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地域医療支援病院の図書館 (特集 地域医療支援)

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Academic year: 2021

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病院図瞥館2011;31(3):120-123

画特集地域医療支援

地域医療支援病院の図書館

I・地域医療支援病院 地域医療支援病院は、1997年の第三次医療法 改正で一般病院、特定機能病院とともに創設さ れた新しい病院類型の1つである。つまり、医 療の内容が複雑・多様化し、「何でもやります」 という総合病院のようなかたちの医療サービス が 難 しくなり、おのおのの病院や診療所が連携 し、お互いが得意な部分を患者に提供しようと

いうものである')。

2010年度現在で340施設が承認されている2)。

1998年度に最初の13病院が承認されたが、紹 介率80%以上という承認要件のハードルの高 さがあるなど、lOO施設が承認されるまでに8 年を要した。その後2004年の要件緩和を受け、 2006年度からの5年間でそれまでの2倍以上の 234施設が承認されている。 Ⅱ 、 メ リ ッ ト 地 域 医 療 支 援 病 院 と な る メ リ ッ ト は 、 名 称 独

占と診療報酬である3)。医療法第4条の2第3

項 に よ り 、 地 域 医 療 支 援 病 院 で な い も の は 地 域 医療支援病院またはこれに紛らわしい名称をつ けることはできないことになっているので、病 院の信頼性を確保できる。 診療報酬については、地域医療支援病院入院 加算(1,000点)を1人につき入院初日に1回新 たに加算できる。また診断群分類(DPC)請求 を導入している医療機関は、地域医療支援病院 に な る と 、 医 療 機 関 別 係 数 に 機 能 評 価 係 数 ま す だ て つ : 藍 野 大 学 中 央 図 番 館 t-masuda@kanri-uainoacjp

増 田 徹

(0.0294)を加算できる。この加算後の医療機関 別係数に年間入院請求点数を乗じたものが増収 となる。 Ⅲ、申請の要件と図書室 地域医療支援病院の主な承認要件は医療法第 4条に示されており、以下の通りである。 1.他の病院または診療所から紹介された患者 に対して医療を提供する体制が整備されて いること。 2.当該建物の一部、設備、器械または器具を、 当該病院に勤務しない医療従事者の診療、 研究または研修のために利用させるための 体制が整備されていること。 3.救急医療を提供する能力を有すること。 4.地域の医療従事者の資質の向上を図るため の研修を行わせる能力を有すること。 5.原則200床以上であること。ただし、病床 の種別は問わない。 6.必要な構造設備・施設を有すること。 1.は具体的には下記のいずれかに該当するこ とを求めている。そのうち(2)と(3)が2004 年に要件の緩和として追加された。 (1)地域医療支援病院紹介率が80%を上回っ て い る こ と (2)地域医療支援病院紹介率が60%を上回り、 かつ、地域医療支援病院逆紹介率が30% を上回ること (3)地域医療支援病院紹介率が40%を上回り、 −120−

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かつ、地域医療支援病院逆紹介率が60% を上回ること さ て 、 こ の 中 で 病 院 図 書 館 は 何 を 求 め ら れ て いるか。医療法には、地域医療支援病院の法定 施設として、以下のようにある。 第 二 十 二 条 地 域 医 療 支 援 病 院 は 、 前 条 第 一 項(第九号を除く。)に定めるもののほか、厚 生 労 働 省 令 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 次 に 掲 げ る 施 設 を 有 し 、 か つ 、 記 録 を 備 え て 置 か な け ればならない。 (略) 八 図 書 室 承 認 申 請 に か か る 様 式 は 公 開 さ れ て お り 、 大

阪府の「地域医療支援病院」承認要件一覧4)を

見てみると、確かに「施設設備」に、図書室数 および蔵書数を書く欄がある。 また承認後も医療法第12条の2により、毎年 都道府県知事に業務報告をする必要があり、イン ターネット上での公表が義務づけられている。

大阪府の「地域医療支援病院業務報告要旨」5)

を見てみると、公表されている19施設のうち、 5 施 設 が 「 共 同 利 用 施 設 ・ 設 備 」 に 図 書 室 を あ げ て お り 、 4 施 設 が 「 研 修 施 設 」 に 図 書 室 を あ げている。この報告要旨に図書室への言及がな い施設も10施設あったが、そのうち4施設が近 畿 病 院 図 書 室 協 議 会 の 会 員 施 設 で あ り 、 明 ら か に図書室がある施設であった。 Ⅳ.アンケート結果 今 回 近 畿 病 院 図 書 室 協 議 会 の 会 員 の う ち 、 大 阪 府 の 地 域 医 療 支 援 病 院 の 図 書 館 員 に ア ン ケ ー トをさせていただき、12施設から回答があった。 質問と回答は以下の通りである(表l)。 地域医療支援病院の申請について、何をすべ き か わ か ら ず 困 っ て い る 施 設 が あ る か も し れ な い 。 ア ン ケ ー ト の 結 果 を 見 る 限 り 、 病 院 図 書 館 担 当 者 が 正 職 員 で あ る か ど う か に 関 係 な く 、 院 病院図書館2011;31(3) 内の実務担当者から図書館員に話が来ることさ え 少 な い よ う で あ る 。 要 求 さ れ る の は 、 図 書 館 利 用 案 内 の 作 成 や 蔵 書 数 の 報 告 、 利 用 規 定 の 見 直しといったところである。 広 報 に つ い て は 、 配 布 資 料 に 病 院 図 書 館 の こ とを記載している施設が2施設ある。地域の医 師 が 見 て 役 立 て る こ と の で き る 図 書 館 ホ ー ム ペ ー ジ は 、 全 施 設 が 用 意 し て い な い と 答 え て い る。病院に勤務する医療者にとってコンパクト ながら身近であるという病院図書館の長所は、 車 や 交 通 機 関 を 使 っ て わ ざ わ ざ 行 か な け れ ば な ら な い 地 域 の 医 師 に は 生 か さ れ な い 。 図 書 館 利 用 に 関 す る 詳 細 や 開 館 日 時 、 そ し て 何 よ り 資 料 の 所 在 な ど あ ら か じ め 確 認 で き な い と 、 病 院 外 の利用者が病院図書館に来るのは難しいだろう。 利 用 実 態 を 見 て み て も 、 大 阪 府 の 地 域 医 療 支 援 病 院 の 病 院 図 書 館 は 、 こ の 制 度 の 中 で ほ と ん ど機能していないというのが実情のようである。 V、考察 地域医療支援病院は承認されることでメリッ トを受け、その対価として役割と責任を負うこ ととなる。制度による病院図書館への要求は非 常に小さく、残念ながら図書館活動を促進して くれてはいない。申請時に必要とされるのが、 図 書 室 数 お よ び 蔵 書 数 、 業 務 報 告 に お い て は 図 書室の存在の有無である。図書室のスペックと して蔵書数が問われてはいるが、図書を設置し た 空 間 が あ る と い う こ と と 図 書 館 と し て 機 能 し ているということは、まったく別のことである。 こ う し た 周 囲 の 図 書 館 へ の 意 識 の 低 さ は 、 病 院 図 書 館 を 取 り 巻 く 厳 し い 現 状 と 無 関 係 で は な いだろう。それなら、何より病院図書館自身が その存在意義を高めるために、この制度に乗り、 積 極 的 に 地 域 の 医 師 に 利 用 し て も ら え る よ う 努 力していくべきではないのだろうか。 地 域 医 療 に 携 わ る 医 師 の 医 学 ・ 医 療 情 報 に 対

するニーズを調査した文献6)がある。これによ

る と 、 地 域 医 療 に 携 わ る 医 師 は 、 医 学 情 報 の 入 手に際し「適確な情報が得られない」「時間が力、 −121−

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かりすぎる」「費用がかかりすぎる」「適切なア ドバイスが得られない」「文献複写や取り寄せに 応 じ る 機 関 が な い 」 こ と で 困 っ て い る 。 ま た 医 学情報を入手する際に身近にあると便利なもの として「データベース」「医学系大学図書館」 「文献配送サービス」「代行機関(情報の検索か ら文献リスト作成まで)」をあげている。この 「医学系大学図書館」というのは「一般的図書 館」との対比であり、この結果を見るかぎり、 病院図書館が地域の医師に資することができる 表l大阪府地域医療支援病院(会員施設)の図書館へのアンケート −122− 病院図書館2011;31(3) 1.図書室担当者は正職員ですか。 A ・ は い B、いいえ 84 2.地域医療支援病院の申請に際し、図替室担当者として関わりましたか。 2(うち正職員1) 7(うち正職員5) 3(うち正職員2) 援病院の申請前に改訂)した◎ 3.地域医療支援病院の大阪府への業務報告において、図書室担当者として関わりましたか。 3(うち正職員3) 5(うち正職員4) 4(うち正職員1) 備などについて説明した。 4.地域の医師に図書室の利用について広報していますか。 (うち正職員l) (うち正職員6) (うち正職員l) と 一 文 が 明 記 さ れ て い る (司書は掲載内容に関して 5.地域の医師が見て役立てることのできる図書室ホームページがありますか。 A,ある B ・ な い 0 12 6.地域の医師は図書室を利用していますか。 ●●● ABC よく利用している あ ま り 利 用 し て い な い ほとんど利用していない 0 4(うち正職員3) 8(うち正職員5) 7.地域医療支援病院図書室として、地域の医師に貢献できていると思いますか。 ,A・できている B、できていない C・その他 020 1 8.地域医療支援病院図書室としての特記事項、また他にご意見があればお願いします。 ・地域医療支援病院になってまだ日が浅いので、これから利用が増加していくのではないかと考える。 ・司書が直接関わる機会があまりないからかもしれないが、どういう役割が求められているのかがい まいちわからない。ニーズがよく見えてこない。 ・地域医療支援病院図書室が何をサービスするのか全く知らされておりませんが、以前一度地域支援 担当事務より、雑誌文献のコピー(院内所蔵分)の依頼がありました。 ・地域の医師に利用してもらえるよう、今後改善していきたいと考えております。

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のは明らかである。 地 域 医 療 支 援 病 院 の 病 院 図 書 館 は 、 積 極 的 に 地域の医師を対象に文献の取り寄せ業務を請け 負うべきである。それもできるならFAXやメー ルで受け付け、入手した文献を郵送し、空間的 な 制 限 を で き る だ け 少 な く し な い と 、 利 用 は 促 進さ れない 。この制度の趣旨は、地域医療支援 病院が、当該病院に勤務しない医師やその他の 医療従事者を支援するというものであり、病院 が 地 域 医 療 支 援 病 院 と な っ た 瞬 間 に 、 地 域 の 医 師も病院図書館の利用対象者となるはずである。 地域医療支援病院の病院図書館は、業務量が飛 躍的に増えるかもしれないが、今後必要とされ る可能性を大いにひろげることになりうる。医 療の世界に寄与していこうと思う病院図書館員 にとって本望のはずである。 こ の 稿 を 書 く に あ た っ て 、 ア ン ケ ー ト に ご 協 力いただきました近畿病院図書室協議会会員の みなさまがたにお礼申し上げます。 病院図書館2011:31(3) 参考文献 l)真野俊樹.医療経済学で読み解く医療のモンダイ. 東京:医学書院;2008.p、118. 2 ) 厚 生 労 働 省 医 政 局 総 務 課 地 域 医 療 支 援 病 院 に つ い て ( 第 1 回 特 定 機 能 病 院 及 び 地 域 医 療 支 援 病 院のあり方に関する検討会資料3−1).[引用日 2012-06-06] http://www・mhlw、gojp/sWshingi/2r985200000253 pd-att/2r985200000253tc・pdf 3)長崎県.地域医療支援病院Q&A.[引用日2012-06-06] http://www、prefnagasaki・jp/iryou/iryoiji/tii‐ kihpqahtm 4)大阪府.地域医療支援病院承認要件一覧(地域医 療支援病院とは).[引用日2012-06-06] http://www,prefosakajp/attach/3738/00019502/) l904syoninyouken-itiran(osaka).xls 5)大阪府.地域医療支援病院の業務報告の公表につ いて平成21年度実績分(地域医療支援病院). [引用日2012-06-06] http://www、prefosakajp/iryo/byouin/chiikiir‐ yo-gyoumuhou・html 6)堤亮平:地域医療に携わる医師の医学・医療情報 の需要・ニーズ調査.医学図書館.2010;57(2) 187-92. −123−

参照

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