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マレーシアにおける地域開発――格差の実態と地域 開発の実践――(資料)

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(1)

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization (IDE‑JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名 アジア経済

巻 19

号 8

ページ 90‑105

発行年 1978‑08

出版者 アジア経済研究所

URL http://doi.org/10.20561/00052755

(2)

1978080092.TIF

一 一 一 一 一 資

料 空 空 竺 ? 同 町 一 戸 時 司 一 一 ? 空 空 【

一 一 一

マ レ ー シ ア に b け る 地 域 開 発

一一格差の実態と地域開発の実践一一

I ま え が き E 地 域 医 分

III  社会・経済的絡差の実態 N 地域開発の突践 V 地域開発の戦略と政策

W 結 語

I ま え が き

一般に震の発展段階をみると先進国・発展途上国を問 わず,悶の発展・成長が第一義的に考えられ,圏内にお ける公平・分配の問題は第二義的なものであった。特に 発展途上国の場合,そのほとんどが戦後宗主国からの独 立を獲ち取り,自問の発展・成長を志向するのに急で,

屋内における公平・分配の問題はなおざりにされてきた。

そのためさまざまな分野での社会・経済的格差が顕著に なり,この反省にたって地域開発が志向されるにいたっ ている。

地域開発を志向するに当つては,まずその国の社会・

文化・政治・経済の特性が考慮されなければならない。

この上にたヮて資源の有効配分を考えながら地域聞の社 会・経済の不均衡を是正しなければならない。このこと が取りもなおさず,全体の発肢を促進するのに寄与する という発想である。このように発展・成長と公平・分配 は両立しうるものと考え,二つの目標の同時達成を志向

しているのが発股途上国の実情であると言える(注I。) マレーシアの場合, 1957年イギリスから独立した。し かしマラヤ共産党によるゲリラ活動の勃発に伴い1948年 に発せられた「非常事態宣言」は独立後も続き,公式に 終結をみたのは1960年にいたってからである。そのため 独立後の政府の大きな課題は共産ゲリラ掃討という国内 治安におかれた。政府が本腰を入れて国の発展・開発に

90 

やま

本 み 巳

取り組むようになるのは1960年以降である。

本稿は独立後のマレーシア(注2)における地域開発の性 格を格差の実態と地域開発の実践に焦点を当て解明しよ うとするものである。まず「地域」をマレーシアの実情 に日llしてどう区分するかを述べ,次u、で社会・経済的格 差の指標としてどのようなものが考えられるかについて 触れた上で,社会・経済的格差の実態をみる。そのあと マレーシアがこれまでとってきた地域開発の実践を跡付 け,最後に今後の地域開発の戦略と政策を探る。

(注1〕 先進国,発股途上国の地域開発論の系譜に ついては以下の文献を参照されたい。

永安幸正『先進国地域開発論の系譜』アジア経済研 究所経済開発分析プロジェクトチーム所内資料 No・ 51‑4  1977年(非売占的,および問『発展途上|誕地域 開発論の系譜』同 No.52‑1  1978年(非売品)。

なお,アジア経済研究所経済開発分析プロジ工グト チームでは1976年度から3カ年計i闘でアジアの4カ関

(マレーシア,フィリピン, Fイ,インドネシア〉と 各国における地域開発に関する共同プロジェクトを実 施中である。

(注2〕 この稿でのマレーシアの呼称は半島マレー シアのみを指し,サバ・サラグワは含まない。

H

地 域 区 分

地域の最小単位としてはコミュニティーが考えられる が,地域開発という観点からすればかなり広い地域区分 が採用される必要がある。この際そこに住民が居住して いなくても地域開発の対象となりうる。そうした「地域 区分Jとしては次の4通りがある。

第1に,州、|レベノレの区分である。現在マレーシアには 半島マレーシア(注1)にセランゴール,ベナン,ペラ,ヌ

『アジプ経済』 XIX‑8(1978.日)

(3)

世一竺竺一一一同.  . . . . . ‑   . . . .

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料山,._,,,..,,,.,,,,,~,_,,,,,町田

グリ・スンビラン,ノfノ、ン,ジョホール,マラッカ,ケ ダ, トレンガヌ,ベルリス,ケランタンの

lH

ト|とサパ,

サラワクの2州の計13州がある。これらの州の行政区分 は歴史的地方区分にほぼしたがうものであるため,独立 統一後も地方分権が確立しており,各ナ|{はサルタン(ぺ ナン,マラッカ,サノミ,サラワクにはこれに代わるもの として知事(governor)を戴いている。しかし,統計怯,

国家レベルで作られるため,州聞の相1i比較は可能であ る。

第2には,都市と農村による区分である。これは経済 の凝燥をl:llliる一つのメルクマーノレとして都市化率が蓮要 であることからくる区分である。独立後マレーシアでは 1957年と1970年に人fl七ンサスが実施されてし、る。しか し都市と農村に|刻する定義は阿センサス問℃は異なって いる。 1957年センサスでは人口1000人以上村住する地域

(行政区)を都市,それ以ドを農村と定義しているが,

1970年センサスでは1万人以上を都市,それ以ドを農村 と定義している。ここでは1970年ゼン付スの1民主にした がう。

第3には, マレーシアにおける西海岸:と東海岸による ほ分である。これは歴史的にマレーシアの発股が閥海)~±

を中心に進んーできたこと,東海岸は恒常的なモンスーン の襲来, q,央からの隔絶,などによっておしなべてその 発肢が遅れてきたことから通常よく使われる区分であ る。東泌岸に位賀する州、!としては,ケランタン, トレン ガヌ,パハンの 3,J十|?ある。その他の什|は凶海岸今に位

i

起 するものとみなされている。

'A¥'. 4は,マレ…シアを四つの地域(中火,楽部,術部,

北部)に区分するものである。これは現在Jill邦直結地で あるクアラルンプールを中心にみた地現的[又分で,かな り便宜的なものである。中央に,鴎する州としては, ヒラ ンゴーノレ,ヌグリ・スンビラン,ベラの一部,マヲッカ の一部がある。東部に滅する州としては,パハン, トレ ングス,ケランタンがある。南部に践する州、!としては,

ジョホール,マラッカの一部があるの北郎に隠する州、!と しては,ペナン,ケダ,ペノレクス,ペラの…部がある。

この

I

玄分は都市

I

!日発を進める際に議妥となる。

以上の4灰分のうち1也滅開発の視点からみて殺も良く 使われるのは川IIA分である。これはl也城間格i2是正の政 策を実焔ーするに際し,中央からの資金配分符行政上の業 務が求端レベノレにまで徹底できるからである。他の3[:Z  分はかなり広い地域概念で全体として格銭を比較した

り, j也域開発吹

i

慌の rヨ,t~itr 設定したりずる除に使われる

第1図 半島マレーシア州区分凶

ことが多い。

露軍東海岸地域 じコ世代年/\サ也妙、

ただとこ注意しておかなければならないのは,マレー シアの場合人種の問題が常に伏在していることである。

かつて組民地時代には「マレー人は村に,中国人は町 に,イン

r

人はエステートに居住している」と単純化さ れた。現在はそれほどでないにしても,長いこと人権に よりその居住地域,職業が固定化していた事情が上記地 域区分にも見いだせるのである。たとえば,住民中γレ ー人が大勢を占めるのは,上記地域区分に良jJしていえば 州別にはトレンガヌ,ケランタン,ケダ,ベルリスであ り,都市・農村別には農村,西・東海岸日jlでは東海岸,

凶つの地減区分では東部,である。

C i t  

1〕 ?レーシアにおける凶名のl呼称は度々変交 されてきている。 19571f.lι独立したのはマラヤ連加で あり,これは現従の半島マレーシアに、.'Jる。その後 1963'4'二にすラヤ iiill,シンガポF ノレ, 北,

r

lニキホ(サ パ〕,サラワグを統合してマレーシア辿 JIIが*,l;Jえ戸れ た。しかし1665年にシンガポーノレがマレーシア述邦か

「〉分離独立し,現在lと笠っているαなれ,連邦結成{を マ?ヤ主[!剣1pq川/ーシγ,サ/ーサラワク(J!tf Y

プと呼ばれてL、fこが, 19731fllJJ に発表 :~H f3 25カ年iii"問の中間峡ヨ!縦約(MicトTermReviw of  the Second Malaysia Plan)かん半f!J.̲, vーシアの11子 科、がが:われりじめ, J¥!tr;ーは平れぞれ平正:;γ しーシγ

91 

(4)

1978080094.TIF

竺一一一一-~-変 料一一一由一一一一湖一一一一

サパ・サラワクと呼ばれている。

I I I  

社会・経済的格差の実態

地域による社会・経済的格差の実態をみるには社会・

経済的格差をどう抱えるかが問題となる。まず第1に, l人当り所得がある。ここでは地域間,都市・農村問で の物価差は考慮されていない。物価は半島マレーシア内 ではクアラノレンプーノレが若干高く,その他地域ではそれ ほどの差はないものと思われる。サパ・サラワクとの比 較?はかなりの差がでてくる。これはサパ・サラワクが 半島マレーシアから独立的な経済閣を歴史的に形成して きたことに帰国している。第2には,地域による経済構 造を比較することである。これも経済的指標の一つであ る。本稿ではセクター別生産性格差は各外|で同じという 前提にたっている。第3には,経済的指療を補完するも のとして社会的指擦がある。これは教育,医療,保健サ ーピスなどの|司氏の生清水準に関するものである。ここ での生活水準は社会的指標のみを指す狭義の意味で陀用 する。第4には,絶対的貧民

l

を定義し,貧困世幣を比較 するととである。ここでは?レーシア政府が1974年に発 表した1人当り月額所得が25リンギ(ringgit,当時1リ

ffi  1表 州 別 l人、:''l.り 所 得

(単位: 1ンギ)

平 均 に | !  |: I  11人乃I1 人~'i 対する比本| |  |  名 1963i19661 . jl975:り所得|り所内

651I  I  I  I 

70:19701  I 1970 I 1I 975  平均|平均| |  |  | 

セランゴーノレ 1.s11.6~i1.

67l1.s3l  1,s20l  1,911.4 

ナ ン0.981021.031.061 9391  1,323.4  ベ ラ1.031.0111.00:0.ssi 9111  1,101.1  ヌグリ・7,ンビヲンil.0911.03:o.99:1.111 9071  1,382.0 

i1. oo:o. 95:0940.96:村551l, 197. 2 

ジ ョ ホ … ノJ,j0.940.91!0.921.0ll 835:  1,262.0 

マ ラ ッ カI0.9{0.SSi0.83,0.881 76111,105.7 

/ベノレリメ:o.69'0. 68:06@.661 05  82}ι4 

トレらがヌ lo.~~!o. 問lo.5910.611

ri3G'  765.4 

ケ ラ ソ タ 中4Gio.≪lo. 4

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i乙 | | | | |;均 11.001.00:1.001. 00  912  l, 250. 3  I  1 . I 

〔出所〉 Third Jt,,1alaysia Plan, 1976〜1980, Kuala  Lumpur,  Government Press,  1976,  p.  204かん 作成。

(注〉 (1)  1975年の平均はすレーシア全体のもの℃

ある。

(2)  ケグとeペノレリy、は生b'lした;)1)あるが,

ここでは単に統計上の都合で a絡に扱わ れている。

(3)  セランプール』とはグプラノLンゾーノ1,jif1)1) if,t;t也虫、まれてし、る。

ンギは約120円〉以下のものを貧困とする定義を採用し た(注1)。これはあくまでも相対的な概念であり,政府が 貧困撲滅を最貫主点としていることからここで取り上げ た。第5には,人種によヮてこれら格差を比較するもの でこれはマレーシア特有のものである。

とまれ上に挙げた5つの指標はマレーシアの実情に艮jl して干上会・経済的絡差の実態をみる際に有効なものと考 えられる。以下これらの指標に基づき格差の諸相をみて いくことにする。

1.  l人当り所得

1963年から1970年までの州別l人当り所得の趨勢をみ たのが第1表である。これらの数値を比較してみるとセ ランゴールが明らかに最も富裕な州であり, 1人当り所 得は平島マレーシア平均に比べ約60%高い。とれに次ぐ 州としては平均値にきわめて近いペナン,ペラ,ヌグリ・

スンビヲンがある。パハン,ジョホーノレ,?ラッカは平 均より約10%低く,最下位グループにランクされる州と

しては,ケダ・ペルリスを合わせたものが平均の65%, トレL点、ヌ60%,ケランタン車句45%となっている。

1963年から1970年にかけて全体としては外|問所得の格 廷には基本的変化はみられなかった。しかし,いくつか の変化は認められる。最富リ、Mと査を貧州グループとの格差 は継続して増大した。たとえば,セランゴールの1人当 り所得は1963〜65年にはマレーシアの平均の1.57倍であ ったが, 1970年には1.67倍に増大した。一方,ケランタ ンの比本は同期!I日には変らなかったが,ケダ・ペルリス,

トレンJゲスでは0.69から0.66, 0.63から0.59倍とそれぞ れ減少企みた。ただ変化がみられたのは, 1963年にはノf ハンより下位の第5位にランクされていたベナンが第 2

{立に浮上してきたこと,ほとんどの川が平均に比して減 少を示したこと,である。所得の上昇をみたのはセラン ゴールとペナンだけであった。

次に1970年から1975年にかけての趨勢でみるとかなり の変化が者取される。まず挙げられるのは,セランゴー ノレの比率が1970年の1.67{脅から1.53倍と大rl騒な減少をみ

1±"たことマある。これに比して注目されるのはヌグリ・

スンビYンで1970年時点で第

4 f

立にランクされていたも のが第2fftに

k

り,マレーシア平均の1.1倍になっ た。

さらにペナン,ジョホール,マラ、ソカ,ノfハンもその 比率全両めたが,ペラは第;}{立のうンクから第5伎にな り,平

J : J

の0.88{]tとその比ヰ斗は低一下した。絞銭外|クソレー ブ であるケダ/ペルリス,トレンガヌ,ケランタンは1970 {fどほどんどその比率ωは変わらなかった。

(5)

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このように最富州セランゴールとその他の州、|との格差 はかなり縮小したが,最貧州グループとの格差は依然と

して大きいまま残存していると言える。

2.  経済構造の差異

1970年待点における州自J!の経済構造は第2表から窺え る。これからわかるように先進州は鉱業・製造業部門の 鹿内総生産に占めるシェアーが高く(唯一の例外はトレ ンガヌで鉱業の占めるシェアーが13.9%ときわめて高 いJ,商業・金融・サービス部門でのシェアーも高い。

たとえば,セランゴールとペラは鉱業・製造業の占める シェアーが高く,商業・サーピス部門でのシェアーも高 い。ペナンとマラッカでは鉱業・製造業部門でのシェア ーが相対的に低くなっているが,それを相殺するように 商業,サービス部門のシェアーが高い。

1人当り所得と州産業権造は相関が認められる。最貧 外

i

グループであるケダ・ベノレリス, トレンガス,ケラン タンは中所得州であるヌグリ・スンピラン,パハン,ジ ョホールとともに農業部門への依存が大きく,農業部門 の州別国内総生産に占めるシェアーは40%以上となって いる。このような農業部門への過度の依存はこれらの外|

が一次産品の価格変動に大きく注右されることを物語っ ている。特にケランタンとトレンガヌは11月から1月に かけて恒常的なモンスーンの襲来による洪水のため,度 々米の不作に見舞われている。このようなことからもこ れら州の1人当り所得は低い水準に押えられていると言 える。

それでは州産業構造は1975年時点でどのように変化し たであろうか。これをみたのが第3表であるが,幾業・

鉱業の国内総生産に占める比重が低下し,それに比して 製造業が大幅に伸びてきたこと,運輸・通伝などのイン フラ面での比重が高まったことがよみとれよう。その他 部門の比重はあまり変化がみられなかった。

農業についてみるとトレンガヌとジョホールを除いて 軒並みにその比重が低下してきている。鉱業はペラ,セ ランゴール,パハン, トレンガヌで比獲が高

ν

が,これ ら州においても,それは低下している。パハン, トレン ガヌでは1970年以降鉄鉱1!1が閉鎖されたためである。ペ ラとセランゴールは錫鉱が中心であるがこれは錫の枯渇 化に伴う錫産業の長期的低落傾向に上るものである。一 方,製造業につu、ては谷川とも大幅な伸びを示した。こ れは1970年以降政府が積極的な工業化政策を奨励化して きたことを反映している。

3. 社 会 的 指 標

1970年における州別の社会指標は第4表にみる通りで ある。これからみるかぎり,州別の社会指標の格差もま た,州ごとに変動はあるものの, 1人当り所得格差と密 接な関連をもっている。第4表から言えることは公益事 業・通信・保健・その他サーピスの1人当り付加価値,

自動車・オートパイの保有台数,医師1人当りの人口,

の点では1人当り所得でみた場合よりも州問格差は大き い。これにたいして,運輸・教育・住居サービスの1人 当り付加価値, 1000人当りのタクシ一台数, 1住宅当り の人口,教師1人当りの生徒数の点では逆に州問格差は

1人当り所得格差よりも小さい。

社会指標でみると西海岸と東海岸の格差がきわめて明 瞭にうかびあがってくる。ここでもセランゴールがトッ プにランクされるが西海岸のマラッカとジョホールは 1970年時点で所得階層の上では上位にランクされる東海 岸 最

H

立のパハンよりも高い生活水準を享受している。

さらに,中位所得グルーフ。の中では特にベナンが相対的 に高い生活水準を享受していること,それよりわずか遅 れをとって7ラッカが続いていることも注目される特徴 である。マラッカはノミハンやジョホーノレに所得の点では 劣っているが生活水準は高く,ヌグリ・スンピランに匹 敵する。これはマラッカが主に商業都市として発達して きたとと,他方ではイギリス植民地下で行政・サーピス が歴史的にJ発達していたことによるものである。

自動車・オートパイの保有台数についても,西海岸州

(ケダ・ベyレリスを除く〕が所得水準のランクに関係な く高い比率を占めている。 1人当りタクシー台数でも同 じようなパターンがみられるが,ぺナンの台数がきわめ て低いのが目立つ。これは州政府が都市タクシーの許認、

I

を制限していることからくるものである。

教育の面では,悶が教育振興に大きな力を入れている ことから州問格差は小さい。教師1人当り生徒数ではぺ ナンが一橋恵まれていることとペラが他州に比べとびぬ けて遅れていることが目立っている。しかし1人当り教 育支出の而ではケダ・べyレリスを含む東海岸州は他州、IIこ 比べて約

20%

少ない。これは一つには先進州において職 業教育を含めてl高等教官が発途しているためである。

1970年から1975年にかけての社会指標面での趨勢をみ ると際立つた特徴が見出される(注2)。すなわち,州別の 格差が1人当り所得格差よりもはるかに縮小してきてい ることである。たとえば公益事業・運輸・その他サービ スの1人弐り付加価値でみると,第l{立のセランゴーノレ

93 

(6)

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農 林 漁 業

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154.6 5.  1.1  0.  301.7 18.  2.4  .  55.0  .7  製 造 業 586.021.  101.2 12.  142.4  8.  75.9  .  38.5  .5  建 設 業 172.4 6.  45.9  5.  39.8  2.  27. 6  11.5  .2)  公 絡 事 業 78.7  2.  24.8  3.  59.0  3.  11.1  .  5.6 1) 運 輸 ・ 倉t時 ・ 通 信 183 .1 ( 6. 7  59. 6 

 

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5 5 O)  銅 ] ・ 小 売 業 443.1(16.2  212.5(26.  187.7 11.  45.4  9.  36.9  7.2)  銀 行 幽 保 険 ・ 不 動 産 220.6  8.1  77.1  9.  114.2  7.  33.7  6.  40.3  7.9)  行 政 防 衛 280.9 10.3  34.0  4.  83.0  5.  43.4  8.  46.0  9.0)  そ の 他 サ ー ビ ス 217.9  8.0  83.5 10.  117.8  7.  36.5  7.  28.7  5.6) 

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1,629  I  500  I  52s 

(出所〉 Third Malaysia Plan.,  1.976‑1.980, p. 201,表10‑1から作成。

第 3褒 州 矧J ' 産 業 'i]lj 上説内

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1971〜75 

,l,806. 0 (100.)。 1,985 

32

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93 2.1 

588.7(29.6)  248.4(12.5)  248. 7(12.5)  56.6( 2.8)  79.2( 4.0)  109.3( 5.5)  251.5(12.6)  rn4.9( 6.8)  124.8( 6.3)  147 .5 ( 7 .4)  1,989.5(100.0) 

1,807  2.1 

ヌ グ リ ・ ス ン | 

ビ ラ ン |  

280.3(35.8)  :3.0(  0.4)  128. 6 (16 .4)  44β( 5. 7)  22.6( 2.9)  52.1 ( 6. 7)  77.5( 9.9)  52. 3 ( 6. 7)  65.0( 8.3)  56.3( 7.2)  782.2(100.)。

566  2.5 

3287 (43.5)  21.0( 2.8)  93.5(12.4)  24.9( 3.3)  11.5( 1.5)  37.2( 4.9)  65.6(自.7)  54.6( 7.2)  69. 3( 9. 2)  49.1( 6.5)  755 .4 (100. 0) 

631  3.8 

c w

Third Malaysia Plan.,  1.976‑1.980, p. 204,  表110‑3から{乍成。

第 4

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長 生 活 ノk準 に 関 寸 一 る 社 会 指 標 , 1970 l

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〈出所〉 Third Malaysia Plan, 1976‑1980, p. 202,表10‑2から作成。

〈注〉 キ半島マレーシアのみ。

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(8)

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時よりもかなり縮小してきでいる。この傾向は中位所得 州グループとセランゴールとの聞にも見出される。

このような州間格差縮小の傾向は他の社会指標面でも よP際立っている。特に後進1‑1・

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におけるオートパイの普 及率が大きく伸びてきている(注3)。医師1人当りの人口 ではまだ大きな格差が残っているものの,教師1人当り の生徒数では格差は完全に解消されている。農村におけ る保健センター,診療所の普及は先進州よりも後進州の 方が高くなっている。

このようにl人当り所得では依然として大きな格差が あるものの、社会指標商ではかなりの改善がみられた。

これは1970年に発表された新経済政策,そしてその第1 段階となった第2次マレーシア5カ年計図(1971〜1975) の遂行によるものである。政府は新経済政策の中でマレ 一人優先政策を大きく打ち出し,これを実現するための 政策を次々に実施した。そのためマレー人が多く居住し ている後進州,東海岸州,農村における生活環境が改善 されることに結びついたのである(注4。)

4, 絶 対 的 貧 困

1人当り所得25リンギ(5人家族で一世帯125リンギ〉

を貧困ラインと設定すると,第6表にみるように1970年 時点で半島マレーシアの約37%の世帯がこの貧困グルー プに入る。

州,sljの貧困世帯発生のパターンはl人当り所得ときわ めて知似している。所得1位のセランゴールは貧困世帯 の発生が19%で最も低い。これは比率でみると平均の約 半分である。ペナン,ベラ,ヌグリ・スンビラン,パハ ン,ジョホール,マラッカの中位所得州グループ。での貧 困世帯数はマレーシア平均よりも若干低く30〜34%とな っている。ケダ,ベルリス, トレンガヌ,ケランタン最 貧外|グ、ループでは49〜65%で平均の1.3から1.8倍となっ ている。

農村,都市75IJにみると貧困世帯は都市よりも農村に多 く見い出される。マレーシア全体では都市の15.8%,農 村の44.6%が絶対的貧凶世帯の範ちゅうに崩ずる。これ でみるかぎり農村における貧困世帯の比率は都市の2.8 倍となっている。ベノレリスで都市の貧困がゼロとなって いるのは1万人以上の都市がないことによる。

さらに主主悶は世帯主の特性(産業,職業,学歴〕と密 接な関連をもっている。それをみたのが第7炎である。

たとえば,部門別にみるとサービス部門では約11%が貧 困世帯であ9,鉱業,商業,運輸,公益事業,建設,製

第6豪 州別貧困世帯(1人当り月額25リンギ以下)

1970年:半島マレーシア(%)

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(出所〉 Colin,  MacAndrews, Mobility and Mo‑

dernization : The Federal Land Development  Authority  and Its  Role in  Modernising the  Rural  Mlalays,  Y ogyakarta,  Gadjah  Mada  University Press,  1977, p.  28,表 1.15.

造業部門では20%がj後,農産物加工業では約46%,その 他農業では約62%となっている。

職業別では貧困世帯が最も少ないのは専門事務職系で

(事務職2.7%,行政・経営職4.4%,専門・技術職6.7%,〕 これにサービス・販売・生産従事者がそれぞれ14.9%で 次いでいる。これが農業労働者になると48.6%となり,

農民では61.9%と最高の比率を示している。マレーシア 政府が具体的に貧困グループとして挙げているものは稲 作農民,ゴム小康,ココナツ小農,エステート労働者,

農業労働者,漁民,新村居住者,土着民(orang asli),  の8グルーフ。である(注5。)

教育矧jでは,教育水準が高くなるとともに貧困世帯数 は激減してくる。たとえば,無教育の世帯主の場合には 49%が貧困世帯であるが,小学中退の世帯主で39.1%, 小卒で32.8%,中卒で11.7%,高卒で5.2%,その以上

の学歴のもので2.1%となっている。このようにマレー シアでは学歴が所得格差に及ぼす影響にはかなり大きい ものがある。

5. 人 種 間 格 差

1970年人口センサスによるマレーシアの人種別構成は マレ一人53.2%,華人35.4%,インド人10.6%,その他 0.8%,となっている。地域別にみた人種構成の特徴と

してはマレー人の85.1%は農村

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:者であるととと,東 海岸州には?レー人が集中していることが挙げられる。

特にケランタンとトレンガヌにおいてはマレー人がそれ ぞれ92.8%, 93.9%を占めている。バハンではその比率

(9)

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~ 7表 産 業 , 職 業 , 学 陸 別 貧 閃 1lf:帯, 1970年(%)

産 業 別 職 業 別 i 学 E差 別

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( 政 府 含 む )

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I  |行政・経営職!

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農 業 そ の 他 I61.5 I 4θ.s I 62.7 I 

全 産 業 I365I 15sI 44.6 I全 職 業

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43.3  62.5  , 15.8  44.6 

無 教 育

小 学 中 退 39. 1  19. 7 45 . 7  小 卒 32.8  14.5  38.8  中卒およひ中退 11.7  6.9  16.5  高卒および中退 5.2  3.5  7.0  それ以上の教育 2.1  1. 7  2.8 

36.5  15.8  44.6  倒 的 EconomicPlanning Unit, Draft of Third A1alaysia Plan, Kuala Lumpur, 1975から作成。

S表 列i.5.f[Jマレ一人の人口構成比 (%)  第 9表 平 均 家 計 所 得

セ ラ ン ゴ ー ル I  34.6  〔単位:りンギ〕

ベ ナ ン | 30.7 

ベ ラ I 43.1  人 家計所得(月額)

ヌグリ・スンピラン I  45.4 

ハ ン | 61. 2  r レ 人 172 

1 人 :194 

ジ ョ ホ ー ル I  53.4  人 304 

7 ラ ッ カ 1 51.8 

ダ/ベルワス 55.7  σ)  他 81,l 

農 村 平 均 200 

ト レ ン ガ ヌ 93.9  都 市 平 均 428 

ケ ラ ン タ ン 92.8  全 世 帯 平 均 264 

〔出所) Third Malaysia Plan, 1976‑1.980, p.  179. 

はかなり下り61.2%となっている。全体として後進州に

γレ一人が集中している(第8表参照)。 り付加価値が最も低い農業部門に集中しており,第2 人種別の所得格差を平均家計所得〔月額)によってみ 次,第3次産業部門では非マレー系が多数を占めてい たのが第9表である。マレーシアの家計所得の平均は る。職業日ljには所得の高い専門職,技術職喝経営職,事 264リンギであるが,人種によって大幅な格差がある。 務職にはマレ一人は少なく,彼らの多くは所得の低い農 マレ一人が最も所得水準が低く 172リンギ,その他はす 業・生産従事者として雇用されているのが実情である。

べて平均を上回っており,インド人で304リンギ,華人 以上五つの指標に基づく経済的格差の実態を踏まえ,

で394リンギ,その他人種で813リンギとなっている。 マレーシアの後進地域を規定すれば次のようになろう。

主らに人種別の貧困世帯をみたのが第10表である。マ チト|日JIにはケグ,ペノレリス, トレンガ、ヌ,ケランタンの各 レー人の場合は90万世帯のうち65%が貧困世帯に属する 州が後進州として挙げられよう。幾村・都市別にみると が,他の人種の場合はこの比率がきわめて低い。華人は 農村は依然どして停滞しており都市との格誕は依然とし 53万世帯のうちの26%,インド人は16万世帯のうちの で大きい。全貧困世帯の86.7%は農村に集lドしており,

:19%となっている。貧困世帯全体で人穂別比率をみると また第7表にみるごとく都市での貧凶lit幣が15.8%であ マレ一人が74%と圧倒的に高く,これに比して華人は るのに対し,農村では44.6%となっている(注6。) 17%,インド人は8 %,その他人種は1 %となる。 西海岸・東海岸別では東海岸の後進性は明らかであれ

すでにみたように所得格差は産業別・職業別にも顕著 東海岸で開発が進んでいるのはノfハンだけである(注7。) である。産業別人種別雇用をみると,マレ一人は1人当 中央・東部・南部・北部の区分では東部が後進地域であ

97 

(10)

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第10表人種別貧困世帯, 1970年:半島マレーシア (1000人)

マ レ 一 人 901.5  人 525.2  イ ン ド 人 160.5  そ の 他 18.8  計 1,606.0  全 農 村 1,166.7 全 都 市 439.3 

(1000人)発(生%)率 5482 64.8  136.3  26.0  62.9  39.2  8.4  44.8  791.8  49.3  683.7  58.6  108.1  24.6 

全貧困世帯 める比(%)  に占 率

73.8  172 7.9  1.1  00.0  86.3  13.7 

(泊所〉 Third Malaysia Plan, 1976〜1980, p. 180,  表9‑6から作成。

る。しかし,東部地区を構成している州は東海岸州と同 ーである。後進地域に共通して言えることはその居住者 の多くがマレ一人からなっていることである。

(注1) The  Treasury of  Malaysia,  Economic  Rψo1974‑75,Kuala Lumpur, Government Prin‑ ter,  1974, p. 85. 

〈注2) 1975年の社会指標は第4表に示したものと はかならずしも整合的ではないが,それは統計資料が 異なるためである。しかし,この期間の変化を窺うこ

とはできょう。

(注3) マレーシアにおける住民の主たる交通手段 はパスであるが,絶対数が不足しており自家用車が生 活必需品となっている。このため自動車の持てない者 はオートパイの所有を希望し,これが所得の向上と相 侠ってオートパイの普及をもたらしている。筆者のマ レーシア滞在の見聞では自動車〈中古を含めて)を所 有している階層は月収500リンギ以上の者,月収200リ

ンギ以上の者はオートパイを所有している。なお大学 生の間でもオートバイはかなり普及している。

〈注4〕 地域との関連では後進州での土地開発,農 村における濯甑・排水事業, ゴム植換事業,後進州で の教育の普及,医療サービスの浸透,などが挙げられ よう。たとえば医師になるためには2年間政府部門で の勤務が強制されており,これら医師を後進州に送り こむことによって後進州の医療+ーピスの向上を図っ ている。

〈注5) この8グループは第3次5カ年計画の中で も貧民撲滅のためのターゲット・グループとして取り 上げられている。ThirdMalaysia Plan, 1976‑1980,  Kuala Lumpur, Government Press,  1976, pp. 43‑50  を参照。

(注6) Economic Rψ•ort 1974‑75, (p. 85)によれ ば,都市および農村貧凶ill:併比単はそれぞれ17.4%,

45.1%である。

(注7) パハンはマレーシアの州の中で最大の面積 を有し,人口は希薄で未開地が多いこと,さらに故ト ウン・ラザック(TunRazak)前首相の出身地であっ たことから,独立後最も開発が進められた地域であ る。

地 域 開 発 の 実 践

マレーシアにおける地域開発を分類すれば大きく次の 三つに分けられよう。まず第lは農村開発である。マレ ーシアにおける農村開発の一つの側面は連邦土地開発庁

σ

eralLand Development Authority,以下FELDA と略す)(注1),を中心とした土地開発・入植計画にある。

農村開発におけるもう一つの側溢jは既存農地あるいは地 域の再開発である。

第2は特定地域の開発を狙ったいわゆる「地域開発」

がある。この範ちゅうに入るものにはジェンカ三角地域 開 発(JengkaTriangle),東南ノfハン地域開発(Pahang Tenggara),東南ジョホール地域開発(JohoreTengga‑

ra),などがある(注2)。これはFELDAのプロジェクトと 同じように未墾地を開拓することによって,その地域の 天然資源を利用し,国民経済のための新規雇用の創出,

国内生産の増大,人口の最適配分を意凶したものであ る。これら地域開発の実態はFELDAの入植事業が中心 となっている。

第3の地域開発としては都市開発が挙げられる。都市 開発は往々にして工業分散と対をなして進められてい る。都市開発の狙いとしては地域における中心都市を発 展させることにより成長の拠点を築こうとするものと,

すでに肥大化した都市の無秩序と混雑を緩和するための 再開発あるいは開発のコントロール,の二つの側面が考 えらJc;る。

ここでは最も重要と思われる農村開発を中心に稿を進 める。その後で都市開発の代表的な例であるクラン・ヴ アリー(KlangValley)開発について紹介する。

I.  農 村 開 発

マレーシアにおける独立後の経済開発は農業・農村開 発を中心に進められた。マレーシアの場合,「農村開発」

は,マレ一人の生活水準を引き上げるという,政治性の 強い,絞優先の国家目標の代名詞となっていた。この背 妖には,独立時点で農村居住者の88.8%はすレー人であ り,彼らは「持たざるもの」の代表であり,その所得水 準は人;縄問では最も低く,保健・教育等の社会指標面で

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