合気道のエネルギー代謝に関する研究
著者 山本 章, 伊藤 二郎
雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 自然科学篇
巻 23
ページ 99‑108
発行年 1973‑03‑15
出版者 静岡大学教育学部
URL http://doi.org/10.14945/00008358
99
合 気 道 の エ ネ ル ギ 一 代 謝 に 関 す る 研 究 Studies on Energy Metabolism of " AIKIDO "
111 @ 一 郎
Akira YAMAMOTO and ]iro ITo
〈昭和47年目見11日〉
緒
日本古来の武道のうち,剣道あるいは柔道花関する運動生理学的研究はエネルギ一代謝1)2)3三 筋電関心の,あるいは動作分析6ゆなどを中心に年々盛んに行なわれるようになって来ており,
次第にその内容が明らかになっているO
例えば, /J¥JI!ら (1962)。 は 剣 道9段と10段の範士2名と 3設の大学剣道部員6名を被検者 として,各種の基本的動作および稽古時等のエネノレギー代謝を総定し,中野ら (1964)おは剣道 7段教士2名と 8段範土2名を被検者として, r日本剣道形j並びに「一刀流の形jについて のエネノレギー泊費量を測定した。また,出本 (1964)3)は大学生2名を被検者として, 柔道の 基本的な技についてのエネノレギ…代謝率を測定した。
また,丹羽ら (1966)。は剣道5段の熟練者2名と未熟練者2名を被検者として,
本動作を行なわせ,打撃の際に働いている筋肉を筋電図から考察し,金子ら (1963)5)は柔道の 五輪候補選手10名を被検者として,得意技を行なわせ,その際に働く筋肉を筋電図から考察し た。
また, 坪井ら (1969)のは剣道5段の鍛練者5名と未鍛錬者5名を被検者として, 基本動作 を行なわせ, 16mmカメラで撮影し,その姿勢の変化を比較検討し,五十嵐 (1964)7)は柔道 の基本技について写真分析的研究を行なった。
一方, 合気道については富田 (1968)のによる柔術の歴史的研究の中に若干見られるが, 運 動生理学的研究は残念ながら未だ見当たらない。周知の如く,合気道は剣術,杖指,体術など からなり,いわば多角的@総合的武術としての性格を有し,そのエネノレギ一代謝もその舗によ
り多様であると考えられるO
以上の乙とから,合気道のエネノレギ一代謝を測定することは合気道をより詳しく理解し,そ の稽古あるいは練習方法をこれまでの歴史的@経験的立場からのみではなし運動生理学的立 場からも考え,あるいは改善していく上で意義のあるζとと考えられるO
そこで,今回,合気道に関する運動生理学的研究の第一歩として,合気道がどの程度の強度 を持つ運動であるかを知るため,エネノレギ一代謝の側面から研究を試みる ζ と に し た 。 そ し て,合気道の基本であると考えられる「剣対剣J,r剣対杖J,r体術Jの三種類の「形Jについ て,そのエネルギー らびにエネノレギー代謝率を調べたのでここに報告する。
方 法
1. 被検者は合気道歴4年の I.M.と同じく20年のA.T.の男子2名であり,表1~乙示した
100 る 山 @伊 一 郎
ような年令, 段位の持主である。
l 被検者の身体特性 氏 名 バけHJ口 々性
段 位
I 乱f A̲ T
男
男 21 42
169.4 156. 1
69.0 57.5
1. 81 1. 57
224 194
2 6
2. 測定期間は昭和36年10月より11月であり, において行な っアこ。
3. 実施内容は「剣対剣 (11本)J, r会IJ対杖 (10本)J, r体術 (10本)Jの三種類の「形jで あり,それぞれの「形Jの本数を1セットとして2セットずつ実施し 3回〈但し「体術Jに ついては2回〉測定した。
また,合気道の「形Jは各流派あるいは道場によってまちまちであるため,大東流合気道
〈光輪洞〉で日頃練留している技の中から基本的なものを主として取り入れた。各々の「形j の項目をあげると以下の通りである。
「剣対剣Jの「形J 打太アJ I.M.
(仕太刀 A.T.
1) 面打ちに対し,摺り上げて面打ち 2)面打ちに対し,左lこ捌いて面打ち の 面 打 ち に 対 し9 四方捌きの突き 4)面打ちに対し,抜胸打ちから面打ち
5)面打ちに対し,裏小手打ちから面打ち〈左45度に捌く〉
6)面打ちに対し,左に捌いて左嗣打ち 7)面打ちに対し,一歩退いて小手打ち 8)胸打ちに対し,左に拐11いてノj¥手打ち の腕打ちに対し,右に捌いて小手打ち 10)小手打ちに対し,はずして小手打ち 11)突きに対しp はずして突き
「剣対杖jの「形J (剣〈打太万) I.M.
(杖 T.
1) 面打ちに対し,左 lζ 捌いて腔打ちから面打ち 2)面打ちに対し,右に捌いて左横面打ちかち前打ち 3)面打ちに対し,一歩退きながら小手打ちから突き 4) 面打ちに対し,左 lζ 拐JIいて裏小手打ちから右横面打ち の面打ちに対し,右に開いて突き
の面打ちに対し,避けて面打ち 7)左胸打ちに対し,面打ち の右腕打ちに対し,右横面打ち の突きに対し,左?と捌いて突き
エネノレギー代謝に関する研究 10J
力ノスマ用気採
被 検 者 ア ﹂
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吐 し,椅坐位で
安静時間 運働時間 回 復 時 間
正
斗 ぶ ν「l時 間 g分 約3分ユ分 3分 Sケろ (0分
採気バ:,/7Vo, 工 工 E W γ γ了
図1 採
¥ 一
k
15分 間 以 上 の 安 静 を と ら せ , 脈 拍 数 が 一 定 の 値 を 示 す よ う に な っ た 後 , 安 静 時 代 謝 と し て 5分 間 の 呼 気 ガ ス を 採 集 し た ( バ ッ グ No1)。 次 に , 写 真1お よ び2の よ う に 採 気 用 マ ス ク 並 び に ダグラス・バッグを装着し,対峠させ, 円 引 を 実 施 し , 運 動 時 代 謝 と し て 「 形J実 施 期 間 中
(2分 1秒'"'‑'3分20秒 〉 の 呼 気 ガ ス を 採 集 し た ( バ ッ グ No11)0 r形J終 了 後 は 椅 坐 位 で を と ら せ , 回 復 時 代 謝 と し て2分, 3分, 5分, 10分, 10分 の 合 計30分間の呼気力、、スを採集し た ( バ ッ グN0 111 r‑.J V11) 0
こ の よ う に し て 採 集 し た 呼 気 ガ ス に つ い て は , ま ず ¥ 5%硫 酸 入 り の サ ン プ リ ン グ , チ ュ ー ブにサンフ。ノレを採取しながら品川製作所製のT‑5号 乾 式 テ ス ト メ ー タ ー で 呼 気 震 を 測 定 し , 次 i乙このサンブ。ノレを労研式大型ガス分析器で、分析して, その酸素量と炭酸ガス量を求め, r形J
実施に伴なう O2需 要 量 ,R.M.R. な ら び に 需 要 熱 量 を 求 め たO
な お , 基 礎 代 謝 量 に つ い て は 高 比 良 の 式 か ら 求 め た 体 表 面 積 か ら の 計 算 佑 を 用 い たO
結 果
各 々 の 「 形Jの 測 定 結 果 お よ び 平 均 値 は 表2~乙示す通りである O
運 動 時 間 は 「 剣 対 剣Jの 「 形jで は2分30秒前後であり, r会JI対 杖Jの 「 形jではそれより もやや短く 2分 5秒前後であったがタ 「体術Jの 「 形Jで は3分 以 上 を 要 し たO
次に, O2
静 時 に 要 す る 02
周知の如く, 運 動 時 間 お よ び そ の 後 の 回 復 時 間 に 要 し た O2量 か ら 安
elliた も の で あ る か ら , 運 動 お よ び 屈 復 時 間 に 関 係 し , そ の 値 か ら 直 ち に 「 形Jを 比 較 す る と と は 出 来 な い 。 そ こ で , 毎 分 O2需 要 量 に 換 算 し て あ ら わ し , 各 々 の
「形jを 比 較 し た 。 こ れ が 図2であるO 関2並 び に 表2~こ見られるように, r剣 対 剣Jの 「 形J
102 山 藤 ぬぷ w hド
1 採気マスク及びダグラス・パック
2 採気マスク及びダグラス・パック
3 面打ちに対し,
ちから面打ち
〈左何度に捌く〉
ヱF子 る訴究
1 2'25"4 2'34"2
2'27"0 1 .
3 均
A.T.
寸ょ っム
η ο
2/25"4
会
日 2'20"8 2'27"0
I.M.
守ょっM
内 ふ
2' 1"0 21 4"0 2'11"3 2' 5"4
A.T.
〈杖〉
2 3
均
2' 1"0 2' 4"0 2'11"3 2' 5"4
1 .主主.
匂づ
TZ
寸i n L
3'19"8 3'15"4 3'17"7
手
詰 A.T.
〈取〉 2 均
3'19"8 3'15" 4 3'17"7
3931 3864 3767 3858 3480 2476 2837 2931 3083 2577 2861 2840 2656 2101 2651 2469 7069 7132 7100 6735 7037 6886
1624 1504 1603 1577 1438 963 1207 1203 1526 1245 1306 1359 1315 1015 1211 1180 2123 2188 2156 2023 2159 2091
設.1¥11.R.
7.25 6. 71 7. 16 7.04 7.41 4.97 6.22 6.20 6.81 5.56 5.83 6.07 6. 78 5.23 6.24 6.08 9.48 9. 77 9.63 10.43 11.13 10. 78
103
9.48 8.88 9.38 9.25 8.11 5.81 6.99 6.97 8.99 7.59 7.89 8.16 7.52 6.06 7.01 6.86 11.99 12.31 12.15 10.96 11. 61 11. 29
では打太刀 1.M.の値 1577cc/minの方が 仕太刀 T.の値 1203cc/minよりも大き かったが r剣対杖Jの「形Jでは剣〈打太 刀)1.M.の植 1359cc/minと杖A.T.の 値 1180cc/min ~C:大差はなく r 体街 J の
「形Jでも受1.M.の値 2156cc/minと取 A.T.の槙 2091cc/minはほとんど差がな かった。そして,各々の「形Jを比べると9
f体術Jの「形Jの毎分 O2需要量が最も多 く r剣対剣Jの f形Jの値と「剣対杖Jの
f形Jの値では大差がなかった。
次i乙,各々の「形Jの R.M.R. (エネノレ ギ、一代謝率〉を前述の O2需要量 (cc)を被 検者の身長と体重から高比良の式で求めた体 表面積をもとにした基礎代謝量による O2
で割って求めた。その結果は図3並びに表2 0 ,2
需2.0 嬰 更
と
、../ 1.0
一一I.M. 一一暢A.T.
制 対 剣 剣対本丈 体 掠 ? 弄3
~2 合気道の O2
に見られるように, r剣対剣Jの「形Jでは 打太刀 I.M.の鑑7.04と仕太刀A.T.の値 6. 20~ζ 大差はなく r 剣対杖j の「形J でも
剣〈打太万)I.M.の値と杖A.T.の値はい 10 ずれも約6.1で差はなかったが, r体術Jの R
「形Jでは取A.T.の値10.78の方が受1. M
M.の値9.63よりも大きかった。そして,各 尺 々の「形Jを比べると, r体術Jの「形Jの
R.M.R.が最も大きく, r剣対剣Jの「形J 5 の徳と「剣対杖jの「形Jの値では大差がな
かった。
(Cal/min) は上述の R.M.R.
に1.2を加えたものに各被検者の
(Cal/min)を乗じて求めた。その結果は図 剣 対 多j 釘 対 杖 体 術
4並びに表2~ζ 見られるように, r剣対剣J 手1‑j
のf形Jでは打太万 I.M.の値9.25 Cal/min 図3 合気道のR.M.R.
の方が仕太刀A.T.の値 6.97 Cal/minよりも大きく, r剣対杖Jの「形Jでは剣(打太万〉
I.M.の値 8.16Cal/minの方が杖A.T.の値 6.86 Cal/minよりも大きく, r体術jのf形J
では受I.M.の値 12.15 Cal/minの方が取 A.T.の値 11.29 Cal/minよりも大きかっ た。また,各々の「形Jを比べると,他の指 標とほぼ同様の傾向であり, r体術Jの f形J
の需要熱量が最も多く, r剣対剣Jの「形J
の値と f剣対杖Jの「形Jの値では大差がな かったO
合気道のエネノレギー代謝に関する研究は残 念ながら未だ見当たらず,その運動強度はあ
きらかでなかった。
そこで,今回, r剣対剣J,r剣対杖J,r体 術Jの3つの基本的な「形jを実施しp まず9
O2需要量および毎分O2需要最を求めた。
分 O2需要量とは,前述したように,運動を
行なうのに必然的に用いられるだけの O2最 (02需要量〉をその運動時間 1分間当たりの値に したものであるO 従って,運動が激しければそれだけ必要とする O2最も増大するので,
結果に述べたように,同一の被検者においては各々の「形Jの強度を比較することが出来た。
しかしながら,間一運動を行なったとしても,体格の大小によってその O2需要量は異なるの で,即ち,身体の大きな者は小さな者より多くの O2量を必要とするので,被検者がまちまち な一般的な運動強度の指標としては十分でなく,他の運動との比較は出来なかった。
そζで,次に,古沢が昭和11年に用いることを提案し,現在,我爵で非常に一般的に用いら
104 山
宥 察
伊 一 郎
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創立す安i 令j対 杖
形
イ本 t.fy 国4
エエ子 続究 105
れている R.M.R.を求めた。これは運動そむものに用いられる O2量が侶人の体表面積に比 例し,基礎代謝時に用いられる O2量も時一個人の体表面積に比例するので,運動に用いられ る O2量を基礎代謝時に用いられる O2量で割った R.M.R.が体表面積,つまり,体格によ る個人差を打ち消すことになるからである。
このようにして求めた各 f形JのR.M.R.を他の武道のR.M.R.と比較してその運動強度 てみたO
まず r鋭対鉛J0) r形Jについて見ると, これは運動様式の点から剣道に類似性を見いだ すことが出来るO 剣道のエネノレギ一代認に関する研究としては,小JlIら (1962)η による剣道 の基本動作および稽吉時のエネノレギー代謝率を求めたもの,中野ら (1964)のによる剣道の f形J
のエネノレギー消費量に関する報告,坪井ら (1964)のによる剣道の構え, 基本動作p 各種稽古 のエネノレギー消費量を諦ベた報告,そして丹羽ら (1970)10)(1971)11討のによる剣道の怒り稽古 時のエネノレギ…代謝に関する研究等をあげることができるO そこで,最も類似性の多い中野ら
(1964)おの報告と比較すると, r詰本剣道形Jで誌打太万の R.M.R.が2.42,仕太万の値は
3.53であったのに対し, r剣対会IJJの「形Jでは打太万のR.M.R.が7.04,仕太万の値は6.20
といずれも高い値であった。 ζの原国としては, まず,運動時間の相違が,次に,実施した f形Jの本数の相違が考えられるO 即ち r日本剣道形jの運動時閣は5分19秒であったが,
f剣対剣Jの「形Jのそれは2分30秒前後であり,しかも,実施内容は f日本剣道形Jが大太 万7本,ノト太万3本の合計10本であったが r剣対剣Jの r%Jでは大太万11本2のセット,
合計22本であった。言い換えると, r剣対剣Jの「形Jでは「島本剣道形Jのおよそ半分の時 間で,およそ2倍の動作を行なったζとになるO この結果が R.M.R.の相違としてあらわれ たと解釈できょうO また,打太刀と仕太刀のR.M.R.を比べると, r日本剣道形Jでは仕太万 の方が打太万よりも大きな値であったのに対し, r剣対剣jの f形Jでは打太刀の方が仕太万 よりも大きな値であった。これには f形Jの内容の相違に加え,打太万と仕太万の技術的な格 していると考えられるO 却ち, !j¥)11ら (1962)1)が互角稽古でのR.M.R.を調べ,下 位の者と稽古する時の R.M.R.はi可等の力量の者と稽古する時の約半分であり,逆に上位の 者に対する時は倍近くを要すると述べたように,習熟により筋の神経支配が巧妙に行なわれる と筋活動に無駄が少なくなり,技術的に上位の者の方が下位の者よち R.M.R.は低くなるの で,今回の f剣対剣Jの「形Jでは,仕太刀が打太刀の師範で経験年数も違うところから技術 的な格差がこの結果としてあらわれたのであろう。
なお r剣対剣」の「形JのR.M. R. 6‑‑‑7はおおよそ小)11ら (1962)。の報告した剣道で 中段より一歩前進しての正面突を2分間に31本行なった時の値に相当した。
次に r剣対杖Jの f形Jについて見ると,剣以外のものを用いた武道のエネノレギー代謝に 関する報告には三木ら (1969)ゆく1970)14)によるなぎなたのエネノレギ一代謝に関する研究と滋 戸ら (1969)叫による和@洋弓のエネノレギー代詩Hζ関する研究が見ちれる程度でp 杖を用いた 報告は未だ見当たらない。しかしながら, r剣対杖」の「形Jでは剣(打太万),杖ともR.M.
R.は約6.1であり, r剣対剣Jの「形Jと大差ないと考えてよかろう。
次に, r体術Jの「形Jについて見るとp ζれは素子で行なう運動様式の点から柔道あるい は相撲に類似性を見いだすことができる。 ζれらのエネルギー代謝に関するものには9 山本
(1964)のによる体育科教材としてのすもうや柔道について,その基本技のR.M.R.を調べた 報告,道明ら (1958)16), 小JIIらく1968)17)(1969)18)による相撲の基本動作におけるエネノレギ、
一代議?についての研究等がある。まず, 柔道と比べると, 山本 (1964)のの報告によれば出足
106 山 @伊 二 郎
払いのR.M.R.が 12.05,払い腰の値が16.08であったのに対し, r体街Jの「形JのR.M.
R.は 9.4~1 1. 2で柔道の基本技の値よりも低かった。柔道の基本技の R.M.R.を求め 勤時間,測定方法の詳細が不明であるので,詳しくその理由を考接することは出来ないが,
f体術Jの f形Jでは技から次の技に移る時にある程度の時間的余裕があるからであろうO 次
~C: ,相撲と比べると, r体術Jの「形JのR.M.R.は道明ら (1958)16)の報告した四股の値 10.1,小JIIら (1968)17) (1969)ゅの報告した運び足の値9.1にほぼ相当した。そして,今回 の合気道の f形Jの中では f体術Jの f形Jが明ちかに最も強度の運動であった。
ついては,運動強度をあらわす指標としてよりも,各被検者が各 f形Jを行なう のにどれくらいのカロリーを必要としたかが分るように,参考としてあげたものであるO これ に関しでも剣道,柔道についての報告が若干見られるが, ζの問題では運動強度よりも各個人 の体格などによる要素が大きいので, ζ乙では今回の被検者となった I.M.とA.T.両者の比 較を考えてみたO
f剣対剣Jの f形Jについて見ると, R.M. R.では打太刀 I.M.と仕太万A.T. ~乙大差が なかったが,需要熱量では打太刀 I.M.の値 9.25 Cal/ minの方が仕太刀 A.T.の値 6.97 Cal/minよりも明らかに大きかった。このことは, I.M.の方がA.T.よりもより多くのエ ネノレギーを必要としたととをあらわし, 1. M.の方がA.T.よりも身長,体重とも大きかった ことによると考えられるo
次に, r剣対杖jの「形jについて見ると,剣(打太刀) I.M.の値 8.16 Cal/minは杖A. T.の値 6.86 Cal/ minよりも大きかったo R.M. R.はどちらも約6.1であったζとから,
運動強度がほぼ同じであっても,被検者の体格的な個人差によって需要熱量,言い換えるとエ ネノレギー需要最の相違があらわれるというよい例であろうO
「体術Jの「形Jについて見ると,前述の傾向はさらに明らかとなった。即ち,受I.M.と 取A.T.のR.M.lミ.はA.T.の値 10.78の方がI.M.の値9.63よりも大きかったにもかかわ
らず,需要熱量は受I.M.の値 12.15 Cal/rninの方が取A.T.の値 11.29 Cal/min1よりも 大きかった。
以上のことから,運動に要した需要熱量から直ぐにその運動強度を見ることは出来ず,また 逆に,運動強度から被検者の体格を無視して需要熱量を見ることも出来ないことは明らかであ る。
要 約
本研究は合気道に関する運動生理学的研究の第一歩として,合気道がどの程度の強度を持つ 運動であるかを知る目的で行なった。
被検者は合気道歴20年のA.T.と同じく 4年の I.M.であるO
実施内容は f剣対剣Jの f形J,r剣対杖Jの f形J,r体術jの「形」であり,それぞれの
「形Jについて O2需要最および毎分 O2 (cc/rnin), R. M. R. (エネノレギー代謝率),
(Cal/min)を測定した。
なお,呼気ガスの採集はダグラス@バッグ法により,分析は労研式大型ガス分析器により行 なった。
測定結果は以下の通りであるO
1. 毎分 O2需要量は「体術Jの f形Jが最も多く , r剣対剣jの「形Jと「剣対杖Jの
「形Jでは大差がなかった。
ヱネ る 107
2. R.M.R.は f体街Jの f形Jさま合'""11で最も高く, r剣対知jの「形Jと「剣対杖J0)
「形J~ま 5'""7 で大差がなかった。
3. 毎分需要熱量はいずれの「形Jにおいても 1.M.む方がA.T.よ与も多かったが, r体
街jの「形jが最も多く, r知対剣Jの「形jと「剣対杖Jの「形Jでは大差がなく,上記の ものと同様の指向であった。
以上の結果かち,三器類の「形Jのうち あり, r剣対剣J
の「形jと「剣対杖jの f形Jの ょうO
{患の運動と比較すると, r剣対剣jの「形Jと の「形jはおよそ剣道における中 段より一歩前進しての正面突の の f形Jはおよ おける運び足の
した。
に当たり,此の測定のため被検者となっ つん列、弘、i汰;6 2
します。また終始,協力してく く
獄
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108 山 本 @ 伊 藤 二 郎
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