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PDF 不燃破砕残渣の長期的環境負荷(有害重金属) 明星大学理工学部環境システム学科 資源廃棄物研究室 07t7-047 吉原辰法

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(1)

不燃破砕残渣の長期的環境負荷(有害重金属)

明星大学理工学部環境システム学科 資源廃棄物研究室 07T7-047 吉原辰法

1.はじめに

現在、最終処分場の残余容量の問題があり、搬入される廃棄物の削減を必要とされている。最終処分 場へ搬入される廃棄物の割合は約 60%が焼却残渣、20%が不燃破砕残渣となっている。リサイクル技術 の向上により、焼却残渣は溶融固化など資源化が進んできているが、不燃破砕残渣は資源化が困難であ る。不燃破砕残渣とは、不燃ごみ・粗大ごみを回収して自治体などで破砕処理を行う過程で、資源価値 の高いアルミや鉄を回収し、その残りを最終処分場に搬入したものである。地域によって最終処分場に 搬入される廃棄物の質に多少違いはあるが、今後の最終処分場へ搬入される廃棄物の割合は不燃破砕残 渣が増加していく可能性がある。

本研究では最終処分場の埋め立ての模擬実験を行い、不燃破砕残渣の環境負荷を明らかにし、 不燃 破砕残渣からの有害物質溶出への影響を考え有害物質の溶出特性について把握することを目的とする。

2.研究方法

昭島市清掃センターから採取した不燃破砕残渣を充分に風乾させたものを使用した。埋立高さ、降雨 量、覆土の有無などの影響を見るために、残渣充填高さ(30cm、60cm、90cm)、降雨量(4mm、20mm、

40mm)、覆土(上、下)とカラムの 条件をかえ、カラム(直径 9cm、

高さ 50cm)に密度 0.75kg/L で 充填した。降雨量は最終処分場が 存在する青梅市の過去 10 年間の降 雨量から平均したものを実験に使 用した。カラム条件は表-1 に示す。

全てのカラムに純水を流入させた。

流出した浸出水を定期的に採水し、

分析を行った。測定項目は、Zn,Pb などの環境基準や排水基準に定め られている重金属である。

3.結果及び考察

図-1に Zn 濃度(全体量:粒子態+溶存態)の変化を示す。亜鉛は一律排水基準の生活環境項目と比較 を行った。196 日目まで 40mm は排水基準 (2mg/L)を超えていた。覆土(下)は土に金属が吸着しまってい るために初期から濃度が低いと考えられる。充填高さ 90cm、降雨量 40mm では日数が経過していくごと に濃度は減少傾向にある。基本(Ave)と覆土(上)では、301 日以降徐々に値が高くなっていた。充填高さ 60cm では 343 日目以降徐々に値が高くなっていた。降雨量 20mm では 273 日目から濃度が上昇してきた が 357 日目から下降減少にある。初期に残渣充填高さが高いほど、高い濃度を示したが、315 日目から は残渣高さが低いほうが高い濃度を示した。降雨条件の比較をすると、最初は降雨量 20mm と 40mm は基 本(Ave)より高い濃度だが、343 日目からは低い濃度を示した。

図-2に Zn 濃度(溶存態)の変化を示す。亜鉛の溶存態の場合、降雨量 40mm 以外は 119 日目以降基準 値を超えることはなかった。196 日目まで降雨量 40mm は排水基準を超えていた。溶存態にも全量と同じ ような上昇傾向がみられる。

図-3に Pb 濃度(全体量:粒子態+溶存態)の変化を示す。鉛はどの条件も日数が経過していくごとに 濃度は減少傾向にあった。充填高さ 90cmは 119 日目まで環境基準(0.01mg/L)を超えていた。70 日 目に充填高さ 90cm 以外の条件で環境基準以下の濃度になった。覆土(下)は亜鉛同様に土の吸着効果に より濃度が低く始めから環境基準を超えることはなかった。154 日目に充填高さ 90cm が環境基準を超 える濃度が検出された。残渣充填高さが高いほど、高い濃度を示し、降雨量条件の比較では降雨量 40mm、

20mm、基本(Ave)の順に検出されなくなった。

図-4に Pb 濃度(溶存態)の変化を示す。49 日目以降、全てのカラム条件で環境基準以下の濃度になっ た。154 日目に充填高さ 90cm が環境基準を超える濃度が検出された。

表-1 カラム条件

カラム名 条件 充填量

(kg)

流量 (mL/h) 基本 A 残渣充填高さ 30cm、降雨量 4mm/日 1.43 1.14 基本 B 残渣充填高さ 30cm、降雨量 4mm/日 1.43 1.14 基本 C 残渣充填高さ 30cm、降雨量 4mm/日 1.43 1.14

60cm 残渣充填高さ 60cm 2.86 1.14

90cm 残渣充填高さ 90cm 4.29 1.14

20mm 降雨量 20mm/日 1.43 5.70

40mm 降雨量 40mm/日 1.43 11.4

覆土(上) 覆土厚 5cm(上部) 1.43 1.14

覆土(下) 覆土厚 5cm(下部) 1.43 1.14

(2)

図-5に Cd 濃度(全体量:粒子態+溶存態)の変化を示す。カドミウムは最初から環境基準(0.01mg/L)

を超えることはなかった。覆土(上)259 日目から、基本(Ave)と充填高さ 60cm は 287 日目から上昇して いる。ほかの条件は日数が経過していくごとに濃度は減少傾向にあった。始めは残渣充填高さが高いほ ど、高い濃度を示し、357 日目からは残渣高さが低いほうが高い濃度となった。降雨量条件の比較では、

始めの 50 日目までは基本(Ave)が高い濃度を示し、それ以降は降雨量 20mm、40mm は基本(Ave)より常に 高い濃度を示した。覆土(下)は亜鉛同様に土の吸着効果にほかの条件より低い濃度であった。

図-6に Cd 濃度(溶存態)の変化を示す。溶存態も初期より環境基準(0.01mg/L)を超えることはな かった。溶存態にも全体量と同じような上昇傾向がみられる。

図-1 Zn 濃度(全体量)の変化 図-2 Zn 濃度(溶存態)の変化

図-3 Pb 濃度(全体量)の変化 図-4 Pb 濃度(溶存態)の変化

図-5 Cd 濃度(全体量)の変化 図-6 Cd 濃度(溶存態)の変化

4.まとめ

Zn は 196 日目まで降雨量 40mm は排水基準を超えていた。Pb は 119 日目まで充填高さ 90cmは環境基 準を超えていた。Cd は初期から環境基準(0.01mg/L)を超えることはなかった。

Pb は一時的に濃度が上昇しているが、減少傾向がみられる。Zn と Cd は減少傾向にあったが、300 日 以降から、一部の条件で濃度が上昇している傾向がみられる。

不燃破砕残渣は初期に高い濃度を示し、環境基準を超える重金属が検出された。全体的な重金属の流 出量は濃度が低く、不燃破砕残渣は環境に与える影響は低いと考えられる。

0.00  2.00  4.00  6.00  8.00  10.00  12.00  14.00  16.00  18.00 

0 50 100 150 200 250 300 350 400

Zn濃度(mg/L)

経過日数

基本(Ave) 60cm 90cm 20mm 40mm 覆土(上)

0.00  1.00  2.00  3.00  4.00  5.00  6.00  7.00  8.00 

0 50 100 150 200 250 300 350 400

Zn濃度(mg/L)

経過日数

基本(Ave) 60cm 90cm 20mm 40mm 覆土(上)

0.0000  0.0200  0.0400  0.0600  0.0800  0.1000  0.1200 

0 50 100 150 200 250 300 350 400

Pb濃度(mg/L)

経過日数

基本(Ave) 60cm 90cm 20mm 40mm 覆土(上) 覆土(下)

0.0000  0.0100  0.0200  0.0300  0.0400  0.0500  0.0600  0.0700 

0 50 100 150 200 250 300 350 400

Pb濃度(mg/L)

経過日数

基本(Ave) 60cm 90cm 20mm 40mm 覆土(上) 覆土(下)

0.0000  0.0010  0.0020  0.0030  0.0040  0.0050  0.0060  0.0070  0.0080  0.0090  0.0100 

0 50 100 150 200 250 300 350 400

Cd濃度(mg/L)

経過日数

基本(平均)

60cm 90cm 20mm 40mm 覆土(上)

覆土(下)

0.0000  0.0005  0.0010  0.0015  0.0020  0.0025  0.0030  0.0035  0.0040  0.0045  0.0050 

0 50 100 150 200 250 300 350 400

Cd濃度(mg/L)

経過日数

基本(平均)

60cm 90cm 20mm 40mm 覆土(上)

覆土(下)

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