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締め固めた土の動的性質と盛土の地震時安定性評価について

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(1)

愛知工業大学研究報告 第

29

号 平 成

6

締め固めた土の動的性質と盛土の地震時安定性剤師について

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伊 藤 祐 仙 ・ 大 根 義 男 ・ 成 田 国 朝 ・ 奥 村 哲 夫

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し は じ め に 固め時の含水比や密度(締固め状態)の他に、この先 行圧縮効果にも影響されると考えられる。 フィルダム等の大型構造物の設計・施工上の問題 点が数多く提起されているなかで、世界で有数の地 震国である我が国では、盛土堤体の地震時の安定性 の問題に常に焦点が向けられ、耐震設計に際しては 精密かっ厳密な検討が要求されている。との要王位に 答えるためには締め固めた主の動的な変形係数や強 度に関する特性を明かにし、その特性を考慮した振 動解析を行って堤体の地震時挙動に関する十分な知 識を得ておく必要がある。 盛土材料のように転圧作業を繰返して締め閲めた 土は、転圧時の応力履歴により、土粒子骨格にある 程度の強度を保持し、土粒子間にある種の結合力の 形成(先行圧縮効果)が見られる。との先行圧縮効果 によって、締め固めた土は過圧密粘土に類似した静 的な力学特性を示すことが知られている。締め画め た土の動的な力学特性も静的な学特性と同様に、締 愛知工業大学土木工学科(豊田市) 本報告では、締固め状態や先行圧縮効果が、 剛性 率G、減衰定数 hおよび非排水繰返し強度(以後動 的強度と呼ぶ)に及ぼす影響を、繰返し三軸圧縮試 験機を用いて調べるとともに、他の因子との関連に ついても論ずる。また、実験で得られた結果を基に、 盛土の動的応答解析や地震時安定性評価の適用性に ついて検討し、考察を加えたものである。 2.締め固めた土の動的変形特性

2

.

1

試料及び実験 実験に用いた試料は図ー1および表- 1に示すE ~VI の 6種類の砂質土である。 試料Eはシルト質砂 に破砕した泥岩を混合したもの、試料N、V、VIは シルト質砂にカオリン粘土を重量比でそれぞれ

5%

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20%

混合したものである。供試体(直径

5

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皿、 高さ 100mm) は、三割モールドを使用し、 4~5 層に分

(2)

愛知工業大学研究報告,第29号B,平成8年,Vol.29-B,盟ar.1994

6

0

試料の性質 表 ~l 10 (mm) と主」 粗砂

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1.0 細砂 シルiト 最 大 粒 径 2.0闇 粘土

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会 100 80 60 40 凶 宵 余 同 摺 岡 市 けて静的に締め固めて作製した。実験は含水比およ び密度を変化させた合計8種類の供試体について行 った。表 ~2 は各供試体の供試体性状を示している。 実験は、等方応力状態のもとで拘束圧σを

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.

25~ 6.0kgf/cm2の6種類に変化させ不飽和状態で行った。 供試体への主主荷は、逐次OFみをì~ir捕させるステ ジ方式とし(非排水条件)、 1ステージの繰返し載 荷回数は15~20問、また繰返し載荷重は応力制御、 1.0Hzの正弦波である。 試料の粒径加積曲線 図 1 D値 95再.dry γ=1 x 10-'

10日日 記 区 5日日 ~ 5000 国 乞J 二三 3000 " " -" 3.0 5.0 10 (kgf / cm2) G~σ 関係 (D値95%,dry) 試料E γ=1 x 10-0 0.3 0.5 1.0 拘束圧σ 国 2 300 200 0.1 ~ 3000 " 日 ω 、 、 匂『 ""

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) 100日 2.2実験結果および考察 2.2. 1締め固めた士の剛性率の特性 締固め D値目出、乾燥側で締め固めた供試体 F.J,

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.

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について、 せん断ひずみγ =10-5における剛性 率 G と拘束圧 σ の関係を示したものが図~2である。 図を見ると供試体

K

では、 両対数紙上でほぼ直線上 にプロットされているのに対し、 供試体F.,JMでは、 矢印で示した付近でG~σ関係、に折れ曲がりが生じ、 過圧密された粘土と類似 Lた特性を示していること が分かる。本実験では、締固め時の先行圧縮による 影響が現れたために矢印で示した拘束圧以下で Gが 増大したと考えられる。また図中の矢印以下の拘束 圧におけるG~σ関係の傾きは試料ごとに異なって おり、試料の違いによって先行圧縮の影響の度合が 異なることが分かる。 図~3は、代表的に試料 Hについて、締固め状態 (密度。含水比) がG~σ 関係に及ぼす影響を調べ 3.0 5.0 10 (kgf/cru') G~a 関係(試料II) ロ 図 3 0.3 0.5 1.0 拘 束 圧σ 500 300 100 0.1 。時刻震 供試体性状 試料 供試体 締 囲 め 状 態 乾燥密度 ρ d(g/cm') 含水比 w(目) F 1.764 (0値目再) 10.4 (dry) G H ( 11 ) 13.1 (opt) E ( 11 ) 16.7 (wet) H 11 I l匂820 (0値98弘) 13.1 (opt) E J 1.870 (D値95目) 9.8 (dry) lV K 1.789 ( 11 ) 6.7(11 ) V L 1.865 ( 11 ) 6.7(11 ) VI M 1.843 ( 11 ) 7.3(11 ) 表~2

(3)

締め固めた土の動的性質と盛土の地震時安定性開価について たものである (γ=10-S) 。図より、 G~σ 関係に 及ぼす密度の影響は明確でないが、含水比について は、同一拘束圧において含水比が低くなるほどGが 大きくなることが分かる。 また供試体Fのみに折れ }執がりが見られ(図中矢印)、先行圧縮の影響が他 の供試体と比較して大きいことが分かる。 剛性率Gと細粒分含有率及び粘土分含有率の関係 を拘束圧ごとに整理すると図 4が得られる (γ= 10-S)。図より、細粒分含有率との関係で整理した (且)図では細粒分含有率が30%付近で Gが最大とな っているのに対し、粘土分含有率との関係 (b図) では、粘土分の増大に伴ってほぼ比例的にGが増大 する傾向がみられる。 2.2.2静的変形係数と測性率の関係 動的試験と同一条件で行った静的三軸圧縮試験か ら得られる変形係数Es日と対比しながら、 締固め状 態が剛性率Gに及ぼす締回め状態の影響について検 討する。図-5は、試料Hについて含水比の影響を 調べたものであり、 (a) 図は G~w、 (b) 図は Esø~ Wの関係を示している(γ=10-5)。 図より、同一拘 束圧に対して含水比が高くなるほどGは低下し、ま た拘束圧が高くなるほどその変動傾向も大きくなっ ていることが分かる。 Es自についても G と同様の傾 向となっており、 GおよびEs日に及ぼす含水比の影 響は類似していると言える。 締固め(供試体作製)時の先行圧縮に伴う粒子問 結合力が一軸圧縮強度Quに反映されると考え、 G およびE刊をq uと の 関 係 で 整 理 す る と 図 -6 (a) および(b)が得られる。図より、同 拘束圧におい て、 GおよびEs日はともに一軸圧縮強度に対しでほ ぼ一定の関係にあり、 先行圧縮効果 (Qu値)が大 きくなるほど Gおよび E刊の値が共に大きくなるこ とが分かる。 また拘束圧が低くいほどG,Es日関係 の近似線の勾配が大きく、先行圧縮の影響が顕著に 現れることが分かる。 このようにGおよび E刊に及ぼす締固め状態や先 行圧縮の影響が類似していることから、 GとEs日を 直接関連づけて整理すれば、これらの影響は見かけ 上除去することができると考えられる。そこで全供 試体について、向一拘束圧におけるG とE刊の関係 を整理すると図 7が得られる (γ=10-5,10-3)。 実験値は、両対数紙上で各試料ごとに直線上にプロ ットされており、 ; ; ,4000 閏 u ¥ h 凶 M

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6

G , Es 目 ~qu 関係 G = 1::(γ). Es白 可(γ) ・・・・~Q ~ & ..・...(1) で近似することができる。従って、 GをEs目との関 係で整理すれば密度、合水比、先行圧縮による影響 を除去した形でGを表すことが可能となる。

(4)

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主記臣 匿 30日 100 n u p h d 日 5 100 300 500 1000 変形係数E60 3000 5000 (kgf/cm') 図ー7 G~E5 目関係 Gに及ぼす材料特性の影響をより明確にするため に、 G~E5 白関係から得られた各試料の係数 ((γ), η(γ)をせん断ひずみγ との関係、で整理すると図-8が得られる。図より、1;;(γ)値は、 γが大きくな るにつれて減少L、同一γに対して締粒分が多いも のほど高くなる傾向がみられる。逆にη(γj値は、 γが大きくなるにつれて増加し、同一γに対して細 粒分が多くなるほど低くなる傾向がみられる。

2

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3

締め国めた土の減衰定数の特性 減衰定数hに及ぼす締函め状態や先行圧縮の影響 を調べるために、せん断ヒズミγをパラメータに選 び、 hとwおよびquとの関係で整理して図- 9に 示した。 h~w 関係(a図)を見ると、 γ=10-5で は、各拘束圧ともに含水比が高くなるほど hの値は 小さくなっており、また h~w 関係は拘束圧によら ずほぼ一定である。しかし、 γ =10-3では、拘束圧 の違いによってh~w 関係、が異なり、合 7!c比が高い ほどhは拘束圧の違いによる影響を大きく受けるこ とが分かる。 また、 h~qu 関係 (b 図)を見ると、 減衰定数hはqu値(先行圧縮効果) が大きいほど 拘束圧の影響を受けにくく、またこの傾向はピズミ レベルが低いほど顕著に現れるようである。しかし hの差は本実験のqu値の範聞において高々2 %であ り、含水比や先行圧縮がhに及ぼす影響は小さいと 言える。 図 10は減衰定数hに及ぼす拘束圧の影響を示し 4.0

-

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4.0 ト 斗0.0 0.0 -4。園 1.0 10-' 10-4 せん断ひずみγ 10-' 国一

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10 γ=10-' (供試体F.J.K,L.Ml 1.0 0.1 0.3 0.5 1.0 3.0 5.0 10 拘束圧 σ (kgf/cmZ) 間 10 h~σ 関係 たものである (γ苫 10-4)。図より、いずれの試料 においても拘束圧が高くなるほど減衰定数が低下す る傾向が見られ、両対数紙上でほぼ直線上にプロッ トされる。近似線の傾きは細粒分含有率が低い試料 ほど大きく、減衰定数に及ぼす拘束圧の影響が顕著 であることが分かる。また同一拘束圧において、粘

(5)

締め固めた土の動的性質と盛土の地震時安定性評価について 土分含有率が高いほど減衰定数が大きくなる傾向が 見られる。

3

.

締め固めた土の動的強度特性 3.1 試料及び実験 実験に用いた試料は、表 -1 に示す I~V の 5 種 類である。表- 3は各供試体の性状を示している。 なお供試体の作製方法及び試験装置は動的変形特性 試験と同じである。 実験は供試体を飽和させた後、等方応カ状態のも とで圧密圧(拘束圧)σc'を O.5~5. Okgf/cm2の6 種類に変化させ、非排水条件のもとで行った。与え た繰返し荷重はO.lHzの正弦波である。 供試体の飽 和は、 C02 を 30~60 分通気した後、 0.8~ 1. 0mの 7](頭 差で脱気水を約2時開通水し、さらに 2.0kgf/cm2の 背圧を与えて行った。 B値は 0.9以上を確保した。 3.2実験結果および考察 3.2.1締め固めた土の動的強度特性 締固めD値95%,乾燥側の供試体A,F,

J

について、 20回の繰返し載荷によって軸ひずみ両振幅DA斗%を 生じる時の繰返し荷重(片振幅)を動的強度。d2自と 定め、拘束圧

cJ

との関係で整理すると図一11が得 られる。 いずれの供試体においても、 ある拘束庄 (図中矢印:p c)以下では原点を通る直線より上方 に実験値がプロットされ、 σd20~σ 。'関係に折れ 曲がりが確認される。この傾向は過圧密粘土の静的 な強度特性と類似しており、本実験では締固め時の 応力履歴によってPc以下では過圧密状態となり、 p。値を先行圧縮応力と呼ぶことができる。 また供 試体ごとにPc値や直線勾配が異なっており、 先行 圧縮の影響の度合が試料の差によって異なるととも 知られる。 図-12は、 σd2日 σ 。'関係に及ぼす締固め状態 の影響を示したものである。図を見ると、動的強度 はわずかな密度の違い (D値で3%)によって大き く変動するが、含水比に関してはほとんど差が生じ なく、密度と比較して影響度合が低いことがうかが われる。 試料の違いによる先行圧縮効果の程度を調べるた めに、 σ。'<p。を過圧密領域、 σ。'>Pcを正規圧 密領域と定め、過圧密領域における過圧密比に相当 するPC/σ, (疑似過圧密比)と繰返し応力比。 R (=

6

3

表 3 供試体性状 試料 供試体 締 固 め 状 態 乾燥密度 ρ.(g/cm') 含水比 w(同) A 1.865 (D値何百) 9.0(dry) B H ( 11 ) 11.0 I C 1/ ( 11 ) 12.6 (opt) D 11 ( 11 ) 14.0 E 1.963 (D値97覧) 12.6 (opt) F 1.764 (D値何時) 10.4(dry) E G 1/ ( 11 ) 13.1 (opt) H 1/ ( 1/ ) 16.7 (wet) E J 1.870 (D値95%) 9.8(dry) lV K 1.789 ( /1 ) 6.7(/1 ) V L 1.865 ( 1/ ) 6.7(11 ) (注:試料Iは文献11を参照) )1

I

DA=脱,020回

2.0~ 供試体 :A,F,]

. R 4・ hv

2.0 4.0 6.0 (kgf/cm2) 拘束圧 σJ 図 11 σd2日,_Uc'関係

。 慢 唱 。

ぐ 3.0

I

DA=5,百020園

「試料 E 2.0

2.0 拘束庄 σ" (kgf/cm2) 図

-12

Ud2日 uc'関係 (σd2日)00/2σ 。, )を正規圧密領域での繰返し応力 比RNC(= (σd20)no/2σ 。, )で除したR/RNCとの関 係者E整理したものが図-13である。図を見ると、粘 土分含有率が高くなるにつれて R/RNC'"P

c

/

00' 関係の傾きが大きくなっており、粘土分含有率が高 いほど先行圧縮効果が顕著に現れることが分かる。

(6)

動的強度σd2日と帝国粒分含有率及び粘土分含有率 の関係を拘束圧別に整理すると図-14が得られる。 函より、細粒分含有率が20%付近で動的強度が最大 となっているのに対し(a図)、粘土分含有率との 関係、で整理した(b)図では、粘土分の増大に伴って 動的強度が大きくなる傾向が認められる。このこと から、動的強度に及ぼす材料特性の影響は、主に粘 土分に支配されると言える。 3.2.2静的強度と動的強度の関係 繰返し載荷試験と同 条件で行った静的三軸圧縮 試験によって得られた静的強度(a1 σ3)fと対比し ながら、動的強度に及ぼす締固め状態の影響を吟味 する。 図一15は、代表的に試料 1,

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について供試 体作製時の含水比wの影響を調べたものであり、拘 束圧 σJ 在パラメータとし、 σd2 目 ~W ,(σ1σ3) f ~W の関係を整理した結果である。 図より、同一 拘束圧において、 σd2目はwと一定の関係にあり、 最適合水比Wopt(図中矢印)よりも湿潤側でσd2目 の値が大きく現れるようである。 (σ1σ3)fについ ても同様の傾向が見られ、雨強度に及ぼすwの影響 は類似した形となっている。 次に密度の影響を調べるために、両強度と締固め D値との関係、を図一15と同様に整理すると図 16が 得られる。両強度ともに、同一拘束圧において締固 めD値が大きいほど強度が増しており、両強度に及 ぼすD値の影響も類似している。 このようにσd2自 および(σ1-σ3)fに及ぼす含水比や密度など締固め 状態の影響が類似していることから、動的強度を静 的強度と関連づけて整理すれば締固め状態の影響は 見掛け上除去することができると考えられるn 2.0 - 冒ー-: I _v_d!.ニニ.;-:=J1.一一7 f ト~-

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..,(ID 08 10 12 14 16 供試体作製時の吉水比 w(払} (a) 図

-15

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-()ー~毛Eす

傘 1..0一一一一一一一台ー 門 4~ 土ヨ手ヨ土干 --eν一一ー一一一@ーー 01

1F1ffiiE1 供試体作製時の吉水比 w (私} (b) σd2日, (σ1ーの)f ~W 関係 6 0 2 1 2 ・包囲罷誼歯 。 『 日 94 96 98 100 諦回めlll' 0値 (間 (a) 2 8 b L B ) 出 顕 在 傘 Oa94 9陥 98 100 韓国め度 D値 制 (b) 図

-16

σd2目. (01 σ3) f ~D値関係 そこで全供試体について、同一拘束圧σ Jにおけ るσd2固と(σ1-σ3)Fの関係を整理すると図

-17

が 得られ、試料ごとに実験値は、 σd2由= a

(σj-03)Fs

.

.

.

.

.

.

.

(2) で近似することができ、 (σ1-σ3)f~σd2日関係、に 含水比や密度の影響が現れないことが分かる。得ら れた出 . sの値を表

-41

こ示す。

(7)

締め固めた土の動的性質と慮土の地震時安定性副画について

6

5

,....,3.0 嶋 田 も品 、 、 、 匂『 32.0 : : 1.0 b │記号10'"目。マl l蹴 料11 nmIVVI DA=5耳,0=20回 全供試体 (σ「σ,) 10 20 (kgf/cm2) 図-17 Ud2由 -(σ1σ3) f関係 表

-4

各試料のα催、

B

値 4.盛土の地震時安定性評価 4.1解析概要 前項で求めた締固め土の動的強度特性及び動的変 形特性を反映したFEM動的応答解析い、 盛土の地震 時安定性について検討を加える。凶-18は解析手順 を示したもので、まず、①静的応力解析によって盛 土内の初期応力状態を求める。次に、②平均有効拘 束圧σイにより過圧密状態(OC状態)か正規圧密状態

(

N

C

状態)かを判断し解析に用いるパラメータを決定 する。そして、動的応答解析によって得られた最大 繰返しせん断応カτdmaxと(③)、実験から得られた 動的強度式によって推定される盛土の強度とを比較 して盛土内各要素の安全率を求め、盛土の地震時安 定性を評価する((1))。

4

.

2

解析モデル及び解析条件 図

-19

は解析に用いた断面である。盛土底部は固 定条件とし、高さ40m、法面勾配1:3. 0の対象断面で 均質盛土を想定した。 また入力加速度は200gal、振 ① ② ③ @ 図-18 解析手順

レ/十

J f'"剤有栴""--図

1

9

解析断面 動数は2.0の正弦波とした。 なお土の非線形位を表 すカ学モデルには次式の Hardin-Drnevichモデルを 用いた。 G/G目=1/(1+γ/γr) ・・・・・・ (3) h/ho=(γ/γr)/(1+γ/γr) ・・・・・・ (4) ここに、 Goは微小ひずみに対する剛性率(初期剛 性率,

G

=Gk

σ

m

)

h

日は最大減衰比、 γrは基 準ひずみ (γr=γk・σn )である。 締固め時の先行圧縮効果によって初期剛性率G自 にも拘束圧σとの関係に折れ曲がり生がじ Go値の 増加が見られた(図-20a) 。また、図 -20(b)に 示すように、同一供試体(F)においても飽和化によ って Go値は低下する。 これらのことから、先行圧 縮による過圧密領域下でのG日値の増加や飽和化に よるG日値の低下の影響が盛土の動的応答や安定性 にどのように影響するか、またG日σ 関係の違い が解析結果にどのように影響を及ぼすかを調べるた めに、入力物性値を種々変化させて解析を行った。

(8)

6

6

愛知工業大学研究報告,第

2

9

B

,平成

S

年,

V

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2

9

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1

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) DA~5覧, n~20 回 0.8

o

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領 域 寸

「ぐに)

司日。6 い 。 園4 0.2ト

ι;

o

1回目 2.0 3.0 4.日 5.0 (kgf/c..') σc (a)供 試 体F 。 u n U 自 の 4 U 国 凶 ¥ ﹄ 同 ﹄ )

p .~l. 40 Ckgf/c図') 0.1 0.3 自由5 1園。 3.0 5.0 (kgf/cm') σ (b)供試体F,H 図

2

0

G

σ

関 係 表- 5および表 - 6は解析に用いた物性値を示して いる。 図-21は締固め土の動的強度試験の結果から得ら れた動的強度τdと有効拘束圧σcの関係であり、

N

C

Q

O

C

領域ごとに動的強度は次式で表されるの 過圧密領域: τd = 0.227 + 0.161・(Jc .00(5) 正規庄密領域: τd 0.216・σc ( 6)

4

.

3

解析結果と考察

4

.

3

.

1

解析結果 図 22は、解析によって得られた最大繰返しせん 断応カτdmaxの分布である。図は供試体F(不飽和) の実験値を用いた結果であるが、他の供試体の結果 でも図に示していないがほとんど同ーの結果が得ら れている。図より、斜面表層部のτdmax値は全体的 表-5 入力物性値 表-6 日-Dモデルにおけるパラメータ 供 試 体 G, m p. γ = n ho F(不飽和,OC) 1050 0.38 1. 40 F( J/ ,NC) 1000固。51 F ( 11 ,J/) 100日 0.51 L80Xl0-' 0.38 F(飽和,OC) 160 0.35 0.162 F( 11 ,NC) 811巴。630.62 日(不飽和,11 ) 545 0.10 n υ 内 H n U (柄筒凶¥﹄凶叫﹄一)

o

c

領 域 " 1 F(不飽和,OC/lIC)

I

1000 100 0.1 0.3 日.5 1. 0 3.0 5.0 (kgf/cm')

2

1

τd~ Ucヲ関係 山山il!0.0 -0.1 協主主,,0.1-0.2 mmlllllil~ 0.2 -0.3 麟 溺0.3-0.4 際 競0. 4-{同U国 審 ) 図

-22

τdmaxの分布(供試体

F

,不飽和) に小さく、盛土深部になるほど大きくなっている。 また斜面とほぼ平行な形でτdmax値は分布している。 盛土中心と斜面表層部のτdmax値を盛土低面から の高さHとの関係、で整理すると図-23のようになる。 盛 土 中 心 の 結 果 (a 図)を見ると、 H~τdmax 関係 は、堤I買に向かうほどτdma x値が低くなる傾向がみ られる。 また供試体H

(

N

C

,不飽和)は τdmax債が 他に比べて低く現れている。 これはG目値が他に比 べて低いためと考えられる。 次に斜面表層部では

(9)

6

7

締め固めた土の動的性質と盛土の地震時安定性開函について

L

止 (a) F (不,飽和,OC/NC)

0 4 ( 自 ) O U 0 3 2 1 出 拘 提 白 ︽ 副 長 阻 週 刊 出 国 8 0 0 3 2 1 国 刊 提 E n T 回 世 ι 叫筒 8 0 τdmax~H 関係 (b図)、全供試体共にHの変化に対してτdrnaxが わずかに増加しており、 Hの変化による τdmax1ii[の 変動傾向は供試体問で類似していると言える。

(a)盛土中心 図 23

鞠開閉日

4,,3,,2地 震 時 の 安 定 性 詳 細 動的強度τdを応答解析から得られた最大繰返し せん断応力τdmaxで除した値を動的安定係数Fd 定め、盛土の地震時安定性を議論する。 と (τd :全対

C

)

1 )締固めた土の剛性率及び動的強度は、締屈め時に 受けた先行圧縮効果によって、ある拘束圧以下で は増加する。また先行圧縮の程度は試料によって 異なる。 2)同一試料において剛性率及び動的強度を静的な変 形係数や静的強度との関係で整理すると、密度、 含水上七および先行圧縮による影響を除去すること F(不飽和,OC/NC)

Fd

直の分布

-24

(e) Fd=τd/τdmax ・9, ,・ 園・a・・"・・・@・, (7) 図-24は 、 剛 性 率Gおよび動的強度τdに影響を 及ぼす拘束圧 (NC,OC)の特性を種々に組み合わせて 解析を行った場合のFd値の分布を示したものであ る。 まず、 Gの特性として供試体F (不飽和,OC領 域とNC領域で区別)の結果を用い、 動 的 強 度τdを 先行圧縮による強度増加を反映させた場合 ( a図, OC/NC領域でτd変化)と、そうでない場合 (e図, 全NC領域)の結果を比較すると、(a)図では、盛土 表層ほどFd値は高く、 盛土低部の中心から少し離 れた位置でFd値が最小となっている。 これに対し、 (巴)図では盛土表層部ほどFd値が低く、 ( a)図と 逆の傾向を示し、先行圧縮による動的強度の増大を 考慮した場合、 盛土表層ではFdが高くより安定で あることがわかる。 ができ、静的な試験結果から式(1 )及び式 (2)を 用いて剛性率や動的強度を推定することが可能で ある。 3)盛土転圧時の先行圧縮によるG白値の上昇や飽和 による G目値の低下が振動挙動に及ぼす影響は、 先行圧縮効による動的強度τdの増大の影響に比 50まとめ 締固めた土の動的変形特性及び動的強度特性に及 ぼす各種因子の影響を調べるとともに、静的な強度 や変形係数との関係を明かにし、盛土の地震時安定 性について解析を行い考察を加えた。その結果を要 約すると以下の通りである。

(10)

6

8

愛知工業大学研究報告,第29号B,平成6年,VoL29-B,盟訂.1994 較して小さい。 4)盛土の斜面表層部は転圧による先行圧縮の影響が 大きく現れるため、斜面表層部の地震時安定性は 高い。 《参考文献》 1) 石原研而:土質動力学の基礎,鹿島出版会, 1976. 2) Hardin,B.O.and Drnevich,V.P. :Shear modulus and damping in soils :measurement and param日ter effects,Jour.of SMF Di v.,ASCE, Vo 1. 98 , No.SI日, pp603~624 , 1972. 3)国生側治地震応答解析のための土の動的性質一 地盤材料の減衰特性土と基礎,Vol.34,No固], pp75~80 , 1986. 4)東畑郁生.土と構造物の動的相互作用の解析方 法一地盤材料の動的特性のモデルイ七一,土と基礎, Vol.40,No. 5,1992. 5)松本徳久.フィルダムの耐震設計における地震 力と強度,ダム工学,No.6,1992. 6) 太閏秀樹,伊藤雅夫,石黒健,米谷敏締固められ た粘性土の先行圧縮応力と強度の推定,土木学 会論文報告集, No436/ID 一 16 , pp27~36 , 1991. 7)奥村哲夫,成田園朝,大根義男:締固めた土の動 的変形特性に関する研究3 愛知工業大学研究報 告 2 第 20 号 B , pp109~120 ,19叩e 8)伊藤祐仙,奥村哲夫,成田国朝 締固めた土の非 排水繰返し強度について,土木学会中部支部平 成4 年度研究発表会講演概要集, pp397~398 , 1993. 9)伊藤祐仙,成田国朝,奥村哲夫:締固めた土の非 排水繰返し強度について,土木学会第48回年次 学術講演会講演概要集芳 pp502~503 ,1993. 10) 伊藤祐仙,成田国朝,大根義男,奥村哲夫.締固め た土の動的変形特性に関する実験,土木学会中 部支部平成5年度研究発表会講演概要集, pp423 ~424 , 1994. 11) 岩田英一,渡辺昌典,渡辺康雄:締回めた砂質士 の非排水繰返し強度,平成3年度卒業研究,1992. 12) 明石昌彦,伊藤彰記,杉浦達治:締固め土の動的 強度特性に関する実験,平成4年度卒業研究, 1993. 13) 浅井弘悟,

tK

真二,牧野由紀恵:締固め士の動 的変形特性に関する実験,平成4年度卒業研究, 1993. 14) 小田智之,浅井貴之,土肥イ言明-締固め土の先行 圧縮応力と強度特性に関する実験,平成6年度卒 業研究,1994. ( 受 理 平 成6年 3月20

日)

参照

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