けて得た沈着量くa)は4月を除いて. ほぼ一定の値を示した。すなわち、上記で説明した典型的なWashout 由来の物質の特徴を示している。図5−8−1(b)の濃度変化が10,月. に著しく高くなっているのは、図5−7からわかるように、1997年の 10月の降水量が著しく少なかったからと考えられる。また、同様に、. 1998年の2月、3月における濃度の増加も降水量の減少から説明で きる。図5−8−1(c)に示された初期降雨の濃度の月変化も、1週間. 降雨の濃度変化と同様の傾向を表しており、一週間降水の最初の1 ㎜分を分取したものが初期降雨であると考えれば妥当な結果といえ る。4月の沈着量が特に多い理由については現在のところ定かでは ない。. 〈B) nssSO42一イオン〈図5−8−2) 図5−8−2に示したnss S O 42一の場合も、1997年の12,月に濃度(図. (b))が若干高い他は、基本的にNO3一の場合と同様の傾向を示して いる。. (C) nssC a 2+イオン〈図5−8−3). 図5−8−3に示されたnssCa2+については、1998年の2月から4 月にかけての濃度(図(b))のなだらかな増加の仕方が少し違う以外. は、nssSO42一やNO3一と同様の傾向を示している。. 以上のことは、NO3一イオン、 nssSO42一イオン、 nssC a 2+イ. オンの3種類のイオンの発生が阪神地区のローカルな発生であり、. 一40一.

(47) その発生量は季節によらずく1998年の4.月を除いて)ほぼ一定して いることがわかる。そこで、採取された雨水試料の濃度への影響は、. むしろ、降水量の月変化が大きく支配していることをしている。阪 神地区における雨水へのNO3一イオンやnss S 042mイオン、 nssC a2+イオンの取り込みは、 Washoutのみでよく説明できる。. 5.6.2 Rainout由来の物質 図5−8−4に示したC「、図5−8−5に示したNa+、図5−8−6に示 したMg2+が、このグループに属する。これらのイオンは通常、海 塩由来の成分と考えられているものであり、同じ傾向を示す同じグ. ループに属するというのは妥当である。これらの濃度は1998年の3 月に非常に高くなっており、前節のNO3一イオン等の濃度が1997年 の10月に高くなっているのと異なる月変化を示している。また、こ のグループに属するCl一、 Na+、 Mg2+の濃度に降水量を掛けて 沈着量を計算しても、(a)図に示すように大きな月変化を示し、前 節の場合にほぼ一定になったのと違いがある。. (D)C「イオン(図5−8−4). 図5−sL4にC「イオンの場合を示した。降水試料中の濃度の月変. 化(b)をみると、1998年の3月に最も大きくなっているが、1997. 年の10月11月、1998年の6月7月にも若干、濃度が大きくなって いる。(a>の1週間降雨における沈着量の月変化は、濃度のH変化 とほとんど同じ変化を示しているといえよう。これは、沈着量は濃. 度×降水量で決まるが、降水量の月変化より濃度の月変化の方が大. 一41一.

(48) きな変化を示しているためと考えられる。初期降雨の濃度の月変化 は1週間降雨中の濃度のH変化と同じ傾向であると考えられる。. (E)Na+イオン〈図5−8−5). Na+イオンは、 C1一イオンとともにほとんどが海塩起源と言わ れている。図5−8−5にNa+イオンの場合を示したが、沈着量の絶対 値が違う以外は、C1一の揚合とまったく同様の傾向を示していると. 考えられる。図5−8−5のく。)に示された初期1ミリ降雨における. 濃度変化については、1997年10月から1998年1,月にかけて濃度変 化があまり認められない。. 〈F)Mg2+イオン(図5−8−6). 雨水に溶存するMg2+イオン量は、 C1一イオンやNa+イオンに 比べて少ないため、図5−8−6のすべての図の縦軸のスケールを図5− 8−4や図5−8−5に比べて小さくしている。Mg2+の場合も、図5−8−4. に示したC「の場合や図5−8−5に示したNa+イオンの場合と同様 の傾向を示している。しかし、図5−8−6の(b)に示した1週間降. 雨における1997年10月の濃度が、C「イオンやNa+イオンの場 合に比べて大きくなっていることや、1998年の4月から7,月にかけ ての変化が異なっていることがわかる。これについては、濃度の絶 対値が小さいこともありはっきりとした原因はわからない。. 一方、初期降雨中におけるMg2+イオン濃度が1997年の10月か ら12月にかけて、他の月に比べて高くなっているが、1週間降雨に おける12,月の濃度は、10月と3Hを除く他の月とほぼ同じである。. 一42一.

(49) これは初期降雨に特有なMg2+の補給源が存在していた可能性があ り、例えば、この時期は大陸からの季節風により黄砂の飛来が考え. られ、その成分としてのMg2+イオンの補給をうけている可能性が 考えられる。. 5.6.3 WashoutやRainoutに区別できないもの 上記のWashoutやRainoutのグループに単純に当てはめることの できないイオンがある。. (G)NH4+イオン(図5−8−7). 図5−8−7(b)に示した1週間降雨の濃度変化をみると、1997年 10月と1998年3.月.に高くなっている。10月は降水量が最も少なか ったために濃度が高くな.つたものと思われる。図.5−7より3月は降. 水量が少一ないものの4月から5月にかけて降水量.は著しく増加して おり、図5−8−7の(a)に示した沈着量変化で、3,月が高くなり、4. 月もほとんど変化がないのは、濃度度変化において2月から3月に かけて増加し、4Hは低いことによるものと考えられる。2月までは 主にWashoutの寄与が大きいと考えられる。 3月以降は沈着量が変動しているが、図5−7の降水:量の変化と比較. すると、降水量が3月から5月にかけて増加している。これに対し て、沈着量は3.月から4,月にかけては変化がなく、5.月から7月にか. けて減少傾向にあり、降水量の増加に伴い沈着量も増加していると. は言えない。3月以降は、図5−8−7〈b)の1週間降雨における濃度. 一43一.

(50) も変動していることからWashoutとRainoutの両方が寄与している 可能性がある。. 〈H)NO2一イオン〈図5−8−8). 図5−8−8にNO2『イオンの場合を示した。雨水に溶存するNO2 rm. イオンは、CrイオンやNa+イオンに比べて少ないため、図5−8−8 のすべての図の縦軸のスケールを図5−8−4や図5−8−5に比べて小さ くしている。. 図5−8一一8(b)における1週間降雨の濃度変化をみると、9.月、10. 月、11月に多い値を示しているものの、序々に減少している。. これは、図5−7の降水量変化より、10月に降水量が最も少なく、 11,月は降水量が増加していること。また、図5−8−8(c)における. 10月とli月の初期1ミリ降雨の濃度が高いことが原因と思われる。. 図5−8−8(c)に示した3月の初期1ミリ降雨濃度が高いが、図5− 8−8〈a)から沈着量は他の月に比べるとそれほど多くない。以上の ことはWashoutの寄与を示している可能性を示す。 図5−7の降水量変化を見ると、4,月から7,月にかけては降水量が比. 較的多く、降水量の増加と減少にともない、沈着量も増加・減少し ている。これらはRainoutの可能性を示すものである、全体として、. WashoutとRainoutの両方の寄与がまざって働いている可能性が考 えられる。. (1)K+イオン(図5−8−9). 図5−8−9にK+イオンの場合を示した。雨水に溶存するK+イオン. 一44一.

(51) は、C「イオンやNa+イオンに比べて少ないため、図5−8−9のす べての図の縦軸のスケールを図5−8−4や図5−8−5に比べて小さくし ている。. 図5−8−9の(b)に示された1週間降雨における濃度変化につい て、10月に濃度が高く、10,月以外の月については、あまり差は認め. られない。図5−7に見られるように、10Hは降水量が著しく少なか ったことと、図5−8−9(a)に示された10月の沈着量が比較的多い ことから、初期降雨において多量に含まれていたことが理由と思わ れる。. 10.月を除き、図5−8−9の(c)に示された初期1ミリ降雨におけ. る濃度差が、1週間降雨ではほとんど見られないことから、K+イオ. ンはWashoutにより取り込まれたイオンであり、後続の雨により薄 められた可能性がある。. (」)H+イオン〈図5−8−10). 図5−8−10にH+イオンの場合を示した。雨水に溶存するH+イオン は、Cl一イオン’〈)N a ’イオンに比べて少ないため、図5−8−1つのす. べての図の縦軸のスケールを図5−8−4や図5−8−5に比べて小さくし ている。. 図5−8−10のくb)に示された1週間降雨の濃度変化を見ると、10 .月、12月、4H、7.月、8.月と濃度が高く月毎の変化が大きい。. 図5−8−10の(a)に示された1週間降雨における沈着量変化につ いてみると、12.月を除く10,月から3,月にかけて沈着量が少ない。. このように、H+イオンについては、 WashoutやRainoutの寄与に. 一45一.

(52) よるはっきりとした傾向をみることはできない。. H+イオンの濃度については酸だけでなく、アルカリとして中和反. 応に関係する物質との相互作用で決まるため、これらの物質の濃度 変化や沈着量の変化も考慮する必要があり、H+イオン単独では評価 できない。簡単に言えば、酸の寄与からアルカリの寄与を引いたも のがH+濃度に対応すると考えられる。ここに表した濃度や沈着量か らはすぐにわからないが、後で述べる地域的変化にこのことがよく 表れている。濃度の地域的変化は次の節で述べる。. 一46一.

(53) 250. の. @. 髭. 200 E. ふ. 150 tco 50. o 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5−7阪神地区における1997年9.月から1998年8月までの1ヶ,月あた りの降雨量変化. 一47一.

(54) NO 3一の場合 3000 遡2500 騨2000 咽150G 耗1000 墾 5σo. (a). ・y“×.一./Vve. o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 70 60. …. さ4。. …. @. …. (b). i. 塁・・. …. 20. i. 1〔}. i. 0 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. うり. り ヒ. びへ. ツ. 1. 課1 9119 118. り. 1(。). 191. §. /\ノー/へ、N..._!一i. 0 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5−8−1阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経且変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初期. 1ミリ降雨の灘度変化. 一48一.

(55) nssSO 42mの場合 3000 憾2500 騨2000. (a). 咽1500 耗1000 500 0 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月置4月 5月 6月 7月 8月. 70 60 50. (b). 忌4。 皇・・. 20 10 0 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. らむ. l18 (c). 忌墾1. 靴ll ’91. 0 9月 10月11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月’6月 7月 8月. 図5・8−2阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経月変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一49一.

(56) nssCa2+の場合 3000. 四隈. 1. 也12500. 騨2000. (a). 11. ×. ミ. 咽15GO 斎1000. l l. 500. き. 1. 0 9月 10月 11月 12月‘1月 2月 3月 ’4月 5月「6月’7月 8月. 100. 鐸. l. 80. l, (b). l. 書6・. il. 薯、。. i. i. 20. 1. o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月「5月 6月 7月 8月. 500. m−wran一”一一ewttNtwwt一一一一一rvnvM±”op一一一w−t−lapmaprrt7wh”Nt−tma−Mwewt“wwLt”一nt−Mth/一t−htttktrwtFum一一nvnvnyttnvtrnm]rvSuzpat一一M一’一一./tttmuttS−wwt/tnt”mblttsu一一4 11. 400. 11 (c). 忌3・・. l. 皇、。。. l l. 1. 100 o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5・8・3阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経月.変化 、上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一50一.

(57) C1一の場合 3000. 達. 遡2500 騨2000. (a). 咽1500 耗1000 50Q o 9月 10月11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 70 6e 50. 「 (b) …. 書4。. i. 豊・・. 20 10 0 9月 10月11月『12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 450 400 350. @. き …. i. 一 300. × or. (c). 250. 0200 150 1QQ. 1. 50. a 9月 10月11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5−8−4 阪神地区における各イオンの降下量.と濃度の経月変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)ユ週間降雨の濃度変化、(c)初期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一51一.

(58) Na+の場合 3000 也区2500. (a). 鍵i2000. 咽1500 耗1000 500 0 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 70 60. (b). む. Σ4。 9・・. 20 10 0 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. うむ. i. ぎ98. l (c). l. 部ll. I. ilk l18. il. l i. 198 Q 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5−8−5阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経且変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一52一.

(59) :Mg2+の場合. 500 遡400. (a). × 300. 咽. 200. 違ユoo o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月置6月 7月 8月. 25. り. 20. i. ガ. R. {(b) ヨ. 書15. 1. 呈,。. } …. 5. i. o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 80 70. ア. ロリ. き (c). 弓。. 忌50 di 40. ミ30. 20 1e o. 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5・8・6 阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経且変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一53一.

(60) NH4+の場合 3000. ..一. l. 遡2500 撰i2000. (a). i. t. 咽1500 耗1000. {. i. 5QO. l. O 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 70 60 (b). らむ. さ4。 旦・・. 20 10 0 9月 10月 11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 500. 一tthttmt一一’rimu−nvsu“. I,. 400. s. (c). { ;. さ3・・ 塁、。。. 100. o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5・8・7 阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経月変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一54一.

(61) NO2一の場合 25e. .一“一’一. R (a). 遡200. 騨 @150 ×’. 咽. 100. 盤 50 o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 4 3. 5 (b). 3 書2・5 di 2 ミ1.5. 1 0. 5. g 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 25 2e. (c). 忌15 翼1。 5. o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5−8・8 阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経月変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初;期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一55一.

(62) K+の場合. 400 350. 也1300 嬰…. (a). 咽200 耗150 哩100 50. 0 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 25. wwwN“rawwww一’hfima’. 20. ll. 苓15. l. 塁1。. i’ i’. (b). g. 5. {. o 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 70 60 50. (c). 忌4。 呈・・. 20 10 0 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 ’4月 5月 6月 7月 8月. 図5−8−9 阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経月変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一56一.

(63) :H+の場合. 600. 糠. 500. (a). 購400 面…. 曇200 100 0 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 18. 11ge’”n”’va”ePtnv’su 珊…Fト朋「. ケ. 16 14. (b). 一 12 Xv 10. 9 s ミ 6. 4 2 0. 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月’8月. 18. 胴. 糊 噸. ”k. y. 16,. 14. (c). ユ. 》10 Φ 8. ミ 6. 4 2 0. 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月. 図5−8・10阪神地区における各イオンの降下量と濃度の経回変化 上から (a)1週間降雨の降下量変化、(b)1週間降雨の濃度変化、(c)初;期. 1ミリ降雨の濃度変化. 一57h.

(64) 5.7 阪神地区におけるイオンの地理的変化 図5−9−1から図5−9−10は各採水地点間における各イオンの年間 平均濃度の違いについてグラフ化したものである。. 「5.6 阪神地区におけるイオンの季節的変化」において記し たように、雨滴に対するイオンの取り込まれ方に違いが見られるこ. とから、5.6に示された3つのグループにわけて地理的変化をみ てみた。. (1)Washout由来の物質とされたもの. (A>NO3一について(図5−9−1). 図5−9−1〈a)に示した1週間降雨の濃度変化をみると、小松小学. 校において若干濃度が高いものの、大きな違いはみられず、この傾 向は、図5−9−1(b)のおける初期1ミリ降雨の濃度変化でも同じで ある。. 都市部では一様に交通量が多く、人間活動や風の影響などにより. 大気中で拡融されている可能性が考えられる。このことから、年間 を通して見た場合、今回測定した地域の範囲では採水地点による違 いが認められなかった可能性がある。. 〈B)nssSO42一について〈図5−9−2>. 図5−9−2(a)に示された1週間降雨における濃度変化についてみ ると、小松小学校を除いて地点間における濃度差はほとんど認めら れない。同様に、図5−9−2(b)に示された初期1ミリ降雨における. 一58一.

(65) 濃度についても、大きな差は認められなかった。小松小学校では、. このnssSO42一、前節のNO3一とも1週間降水の方で大きくなって いることから、後続の雨で補給されていると考えられ、この付近に 発生源がある可能性を示している。. 今回は降雨時の風向を測定していないため、風向きとイオン濃度 の関係について正確なことは言えないが、阪神地区における例年の 風向を調べると、北よりの風または南西の風が多い(付録2)ことが. 報告されている。また、西宮市が過去に調査した大気中の汚染物質 についての風向別濃度をみると市中心部からみて南東の方向からの 風の時、汚染物質の濃度が最も高くなる結果がでている(付録3)。. 採水地点を示した地図にもあるように、採水地点の東側、尼崎港付 近は発電所やガラスエ場、その他工場が多数存在する工場地帯であ り、そこからの排ガスの影響が出ている可能性が考えられる。. これら以外に、この付近上空が伊丹空港の飛行コースにあたる(付 録4)ことなどから、航空機の排ガスや大気の拡散なども考慮すべき. だと考えられるがこの点については、調査方法や時間的関係で検証 することはできなかった。. 〈C)nssC a 2+について(図5−9−3). 図5一一9−3(a)に示された1週間降雨における濃度変化についてみ. るとnssCa2+については、小松小学校から池尻小学校にかけて比 較的濃度が高くなっている。この傾向は図5−9−3(b)において示さ. れている初期降雨の濃度変化を見た場合についても同じである。こ. れは、初期降雨と後続の雨で、nssCa2+の地域的な発生の仕方に違. 一59一.

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