Title
鶏卵卵白オボムチン由来β-サブユニットの抗腫瘍活性とそ
の機構の解析( 内容の要旨 )
Author(s)
横田, 隆
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 乙第053号
Issue Date
2001-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2298
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日
卓位授与の要件
学 位 論 文 題 目 審 査 委 負 横 田 隆 (神奈川県) 博士(農学) 農博乙第53号 平成13年3月13日 学位規則第4条第2項該当 鶏卵卵白オポムチン由来β-サブユニットの抗腫瘍 活性とその機構の解析 主査 岐 阜 大 学 副査 信 州 大 学 副査 静 岡 大 学 副査 岐 阜 大 学 授 授 授 授 教 教 教 教 二 義 市 敬 乾 明 泰 義 遠 野 氷 丸 渡 細 堆 金 論 文 の 内 容 の 要 旨 一般に腫瘍細胞は、脱分化した異型未分化細胞である。これらの細胞は、正常な 発生初期の未分化細胞に形態が類似しているとされている。また、正常未分化細胞は種々 の生物の胚発生時期の細胞にあたる。この時期の形態形成に関与する細胞群は増殖率が高 く、細胞分裂が顕著である。これらの細胞を制御している物質が、この時期の体液または 卵白中に存在することが想定される。本研究では、鶏卵卵白に着日し、新たな細胞傷害性を肴する糖タンパク質であるムチン(ムチン様糖タンパク質)を見いだした。卵白中に含
まれるムチンは、オポムチンと呼ばれ、卵白タンパク質中に約3.5%含まれる糖タン/下ク
質である。現荏までオポムチンには、生理機能のひとつとして顕著な抗ウイルス作用を有 することが知られていたが、その生物活性に関する報告は数少ない。 そこで本研究では、このオポムテン由来糖タンパク質であるβ-サブユニットとそのフラグメントの構造解析と腫瘍細胞に対する直接、間接的な傷害作用を調べ、鹿瘍細胞
に対する抗腫瘍活性や増殖阻害活性を解析し、線維芽細胞学殖因子受容体(FGF母 との相互作用を含む抗腫瘍活性機構にういて検討した。最初に、鶏卵卵白からオポムテン由来
の高シァル酸含有の分子量約400kDaのβ-サブユニットを精製した。、このβ-サブユニットを用いてマウス由来3LL細胞、SR180細胞、ヒト由来SEKl紳胞、MRK一皿ul細胞
に対する傷害作用と増殖抑制作用を検討した。β-サブユニットを投与した細胞は、非投
与の細胞に比較して4時間後でlま約20%の減少、16時間後では約60%の生存率の減 少が認められた。次にβ一サブユニット投与後め腫瘍細胞の形態学的変化を走査型電子顕 微鏡(SEM)を用いて観察した結果、各腫瘍紳胞の膜表面は微絨毛の消央や膨化、プレブ スの形成など様々な傷害作用による形態変化が認められ、さらに各腫瘍細胞のDNA合成 能が30∼40%低下していた。-134-次にオポムテン画分からq-およびβ一サブユニットの異なる二つのサブユニット を調製して\SR180細胞に投与した結果、β一サブユニット投与紳胞群は経時的に顕著な細
胞増殖の低下が認められた。しかし、α-サブユニット投与細胞群ではほとんど変化が認
められなかった。また、β-サブユニットを投与したSR180細胞の超微細構造をSEMお
よび透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した結果、投与後のSR180細胞t義隆時的、 濃度依存的に膜表面の微絨毛の変性や消失がみられ、細胞質内微小器官の膨化、変性など 様々なネクローシス様変化が観察された。しかし、同時に行ったマウス腹腔由来正常マクロファージには、殆ど変化が薩められなかった。また、β⊥サブユニット投与後のSR18P
細胞のDNA断片化試験を行った結果、DNAはスメアー状を呈しており、アポトーシス に特徴的なDNAの断片化は認められなかったことから、β-サブユニットによる腫瘍細胞の増殖抑制や直接的傷害作用はネクローシスによる細胞死によるものであることが明ら
かになった。 一方、SR180細胞をマウス皮下に移植して腫癌を形成させた後にβ-サブユニッ トを腹腔内へ投与して腫癌組織に対する増殖抑制を検討したところ、腫瘍の増大はβ-サ ブユニットの継続的投与により顕著に抑制された。また、病理組織学的には塵瘍組磯周囲 に免疫系紳胞を主体とした細胞浸潤が認められ腫瘍組織のネクローシスが顕著に認めら れた。 次に、β-サブユニットをプロナーゼ処理して得た12Pkぬフラグメント(β-サブ ユニット由来の高糖含有の糖タンパク質)とSR180細胞の保持するFGFR間の相互作用を解析した。その結果、120心aフラグメントとF鱒が結合することを抗m抗体に
よるウエスタンブロッティング法で証明し、120kDaフラグメントがSR180細胞の膜上に 分散した状態で付着し、細胞表面のFGFRと結合することで、細胞がネクローシスに陥 ることが光顕および電顕を用いた免疫細胞化学的観察によって明らかにされた。また、b FGFの存在下におけるSR180細胞の増殖が120kDaフラグメント投与によって濃度依 存的に低下したことから、腫瘍紳胞上のbFGFとFGFRとの相互作用が120kDaフラグメントよって阻害され、細胞増殖が抑制されたことが示唆された。
以上の結果から鶏卵卵白オポムチン由来の㌻サブユニットによる悪性腫瘍に対す る抗睦瘍活性の機構は、β-サブユニットに存在する120kDaフラグメントが腫瘍細胞表面 のFGFRと直接相互作用することで、腫瘍細胞のbFGFによるal止∝血eあるいはその 他の増殖因子によるpamcrine機構を介した細胞増殖を阻止することで腫瘍組織をネクローシスに陥れる。また、同時に腫瘍組織周囲の免疫系鱒胞の活性化を促進させることに
より腫療組織の増殖・進展を抑制することであるとした。 審 査 結 果 の 要 旨 一般に腫瘍細胞は、脱分化した異型未分化細胞である。これらの細胞は、正常な発生初 期の未分化細胞に形態が類似しているときれている。一方、正常未分化細胞は種々の生物 発生時期の細胞にあたる。この時期の形態形成に関与する細胞群は増殖率が高く、・細胞分裂が顕著である。これらの細胞を制動している物質が、この時期の体液または卵白中に存 在することを想定した○本研究では、鶏卵卵白に着目し、新たな細胞傷害性を有する培タ ンパク質であるオポムテン(ムチン様糖タンパク質)を見だした。さらに、このオポムテ ンの-サブユニットであるβ-サブユニットとそのプロナーゼ分解フラグメントの腫瘍細 胞に対する直接、間接的な傷害作用につき倹討し、その結果を四章にまとめた。 本研究の実施に当たって、まず、琴卵卵白からβ一サブ子ニットを精製した。この・β-サブユニットを用いてマウス由来3LL細胞、S机80細胞、ヒト由来SEヱⅠ細胞、†EE-nul細 胞に対する傷害作用と増殖阻害作用を検討した。β-サブユニットを投与した細胞時、非
投与の細胞に比較して生存率の減少が認められ七(第Ⅰ章)。β-サブ土ニット投与後の
塵瘍細胞の形琴学的変化を走査型電子顕微鏡を用いて鱒察したところ、各腫瘍細胞の膜表 面は教絨毛の消失や膨化、プレブスの形成など様々な傷害作用による形態変化を示した。 さらに、β一サブユニット投与後のSR180細胞のpNA断片化を検討したとろ、DNAはスメ アー状を呈しており、ネクローシスによる細胞死によるものであるとした(第Ⅰ工章)。β -サブユニットの腹腔内投与によって、マウス背部の皮下に移植したSR180固形腫瘍に対 する腫瘍組腰の増殖抑制と腫瘍組掛こ対する傷害作用が認められた。β-サブユニットが、 ・生体の免疫防倒系の活性化を促し、腫瘍の増殖・進展を抑制すると考察した (第工ⅠⅠ章)○β-サブユニットをプロナーゼ処理して得た120kぬフラグメント(高糖 鎖含有の糖タンパク質)と腫瘍細胞の保持するbFGF正閏の相互作用を解析した。120血a フラグメントが$丑180細胞の廣表面上に分散した状態で存哀し、FGF又と結合することで細 胞がネクローシスに陥ることが光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いた免疫細胞化学的観察 によって明らかになった(第IY章)。 以上の結果から、鶏卵卵白オポムテン由来のβ-サブユニットによる悪性度唇に対する 抗腫瘍活性の境掛ま、β-サブユニット内の120kDaフラグメントが塵瘍表面のbFG陀と直接相互作用してbFGFEによる腫瘍細胞の増殖を阻止すること、および同時に腫瘍感得の
免疫系細胞の活性化を促進させることにより塵瘍組織の増殖・進展を抑制することである とした。 以上の論文構成や内容について慎重に審零した結果、得られた知見はオポムテンの抗定 演活性とその桟橋を示したものであり、学術的に価値があるものと判断された。その結果、 審査委鼻全点一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文として十分価値が あるものと認めた。 ノ 〈学位論文の基礎となる学術論文〉 1)大網 弘・大石一二三・境田 隆・森隆・.波逸乾二:鶏卵卵白オポムチン由尭シア
ロ糖蛋白質の鹿浜細胞傷害作用、医学と生物学、126(1),.19-23(1993)2)TakashiYokota.Eifu皿iOhi芦hiand XeTljiTatanabe:h dtt7?Studies of CytOtOXic effect on sarco血a-180cells of β-Subunit from egg vhite_ OVOmuCin.Food Sci.Technol.丑es.,5(3),273-278(1999)
-136-3)TakashiYokota,‡ifuJniOhi申iand Kenji.Tatanabe:An・titumor effects of
β-Subunit from egざYhiteovo皿uCinonxenografted sarcoma-180cellsinnice・ Food Sci.Technol.恩es.,5(3)i279-283(1999)
4)TakashiYokota,‡i?anOriTatli,EifumiOhishiTatsuoOguroandEenjiYatanabe
InteractioTlbetYeen120kDa fragnentin β-Subunit fro皿e写g Yhite ovo皿uCin arLd sarcoDla-180cells throughbasip fibr申1ast groYth factof receptor.Food
Sci.Tedmol.Res..6(4),275-279(2000) 〈既発表学術論文〉 1)秋丸兢甫・庄司
佑・清不
一・片山博徳・枝川撃子・横田、隆・大網、弘・坪井栄 孝‥辞素抗体法の細胞診への応用・一特に粘性甲少ない細聴診標本の固定法の検討-J.Jpn.Soc.Clin.・CytQl.,28(6),835-841(1989) 2)横田 隆i大石一二三・小山美弥・石崎良太郎・大網 弘:ヒト骨原発悪性線経世租結球塵由考細胞抹柑SGlo産生Glycosaminoglycanの解析、医学と生物学、121(2),
6ト64(1990) 3)贋甲 隆.・大石一二三・片山博徳・小山美弥・石崎良太郎・大網 弘:ヒト骨原発悪性線維牲組織球鹿由来細胞株和SdlOの革立とその性状、日医大詰、57(6),524「530
(199q)
4)横田隆・不声丁二三・小山莫弥・声埼声太郎・大網 弘‥・ヒト骨原発悪性線殉瞳組
織呼贋由来細胞株ⅢSGlO細胞膜におけるbya叫甲icac阜dの合成、医学のあゆ み、156(12),805-8叩(1991) 5)横田 隆●・桐原 修・大石一二三・谷久典・渡速乾二・木網
弘:小麦由来α-ア ミラーゼ阻害物質の抗肥満作用、日本栄養・食壌学会誌、47(5),34ト348(1994) 6)TakashiEattori,且iftlni・Ohishi,Taka坤i▼Yokota,丑iroshiOhoa皿iand‡enjiTatanabe:1ntioxidatiYe effect of cmde antioxidant preparation froJ)SOybean fer皿ented byJbcjJJbs.zwtta Lebensm.-Tiss.u.-Technol.,28,135-13B(1995)
7)Takaぬibttori,‡iftlniOhishi,TakashiYokota,Eiroshi.Ohoa中●and【enji
■Yatanabe:8eneficialeffect of cmde antioxida71t Preparation frotB fermented food soybeanon-■xahtLineioxidase-hyp9Ⅹanthi71e⊥inducedfoot-ede皿ainr亭tS.
Lebensm.-Tiss.u.-T占chnol.,28,169-173(1995)
B)TakashiYokota,Takashiぬttori.且ifuniOhishi.‡iroshiOhaAIiand・Eenjil
Tatanabe:Effect of orala血inistration of Gmde antio'Ⅹidant preparation fron fermented products of okara(bean curd'residue)on experimentally
i.nducedinflaⅢation.Lebensn.-Tiss.u.-Technol..29,30d-309.(1996)
9)TakashiYokota.RyotaroIshキZaki;且iftlniOhishiand‡iroshiOha皿i:
Establish皿eZlt and characteriz左tion of a fibrous histiocyto皿a Ce11●line
(NYSGlO)derived fro皿a malignant fibrous hi畠tiocytoDa.Path..Res.Pract. 191,123卜1238(1995)
10)TakashiYokota,丑iroshiOhishi,丑if血iOha皿i,Takashi‡attoriand Eenji
Tatanabe:Repression of acute gastric皿uCOSallesions by antioxidanト
containingfractionfro血fementedproductsofokara(bea町Curd resi寧ue).
J.甑tr.Sci.Vita皿inol.,42(2),167-172●(1996)
11)TakashiYokota,耳ifuniOhishi,RyotaroIshizakiand Toshi皿itsu Su2:uki:
五yalurollic acid synthesis by the malignant fibrous histiocyto皿a Cellli71e
NY$GlOin vitroanditslocaliz?tion.Path?biology,64,67-72(1996) 1-2)TakashirYokota,TakishiEattori,丘ihuniOhi声hi,K Easega甘a
XenjiYatanabe:The effect of antioxidanトCOntaining fraction from fe・rmented soybean food on atherosclerosis develo甲entin cholesteroトfed
rabbits.Lebensn.-Yiss.u.-Technol.29,751T755(1996)
13)TakashiYokota・Sat?ShiXatsuAOtO・Xasataka'Yoshi取OtO・Fujio【asuni・Futoshi
Akiya皿a,GoiSaka皿OtO.Yu$ukeぬka皿ura andJitsvrtlE皿i‥yapPing of a breast
CanCer tq皿Or SuPpreS?Or geneloQuS tO a4-CXintervalon chto皿OSO皿e18q21.
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14)XitsuryEni,‡iekoXatsushina.ToyoAaSaぬtagiri・XasatakaYoshimムto・Fujio
Easu皿i.TakashiYokota,ToELOko Nakata,Yoshiro Xikiand.Yusuke封akantlra: hltiplei皿utation screening of the BECAlge7?einlOOgJapanese breast
cancers.Jpn.J.Cancer且es..!9(1),l-5(1998)
15)TakashiYokpta,Xasataka Yo坤叫OtO,Ft)tOShiAkiyana,GoiSakaJBOtO,Ftljio ヱasuEli,Yl】Suke NakaJBura and Xitstlm Emi:Localization of a tuE[Or SuppreSSOr
ge甲aSSOCiatedYith theprogres亭ion ofhumanbre甲t CarCino皿a Yithinal-CX
in亨ervalof'紬22-p23.1.払n9er,85(2)44ト452(1899)
16)TakashiYokota,Xasataka Yoshi皿OtO,FtltOShiAkiyama.GoiSakanoto,F・tIjio
‡asu皿i,YusukeⅣakatBura and Xit$uru伽i:Frequent皿ultiplication of
Chr甲OSOmal.re!ion8q24・1associated Yithaggressivehistologiptypesof
breastcancersJcan?erletters・139・7-13(1999)
17)TakashiYokota,Tomoko Nakata,Shiro Xinami.JyojiInazaYa and Xitstlm坤i:
Ceno皿icorganizationandchromosodZalmppi?gOfELヱS・agePereamn芦ed
in a papillary thyroid carcinoma.J.叫皿.Gepet.,45> 6-11(2000)