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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 はやし林 志ゆ きの り 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第662号

学 位 授 与 年 月 日 令和4年3月23日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 指骨骨折モデルにおける固定材料および固定方法の違いによる固定強度 の比較

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 秋 山 達

(委 員) 教 授 森 良 之 教 授 西 村 智

論文内容の要旨

1 研究目的

手の指節骨のような小さい骨の骨折では、手の腱や神経、血管に干渉することなく、様々なタ イプの骨折(横骨折や螺旋骨折、斜骨折など)に使用することができることから、鋼線固定が広 く用いられている。しかし、他の方法に比べて固定力が低いとされているため、外固定を併用す ることが一般的であり、早期のリハビリができないというデメリットがある。また、鋼線固定で は鋼線の刺入角度や鋼線径の選択について、力学的な考察に基づく指標がない。そこで本研究で は、鋼線固定において、刺入角度や鋼線径の違いで固定強度にどのような違いが生じるかを、有 限要素解析(FEA)という手法を用いてコンピューターシミュレーションで調査し、固定強度を向 上させる最適な方法がないかを検討した。

2 研究方法

若年男性5名と骨粗鬆症高齢女性5名の手のCTデータを用いて、3次元基節骨モデルを作成し、

モデル上に不完全骨折を模して掌側骨皮質のみを残した骨欠損を作成した。鋼線に相当する金属 円柱を、2本交差刺入法の如く、骨折線に交点が重なるように配置し、鋼線径を1.0mm、1.2mm、

1.5mm、1.8mmの4通り、鋼線の刺入角度(骨折線と鋼線のなす角)を30°、45°、60°の3通り とした。FEAソフトウェア Mechanical Finder を用いて、各モデルの基節骨基部を固定し、骨頭 に垂直荷重をかけて変位量から変化率と加速度を求め、両者が急激に増加した時点の応力値を固 定強度として比較した。個々の固定強度における応力分布を比較し、基節骨縦断面における 10N 以上の応力分布領域の面積の割合(%)を比較した。

3 研究成果

刺入角度30°では鋼線径を太くしても固定強度はほとんど変化しなかった。45°、60°では鋼

線径に比例して固定強度が向上した。高齢群でも同様の傾向を示した。

応力分布領域においても、刺入角度30°では鋼線径を大きくしても応力分布領域はほとんど変 化せず、45°、60°では鋼線径に比例して増加した。高齢群でも同様の傾向を示した。

高齢群は全体的に若年群より結果の値が小さくなったが、年齢差による有意差は生じなかった。

(2)

基節骨縦断面における応力分布は刺入角度が深くなるにつれ、皮質骨厚全体にわたって深い領 域まで及んでいた。

4 考察

骨折線に対して浅く刺入された場合には、鋼線径を太くしても固定強度はほとんど向上せず、

鋼線径を太くすることで固定強度を向上させるには、一定以上の深い角度で刺入する必要がある ことが判明した。また、応力分布を評価したところ、基節骨骨頭にかかる垂直荷重が近位側の骨 皮質に伝達されることが判明した。骨皮質への応力分散は、固定強度を最大限に高めるための重 要な要素であると考えられる。FEA は応力分布を視覚的に分かりやすく解析でき、鋼線固定の固 定強度を予測するために重要である。FEA はシミュレーションであるので、今後、力学実験での 実証が必要である。

5 結論

3次元指節骨骨折モデルを作成し、それを用いて指節骨骨折に最適な2本交差のK-wire固定の 方法を明らかにした。本研究で行われた解析手法は将来的には他の骨折型の解析において一デー タセットとして応用可能であると思われる。

論文審査の結果の要旨

本学位論文は手指長管骨骨折の際に早期リハビリを実現するため、最適な初期固定方法を探索 すべく有限要素解析法でバーチャルに解析を行った結果をまとめたものである。

学問的意義として大きいのは骨折モデルのためにパラメータを設定し今後の研究発展に寄与し た点である。新規性・独創性も同様である。

問題点としては現実世界にはほぼ存在しえない骨折形を設定していることと、摩擦並びに骨癒 合における生物学的変化を解析対象にしていないことである。

しかしながら、これらの限界点を加味しても誠実に現在の解析技術でできることに落とし込ん で将来の医療の発展のために一歩を踏み出している点は十分に評価できる。

よって、最終稿の論文は学位論文として十分な内容・質を持っていると評価できる。

以上のことから、審査員全員が合格と判断した。

最終試験の結果の要旨

本学位審査における発表内容は、手指長管骨骨折の際に早期リハビリを実現するため、最適な 初期固定方法を探索すべく有限要素解析法でバーチャルに解析を行った結果の報告である。

学問的意義として大きいのは骨折モデルのためにパラメータを設定し今後の研究発展に寄与し た点であり、この点は質疑応答でも好意的に審査員から指摘されていた。

新規性・独創性も同様である。

問題点としては現実世界にはほぼ存在しえない骨折形を設定していることと、摩擦並びに骨癒 合における生物学的変化を解析対象にしていないことは論文審査の項で述べたとおりである。こ

(3)

の点については現在の解析能力を超えているということから、将来の課題となった。

しかしながら、これらの限界点について申請者は十分に理解していることが、質疑応答からも 理解でき、限界点はあるが、現在の解析技術でできることに落とし込んで将来の医療の発展のた めに一歩を踏み出している点は十分に評価できる。

つまり、申請者は研究の背景・目標・方法・結果・考察については十分に理解しており、質疑 応答も全く問題なかった。そのうえで、今後の研究の展望も述べており科学的素養や態度も十二 分であったといえる。発表から質疑応答の一連の内容から研究関連知識が十分であったことも理 解できた。

よって、最終試験の内容は審査員全員が合格と判断した。

参照

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