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タ達喜美子・King Beach・根本葉子 (1981年10月15日受理)

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(1)

分類行動における認知スタイルの比較文化的研究(1)

一認知スタイルの安定性について一        ●

@      **      ***      *

タ達喜美子・King Beach・根本葉子

(1981年10月15日受理)

ACross−cultural Study of Cognitive Styles in Categorizing Behavior(1)

一Stability of CogPitive Styles一

       *      **      ***

jimiko ADAcHI, King BEAcH and Yoko NEMoTo

(Received October 15,1981)

ρ      は じ め に

われわれの行動は,認識によってはじまるとされている。それは外部から与えられた刺激,あ るいは,周囲の物事や事態を個人がどうとらえるかということによって,行動が決定され,はじ

まるということを意味している。

個々の人間の,その人を取り巻く世界のとらえ方の様式は認知の様式と呼ばれる。この認知の 様式は外的環境の概念的な範疇化,および知覚体制の様式における安定した個々人の好み(sta一

b1。 indMd圃p,eference、)である1Pそして,それは個人が生活の中で種々な鰍を通して作

り上げていくものであり,それぞれの個人特有のものであると考えられる。

この外界のとらえ方の様式について,K即♂ らは,子どもは最初泊分の世界を漠然とした全 体的(globa1)なものとしてとらえるが,年齢がすすむと共に次第に部分への注目がみられ,や がて,分化された部分が寄せ集められたものとしてそれをとらえることが出来るようになるとし ている。年齢発達的にみると,一つの全体としての刺激に反応する傾向は4才頃に見られ,そし て,刺激を全体としてとらえると共に,その刺激に含まれる細部(internal parts)もとらえる ことが出来るようになるのは9才頃であると述べている。

このように,Kaganらは概念化,あるいは,概念的な範疇化に発達的な順序性を仮定している。

また,同じ年齢の子どもであっても,同じ刺激を与えられたとき,ある子どもは刺激事態(stimu1US

fidd)を特徴的に分析し,分化し,全体を構成する細部に注目するし,また,他の子どもは比較        ●

I未分化な全体として範疇化するというように,概念化の様式は,個人によって異なる,いわゆ

* 茨城大学教育学部教育心理学研究室

** ㎞chers College, Col umbia Univlersity

*林日本女子大学

(2)

118      茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982)

る,個人化された様式(personalized style)である。

      3)4)5)

ニころで,このような認知の様式について,山田ぢ は10代〜60代の男女を被験者とする,名 詞や動詞のカードを用いた実験から,個人の範疇化の様式を類型化している(彼女らは,ここで はカード分類の基準を個人の価値構造とみている)。その結果によれば,範疇化の様式は,自我

関与的感性的渦値凱1社会的浬論的潜辞的・鯉化的操作的の7つのカテゴリーのいず

れかに属することになる。さらに,その中で彼女らは被験者の範疇化の様式は,刺激が変わって

も類似性が謝られることから,個人内の安定性についても触れている竃しかし,G。,dn,,は,

刺激の変化は被験者の反応の著しい変化を引き起こすというShee㎞の結論を支持することによ

      8)

チて,認知の様式の安定性を否定している。

前述の範疇化の7つのカテゴリーは,その後,1975年に彼女ら自身の手によって,後述のよう に修正されている。彼女らの行った修正点は,刺激を自分の側に引き寄せてとらえようとしてい るか,刺激そのものを操作することによってそれに対処しようとしているのか,あるいは,自分 以外の他の何か,または,誰かを準拠としているかという観点から,大きく4つの類型を考え,

さらに,その中でいくつかの下位カテゴリーを見い出していることである。修正された類型化は

次の通りである。

1 自己基準的

(1)意志的

② 情緒的 皿 他者基準的

㈲ 人間関係

(4》他者基準 皿 外的基準型

㈲ 規範依存的 IV 刺激語操作的

(6)意味操作的

(7)言辞操作的

   ⑧ 作話的合理化的       9)

シ方,Kaganらは,大人を被験者にした絵カードの分類を用いた実験から,認知の様式は,自 己中心的(egocentric)と刺激中心(stimulus centered)という2つの基本的方向(basic

orientations)と,分析一記述的(analytic−descriptive),関係的(relational),そして,

推論的範疇化(inferential categorica1)という3つの概念的クラス(conceptual classes)に

類別されると述べている。(このKaganらの分類は,Witkinの五eld dependenceと且eld indひ

pendenc eの考え方を基礎にしている。)

前記山田らの自己基準的様式とは,刺激を被験者個人のレベル(1eve1)で処理しようとするも のを意味しており,これはKaganらの自己中心的な様式である。また,刺激語操作的様式とは,

刺激それ自体のレベルで処理しようとするものを包含していることから,Kaganらの言う刺激中

心の認知様式にあたる。

われわれは,ある個人が自己の刺激環境に反応する際,Kaganらが述べるように,刺激を自分

の側に引き寄せて,自分個人のレベルでとらえようとするか,刺激それ自体に依存するかの二方

向だけでなく,山田らが,外的基準型として示したような他の権威づけられた何らかの基準を導

(3)

入して,それに依拠しようとしてとらえようとするとらえ方があるのではないかと考えた。

また,認知の様式は,個人の生活の中で経験を通して確立される個人化された一つの体制であ る故をもってして,それには安定性がなければならないと考える。したがって,刺激素材の違い

は反応の著しい変化をもたらさないと考えている。

そこで本研究は,認知の様式の類型を改めて検討し,それの個人内の安定性を文化の異なる社 会で生活している日米両国の被験者の比較を通して検証することを目的とする。

研 究 方 法

実験は個別的に行われ,実験1,実験皿,および,実験皿の3部から成り,施行順序はカウン

ターバランスされた。

実験材料:用いられた刺激は,7.OcmX5のcmの白いカードの上に,「愛情,幸福,知性,…」

のような抽象的な名詞が一語ずつ書かれたカード12枚(実験1用),「夢みる,期待する,鑑賞 する,……」のような動詞が一語ずつ書かれたカード12枚(実験皿用),および,一人,あるい

は二人の人物の行動場面の線画12枚(実験皿用)である。

被験者:アメリカ(ニューヨーク市在住),および日本(茨城県在住)の10代〜50代の男女計

46名(アメリカ:20名,日本:26名)である。

実験期日:昭和55年3月〜昭和56年2月

実験手続:被験者は各実験ごとにそれぞれ12枚のカードを手渡され,次のような教示が与えら

れる。

「ここに,12枚のカードがあります。それぞれのカードにはある言葉(絵)が書かれてい ます。これをあなたの分けたいように,自由に二つのグループに分けて下さい。二つのグル 一プは必ずしも半々でなくても構いませんが,1:11となるような分け方はしないで下さい。

1枚だけ抜き出すようなことはしないで下さい。

時間の制限はありませんが,時間は参考のために計らせて下さい。何回か繰り返してやつ

て頂きますが,そのたびに分類の角度を変えてやつて下さい。」

分類は最高10回繰り返すことを要求するが,途中で拒否したもの,飽きてしまったものについ てはそこで打ち切った。被験者は分類ごとに,分類したカードをその都度読むことと,なぜその

ように分けたか分類基準を話すことが要求され,実験者はそれを記録した。

結      果

まず,被験者によって語られた分類の基準,すなわち,与えられた刺激をどのような観点か らとらえようとしたかを検討した。分析に際して用いられた分類の基準は,二つのグループにつ いて同じ基準(例えば,自分の好きなもののグループと,そうでないものというような場合)の ときはそれを,それぞれのグループに別の基準を述べた場合(例えば,一方は,今の私が最も欲 しているもの,他方は,規模の小さいものというような場合)は,被験者がより重視している方

の基準である。

その結果,被験者の刺激のとらえ方には,いくつかの類型があることが確認された。

被験者が刺激に対峙したとき,その刺激を自分の方に引きつけて,自分の生活や関心等との関

(4)

120      茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982)

連でとらえようとする(これを「自己中心ego㏄nt ric」と名づけることにした)か,刺激それ自

体の何らかの特性に関わりを持たせて反応する(これを「刺激中心stimulus centered」と名づ ける)か,あるいは,それ以外の何らかの基準を導入してきて,それに合わせて処理しようとす る(これを「外的基準external standard」と名づける)かの三つの基本的方向(刺激の処理水 準)を見ることができる。これら三つの方向(処理水準)は,刺激への対処のしかた,すなわち,

概念化のしかたによって,それぞれ,3つの下位カテゴリーに分けられ,表1の通り,9つの類

型になる。

表1 範疇化の類型

反応の 自己志向 刺激志向

方向 自 己中心 外的基準 刺激中心

(egocentric) (external standard) (stimtdus centered)

自我園与的 社  会  的

分析・記述的

概念

   (socia1)一 一 一 一   _ 一 一 . 9 ■ , 層 7 , r 甲 ●      一 一 冒 . 曽 曹 ■     ■ 雫 響 , 曽 雪 , , 7 響

感  性  的 合  理  的 構  図  的

(理論的)

(feeli㎎)

(reasoned) (compositional)

・層 r・.r−r r .層 ,,弓 一一  一 一一 一一曹・層 嚇 噛        r 尊層 曹■層■層層 一一 一一 一■一冒  一 幽 幽1 曹曹 層 冒層 ■ , 冒 一  雫 一 一 一        一 一 一 一 幽  ・ ■ 一 . 層 冒 9      , . 一 甲 冒 ¶ , , ㌧ , 雫 甲 一 一 _ 甲 一 一 噛 一 曹 ■ ■ ■ ■ , ■ , ・ 1      − 一 ・ . ・ 曹 一 冒 幽 曽 幽

合  理  化 権  威  的 作  話  的

(rationalizational) (authoritative basis) (fabricative)

ここで,9つの概念化のクラスを定義しておく。

自我関与的:  私の望んでいるもの や 私の最も好きなもの などのように,個人の生活

や欲求にもとつく概念化を示すカテゴリー。

感性的:  暖かい や 冷たい などのように個人の感覚にもとつくカテゴリー。

合理化;  兄が好きだと言ったもの のように他の人の問題として処理しようとする防衛的

反応にもとつくカテゴリー。       ●

社会的:  社会的な人間関係 や アメリカ社会でよいこと のように社会的な関係や社会

問題に関わらせようとするカテゴリー。

合理的(理論的):  愛ということに関係すること ,あるいは, 生存の必要条件 のよ

うに理論的・説明的に関わろうとするカテゴリー。

権威的:  聖書の中にある といったように,他の権威づけられたある基準に合わせようと

する反応のカテゴリー。

分析一記述的:  Eという文字がある のように,刺激自体の持つ何らかの要素の記述にも

とつく概念化を示すカテゴリー。

構図的:  戸外 ,あるいは 4文字 のように,刺激の全体的な特徴,あるいは,構成に

もとつく反応のカテゴリー。

作話的: いくつかの刺激をつなぎ合わせて一つの文脈のない物語を作るような反応のカテゴ

リー。

これら9つの範疇化の型が,被験者の反応の中でどの程度の割合で出現するかを,各実験条件

(5)

       囲

ゥ我関与的    感性的   合理化  社会的 合理的(理論的)  権威的 分析・記述的  構図的作話的

名詞 24ユ

多膨…iiii i…iiiil;:1;liiiiii i法塁ii

iiii羅そ塾蚕螺§蕪§馨§難叢 1.2

三1;=喜ニ    ー三:322≡F=憂_まと一一≡≡蔓葦 獣趨§ミ繊琶灘

M 動詞 267 /z ::戴…………ii;i.三≡・・三一_  一=三=一一一  ;_     _ 一一一

、  、  、

4.3

z   凶鋭

ス萎1a6 箔

iiii…i…i…灘…i…i…i…i…一莚懸導ll§§ミ

灘灘i灘難懸i灘

…………;:::::::::::::::一⊇二二妻_三≡三;≡二=モ三一 1 \§

o

名詞 347 劣2・::潜:i:::::::繍_萱三葦望型夏』芝重二2.8 生9

14

F 動詞 409

ilタOi

i::::鞍:::::::::三一『一一二

ci鵜、織iぎ  7ヨF至 一=一二・i…_三≡   _−  34曲一一 ご♪o

曹S7{ 3.4♪ぐ♪κ

153 lL43多       一丁}一一唐煙怩奄奄奄撃遠?奄奄撃撃撃遠蛻黷P12_  ・四・°°°°.°。°.° °°°. .°.. 。

§i黙i難灘鱗iNこ、 61 10

一.ま…三=τ一

一一ネ…『置一⊇一 112611 怠93 ξζ》{♪、4.4  53

名詞 30.8

多諺……1:羅難ii欝iii

三≡≒三三三三≡304−一 G  一一    一_一一一=

三一r−一

@幽一一 {♪《

T

動詞 356 iiii:聾

i:iiii鐡… 一一一 331≡≡=,≡三− jー

@  一

R 7.5 、 oざ♪欄慰1磁

・:・:・:・:。:。

10.7 鯵i難雛難嚢      .…一   ※

??驕c灘_些≡蕊 ミ黙獣総懸欝1灘擢

12

餉τ@.一_≡三…≡≡一≡

一一 目ll…

86 繍  購灘

名詞  8β 32iiiiiiiiii;iiii:li・ .・1・●°,・.

m4二:: _≡381一歪一至≡雪一.  .__量_ 1劉1

.・:。:・・:・:・.

一一一@   _=『一      =一

M 動詞 11.4

1iiii iiiiii;難:iiiiii、 iiiii纏  …一 ≡≡一・・三一妻一≡誌盤 一…一妻里…≡_≡至・

§黙1灘

54 152多多i  

lii灘難i

一h@ヨ163茎一一一..一 1覗黙鐡i難雛灘ii灘醗

__      一 一一一         1 N      愛{6

一…一 一≡≡三≡一__≡ 11      \

名詞 13.8

ii…iii簸iiiiiiiii…購

一「  一_二414…一・

・:。:く・♪:・:

妻 一 __=三一三…一一一_≡一一

け      ¢

L7

__一一黶Q 

_=一㎝一

@   一一一

us F 動詞 19.6 ………薫………iiiiiiii饗轍i羅i…≡・些至妻 冊Ni灘蟻

20w@      20

148   /

@/

゙髪・互・多髪z

ii…灘華華三一熱養

i灘i灘灘魏箋i灘i

19

名詞 1α6

・・iiiiiiiii;li灘難iiiiiiii…i難 _一一

Q=__≡妻 三至;一

鼈鼈齊O堕察≡重一三≒ ・照li懸21〜 驚購

一一@   一 置一7−一一■T T 動詞 14.1

iiiiiii:1:1;:iiii…i iiiii難欄

……藝婆…≡  c…ヨ1一1署 \1122 繊i蒙

1宣

&9  多/髭

ワヱi髪

iiiii…難雛

ミ証蒙   一一一 i灘総麩騰灘i畿難

Z1

図1 日米両国被験者の各実験条件での反応様式の出現比率

(6)

122      茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学。芸術)31号(1982)

ごとに性別,国別に示したのが図1である。

図1を見ると,多少のばらつきはあるが,作話的カテゴリーを除く他のカテゴリーについては 日米両国の被験者にその出現が見られている。作話的な反応類型は日本の被験者のみに見られる 特徴的な型のようであるぴ男性にだけ見られて女性には見られないとか,女性に見られるが男性

には見られないという性特有のカテゴリーはみとめられなかった。

しかし,ある実験条件(例えば,名詞)では見られるが,他の実験条件(例えば,絵)では見 られないという刺激特有の類型は幾つかある。これは,日米間で多少差がある。日本の被験者の 場合,男女ともに,権威的範疇化は名詞を刺激とした実験事態においては出現するが,他の動詞 や絵を刺激とした実験事態では出現しない。他方,アメリカの被験者においては,権威的カテゴ

リー了は名詞を刺激とした実験事態,および,動詞を刺激とした実験事態に見られるのに対し,絵 を刺激とした実験事態では出現していない。

認知スタイルの安定性について

認知の様式に安定性があるかどうかを,三つの実験に対する反応様式の一致度の観点から検討 してみる。各カテゴリー別の反応の一致度は図1を通してみることができる。これを見ると,名 詞と動詞の間に幾分一致の傾向が認められる。しかし,絵刺激に対する反応様式とはかなりの不

一致の様相が見て取れる。

三つの実験事態での反応様式の一致度を,三つの基本的な反応の方向(刺激の処理水準)とい う大きな枠でとらえてみたのが表1である。この表によると,日米両国とも,名詞と動詞を刺激 にした場合の一致度はかなりの程度において認められているが,絵刺激実験における反応様式と は一致が見られているとは言いがたい。だが,絵刺激に対する反応では非常に特徴的な現象が見 られている。それ1ま,名詞や動詞に対する反応様式にあっては,日米両国間の差が非常に顕著で あるのに対し,絵刺激に対する反応様式の日米間の一致である。ここで見られている反応様式の

}致,および,不一致は特に検定を要しない程に顕著である。

表n 実験課題別にみた国別の3つの反応の方向(刺激の処理水準)の出現比率       (%)

刺激

鷺鎌睾) 被験者 名  詞 動   詞

J. 427 44.3 280

自己中心 ・曽囑,,.,P−一一■一 騨膠,,一一

(egO㏄ntric)

u. 21.9

30.1

28.8

J. 383 381

22.6

外的基準

一一一 ■暫・gr¶,一一}一一一一一一曽一冒一曽曽曽「■曹・ 匿魍■,■,■冒■・ , , り 冒 曽 ・ 曹  , , , } 一 ■ 一 ■      層 r 雪 ■ . 曹 , 甲 一 ■ ■ 幽 ・ 曹

( exterr旧l starKlard)

u。 4ao 49.3 23.3

J. 19.0 175 495

刺激中心 一冒−曽曽 ,  一 一  一      一 國 曹 圃 層 魎 曹      ,    , 曜 曹 「  , , 一 一〇曹曹■,,−「,,,,,一

(stimulus centered)

u. 29.1

20.5

  47.9

(7)

以上のことから,ある刺激事態での反応の様式は,名詞と動詞という刺激それ自体は異なるが,

どちらも文字という同じ性質を持つ刺激として与えられたもの同志の間に一致性が確認され,絵 のように異なった性質を持つ刺激との間には一致性よりもむしろ,不一致性が確認された。

また,個人内のそのような反応の一致性を検討してみたが,上述の一致性とほぼ類似の一致性

が認められた。 (参考のため,図皿に個人内め反応様式の分布状態を二例のみ示しておく。)

自我関与的

       _,,一一つ  .,・△         _一一「    .,・       一唱r −        ■ ノ     ー一,●匿      ・ ノ

C,,.・一一E二:ン 

感 性 的

合 理 化

トー→名詞

社 会 的 合 理 的 i理論的)

 魑

権 威 的   ρ

分椀記述的

¥ 図 的

隔\ 、

作 話 的 /      F、(日本)

1     2     3     4     5     6     7     8     9    10

自我関与的

エ 性 的

∠掾@化 ミ会 的

〟@理 的

  ρ   亀y

(理論的)

権 威 的

     

@   

分析・記述的

¥ 図 的

電郊.@㌔・モミ

作 話 的     z 二4/@       F2(日本)

1    2     3    4    5     6     7     8     9    10

図∬ 個人内の反応様式の分散の例

(8)

124      茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982)

考     察

認知様式の類型について

われわれは,被験者の範疇化における反応を三つの基本的方向性(刺激の処理水準)において とらえた。それは,被験者の認知的反応が被験者個人のレベルにあるか,刺激自体のレベルにあ るか,あるいは,他の何か自ら権威づけた,または,社会において権威づけられた何かのレベル

(勿論,それは何らかの意味で個人の内的条件と結びついているであろうが)にあるかを知るも

のである。したがって,egocentric(自己中心)とは,被験者が刺激を,自分の側に引きつけて,

より個人的なレベルで処理しようとすることを意味し,stimulus centered(刺激中 已・)とは,個 人から離れた刺激そのもののレベルで処理しようとすることを意味し,さらにexternal st andard

(外的基準)とは,個人のレベルでも,刺激そのもののレベルでもなく,何か他の基準に合わせ て処理しようとする,ある意味では,合理的な処理を意味すると考えたのである。さらに,それ

らは刺激への対処のしかたによって,各々3つの下位カテゴリーに分類された。

被験者の刺激への反応の仕方を,これら9つの概念化の類型でみると,作話的カテゴリーを除 く他の8類型は,日本と米国という異なる文化における被験者のどちらにも出現している。作話 的カテゴリーは,前述したように,ただ刺激をいくつかつなき合わせて行って文脈の不明な物語 を作るような反応の様式で,日本の被験者特有のものであった。これは日本の小学校などで時々 行われる,いくつかの単語をつなぎ合わせて1つの単文を作るという国語教育の1つの形の影響

なのであろうか。

ところで,Kaganらがこのような範疇化行動における反応様式を二つの方向とらえていること は前述したが,われわれは,今回もegocentricでもなく,といってstimulus centeredでもない 処理方向を認めた。例えば,「聖書の中にあるもの」とか,「学校の規律」等々と言ったような 反応を多く得た。したがって,他の何かの確たる基準を導入し,それに依拠しようとする様式を 認める必要があると考える。それら三 権威的存在 external standard     つの方向は図皿のような関係にあるの

ではないかと思われるのである。

このようなことを考えた結果,われ

われは範疇化の類型を表1に示す通り,

自己       刺激    3方向×3概念化のクラスで考えるべ

きであると判断した。このカテゴリー egocentric      stimln us centered   は図1に示されている出現状況から考 えて,より妥当なカテゴリーであると

考えている。

図皿 自己と刺激の存在と反応様式の方向との関係

認知様式の安定性について

反応様式の一致度は,名詞と動詞との間で高く,絵と名詞,および,絵と動詞の間には認めら れないことが結果において見出された。すなわち,文字という同じ性質を持つ刺激間において 安定性が認められたが,絵という映像的に与えられた刺激との間には安定性は認められなかった。

この結果はわれわれの仮説を部分的に証明している。そしてそれは,Gardnerらの決論を必ずし

(9)

も証明するものではない。そこでわれわれは認知様式の安定性については次のように結論したい。

その安定性は同じ性質を持つ刺激事態下では認められるが,刺激素材なり事態なりがその性質を も変える程に大きな変化を示した場合には,それへの反応の様式は大きく変化する。

ところで,われわれはここで大きな発見をした。文字刺激に対しては日本の被験者と米国の被 験者との間に大きな差が見られたのにも拘らず,映像刺激に対しては両国の被験者間に非常な類 似(近似)が認あられたということである。このことは,文字ではそれの持つ意味,あるいは二 ユアンスの文化的違いから異なった反応をひきおこすのに対し,具体的映像から受け取るものは

文化によってあまり差がないということを意味しているのであろう。

       注

P) Jerome Kagan, Howard A。 Moss&Irving E. Sigd, Psychological Signficance of Styles of Cbnceptualization.In Cqgnitive Development in children,Five Mono一 graphs of the S㏄iety for Research in child Devdopment.(chicago:The University

of Chicago press, 1962) , PP 203−242・

2) Ibid.

3) 山田喜美子,斉藤幸一郎,岡田守弘, 「Sorting Methodによる価値構造の研究(2)一言語化された 分類基準の検討一」,(日本応用心理学会第40回大会論文集』,1973)

4) 山田喜美子,斉藤幸一郎,岡田守弘,石崎秀和, 「Sorting Methodによる価値構造の研究(5}一言 語化された分類基準の再検討一」,(『第41回日本応用心理学会大会論文集』,1974)

5) 山田喜美子,斉藤幸一郎,岡田守弘,石崎秀和,「Sorting Methodによる価値構造の研究(9)一言 語化された分類基準の意味の検討一」,(『第42回日本応用心理学会大会論文集』,1975)

6) 山田喜美子他,前掲書,1973 7) 山田喜美子他,前掲書

8) Gardner,R. W. Q)gnitive styles in Categolizing Behavi(ガ, J・pers・,1953,22,

pp 214−233

g) Kagan et al.,Ibid.

参 考 文 献

波多野完治。滝沢武久, 「子どものものの考え方』 (岩波新書,1963)

波多野完治, 『子どもの認識と感情」 (岩波新書,1975)

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