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黄色ブドウ球菌における TSST-1 産生制御機構の解明

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Academic year: 2025

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全文

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(博士)

論 文 要 旨

学 位 論 文

表 題 黄色ブドウ球菌におけるTSST-1産生制御機構の解明

申 請 者 氏 名 瀧 雄介

担当指導教員氏名 崔 龍洙 教授

所 属 自治医科大学大学院医学研究科

専攻 人間生物学系

専攻分野 生体防御医学分野

専攻科 微生物・免疫学

使用文字数 1893 字

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(甲種)

1

論 文 要 旨

氏名 瀧 雄介

表題

黄色ブドウ球菌におけるTSST-1産生制御機構の解明

1 研究目的

毒素性ショック症候群(以下、TSS)は現在でも致死率の高い重篤な疾患である。黄色ブドウ球 菌の産生するTSST-1は、TSSの原因毒素である。TSST-1は、tst遺伝子によってコードされ、sarA、

agr、sigB、rotなど多くの遺伝子がTSST-1の産生制御に関連する。黄色ブドウ球菌は約30-50%の ヒトの皮膚や粘膜に常在し、臨床分離される黄色ブドウ球菌の20%はtst遺伝子を有するが、TSS を発症する症例はまれである。多くの黄色ブドウ球菌がtst遺伝子を持つにも関わらずTSSの発症 頻度が非常に低い原因は明らかになっていない。

当部門にて、臨床分離された黄色ブドウ球菌に血清を添加して培養すると菌株によって TSST-1 産生量が大きく変化することが見いだされた。さらに、TSS発症患者から分離された菌株は、血清 添加によりTSST-1産生量が増加する傾向があったため、TSS発症と血清による誘導能の関連性が 疑われた。本研究の目的は、TSS発症患者から分離された黄色ブドウ球菌株(TSS株)とTSS非発 症患者由来株のTSST-1産生制御機構を明らかにすることである。

2 研究方法

本邦でTSSの症例報告している施設より、TSS株を7株分与頂いた。tst遺伝子を有する非TSS 発症患者由来の黄色ブドウ球菌(非TSS株)7株および黄色ブドウ球菌の代表株であるN315を比 較対照とした。次世代シークエンサーMiSeq(Illumina)および第三世代シークエンサーMinION

(Oxford Nanopore Technologies)を用いて、黄色ブドウ球菌株の全ゲノム解析を行った。また、

血清誘導下におけるTSST-1産生量をELISA法により測定した。さらに、tstプロモーター領域に 同定された変異によるプロモーター直下の遺伝子転写量の変化をレポーターアッセイにより解析 した。さらに、プロモーター変異の組換え株を作成し、血清によるTSST-1産生能誘導能を測定し た。

3 研究成果

黄色ブドウ球菌株14株の全ゲノム解析より、TSS株および非TSS株はそれぞれ3つの遺伝子型

(Clonal complex (CC)-5、CC-8、CC-30)に分類された。血清を添加して菌株培養を行い培養上清 のTSST-1産生量をELISA法により測定したところ、CC-5のTSS株では著明にTSST-1産生量が増 加したが、CC-5の非TSS株では有意にTSST-1産生量が低下した。tstプロモーター領域を比較す るとtst転写開始点の107-115塩基上流に存在する連続するT塩基の数が、菌株により異なってい た。CC-5のTSS株の中で、3株中2株ではT塩基が8個であったのに対し、残りの1株と非TSS株

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では9個であった。CC-30とCC-8においてはTSS株、非TSS株ともそれぞれ7個、6個であった。

このことから、TSST-1産生量とtstプロモーター領域の変異との関連性が疑われた。

tstプロモーター内に見出したT塩基数の多様性がtstプロモーター活性に与える影響を解析す るために、T塩基数が異なるtstプロモーターをegfp遺伝子の上流に組み込みレポーターアッセ イを行った。今回作成したレポーター株は、tstプロモーター領域にT塩基を6~9有しており、

その全ての株で、血清添加により蛍光強度が増大した。特にT塩基数が8個の株の血清誘導能が一 番高かった。さらに、T塩基が9であるN315株と8であるJMUB3007株のtstプロモーターを組換 えた菌株を作成し、血清添加によるTSST-1誘導能を測定したところ、T塩基数が8の時に血清誘 導能が高くなり、9になると減少することを確認した。

4 考察

本研究により、TSS発症株の中に、血清添加によりTSST-1が高産生する株が存在することが見 出した。このことから、ヒト血清によるTSST-1誘導能とTSSの発症との間に関連性があることが 推測された。ヒト血清誘導能に関わるtstプロモーター領域の変異はtstの転写開始点の106から 114塩基上流に位置し、同変異周辺は黄色ブドウ球菌の病原性の転写調節因子SarA の結合部位と の相同性がみられた。T塩基数が変化することで、SarAとの親和性が変化し、tstプロモーター活 性が変化すると考えられた。

5 結論

黄色ブドウ球菌株のtstプロモーター領域に含まれる連続するT塩基領域の変異は、TSST-1産 生能に影響し、TSS発症のリスク因子となりうる。

参照

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キーワード:黄色ブドウ球菌,感染性大動脈瘤,喀血,ステントグラフト内挿術 Staphylococcus aureus, Infected aortic aneurysm, Hemoptysis,