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バイオフィルム超高産生性黄色ブドウ球菌臨床分離株から見出されたica locusの新規リプレッサーの機能解析

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Academic year: 2021

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別記様式第 6 号(第 16 条第 3 項,第 25 条第 3 項関係)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

博士の専攻分野の名称 博士( 医学 ) 氏名 于 連升 学 位 授 与 の 条 件 学位規則第 4 条第 1・2 項該当 論 文 題 目

A novel repressor of the ica locus discovered from clinically isolated super biofilm-elaborating Staphylococcus aureus

(バイオフィルム超高産生性黄色ブドウ球菌臨床分離株から見出されたica locus の新規リ プレッサーの機能解析) 論文審査担当者 主 査 教 授 坂口 剛正 印 審査委員 教 授 大毛 宏喜 審査委員 教 授 廣橋 伸之 〔論文審査の結果の要旨〕 黄色ブドウ球菌はヒトの常在菌でありながら時として病原性を発揮する化膿性炎 を起こす代表的な病原菌である。ブドウ球菌属の中では表皮ブドウ球菌がバイオ フィルムを形成する菌として位置づけられているが、臨床分離黄色ブドウ球菌の中 にも強いバイオフィルム産生性を示す株がある。また黄色ブドウ球菌は心内膜炎の 重要な原因菌であり、バイオフィルム形成との因果関係が推論されているが未だ不 明な点が多い。 申請者は粉瘤から分離された強いバイオフィルム産生性を示す TF2758 株を用い て、本菌の高バイオフィルム産生性のメカニズムを明らかにすることを目的として 実験を行った。最初に黄色ブドウ球菌の標準株の全 ORF を貼り付けたマイクロア レイを用いて、TF2758 近縁株を対照とした遺伝子発現解析を行った結果、黄色ブ ドウ球菌のバイオフィルムの主体をなす多糖 poly-N-acetylglucosamine の生成・分 泌・表層への分布に関わる遺伝子群 ica locus の高発現とともに機能未知の7つの orf 群の高発現を認めた。その遺伝子群の中にある転写因子様の遺伝子にミスセン

ス変異を認め、この遺伝子をrob (regulator of biofilm)と名付けた。TF2758 株で正常 型の Rob を過剰発現するとバイオフィルム形成が消失すること。標準株 K300 で rob を欠損させるとバイオフィルムが過剰産生され、rob で相補されること、 TF2758 型の rob では相補できないことを示し、TF2758 において rob の機能的欠失 がバイオフィルムの高産生性に関わること、Rob が新規のバイオフィルム産生に関 わる転写因子であることを明らかにした。また Rob の変異によるバイオフィルム 高産生は IcaR の過剰発現、あるいは IcaADBC の欠失により阻害することができ た。このことからRob が関わるバイオフィルム産生は ica locus 発現による

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acetylglucosamine 経路の上流にあると考えられた。また Rob は自身のプロモーター 領域に結合することを明らかにし、DNaseI foot printing により Rob の結合 DNA 領 域を推定した。

申請者はさらに Rob が ica locus のプロモーター領域に結合することを見出し た。この領域に存在する DNA モチーフ TATTT 配列が ica locus の発現に重要であ る こ と が す で に 報 告 さ れ て お り 、 未 知 の 制 御 因 子 の 存 在 が 予 想 さ れ て い た 。 TATTT 配列を欠く臨床分離株は高バイオフィルム産生性を示す。Rob は TATTT 配 列を含む DNA 領域を認識して結合し、この DNA 領域は Rob 自身のプロモーター のRob 結合領域と相同性を示した。さらに Rob は TATTT 配列を欠損した ica locus のプロモーター領域に結合しなかった。以上から Rob は自身のプロモーターに結 合して、周辺の7つの遺伝子の発現制御を行うとともに ica locus のプロモーター 領域に位置するTATTT モチーフを含む領域に結合することで ica locus の発現を制 御することが明らかとなった。Rob は従来、S. epidermidis で研究されてきた ica locus の IcaR による制御以外の重要なバイオフィルム産生制御因子であることが明 らかとなった。本研究は黄色ぶどう球菌のバイオフィルム産生の新しいメカニズム を明らかにし、臨床で問題となる黄色ブドウ球菌のバイオフィルム産生とその制御 に関わる重要な知見をもたらした点で高く評価できる。よって審査委員全員は、本 論文が著者に博士(医学)の学位を授与するに十分な価値があるものと認めた。

参照

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