発展途上国における地域開発のガイドラインの提案
に関する研究(その2)カンボディアにおける参加型
地域計画ガイドラインの事例研究
著者
金子 彰
著者別名
KANEKO Akira
雑誌名
国際地域学研究
号
7
ページ
25-56
発行年
2004-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00003819/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja国 際地 域学 研究 第7 号2004 年3 月
発 展 途 上 国 に お け る 地 域 開 発 の
ガ イ ド ラ イ ン の 提 案 に 関 す る 研 究 ( そ の2
)
カン ボディアにおけ る参 加型地域計画ガ イド ラ インの事例研究
金 子 彰 * 25 は じ め に ‘ 東 洋大学 国際地 域学 部教授 兼国 際共 生社 会研 究 セ ンター 研究員 1) 研究 の背 景 と目的( 研 究の 背 景) 先 進 国 と発展途 上 国 と問 わず今 日 その地 域 開発 のあ り 方が 大 き く変 わり つつ あ る。 従来型 のト ッ プ ダ ウ ン型 の地 域 開発 は大 きな成 果 をあげ て き たが、 大 きな 限界 に直 面し てい る。 今 日 は持 続 可能 な開 発 が緊 急 の課題 となっ てい る。 この た めに は地方 分権 を 進 め、 自 らの 意思 をふ まえた 開発 が行 わ れな け れば なら ない。 こ れまで も、 こ のよ うな 参加型 の地 域 開発 を どの よう に進 め るか につ い て様々 な 研究 と実践 が行 わ れ優 れた成 果 をあ げ てき た。 こ れら の成 果 を ふ まえ発展 途上 国 にお い て 地域 の人々 が自 ら参 加型 の地 域 開発 が広 く 実践 さ れるこ とが 大 切で あ る。 東 洋 大学 国際 共生 社会 研 究 セン タ ープロ ジ ェ クト3 にお い て は、 発展 途上 国 にお け る地 域開 発 の あ りか た につい て カン ボデ ィ アを対 象 とし た 現地 調 査や ワ ー クショ ップ の 実施 な どの研 究交 流 な ど も含 め研究 を進 め て きた。( 研 究 の目 的 と位置 づけ) 上 に述 べた 背景 をふ まえ 、本「発 展途 上 国 にお け る地域 開発 のガ イド ラ イ ンの提 案 に関 する研 究」 にお い て は最終 的 に は、 発 展途 上国 の地 域 の人々 が自 ら の地 域 の地 域計 画 を作 成 する た めのガ イド ラ イ ンを提 案 する こ とを目 的 にし てい る。 平 成13、14年 度 におい て は地 域 開発 の考 え方 の変化 に つ い て考 察 を行 う と ともに、 こ れ まで の研 究 や実 践 につい てレ ビ ュ ーを 行っ た。 また、 カ ンボ ディ ア に お ける 予備 調査 を行 った 。 カ ン ボデ ィア におい て は参加 型 の 地域 開発 を 実践し て い る。 そ のた め に地 域レ ベル で自 ら地 域計 画 が作 成 で きる ようガ イド ラ イン が つ くら れて い る。 本 報 告 は、 参加型 の地 域計 画 の実践 に つい て の事 例研 究 とし て、 カン ボデ ィア の 現地 に おい て 調査、 資料 収集 をお こ ない、 その結 果 の分 析、評 価 をお こ な う とと もにそ の成果 か ら 最終 的 に示 さ れる べ きガ イド ライ ン に対 す る方向 性 を とり ま と めた もの であ り、 研究 全体 の中 間 的 な成 果 とし て 位置づ け ら れる。26 国際 地域 学研 究 第7 号2004 年3 月 引 き 続 き行 わ れる研究 の 中で 発 展途 上 国 の地域 の人々 が 自 ら の地域 の地 域 計画 を 作成 す る た め の ガ イド ラ イン を提案 す る と とも にそ の た めに適用 さ れる手 法 やデ ータ など を提案 す る。 こ の 試 み に 提 案 さ れたガ イド ラ イン につ い て国 内、 国外 の研 究者 、 実務 者 な ど との 意見 交換 を 行 う と と もに、 実際 の 計 画にお い て試 用し 、 こ れら を ふ まえ実際 に適 用可 能 な も のに修正 、 再提 案 を行 う こ と とし てい る。2 )報 告 書の 構 成 (本 報 告書 の 構成 ) 本 報 告 書 は「 はじ めに」「お わり に」 お よび1 ∼8 章 で構成 さ れ てい る。「 はじ めに 」 にお い て は 研 究 の 背景 、 目的 と位置づ け、本 報 告 書 の構成 を示し て い る。 第1 ∼2 章 にお い て はカン ポデ ィア の地 域計 画の枠 組 み を示 す。 第1 章 はカ ン ボデ ィ ア にお け る 地 域 計 画 の仕 組 み と背 景 につ い て述 べ てい る。 その中 で カ ン ボデ ィア にお け る地方 分権 へ の取 り 組 み、 地 方 行政 の制 度お よび計 画 の体 系 につ いて述 べ てい る。 さ ら に、 地 域 計画 の主 体 とその 役割 に つい て述 べ る。 第2 章 にお い て はカ ン ボデ ィ アにお け る社会 経 済 開発計 画 と地 域計 画 につ い て述 べ て い る。 なお 社会 経 済開 発計 画 は別 途取 り まとめら れて い るので ご く概 要 を述 べ るに とど め、 こ の 計 画 の中 で の地域 計 画の位 置 づ け を示 す こ ととし たい 。 第3 ∼5 章 にお い て はカ ン ボデ ィア に お け る 地域 計 画 の実際 に ついて 述 べ る。 まず第3 章 におい て はカン ボ ディ アに おけ る地 域計 画 のガ イド ラ イ ンに つい て述 べ る。 はじ め に その 概要 を、 次い で市 町村 の た めのガ イド ラ イン 、州 政 府 の た め の ガ イド ラ イン につい て各 々 そ の構 成、 主 な内容 お よび めざ す成 果 につ い て述 べ る。第4 章 で は上 述 のガ イド ラ イ ンにし た がっ て作 成 さ れ た実際 の地域 計 画 につい て 述 べる。 第5 章 にお い て は カ ン ボデ ィア の地 域計 画 におい て 用い ら れ るデ ータ につい て 述 べる。 この中 で は全国 レ ベ ル のデ ー タ と 同時 に各 市町村 毎 に利 用可 能 な デ ータ につい て も示 す。 第6 ∼ フ章 は ま とめ と評 価、 今 後 の課 題で あ る。 第6 章 は事 例 研 究の ま と めと評 価で あ り 、地 域 計 画 ガ イド ラ イン、 地 域計 画 の事 例 お よび計 画 のデ ータ の各々 につ いて そ の特徴 ま とめ、 評 価 をお こな っ てい る。 第7 章 は ま とめ と今後 の課題 を述 べて い る。 すな わ ち、 発展 途上 国 にお け る地 域開 発 の ガ イド ラ イン の試案 の提示 に むけて の今 後の課 題 を示 し てい る。 1 。 カ ン ボ デ ィ ア に お け る 地 域 計 画 の 仕 組 み と 背 景1 )地 方 分権 への 取 り組 み カン ボデ ィ アは長 期間 の 内戦 の後 国 連 に よる暫定 統 治を 経 て新 た な国づ くり を進 め てい る。 カ ン ボデ ィ ア は人 口 の85%が 農村 に住 み、 大半 の 国民が 農林 水産 業 に 従事 し てい る。し かし 、 都市 と農 村 の格差 は大 きく貧 困者 の ほ とん ど は農村 部 に居住し てい る。 し たがっ て 農村部 の社 会経 済 開発 が 最 も重 要な課 題 であ り、 そ のた め に は地域 住民 の イニ シア テ ィブ に よる開 発が 有効 と考 えら れ てい る。 こ のた めに カ ンボ ディ ア政 府 は地 域 住民 のイニ シ アテ ィブ に よ る開発 が行 える 仕組 み とし てコ ミュ ー ン(市 町村 ) 開発 委員 会 な どが 設立 さ れた1)。
金子: 発展 途上国 にお け る地 域開 発 のガ イドラ イン の提案 に関 す る研究 ( その2) − カン ボデ ィアに おけ る参 加型 地域 計画ガ イド ラ イン の事例 研究 一 27 さ ら に 全 国1621 あ る コ ミ ュ ー ン( 市 町 村 )を 独 立 し た 地 方 自 治 体 と す る た め の 市 町 村 行 政 法(Com-muneAdministrationAct ) を 制 定 し 、2002 年 に 初 め て の コ ミ ュ ー ン (市 町 村 ) 選 挙 を 実 施 し た 。 こ の よ う に 市 町 村 レ ベ ル か ら 地 方 分 権 が 進 め ら れ て い る。 し か し 、 プ ロ ビ ン ス (州 ) レ ベ ル の 地 方 分 権 に つ い て は 時 期 尚 早 と し て 考 慮 さ れ ず 国 の 一 機 関 と し て 位 置 づ け ら れ た ま まで あ る2)。2 ) 地 方 行 政 の 制 度3) カ ン ボ デ ィ ア の 行 政 機 構 は4 段 階 に な っ て い る。 す な わ ち 国 / プ ロ ビ ン ス( 州 )/ デ ィ ス ト リ ク ト (郡 )/ コ ミ ュ ー ン ( 市 町 村 ) で あ る。 行 政 組 織 で は な い が 、 コ ミ ュ ー ン の 下 に ヴ ィレ ッ ジ ( 集 落 ) が あ り 、 人 々 の 生 活 の 単 位 と な っ て い る。 上 述 の と お り コ ミ ュ ー ン は 自 治 体 とし て そ の 議 員 が 選 挙 で 選 ば れ て お り 、 議 会 の 長 が コ ミ ュ ー ン の 長 と な っ て い る。 一 方 、 州 は 自 治 体 で は な く国 の 機 関 で そ の 長 で あ る知 事 (Governor) は 任 命 制 、 職 員 は国 の 公 務 員 で あ る 。 州 に は 計 画 部 、 公 共 事 業 部 を は じ め と す る部 が 設 け ら れ 州 行 政 の 実 施 に あ た っ て い る が こ れ は 同 時 に 国 の 各 省 の 地 方 組 織 と し て 位 置 付 け ら れ て い る 。 州 の 下 に あ る 郡 は郡 長 (DistrictGovernor ) は 任 命 さ れ る が 実 質 的 な 権 限 は な い 。3 ) 計 画 の 体 系 (国 の 計 画 )4) カ ン ボ デ ィ ア に お い て は 新 政 権 の 発 足 後 、1994 年 に カ ン ボ デ ィ ア 復 興 開 発 国 家 プ ロ グ ラ ム (NPRD )、 社 会 経 済 復 興 計 画1994-1995 が 策 定 さ れ た 。 ま た1996 年 に は3 年 間 の ロ ー リ ン グ 投 資 計 画 で あ る 公 共 投 資 プ ロ グ ラ ム(PIP )1996-1998 が 策 定 さ れ た 。NPRD に は カ ン ボ デ ィ ア 政 府 の 広 範 な 開 発 目 標 が示 さ れ て い る。 こ れ ら の 先 行 す る 計 画 、 プ ロ グ ラ ム を ふ ま え よ り 広 範 で 詳 細 な 計 画 が 策 定 さ れ る こ と と な っ た 。 こ れ が 第1 次 社 会 経 済 開 発 計 画 (SEDP )1996-2000 で あ る 。 さ ら に 、 第2 次 社 会 経 済 発 展5 か 年 計 画2001-2005 (SECONDFIVEYEARSOCIOECONOMICDEVELOP-MENTPLAN2001-2005 略 称SEDPII )が2002 年7 月 策 定 さ れ た 。 こ れ が 現 行 の 国 と し て の 開 発 計 画 で あ る。 ま た こ のSEDPII を ふ ま え て 貧 困 削 減 プ ロ グ ラ ム (NRP:PovertyReductionPro-gram )が つ く ら れ て い る。 ま た 、社 会 経 済 開 発 計 画 の 実 施 の た め の プ ロ グ ラ ム と し て3 ヵ 年 の ロ ー リ ン グ 投 資 計 画 で あ る 公 共 投 資 プ ロ グ ラ ム (PIP:PublicInvestmentProgram ) が 毎 年 つ く ら れ て い る 。 ( 地 域 開 発 計 画 )5, カ ン ボ デ ィ ア に お い て は 、 コ ミ ュ ー ン (市 町 村 ) は 上 記 の 国 の 計 画 を ふ ま え た 市 町 村 開 発 計 画 が 策 定 さ れ て い る 。 す な わ ち 、5 ヵ 年 計 画 で あ る市 町 村 開 発 計 画 お よ び3 ヵ 年 の 投 資 計 画 で あ る 市 町 村 公 共 投 資 プ ロ グ ラ ム で あ る。 こ の 市 町 村 計 画 は デ ィ ス ト リ ク ト ( 郡 ) 段 階 で 取 り ま と め ら れ る と と も に 州 の 事 業 実 施 各 部 の 計 画 も 統 合 さ れ、 郡 単 位 の 計 画 (DistrictIntegratePlan ) が つ く ら れ 、 そ れ を ま と め た プ ロ ビ ン ス ( 州 ) 開 発 計 画 お よ び 州 公 共 投 資 プ ロ グ ラ ム が つ く ら れ る 。 後 で 詳 し く 述 べ る が カ ン ボ デ ィ ア の 地 域 計 画 策 定 に あ た っ て は 地 域 レ ベ ル で の 参 加 型 計 画 と 国 と し て の 計 画 の 整 合 性 を 両 立 す る 計 画 策 定 プ ロ セ ス が 規 定 さ れ て い る。 上 記 を ま と め た も の が 表1.1 で あ る。
28 表1.1 国 際地域 学 研究 第7 号2004 年3 月 カ ン ボデ ィ ア に お け る計 画 の 体 系
心
―--懇し
5ヵ 年 計 画 3 ヵ 年 投 資 プ ロ グ ラ ム 国 の 計 画 国 社 会 経 済 開 発 計 画 公 共 投 資 プ ロ グ ラ ム 地 域 計 画 州 州 社 会 経 済 開 発 計 画 州 公 共 投 資 プ ロ グ ラ ム 市 町 村 市 町 村 社 会 経 済 開 発 計 画 市 町 村 公 共 投 資 プ ロ グ ラ ム 出典:筆者作成4 ) 地 域計 画 の主 体 とそ の役割6) 表1. 口 こ示し た よう にカ ン ボディ ア におい て は、計 画 の主体 とし て国、プ ロ ビ ン ス(州 )、コ ミュ ー ン (市 町 村) の3 つが あ る。 (国 ) 国 は国 自 体 の計 画 を作 成 す る機能 と地 域計 画の指 導 を行 う機 能 の2 面が あ る。 国 の第2 次 社会 経 済開 発計 画 の策 定 にあ たっ て は ・ 計画 策 定に 先立 っ て全 国的 な社 会 状 況調 査で あ る「全 国貧 困 状況 調 査」 を実施 ・ 国民 の大半 が非 識字 で あ る こと を考 慮し 直接 の意 見聴 取 に代 え て、い く つ かの選 択 さ れ た市 町 村 にお け る検討 グ ル ープ の設立 な どの手段 の活 用 ・ 政府 部 内 にお け る省 庁 間の ワー キン グ グループ に よ る検討 、 調整 ・NGO 、 国際 機関 な ど多 様 な関 係者 を含 むワ ーク ショ ップ の実施 な どに よ り計 画 を策 定し た。 地 域計 画 に関 し て国 は指 導 を行 う立 場 にあ る。 この た め副首 相 をト ップ とし 関 係閣 僚 を構 成 員 と す るNCSC (NationalCouncilforSupportCommune ) が設 立 さ れた。 この委 員会 の下 に、 閣 僚 を 長 とす る5 つの小 委員 会 (計 画、 財 政、 市 町村 界、行 政 管理 、研 修 ) が設 立さ れた。 これ ら は計 画 省 計 画総 局 が事務 局 を務 めて お り、 計 画総 局長 は計 画小 委員 会 の専 任委 員 を務 め てい る。 こ の小 委 員会 は順 調 に機能 し てお り、 計 画策 定 の手順 、 ガイド ライ ンの策 定 、研 修 の実施 を行っ てい る。 ま た 国 はコ ミ ュー ン (市 町村 ) にお け る計 画策 定 のた めの 社会 経 済 データ の収 集、 提 供 を行 う。 (プ ロビ ンス (州 )) プ ロ ビ ン ス(州 ) は自 ら独 自 の計 画 を策 定 はし ない が以 下 の重 要 な機 能 を果 た す。 ・ 研 修 な どを通 じ てコ ミュ ー ン( 市町 村 )が計 画 を策 定 する こ とを支 援、 指 導 ・ 国 の計 画 な どをふ まえ州 自 ら行 う事業 につい て は州 の各部 で 計 画案 を策 定 ・ コミ ュ ーン (市町村 ) 段 階で 策定 し た計 画案 を ディ スト リ クト (郡) 段 階で 集 約、 調 整 す る。 この段 階 で州 の各部 で 作成 さ れ た計 画案 、外 部の 援助 機 関な どの意向 も集 約さ れ、 郡 統 合計 画 とさ れる。 ・ 郡 統合 計画 を更 に集 約 し、 州 開発 計 画/ 州投 資プ ロ グラ ム とし て取 り ま とめ る。 ・ こ れらのプ ロ セ スに対 し て州 知事 を委員 長 とす るPRDC (ProvincialRuralDevelopmentCom-mittee: 州 地 方開発 委員 会 )が意 思決 定 機関 として 機能 す る。こ れら のプロ セ スに州 計 画 部 を 中 心 とし た州 政府 職員 が たず さ わ る。金子: 発展途 上国 にお け る地 域開 発 のガ イドラ イン の提案 に関 す る研究 ( その2) − カ ン ボディ ア におけ る参 加型 地域 計画ガ イド ラ イン の事例 研究 − 29 (コ ミュ ーン (市 町村 )) コ ミュ ー ン(市 町村 ) は地 域計 画 策定 の中心 となる。 詳 細 は後 で述 べるが 以下 の 役割 を果 た す。 ・ガ イド ラ イン を ふ まえ計 画原案 を作 成 す る。 ・ コミ ュ ーン( 市町 村) を構 成し てい る ヴ ィ ツレ ジ (集落 ) にお ける 集会 で の討議 を踏 まえ地 元 の 意向 を踏 まえた コ ミュ ーン (市 町村 ) 計 画案 を作 成 する ・ コ ミ ューン (市 町村 ) 計画案 を ディ スト リ クト (郡 )段 階 で の集 約、 調整 に より す りあ わせ コ ミュー ン( 市町村 ) 計 画 とし て 確定 する ・ コ ミ ューン (市 町村 )計 画 の実 施 を行 う。 以上 の役割 分担 と連 携 に より カン ボデ ィア の地 域計 画 が策定 さ れる。 2 。 カ ン ポ デ ィ ア に お け る 社 会 経 済 開 発 計 画 と 地 域 計 画1) 社会 経 済計画 の概 要 上 に 述 べ た とお り カ ン ボ デ ィア に お け る 現 行 の 社 会 経 済 計 画 は 第2 次 社 会 経 済 開 発 計 画2001-2005(SEDPII) であ る。1996年 に策定 さ れた第1 次社 会経 済開 発5 か年 計 画1996-2000を引 き継 ぎ2002 年 に策 定 さ れた この計 画 は計 画 の内容 を戦 略が 明確 となる よ う総論 で あ る本 編 と各論 で ある13 の附 編 に再 構成 し たこ と、 計画 の策 定 の 方法 や 経緯、 計 画 の評 価 と実施 な どを重 視し た こ とが特 徴 であ る。 本 計画 は現 在 進行 中で あ り 詳 細 な状 況 は明ら か で は ない が カ ン ボ ディ ア政 府担 当 責 任 者7) から の ヒ ヤリ ン グ結果で はおお む ね計 画通 り の進行 であ る との こ とで あ る。 計 画 は総 論 とし ての本 編 と具 体 的 な施策 を 示 す附 編 から なっ てお り、 その 内容 は下 表 のとお り で あ る。 表2.1 第2 次社会経済開発計画2001-2005の内容構成 本 編 第1 部 ヴ ィ ジ ョ ン (計 画 の プ ロ セ ス と開 発 ヴ ィ ジ3 ン ) 第2 部 目 的 ( 開 発 へ の挑 戦 一 人 口 と貧 困 削 減 / 国 家 開 発 目 標 ) 第3 部 戦 略 ( 国 家 の経 済成 長 と民 間 部 門 の 開 発 ) 第4 部 政 策 ( 意 思 決 定 の た め の 広 範 囲 な指 針 ) 附 編 I. 第1 次 社 会 経 済 開 発 計 画 (2001-2005 )、2. 人 口 と貧 困 、3. ガ バ ナ ン ス の 環 境 、4. マ ク ロ 経 済 フ レ ー ム ワ ー ク、5. 農業 と地 方 開 発 、6. 自 然 ・ 文 化 ツ ー リ ズ ム 、7. 鉱 工 業 、8. 貿 易 政 策 お よ び 金 融 セ ク タ ー 開 発 、9. 社 会 資 本 お よ び公 益 事業 、10. 教 育 、11. 保 健 、12.HIV/AIDS 、13. 計 画 の 実 行 と評 価 出典:SECONDFIVEYEARSOCIOECONOMICDEVELOPMENTPLAN2001-2005 より筆者作成 ま た、 開発 の基 本的 目的 とし て は3 つ 、 す なわ ち1. 貧 困 者に も寄 与し う る広範 な 経 済成 長2. 社 会、 文 化 の開発 及 び3. 天 然 資源 の持 続的利 用 と適 切 な環 境 管理 をあ げてい る。 さ ら に、 こ れ らを達成 する基 礎 とし て 統治 の改革 を あげて い る。 また、 本計 画 の策定 に あたっ て は 参加 を重 視 し てお り、第1[目の国民 の参加 に よ る「全 国貧 困 状
30 国 際地 域学研 究 第7 号2004 年3 月 況調 査 」 を行 う と と もに、 計 画 策定 に多 くの 関係者 の参 加 を得 てい る。2 ) 社 会経 済計 画の 中 での地 方 分 権 と地 域計画 の位 置 づけ 現行 の第2 次 社会 経 済 開発 計 画2001-2005 におい て は地 方分 権 が 大 き な戦 略 の一 つ に あ げ ら れて い る8)。 本 計 画に おい て は地 方分 権 に よ り地 域 の意 思が そ の 地域 の開 発戦 略 の作 成 と と もに 国 の 経 済 成 長戦 略 の 実施 に反映 さ れ るこ と に より、 より効 率 的 な行政 が 行 わ れる と認 識し てお り、 こ のた めに あ らた に 選出 さ れた コ ミュ ーン カウ ン シル (市町 村議 会) が 地域 に 密着し た 社会 資 本整 備 や 貧 困 者 を重 視し た計 画 の策 定 、 サ ービ ス の提供 が行 え るよ うに す る と ともに財 政的 な 自立 に も配 慮 す る こ ととし てい る。 また、 コ ミュー ンカ ウ ン シル (市 町 村議 会) が 適切 な行 政 を実施 し 貧 困 者 に 配 慮 し た 政策 を 実施 す るよ う支 援 と監 視 の仕組 みをつ くる こ とが重 要 だ とし てい る。 そ の よう な 仕 組 み なし で は一 部 の有力 者 に よる近 視 眼的 な行 政が な さ れるお そ れが あ る とし て い る。 本 計 画 の中 で は、地 方分 権 の推 進 に より国 の計 画 シ ステ ム も修 正 さ れる 必要 があ る と指 摘 さ れ て い る。 新 た な自治 体 に より こ れ まで の中 央 集権的 縦割 り的 な国 の計 画策 定 シ ステ ムか ら分 権 的多 層 的 で複 合 的 な計 画 システ ム にな る と考 えら れて い る。 こ れは 口- ツプ ダ ウン」で もな く「 ボト ム ア ッ プ」 で もない 計画 システ ムで あ る。 中央 政 府、 中央 政府以 外 の諸 機 関お よび地 方政 府 機関 の間 の 戦 略 的 パ ート ナー シ ップ と契約 に基づ く協 定 に より改善 さ れた調 整 と合 意 という メ カニ ズ ム を踏 まえ た開 発が 進 めら れ る事 とな る。 こ のた め本 計 画9)にお い て は、 政 府 は市 町村 の権 限 の明 確化 と ともに財 政的 な分 権 化 を 図 る た め 市 町 村行 政法 によ り規 定 さ れ てい る適切 な財 政移 転 シ ス テ ム10)の設立 を すす める こ と とさ れ て い る。 同 時 に コ ミュ ーンカ ウ ンシ ル (市 町村 議会 ) の参加 型計 画 策定 、 地域 の経 済 開発 や天 然 資 源 の 管 理 の促 進 と と もに予算 策定 や プロ グラ ムの 実施 とい っ た能 力 の 開発が 重 要で あ る。 また本 計 画川 の中 で は法的 な 枠組 み の確立 、行政 と財 政 の分 権 の連 携の 確保 お よび 地 方レ ベ ル の 管 理 ・人 材資 源 の開発 にお ける 政府 の 達成 目標 が示 さ れてい る。 以 上 に 述 べた よ う に この第2 次 社 会 経 済開発 計 画2001-2005 におい て は地 方分 権 が 重 視 さ れ て い る が同 時 に国 とし て の方 針 との整 合 性 を ふ まえた国 に よる 統制 も示 さ れて お り、 国 主 導 の一 歩 ず つ の 分権 化 と理 解 さ れる。 3 。 カ ン ボ デ ィ ア に お け る 地 域 計 画 の ガ イ ド ラ イ ン1) 地 域計画 ガ イ ドラ イン の 概要( ガ イ ド ライ ンの 種類)2. に述 べ た よう に国、地 域 の計 画 と もに5 ヵ年計画 と3 ヵ年 投 資計 画 があ るが 、5ヵ年 計 画 につ い て は後 で 例 を示 す ように2001年 か ら2005年 の計 画で あり 、州 開発 計 画 も州 政府 が ま とめ た もの で あ り現 在の 分権 シ ステ ムが 確立 す る以 前 の もので あ る。 現在 の 分権 シ ステ ムに のっ とって策 定 さ れた計 画 は3 ヵ年投 資 計 画 であ り、 そ の た め のガ イ ド ラ イ ン が作 ら れてい る。 こ のガ イド ラ イ ンに は2 つ の もの があ り英 文名12)で
金 子 : 発 展 途 上 国 に お け る 地 域 開 発 の ガ イ ド ラ イ ン の 提 案 に 関 す る 研 究 ( そ の2 )
− カ ン ポ デ ィ ア に お け る 参 加 型 地 域 計 画 ガ イ ド ラ イ ン の 事 例 研 究 − 31
1.TECHNICALGUIDELINEFORCOORDINATORSOFTHETHREE-YEARROLLING
COMMUNALINVESTMENTPROCESS
2.Guidelinesfo 〔theDistrictIntegrationProcessR 〕rtheyear2003
で あ る 。 前 者 は コ ミ ュ ー ン ( 市 町 村 ) に お い て 計 画 を 策 定 す る た め の も の で あ り 、Coordinators と し て は場 合 に よ る が コ ミ ュ ー ン (市 町 村 ) の 長 や コ ミ ュ ー ン ( 市 町 村 ) の 予 算・計 画 委 員 会 (BPC ) の 委 員 を 想 定 し て い る 。 後 者 は コ ミ ュ ー ン ( 市 町 村 ) レ ベ ル の 計 画 を プ ロ ビ ン ス ( 州 ) や 外 部 の 援 助 組 織 な ど と 調 整 す る 段 階 の も の で プ ロ ビ ン ス ( 州 ) の 機 能 と さ れ て い る 。 ( ガ イ ド ラ イ ン の 実 施 の 仕 組 み ) こ れ ら の ガ イ ド ラ イ ン は コ ミ ュ ー ン ( 市 町 村 ) 開 発 計 画 策 定 の た め の2002 年2 月 計 画 省 ・ 内 務 省 共 同 告 示 第98 号 第10 項 を ふ ま え 策 定 さ れ た も の で あ る。 上 記I. は こ れ を う け て2003 年7 月 計 画 省 告 示150 号 と し て コ ミ ュ ー ン ( 市 町 村 )3 ヵ 年 投 資 計 画 策 定 の た め 計 画 省 ガ イ ド ラ イ ン と し て 策 定 さ れ た 。2. は こ の ガ イ ド ラ イ ン を う け2003 年9 月 に 郡 統 合 計 画 策 定 の た め の ガ イ ド ラ イ ン と し て 策 定 さ れ た もの で あ る 。 国 は 地 域 計 画 の た め の ガ イ ド ラ イ ン を 策 定 す る。 ま た こ の ガ イ ド ラ イ ン の 適 用13)に つ い てTOT (TrainingofTrainer ) と い う プ ロ グ ラ ム で 研 修 の 指 導 者 を 研 修 し そ の 指 導 者 が さ ら に 実 際 の 計 画 に た ず さ わ る人 の研 修 を お こ な う シ ス テ ム で 実 際 に 担 当 す る 州 の 計 画 担 当 者 に 対 す る研 修 を お こ な う 。 州 の 計 画 担 当 者 は こ れ を 受 け 、 さ ら に市 町 村 に 対 し て 実 施 の た め の 研 修 を 行 っ て い る。 市 町 村 の 研 修 受 講 対 象 は 各 市 町 村 の 選 挙 で え ら ば れ た 市 町 村 長 ( 議 長 )、 第1 副 市 町 村 長 (第1 副 議 長 )、 第2 副 市 町 村 長 ( 第2 副 議 長 ) お よ び 各 市 町 村 議 員 な ら び に 内 務 省 か ら 派 遣 さ れ た 実 務 担 当 責 任 者 で あ る 市 町 村 書 記 で あ る。 こ こ で 、 計 画 策 定 、 実 施 の た め の 組 織 に つ い て タ ケ オ 、 コ ン ポ ン チ ャ ム 州 の 例 を ふ ま え 整 理 し て お く14)。 ○ 州 地 域 開 発 委 員 会 (PRDC:ProvincialRegionalDevelopmentCommittee ): 州 知 事 を ト ッ プ と し 、 州 政 府 幹 部 、郡 長 、市 民 団 体 代 表 、NGO 代 表 な ど で 構 成 。本 計 画 な ど州 の 地 域 開 発 の 決 定 機 関 。 た だ し 、 多 数 ( 例 え ば タ ケ オ 州 で は70 人 ) で あ り 実 質 的 議 論 の 場 で は な い 。 ○ 州 地 域 開 発 委 員 会 常 任 委 員 会 (EXCOM:ExecutiveCommitteeofProvincialRegionalDevelop-mentCommittee ): 州 知 事 を ト ッ プ と し 州 副 知 事 、計 画 部 長 、財 政 部 長 、農 業 部 長 、地 方 開 発 部 長 、 水 資 源 部 長 、 女 性 問 題 部 長 で 構 成 。 州 政 府 内 の 実 質 的 な 検 討 の 場 。 州 の 計 画 案 は ま ず こ の 場 で 議 論 、調 整 さ れ る 。EXCOM の 事 務 局 が 計 画 策 定 の 実 務 を 行 う 。コ ン ポ ン チ ャ ム 州 で は130 名 の 職 員 が お り 、38 名 が 計 画 部 、 残 り が 州 政 府 各 部 か ら の 出 向 者 で あ る 。 ○ 州 計 画 調 整 チ ー ム (PFT:ProvincialFacilitativeTeam ): 州 政 府 に 設 置 さ れ 郡 レ ベ ル の 計 画 策 定 の 支 援 、 調 整 を 行 う 。 職 員 各 人1 郡 を 担 当 す る 。 ○ 郡 計 画 調 整 チ ー ム (DFT:DistrictFacilitativeTeam ): 各 郡 に 設 置 さ れ 市 町 村 に お け る 計 画 策 定 の 支 援 、 調 整 を行 う 。 職 員 は 各 人3 市 町 村 を担 当 す る。
32 国 際地 域学研 究 第7 号2004 年3 月 ○ 市町 村 予算 ・計 画委 員会(BPC:BudgetandPlanningCommittee): コ ミ ュー ン( 市町 村) の 予 算お よび計 画策 定 組織。 構 成 員 は市 町村長( 議長)、 議員 、 書 記、 集落 代表【各集 落 男女 各 】名 計2 名)、 市町 村 の有識 者 な ど。2) 市 町村 の ため のガ イド ラ イ ン( 検討 対 象 のガ イド ラ イン)1) で のべ た よう にこ こで ばTECHNICALGUIDELINEFORCOORDINATORSOFTHETHREE-YEARROLLINGCOMMUNALINVESTMENTPROCESS" に つい て検 討 す る。( ガ イド ラ イ ンの性 格 ・目 標) 上 述 の とお り この ガイド ラ イ ン は制 度 にのっ とっ た公 式的 な ものであ る と同 時 に全 国一 律 の制 度 で あ る。 特 に、3ヵ年 投資 計 画 は毎 年更 新 さ れるロ ーリ ン グ計 画で あ る。し た がっ て調 査 時 点(2003 年9 月)で は2003-2005年 計 画が 実施 中 で あ り、2004−2006 年計 画 の策 定準 備中 で あっ た。 こ の よう な ロ ー リン グ計 画で あ るた め毎 年 計画 を 策定 する こ と、 実 際 の予 算配 分 と直 結 する た めよ り現 実 的 な計 画 と する こ とが 必 要 とな る。 こ の よう にこのガ イド ラ イ ンの目 標 は「3 ヵ年投 資 計 画」の策 定 と 明 確 であ る。( ガ イド ラ イ ンの構 成) 本 ガ イド ラ イン は2 部か ら なっ てい る。 第1 部 は「3 ヵ 年 投資 計 画」の様 式お よび記 載 内容 お よび 事 例 で あ る。 第2 部 はIIステ ップ に分 け た計 画策定 プ ロ セス と各プ ロ セ スの詳 細 な 内容 で あ る。 本 ガ イド ラ イン にお いて は表3. 目こ示 す内容 を3 ヵ 年投 資 計 画 とし て策定 する こ と とし てい る。 さて上 述 の とお り本ガ イド ラ イン にお い て は11ス テップ に 分 けて計 画 策定 を行 う こ とを 規定 し て い る。 各 ステ ップ の概 要 につい て は後 で 述 べるが こ の11ステ ップ とは表3.2 に示 す とお りで あ る。 表3.13 ヵ年投資計画の内容 緒 言 序 地 図 第1 章 市 町 村 の 開 発 状 況 a。 経済b. 社会c. 天然資 源およ び環境d. 行政 サービ スお よび安全c. 女性問題 第2 章 当面の目標と投資戦略a. 当面の目標b. 投資戦略 第3 章3 ヵ年投資プロジェ クトa. 市町村3ヵ年投資プロジェクト表b. 財源毎投資予算表 付属資料 出典:TECHNICALGUIDELINEFORCOORDINATORSOFTHETHREE-YEARROLLINGCOMMUNALINVESTMENTPROCESS より筆者作成
金 子 : 発 展 途 上 国 に お け る 地 域 開 発 の ガ イ ド ラ イ ン の 提 案 に 関 す る研 究 ( そ の2) − カ ン ボ デ ィ ア に お け る 参 加 型 地 域 計 画 ガ イ ド ラ イ ン の 事 例 研 究 一 表3.2 計 画 策 定 のH ス テ ッ プ ス テ ッ プ ー ス テッ プ1 ス テ ッ プ2 ス テッ プ3 ス テ ッ プ4 ステ ッ プ5 ス テッ プ6 ス テッ プ7 ス テッ プ8 ス テッ プ9 ス テッ プ10 ステ ップ11 実 施 内 容 市町 村にお ける課題 と要請の整理 各 集落 にお ける住民 集会 と討議 市町 村にお ける課題 と要請 に対す る解 決策 と優 先順位 の設定 投 資の目標 と戦略 の設定 投 資対象のプロ ジェ クトの設定 投 資財源の 検討 優 先投資プ ロジェ クトの設定 郡 統合計画策 定会 議におけ る討 議 市町村 にお ける投資 プロジ ェクト の最終選定 市町村3 ヵ 年投資 計画書案 の作成 市町村3 ヵ 年投資 計画の承認 33 出典:TECHNICALGUIDELINEFORCOORDINATORSOFTHETHREE-YEARROLLINGCOMMU-NALINVESTMENTPROCESS より筆者作成 (ガ イド ラ イン とし ての特 徴) 本 ガ イド ライ ン とし て の特 徴 は次 の5 点 と考 えら れる。 す なわ ち、 ・草 の根レ ベ ルの重 視 と国 の調 整 、指 導 ・計 画 策定 過程 へ の外部 支援 グル ープ の参加 ・ 標準 化 さ れた11ステ ップ の手 順 一 ステ ップ ・ バイ・ ステ ップ の計 画策 定 ・ 各 ステ ップ毎 の 実施 内容 と成果 の詳 細 な規 定−プ ロ セ ス と手 法 を同時 に 示 す ・ 合理 的 だが適 用容 易 な手 法 の採 用 ① 草 の根レ ベル の重 視 と国 の調 整 、 指導 前 述 の とお り本 ガ イド ラ イン はコ ミ ュ ーン( 市 町村) レベ ル の状 況 を ふ まえ た草 の根レ ベ ル の課 題 や要請 をベ ース とした地 域 開発 を 志向 し てい る。 し かし 、一 方 で その 計画 策定 にお い て は、ガ イ ド ライ ン の適用 を制 度化し その た めの 指 導を行 い 、さ ら に州 のイ ニ シア テ ィブ に よる調 整や 最終 的 な承 認 の仕 組 みを組 み込 ん でお り、 ボト ム アップ で もト ップ ダウ ン で もない 計 画プロ セス にな って い る。 ② 計 画策定 過 程 への外部 支 援 グル ープ の参加 カン ボ ディ アにおい ては市 町村 は独 自 の財 源 を持た ず、 また国 も十 分 な財 政 支援 を行 い うる財 政 状 況 には ない。 地方 財政 の 仕組 み につ い て はこ こで は示 さ ない15)が各 市 町村 に は 毎年7000∼10,000 ド ル相 当 の予算 お よび市 町村 の状 況 に よ り追 加 さ れる2000∼3000 ド ル相 当 の予 算し か ない。 こ れ は 小学 校1 校 の建 設費 用 に も満 た ない16)。 し たがっ て、投資 に関 し て は外 部 資 金 の導 入 が不可 欠 とな る。この た め、NGO や 国際 機関 な ど と 計 画策 定段 階 から十 分調 整 す るこ とが 実効 性 の あ る計 画づ くり に不 可欠 とな る。 ③ 標 準化 さ れた11 ステッ プの手 順 一 ス テ ップ ・バ イ・ ステ ップ の 計画 策定 表3.2 に示 す とお り計 画策 定 は標 準化 さ れた11ステ ップ の手 順 に よっ てい る。この よう に計 画策 定 の 流 れを細 か く分 けステ ップ ・バ イ ・ ス テッ プで着 実 に計 画づ くりが で き るよ うにし て い るこ と
34 国際 地域 学研 究 第7 号2004 年3 月 が こ のガ イド ラ インの 特徴 の一 つ で あ る。 ④ 各 ステッ プ毎 の実施 内 容 の詳 細 な規 定−プ ロ セ ス と手 法 を同 時 に示 す 本 ガ イド ライ ンは可 能 な限 り具 体的 に内容 を示 す よう にし てい る。 し たがっ て 、 各 ステ ップ にお いて 実施 すべ き内容 も詳細 に規 定 さ れ てい る。例 え ばステ ップ 目こつ い てそ の項 目 を示 す と、1.1 ね ら い、1.2 期 待 さ れる成 果( 例 え ば当 該市 町村 の抱 え る課 題、 要請 の リ ストお よび これ ら を示 し た地 図 を作 成 し、こ れら によ り集 落 の代表 者 が集落 の 集会 で議 事 進行、調整 が は かれ る よう に な る)、1.3 場 所 、1.4 期 間、1.5 必 要 な もの(例 えば大 きい サイ ズの 紙、 マ ーカ ー など)、1.6 参加 者 と その 役割( 市 町村 議長 が司 会、 市 町 村書 記 が記録 係 りな ど。)、1.7 作業 手 順(a. 当該 市 町 村 に関 す る情 報 をふ まえた分 析 、b. 課題 と要 請の 抽 出、c. 集落 毎 の集 会 に備 え た集 落 代 表 の研 修 一 モ デ ル集 落 にお け る試行 な ど) で あ り、 各々 に つい て具 体的 に示 して い る。 こ の よう にす る こ とで計 画 策 定 プ ロ セ スと同 時 に用 い るべ き手 法 も示 してい る。 ⑤ 合 理的 だ が適 用容 易 な手 法 の採 用 本 ガ イド ライ ンにお い て は各 ス テップ に おいて
「需 ラ 劃 →湖 聶  ̄
頭 司 →
「 ̄
雨 暖畔 絹 づ  ̄
海 飛呵
とい うプ ロ セ スを想 定し てい る。 後で 示 す ステッ プ3 の み簡単 な 数量 化 の方法 が示 さ れて お り他 は図 表 によ る集約 を ふ まえ決定 す る ものが多 い。 そ のか わ り、整 理し や すい 表 が示 さ れて い る。 本 ガ イド ラ イ ンにお い て は示 さ れ たプ ロ セ スは合理 的 な流 れで あ るが、 特 に高 度 な訓 練 や コン ピ ュ ー タ を 必要 と する手 法 は示し て い ない。 この 意味で 合 理的 だが 適 用容 易 な手法 の採 用 とい う こ と も特 徴 と言 える。( ガ イド ラ インの 主要 な トピ ッ ク) 以 上 に本ガ イド ラ イ ンのガ イド ライ ン とし ての特 徴 を述 べた が、 そ れら を具体 的 に みるた めに本 ガ イド ラ イ ンの中 で の主 要 なト ピ ッ ク と考 え られる も のを示 す。 ○計 画一 標準 計 画案 の例 示 上 述 の とお り ガイド ラ イ ンの第1 部 にお い ては「3 ヵ 年投 資 計 画」の様 式お よび記 載 内容 お よ び事 例 が あげ ら れて い る。その 内容 は表3.1 に示 し た。こ の中 で は具 体的 な記 述事 例 をあ げ てお り容 易 な 作 成 が出 来 る よう にし て い る。 た だし あ く まで 例示 であ り この まま使っ て はい け ない との注 意 書 き が あ るが。 ○ ス テ ップ2 − 各集 落に お ける 住民 集 会 と討議 本 ガ イ ド ライ ンの ス テップ2 に おい て、 各市 町村 の全 集落 に おい て全 世帯 の代 表 者 の 参加 によ る 住 民 集会 を 開催し 、 そ こにお い て討 議 を行 い 問題 点 や 要請 の指 摘 と その 解決方 策 の 検討 を 行 うべ き こ とを 規定し て い る。 この こ とに よ り世帯 レ ベルで は すべ ての 国民 が計 画 に参 加 す る こ とに なる。 その 他、 少 数民族 が 居住 し てい る集 落 にお い ては必 ず 少数民 族 が 参加 す るこ とを 規定 し てい る。 ○ ステ ップ3 − 市町村 にお け る課 題 と要請 に対 す る解 決策 と優 先順 位 の設 定 本 ガ イド ラ イン のス テップ3 で はプ ロ ジェ クト のプ ラ イオ リテ イを決定 す るこ と を規 定し てい る が 、 ガ イド ライ ンで はその 決定手 法 を具体 的 に示し て いる。 すな わち、 提 案さ れた各 プ ロ ジ ェ クト金子: 発展途 上国 にお け る地 域開 発の ガイド ライ ンの提 案 に関 す る研究 (そ の2 ) − カ ンボ ディ アに おけ る 参加型 地域 計画 ガ イド ラ インの 事例 研究 − 35 を 表 に 整 理 し 、 表 に 示 さ れ た 方 式 に よ り 各 プ ロ ジ ェ ク ト に 得 点 を つ け る 方 法 、 こ の 得 点 を 高 、 中 、 低 の3 段 階 の プ ラ イ オ リ テ ィ に わ け る2 つ の 手 法 な ど が 示 さ れ て い る 。 計 画 の プ ロ セ ス と あ わ せ て 具 体 的 な 方 法 論 を示 し て い る こ と が 特 徴 で あ る。 ○ ス テ ッ プ6 − 投 資 財 源 の検 討 カ ン ボ デ ィ ア に お い て は 市 町 村 の 開 発 の た め に 十 分 な 財 源 を 確 保 す る こ と が 困 難 で あ る。 そ こ で 市 町 村 の も つ 問 題 や 要 請 を ふ ま え て プ ロ ジ ェ ク ト を リ ス ト ア ッ プ し た 段 階 で 財 源 に つ い て の 検 討 を 行 う 。 不 十 分 な 場 合 は 外 部 も含 め た 財 源 の 検 討 を 行 う べ き こ と を 規 定 し て い る。 ○ ス テ ッ プ8 ― 郡 統 合 計 画 策 定 会 議 に お け る 討 議 詳 細 は3 ) に お い て 示 す が 、 郡 統 合 計 画 策 定 会 議 に お い て 市 町 村 か ら の 計 画 の 提 示 、 州 レ ベ ル の 計 画 の 提 示 、 外 部 の 組 織 の 支 援 の 表 明 な ど に よ り 、 郡 レ ベ ル で 計 画 が 統 合 さ れ る。 そ れ が 郡 統 合 計 画 (DIP:DistrictIntegrationPlan ) で あ る。 こ のDIP 作 成 は州 の イ ニ シ ア テ ィ ブ で 行 わ れ る。 ○ ス テ ッ プH 一 市 町 村3 ヵ 年 投 資 計 画 の 承 認 上 記 の 各 ス テ ッ プ を 経 て 策 定 さ れ た 計 画 案 は 検 討 の た め に 州 知 事 に送 ら れ る。 こ れ は 既 存 の 法 規 や 方 針 と の 整 合 性 を 確 保 す る た め に行 わ れ る 。 州 知 事 は 州 の 関 係 各 部 に 対 し て 意 見 を 提 出 す る よ う 要 求 す る こ と が 出 来 る 。 こ の 検 討 は45 日 以 内 に 行 わ れ る。 州 の 市 町 村 に 対 す る 勧 告 は 「 指 示 」 と し て な さ れ こ れ を う け た 議 論 が 行 わ れ る 。 各 市 町 村 に お い て は 、 計 画 を 各 集 落 の 集 会 に お い て 説 明 し 必 要 な 意 見 を 徴 す る 。 そ れ を ふ ま え て 市 町 村 議 会 の 議 決 に よ り 決 定 す る 。 こ の よ う に 州 、 市 町 村 両 方 の 公 式 的 な 手 続 き を 経 て 市 町 村3 ヵ 年 投 資 計 画 が 承 認 さ れ る こ と と な る。3 ) 州 政 府 の た め の ガ イ ド ラ イ ン ( 検 討 対 象 の ガ イ ド ラ イ ン )O で の べ た よ う に こ こ で ぱGuidelinesfortheDistrictIntegrationProcessfortheyear2003"(Unofficialtranslation )に つ い て 検 討 す る。 ( ガ イ ド ラ イ ン の 性 格 ・ 目 標 ) 上 述 の と お り こ のガ イド ラ イ ン は 制 度 に の っ と っ た 公 式 的 な も の で あ る と 同 時 に 全 国 一 律 の 制 度 で あ る 。こ の ガ イド ラ イ ン は2004-2006 年 の3 ヵ 年 投 資 計 画 策 定 の た め の も の で 、市 町 村 、州 、NGO や 援 助 機 関 が 一 同 に会 し 計 画 を 基 本 的 に 決 定 す る 郡 統 合 計 画 (DIP:DistrictIntegrationPlan ) を 策 定 す る た め の ガ イ ド ラ イ ン で あ る 。 す で に 述 べ た よ う に こ のDIP の 策 定 は州 の 責 務 と さ れ て い る 。し た が っ て 、こ の ガ イ ド ラ イ ン は 州 以 外 に も市 町 村 、NGO や 援 助 機 関 に も関 係 す る が 州 の な す べ き こ とが 規 定 さ れ て い る と い う 意 味 で こ こ で は 州 政 府 の た め の ガ イ ド ラ イ ン と し て い る 。 ま た 、 州 政 府 内 部 で お こ な う べ き業 務 内 容 も こ の ガ イ ド ラ イ ンで 規 定 し て い る 。 ( ガ イ ド ラ イ ン の 構 成 ) 本 ガ イ ド ラ イ ン に お い て は 計 画 策 定 を 目 の 業 務 に分 け て 示 し て い る 。 各 ス テ ッ プ の 概 要 に つ い て は 後 で 述 べ る が こ の11 の 業 務 と は 表3.3 に 示 す と お りで あ る 。
36 国 際地 域学 研究 第7 号2004 年3 月 表3.3 計画策 定のH の業 務 業 務 一 業務| 業務2 業 務3 業 務4 業務5 業務6 業 務7 業務8 業務9 業 務10 業務H 業 務 内 容 市町村が提案 する開発プロジェ クト の確認 とDIW の 準備 郡統合計画策 定に関連する情報 の検討 分野毎の優先 順位リストの準備 配分され る予 算等の検 討DIW ス ケジュール検 討会議 提 案され た郡 内優先プ ロジェ クト総 括表 作成 提 案され た優 先プ ロジェ クト の分析DIW の実施DIW の実施 結果の文 書作成 契 約準備 郡統合計画 書作成 出 典:GuidelinesfortheDistrictIntegrationProcessfortheyear2003"(Unofficialtranslation) よ り 筆 者 作 成 (ガ イ ド ラ イ ン と し て の 特 徴 ) 本 ガ イ ド ラ イ ン と し て の 特 徴 は 次 の5 点 と考 え ら れ る。 す な わ ち 、 ・ 州 、 市 町 村 、NGO や 援 助 機 関 の 参 画 に よ る 計 画 策 定 を 規 定 し て い る こ と ・ 州 政 府 部 内 の 業 務 内 容 も 規 定 ・ タ イ ム ス ケ ジ ュ ー ル が 規 定 さ れ て い る こ と ・ 各 業 務 で 達 成 す べ き 成 果 が 具 体 的 に 示 さ れ て い る こ と ・ 特 にDIP を 決 定 す る 郡 統 合 計 画 策 定 会 議 (DIW:DistrictIntegrationWorkshop ) に つ い て は 議 事 進 行 ま で 含 め た 詳 細 な 内 容 が 規 定 さ れ て い る こ と ① 州 、 市 町 村 、NGO や 援 助 機 関 の 参 画 に よ る 計 画 策 定 を 規 定 し て い る こ と 市 町 村 開 発 計 画 の 項 で 述 べ た が 郡 統 合 計 画 も州 、市 町 村 、NGO や 援 助 機 関 の 参 画 に よ る 計 画 策 定 を 規 定 し て い る こ と。 図3.1 参 照 ② 州 政 府 部 内 の 業 務 内 容 も 規 定 上 記II の 業 務 の う ち 業 務3 、4 、6(郡 単 位 )、9 、11 は 州 政 府 の 内 部 の と り ま と め 作 業 あ る い は決 定 手 続 き を 規 定 し て い る 。 ③ タ イ ム ス ケ ジ ュ ー ル が 規 定 さ れ て い る こ と3 ヵ 年 投 資 計 画 は 毎 年 ロ ー リ ン グ さ れ る 。 す な わ ち 次 の3 ヵ 年 計 画 の 初 年 度 は 翌 年 度 と な る た め 予 算 策 定 の ス ケ ジ ュ ー ル と整 合 を 取 る 必 要 が あ る 。 カ ン ボ デ ィ ア の 会 計 年 度 は1 月 か ら12 月 で あ る た め 、 こ の た め こ の ガ イ ド ラ イ ンで は 最 終 的 に郡 統 合 計 画 ( こ れ を 合 わ せ た も の が 州 開 発 計 画 で あ り 、 州 の 投 資 予 算 と な る ) は12 月 末 ま で に で き て い な け れ ば な ら な い 。 そ の こ と か ら 郡 統 合 計 画 策 定 会 議 は10 月 中 旬 以 降H 月 末 ま で に 終 了 す る よ う に 規 定 し て い る 。こ の 準 備 で あ る 業 務1 ∼7 は10 月 中 旬 まで に 終 了 す る 、 作 業 期 間 を 考 え こ の一 連 の プ ロ セ ス 出 発 で あ る業 務1 は8 月 中 句 の 開 始 と 規 定 し て い る。 ④ 各 業 務 で 達 成 す べ き 成 果 が 具 体 的 に 示 さ れ て い る こ と
金子 :発展 途上国 にお け る地域 開 発 のガ イド ライ ンの提 案 に関 する研 究 一 カン ボディ アに おけ る 参加型地 域 計画ガ イド ライ ンの 事例研 究 ( そ の2) − 37 市町 村 開発 計画 策定 ガ イド ライ ン と同様 、 表 な どの様 式 を示 し各 業務 で 達成 す べ き成 果 が具 体的 に示 さ れてい る こ と ⑤郡 統合 計 画策 定会 議 につい て は議 事 進行 まで含 め た詳 細 な 内容 が規 定 さ れてい るこ と 本ガ イド ライ ンの中 心 はい かに郡 統合 計画 策 定会 議 を適 切 に 運営 し、 整 合性 の取 れた計 画 を策 定 する かで あ る。 この ため業 務8 に お い て は詳 細 な内 容が 示さ れて い る。 すな わち、 この会 議 は4 つ の議事 より構 成 され てい る とし て 第1 部 開 会 第2 部 討議 の ため の提 案説 明 第3 部 各提 案 に関 す る討議 第4 部 とり ま とめお よび閉 会 第1 部 にお い て は開会 、郡 長、 州 知事 また は副知 事 あい さつ お よび 州計 画部 から会 議 の主 旨お よ び得 る べ き成 果 につ いて の説明 、第2 部 に おい て は市町 村、州 関係 各部 お よ びNGO 、援助 機 関 に よ る提 案説 明 が行 わ れ最低45分 は かけ るよう 規 定さ れて い る。 また 、具 体的 な2 つ の手 法 を挙 げ てい る。第3 部 は討 論 の進 め方 を同 じ く2 つ の手 法 で示 して い る。なお この段 階 で市 町村 の提 案 に対 し、 図3.1 郡 統 合 計 画 策 定 の概 念 図 NGO/援助 機関 州 郡 市 町 村 郡 統 合 計 画 策 定 会議 (DIW ) 出 典:GuidelinesforthedistrictIntegrationprocessfortheyear2003 よ り 筆 者 和 訳
38 国際地 域学 研究 第7 号2004 年3 月 州、NGO あ るい は援助 機関 か ら 支援 の申 し 出が あっ た もの に つ き 仮合 意 書 を作 成 す る よ う 規定 さ れてい る。 仮合 意書 に は援助 を行 う機 関、 市町村 の各代 表 と ともに 立会 人 とし て郡 長 、州 計 画 部 が サイ ン する こ と とし てい る。 第4 部 は総括 表 の形 で の とり ま とめお よ び郡長 によ る閉 会 のあ い さ つ で 終了 する とし てい る。 こ の会 議 は通常 は1 日 で終了 す るが 場合 に よっ て は2 日 にわ た るこ とも想 定し てい る。 4 。 カ ン ボ デ ィ ア に お け る 地 域 計 画 の 実 際I ) 計画 策定 の 実際 以 上 に 述 べた よう にカ ン ボデ ィア に おい て は地 域計 画 とし て州 レ ベ ル で は5 ヵ年 計 画 と3 ヵ 年 投 資 計画 、 市町 村レ ベ ルで は3 ヵ 年投 資計 画 が作 ら れてい る。 州レ ベ ル の計 画 は市町村 レ ベ ルの 計 画 と国や 州 の政 策 を調整 し て策 定 さ れて お り州 独 自の計 画 で はな い。ただし2001-2005年 の5 ヵ 年計 画 に つい て は地 方分 権 が制度 化 さ れて い ない段 階 の もので あ るた め国 の計 画 を州段 階 にブ レ ーク ダ ウ ンし た中央 集 権的 な国 の計 画 の地 方版 と なって いる。 州 レ ベ ルで の地 域計 画策 定 の 実際 に つい て2003年9 月 に タケ オ州計 画 部長 お よび コ ン ポンチ ャ ム 州 計画 部 長17)よ りヒ ヤリ ング をお こなっ た。 ここで は詳細 は示 さ ない が 結論 とし て は、 ・ガ イド ライ ンに した がっ て計 画 を策 定 して い るこ と。 そのた めに州政 府 は多 くの 職員 を投入 し てい る こ と ・市 町村 が計画 を策 定 す るた め に研 修な どの支 援 に力 を入 れ てい る こ と ・予 算 の制 約 が大 き く必 ず し も計 画 が実施 と結びつ い てい ない こ と ・2001-2005年 の5 ヵ年計 画 につ い て は地 方 分権 が制 度 化 さ れ てい な い 段 階 の もの で あ る た め 中 央 集 権的 な もの となっ て い る こ と が明 ら かに なった。 タヶ オ州 に おい て は5 ヵ年計 画 で あ る「 タヶ オ州 開 発計 画2001-2005 」お よび3 ヵ 年計 画 であ る「 タ ケオ州 開 発投 資プ ロ グ ラム2002-2004 」の英訳 版 を入 手し た。 以 下 限 ら れ た 事 例で あ る がこ れら の計画 に つ いて み てい くこ と とする。2 ) 計画 事 例 (タヶ オ州 開発 計 画2001-2005 ) タヶ オ州 開 発計 画 (Provincia!DevelopmentPlan2001-2005TakeoProvince )")は 国 の第2 次 社 会 経済 開 発計 画(SEDPII200 ト2005 )'')をふ まえて タヶ オ州 に よっ て策 定さ れ た もの であ る。 その 内容 は「第1 部 州 の社会 経 済現 況 」と「 第2 部 州 開発 の 枠組2001-2005 」に分 か れ てい る。 国 の 計画 を ふ まえ た ものであ るが 内容、 構 成 は限 られた もの となっ て い る20)。 第1 部 にお いて は州 の 社会 経 済現 況 とし て以 下 の項 目 が示 さ れて い る。 ・地 理 と行政 構 造 ・人 口、 世帯 ・識 字 と教育
金子: 発展途 上国 にお け る地域 開 発のガ イド ライ ンの提 案 に関 す る研 究 (そ の2) − カン ボディ アに おけ る参 加型地 域 計画ガ イド ライ ンの 事例 研究 − 39 ・ 地域 の 経済 ・ 保健 、 水供 給、 衛生 ・ 農畜 産 ・ 出 稼 ぎ この内 容 につい て は後 で述 べ るが各 市 町村 単 位で デ ータ が収集 さ れてお り そ れに基 づい て図 表 の形 で 整理 し、 それを ふ まえ た考察 を行 っ て い る。 こ こで は詳 細 は述 べない が 、 タケ オ州 の概 要 とし て2000 年 の デ ータで は ・人 口 約83万人 世帯 数 約15万 (し たが っ て1 世帯 あ た り約5.4人 ) ・面 積 約3600平 方 キロ(し た がっ て人 口 密 度 は232 人/平 方 キロ) ・ 行 政 とし て10 郡100 市 町村1162集 落 となっ てい る。 ち なみ に人 口 の うち15 歳 未満 が約43% 、65 歳以 上 が約7 %で あ る。 第2 部 におい て は州 の2001年 から2005年 の 間 の州開発 の枠組 みに つい て示 し てい る。 そ の内容 と し て は ・ 州 開発 の展望 ・州 開発 の ポテ ン シャル と制 約 条件 ・州 開 発の目 標 ・州 開発 の戦 略 ・国 境 地域 の開 発 とな って い る。 国 の 社会経 済 開発計 画 におい て は附 編 とし て はい る が 具体 的 な経 済フレ ームや 社会 開発 の目 標 を示し た上 で各 部門 ご とに とる べ き政策 を詳 細 に示し て い るが 、州 開 発計 画 におい て は 必 ずし もそ のブ レ ー クダ ウン に はなっ てい ない。 以下 特 徴的 な項 目 につい て述 べ る。 州 開発 の展 望 とし て は望 まれる 姿 とし て「 食 料、保 健、 教育 が確 保 さ れる こ と、 同時 に人 々 が 法 や人 権 を まもり女 性問 題 に留 意し安 全 に暮 ら す。 お 互い に 連帯し 、 宗 教や 自 然環境 に 配慮し て幸 せ に暮 ら す」 とし てい る。 このタ ケ オ州 は自 然条 件に 恵 ま れる と ともに 交通 も便利 で あ る こ と、NGO な ど の支 援 も行 わ れ てい る こ とな ど好 条件 にあ る とし て い る、一 方 で州 の 開発 を進 める た めの人 材が 欠け てい る こ と、 イ ンフラ が十 分で な い こ とな どが ネッ ク となっ て おり、 基幹 産業 であ る農業 にお いて も市 場 に出 す ほ どの生 産 で はない。 またNGO な ど の支援 も行 わ れて い るが十 分 なレ ベ ル で はない とい った 問 題 が指 摘 され てい る。 州 開発 の目標 と戦 略 に は相 互 に対 応し た21にの ぽる項 目 があ げ ら れて い る。 こ れを整理 する と ・ 行 政能 力 の向上 に関 す る もの7 ・ 社 会開 発 に関 する もの( 保 健、 福 祉、 教育 、女 性問 題 、宗 教 )5 ・ 産業 開 発に 関 する もの (農業 、 観 光)4 ・ 社会基 盤整 備 に関 する もの3 ・情 報基 盤整 備 に関 する もの ( テレ ビ な ど、 郵 便)2
40 国 際地 域学 研究 第7 号2004 年3 月 ・NGO との連 携 に関 す る もの1 た だし 、 こ れら は相互 に関 連 す る と考 えら れるが特 に 体系化 はは から れて お らず また具 体的 な 目 標 値 は示 さ れてい ない 。 また 戦略 に つい て もとるべ き具 体的 な施 策 は示 さ れてい ない 。 なお 前述 の とお りタ ケオ 州 は国境 沿 い の州 であ る。 州 内 の国 境沿 い の郡 は洪 水 に より水 没 す る地 域 で あ る こ と、 道路 な どイ ン フラ が 未整備 で ある こ とな どがあ り州 内で も課 題 の多 い地 域 で あ る こ とか ら 隣国 とも協調 し た開発 をす す める目 標 を立て てい る。( タ ケ オ州開 発投 資プ ロ グラ ム2002-2004) タ ケ オ州開 発投 資プ ロ グ ラム2002-2004(ProvincialDevelopmentInvestmentprogram2002-2004Takeoprovince)^^) はタ ケ オ州 に よっ て作 成 さ れた2002年 から2004年 まで の3 ヵ 年 の タ ケ オ 州 のロ ーリ ング 開発投 資プ ロ グラ ムで あ る。こ のプ ロ グ ラム は同 時 に2002年 度予 算 に もな っ て い る。 こ のプ ロ グ ラム は毎年 作成 さ れ る。 そ の内容 は3 部 か らな って お り、「 第1 部 概要 」「 第2 部 市 町村 投 資プロ グラ ム」、F第3 部 各 部 の投 資プ ロ グ ラム」 お よび 「 第4 部 公共 投資プ ロ グ ラム2002-2004 」で あ る。 「第1 部 概 要」 は上 に述 べ たタ ケ オ州 開発計 画2001-2005お よび2001年 の投資 実 績、2002-2004 年投 資 計 画 の総括 であ る。 ち な みに2001年 の タケオ州 の 開発投 資 予算 は約5.4百 万ド ル(1 ド ル =110 円 とし て 約6 億円)こ のう ち国 連 食 料計 画に よ るもの が41% 、EU の援助 が22% となっ てい る。 また 州政 府 実施 の もので も資 金 は国際 機 関 な どに よる もの が多 い。 この た めカ ン ボディ ア政 府資 金 に よ る もの は23%し かな く残 卵・よNGO や国 際機 関な どの 支援 に よっ てい る。2002-2004年 の3 年 間 の投 資総 額 を約26.0百 万ド ル と想 定し てい るが そ のうち 継 続が2.1百 万ド ル、財 源が 確定 し た もの は11.6 百万 ド ル であ り、 全体 の 約半 分 を占 め る残 り につい て はプ ロ ジ ェ クト とし てあ げ ら れて い る が財 源 は確保 さ れて い ない。 「第2 部 市町 村投 資プ ロ グ ラム 」 と は市 町村単 位 で 行わ れ る小規 模プ ロ ジェ クト に対 す る支 援 であ る。 また、 市 町村 単 位で 計画 、 実施 がで きるよう 州、 郡 にお け る調整 員 の 養成 が行 わ れ、 さ ら に選 ば れた市 町村 を対 象 とし て市 町 村開 発委 員会(CDC:CommuneDevelopmentCommittee 地 方 自 治制 度 が確 立 する まで の市 町村 の 開発 計画 調整 実施 組織) の メンバ ーに対 す る能力 向 上 の た め の 研 修が 実施 さ れ た。 さて こ の市 町村 投資 プ ロ グラ ム は10郡100 市 町村 す べ てに行 わ れるので はな く、対 象 をし ぼっ て 実 施 し て い る。 ち な みに2001年 度 は2 郡 の5 市 町村 に対 し て合 計6.2万 ド ル( 約700万 円)、2002 年 度 は 大幅 に拡充 さ れ て9 郡35 市町 村 に対 し30.1万ド ル( 約3300万 円) が交 付さ れ てい る。 こ の他 郡 統合 計 画策 定 会議 にお け る関 係者 間 の調 整 を ふ ま え市町 村 の投 資 プ ロ ジ ェ クト に対 し 州 政 府 関 係 各 部 、NGO など の支援 が 行 われ る と ともに 地域 住民 の労力 や 資材 の 提供 も行 わ れて い る。 「第3 部 各部 の投 資 プロ グラム 」 と は州政府 の部 毎 の投 資プ ロ グラ ム であ る。 各部 が計 画 し た3 ヵ 年 の投 資プ ロ グラ ム のうち 、継 続、新 規 だが財 源が 確保 さ れ た もの、財 源に つい て は検討 中 で 未 確定 で あ るが 優先 度 の高 い もの( 優 先プ ロ ジ ェクト) の3 つ の 区分 の もの を とりあ げ てい る。 例 え ば州 農 林水 産部 は特 に食料 確保 や貧 困 削減 のた めの農 業 セ クタ ーへ の支 援 を行 うな ど とし て 、合 計
金 子 : 発 展 途 上 国 に お け る 地 域 開 発 の ガ イ ド ラ イ ン の 提 案 に 関 す る 研 究 ( そ の2 ) 一 カ ン ボ デ ィ ア に お け る 参 加 型 地 域 計 画 ガ イ ド ラ イ ン の 事 例 研 究 ∼ 41 13プ ロ ジェ クト をあ げてお り、2プ ロ ジ ェ クト が継 続、2プロ ジェ クト が財 源 が確保 さ れ た新規 プロ ジ ェ クト 、 残 り9 が こ こでい う優 先プ ロ ジ ェ クト であ る。 こ れら に対 し て国( 農 林水 産省)、NGO 、 国際 機関 な どの財 源 を検討 し てい る。 「 第4 部 公共 投 資プロ グラ ム2002-2004 」 におい て は州政 府 各 部、NGO 、 国 際 機関 毎 に2002-2004 年 の3 ヵ年 の タ ケオ州 に対 す る公 共投 資プ ロ グ ラム を詳細 に示 し てい る。その合 計 はす で に述 べた ように 約26.0百 万ド ルで約半 分 の12.4百 万ド ル の投 資 を初 年度 で あ る2002年 に予定 し てい る。CAMBODIABYPROVmCE Thaiiand LaoPDR 図4.1 カンボディアの各州 注:本図は各州の位置を示す概念図で縮尺は正確ではない 出典:“CAMBODIASTATISTICALYEARBOOK2001"NATIONALINSTITUTEOFSTAIS-TICS,MINISTRYOFPLANNING2001 より転載 5 。 カ ン ボ デ ィ ア に お け る 地 域 計 画 の デ ー タ 地 域計 画 のた めに はデ ータ が必 要 であ る。 どの よう なデ ー タが入 手 可 能か に より計 画 の内 容、 方 法 が 規定 さ れ る。 社 会経 済 デー タ には積 み上 げ により 得ら れ る もの もあ るが一 方で全 国 ベ ース の資 料 か ら推 計 さ れる もの、 サ ンプ リン グ調 査 に よ り得ら れる もの もあ る。し た が って定 量 的 なデ ータ に つい て は全国 ベ ース のデ ータ のほ うが 市 町村 単 位 より も多様 なデ ー タが入手 で きる22)。以 下 カ ン ボデ ィ ア にお け る地 域 開発 に 関連 す る デ ータ の項 目 につ い て全 国 ベ ース と地 域レ ベ ル に分 け て示 す。なお、個々 の結果 につ い て は紙 面 の関 係で 省略 する。こ れら の 統計 や調 査 の実施 、公 表 にあ たっ て は国 際機 関 の支援 を受 け てい る23)。
42 国 際 地 域 学 研 究 第7 号2004 年3 月 1) 全 国ベ ー スの デー タ( 社会 経 済統 計) カ ン ボデ ィア にお いて は政 府 に計 画省 統 計 院24)国 の統計 お よ び関 連調 査 を実施し てい る。総 合的 に毎 年 の社 会経 済統 計を とり ま とめた ものが“CAMBODIASTATISTICALYEARBOOK" とし て公 開 さ れてい る。その最 新 版 であ る2001年版25)に は次 の項 目が示 され てい る。1. 人 口、2. 労働 お よ び賃 金、3. 教育、4. 保 健、5. 住宅 お よび設備 、6. 所 得お よび 支出 、7. 農 業、森 林 お よ び 漁業 、8. 産業 、9. 電力 、10. 運 輸通 信、n. 観 光、12. 投 資、13. 金 融、14. 財 政、15. 物 価お よ び為 替 レ ート 、16. 外 交貿 易お よび対 外 収支 、17. 国民 経 済計 算。なお 国 民経 済計 算 に つい て は1993 年 か ら2001年 までの時 系 列 デー タ も公 表 され てい る26)。 人 口関 係 につ いて は1998年 に 内戦 終了 後 初 めての 国勢調 査 が行 わ れた。 その結 果 につ い て は1999 年 に と り まと め、公表が な さ れてい る27)。こ の国 勢調 査 によ り全 市町村 段 階 での人 口 状況 が 把 握で き る。( 社 会 開発 調 査) 上 記 の定期 的 な統 計 と は別 に1999年 に社 会 経済計 画 の基礎 となる カ ン ボディ ア社 会経 済 調 査が 実 施 さ れ 結果 が公 表さ れて い る28)。この 調査 はカン ボデ ィア全 国 から600 の市 町村 、各 市町 村10世 帯 計6000 世帯 の調 査 であ る。 調 査結果 は全国 お よ び各 州毎 に取 り まと めら れてい る。 各 州毎 に 得 ら れ る 項 目 は次 の とお りで ある。 し 人 口、2. 世 帯、3. 年齢 、 性別 お よ び婚姻 状 態、4. 識 字 お よ び教 育 、5. 経 済活 動、6. 人 口 移動 、7. 世 帯 の設備 な ど( 飲 料水 、 照明 、ト イレ 、 調理 用燃 料)2) 地 域レ ベ ルのデ ー タ 上 述 の とお り地 域計 画 にお い て は得 ら れる データ に より どの よう な内 容、 方法 が 規定 さ れ る。 カ ン ボデ ィア におい てはガ イド ラ イ ンにし たがっ て地 域計 画が お こな わ れる がそ のた め の定 量的 な基 礎 デ ー タ は国 に よっ て提 供さ れ る29)。一 方対 象と する市 町村 あ るい は市 町村 を 構成 す る集 落 に関 す る 課 題 や 住民 の 意向 といっ た 具 体的 定 性 的 な デー タに つ い て はガ イド ラ イ ン30)に し た が っ て 表 お よび 図 の形 で取 り ま とめる こ ととし て い る。 ガ イド ラ インに おい て はこ れ らの デ ータに つ い て の体 系化 の方 法論 に つい て概 略 を述 べ てい る。以 下 は前 者の国 に よっ て提 供 さ れる定 量的 なデ ー タ につ い て ヒ ヤリ ン グを行 った タ ケ オ州 お よび コン ポンチ ャム州 に つい て そ の項 目 お よび 具体 的 な 内容 を 簡 単 に述 べ る31)。 年 次お よ び州 のち がい に より取 り まと め方 には若干 の相 違 があ る が基 本的 なデ ータ の項 目 は同 じ で、 州 内各 市 町村 につ いて以 下 の 項目 の デ ータがあ げ られ てい る。1. 人 口 、2. 住宅 、3. 教育、4. 保健 、5. 水 供給 、6. 交 通、7. 農業 、8. 生 産、9. 家 畜 、10. 商工 業 、目 。家 庭用 品、12. 人 口 移 動、13. 地 域活 動組 織 各項 目 につ い て具 体的 に示 さ れ てい る内 容 は表5. 目こ示 す とお りで あ る。こ の表 にあ げ ら れてい るデ ー タは元 となる情 報 が各 市 町村 で容 易 に収集 可能 な もの であ る。 上 述 の国 レ ベル の デ ータ とし て 公 表さ れて い る もの と比 較 す る と、上述 の国 レベ ル のデ ータ のう ち1. 人 口 、3. 教育 、4. 保 健 、5. 住宅 お よび設備 、7. 農 業、森 林 お よび 漁業 につい て は不 完全 な面 もあ るが市 町 村レ ベ ル で も示
金子 :発 展途上国 にお け る地 域開 発の ガ イド ライ ン の提案 に関 す る研究 (そ の2) − カン ボディ ア にお ける 参加型 地域計 画ガ イド ライ ン の事例 研究 一 43 さ れ てい る。し かし2. 労 働お よ び賃 金、6. 所 得お よ び支 出、8. 産業 、9. 電 力、10. 運輸 通 信、11. 観光 、12.投 資 、13. 金融 、14. 財 政、15. 物 価 お よび為 替レ ート 、16. 外 交貿 易 お よび対 外収 支、17. 国民 経 済計算 とい っ た金 額ベ ー ス の経 済 デ ータが含 まれて い ない こ とが わか る。 表5.1 カンボディアの地域計画のための市町村データ(各郡毎にとりまとめ) 人 口 市 町 村l 市 町 村2 − − − − − 平 均 合 計 1 世帯 数 2 男 性 人 口 3 女 性 人 口 4 5 歳 未 満 人 口 ( 男 ) 5 5 歳 未 満 人 口 ( 女 ) 6 5−14 歳 人 口 ( 男 ) フ 5−14 歳 人 口 ( 女 ) 8 65歳 以 上 男 性 9 65歳 以 上 女 性 10 5−14 歳 就学 者 ( 男 ) H 5−14 歳 就 学 者 ( 女 ) 12 15歳 以 上 非 識 字 者 (男 ) 13 15歳 以 上 非 識 字 者 ( 女 ) 14 男 性 障 害 者 15 女 性 障 害 者 16 15歳 未 満 孤 児 (男 ) 17 15歳 未 満 孤 児 (女 ) 18 女 性 が 世 帯 主 で あ る 世 帯 数 19 農 耕 が 主 た る 収 入 で あ る 世 帯 数 20 自 己 所 有 の土 地 で 耕 作 し て い る 世 帯 数 住 宅 21 コ ン ク リ ート 造 22 木 造 23 か や ぶ き 24 220V 電 力 が あ る 世 帯 教 育 25 小 学 校 学 級 数 26 中 学 校 学 級 数 27 小 学 校 教 員 数 28 中 学 校 教 員 数 29 識 字 学 級 数 30 幼 稚 園 学 級 数 保 健
44 国際地 域 学研 究 第7 号2004 年3 月 31 保 健 関 係 従 事 者 数 32 伝 統 的 保 健 関 係 者 数 33 伝 統 的 助 産 者 数 34 正 規 助 産 者 数 35 5 歳 以 下 の 乳 幼 児 死 亡 数 ( 最 近12 ヶ 月 ) 36 出 産 時 死 亡 数 ( 出 産 後28 日以 内 ) 水 供 給 37 コ ン ク リ ー ト 井 戸 数 (通 年 利 用 ) 38 手 掘 井 戸 数 ( 通 年 利 用 ) 39 ポ ン プ 井 戸 ( 通 年 利 用 ) 40 飲 料 水 貯 水 槽 41 ト イ レ 数 交 通 42 モ ー タ ー サ イ ク ル 数 43 ト ラ ク タ ー / 自 動 車 数 44 馬 車 / 牛 車 数 45 自 転 車 数 46 手 漕 ぎ ボ ート 隻 数 47 エ ン ジ ン 付 ボ ート 隻 数 48 最 も近 い 市 場 ま で の 距 離 (Km) 49 最 も近 い 全 天 候道 路 (4WD )まで の 距 離 (Km ) 50 最 も近 い 中 学 校 ま で の 距 離(Km) 51 最 も 近 い 市 町 村 保 健 セ ン タ ー まで の距 離 (Km) 農業 52 雨 季 に お け る 水田 面 積 (ha ) 53 雨 季 に お け る 高利 用 水 田 (ha) 54 低 利 用 水 田 (ha ) 55 乾 季 に お け る 濯漑 水 田(ha ) 56 Chamka 土 地 の面 積 (ha) 57 そ の 他 の 耕 地(ha) 58 地 雷 未 処 理 地 59 濯 漑 用 井 戸 数 産 業 60 米 生 産 量 ( 最 近12 ヶ月 ) 61 とう も ろ こ し 生 産 量 ( 最 近12 ヶ月 ) 家 畜 62 非 農 耕 用 牛 / 水 牛 63 農 耕 用 牛 / 水 牛
金子 :発 展途上 国に おけ る地 域 開発 のガ イド ラ イン の提案 に関 す る研究 ( その2) − カン ボデ ィア にお け る参加型 地 域計画ガ イド ラ イ ンの事 例研究 − 45 64 養 豚 数 65 商 工 業 66 農 業 資 材店 67 雑 貨 店 68 小 製 造 所 69 商 店 家 庭 用 品 70 テ レ ビ 台数 人 口 移 動 71 仕 事 の た め に 他 の 地 域 に 移 住 し た 人 数 ( 男 ) 72 仕 事 の た め に 他 の 地 域 に 移 住 し た 人 数 ( 女 ) 地 域 活 動 組 織 73 無 尽 グ ル ー プ 数 74 家 畜 銀 行 数 75 米 銀 行 数 76 水 運 搬 グ ル ープ 数 77 濯 漑水 利 利 用 者 グ ル ープ 数 出 典 : 注10 ) に示 す資 料 を も とに 筆 者 が 作 成
6 。事例研究の まとめと評価
1 )地 域計 画ガ イ ドラ イン 本研 究 にお い て はカ ンポデ ィ アの 地 域開 発 はガ イド ライ ン にし た がっ て実 施 さ れてい る こ と、 ガ イド ラ イン に は市町 村 を対 象 とし た もの と州政 府 を対 象 とし た もの があ る こ とを述 べ市 町村計 画 の ガイド ライ ン は以 下 の5 項 目 の特 徴 が あ る ことを 示し た。 す なわ ち、 ・ 草 の根レ ベ ルの 重視 と国 の調 整 、 指 導 ・ 計画 策 定過 程 への外 部支 援 グル ープ の参加 ・ 標準 化 さ れたH ス テップ の手 順 一 ス テ ップ ・ バイ ・ ステ ップ の計 画 策定 ・ 各 ステ ップ 毎の 実施 内容 と成 果 の 詳細 な 規定− プロ セ ス と手 法 を同 時 に示 す ・ 合理 的 だ が適 用 容易 な手 法 の採 用 ま た州政 府 のガ イド ライ ン は以 下 の項 目 が特 徴で あ るこ と を示 し た。 ・ 州、 市 町村、NGO や援 助 機関 の 参画 に よる計 画策定 を 規定 し てい る こ と ・ 州政 府 部内 の業務 内 容 も規定 ・ タ イ ムス ケジ ュー ルが規 定 さ れて い る こ と ・ 各業 務 で達成 すべ き成果 が具 体 的 に示 さ れて い るこ と ・ 特にDIP を決定 する郡 統合 計 画策 定 会議 (DIW:DistrictIntegrationWorkshop ) につ い て は46 国 際地 域学 研究 第 フ号2004 年3 月 議 事 進行 まで 含 めた 詳細 な 内容 が 規定 さ れてい る こ と こ の各 々 の内容 に つい て は既 に述 べ た とお りで あ る。 か つて のト ップ ダ ウン型 地 域計 画 と異な り現在 の 地域 計画 に おい て は計 画のプ ロ セ スや 地 域 の イ ニ シ アテ ィブ 、内 容的 に は環境 お よ び社 会 経済的 な持 続性 が重 視 さ れる32)。し たがっ て 、地 域計 画 の ガ イド ラ イ ンを考 察 する に は大 き く分け て以 下 の項 目 が重 要 であ る と考 えら れ る。 ・ 計 画 策定 のプ ロ セ ス ・ 計 画 で決 定 すべ き形式 ・ 内容 ・ 計 画策 定 の ため の手 法 とデ ー タ こ れ に加 えて ガ イド ライ ンの 外で あ るが 計 画の法 的 位置 づけ が重 要 であ る。 「 計 画策 定 のプ ロ セス」 とは具 体的 に はガ イド ラ イン にお い て以 下 の項 目 が確 保 さ れ るよ う 示 さ れて い る こ とであ る。 す なわ ち、 ・ プ ロ セ スそ の ものが 合理 的か ・ 地 域 住民 の 参加が 確保 さ れた プ ロ セ スに なっ てい る か ・ 上 位計 画 や関 連計 画 と整合 を とる仕 組 みがあ る か ・ 計 画 の実施 結果 の評価 とフ ィ ード バ ッ クが考慮 さ れてい る か ・ 著 しい 負 担 なし に適 用 可能 か 「計 画 で決 定 すべ き形 式 ・ 内容 」 と は具体 的に はガ イド ラ イ ンにお い て以下 の項 目が 確 保 さ れ る よ う示 さ れて い るこ とであ る。 すな わち 、 ・ 地 域 住民 に内容 が わ かり や すい形 式 ・ 実施 段 階 や評 価 と整合 性 のあ る形 式 ・ 環境 お よ び社 会経 済的 持 続性 が 確保 さ れてい る か ・ 経 済成長 と貧困 削 減 の両 方 に 配慮 し た 内容 ・ 実 現可 能性 を重 視 し た内容 「計 画策 定 の ための手 法 とデ ータ」 とは具 体的 に はガ イド ラ イン にお いて以 下 の項 目 が 確保 さ れ る よ う示 さ れてい るこ とで あ る。 す なわ ち、 ・ 地 域 の課題 が適 切 に抽 出、 解 決策 が 合理 的に示 せ る手 法 であ る こ と ・ 地 域 の将来 方向 が合 理的 に示 せ る手 法で ある こ と ・ 地 域 のイ ニ シアテ ィブ で の計 画策 定 に適 用可能 な手 法 で あ るこ と ・ 適 用 され る手 法 に対 応し たデ ータであ るこ と ・ 著し い 負担 なし に収 集 整理 可 能 なデ ー タであ るこ と 定 性的 で あ るが以 上 の項 目 をよ り どこ ろ にし て ま ずガ イド ライ ン につい て評 価 をし、 次 い で地 域 計 画 の事例 、 実際 のデ ー タにつ い て も評 価し てい く。 ま ず市町 村計 画ガ イド ラ イ ンに つい て以 下 評価 す る。 評 価 の概 要 を表6. 目 こ示 す。