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. はじめに 消費者は, スマートフォンや PC の利用により目的のサービスやプロダクトの情報へのアクセスが容易となり, いつでもどこでも情報探索ができるようになった また, 評判や経験といった クチコミ を参照するとともに, 自らの経験をソーシャルメディアやソーシャルネットワークサービス ( 以下

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―― 研究論集委員会 受付日 2017年 9 月22日 承認日 2017年10月30日 ―― 商学研究論集 第48号 2018. 2

顧客エンゲージメントの範囲・次元・構成概念の解明

―取引を超えたエンゲージメントの精緻化―

Clarifying Customer Engagement Scope, Dimensions and

Constructs:

Elaboration of Engagement Beyond Transactions

博士後期課程 商学専攻 2017年度入学

KANDA Masaki 【論文要旨】 顧客エンゲージメントは,リレーションシップ・マーケティングの新潮流であり,取引を超えた 長期的な顧客との絆を形成する概念として注目されている。 本稿の目的は,既存研究において,多くの定義や構成要素が存在するエンゲージメント概念の多 元的な側面を整理することで,顧客エンゲージメントの定義を明らかにすることである。その焦点 は,顧客エンゲージメントに関する範囲・次元・構成概念を解明し,鍵概念としての今後の理論的 発展と実務的適用にむけて,顧客エンゲージメント概念の精緻化を試みるものである。 本稿は,次のように構成される。はじめに,本稿の目的と問題意識を提示する。続いて,顧客エ ンゲージメントの源流であるリレーションシップ・マーケティングの進展と,エンゲージメント概 念に発展するまでを振り返る。次に,顧客エンゲージメント概念の定義と範囲および次元につい て,既存研究をもとに整理する。続いて,理論的示唆として,顧客エンゲージメントの価値共創概 念との親和性に焦点をあてる。最後の結論では,取引を超えた関係性としての顧客エンゲージメン トの定義と概念的関係モデルを提案するとともに,さらなる研究の課題と可能性について明示する。 【キーワード】 顧客エンゲージメント,リレーションシップ・マーケティング,価値共創,相互作 用,心理的オーナーシップ

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―― 1 情報の非対称性とは,企業と顧客の間の情報のギャップがあること。上原(1999,pp.4347)は,「マーケ ティングの展開できる基盤は情報格差にある」と論じている。現代の情報格差について,村松(2016, pp.1213)は,「企業と顧客の関係において,情報の非対称性は,情報化が進展するなかで解消され,価値 共創マーケティングのもとでは,情報の逆非対称性が存在する」と指摘している。 ―― . はじめに 消費者は,スマートフォンや PC の利用により目的のサービスやプロダクトの情報へのアクセス が容易となり,いつでもどこでも情報探索ができるようになった。また,評判や経験といった「ク チコミ」を参照するとともに,自らの経験をソーシャルメディアやソーシャルネットワークサービ ス(以下,SNS)で発信するなど,消費者の主体的行動が増加し,消費者同士の相互作用も著しく 増加するなど,消費後のプロセスが他の消費者の購買行動や体験に影響を与えるプラットフォーム が存在している。このように消費者行動の変化と消費者同士の相互作用の増加した現代社会では, 企業と消費者の関係における情報の非対称性が解消されつつある1といえよう。 Levitt(1983,p.111)は,「売り手と買い手の関係は,販売が行われるだけでは終わらず,それ は,求愛を達成しただけでの状態である。その後に,結婚がはじまるのだ」という言葉を残してい る。企業は,実店舗の他に,ネット店舗や SNS などの複数のプラットフォームを利用し,マルチ チャネルで消費者と直接的な双方向コミュニケーションを深めることが可能となっている。そこで 重要となるのは,企業から顧客への一方的ではなく,双方向の対話やつながりによる価値ある提案 を行うことにより関係性を維持・継続することである。 エンゲージメントの概念は,リレーションシップ・マーケティングにそのルーツがあり,ここ 10数年,企業やブランドが顧客との相互作用による感情的な絆を形成し,長期的な関係性を確立 ・維持・強化する新たな方法として,マーケティングにおいて注目されている(Brodie et al. 2013Vivek et al. 2012)。しかしながら,顧客エンゲージメントは,多くの既存研究が存在する 一方で,未だに確立された定義,および,その構成概念と関連構成概念間の精緻化がなされていな い。本稿の目的は,多くの定義や構成要素が存在する既存研究におけるエンゲージメント概念の多 元的な側面について,既存研究をもとに整理することで,新たにその定義と構成概念の関係を明ら かにすることである。その焦点は,顧客エンゲージメントに関する範囲・次元・構成概念について 解明することである。 本稿は,四つのセクションにより構成される。第一のセクションでは,顧客エンゲージメントの 源流であるリレーションシップ・マーケティングの進展とエンゲージメント概念の誕生までを振り 返る。第二のセクションでは,既存研究をもとに顧客エンゲージメント概念の定義と範囲および次 元および構成概念について整理する。続く第三のセクションでは,理論的示唆として,顧客エン ゲージメント概念と価値共創概念との親和性に焦点をあてる。最終セクションでは,結論として, 取引を超えた絆としての顧客エンゲージメントの定義と概念的関係モデルを明示し,さらなる研究

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―― ―― にむけての課題と可能性について示唆する。 . 顧客エンゲージメントの出現 これまで20年の間,エンゲージメントの研究は,学問分野ごとに研究がなされてきた。例え ば,社会学では,「市民エンゲージメント」,社会心理学では,「ワークエンゲージメント」,組織行 動・マネジメント分野では「従業員エンゲージメント」が代表的な研究領域である。そして,マー ケティングでは,ここ10年,「顧客エンゲージメント」,「消費者エンゲージメント」の用語で,学 術的な研究がすすんでいる。 本節では,主題である顧客エンゲージメントの本質について理解を深めるため,その源流である リレーションシップ・マーケティングの進展と課題について振り返り,顧客エンゲージメント概念 の出現までを整理する。  リレーションシップ・マーケティグの進展 リレーションシップ・マーケティングの源流は,1980年前後に隆盛していたスカンジナビア諸 国における産業財マーケティング研究と北欧,イギリスを中心とするサービスマーケティング研究 にもとめることができる(南 2005)。 産業財マーケティング研究では,北欧と英国の研究者を中心とした IMP(Industrial Marketing and Purchasing)グループの研究において,産業財市場は,売り手と買い手の間の関係性が存在す ること,そして,両者の諸関係は,技術的,社会的,経済的問題が扱われるプロセスでの両者の相 互作用から築き上がられることが明らかにされた。 一方,サービスマーケティングでは,1980年から1990年代当時,従来のモノを中心としたマー ケティングとは対照的に,サービスの「不可分性」の特性に基づいた「相互作用」(Gr äonroos 2004Gummesson 1994),および企業と顧客のリレーションシップを促進するための「関係的交 換」の必要性(Berry 1983)を焦点としていた。「リレーションシップ・マーケティング」という 用語については,Berry のサービスにおける顧客とのリレーションシップ維持の重要性について発 表した学会報告論文が最初である。Berry(1983)のサービスマーケティング研究におけるリレー ションシップ志向は,北欧の研究者集団,および IMP に参加していた英国のサービスマーケティ ング研究者たちに影響を与えた。 北欧では,1980年代の終わりまで「リレーションシップ・マーケティング」という呼称を用い ることはなかったが,サービスマーケティング分野の研究は,Evert Gummesson や Christian Gr äonroos といったフィンランドの研究者たちを中心に1990年代に発展し,ノルディック学派とし て知られるようになった。Gr äonroos(2004)は,サービスの生産と消費の不可分性に注目し,リ レーションシップをマネジメントすることの重要性を主張し,特に,直接顧客と接するサービス提 供者の継続的なインタラクション(相互作用)とサービスのプロセスのマネジメントを重視した。

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―― 2 2004年定義「マーケティングとは,組織とステークホルダー(利害関係者)にとって有益となるように,顧 客に対して価値を創造・伝達・提供し,顧客との関係性を管理するために行われる組織的な機能であり,一 連のプロセスである。」この定義は,2007年に改訂されている。 ―― 一方,英国では,Adrian Payne を代表に,顧客市場を核としつつ,それ以外の関連市場もリ レーションシップの対象とすることや,従業員などの内部市場に対する関心の高さなどの点におい て,米国よりも広く市場を捉えていた。 また,1990年代には,IMP の代表的研究者である H ¹akansson は,米国のチャネル研究者たちと の共同研究により,チャネル論における企業関係のマネジメントの研究分野において,関係的取引 へのアプローチという新しい領域を切り開いた(南 2005)。 リレーションシップ・マーケティングの代表的定義を示すと次の通りである。 リレーションシップ・マーケティングは,顧客関係を引きつけ,維持し,強化する戦略である (Berry 1983, p.25)。 リレーションシップ・マーケティングは,成功した関係的交換の確立と定着を目指すすべての活 動を指す(Morgan and Hunt 1994, p.22)。

リレーションシップ・マーケティングは,リレーションシップ,ネットワーク,および相互作用 としてみられるマーケティングである(Gummesson 1994, p.32)。 リレーションシップ・マーケティングは,利益の観点からすべての当該関係者全員の目的を一致 させるために,顧客や他の利害関係者とのリレーションシップを明らかにし,構築・維持・発展 させ,必要な場合は終了させるプロセスであり,相互の約束の供与・実行によっておこなわれる (Gr äonroos 1997, p.407)。 リレーションシップ・マーケティングは,パフォーマンスを向上させる目的で関係的交換を識 別,開発,維持,終了するプロセスである(Palmatier 2008, p.5)。 以上の定義にみられるように,リレーションシップ・マーケティングは,伝統的なマーケティン グが,モノの取引を重視するのに対して,当事者間の関係性による相互作用を重視している。リ レーションシップ・マーケティングが発展するにつれて,取引の交換を基本とするマーケティング コンセプトに影響を与えて,従来のマーケティングにおいても,取引の長期的な関係性を促進する ことに,ますます重点が置かれるようになっている。それは,AMA(2004)の定義2からも明ら かであり,リレーションシップ・マーケティングの概念は,伝統的なマーケティングを補完する マーケティング体系の一部に移行したといえる。 また,実務の世界においては,2000年頃から,情報通信技術の進展により,企業と顧客との接 点が変化し,企業は,さまざまな顧客接点から入手できる顧客情報を蓄積し,活用することによ り,顧客との関係性を築こうとする顧客関係性管理(Customer relationship Management以下, CRM)の経営手法が登場している。CRM は,インターネットを通じて得た顧客情報をデータベー

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―― 3 CRM は,自社利益への貢献という基準から顧客をセグメントするアプローチであるため,その本質は STP マーケティングであり,リレーションシップ・マーケティングとは異なるものであるとの指摘がある(堀越 2014,p.184)。 ―― ス化し,自社の収益性という視点からみた場合の貢献度から顧客をセグメンテーションし,顧客 との関係性を育成し,生涯を通じての顧客価値を最大化していくこと3を主眼としている(南 2005)。欧米では,リレーションシップ・マーケティングに続く顧客価値管理(Customer Value Management,以下,CVM)が登場し,顧客と企業が積極的にインタラクション(相互作用)す る企業との間の双方向的な関係に焦点を当ててきた。しかしながら,リレーションシップ・マーケ ティングと CVM の相互作用では,社会的価値と経済的価値(取引)の両方が交換されたものの, 顧客が積極的に企業に関与することはなかった(Verhoef et al. 2010)。顧客の観点からすれば,顧 客は,製品やサービスを購入するのではなく,製品やサービスが提供する便益を買うのであり (Levitt 1960),顧客にとっての製品やサービスの価値は,消費や使用のプロセスのなかで生成さ れるため(Gr äonroos 2013),顧客の関与を促し,顧客とともに価値を創造する仕組みつくりが必 要である。そのための相互作用を維持・継続する絆つくりとして,エンゲージメント概念がマーケ ティングに登場したといえる。  顧客エンゲージメントの登場 顧客エンゲージメントは,リレーションシップ・マーケティングの新潮流として,この10年の 間,学術面および実務面の両方の関心が高まっている。米国マーケティング・サイエンス協会で は,さらなる研究の重要な領域(MSI 2014,2016)として「顧客エンゲージメント/消費者エン ゲージメント」が指定され,多くの企業が,顧客管理の用語として採用してきた。 企業にとっての顧客エンゲージメントの重要なポイントは,実際に,顧客と企業の相互作用にお けるゲームのルールを変えることである。すなわち,顧客エンゲージメントは,顧客が企業との取 引(ロイヤルティなど)を通じて企業に価値を提供するだけでなく,クチコミや推奨(レファラル) といった非取引行動を通じても価値を提供するのである。そして,エンゲージされた顧客は,「ブ ランドのプロモーション,新製品のアイデアの提案,広告コピーの選択,ロゴの決定,そして戦略 的アクションへの反応といった,通常企業が行う活動」にさえも関与するようになる(Sanders et al. 2014)。現代のネットワークに接続された環境では,顧客は,日常生活において,自身の経験に ついてツイートしたり,企業の Facebook ページに「いいね」やコメントしたり,YouTube にビ デオを投稿したりし,企業と他の消費者に大きな影響を与える存在となっている。 Vivek et al.(2012, p.127)は,購入を超えたブランドや製品に対する顧客の経験に焦点を当 て,「顧客エンゲージメントは,潜在顧客,および既存顧客との関係を惹きつけ,構築し,維持し, 強化することを目的とした攻撃的,および守備的マーケティング戦略の両方に適用可能なリレーシ ョンシップ・マーケティングの拡大領域である」と主張している。

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―― ――

顧客エンゲージメントの研究は,過去 7~8 年間に,学術マーケティングの文献(e.g. Bowden 2009; Van Doorn et al. 2010; Brodie et al. 2011)において,急速に発展してきた。例えば,「顧客 ブランド・エンゲージメント」(Hollebeek 2011,2013),「価値共創における顧客エンゲージメン ト行動」(Jaakkola and Alexander 2014),「自己概念のブランド・エンゲージメント」(Sprott et al. 2009),「アクター・エンゲージメント」(Storback et al. 2016),「ソーシャルメディアのエン ゲージメント行動」(Dolan et al. 2016)など,さまざまなエンゲージメントの対象と次元が存在 し,大きな広がりをみせている。 . 顧客エンゲージメントの先行研究 顧客エンゲージメントは,その研究の増加により,さまざまな定義と範囲,次元が存在する。 本節では,顧客エンゲージメントのこれまでの研究についてレビューし,先行研究の学術的な定 義とその範囲,次元について整理する。  顧客エンゲージメントの定義 Patterson et al.(2006)は,組織行動研究の知見を応用し,顧客エンゲージメントをサービス組 織とのリレーションシップにおける顧客の身体的,認知的および感情的存在のレベルと説明した。 また,Bowden(2009,p.72)は,顧客エンゲージメントを認知的側面および感情的側面を含む 心理的プロセスとみなし,「サービスブランドの新規顧客に対する顧客ロイヤルティの形成メカニ ズムとサービスブランドの再購入顧客に対するロイヤルティの維持メカニズムをモデル化する心理 的プロセス」と結論づけた。これに対して,Brodie et al.(2011)は,Bowden(2009)の主張は, 顧客ロイヤルティから派生しているものであり,顧客エンゲージメントの概念的な基礎にほとんど 注意が払われていないと指摘している。

一方,Van Doorn et al.(2010,p.253)は,「エンゲージメント」という用語の行動の焦点を強 調し,「顧客エンゲージメント行動とは,取引を超えたもので,動機的な駆動要因に起因し,購買 を超えたブランド,または企業に焦点をおいた顧客の行動上の表出である」と定義している。これ は,最初に,アカデミックな観点から,顧客エンゲージメントを定義したものであり,米国マーケ ティング・サイエンス協会と一致する定義である。 対照的に,Brodie et al.(2011)は,行動次元以外にも顧客エンゲージメントには感情的および 認知的次元が含まれていると主張した。Brodie et al.(2011,p.260)は,顧客エンゲージメントを 「焦点のサービス・リレーションシップにおいて,焦点のエージェント/対象(例えば,ブランド) とのインタラクティブで,共創的な顧客経験によって起こる心理的状態」と定義している。 また,Brodie との研究で知られる Hollebeek(2011,p.6)は,ブランドを対象とした顧客ブラ ンド・エンゲージメントを,「特定の認知的,感情的,行動的な活動のレベルによって特徴づけら れる動機的なブランド関連の文脈依存的な心理状態」と定義した。一方,Vivek et al.(2012,

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―― 表. 顧客エンゲージメントの先行文献の定義 研 究 研究タイプ 区分 定 義 Patterson et al. (2006) 概念的 態度/行動 非取引/ 取引 サービス組織とのリレーションシップにおける顧客の身体的,認知的 および感情的な存在のレベル Bowden(2009) 概念的 態度/行動 非取引/ 取引 サービスブランドの新規顧客に対する顧客ロイヤルティの形成メカニ ズムと,サービスブランドの再購入顧客に対するロイヤルティの維持 メカニズムをモデル化する心理的プロセス

Van Doorn et al. (2010) 概念的 行動 非取引 取引を超えたもので,動機的な駆動要因に起因し,購買を超えたブラ ンド,または企業に焦点をおいた顧客の行動上の表出 Brodie et al. (2011) 概念的 態度/行動 非取引/ 取引 焦点のサービスリレーションシップにおいて,焦点のエージェント/ 対象(ブランド)とのインタラクティブで共創的な顧客経験によって 起こる心理的状態 Hollebeek (2011) 概念的 態度/行動 非取引 特定の認知的,感情的,行動的な活動のレベルによって特徴づけられ る動機的なブランド関連の文脈依存的な心理状態 Vivek et al. (2012) 概念的 態度/行動 非取引/ 取引 顧客または組織のいずれかが主導する,組織の提供物,または組織的 活動への個人の参加の強さとつながりの強さ Brodie et al. (2013) 実証的 態度/行動 非取引 ダイナミックでインタラクティブなエンゲージメント・プロセス内で 起こる変動する強度レベルによって特徴づけられる,状況に依存した 心理状態

(出所Beckers et al. (2017) Table 1, Pansari and Kumar (2016) Table 2 をもとに著者作成)

4 単一の組織体に関わるマーケティング事象を分析する場合はミクロ,より高い水準である組織集合体のマー ケティング事象を分析する場合はマクロとして集計される水準のこと。 ―― p.127)は,顧客エンゲージメントを「顧客または組織のいずれかが主導する,組織の提供物,ま たは組織的活動への個人の参加の強さとつながりの強さ」と定義した。 表 1 は,顧客エンゲージメントの主要な先行研究における定義の一覧である。 表 1 の区分に示したとおり,顧客エンゲージメントの定義は,研究タイプと区分に応じて,さ まざまである。その研究タイプでは,態度面と行動面を含めたものが多く,その区分においては, 非取引行動のみを対象にしている研究と,取引行動も含めた研究が存在し,収束がみられない。こ れ以降では,顧客エンゲージメントの定義を再考するため,その範囲と次元を整理する。  顧客エンゲージメントの範囲 本節では,広範囲にわたる顧客エンゲージメント研究における範囲をその対象と集計水準4によ る分類とつながりの強度に分けて整理する。 まず,エンゲージメントの範囲は,焦点の対象による分類が必要である。その対象は,個人,コ ミュニティを含む消費者グループ,ブランド,製品,サービス,企業,そして社会にまで広範囲に 及ぶ。さらに,集計水準からみた場合,その範囲は,ミクロレベルの個別顧客と企業とのダイアド

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―― ―― 関係,より高い水準のコミュニティなど消費者グループ間でのネットワーク関係,さらにマクロレ ベルのビジネスエコシステムのような社会や集団を対象とする区分に分類することができる。 例えば,Vivek et al.(2012)は,ダイアド関係に焦点をあて,顧客エンゲージメントを顧客主 導と企業主導の顧客エンゲージメントに区分した。顧客主導のエンゲージメントは,明示的に意図 された会社の行動にかかわらず,主に顧客の内部の動機付けの状態で発生する。一方,企業主導の 顧客エンゲージメントは,顧客のエンゲージメントを刺激するための明確な戦略を採用する際に発 生し,顧客にクチコミ・キャンペーンのシェアの依頼,ブランドの Facebook への「いいね」,ま たは企業がスポンサーとなるオンラインコミュニティにエンゲージすることなどの例を挙げている。 Vivek et al.(2012)は,企業から顧客への従来の一方向のコミュニケーションとは異なり,企業 主導のエンゲージメントの取り組みは対話型であり,参加型の経験を引き出す傾向があると分析し ている。最近の研究では,消費者同士のネットワークやサービスエコシステムにおけるエンゲージ メントのようなより高い水準にその範囲も広がりつつある。 さらに,顧客エンゲージメントの範囲には,つながりの強度の検討も必要である。Brodie et al. (2013)は,顧客エンゲージメントは,インタラクティブなプロセスであり,時間の経過ととも に,異なるエンゲージメント状態を反映して,異なる強度レベルで出現する可能性があることを示 唆する。そして,Brodie et al.(2013)は,定性調査の知見から,エンゲージメントは,ダイナミ ックで反復的なエンゲージメント・プロセスにおいて,一時的なエンゲージメント状態が発生する と指摘している。また,Vivek et al.(2012)は,エンゲージメントの焦点について,顧客は必ず しも高関与だけではなく,低関与の場合でさえ高くエンゲージする可能性があることを示唆してい る。すなわち,それは,顧客が購入しているかどうか,または,購入を検討しているかどうかにか かわらず,焦点のブランドや企業との相互作用や感情的なつながりの強さを理解することが,エン ゲージメントの研究にとって重要であることを示唆している。 以上のように,顧客エンゲージメントの範囲についての検討は,広範囲に及ぶ。そのため,顧客 エンゲージメントの研究では,基礎となる次元と構成概念を特定し,その範囲については,焦点の 対象,集計水準,つながりの強度に合わせて,各構成概念の調整を行うような研究アプローチが妥 当であると示唆される。  顧客エンゲージメントの次元 広範な顧客エンゲージメント概念を完全に捉えるには,基礎となるエンゲージメントの次元と構 成概念を特定する必要がある。本節では,既存研究に基づいて,顧客エンゲージメントの次元を整 理する。 最近の研究では,顧客エンゲージメント概念は,心理と行動の両方を考慮する必要があることを 示唆している(e.g. Brodie et al. 2011, 2013; Vivek et al. 2012; So et al. 2016)。

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―― 表. 主要既存研究の顧客/消費者エンゲージメントの次元 著 者 概 念 次 元 Patterson et al. (2006) 顧客エンゲージメント 多次元(認知的/感情的/行動的) アブソープション(没頭),デディケーション(熱 意),ヴィガー(活力),インタラクション Bowden(2009) 顧客エンゲージメント・プロセス 多次元(認知的/感情的/行動的) Mollen and Wilson

(2010)

オンライン・ブランド・エンゲー ジメント

多次元(認知的/感情的/行動的) 持続的プロセス,有益な価値,経験価値 Van Doorn et al.

(2010) 顧客エンゲージメント行動 単次元(行動的) 誘発性,形式,範囲,影響の性質 顧客の目標 Brodie et al.(2013) 消費者エンゲージメント 多次元(認知的/感情的/行動的) Vivek et al.(2014) 顧客エンゲージメント 多次元(認知的/感情的/行動的) 意識的注目,熱狂的参加,社会的つながり Kumar and Pansari

(2016) 顧客エンゲージメント 単次元(行動的) 顧客購買,顧客推奨,顧客影響,顧客知識 So et al.(2016) 顧客エンゲージメント 多次元(認知的/感情的/行動的) アブソープション,アイデンティフィケーショ ン,エンスージアズム,アテンション,インタラ クション (出所筆者作成) ―― む多次元的な概念であり,他の関連概念(例えば,関与,ロイヤルティ)は,ブランドコミュニテ ィ内の反復的エンゲージメント・プロセスにおけるエンゲージメントの先行要因または結果要因で あると定義している。このエンゲージメント概念の多次元構造(認知的,感情的,行動的)に関し ては,その他の大部分の研究者が同意している。例外として,Kumar and Pansari(2016)は,先 行研究(Kumar et al. 2010)をもとに企業の業績に影響を及ぼす顧客のさまざまな活動として行動 的次元(単一)で顧客エンゲージメントを概念化している(表 2.参照)。これに対して,So et al. (2016)は,特に,顧客エンゲージメント活動への「参加」などの行動的側面だけでは,必ずしも ブランドとの真のエンゲージメントを意味するわけではないと主張している。例えば,顧客は,本 来は,エンゲージしていないが,製品情報または知覚リスクの低減の必要性などの様々な理由によ り,ブランドコミュニティに参加するかもしれない。すなわち,真のエンゲージメントには,「行 動的」次元に加えて,ブランドへの永続的な「認知的」・「感情的」次元のつながりが必要であると 示唆される。表 2 に,主要な既存研究の顧客エンゲージメントの次元について示す。 これまで,顧客エンゲージメントの研究者は,社会心理学や組織行動のエンゲージメント概念に 基づいて,さまざまな方法でエンゲージメントを概念化してきた。多くの研究者は,認知的,感情 的,および行動的の三次元からなる多次元構造としてエンゲージメントを定義した。Brodie et al. (2013)は,オンラインコミュニティの実証研究の知見から,顧客エンゲージメントを多次元構造

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―― 5 構成要素の名称のうち,一般的でないものについては,その多義性を考慮し,原文の読み方どおりに表記し ている。心理学分野では,Absorption「没頭」,dedication「情熱」,vigor「活力」と訳されることがある。 また,構成要素のinteraction(相互作用を意味する)の表記は,「インタラクション」に統一する。 ―― として,感情的次元は,「感謝」,「共感」,「信頼」,および「安全」の感情から生じると説明した。 また,認知的次元は,「情報と経験の共有」によって価値観の構築された関係から生まれると説明 した。そして,行動的次元は,コミュニティへの参加からはじまり,コミュニティで報告されたオ ンライン活動とオフライン行動から生まれる「相互作用」が重要であると説明している。 要約すると,先行研究において,エンゲージメントを構成する次元については,すべてに共通の コンセンサスは未だに得られていないが,表 2 が示すとおり,多くの研究者によって顧客エン ゲージメントは,社会心理学や組織行動分野の知見が取り入れられ,多次元構造であるとの共通理 解が得られている。本稿では,顧客エンゲージメントを,行動的(単一)次元ではなく(e.g. Van Doorn et al. 2010; Kumar and Pansari 2016),「認知的」,「感情的」,「行動的」次元からなる多次 元構造であること(e.g. Brodie et al. 2013; Vivek et al. 2014; So et al. 2016)を基準として,以降 の検討をすすめる。

. 顧客エンゲージメント構成概念

初期の顧客エンゲージメントの調査では,ソーシャルメディアを含むオンラインの文脈(e.g. Mollen and Wilson 2010; Brodie et al. 2013)に主眼が置かれていたが,最近の変化では,小売環 境(Vivek et al. 2012),観光サービス(So et al. 2016),および公共交通サービス(Jaakkola and Alexander 2014)を含むオフラインの文脈でのエンゲージメントの調査の方向がみられる。本節 では,それらの先行の実証研究をもとに顧客エンゲージメントの構成概念について整理する。  多次元構造の構成要素 これまで,エンゲージメントの測定に関して,多くの操作化の試みが行われている。Patterson et al.(2006)は,組織行動研究を基に,顧客エンゲージメントの構成要素を,認知的「アブソー プション(absorption)」,感情的「デディケーション(dedication)」,行動的「ヴィガー(vigor)」 および「インタラクション(interaction)」の多次元構造とした5。また,Bowden(2009)は,「顧 客満足」から始まり,「顧客ロイヤルティ」を頂点とする反復プロセスとして,顧客エンゲージメ ントを示し,顧客ロイヤルティへの移行の道筋に「コミットメント(commitment)」,「信頼 (trust)」,「関与(involvement)」,「顧客歓喜(customer delight)」を包括していると提案した。 先行研究では,エンゲージメントの構成要素は,研究の対象や範囲により,さまざま存在する。 本稿では,近年の代表的な実証分析を行っている三つの先行研究をもとに,顧客エンゲージメン トの構成要素の精緻化を試みる。 第一の So et al.(2016)では,顧客エンゲージメントを,従業員エンゲージメントに関する研究

(11)

――

6 identiˆcation は,「同一化」,または「同一視」と表されることが多い概念である。

――

に基づいて,「アイデンティフィケーション(identiˆcation)6」,「エンスージアズム(enthusiasm)」,

「アテンション(attention)」,「アブソープション(absorption)」,「インタラクション(interaction)」 の 5 つの一次因子を含む高次の構築概念として操作化した。「アイデンティフィケーション」は, 個人がブランドに対する一体感や帰属意識をもっていることを意味する。「エンスージアズム」は, ブランドのようなエンゲージメントの焦点に関する情熱と関心の強いレベルを表し,「アテンショ ン」は消費者のブランドへの注意力とフォーカスを表す。「アブソープション」は,完全に集中し, その役割から切り離すのが困難で夢中になっている没頭した状態を指す。そして,「インタラクシ ョン」は,購入を超えたブランド,または他の顧客へのオンラインおよびオフラインの参加を表 す。これら 5 つの次元は,顧客エンゲージメントの認知的,感情的および行動的側面を反映して いる。

第二の Kumar and Pansari(2016)では,エンゲージメントの競争優位の実証研究として,顧客 エンゲージメントと従業員エンゲージメントの両面で企業業績に対する影響を検証している。 Kumar and Pansari(2016)では,顧客エンゲージメント行動の次元で「顧客購買(customer pur-chases)」,「顧客推奨(customer referrals)」,「顧客影響力(customer in‰uence)」,「顧客知識 (customer knowledge)」の 4 つの構成要素からなる多次元構成の概念とした。特徴的な点は,取 引行動を含めていることであり,「顧客購買」には,顧客の現在および将来のブランド購入に対す る顧客の態度および行動を反映させている。また,「顧客推奨」には,顧客がブランドを友人に紹 介する理由を反映し,「顧客影響力」には,顧客がさまざまなプラットフォームでこのブランドに ついて話題にするかどうかを反映している。そして,「顧客知識」は,企業が製品やサービスに関 するフィードバックを企業や顧客と共有し,製品やサービスの設計に積極的に参加することを企業 が容易にする程度を反映している。 最後に,第三の Vivek et al.(2014)は,顧客エンゲージメントを,定性調査の結果に基づい て,「意識的注意(conscious attention)」「熱狂的参加(enthused participation)」「社会的つなが り(social connection)」の 3 つの次元に概念化している。「意識的注意」は,エンゲージメントの 焦点と相互作用していることに関心を持っているか,または,関心をもつことを望む程度を意味す る。「熱狂的参加」は,エンゲージメントの焦点を使用したり,相互作用したりすることに関連す る熱烈な反応や感情を指す。そして,「社会的つながり」は,エンゲージメントの焦点で,相互作 用,または相反的行動を示す他者を包含することに基づく相互作用の強化を意味するとしている (Vivek et al. 2014, p.407)。 本稿では,So et al.(2016)の提案する構成概念が,態度および行動的側面の両方を反映するエ ンゲージメントの性質を包含しており,その研究内の構成概念妥当性からも,より適合するものと 示唆する。ただし,行動的次元の「インタラクション」,つまり相互作用は,リレーションシップ

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―― ―― ・マーケティングの定義からも明確であるように,関係性の前提条件であり,エンゲージメントの 先行条件に含まれるべきものであると指摘する。これらの理由により,顧客エンゲージメントの本 質を捉える構成概念は,主体の認知的,感情的かつ行動的次元を反映するものであり,So et al. (2016)の提案する構成要素から「インタラクション」を除いた四つに特定する。すなわち,顧客 エンゲージメントの構成概念は,認知的次元の「アブソープション(absorption)」,「アテンショ ン(attention)」および「アイデンティフィケーション(identiˆcation)」,感情的および,行動的 次元の「エンスージアズム(enthusiasm)」を一次因子にもつ多次元構成概念と仮定する。 次に,顧客エンゲージメントの先行要因(先行条件)と結果要因(帰結)について検討する。  先行要因と結果要因 顧客エンゲージメントの先行要因と結果要因については,多くの研究者が議論してきた。 先行要因には,「関与」,「参加」,「エンパワーメント」,「感情的つながり」などがある。 最近の研究では,顧客エンゲージメントの関連要素の概念化において,純粋な行動の焦点よりも 心理と行動の両方の次元を考慮する必要があることを示唆している(e.g. Patterson et al 2006; Bowden 2009; Hollebeek 2011; Brodie et al. 2011; So et al. 2016表 3.参照)。

なかでも,「関与」は,顧客エンゲージメントに最も関連する概念である(Vivek 2009)。マー ケティングにおいては,「関与」は,「ある対象(製品やブランド)・事象・活動について,消費者 が知覚した重要性や個人的な関連性」(Peter and Olson 2010, p.84)のことである。顧客エンゲー ジメント研究において,Hollebeek(2011)や Vivek et al.(2012)は,「関与」が,顧客エンゲー ジメントの重要な先行要因であると主張している。いくつかの先行実証研究の知見においても,同 様な関係が支持されている(e.g. Mollen and Wilson 2010)。

そして,「参加」については既に論じた So et al.(2016)の主張にある通り,真のエンゲージメ ントを意味しないと考えられるため,先行要因に適当ではないと指摘する。また,「エンパワーメ ント」は,先行要因に含む文献(Kumar and Pansari 2016)と結果要因に含む文献(Brodie et al. 2013)が存在する。前者は,企業主導の見方であり,後者は,顧客主導の見方である。本稿では, 「エンパワーメント」は,先行要因ではなく,主体に作用するモデレータとみなし,主体の心理状 態および行動に起因する別の概念が必要であると示唆する。したがって,本稿では,神田(2017) が実務的示唆でとりあげた「心理的オーナーシップ(Psychological Ownership)」が,エンゲージ メントの焦点の対象への「参加」を促し,「インタラクション」に影響する先行要因であると提案 する。社会心理学の研究では,心理的オーナーシップは,「オーナーシップの対象またはその一部 がまるで自分のものであるかのように,拡張された自己アイデンティフィケーションの一部として 経験される個人的感覚による認知的感情状態」と定義されている(Pierce et al. 2001, p.299)。 そして,社会心理学分野では,「心理的オーナーシップ」は,従業員エンゲージメントとの正の相 関が確認されており,最近では,マーケティングにも適用されはじめている。本稿では,「参加」,

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―― 表. 既存研究における顧客エンゲージメントの主な先行要因と結果要因 概 念 定 義 先行要因/結果要因(研究) 関与 (Involvement) 個々人の基本的な価値や目標,自己概念という 点で,焦点となる対象や意思決定に関連した個 人の関心度と個人的な関連性 (Mittal 1995; Zaichkowsky 1994) 先行要因

(Bowden 2009; Brodie et al. 2013; Hollebeek et al. 2014)

参加

(Participation)

顧客がサービスを生みだし,提供する程度 (Bolton and Saxena-Iyer 2009)

先行要因

(Van Doorn et al. 2010)

※行動的次元に焦点を当てたものである 満足 (Satisfaction) 過小または過大な達成レベルを含む,満足なレ ベルの消費に関連する成果を提供した,または 提供している製品またはサービスの特徴,また は製品またはサービス自体の判断 (Oliver 1997, p. 13) 先行要因

(Pansari and Kumar 2016) (Van Doorn et al. 2010,既存顧客) 結果要因

(Van Doorn et al. 2010,新規顧客) コミットメント (Commitment) 情動的あるいは,心理的な愛着を経た上で形成 される態度であり,ある対象に向けられる関与 のこと(Keller 1998) (感情的コミットメント,計算的コミットメント などの下位概念が存在する) 結果要因

(Bowden 2009; Van Doorn et al. 2010; Brodie et al. 2013) 信頼 (Trust) 信頼のある交換パートナーに頼る意欲 (Moorman et al. 1993, p. 82) 結果要因

(Bowden 2009; Van Doorn et al. 2010; Hollebeek 2011) ロイヤルティ (Loyalty) 時間の経過とともにブランドを一貫して購入す るブランドへの好意的な態度 (Assael 1992) 結果要因

(Patterson et al. 2006; Bowden 2009; Pansari and Kumar 2016)

(出所Brodie et al. (2011) Table 2, Pansari and Kumar (2016) Table 1 をもとに著者作成)

――

「エンパワーメント」を代替する先行要因として心理的オーナーシップ」を適用することとする。 一方,顧客エンゲージメントの結果要因については,実証研究の文献がいくつか存在し,その構 成概念の妥当性が検証されている。Vivek et al.(2014)は,既存研究における概念化,および定 性的なインタビューに基づいて「価値知覚(value perceptions)」,「慈善知覚(benevolence per-ception)」,「将来の愛顧意図(future patronage intent)」,「感情的コミットメント(aŠective com-mitment)」の 4 つの結果要因を導き出し,最終的に,信頼性が高く,有効な CUE スケール(顧客 エンゲージメント尺度)を提示している。また,Brodie et al.(2013)は,消費者エンゲージメン トのオンライン・ブランドコミュティの定性調査により,特定の消費者エンゲージメント・プロセ スを通じて認識された価値の共創のレベルの結果として生じる結果要因を特定している。それらの 結果要因には,「ロイヤルティと満足」,「エンパワーメント」,「つながりと感情的な絆」,「信頼と コミットメント」が含まれている。 先行研究に共通する結果要因は,「ロイヤルティ」,「コミットメント」,「信頼」,「満足」の概念 である(表 3.参照)。これらの中で,「ロイヤルティ」と「コミットメント」の概念は,オンライ

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―― ――

ン・ブランドコミュニティの文献において顕著である(e.g. Brodie et al. 2013)。

「ロイヤルティ」は,将来的に焦点の企業,またはブランドを一貫して再購買または再取引する という顧客の深い関心を表す概念である(Oliver 1999)。また,ロイヤルティは,顧客と企業,ま たは,ブランドの関係が強化されたことによる購買行動に関連した「取引継続意向」,「推奨意向」, 「取引増加意向」を含む概念であるとされる。Vivek et al.(2012)は,顧客エンゲージメントは, 交換関係だけではなく,ブランドとの顧客の購買を超えたつながりを意図しており,永続的な心理 的つながりと購買を超えたインタラクティブなブランド体験を組み合わる効果によって「ロイヤル ティ」と購入の決定を強化する可能性があると示唆している。 「コミットメント」は,リレーションシップ・マーケティングにおいては,「交換パートナーとの 関係継続に関する暗黙的あるいは明示的な誓約」(Dwyer, Schurr, and Oh 1987, p.19)と定義され, 「ある交換当事者が,相手との継続中の関係について,それを維持するための最大限の努力が正当 化されるほど重要であると信じていること」(Morgan and Hunt 1994, p.23)を意味している。そ れは,リレーションシップ・マーケティングの中心的概念とされ,優れたマーケティング成果に結 びつく顧客行動をもたらすとされている。特に,リレーションシップ・マーケティングでは,「行 動的コミットメント」ではなく,「態度的コミットメント」に議論の焦点が会わされる傾向が強い。 また,態度的コミットメントには,「計算的コミットメント」と「感情的コミットメント」の二次 元があると考えられている(久保田 2012)。その違いは,動機づけからみた基本特性において, 「計算的コミットメント」は,組織との関係を続けることの損得勘定に基づき,「感情的コミットメ ント」は,組織に愛着や親近感があることに基づく点にある。 本稿では,顧客エンゲージメントの成果である企業業績に直接関連する「ロイヤルティ」の「取 引継続意向」と「推奨意向」,そして,顧客の態度形成と成果に密接に関連する「コミットメント」 の「計算的コミットメント」と「感情的コミットメント」を顧客エンゲージメントの結果要因と仮 定する。 . 理論的示唆価値共創概念との親和性

Vivek et al (2012)は,Morgan and Hunt (1994),Vargo and Lusch (2004,2008),Prahalad and Ramaswamy (2004)の研究に基づいて,顧客エンゲージメントを「リレーションシップ・マー ケティングの拡大領域」と位置づけた。この拡大領域内では,企業の焦点は,既存および将来の顧 客,ならびに消費者コミュニティ,および組織的価値の共創ネットワーク(例えば,ブランドコミ ュニティ)に当てられる。すなわち,顧客エンゲージメント概念は,特定のインタラクティブな消 費者体験を中心とすることになる。そして,Vivek et al(2012)は,その拡大領域は,購買を超え た焦点を含むべきであり,顧客エンゲージメントの認知および感情的な要素は,交換に関係なく個 人の経験と感情に反映される。また,行動および社会的要素は交換の前と後の両方におけるブラン ド,または製品に向けた個人の参加を獲得すると主張する。

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――

7 Vargo and Lusch(2004)によるサービス・ドミナント・ロジックを契機に,マーケティングにおいて,顧

客を単なる受け手・使用者ではなく,共創者として捉える視点転換の大きな潮流があり,その考え方が浸透 してきている。SD ロジックでは,企業は,目に見える商品価値(交換価値)を高めるという努力だけでな く,顧客とともに,経験を通した価値や使用段階における価値まで踏み込んだ「文脈価値」を創出すること が重要であると主張する。

8 Brodie et al.(2011)は,顧客エンゲージメントは,Vargo and Lush(2008)の SD ロジックの基本的前提

(Foundational Premises以下,FP)のうちの 4 つ(FP6, FP8, FP9, FP10)が顧客エンゲージメントの構 成概念の基礎を決定するために重要であると述べている。FP6「価値は受益者を含む複数のアクターたち によって常に共創される」,FP8「サービス中心の見方は本質的に顧客指向であり関係的である」,FP9 「すべての社会的および経済的アクターが資源統合者である」,FP10「価値は常に受益者によって独自にか つ現象学的に判断される」 図.中範囲理論のブリッジの役割

(出所Brodie, Hollebeek and Smith(2011)をもとに筆者作成)

―― 同一見解として,Vargo(2009)は,サービス・ドミナント・ロジック(以降,SD ロジック) の視点7から,共創ネットワークの概念を「リレーションシップの超越的な見方」と呼んでいる。 モノを中心としたマーケティングのより伝統的な見方とは対照的に,この見方では,消費者の行動 が,ネットワークにつながれたサービス・リレーションシップの中で,顧客と他のステークホル ダー(利害関係者)のインタラクティブな経験を通して,複雑で共創的な環境で起こることが特徴 的である。さらに,Lusch and Vargo(2010)では,インタラクティブな消費者経験について,他 のアクターと共創することが,「エンゲージする」行為として解釈できることを示唆している (Brodie et al. 2013)。そして,SD ロジックは,顧客エンゲージメント概念の開発のための理論的 基礎として位置づけられており(Brodie et al. 2011; Vargo and Lusch 2017),これまでの顧客エン ゲージメントの代表的な先行研究では,顧客エンゲージメントは,SD ロジックの基本的前提 (Vargo and Lusch 2008)のいくつかの視点と親和性がある8とみなされている(e.g. Brodie et al.

2011, 2013; Hollbreek et al. 2016)。

また,Brodie, Hollebeek and Smith(2011)は,中範囲理論を使い,顧客エンゲージメントをブ リッジとして,SD ロジックを理論化する方法を検討している(図 1.参照)。SD ロジックの基 本的前提にリンクするブリッジとして,顧客エンゲージメントを採用することにより,実証調査の 採択のための命題と仮説を立てることができる。実証調査により得られた知見は,顧客エンゲージ メントの枠組みの中で開発された命題と仮説を修正し,検証することができ,それは,SD ロジ 定式化と解釈 、 ( 、 )' 、( / メタ理論 (一般理論 )\ 基本的前提) 検証と統合 (顧客エンゲージメント) (S-D

ロジック)

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―― ―― ックの基本的前提を統合するために使用され,SD ロジックのさらなる進歩に寄与すると主張し ている。 現代のインターネットとそのプラットフォームが普及した環境では,価値共創の視点は,ネット ワークにおけるサービスのインタラクティブな関係性を表す概念的な基礎を提供する(Brodie et al. 2011; Holleblleek et al. 2016)とみなされる。つまり,価値共創を理論的発展のための概念的 基礎と置くことで,顧客エンゲージメントは,「ネットワークを通じて個人の経験を共有し,他者 に影響を与え,焦点のブランドを擁護し,焦点のブランドのサービスや製品を使用する技術と能力 を鍛える方法を提案する」(Brodie et al. 2013, p.112)ことを含意する。したがって,顧客エンゲー ジメント概念と価値共創概念の「資源統合」と「価値の共創者」の視点には親和性があり,顧客エ ンゲージメントにおいて,顧客は,オペレラント資源であり,従業員を含む複数のアクターや他の 消費者との共創を通じて文脈価値に影響を及ぼす可能性がある主体であるとの見方が適用できると 示唆される。さらに,Vargo and Lusch(2017)は,SD ロジックは,顧客サプライヤー,そして すべての従業員をオペラント資源として視覚化することに焦点を当てており,より効果的な戦略の インプリケーションを理論化する役割を果たすことができると指摘する。 しかしながら,今のところ,顧客エンゲージメントと価値共創概念の適合性については,理論的 に明確な実証がほとんどないため,図 1 で示したようなさらなる議論と検証が必要である。 . 結 論 本稿では,顧客エンゲージメントの代表的な既存研究の定義,次元,範囲を整理し,その構成概 念および,先行要因と結果要因の精緻化を試みてきた。顧客エンゲージメントは,リレーションシ ップ・マーケティングと同様,さまざまな下位概念から構成される高次構成概念であるため,その 次元の捉え方により,対象が広範囲に及んでしまう。 そこで,本稿では,既存文献でコンセンサスが得られている次元構造と構成要素を基準に,これ までの検討を反映させ,顧客エンゲージメントを「認知的,感情的,行動的な次元を含む多次元な 概念であり,関与によって駆動され,相互作用によって促進される取引を超えた心理的な絆」と 定義する。具体的には,「顧客エンゲージメントは,多次元構造であり,「アブソープション(ab-sorption)」,「アイデンティフィケーション(identiˆcation)」,「エンスージアズム(enthusiasm)」, 「アテンション(attention)」の一次因子を包含する多次元構造概念であり,先行要因には,「関与 (involvement)」,「心理的オーナーシップ(Psychological Ownership)」の二概念,結果要因には, 顧客関係の維持・拡大に関する成果として,「ロイヤルティ(loyalty)」と「コミットメント (commitment)」の二概念を含むものである」とその概念を整理する。そして,エンゲージメント の結果として,「ロイヤルティ」に含まれる「取引継続意向」,および「計算的コミットメント」 は,取引成果である企業業績につながり,ロイヤルティの構成要素である「推奨意向」,および 「感情的コミットメント」は,非取引成果であるクチコミやリファラル(推奨)などの非取引行動

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―― 図.顧客エンゲージメントの概念的関係モデル9 (出所筆者作成) 9 いくつかの既存研究では,「ロイヤルティ」は,先行要因として反復作用(フィードバック)するものと示 唆されている。本稿においても,結果要因の「ロイヤルティ」と「コミットメント」は,顧客エンゲージメ ントにフィードバックされ,間接的先行要因として機能するものと考えられるが,今のところ先行研究にお いて,十分な実証がないため,今後の研究において解明したい。 ―― につながることを示唆する。 本稿が提案する顧客エンゲージメントの概念的関係モデルを図 2 に示す。 本稿の貢献は,顧客エンゲージメント概念を次元,範囲,構成概念で整理し,その性質を包括で きるように,測定可能な構成要素に精緻化したことである。そして,新たな視点として,「心理的 オーナーシップ」概念を顧客エンゲージメントの駆動要因であると主張している。それは,「イン タラクション」を促進し,「関与」を促し,顧客エンゲージメントの駆動要因となるものである。 また,顧客エンゲージメントは,価値の共創の結果として,経験(文脈価値)を形成するものと示 唆している。ただし,これらのエンゲージメントの関連構成要素については,既存文献の次元と構 成要素を精緻化して導出したものであるため,具体的なエンゲージメントの対象や範囲にあわせて 構成概念を指標化し,実証調査による構成概念妥当性の検証が必要である。 最後に,さらなる研究にむけて,顧客エンゲージメント研究の三つの課題を提示する。 第一は,顧客エンゲージメントの研究における知見の一般化の課題である。エンゲージメントの 対象は,個人,消費者グループ,製品/サービス,ブランド,企業,社会/地域と広範囲に及ぶ。そ の為,その対象と範囲に適合する適切な調整が必要になる。Brodie et al.(2016)は,これまでの 顧客エンゲージメントに取り組む研究の多くが,個人固有もしくは,個々の顧客エンゲージメント (先行要因) 顧客エンゲージメント (取引成果) (対象)

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―― 10 Beckers et al.(2017)は,実証分析により,企業主導の顧客エンゲージメントのネガティブな影響がある可 能性を明らかにしている。企業主導の顧客エンゲージメントの取り組みが高い評価を得ている企業では,潜 在的なネガティブな顧客エンゲージメントの発現(すなわち,バッシング,ネガティブなクチコミ)による 大きなリスクに直面する可能性があると指摘している。 ―― の先行要因や結果要因に焦点をあてていることを指摘している。つまり,既存研究は,焦点の企業 ベースのエンゲージメント行動(e.g. Van Doorn et al. 2010)や焦点の特定の団体やブランドに制 限された調査を反映しており,重要な知見の一般化可能性については制限されることが指摘されて いる。したがって,中範囲理論として仮説および検証ができる,ミクロレベルからマクロレベルま で適用可能とする指標や概念的枠組みの開発が必要である。 第二は,現代のネットワークやエコシステムにおけるエンゲージメントを解明するためには,価 値共創概念との接合に関する課題がある。ネットワーク間のエンゲージメントに関しては,価値共 創概念と顧客エンゲージメント概念をブリッジすることにより,企業と消費者がネットワーク内で 資源を統合し,どのようにエンゲージメントを強化するのかを解明する必要がある。それにより, エンゲージメントの価値の成果つまり,経験価値(文脈価値)の性質についての解明にもつながる 可能性がある。 第三は,ネガティブなエンゲージメントの影響に関する研究の方向性の課題である。これまでの エンゲージメントの研究は,売上向上,コスト削減,顧客ロイヤルティの向上など組織の業績への 貢献など肯定的な側面に焦点があたり,否定的に評価されたエンゲージメント研究は数少ない10 過度のエンゲージメントは,時に破壊的な結果を含むかもしれない。そのため,ネガティブなブラ ンド関連の口コミの普及などが,顧客の態度およびロイヤルティや広範なネットワーク内の他の消 費者にどのように影響するのかを検証することも必要である。 以上のような研究課題と顧客エンゲージメント概念の複雑さを考慮すると,その実証には,図 1 で示したような解釈的方法と定量的方法を統合した,多元的アプローチを採用することが適切であ ると想定される。今後,顧客エンゲージメントの範囲,次元,構成概念の整理から得られた本稿の 示唆を実証研究につなげて,取引を超えた絆であるエンゲージメント概念についてさらに探求し, その性質を解明していく計画である。 参考文献

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参照

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