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著者 上野 美沙, 近喰 ふじ子, 大井 京子

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(1)

「臨床心理学実習」 が学生の心理的変化に及ぼす 効果についての研究 : 東大式エゴグラムからの分

著者 上野 美沙, 近喰 ふじ子, 大井 京子

雑誌名 東京家政大学研究紀要 1 人文社会科学

巻 48

ページ 187‑193

発行年 2008

出版者 東京家政大学

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00009254/

(2)

「臨床心理学実習」が学生の心理的変化    に及ぼす効果にっいての研究

一東大式エゴグラムからの分析一

上野美沙*,近喰ふじ子**,大井京子***

     (平成19年10月4日受理)

AStudy of Psychological Changes in Students Taking the Class

       ℃linical Psychology Practice

一from an Analysis of TEG一

UENo, Misa KoNJIKI, Fujiko and Ool, Kyouko

       (Received on October 4,2007)

キーワード:臨床実習,心理的変化,TEG

Key words:clinical practice, psychological change, the Tokyo University egogram(TEG)

1.はじめに

 臨床心理学実習は人間理解を目的に,心理,教育,福 祉を学ぶ学生の体験実習の場として心理教育学科の4年 次の授業として開講した.その上で,授業では前期に病 院実習に必要な知識や技術を学び,後期には実際に実習 機関での全10回の実習を体験できる内容となっている.

将来,心理臨床の道に進もうと考えている学生だけでな く,さらに教師,社会福祉士や精神保健福祉士を目指す 学生,心理教育学科で学んできたことを実践の場で体験

してみたいという思いから履修する学生まで学ぶ目的は 様々である.

体験実習の意義については,すでに小野田らが報告し ている1),第1に,理論的基礎と臨床実践の統合,第2 に臨床の現場で,なまの人間像に向かう医師やスタッフ の治療の実際や連携などを実際に学ぶことであると述べ ている.今までは講義や専門書の中で学んできたことを 実際の臨床現場で実習を通して実践的に学ぶという体験 は学生に少なからず影響を与えるのではないかと思われ る.そこで,毎年,授業の前後に個別アンケートと東大

  * 文学部心理教育学科資料室

 ** 文学部心理教育学科第2臨床心理学研究室

*** 東京家政大学付属臨床相談センター

式エゴグラム(以下,TEGと記す)を行い,その際学 生に感想を記述してもらったところ,「実習を通して自 分が成長した」,「実習が自分の価値観に影響を与えた」

など,この実習現場が自己成長にっながったと報告して

いた学生が多かった.

 このように,臨床心理学実習を体験した学生の自己成 長の気づきこそが,体験実習の成果に他ならないと考え られる.ここでは,自己成長を感想のみならず,内的な 変化として捉えることを目的に,TEGから検討してい

きたい.

         H.対象と方法 1)対象

 対象は平成15年度〜平成17年度「臨床心理学実習」

履修者48名(大学4年生)であった.そのうち,TEGに おいては回答に不備のみられた3名を除いた45名を対

象とした。

 (履修者内訳) 平成15年度 14名.

        平成16年度 14名.

        平成17年度 20名.

2)方法

 個別アンケートの内容は表1に示した.履修者全員に

対して臨床心理学実習初回授業時および最終報告会終了

時に実習に関する個別アンケートと心理検査としての

(3)

上野 美沙・近喰 ふじ子・大井 京子

表1実習前後で実施したアンケート内容

実習後アンケートの内容 実習前アンケートの内容

田5年度 H16〜田7年度

1所属ゼミ

実習後の満足度(5段階評定)

実習後の満足度(5段階評定)

2 臨床心理学実習の履修理由

実習して良かったと感じた点 実習して良かったと感じた点 3 臨床心理学実習に期待すること 実習して問題を感じた点 実習して問題を感じた点

4取得予定の資格 その他気づいた点 その他気づいた点

5

実習前と比べて自分の中で変化した点 実習前と比べて自分の中で変化した点

6 将来の進路への影響について 将来の進路への影響について

7

今後進みたい進路について 今後進みたい進路について

8 実習前にもっと学びたかったこと

9 実習前に授業でやってほしいこと

10 授業全体の満足度(5段階評定)

表2実習機関種別と実習生の内訳(N=48)

実習生人数(実習機関数)

H15年

履修年度

Hl6年 Hl7年

 私立病院(12機関)

 クリニック(1機関)

 デイケア(1機関)

 通所施設(2機関)

社会福祉施設(2機関)

 教育機関(1機関)

 療育機関(1機関)

合計(20機関)

10名(8機関)

︵  ︵  ︵  ︵

名名名名

﹂■■  ﹂■■  己■■  −

1機関)

1機関)

1機関)

1機関)

14名(12機関)

5名(5機関)

2名( 1機関)

1名( 1機関)

2名(2機関)

2名(2機関)

1名(1機関)

1名( 1機関)

14名(13機関)

10名(7機関)

1名( 1機関)

2名(1機関)

3名(2機関)

2名(2機関)

1名(1機関)

1名( 1機関)

20名(15機関)

TEGを配布し,初回および最終報告会終了後に回収し

た.

 分析では,実習後に実施したアンケートの中の「実習

後の満足度」,「実習前と比べて自分の中で変化した点」,

「実習してよかった点」,「実習をして問題を感じた点」,

「将来の進路決定への影響」という項目とTEG得点の変 化から臨床心理学実習が学生に与えた影響にっいて検討

した.

       m.結果 1)実習機関と実習生の内訳

 臨床心理学実習では,提携されている実習機関の中か ら希望する実習先を学生が選択することになっている.

1機関に1〜2名の学生が実習に行くことになっているた め,複数の学生が1機関を希望した場合には,お互いに 話し合って実習先を決めている.その上で,臨床心理学 実習が実施された機関と実習生の内訳は表2に示した.

実習機関の細かい内訳を見ると,私立病院では,精神科 4箇所,精神神経科2箇所,心療内科2箇所,小児科3箇 所,産婦人科1箇所が含まれている.クリニックは小児

神経学クリニックの1箇所,デイケアでは公立病院の精 神科デイケア1箇所,通所施設では発達1璋害児の通う施 設1箇所と知的障害児・者の通所施設1箇所,社会福祉 施設では,知的障害児・者を対象とした施設1箇所と重 度心身障害児・者を対象とした施設1箇所,教育機関で は公立の教育相談センターであり,療育機関は公立の療

育センターなどである.

 H15年度に私立病院を選んだ学生は10名(71%),通 所施設・社会福祉施設・教育機関・療育機関が各々1名

(7%)ずっの4名であった.H16年度では私立病院5名

(36%),クリニック2名(14%),デイケア1名(7%),通

所施設2名(14%),社会福祉施設2名,教育機関1名,

療育機関1名(7%)であった.同様に,H17年度は私立 病院10名(50%),クリニック1名(5%),デイケア1名

(5%),通所施設3名(15%),社会福祉施設2名(10%),

教育機関1名(5%),療育機関1名(5%)であった.

2)実習の満足度

 満足度は,「かなり満足」から「不満」までの5段階

で回答を求めた.3年間共に「かなり満足」と答える学

生が最も多く,「やや満足」を合わせると約85%以上の

(4)

35

30

25

20

数 15

10

5

0

口H17年 H16年

。田5年

⁝i

       } かなり満足     どちらでもない      不満     やや満足      少し不満

       実習の満足度

  図1 実習の満足度(N=48)

 18  16  14  12 得10

点 8

 6  4  2  0

  CP     NP     A     FC     AC

      *P<.05 図2 TEG得点平均の実習前後比較(N=45)

表3 実習の満足度が低かった学生の感想(抜粋)

実習の満足度 理由 概要

3(どちらでもない)

3(どちらでもない)

3(どちらでもない)

4(やや不満)

4(やや不満)

実習はどちらかというと患者とのコミュニケーションが

主体であったと感じました。欲を言えば期待していた 実習内容に対する不満

ものと少し違っていた気がします。

実習で抱いた疑問を担当の先生にお話できる機会が

なかったため。不明な点が不明なままになってしまっ実習内容に対する不満 たため。

前期でも後期でもあまり変わらないかもしれない。4

      実習時期に対する不満 年生は就活・卒論があるので。

思っていたような勉強ができなかった(質問紙や陪席

      実習内容に対する不満

など)。

自分の行動があれでよかったのか,もう少しやりた

      自分自身への不満

かったというような気持ちがある。

表4 実習機関別にみた実習の満足度(N−48)

       実習機関

実習の満足度

       私立病院 クリニック デイケア 通所施設 社会福祉施設 教育機関 療育機関

合計

かなり満足

 やや満足

どちらでもない

 少し不満   不満   合計

16(64%)

5(2%)

3(12%)

 1(4%)

0(0%)

25(100%)

2(67%)

1(33%)

0(0%)

0(0%)

0(0%)

3(100%)

1(33%)

1(33%)

0(0%)

1(33%)

0(0%)

3(100%)

3(50%)

2(33%)

1(17%)

0(0%)

0(0%)

6(100%)

4(80%)

1(20%)

0(0%)

0(0%)

0(0%)

5(100%)

2(67%)    2(67%)

1(33%)    1(33%)

0(0%)  0(0%)

0(0%)  0(0%)

0(0%)  0(0%)

3(100%)   3(100%)

30(63%)

12(25%)

4(8%)

2(4%)

0(0%)

48(100%)

学生が施設実習に満足していることが分かった.すなわ ち,「不満」と答えた学生が一人もいなかったことから も実習に参加した学生が臨床現場での実習に満足してい ると理解できる(図1).しかし,「どちらでもない」や

「少し不満」など必ずしも満足しなかった学生もおり,

その内容を分析することが今後の実習の充実を図ってい くことにっながると思われた.そこで,実習の満足度の あまり高くなかった学生の感想を表3にまとめた,不満

の理由としては実習の内容に関するものが多く,次いで 実習時期に対する不満や自分自身への不満などが挙げら れた.これらのうち,実習内容や実習時期に関しては今 後,実習機関と相談しながら改善に向けた努力が必要で あると思われたが,実習機関や担当者との関係もあり難 しい問題が残された.さらに,実習機関別に見ると,

7機関のうち4機関は「かなり満足」「やや満足」と答え

た学生が60%を超えており,40%弱の学生は満足度が低

(5)

上野 美沙・近喰 ふじ子・大井 京子

く,実習機関の選択に問題が残されているように思われ

た(表4).

3)実習前後での学生の人格変化

 実習前後からみたTEG得点の比較では,実習前より

も実習後にCPが有意に低下していた(t=3.60, df=44,

pく.05)(図2).TEG得点は個人差が大きく,平均得点、

の比較ではうまく個人差が表現されないため,TEGの 各項目ごとの得点の変化を上昇した者と低下した者に分 けκ;1検定を行った.その結果,実習前よりも実習後に CPは1%水準で, ACは5%水準で有意に得点が低下する

者が多く見られた(表5).

 実習を通じ,自己理解や他者理解の考え方の変化では,

CPに関しては,「ものの考え方が柔軟になった」,「倫 理的な問題を以前より考えるようになった」,「人間理解

表5 TEGの各項目ごとの得点の増減とX2検定結果

      (N=45)

N 上昇 低下

X2

㎝陣AFc船 ﹃OFO﹁0﹃OP◎ 4.4444

 3384.8

 ハ∠ワ﹂11 7227132223

18.70

0,02 0.02 1,80 6.42

* *

      **P<.01 *P<.05

をすることが大切」,「価値観が変わった」といった内容 のものが多くみられていた.また,ACでは,「実習を する前は緊張と不安でいっぱいでおどおどしていたが,

実習前より少し自分に自信が持てるようになった」など であった.なお,変化の少なかったNP, A, FCにお いても,「自分もちゃんと(自分の気持ちを)言葉にしよ うと思った」,「実習の中でただ遊ぶのではなく,療育を

表6 TEG得点の変化と「実習をして自分の中で変化した点」との関連

CP NP

A

FC AC

1

気遣いと明るさは大切だと vった.全員じゃなくて目の

Oにいる人,関わっている人

大事にすることが私なりの 沁モセと思えるようになっ

ス,

何でもすぐ答えを出したがる

舶ェは白黒をはっきりさせよ

、とする短気なところを改め ト戒めようとするようになっ

ス,何にでも時間が非常に L効な薬となることを学ん

セ,

障害をもっている方に対し ト,以前よりももっと優しくな

黷ス.弱い立場の人は周り ナ支えてあげていかなくては

ネらないということを強く思う 謔、になった.

他人に対して自分を押し付

ッるような態度が少なくなっ

ス,他人を受容するように

ネったかなと思う.

実習前は「どんなことを話し スらよいだろうか」と緊張して

「たが,実習を通して患者と ヨわることができ,落ち藩い

ト楽しく会話ができるように ネった.

今までは自分の気持ちを言 今までは普通だと思ってい 問題に臨機応変に対応する

すごく物の考え方が柔軟に

葉にしたりほめたりすること たことは実はそれを感じられ

先生方を見て,臨床場面で

現場を知ることができたこと

2

なった. 今の自分 を大切 があまりなかったけれど,自 るということ自体がとても幸

は全ての人に対してかかわ

で.少し自信がついた,今ま にしようという考えが強くなっ 分もちゃんと言葉にしようと せであることが分かった,こ り方が違うことや教科魯通り で勉強してきたことの理解が

た.

思った,エネルギーをもらっ

れからは毎日を大切に生き には物畢は進まないことな

深まった,

た.

ようと思うようになった, どを学んだ,

何かを与えてもらうのを待っ

3

倫理的な問題を以前より考

ヲるようになった.積極的に {ランティアに参加しようと思

自己否定感が弱まり,人間 当率者の方への心構えが変 墲閨C利用者の方を主体とし ス支援ができたらいいと思う

ているのではなく「今,何が ナきるのか」を考えて,ある

度自分で判断して行動し

うようになった,

つ,

ようになった, なければならないと考えるよ

うになった,

4

多くの患者やスタッフの方々

ニ接したことで以前に比べて ー大な心になった気がする,

齠勛齠冾フ生活を大切にし

謔、とより強く思うようになっ ス.

実習の中でただの遊ぶでは

ネく,療育を目的とした遊び

知って,心理を学んでいる メとしての自覚をさせられ

ス,

積極的に自分から質問した

陂bしかけたりするように ネった,

患者や患者の抱えている病 Cに対して偏った考えをして

「たが,もっと幅広い考えで

ィえようと思うようになった、

患者の問題のみでなく,患 将来,心理の仕事に就いて

者本人を理解すること,患者 働いている自分の姿を実習 実習をする前は緊張と不安

5

とのかかわりの中で私が疑

前より具体的に想像できるよ でいっぱいでおどおどしてい

問に思っていることが,本の うになった、実際の仕事はと たが,実習前より少し自分に

内容よりももっと璽要だと感 ても大変であるが,やりがい 自信が持てるようになった,

じている. を感じられると思えた.

実習前までは,患者を援助・

実習前は,精神病や精神病

支援するものだと思っていた

院に対して少し恐怖感を持っ 人として生きる厳しさや難し

6 けれど,「職員」「愚者」という

ていたが,実習が終わった

さを知った.コミュニケーショ

枠だけではない人間同士の 現在は,精神病院で働いて

ンって難しいと感じた.

かかわりを学んだ, みたいと感じるようになった,

以前よりも自分のことを客観

各々の病気に対する認識が

7

的にとらえられるようになっ 変わった.自分に厳しくなっ

た、涙もろくなった. た(良い意味で).

実習前は医療現場は診断を

することが重要であると考え

自分の考え方に偏りがある

8

ていたが,まず人間理解を

と思いました.これから先気

することが先決であることが をつけようと思いました.

分かり,価値観が変わった.

(6)

表7実習して良かったと感じた点、

H15年 田6年 H17年

1

実際に子どもたちと触れ合えることができた フでとても楽しかった.

実習をとってなければ出会わなかった子ども スちやそのお母さん方と出会うことができた

アと.

生の雰囲気を感じることができた.社会に出 驍アとの厳しさを感じた.自分の足りないこと ノ気づいた.

2

実際に患者と接することができた.患者の生 フ声が聞けることができた,

他大学の実習生と仲良くなることができ,悩 ンや質問を話し合うことができてよかった

ラポールの形成や地域の人間関係づくりま ナ目を向けることができた.実習先での職場 フコラボレーションを目でみることができた.

3 病院について改めてどんなものなのか,患 メの辛さを感じることができた,

相談員の仕事を見れたこと,教育相談の多 ウ,深刻さを知れたこと.子どもの成長を実

エできたこと,

利用者の方々からさりげない優しさや素直 ノ自分の気持ちを伝えることの大切さを教 墲チた,利用者や支援員の方々から待つこ ニや見守ることの大切さを教わった.

4

人として考え方が変わった.柔軟なものの考 ヲ方,女性として生きていくうえで.学べるこ

ニが多くあった.

病気である患者・という前に一人の人間として ヨわることが患者を理解することだと知った

アと,

注意をするときのうまいやり方,職員と利用 メの関わりが見えた.

5

実際に患者を見ることができ,陪席・グルー

vワークなどに参加できたこど家族会に参 チしたこともよかった.

現場での雰囲気にふれられたこと,心理士 ニして働きたい気持ちが強くなったこと.

障害があるなしにかかわらず,人と接するこ ニの暖かさを感じることができた,集団に対 キる援助の仕方(目的・技術)など学ぶこと ェできた,

6

普段触れ合うことのない人々との出会い.社

?lとしての常識や礼儀を学べたこと.

どんなことも一朝一タに解決することはない ニいうことを感じた.時間をかけて一つ一つ マみ重ねていくことが大切だと思った.

実際の現場を見ることができた,心理だけで ネく,ケースワーカーや,PT. O丁の方とお話 ェできた,

7

精神科の患者と出会い,本に魯かれているこ ニ以上のことを自分の目で見ることができ ス,病院から地域へと出て行く患者への Tービスが様々であることが学べた、

自閉症の方のイメージが実習前には怖いと vっていたが,実習を通して,全くそのような アとはないのだということに気づいた.

現場での医師の生の声が聞くことができた.

繩wに関する知識が身についたこと.医療 サ場での臨床心理士の役割がみれたこと.

8 同じ患者の診察を何回か見ることができ,そ フ変化を実感することができた.

患者や家族が抱えている不安や悩みなど,

サの実情を知ることができたこと.

患者さんが持つ悩みというものを肌で感じら

黷スこと.

9

障害児の親としての母の葛藤,それを乗り zえていく強さを間近で見れた.療育に対し ト,子どものカを引き出していく可能性を感

カることができた,

翼際に教科書では知ることのできないことを

スくさん聞くことができたこと,

陪席で語られる内容を聞かせていただいた 閨C心理テストなどを見させていただくことが ナきてよかった,

10

心理士はもとより,他の職種の方と交流をも

トたこと.

表8 実習して問題を感じた点、

H15年 H16年 H17年

1 先生が忙しそうなときに実習ノートの点検を ィ願いするのが申し訳なかった,

担当の先生とあまり話す機会が得られなっ スことが少し残念だった.もっと積極的に質 竄ネどすればよかったと思う.

心理面における対処,発達に遅れがあるで

??、患児に対する対処.

2

診察室での患者さんの自傷行為に対しての ホ処法.

一人ひとりの状態の把握がしづらく,応答に

「ったことがあった,作業がほとんどない日

烽?チた.

週に1回の実習で3ヶ月の時間を要するの ナ,全体的に見ると少し長いように思う.

3

もっと積極的にお願いして,予診の陪席や,

?ニ療法の参加,入院患者さんとの会話な

ヌをさせていただければ良かった,

子どもの私を試す言動への対処. 実習先によっていろんなバラつきがあると感

カた,

4

担当の先生が毎回いらっしゃると思っていた

フで,そうでないときは戸惑いもあった. 実習先への事前学習の少なさ,

初めてのことだらけで,どのような時にどの 謔、な行動をとればよいのか分からないとき ェ多々あった.

5

自分の知識の少なさ.経験の少なさ.

自分自身の知識不足,勉強不足について.

ソ問するタイミングを逃してしまい,陪席をし トいた時に質問できなったり,聞き逃してし

ワったことがあった.

やってはいけないことを利用者がしてしまっ

スとき,「だめだよ」と注意できなかったこと.

6

実際に来院者や患者と話す機会がなかっ

ス,

クライエントに個人的な質問を聞かれたとき ノ少し困ってしまった、

ロールシャッハテストの知識が足りず,貴重 ネ機会を逃してしまった.

7

PTやOTの先生にもお話を伺いたかったがス

Pジュールの関係で無理だったこと,

実習のノートの提出が毎回その日の終了時 セったため,じっくりと感想が書けなかった.

実習が終わったその日のうちに,先生と振り ヤりをする時間が取れないことがあり,少し c念に思ったことがあった.

8

自分自身が未熟な点.援助に対する技術.

lと関わること〔経験不足).

患者との関係だけでなく,病院の中での他

フ医師や看護師との関係について.お互い フ考え方や立場を理解した上で自分のペー

Xで仕事をすることの難しさ.    ・

毎週同じ曜日だと,同じ内容のプログラムし ゥ体験できないので,物足りなかった.

9

非言語的コミュニケーションが難しいと思っ

ス,

(7)

上野 美沙・近喰 ふじ子・大井 京子

表9将来の進路への影響にっいて

H15年 H16年 H17年

1 自分が何に興味を持っているかを改めて確 Fできた.

子どもたちとかかわる仕事により強く関心を

烽チた 子どもを対象とした心理職に興味が向いた,

実習を始める前から子どもに興味があった

2

進路ではないけれどこれからボランティアと

オてでも関わっていきたいと思った.

が,実習をやってみると,子どもだけでなく,

qどもを含めた親子関係に興味を持つように

現場のワーカーとして働くことを具体的に考

ヲた.

なった.

実習前より,さらに強く心理の仕事に就きた

3

自分はどの側(職種)で人と接する仕事をし

スいのかを思い直すきっかけになった.

いと思うようになった.そして,それを実現で ォるように頑張りたいと強く思えるようになっ

できるならこの仕事(心理職)に就きたいと

vった.

た.

4

ますます精神科の必要性を感じ,そこで働く アとへの意義も感じた,

色々な病気を抱えている人ともっとかかわり

持ちたいと思った, 集団に対する援助への興味が湧いた.

5

心理職を目指すきっかけになった,

以前には精神病の方を対象として働くことは ゥ分にも無理だと感じていたが,現在はぜ ミ働きたいと思うようになった,

元々将来の進路は決まっていなかったけれ ヌ,福祉系・児童系にとても興味を持った,

ッ時に他の病院や精神福祉系の現場も知り

スいと強く思った

進路ではないが価値観に影響があった.

6

「自分にとって何が幸せなのか」「いかに幸 ケに生きるか」という視点を持って考えると ゥ分の常識が少なからず覆えるという経験

個人療法ばかりに意識が向いていたけれ ヌ,集団療法にも興味を持った,

今回の実習で人の可能性を引き出す職業の f晴らしさ,その人の歩んでいる道をより豊 ゥにする職業の素晴らしさを感じた,

をした.

以前は健康な人がより健康になれるような 仕事がしたいと思っていた,今でもその気持

7

ちに変わりはないが,健康とはいえない人た ちとも関わってみたいという思いが湧き起

こった,

目的とした遊びを知って,心理を学んでいる者としての 自覚をさせられた」「他人に対して自分を押し付けるよ うな態度が少なくなった」「利用者の方を主体とした支 援ができたらいいと思うようになった」などの変化も少

なからず見られていた(表6).

4)学生の感想

 実習をして良かった点と問題を感じた点にっいては表 7および表8に示した.前者は臨床現場で体験したこと に対する感想が多く,実習に行ったことで自分の価値観 が変化したり,病気や障害に対する知識がさらに広がっ たというものなどが見られていた.後者では目分の知識 のなさや患者や実習先の先生方とのコミュニケーション の難しさを感じている学生も少なからず見られていた.

5)将来の進路決定への影響

 履修者が大学4年生ということもあり,臨床心理学実 習が学生の進路決定に影響を与えるのか,また,もし影 響を与えるものがあるとしたら学生はどのような進路の 方向に進むのかを検討した.さて,実習期間が夏期また は,10〜12月の短期集中という事もあり,学生の中に は進路先が既に決定している者もいることを付け加えて おきたい.その上で,実習を体験することで「心理職を 目指すきっかけになった」,「進路ではないが価値観に影

響があった」,「実習前よりもさらに強く心 理の仕事に就

きたいと思うようになった」など,臨床現場での実習体 験が学生の将来の進路決定に少なからず影響を与えてい

ると思われた(表9).

      IV.考察

 本研究は平成15年度から平成17年度までの3年間に,

「臨床心理学実習」の授業を履修した学生に,実習体験 が学生の自我および自己の捉え直しなどに与える影響を 個別アンケートとTEGから検討することを目的に行っ

た.

 ところで,エゴグラムとは,交流分析を創始した BerneE.の弟子のDusaylJ.M.が人間の5っの自我状態 をグラフ化して視覚的に把握できるようにしたものであ る.5っの自我状態とは,すなわち,父親のように批判 的なCP(Critical Parent),母親のように養育的なNP

(Nurturing Parent),大人の自我状態を表すA

(Adult),生まれたままの自由な子どものようなFC

(Free Child),適応的ないい子であるAC(Adapted Child)の5っである.交流分析では,5っの自我状態か

ら個人の人格を捉えていく.

 学生の心的変化をTEG得点からみると,実習前も実

(8)

習後も共にNPの高い者が多く,実習を履修した学生に は他者援助を好む者が多いということが明らかとなった

(図2).小林ら2)が短期大学生に行った病院実習におけ る心理特性に関する研究では,TEGの各項目の平均得

点は,CP=6.60(SD:3.85), NP=11.10(3.92), A=8.87

(4.40),FC=11.50(4.63), AC・=12.37(3.99)で,本学 科の学生の自我状態の方がCP, NP, A, FCの4っの 自我において高かった.すなわち,実習参加学生にはエ ネルギーの高い者が多いのではないかと推察された.ま た,実習後にCPが低下する者が多く,固定観念の枠が 取り除かれ,「こういう考え方もあるのかな」と考え方 が柔軟に変化したと推察された.人との対応は自己と他 者との関係から生まれてくることを考えると,自分だけ はどうにもならないこともあるということが理解でき,

より他者理解が深まったのではないかと考えられた.さ らに,実習後のACの低下は,他者とのやり取りを通じ て自信をっけ,他者へ適度な自己主張ができるようになっ たのではないかとも思われた,このように,実習を通じ,

対人援助とは何か,どうするのがより良い援助なのかを 身をもって体験したのではないかと思われ,学生たちは この授業の意義を全うしたことになるのではないかと推 察された.また,この実習を通して専門職へのあこがれ が増したり,既に就職先が決まっていたとしても実習先 で学んだ体験を今後の自分の進路に活かしていきたいと 考える学生も少なくないことも明らかとなった.

 約3ヶ月間,計10回という短い実習機関ではあるが,

実際の臨床現場での実習が学生自らの自我に与える影響 と共に,自己を見っめ,自らの進路決定に与える影響も 少なくないことを改めて感じさせられた.

         V.さいごに

 実習では学習の段階が書物や講義などでの理論を学ぶ 段階から,実践の場で学ぶ段階に移行し,体験の中から 心理臨床の理論を学ぶという学習が中心になっている.

そのような段階では,さまざまな体験を通して客観的に 物事を捉える力が身につき,さらには自己洞察も深まる ということが考えられた.3ヶ月という短期間ではある が,臨床現場の中で自らの身体を通じた体験を学ぶとい う過程こそが,学生の感性を呼び起こし,内的な心の変 化を生じさせ将来への方向性をも見出していく力となっ ているのではないかと推察された.

       謝 辞

 お忙しい中,臨床心理学実習に多大な協力とご理解を 頂いた各実習機関の担当の先生方,関係者の皆様方に厚 く御礼申し上げます,また,アンケートに回答してくれ た学生の皆さんにも感謝すると共に今後の活躍を心より

お祈り申し上げます.

      引用文献

1)小野田恵,近喰ふじ子,阿住一雄:臨床心理学  実習に関する諸問題一現状と課題一東京家政大学

 研究糸己要,2003, 43(1), pp. 159−165

2)小林和久,川島眞:病院実習における心理特性に  関する研究一エゴグラムを使った試み一小松短期  大学論集, 2004,68,pp.67−72

Abstract

 The pu】rpose of this study was to consider whether students, personalities changed because of

the experiences of clinical practice.

 Subjects were 45 female university students of the 4星h year, attending Practice of Clinical Psychology. @The investigation used a questionnaire about clinical practice and the Tokyo University egogram(TEG). The TEG was used to assess the students personalities. Tests were administered twice:befbre the first class of Practice of Clinical Psychologジand after the end of the clinical practice.

 CP and AC scores of students who experienced the clinical practice have been significantly

changed. It is suggested that experience of voluntarily leaming in the field influences the students,

psychological development and growth.

参照

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