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厚生労働行政推進調査事業費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)
統括研究報告書(H30―医療―指定―003)
地域医療支援病院等の医療提供体制上の位置づけに関する研究
研究代表者 伏見 清秀 東京医科歯科大学大学院 教授 研究分担者 石川ベンジャミン光一 国際医療福祉大学 教授
清水 沙友里 医療経済機構研究部 主任研究員 佐方 信夫 医療経済機構研究部 主任研究員 新城 大輔 国立成育医療センター情報解析室 室長 研究要旨
○研究目的
本研究は、地域医療支援病院・地域医療支援病院の承認業務を担当する自治体・郡市区医師会の質問 紙調査を通して、承認要件の見直し検討に資する基礎データを入手し、地域医療支援病院のあり方・地 域医療において期待されている役割等を把握することを目的とした。
○研究方法 質問紙調査
1.地域医療支援病院調査・自治体調査・郡市区医師会調査の調査票設計を行った。
2.調査の回答率向上のため、配布・とりまとめ方法の調整を行った。
3.調査票配布後は、回答者からの質疑応答対応、データ化作業、集計、分析を行った。
○研究結果
域医療支援病院・承認を担当する都道府県の担当部局、郡市区医師会の質問紙調査の結果から、地域医 療支援病院ついては、自治体・郡市区医師会ともに
90%以上が重要性ありと認識していることが明らかと
なった。また、地域医療支援病院への期待に関する自由記載欄からは、自治体・地域医療支援病院・郡市 区医師会ともに、かかりつけ医・在宅医療への支援や、その地域の特色やニーズに応じた支援が必要との 指摘が寄せられた。○結論
地域医療の支援のあり方は地域の実情によって様々であり、それらのニーズに合わせた地域医療 支援機能の評価を行うことの必要性が示唆された。本研究結果は、地域医療支援病院の役割やあり 方の検討を進める際の基礎資料の一つになると考えられる。
A.研究目的
地域医療支援病院は、医療施設機能の体系化 の一環として、患者に身近な地域で医療が提供 されることが望ましいという観点から、紹介患 者に対する医療提供、医療機器等の共同利用の 実施等を通じて、地域の医療を担うかかりつけ 医等を支援する能力を備え、地域医療の確保を 図る病院として、平成9年の医療法改正におい て創設され、平成
28
年10
月現在で543
の医 療機関が承認を受けている。平成
24
年3
月より開始された「特定機能病 院および地域医療支援病院のあり方に関する 検討会」では、承認要件の見直しを含む地域医療支援病院のあり方に関する検討が重ねられ ている。地域医療支援病院は年々増加傾向にあ るものの、①地域医療支援病院が所在しない医 療圏が
3
分の1程度存在 ②承認要件に対す る病院の取組状況が項目や病院によってばら つきがある などの現状があり、医療提供体制 における地域医療支援病院の役割や位置付け を検討するべき、という指摘が挙がっている。平成
29
年度の厚生労働科学研究『地域医療 支援病院等の医療提供体制上の位置づけに関 する研究』においては、地域医療支援病院の業 務報告書、病床機能報告データ、医療施設調査、DPC
調査公表データ等の各種公開データを連2
院の病床数、看護師等の医療従事者の状況、疾 患別患者数、手術数、化学療法数などの診療実 態のほか、DPC 病院における基礎係数等を用 いた地域医療支援病院の特性を数値化し、地域 医療支援病院の現状を明らかにした。しかしながら、地域医療支援病院の業務報告 や各種公開データでは、地域支援病院の承認要 件の検討に必要な、比較可能な一般病院のデー タがほとんど含まれていないことから、現在課 題となっている地域医療支援病院の医療機能 や地域における役割を分析することが困難で あった。
そこで本研究は、地域医療支援病院の実態調 査を通して、承認要件の見直し検討に資する基 礎データを入手し、地域医療支援病院の実態を 定量的に把握することを目的とする。
B.研究方法
本研究は、以下の手順に沿って実施した。
(1)質問紙調査票の設計
下記の通りの目的に従い、3つの質問紙調査 表の設計を行った。
① 地域医療支援病院調査
地域医療支援病院の診療実績のばらつきが 指摘されているが、特に救急医療、夜間休日 対応、在宅医療への支援、医師派遣、地域医 療との連携に焦点を当て、既存データで把握 できていない内容について実態を明らかに する。
調査対象:47 都道府県の地域医療支援病 院の承認を担当する部局
調査方法:電子調査(悉皆調査)
② 自治体調査
地域医療支援病院の承認に関する各自治体 の対応・意識の実態調査を行う。承認の地域 差、承認への取組状況、要件を満たさなくな った場合の対応等について各自治体の違い を明らかにする。
調査対象:全国の地域医療支援病院 調査方法:電子調査(悉皆調査)
③ 郡市区医師会調査
郡市区医師会の位置する地域における地域 医療支援病院についての認識度、当該地域の 医療の過不足、地域医療支援病院に期待する 病院像などを明らかにする。
調査対象:全国の郡市区医師会 調査方法:郵送調査(悉皆調査)
地域医療支援病院調査においては、医療機関に おいて回答可能な項目の精査を実施した。調査項 目に関しては、平成30年11月に実施された検 討会において、委員からフィードバックを受け、
項目等についての修正を行った。
(2)質問紙調査の実施
2019年1月から2月にかけて、質問紙調 査を実施した。過去に実施された郵送調査法の 知見に基づき、回答率向上のための対策(返信 用の封筒への記念切手の貼付、調査用紙の色、
督促状(お礼状)の送付、調査主体の名称、回収 方法の工夫)を実施した。調査設計時には、期 待回収率を
45%とした。調査票配布後は、メー
ルによる質問対応を行った。(3)質問紙調査のデータ化・集計・分析 地 域 医療 支援 病院 調 査及 び 自治 体調 査は excel 形式で回答を受領したが、郡市区医師会 は郵送調査のため、回答票のデータ化を実施し た。その後得られたデータの集計並びに分析を 行った。詳細については、資料2を参照のこと。
C.研究結果
(1)質問紙調査の実施と集計
地域医療支援病院のあり方・地域医療におい て期待されている役割等を把握することを調 査するため、平成
31
年1月から2月にかけて 地域医療支援病院(592施設)、都道府県の承認 を担当する部局(47自治体)、全国の郡市区医 師会(728医師会)に質問用紙を配布し、地域 医療支援病院は88.4%、自治体は 100%、郡市
区医師会は67.6%から回答を得た。
これらの回答を集計した結果、地域医療支援 病院ついては、自治体・郡市区医師会ともに
90%以上が重要性ありと認識していたことが
明らかとなった。地域医療支援病院が担うべき機能を問う質 問に対しては、「紹介患者への診療」、「救急医 療」が主要な回答であったが、現在、地域医療 支援病院が担うべきとされる機能に加え、「医 師確保に資する体制整備」との回答も一定数見 られた。
医療機能の過不足を問う質問に対しては、地 域により、様々な医療機能が不足していると認 識されていた。郡市区医師会の回答では、「医師 確保に資する体制整備」、「周産期医療」、「小児 医療」、「在宅診療」の機能が不足しているとの
3
回答が多く、これらの機能は半数を超える郡市 区医師会が地域で不足していると回答してい た。一方で、それぞれの機能において、「地域に おいて過剰である」、「地域において過剰であり、かつ地域医療支援病院が他の医療機関と競合 している」との回答も一定数見られた。
地域医療支援病院調査の「医師少数区域等を 支援する機能の実行状況」の問いにおいては、
7割程度の地域医療支援病院が、「巡回診療の 実施」、「医師派遣機能(代診医の派遣を含む)
の実施」、「総合診療の部門を持つ」のいずれか を満たしていた。ただし、本調査においては、
医師少数区域等が設定されていない中での調 査であり、医師派遣等の対象が医師少数区域等 とは限らないことに留意する必要がある。
地域医療支援病院への期待に関する自由記 載欄からは、自治体・地域医療支援病院・郡市 区医師会ともにかかりつけ医・在宅医療への支 援や、その地域の特色やニーズに応じた支援が 必要というに回答が寄せられた。詳細について は、参考資料2~5・分担研究報告書1を参照 のこと。
(2)質問紙調査の分析
地域医療支援病院調査の「救急受け入れの 基本情報、夜間救急、救急車を断った理由」
等の項目並びに、郡市医師会調査を用いて、
「地域医療支援病院の重要さ、地域医療支援 病院が担うべき医療機能」等を集計・分析し た。その結果、地域人口規模、病床規模、救 急受入率等との関連が示唆された項目が少 なからず存在していた。詳細については、分担 研究報告書2を参照のこと。
D.考察
本研究では、地域医療支援病院・地域医療支援 病院の承認業務を担当する自治体・郡市区医師会 の質問紙調査を通して、承認要件の見直し検討に 資する基礎データを入手し、地域医療支援病院の あり方・地域医療において期待されている役割等 を把握することを目的とし実施した。
これらの結果から、地域医療支援病院に対する 重要性は認識されているものの、実際に行われて いる地域に対する医療支援は医療機関によって 様々であり、地域の実情に応じた支援が必要であ ると考えられた。現在の4要件に対する各医療機 関の取り組みも多種多様であり、地域独自の必要 性に合わせた地域医療支援機能の評価を行うこ との必要性が示唆された。
本調査に多大なるご協力・ご理解を頂いた地域
医療支援病院、自治体、郡市区医師会の皆様方に、
厚く御礼を申し上げます。
E.結論
本研究により、地域医療支援病院・承認を担当 する都道府県の担当部局、郡市区医師会の質問紙 調査の結果から、地域医療支援病院ついては、自 治体・郡市区医師会ともに
90%以上が重要性あり
と認識していることが明らかとなった。地域医療の支援のあり方は地域の実情によっ て多様であり、それらのニーズに合わせた地域医 療支援機能の評価を行うことの必要性が示唆さ れた。本研究結果は、地域医療支援病院の役割や あり方の検討を進める際の基礎資料の一つにな ると考えられる。なお、本研究班で収集したデー タは、オープンサイエンスの観点から、匿名化加 工後に公開を予定している。
F.健康危険情報
該当なしG.
研究発表(資料
1)平成 30
年11
月16
日開催「第15
回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方 に関する検討会」にて発表(研究代表者 伏見 清秀)(資料
2)平成 31
年4
月25
日開催「第16
回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方 に関する検討会」にて発表(研究代表者 伏見 清秀)Sayuri Shimizu, Daisuke Shinjo, Nobuo Sakata, Koichi B. Ishikawa, Kiyohide Fushimi.
Regional Disparities in the Distribution of Health Care Facilities: Visualization of Regional Medical Care Support Hospitals.
ISPOR 21th Annual European Congress. 2018.
Barcelona, Spain H.知的財産権の取得状況
該当なし
4
「地域医療支援病院等の医療提供体制上の位置づけに関する研究:H30年度研究概要」
5
7
8
「地域医療支援病院等の医療提供体制上の位置づけに関する研究:
H30
年度質問紙調査速報」9
11
13
15
17
18
資料3 地域医療支援病院調査結果
19
* 1-1. (単位:施設)
件数 割合
536 100.0%
82 15.3%
191 35.6%
97 18.1%
14 2.6%
31 5.8%
0 0.0%
121 22.6%
* 2-1. (単位:床)
n数 平均値 252 423.9 252 3.9 252 9.1 252 2.5 252 1.8 252 441.3
* 3-1. (単位:%)
n数 平均値 535 73.3 534 89.7
紹介率̲算定期間̲合計日数 (単位:%)
件数 割合
445 100.0%
3 0.6%
1 0.2%
5 0.9%
2 0.4%
2 0.4%
1 0.2%
1 0.2%
1 0.2%
66 12.5%
3 0.6%
1 0.2%
1 0.2%
437 82.9%
1 0.2%
1 0.2%
1 0.2%
(単位:人)
n数 平均値 536 9,053.9 536 12,987.1 535 10,829.7 282 2,056.1 280 6,585.2 255 3,105.7 254 6,756.7 366
609 紹介率及び逆
紹介率
紹介率̲算定 期間̲合計日
数
一般病床 療養病床 精神病床 結核病床
合計(日)
0 28 30
感染症病床 合計
紹介患者 紹介患者のうち、病院から紹介された患者 紹介患者のうち、診療所から紹介された患者 地域医療支援病院 紹介率
地域医療支援病院 逆紹介率
275 335 363 364 365 31 92 153 214 245 許可病床数 全体
国(独立行政法人国立病院機構,国立大学法人,独立行政法人労働者健康福祉機構,国立 高度専門医療センター, 独立行政法人地域医療機能推進機構等)
公立(都道府県,市区町村,地方独立行政法人)
公的(日赤,済生会,北海道社会事業協会,厚生連,国民健康保険団体連合会)
社会保険関係団体(健康保険組合,共済組合,国民健康保険組合等)
医療法人(医療法第39 条の規定にもとづく医療法人)
個人(法人立でない病院)
その他の法人(公益法人,学校法人,社会福祉法人,医療生協,会社,社会医療法人等,その他 法人)
開設者
逆紹介患者のうち、病院に逆紹介した患者 逆紹介患者
640
紹介患者の数 初診患者の数 逆紹介患者の数
逆紹介患者のうち、診療所に逆紹介した患者
算定根拠
20
n数 平均値 515 399.9 535 331.2
(うち)休日または夜間に、救急車により搬入された患者延べ数 533 204.4
(うち)診療後直ちに入院となった患者延べ数 533 135.4 509 32.3
* 4-2. (単位:施設)
件数 割合
536 100.0%
あり 380 70.9%
なし 156 29.1%
536 100.0%
あり 349 65.1%
なし 187 34.9%
536 100.0%
あり 254 47.4%
なし 282 52.6%
536 100.0%
あり 123 22.9%
なし 413 77.1%
536 100.0%
あり 185 34.5%
なし 351 65.5%
* 4-3. (単位:人)
n数 平均値 535 553.9
(うち)診療後直ちに入院となった患者延べ数 532 88.8
* 4-4. (単位:人)
n数 平均値 519 137.1 521 83.4 498 23.7 472 1.5 488 4.9 501 79.1
* 4-5. (単位:人)
n数 平均値 518 173.9 519 123.7 498 117.7 468 1.6 488 24.7 500 100.1 内科
外科(整形外科等を含む)
小児科
休日または夜間に、救急車以外の手段で受診した救急患者数 救急外来受診
者数
診療科別休日 または夜間 に、救急車以 外の手段で受 診した救急患
者数
内科
外科(整形外科等を含む)
小児科 精神科 産婦人科 その他の診療科 精神科
産婦人科 その他の診療科 診療科別救急
車により搬入 された患者延
べ数 救急車の受入
件数
救急要請件数
救急車により搬送された患者延べ数
救急車を断った件数
輪番制で他病院が担当 する日程であったため 全体
その他 全体
かかりつけの医療機関 が他にあったため 全体
全体
忙しく体制面での受入 が困難であったため 全体
専門家の医師が不在で あったため 救急車を断っ
た理由
21
* 4-6.
診療科別夜間の救急医療の対応可否 (単位:施設)
ほぼ毎日当直の医師がおり 対応可能
ほぼ毎日オンコール当番の 医師がおり対応可能
輪番日のみ当直の 医師がおり対応可能
輪番日のみオンコール当番 の医師がおり対応可能
診療科はあるが ほとんど対応不可能
診療科がないため
対応不可能 未回答
件数 536 422 86 17 0 5 2 4
割合 100.0% 78.7% 16.0% 3.2% 0.0% 0.9% 0.4% 0.7%
件数 536 380 114 27 0 10 1 4
割合 100.0% 70.9% 21.3% 5.0% 0.0% 1.9% 0.2% 0.7%
件数 536 202 109 68 8 74 73 2
割合 100.0% 37.7% 20.3% 12.7% 1.5% 13.8% 13.6% 0.4%
件数 536 19 74 3 5 239 192 4
割合 100.0% 3.5% 13.8% 0.6% 0.9% 44.6% 35.8% 0.7%
件数 536 212 144 2 6 69 99 4
割合 100.0% 39.6% 26.9% 0.4% 1.1% 12.9% 18.5% 0.7%
* 4-7. (単位:施設)
24時間対応可能 日中のみ対応可能 診療科はあるがほとんど
対応不可能
診療科がないため
対応不可能 未回答
件数 536 507 9 12 2 6
割合 100.0% 94.6% 1.7% 2.2% 0.4% 1.1%
件数 536 496 10 22 1 7
割合 100.0% 92.5% 1.9% 4.1% 0.2% 1.3%
件数 536 306 32 113 73 12
割合 100.0% 57.1% 6.0% 21.1% 13.6% 2.2%
件数 536 74 12 250 192 8
割合 100.0% 13.8% 2.2% 46.6% 35.8% 1.5%
件数 536 335 11 84 97 9
割合 100.0% 62.5% 2.1% 15.7% 18.1% 1.7%
* 5-1. (単位:人)
n数 平均値 n数 平均値 n数 平均値
527 5.1 533 5.0 533 5.5
487 1.6 490 1.5 491 1.7
526 9.7 530 9.1 529 14.6
522 1.3 526 1.2 527 1.4
518 1.2 522 1.2 523 1.4
511 1.1 516 1.0 518 1.4
* 5-2. (単位:施設)
ほぼ毎日当直の医師もしくは検 査技師がおり対応可能
ほぼ毎日オンコール当番の医師 もしくは検査技師がおり対応可能
輪番日のみ当直の医師もしく は検査技師がおり対応可能
輪番日のみオンコール当番の医師 もしくは検査技師がおり対応可能
検査設備はあるがほとん ど対応不可能
検査設備がないため対 応不可能