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池原達郎之子三 美

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(1)

教育実習が学生の教職意識に及ぼす 効果について(第2報)

教育学研究室

教育心理学研究室

lf

池原達 郎之子三 美龍弘喜

 1 研究の意図,構想及び方法  1.研究の意図

 本研究は,学生の教師観,子ども観,教職観の構造とそれらが「教育実習」によってどのように変 容するかを明らかにすることによって,大学・学部における教育実習,ひいては教員養成の改善の資 料を得ることを目的として企画されたものである。今回の報告は,昨年度の報告(研究の動機,目的

・構想,研究方法及び結果の一部の報告)に続き,現在までに行い得た分析結果の概要である。

 2.研究方法

 前年号で紹介した通り,研究方法としては以 Fの三方法を採用し,実習前後の2回にわたって調査 を実施した。

 ①教職に関する意識の変化(実習生の性,所属学科,教職志望状況,教職適性奪)一質問紙法  ②教師観の位置の変化一サーストン法による態度尺度

 ③教師イメージの他職業に対する位置の変化一S−D法  3,調査の実施

 調査対象者は教育学部小・中学校教員養成課程の5年忌学生の一部で,昭和51年8月〜11月に 実施した。実習前後の2回にわたってサンプルがとれたのは77名と少なかったため,今年度も対象 者を増やして調査を続行している。

 1[研究の結果

 1.教職に関する意識を中心として   (1)教職志望状況

表1−1 教職志望状況の変化(%)

時   期 _認 目   男 女 瑚

ロ.…算一國 全 体 入 掌 前 、1,)(、崩 誌) (  y撃撃b,9〉

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一129一

学生の教職意識を探るにあたって,まず最初 に学生の教職志望の状況からみてみよう。表 1−1及び図1−1は,入学前と調査時点

(3年次前学期)における教職志望の程度を 示したものである。一見して調査時点におけ

る学生の教職志望状況は,入学前に比べてか なりの程度好転していることがわかる。入学

(2)

図1−1 教職志望状況の変化(全体)%

図1t・・2

AUO︵︹

8642

㎜環在□入学前

  ア     イ   ウ     エ   オ

  ぜ  ばど 決・ ばど 

  ひ  なち  め  なち   つ

  な  りら  カ》 りら 

  りたかねたかく   たいとてくとな

  い   い  い  ない       え   る   いべ

教職志望変化・・不変化の理由%

se

60

@40

2e

四魔の事檎

自分の教職への魎駐

仕事の璽要性

待 遇社式的地位

前においては,「ぜひなりたい」と「どちら かといえばなりたい」が合わせても40。26

%にすぎなかったものが,調査時点において は68.83%と大幅に増加している。

 いうまでもなく,現在,国立教員養成大学

・学部の学生といえども,入学時においては 必ずしも積極的な教職志望の動機をもってい るわけではない。そうした比較的消極的な志 望者層をいかにして積極的な層に変えていく かは,教師養成教育の重要な課題であるが,

とりわけ,入学前までにかれらが身に着けて しまっている固定的な教職観,たとえば小学 校よりは中学校,申学校よりは高校の教師の 方が社会的な格付けが高いという教職のヒエ ラルヒーについての既成のイメージを作り直 し,それぞれの学校種別の教職の実質に関し て正しい理解を養っていくことが先ず考えら れなくてはならない。

その意味では,教職志望の変化.・不変化の理由を示す図1−2を見れば明らかなように,学生は

表1−2 教職志望状況の変化

(入学前,実習前・後)

入 学 習 前 実 習 ア ぜひ教

師になり 1圭.69 25.97 4286

たい 40.26 68.83 72.73

イ どちら

かといえ 28.57 42.86 29.87

ば教師に なりたい ウ 教師に なるかな

らないか 32.47 32.47 22.08 22.08 15.58 15.58 決めかね

ている エ どちら

かといえホ教師に 19.48 7.79 6.49

なりたく

ない 27.27 9.09 10.39

オ 教師に なる気持

はまった 7.79 1.30 3.90 くない

M L3G

100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00

「教育という仕事の重要性の問題」及び「自分の教職に 対する適性上の問題」の二つを主要な理由としてあげて いるが,かれらの教職に対する認識は二年余りの間にか なりの程度深まっている。

 さて,教育実習の終了時点における教職志望状況はさ

らに若干好転している。「ぜひなりたい」(4 2. 8 69・),

「どちらかといえばなりたい」(29.87%)と合わせ て72.73%の学生が教職志望層であり,実習前に比べ て3.g%増加している。その項目別内訳をみると,「ど ちらかといえばなりたい」というそれほど積極的ではな い層と「決めかねている」という未確定層の減少した部 分のほとんどすべてが,「ぜひなりたい」という積極的 な志望層に変っている。一方,教職を志望しない層も若 干ではあるが増加していることが注目される。特に「ま ったくない」という教職志望をほとんど断念している者 が僅かながら増加しているのは,「どちらかといえばな りたくない」というかなり消極的な志望層と「決めかね ている」未確定層の減少部分の一部が変化したものであ

(3)

る。これらのことから,教育実習を境に学生の教職志望は,積極的な志望層に押し上げられていく傾 向があるが,しかし同時に,未確定層及び消極的な志望層の一部は教職を断念する層に流れ込んでい く傾向も僅かではあるがみられ,教育実習はその意味では,志望状況において積極的な志望層と断念 あるいは拒否する層に分極化させていく機能を有しているともいえよう。しかも,志望が積極的な方 向に転化した学生の大部分は,その変化の理由として「教育という仕事の重要性」への認識の深まり と,「自分の教職への適性」の発見をあげ,さらに消極的な方向に変化した者の大部分もこれら二つ の理由をあげている。興味深いのは,表1−3及び表1−4のように,志望の程度を態度スケールと クロスさせたとき,消極的な層ほど教職を「聖職者」的イメージでとらえる傾向が強いことである。

これについては次の「態度尺度」の項で詳述するのでここでは立入ることを避けるが,教職を断念あ るいは拒否する層は,積極的な志望層に比べて教職を理念的にとらえ,どちらかといえば融通のきか

表1−3

   ×教職ふ曹庁 ア ぜひなりたい

教職志望状況×態度ヌケール 表1一一4 教職志丁寧兄×態度スケール  (実習前)   (%)      (実習後)・(%)

f∵砺7「

     一π…∴∴

聖瞭音

        竺2豊三。。o)

一一一一@  I       l

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オまったくない      (iξ2の(14・2の(71鋤

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ないたてまえとしての 教職観を持った学生が 教育実習に臨み,そこ で自己の教職への適性 を発見できなかったと き,かれらは教職の消 極的あるいは拒否的志 望層に流れ込んでいく

という図式が考えられ なくもないであろう。

  (2)教職への意欲の変化

 これまで述べてきた教職志望状況は,ある意味で,学生の教職への積極的な関わり方,ないし る気 を必らずしも意味しない。そこでここでは,学生の教職への意欲が実習によってどう変化した かをみてみよう。

表1−5 教職への意欲の変化

男女別 諜尾島

実 習 前 突  習  後

意欲をもって 憲欲がより鵡まった 6000 307 4524 3429 4026一意欲あり

(84.41)

いた 特に変らない 800 192 H90 2000 1558

(59.74) 愈欲が低下した ODO 57 ・476 286 390

意欲をもって 愈欲が出てきた 28DO 288 2857 2857 2857 亀︑

︑︑︑︑︑

いなかった 待に変らない 4ρ0 15β 952 1429 1三69

、 、     覧

、    、 A    し

(4e.26) より低嗣ドした ooo 0幻 000 000 ooo一_hモ欲なし

@  (15.59)

10DDO 1000 100ρ0止OO{}010000

(!GOOO

一131一

表レ5の示すように,実習前には教職に意欲を持 っていなかった者の比率40.26%より20%弱多 い程度であった。それが実習を終った段階では 欲あ刎(84.41%)はi意欲なし」(1S.sgi70)

を大きく上まわっている。特に注目してよい のは,実習前には意欲を持っていなかったの が,実習によって「意欲が出てきた」とする 者の比率が28.57%と高いことである。そ の理由については後で述べることにして,と にかく教育実習の意義ないし効果がこのあた りからもいえそうである。ちなみに,意欲の 変化を男女別,課程別にみると,男女別では

(4)

男子は6&00%→g6.00%,女子は55,77%→7&85%とそれぞれ意欲ありの方向へ大きく 変化する。しかしより詳しくみると,男子は「より高まった」とする者の比率が女子の2倍あるのに 対して,女子は「特に変わらない」が「意欲あり」「意欲なし」いずれの場合にも多く,さらに「意 欲が低下した」とする者が5.77%と無視しがたい比率を示していることからも,男子に比べ女子は 教職への意欲が若干稀薄であるといってよいであろう。それは同時に教育実習それ自体に取り組む意 欲とも関連している。実習への意欲を持っているとする者の比率に関して,男子が56.00%である のに対し,女子は3&47%とかなり低いことをみてもこのことが言える。次に,課程別では,小学 校課程の学生が61.9%→85.71%,中学校課程の学生が5Z14%→8286%とそれぞれ大き

く好転しており有意な差はない。

 表1−6 教職意欲変化の要因(%)

      次に,そうした教職への意欲の変化をもた        らした要因を表1−6でみてみよう。実習前        に「意欲あり」で実習後「より向上」した31        人については,「児童e生徒とのふれあい」

       (96.77%)が圧倒的に多く,「個人的な        要因(適性など)」(41.94%),「指導        教師の研究・指導態度,人柄」(3&71%),

       「実習校のふんい気」(25.81%)などが        これに続いて多い。また,実習前は「意欲な        し」で実習後「意欲が出てきた」とする22        人についても「児童・生徒とのふれ合い」

       (72.27%)が最も多いが,それでもその        比率は,前にあげた「より向上」した場合の        ga77%に比べれば低く,代わって,「指        導教師の研究e指導態度,人柄」(59.09%),

       が高くなり,「個人的な要因」(27.27%)

       がこれに続いて多い。r方,「意欲が低下」

した3人については,サンプル数が少ないため立ち入ったことはいえないが,そのうちの2人が「個 人的要因」(66.7%)を意欲低下要因としてあげている。また「指導教師の研究・指導態度,人柄」

「児童・生徒とのふれ合い」,「実習校の勤務条件」などについてもそれぞれ1人ずつあげている。

 以上のことからも,教職意欲の向上の主たる要因としては,「児童・生徒とのふれ合い」「指導教 師の研究・指導態度,人柄」,「個人的要因」一おそらく自己の教職への適性であろう一,「実習校 のふんい気」などが考えられる。一方,教職意欲の低下は,逆に以上の要因が満たされなかった時に 生ずるともみられる。従って,以上の4要因あたりが向上要因として,さらにこれらに「勤務条件」

一今回の調査では少数であったが高学歴祉会におけるモラトリアムの延長に伴う社会的役劃・責任の 認知の立ち遅れが顕著な現代の学生にとってはかなりの意欲低下要因になるであろうと推定される一

意欲をもっていた 意欲をもっていなかった       習前

@     実

@      習

@       後 マ化・不変化の要因

より向

i31人)

変化なし i12入)

低下

i3人)

向上

i22入)

変化なし i9人)

より低下 io人)

ア 欄人的な要因

@  りi適性,意欲など)

 13 i41.94)

 4

i3a33)

 2

i66,67)

 6

i2727)

  7

i77.78)

0  32 i41.56)

イ 指導教師の研究

@捲導懸度,人柄  12 i3&71)

 4

i33.33)

 1 i3333)

 13 i5909)

 1

i11.11)

0  31 i40、80)

ウ 異習校のふんい

C

 8

i25β1)

 1

i8,33)

0  3

i13.64)

0 0  12

i王5.58)

工 児童・生徒との

@ふれあい

 30 i9α77)

 7

i5a33)

 1

i33,33)

 17 i77.27)

0 0  55

i7L43)

オ 異覆校の勤務条

@件

0 0 1 0 o 0  1

iL30)

力 実習校の施設・

@設備

 1

i3,23)

0 0 0 0 0  1

iL30)

キ 配当学葎・担当

@教科

 3

i9,6 8)

 1

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0  2

i9.09  1 iUユ1

0  7

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ク そ の 他  1 ia23)

 1

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 0 i1Ul

o 1 0

 3 i390)

68 18 5 41 王。 0 142

(5)

などが低下の主たる要因としてあげられよう。

  (3)教職への適性

 最後に,自分が教職に適しているかどうか,つまり教職適性を実習終了時においてどう考えている かをみてみよう。全体として,程度の差はともかく「適性あり」とするのは15.59%と少ない。一 図1−3 教職適性(全体)

 細㎜ 脚騙

㎜闘闘酬曙町㎜

      」1 か ど t・ if・,わ       富  な  ち  し    か       に  b  ら  ろ  tこ  ら       趨  鱈  と  埆  く  な       し  し  も  し  画  い       (  て  い  て  し

      いいえいて

      る  る  な  な  い         い   い   な

       い

表1−7 教職志望×教職適性(%)

一⁝⁝平㎏竺凝﹂ 96 40 訓 蝋 − 脚 oコ

 27a 27 ︵ 昌﹁−嗣i瞬﹂ 4     5 ︵

π ㎝ oコ堕 oo︸ ㏄ 0

@踊0  の7 篇 口 定  ⁝購⁝未 ⁝ の﹂ 50 2﹁μビ の詩⁝ ︵

⁝−はレ⁝七⁝攻一 7到一︑の

望﹁⁝ε  ︵ の7 % 0  ⁝ η2 篇 ︵

ア 一看⁝昼

押盤駒毒   適

卿幅あ

勘癬鞭鋤配﹁

方,「適性なし」の方はより多く27.27%,また「わ からない」という適性に関する認知の立ち遅れている者 は5.19%と無視できない比率を示している。しかし,

それにしても「どちらともいえない」という自己の教職 適性に関して評価の拮抗している者は51.95%と半数 に達している。実習前との比較ができないので何ともい えないが,実習によって適性の発見は多分進んでいるに せよ,学生の適性意識の重心は適性なしの方に若千傾斜 しているとみられ,このあたりにも教員養成カリキュラ ムの今後の検討課題があるように思われる。さらに表

1−7の示すように,教職志望層といえども適性に関し ては若干「適性あり」に傾斜しているとはいえ「どちら

ともいえない」がはるかに多く,「適性なし」も無視し がたい。さらに,未確定層及び非志望層の場合には,一一 顧「適性なし」の傾向が強い。これらのことからも志望 の高さとは裏腹に適性意識はかなり低いといえよう。

 2.教師に対する態度尺度を中心として

 前号の紀要において,教師に対する態度尺度の尺度化の経過,並びに選択率に基づくX6の意見項 目の内容分析を行った。尺度値の分布状況についても報告したが,総じて教師に対する態度は好意的 であり,教育実習による現場経駿が,態度変容の水準にまで関与しているらしいことが予想された。

 そこで今回は,尺度値に反映された変容の特色を分析すること,ならびに態度が教職意識といかな る関係を有しているかについて明らかにしてみたいと思う。

  (1>分類の基準と実習前後の連関

 態度の好意性の程度を3段階に区分するための基準として,スチン・スコアの1◎段階のうち,上

・下場4段階の合計と,中間の2段階の合計が示す比率(31%:38%131%)を目標にして,

尺度値の分布を3分類した。実習前と後との尺度値の分布が異なるために,分類基準も別々にした。

表2−1 尺度値による分i類基準

好意度 尺  度  値

実  習  前 実  習  後 α76以  上 α81以

0.36〜0.75 0.36〜0.80

0.00〜0.35 0.00〜035

表2−1に示したように,尺度値の小さいほど教師に対 して好意的な群になる。

 さて,表2−1の基準に基づいて,51年度の基本実 習前・後の資料が整っている77名について分類を行っ た結果が表2−ne 2である。これによると小学校実習生の

一133一

(6)

表2−2 教育実習前後の尺度値に基づく分i類(fと%)

藁慧塵

1 14.3 14 40.0 15 35.7 3 16.7 3 17,6 6  17.2 4 16。0 17 32.7 21 27.3

晶嗣

3 42.8 13 37.1 16 38.ユ 10 55.6 8 47.1 18  51.4 13 52.0 21 40,4、 34 4.1

3 42.8 8 22.9 11 262、 5 27.7 6 35.3 11 314 8 32,0 14 26.9 22 28.6

1 三4.3 11 31.4 エ2 28.6 5 27.7 4 23.5 9 25.7 6 24.0 15 289 21 273

4 57.1 玉4 4◎.◎ 18 47.6 10 55.6 7 41.2 17 48.6 14 56.0 21 40.4 35 45.4 2 28.6 10 28.6 12 23.8 33 16.7 6 35。3 9 25.7 5 20。0 16 30.7 21 27.3 7 100.0 35 100.0 42 10α0 18 100.0 17 100.0 35 10α0 25 10◎.0 52 100.0 77 100。0

場合,実習前では好意度の高い群が35.7%であるが中学校実習生では17.2%となっている。すな わち教師に対して好意的傾向の強さは中学校よりも趣学校の方が大きいようである。しかし実習後に なると,小学校で高い群の減少,申学校で高い群の増加によって実習前の特色は消滅する。

 また全体の欄の男女別についてみると,実習前の男性は好意度の高い群が1ao%であるのに対し 女性は32.7%を示し,男性より壱好意的回答を示している。けれども実習後においては中間群が増 加して男女ほぼ同じ傾向を示すようになり,教育実習を通して,男性は好意度を増し,女性はや\好 意度を減少させる傾向を読みとることが出来る。しかし,これらの傾向についてX帳定を試みた結果 いずれも有意ではなかった。(表2−3)

       表2−3 実習校差,性差の3び臆 学 校 差 性  差 実 習 前 犠364皿⑳s Z363 n④s

実 習 後 0・250簸。s 1・765n。s

表2−4実習前後の尺度値の連関 後削

14 5 2 21

5 19 10 34

2 ・11 9 22

21 35 21 77

 好意度ウ職志望

ア ・ イ 18 25 10 53

ウ・エ・オ 3 9 12 24

21 34 22 77

次に実習前と実習後の尺度値の連関係数を算出することによって変化の状態を捉えてみよう。77       名について実習前に好意度に関する各群に分i類されたものが,実習       後にどのような変化を示しているのかを表2−4に表わしてみた。

      実習前と後において,変化のないもの,すなわち表2−4の対角線       上の細胞内の人数は42名であり,54.6%である。ほぼ過半数の       者は同じ態度を維持しているといえよう。これに対して実習後に好       意度の低下したものは17名(22.2%),逆に好意度の上昇した        ものは18名(23.3%)であり,この低下した17名についての       分析が特に望まれる。この表から納直を算出すると26.18Gであ        り,連関係数は0.504であるところがら,教育実習によって,そ       れほど大きな態度の変容があったとはいえない,と考えるべきであ        る。

 (2)態度尺度の尺度値と教職意識との関連

表29ta 5 教職志望との関係         i)教職志望について

      現在の教職志望について,⑦ぜひなりたい,.④どちら        かといえばなりたい.◎決めかねている,㊤どちらかと        いえばなりたくない,④なりたくない,の評定尺度によ       って回答を求め,好意度の3群と関連づけた結果,表2

(7)

表2−6 意欲の変化との関係  好意的

モ欲の変化

高  揚 19 22 12 53

不変・低下 2 13 9 24

21 35 21 77

一5のように好意度の高いものに教職志望の強いものが 多く,反対に好意度の低いものには教職志望の弱いもの が多い傾向がうかがわれる。繍直は8.744であり,5

%水準で有意であった。

ii)教育実習への意欲について

 教育実習を経験することによって,教職への意欲はど のように変化したかについて,実習後に調査を行った。

この回答を,実習前より一9高まったという園答を高揚群とし,同じか又は低下したとする回答を不 変・低下群としてまとめると表2−6のようになる。富士は6.502であり,5%水準で有意であっ た。教師に対する好意度の高いものは,意欲の高揚群に大半が該当していることが知られよう。

   醗その他の教職意識について

 教育実習への自信の高さと教師への好意度との関係については贈直α785で何ら関係は認められ ず,また教職への適性について自己評定を求めた結果との関係は,多少,好意度の高い群に適性あり

と回答する傾向がみられるが,ω殖3889で有意ではなかった。

  ③ 態度の変容と教職意識との関係

 表2−4において教育実習前・後の連関を示したが,下降群,上昇群,対角線上の不変群の3群に ついて分析を試みてみよう。まずこれら3群の学校別,性別の特色を表2−7によって捉えてみると,

学校別では小学校に下降群が多く,中学校では反対に上昇群の割合が高い。また性別では男性に上昇 群,女性に下降群の割合が多くみられる。しかし,いずれも有意ではない。

表2−7 教育実習前後の態度変容に関する分類(fと%)

実習校ハ度変の容

下降群 2 28.6 8 228 1◎ 23.8 3 16.6 4 2a5 7 2α0 5 20.0 12 2a1 17 22.1 上昇群 3 42.8 5 14.3 8 19.0 5 27.8 5 294 10 28.6 8 32,0 10 14,2 18 2a4 不変群 2 2&6 22 62.9 2喚 57.2 10 556 8 47。1 18 56.4 12 4&0 30 57.7 42 54.5

7 100、0 35 100.0 42 10α0 18 100.0 17 1◎0.0 35 100.0 25 100.0 52 100◎ 77 100.0

  D教職志望との関係について

前述のように教職に対して希望回答のア・イと不定及び否定回答のウ・エ・オとの関係をみる 表2−8 教職志望との関係

 好意度ウ職志望 上昇群 下降群

ア ・ イ 10 13 23

ウ・エ・オ 8 4 12

18 17 35

一一@i35一

と表2…t8のようになる。これによると実習 前に教職を希望していた23名のうち13名 が下降群であり。予想されるような関係が見 出せなかった。2卸値は1.697であり有意で はない。

(8)

表2−9 実習への自信との関係         iP実習への自信との関係について       実習参加前における自信の程度を,⑦じゅ        うぶん持っている,⑦かなり持っている,◎

       まあまあ普通である,㊤かなり不安である,

       ④全然自信がない,の5段階評定形式で回答        を求め,普通又はそれ以上に自信を持ってい        る自信群(ア・イ・ウ)と不安群(エ・オ)

とに2分割してみると,表2−9が示すような特色が見出された。素直は5,381で5%水準で有意 であり,教育実習に対して不安感を有しているものに下降群が多く,表2−8と関連づけて考えると,

教職に対して強い志望を有しているけれど,実習に対する自信がなく,そのため実習期間申の適応性 が不安定となり,何らかの失敗経験が自覚されて,対人関係,とくに対教師関係に問題をこじらせて

しまうのかも知れない。

 いまだ資料が少ないために,結論を求める段階ではなく,今後の研究に対する方向性を導いたり,

問題の所在を予測したりする程度ではあるが,実習に参加する前に,実習に対する不安感情を軽減す るための何らかのステップを導入することが出来れば,より効果的な教育実習経験を体験せしめうる のではないかと思われる。

  好意度

ゥ信 上昇群 下降群

ア・ 。} 10 3 1 3

エ ・ オ 8 14 22

18 1 7 35

 3.教師イメージを中心として   (i)イメージの捉え方

 ここでは,教師という職業がどのようなイメージのものとして教育実習生の中に存在しているかを 捉え,そしてそれが,①聖職者としての牧師,②専門的技術者としての建築技師,③サービス業者と してのホスト・ホステス,及び④単純労働者としてのデパートの店員等のイメージとどのような違い を有するかを見ていく。また,そのようなイメージが教育実習という現場体験をすることによって,

どのように変容するかを検討しようとするものである。

 これらの職業イメージの捉え方は前号(1977年,第9号)において詳述したが,S−D法(セ マンティック・ディファレンシャル法)と呼ばれる,ある概念(ここでは教師及び上述の4種の職業)

について,いくつかの形容詞対(ここでは24の形容詞対を用いた)をラムダに並べ,それらを7段 階を評定させるという方法によった。

 形容詞対はOsgoo颪1),柏木(2>。相良ら(3)の結果を参考にし,教師という職業を勘案して「道徳性 感性,能力,活動性」の次元を考え,各次元から6対ずつ計24対を選び出した。これを教背実習前

と実習後とに行い両者を比較し,その様相の違いを見るわけである。

  (2) S−Dスケールの集計

 S−Dスケールは各概念ぐとに集計する。その場合の点数化は次のように左から右へ1〜7点まで 1点ずつ加算的に点を与えていく。

(9)

〔例〕 とても かなり やでどや

  もち   な

やいらや

とてもかなり

優れた H一一斗→一→

7  6 5  4  3 2

1

劣った

このように点数化した結果の各概念の得点状況を示すと次のようになる(表3−2〜表3−6)

表3−1 平均得点と標準偏差(教師)     表3−2 平均得点と標準偏差

       (デパートの店員)

nmER OF SUBJE()1[S=293 VAR IABLES

    1     2     3     4     5     6     7     8     9    10    11    12    13    14    15    16    17    18    i9    20    21    22    23    24

S3380841297411842ユ︑0328979 ㎜瀦欄㎜欝雛躍黒藻黙螺懲脳撰難

STANDARD DEVIATIowS

      O,84918       1.35660       0.97371       0.88361       1.11390       1.10943       1.3 5546       1.03872       0.95759       1.19542       0.96585       0.82933       1.15745       1.25721       1.0 7861       1.09155       1.16626       1.01246       1.16181       095942       1.03524       1.07258       1.13778       0.98667

nmFR OF SUBJauS=293 VAR IABLES

    1     2     3     4     5     6     7     8     9    10    11    12    13    14    15    16    17    18    19    20    21    22    23    24

㎜饗器麗鵬翼潔黙黙襯難叡覧撒  3433344塗44塩43a332・4344443

S㎜)DεVlA玉 1(灘S

      O.60542       0.92312       0.68999       0.66173       0.70331       0.97258       e.98e15       0.97059       0.95332       x.ess30       2.O1275       e8i743       0.58996       088063       083812       0.81018       0,98851       0.78579       1.e252e       O86824       1.OO718       109342        095309       0.77044

囎137…

(10)

表3−3 平均得点と標準偏差

      (ホスト・ホステス)

 ma OF SしBJE(1/rl S=・293

麗・ S

STmm DE V IATI(XN S        O93697        1.11926        1.88615

       1.0 2 7 O 8

       O.99202        092511        1.28615        1.28592        1ユ8695        1.03iO2        0.97145        L22668        1.10529        1.03801        139532        0.96562        1.l1426        096937        1.02248        0.83298        !10092        1.22698        1.03396        1.03398

表3−4 平均得点と標準偏差(建築技師)

wwR OF SUB JE]CI[R=:293

 ρ0ハ01

125り0ら0124  963

へ◎ーワ鳴門D

92

サ3β 440◎00

4ρ◎ハ◎ハ0

ユ657

01 6

68 4

59臼ハU4⊥004轟りO

QO540

R︶17・7偲駿嘱娼 ︵Uワ紐−◎︾39侶∩◎8

450Q︾β92ρ

STANDARD Dlt7V IATI(.NS

       O.84945        e.85672        0.87893        0.86454        e.94223        0.88319        0.8902i        e.77098        e.8120・5

       0,98530        0.7 6645

       0.76645        0.86826        0.94192        0.82774        0.87653        0.91854

       0.88880        0.87252        0.90707        0.90652        0.94079        1.07453        e.97429

(11)

表3−5 平均得点と標準偏差(牧師)

  NUVIBER (1]F S U  BJECrs==293

4バ㎜4R︶

434q◎ 4544

畠︒0£ゆ

S護2

ユβゆ6B怠2ユ1 Q︶9R︶513rO∩◎

004◎VO

ハ◎4∩66 589臼◎U

00◎◎0

へ65QQハ0

婆8へ07 41義21

ハ◎−幽87

 884

5 20 β 0 3

60︵U994上34 0◎19 ゆ235

STmm DEV IATICNS

       O.95973        1.32286        1.02356        0.98711        1.12339        1.1 0513

       1.04098        1.11446

       1.05035        1.54030        1.08008        0.80114        1.1 5361

       1.31416        1.16419        1.エ7711

       1.エ1818

       0.82100        1.218ユ4

       0.72620        0.99745        1.ie590        1.14461        1.11541

表3一 A6平均得点と騨偏差1全体)

  NUN,BER OF SUBJEerS=1465

㎜細細肥

09一n◎Q︾

638Q︾

哩151へδ−←8rO−βの

  23

4 8 21

2

4

9翻﹁053

04ゐ45 56QV8

唱174雪1︵り

4の33 4轟444 689ハ0

8AUO−∴

628﹂4

ら◎OQづ工瓜∪

22溜4

4丞Aへδ4

61

0

94 3

Qソ509

700ハ00

39臼18

375雪上1

34β3

7 87

31 4

STANDARD DEVIATICifxlS

       LI 3280        1.36048        1.09133        1.21423        1.1 8312

       1.26653        1.22219        1.22657        1.11814        1,32678        1.12eoo        O.90483

       1.05433        1.22225        1.2e318        1.13736        1.29071        1.Oe387        1.18978        0.93319        1.07250

       1.1 5135

       1.26053        1.1 5789

e139 mo

(12)

表5−7  F 1・

15205472923793027125690117 87198611◎2643198135749◎254

6776772232102323232ーエ◎05450.αααα0︒ααααααααα0.αααααααα48︒         ㎜       一       

123456789◎1234567890123婆P

         111111玉11122222V

24度の尺度項目による因子行列 F 2

・mm@o. O 6 3

0.OlO

−e.oso

−O.083

−o.oe1 O,213 0.1エ8 0.035

0.O 2 l

o.els 一〇.399 O.OO2

0.1 6 7

一一@O.OO3 e.111

e.e 4 4

0.OOs e.439 0.605

0.6 9 5

0.305

0.2 2 7

0.787

0,1 2 1

2,lO1 8.756

F 3 0.219 0.093

0.2 O 5

0.203 0.132

,0.220 0.803 0.835 0.728 0.200 0.412 0.723 0.086 0.162 0.123

e.1 8 3

0.196

0.0 9 3

一〇.134 O.085 e.216 0.Ise

O.1 3 l

o.2es 3.093

F 4 F s

O,296 一〇.311

0,178 O,040 0.302 一e.173 0.328 一〇,257

0.260 O.OO7

0.117 一〇.102 e.oos 一〇,os3 0.066

0.229 0.126 O.427 0.260

0.6 8 2

0.7 3 2

0.731 一〇.191 0.730 ・一〇.114 0,.374 一〇.621 0.317 一〇.286 0.235 一e.268 0.e44 o.02s

O.153 一〇.e54 0.24.3 一〇.082

一 O.O O 6

O.4 2 6

3.352 12.889 13.966

[E)OTAL OF PEqCENT==68. s 16 TOTAI., VAR I ANCE 235.7072  因子II

尺度番号

 23  20  19  18  21

    F 6

    −O.130

    一 o.e s o

    −O.127     一 O.099

    0.OO5     −O.074     一一 O,OOl O.050 一〇.112 0.043 一〇.134 0.785 O.04 X 0.378 一〇.212 e.017 一〇.i66 0.033 一〇.175 0.12e 一inO.1il     一 O.1 1 7

    −e.066     −O.089     一一 e.223     −O.125     −G.363     −O.810     −O.813

0.173 一一一〇.100

一一Z.X88 一〇,216

1.651 1.795 6.878 7.480

  尺   度   因子負荷量

新しい一古 い 。787

すばやい一のろい  。695 はげしい一おだやか  。605 するどい一にぶい 。439 活発な一不活発な  305       e

 因子皿 尺度番号   8   7   9

 12  1S

 (3)結果

 上記のように点数化されたデー タに基づいて因子分析を行い(ハ イタック8800電算機使用,軸 の回転はバリマックス法,回転数 100)因子の抽出をした。その 結果表3−7のような因子行例が

得られた。 これを第1,.瓦蟄,、W因 子について正の負荷量順に並べて みると以下のようになる。

因子1

    尺  度  因子負荷量尺度番号

5完全なe…不完全な 。785 2 一貫した一矛盾した 。775 6 正確な一不正確な 。764

3立派な一貧弱な 。712

4高い一低い。6go

これらは,道徳性(Sagaxa.egaiの

M◎ral Correctnessに対応)

の因子にあたり,この因子を教師 という職業を評価する際の基準の 面から命名することを考え,「価 値」の因子と名づけた。

  尺   度   因子負荷量 明るい一暗  い  ⑲835 楽しい一苦しい 。803

気持のよい一気持ち悪い 。728 愉快な一不愉快な  。723 暖かい一冷たい  。412

 これらは活動性(OsgoodのActivity

に対応)の因子にあたり,他に能力二色合いも含 まれている。

 この因子を教師という職業を見る場合の基準を 考え, 「仕事の時代適合性」の因子と命名した。

 これらは感性(Sagara, etaiのSensory

?1easureに対応)の因子にあたり,この

因子を「立場の安定性」の因子と命名した。

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