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[報文]紅麹菌による黄色色素の生産とその性質の検討: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Title

[報文]紅麹菌による黄色色素の生産とその性質の検討

Author(s)

中西, 久治; 照屋, 隆司; 石川, 達; 照屋, 輝一

Citation

南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical

resources technologists, 11(1): 9-14

Issue Date

1995-10-20

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/14104

(2)

南方資源利用技術研究会誌 VoL llNn1 9-14 1995

紅麹菌 による黄色色素の生産 とその性質の検討

中西 久治,照屋 隆司,石川 達,照屋

輝-(株式会社 トロピカルテクノセンター研究開発部)

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1.は じめに

タール系の合成着色料の発がん性が問題視 さ れているところか ら、食品添加物 として天然色 素への消費者のニーズが高まっている。特 に微 生物起源の色素は発酵法による大量培養によっ て、需要に応 じたその安定供給が可能であると いう利点があり、その開発が求められている。 紅麹菌 (Mmascus属菌)の天然色素 は本県 において古 くか ら紅飯、紅ムーチの着色に用い られてきたが、現在で は全国的 に水産練製品、 ジャム、 トマ トケチ ャップ、練あん等の着色 に 広 く用いられている。紅麹色素は耐光性が弱い ことを除けば、① タンパ ク質への着色性が良い、 ②

p

H

による色調 の変化が少ない、③熱 に比較 的安定であることなど食品色素 としての利点が ある。 しか し、紅麹色素 はその赤色色素につい ての研究がほとんどで、黄色色素についての研 究は少ない。また、現在利用されている天然の 黄色色素はそのほとんどが植物起源であるため、 紅麹菌を用いた微生物起源の黄色色素の発酵生 産に関する研究は、その大量安定供給へ貴献す るものである。 本研究では43株のTTC保有紅麹菌より選択 した黄色色素高生産株を用い、黄色色素生産の ための液体培養の検討 と、これより生産 された '沖縄県具志川市字州崎5-1 city,(洗ina

L

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0

4

1

2

2

黄色色素の諸性質についての検討を行 ったので ここに報告する。

2.

実験方法 1 菌 株 TTCの保有する紅麹菌43株のより黄色色素 高生産株として選抜 した紅麹菌

No.

1

6

株を用 い た 。 2 培 地 基本培地 としてGlucose-Pepbne培地 (表 1) を使用 した。 表

1

培地組成 基本培地 (Glucose-Pepbne培地) Glucose 10.0 Peptone 5.0

KH2

PO

1

0.5 MgSO

4

・7H2

0

0.5 FeSO

l

・7H2

0

0.05g Disも1ledwater

1

O

O

O

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H 5.

6

3

培養方法 前培養として、基本培地 に寒天を1.5%加え たスラントに試験菌株を接種 し、30℃で一週間 培養 した。本培養は、先の培養スラントに滅菌 水を5ml加えた胞子懸濁液を種菌とし、基礎培

(3)

地20mi /100ml振過 フラス コに0.5mi 接 種 し、 30℃で5日間振 とう培養 した。

4

分析および評価法 i)分析法 培養液のpH :培養液を直接pHメー ターで測 定 した。 菌体生育量 :予め105℃で乾燥 し、重量 を測 定 したN0.2の漉紙を用 いて培養液 か ら菌体 を 漉過 し、105℃で3時間乾燥す る。乾燥後、20 分間デ シケーター内で放冷後重量を測定 し、液 紙の重量を差 し

いて菌体量 と した。単位 は、 乾燥菌体重量 (DCW)と してg/20mlで表示

た 。 色素生産量 :色素 は菌体を除いた培養液液 に ついて測定 した。黄色色素生産量 はOD.。Oの 吸光度、赤色色素生産量 はOD6。。の吸光度 と して測定 した。吸光度測定時のブランクには同 培地を使用 した。 ii)評価法 液体培養による色素生産 は、その工業化 を考 える上で、培養液中の絶対的な色素生産量 が高 いことが条件である。また、それ とともに色素 の精製の簡便 さを図 るために、混合色素中の黄 色色素が相対的に高 い必要がある。従 って、黄 色色素生産性の評価 は黄色色素生産量 (OD日。 の吸光度)と共に、各色素生産量を黄色色素 の 割合 に換算 したOD..o/OD5。。の値が高い場合 を色素生産性 が高 いと評価 した。 しか し、 0 D"Oの吸光度 の値が1以下 の場合 は評価 の対 象外 とした。

3.

結果及 び考察 (1) 培養条件の検討 基本培地を用い黄色色素生産に最 も有効 な炭 素源や窒素源、初発pHを選抜す ると共 に、微 量成分について も検討 した。 ① 炭素源による影響 炭素源 として glucose、Ⅹylose、stuch、

sac charose、maitose、galactose、hlCtOSe、

dex廿in、 Larabinose、D-arabinose、lactose、

南方資源利用技術研究会誌 rham noseを用い、濃度 は10g/ 1で試験 を行 っ た。その結果、黄色色素量(OD4。。の吸光度 )は glucose、maltose、払1CtOSeにおいて高い値を 示 してお り、黄色色素生産 にはこの3種の炭素 源が有効であった (図1)。特にOD4。。/OD6。。 の値ではglucoseが最 も高い値を示 した (図2)0 従 って、黄色色素の生産に有効な炭素源 と して はglucoseが最適であると判断 した。 G山cose Xylose Starch Saccharose M∂ltose

Lh Galactose

FruCtose Dextrln L-ArabmOSe D-ArablnOSe Lactose Rhamnose GhJCOSe XyhつSe Starch SaCcharose Maltose Gabctose Fructose Dexvln 」・Arablnose DIArablnO5e LacこOSe RhamnOSe ≡ _ _ _ ; 0 0 5 1 15 2 25 0D400.00500(Ab≦) ■ ,OD400 口.OD500 図

1

炭素源による影響

1

.E

T

.OE I OD400/OD500 DCW(g/20rnJ) 図

2

炭素源による影響

2

次に、glucoseの最適濃度を調べた (図3)0 その結果、菌体生育量 はglucose濃度 の増加 に 伴い増加傾向を示 した。 しか し、色素生産を示 すODIDOとOD4。0/OD5..の値 は、始 め増 加 す るがある濃度を過 ぎると低下 しその後 ほぼ一 定の値を示 した。従 って、log/ 1をglucose最 適濃度 とした。 - 1

(4)

0-Vol.ll対al 1995 (r L U O Z J B ) 主 U q (s q v )o o bo o ; ≡ L

∠二

GIuCose ConcentratlOn(g/I)

0 0

SOO

J 0 0

tTdO

+

.OD400 -A -.OD400/OD500 図3 Glucose濃度による影響 ② 窒素源による影響 炭 素 源 と してpeptone、七yptone、yeast extract,maltextract.beefextract、casami no acid、 (NH.)2SO.、 NH4NOh NaNO,、 (NH2)2CO、NH4C1、KNO,を用い、上記 と同 様の方法で試験を行 った。その結果、OD400の 値はpeptone、廿yptone、beefextract、casami n oacidにおいて高い値を示 した (図4).OD4。。 =) a CasamFnO aCld 0 02 04 06 08 1 1I 00400,ODSOO(Abs) ■.OD400 口.OD500 図

4

窒素源による影響1

/OD500は、pepbneがOD400と同様 に最 も高 い値を示 した (図5)。従 って、黄色色素の生 ると判断 した。 C a 3 J n O SUaBoJtl N OD400/OD500 DCw(g/zomり 図

5

窒素源による影響

2

またその最適濃度を調べた結果、菌体生育量 はpeptone濃度の増加に伴い増加 した.OD40h OD400/OD600の値は濃度

2.

5

g/ 1

において最 も高い値を示 し、その後低下 した (図 6)。従っ て、peptoneの最適濃度は

2.

5

g/ 1

とた。 ( Fu O Zr)

[

^uo6 o o o と ヒ= 3 B 2 くく ⊂〉 くつ 可 8 i 0 30 くつ 203 ⊂) (つ ⊂) ⊂) 10昌 ○ 0 o 0S 1 25 5 10 20

Peptone Conce爪 「at10∩(g〃)

-+ ,OD400 1▲- .OD400/OD500 図6 Peptone濃度による影響 ③ 初発pHによる影響 培養初発pHを

2,

5

-8.

0

の広範囲にとり、黄色 色素生産性の影響を調べた。その結果、酸性側 のpH

2.

5

と弱アルカ リ性側のpH

8.

0

では黄色 色素の生産性 は悪 く、pH 5.6付近 において最 産に有効な窒素源 としてはpepbneが最適であ も高い生産性を示 した (図 7)。従 って、培養

(5)

南方 資源利用技術研究会誌 初発pHは微酸性領域が最適であると判断 した。 ( l UJ O Z r B )‡ U D :三L

二 3 B 2 4 ⊂〉 ⊂〉 てr 8 1 0 表2 培地組織の比較 培地組成 基本培地 (g/1) 霊宝笠霊 (ど/1) 炭素源 Glucose10 Glucose10

窒素痕 peptDne5.0 Peptone2.5

グル タ ミン敢 0.5 KH2PO. 05 0.5 ZO MgSO4・7H20 0.5 0.5 FeSO.・7H20 0.05 0.05 153 初発pH 56 5.6 iili c 2,5 5 ⊂) C 2 0 25 4 56 7 8 1nl一lal pH

+ ,OD400 1^- ,OD400/OD500 図 7 培養初発pHによる影響 ④ グルタミン酸添加による効果 上記の結果 よ り得 られた培地条件の炭素 源 glucose log/2、窒素源peptone2.5g/2、 初発pH 5.6に微量成分として グル タ ミン観を 0.1,0.5,1.0,2.Og/A添加 し、黄色色素の生 産性向上の効果を調べた。その結果、グルタ ミ ン酸をある程度添加すると、無添加 と比較 し黄 色色素量 (OD.。。の吸光度)は増加するが、一 定量加えると低下傾向を示す ことが確認で きた (図

8

)。特にグルタミン酸の添加量が0.5g/2 の場合、無添加 と比較 して約2倍程度高い黄色 色素生産性を示 した。 以上の結果か ら得 られた培地組成を表2に示 した。 この黄色色素生産培地における色素生産 性の培養経時変化を調べた結果 (図9)、黄色 色素生産性は培養

5

日目で ピークを示 し、その 後低下することが確認できた。従 って、紅麹菌 を用いた黄色色素の生産には、表2に示 した生 産培地を用い、培養 日数を5日間 とす ことが最 も良好な培養条件であることが確認できた。

(

2

)

生産色素の諸性質の検討 上記により生産 した紅麹菌の黄色色素を用い、 実際食用色素 としての利用が可能であるかを調 0.1 0.5 1 グルタ ミン酸添加丘 (gA) 1 oD4

0

0

□ oD5

0

0

図8 グルタミン酸添加による色素生産 2 5 1 1 5 I ハU (S l y ) 世 米 要 - 1

2-0

1 2 3 4 5 培養 日数 (day) 6 7 図

9

黄色色素生産培地による色素生産の 経時変化

(6)

Vol.llNo.11995 ベるために、(∋耐熱性試験、②耐光性試験、(卦

p

H

による色調の変化 を調 べた。試験試料 には 培養液液を用いた。耐熱性試験では、試料を30, 65,100℃ で180分間加熱 し、 その間 の色 の変 化を経時的に調べた。その結果 (図10)、黄色 色素量 (OD.oDの吸光度)の残存率 は各温度 と もに180分間 ほとん ど変化 しなか った。耐光性 試験では、試料を蛍光灯

、U

V灯、直射 日光下 に360分間放置 し、その間の色の変化を調べた。 その結果 (図11)、蛍光灯 や

U

V灯下 では色素 の残存率 は360分間 ほとんど変化 しないが、 直 射 日光下ではほとんど試験開始直後か ら退色が 始まっていた

。pH

によ る色調の変化 は、試料 _ _ 一 一

I

.

.一一一一

一」■

・一▲ 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 処理時間 (min) = 30℃ 一 ・・●- 65℃ 一 ・▲一 ・ loo℃ 図10 黄色色素の耐熱性試験結果 ( % ) 柵 杜 だ ( % ) 柵 仕 だ 0 50 100 150 200 250 300 350 400 処理時間 (mul) = 笠 光 灯 一 ・◆ - UV灯 一 ・▲- - 直 射 日光 図11 黄色色素の耐熱性試験結果 を水酸化ナ トリウムと塩酸で

p

H

3.0,5.0,7.0, 9.0,ll.0 に調製 し、視覚的 に調 べた。 その結 果

、p

H

がアルカ リ性側 に傾 くと、 その色調 は やや赤みがかることが確認で きた (表

3

)0 表

3 p

H

による色調の変化

p

H

色 調 3 ・ 。 5 ・ 。 7 ・ 。 9 ・ 。 川 畑 ー 末 黄 色 薄黄色 薄黄色 薄オ レンジ 薄オ レンジ 薄黄色 これ らの試験結果より、本研究で生産 した黄 色色素 は一般的紅麹色素 (赤色色素)と同様 に 熱や

p

H

にはほぼ安定であとい う利点 と、光 に 対 しては弱いこという欠点が確認で き、製品 と して利用す るには光に対す る注意が必要であ る ことがわか った。

4.

まとめ

食品添加物 としての黄色色素の微生物による 発酵生産の研究 として、TTC保有紅麹菌 の う ち黄色色素高生産株 として選抜 した紅麹菌No. 16株を用い、その培養条件の検討を行 った。 ま ず、12種類の炭素源を用いての色素生産を調べ たところ、黄色色素 の生産 にはglucoseが最 も 良 く、その最適濃度は10g/ Pであ った.窒素 源では

p

e

p

bn

e

が最 も良 く、その最適濃度 は2.5

g/

Bであ った。培養初発

p

H

は、微酸性 の

p

H

5.6が最適であった。 さらに黄色色素の生産向上を図るために、微 量成分としてグルタ ミン酸の添加を行 った。 こ の結果、上記培地条件にグルタ ミン酸 を0.5g/ P添加す ることにより、その生産量が約2倍向 上 した。また、 この条件での培養 日数 は

5

日間 が最適であった。 また、本黄色色素の耐熱性試験、耐光性試験、

p

H

による色調の変化を調べた結果、本黄色色

(7)

南方資源利用技術研究会誌 素 は一般的紅麹色素 (赤色色素)と同様に熱 や

p

H

にははば安定 で あるが、光 に対 して は弱 い ことがわか った。 参考文献 1)谷村 顕雄,片山 傾,遠藤 英美,黒川 和 男,吉積 智司.1982:天然着色料- ン ド ブ ック,449、光琳 2)夕田 光治, 1992:月刊 フー ドケ ミカル, 11.43

3)TzannF.Lin,ArT101d LDemain,1991: Applied Microbiology Bioteclmology.

36,71

4)B.Yongsmidl,W.Tabloka,W.Yongmanit chai

.

R.BavaDda.1993:Worldjournalof MicrobiologyandBiotechnology.9,851

9

0

図 3 Gl uc os e 濃度による影響
図 7 培養初発 pH による影響 ④ グルタミン酸添加による効果 上記の結果 よ り得 られた培地条件の炭素 源 gl u c os e l o g/ 2、窒素源 p e pt on e2

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