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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 山本や ま も とEA AE EAAEひ ろE 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第 466号

学 位 授 与 年 月 日 平成 26年 3月 19日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 CD19 特異的キメラ抗原受容体発現 T 細胞と IL-21 の併用による B 細胞リンパ腫の治療

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 大槻 マミ太郎

(委 員) 教 授 花 園 豊 講 師 木 村 博 昭

論文内容の要旨

1 研究目的

第二世代 CD19 特異的キメラ抗原受容体 (CD19-specific chimeric antigen receptor:

CD19-CAR) 発現 T 細胞を用いた養子免疫遺伝子療法は、難治性 B 細胞性腫瘍に対する有望 な新規治療法である。本研究では、CD19-CAR 発現 T 細胞の抗腫瘍効果を増強するため、T 細 胞サイトカインである IL-21 を共発現させ、免疫不全マウスを用いたヒト B 細胞リンパ腫 の異種移植モデルにおいてその効果を検討する。

2 研究方法

CD28を構造内に含む第二世代CD19-CAR遺伝子である1928zを搭載したレトロウイルスベク ター (SFG-1928z) はDr. Renier Brentjens (Memorial Sloan Kettering Cancer Center) よ り提供された。これを基に 1928z 配列に 2A peptide を介してヒト IL-21 を連結した共発 現ベクター(SFG-1928z-P2A-IL21) を作製した。両ベクターを用いて健常人由来末梢血単核細 胞に遺伝子導入を行い、CD19-CAR 単独発現 (CAR+) T 細胞と CD19-CAR および IL-21 発現 (CARIL21+) T 細胞を作製した。機能解析として、フローサイトメトリーによる T 細胞サブ セット解析、CD19 陽性 B 細胞リンパ腫株に対する細胞傷害性試験などを行った。また、

Rag2-/-c-/-免疫不全マウスとルシフェラーゼ発現 B 細胞リンパ腫株を用いた異種移植モ デルにおいてバイオイメージングによる抗腫瘍効果の評価を行った。

3 研究成果

CAR+および CARIL21+T 細胞はともに、CD19 抗原特異的に ex vivo で良好な増殖を示し、

主にCD8 陽性の表現型を示した。CARIL21+T 細胞のみにおいて IL-21 産生能が認められ、そ

の機能はSTAT3 リン酸化の亢進により確認された。いずれの細胞もB 細胞リンパ腫細胞株や

ヒト B 細胞腫瘍検体を用いた in vitro 実験およびヒト B細胞リンパ腫のマウス異種移植モ

デルを用いた動物実験において CD19 陽性 B 細胞腫瘍に対する抗腫瘍効果を示したが、

CAR+T 細胞と比較してCARIL21+T 細胞の明らかな優位性は認められなかった。

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4 考察

IL-21 遺伝子導入は T 細胞において STAT3 のリン酸化を惹起したが、CD19-CAR の抗腫瘍 効果を増強しなかった。その理由として、第一世代と異なり、CD28 を構造内に含む第二世代

CD19-CARは T 細胞を十分に活性化できるため、サイトカインによる追加シグナルを必要とし

ない可能性が挙げられる。また、IL-21 の発現量が不十分であった可能性や、IL-21 の応答 細胞である NK 細胞および CAR 非発現 T 細胞が存在しない免疫不全マウスを使用したこと などが考えられる。

5 結論

免疫不全マウスによる異種移植モデルを用いた今回の実験系では、IL-21 の共発現は CD28 を構造内に含む第二世代CD19-CARを発現するT細胞のB細胞リンパ腫に対する抗腫瘍効果を 増強しなかった。第二世代 CAR はサイトカインによる補助刺激を必要とすることなく十分に

T 細胞を活性化しうるという点で第一世代 CAR より優れていることが示された。しかし、実

際の臨床においては CAR の効果は個体により様々であり、生体内には IL-21 の主たる応答 細胞である NK、NKT 細胞を始めとする多様な免疫担当細胞が存在するため、養子免疫遺伝子 療法における IL-21 の役割に関しては評価系の見直しも含め今後のさらなる検討が必要で ある。

論文審査の結果の要旨

第二世代 CD19 特異的キメラ抗原受容体( CD19 CAR)発現 T 細胞を用いた養 子免疫遺伝 子療法は、難治性 B細胞性腫療に対する有望な新規治療法である。本論 文では、 CD19・CAR 発現 T 細胞の抗腫療効果を増強するため、 T 細胞サイトカイ ンである IL-21 を共発現さ せ、免疫不全マウスを用いたヒト B 細胞リンパ腫異種移 植モデルにおいて、 IL-21 の併用 による B 細胞リンパ腫治療の可能性について検討 した。

結果として、 IL-21 遺伝子導入が CD19-CAR の抗腫蕩効果を増強するという当初期待さ れた結果は得られず、 negative result に終わったが、実験そのものは流れに従って的確 にかつ精力的になされた。成果は自治医大紀要ではあるが論文としてまとめられており、研 究目的を遂行するために十分な努力がなされたものと考える。

ただ、免疫不全マウスを用いた本研究の実験系では、 CAR 発現 T 細胞以外の免疫細胞 の動態を見ることができないため、 IL-21 が NK 細胞、 NKT 細胞、 CAR を発現してい ない T 細胞に与える影響や、 B 細胞欠失などの副作用を評価することができず、実験その ものに限界があることも示唆された。今後の研究の方向性については、実験系についての再 考も必要と考えられる。

最終試験の結果の要旨

1. ウイルスの力価を記述する必要がある

2. IL-21 の機能的評価として、 STAT3 のリン酸化のみならず、その下流にある

perforin 、Granzyme B などの細胞外放出を測定する必要はないか

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3. 免疫不全マウスを用いた実験の限界( CAR 発現 T 細胞以外の免疫細胞の機能を 評価できない、 B 細胞欠失などの副作用の評価ができない、など)と、それを踏 まえた今後の方向性について、考察で述べる必要がある

以上すべての試問に対し、的確な回答が示され、必要な事項が本文、考察、文献 などに追 記された。申請者は本研究分野における十分な知識を有するととが示され、 またその真撃な 態度も評価された結果、審査員全員一致で合格と判断された。

参照

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