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諸種要因の綱膜中心動脈血圧 に及ぼす影響に就て
第2報灘温捲法の影響
金沢医科大学園科学教室(主任 :倉知教授)
山 岸 久 夫
/fisao :Ya 7/3解〜3膨
(昭和24年8月26目受話)
第1章緒
温熱が医療の目的で用いられたのは髄分古く からのことであるが,殊に漁温竃法は手軽な爲 か好んで用V・られて來た.近世に:至り,濫熱発 生の爲には,ヂアテルミPt,超短波,赤外線等 の物理的手段が注目すべき発達をとげて居る が,それにも拘らす漁温器法が依然として盛に 用いられて居るのは,その簡易であるというこ との外に,何か捨てがたい所があるのではない かと考えられる.
温熱が循環器系統に及ぼす影響は顯著なもの があb,從って局所に温熱を作用させた場合,
その部の血流乃至血圧に変化を生するのは自明
のことである.
眼科的に漁温魅法を用いた楊合の影響に就 て,今日迄行われた槍索を見ると,温熱の透過 性乃至前房水の性歌の変化に:就ての研究は多い が,網膜血管血圧に対してはあまb考慮は彿わ れす,殊にその血圧の変動を追求しkものは見
論
当らない.
元來,透熱の程度は温熱作用の現れ方に重大 な関係な有する.文献上に於ける温度変化に関 する研究を瞥見すると,Hertelの実験では,
55。Cの温器法を行うと結膜嚢温度は,10分闇 実施の場合は0.9〜1・0℃,20分から30分間実 施の場合は1.1〜15。Cの上昇があり,この際 網膜血管には異常は認められなV・が,結膜,膜 瞼には充血が著明であると述べて居る.
高塚の家兎を用いた実験によれば,50。C,30 分の月捲法による加温効果は,眼険皮膚に最も 著明で,眼瞼内,結膜嚢内,前房内,硝子体内,
眼窩内の順に少くなって居るが,硝子体内に於 ても僅かの温度上昇は認めて居る.然しなが ら,ヂアテルミー,超短波等による深部加温に 比べれば,温捲法によるそれは極めて僅かであ
る(第1表).
第1表 種々なる加温方法による眼各部の温度上昇度(。C)
(高塚による)
騰飼町内醸釧前青石宵子剛眼窩内
温 羅 法 500C 30分
ヂアテルミー20⑪mA.20分 超短波波長22m.20分
9
8.4 1 6.1 8.17.7 ユ1.5
9.5 9.5 7.1
5.3 7.1 6.9
2.9 7.8 5.4
2,1 2.7 sr.oo l
監
[ 33 )
34
山 岸武藤の実験によると,正常結膜嚢の温度は 34.75。C(休温365。C)で,高温及び低温何れ の器法でも前房水蛋白量の増力1を認め,温度変 化が刺蛾になると考えられるが,濫捲法の場合
には眼内濫度の上昇によって虹彩毛様体血管の
拡張を來たす爲に,その影響も大であると述べ
て居る.
Wesselyは5⑪〜60。Cの温篭法で前房水蛋白 量の増加を認め,これは毛様体血管の充血にも
とすく血清蛋白の移行であると述べて居る.
第2章 実 験 成 績 1。実験材料並に方法
被楡者は金澤二二陸尉蹴上塾生で,16歳から18歳迄 の健康者9名である.
上騰動脈血駆(以下B.A・P.と記する),眼内鯉i,
及び綱膜中心動脈血胚(以下R・A・P・と記する)の 測定装置並に方法は,第1報の記載と同様である.
結膜嚢温度の測定は棒朕小型檎i温器を用いて,下瞼 結膜嚢内に前上外方から水銀溜が充分眼瞼に覆われる 程鹿に深く挿入した。これによむ比較的熱容量の大き な水銀械温器を用いた爲の誤差を少くし,かつ比較的 深部の温度を測定する事に努めた,測定はすべて右側
で行った.
灘濃工法の實施方法は,5⑪⑪⑪倍オキシシァン水銀水 を45。C に保ち,9重の盤みガーゼを3枚重ねたもの をこれに浸し,液の滴らぬ程度に輕く絞って閉眼瞼上 より眼部にあて,かかる操作を頻回繰返して15分間綴 込せしめた.この方法は,大星患者に自宅鴇法を命ず
る場合の指示方法に準じたものである.
2.実験成績
実験成績並にその李均値は,第2表に示す如
くである.
第2表 漏温羅}法(45。C・15分)実施成績
番 號 年齢
姓 名
測時
闃上脾動版血墜 眼埆
煖?ク 網膜中心翻賄墜 総籔股
総i鶴1織
1乙3111二1−3.8i18:麦田。.8111:1−3.。ill:琴+、.、暑譲隆鍛腿鍛(遡滅
一Ei・6/L・・膿}8§+3間+2鵬+1i『 一『一 『一『 一 一 _ 一一 一屯 一 , 匿 _ 一 一 一 一 一 _ _ 一_
潤E81N…1離ほ器+1ほ81+2{珪1−11
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一 一 一 一 『
Ti・6}F・F・膿ほ1者一2F景。119−2i 一 一 『 一 一
P7 P7
一 一 一 一 一 一 −
р撃戟F1一、.⑪購一、.81髪:琶+a8il暮:乙+a5
6回・・K・離携。博9−2{§亨+21 一 1舞一2111:竃一7.。陰1:1−7.7隆3:呈+。.7{ll:孟+。.9
一 『 一 『 一
71・71LY・}離112ア、26一、ll乳、鵬。1 ll−5[1言=1一、.8{19:1+1.、陰1:1−5端:1+、.3 一 一
W1・7iN・K・離ほ舞1+1 d葦1+21 }蓬一4陰1:1一愚:1−3.、ll§:1−2.d19:亨+伍gI一
一 一 『 『 一隔 一9[・71N・Y遷覆1128 一 一 一 『 一
@ 癒 一
@125一
一 、
P一、慨一2ほ§一4111:1−7.。1置1:1−7.2{1薯:含+。.2111=乙+⑪.9
増減の李均値 離6踊341+蟹13。隆33一 皿 一 一 一 一 『 一 一 一 一 一 『 一 一 一 一 … 〔 一 一 一 一 一 一 一 一 ㎝
@ ±L3gl躊5尊盟 士2.5曾{翌59〔一≧l193 i+1・⑪4
註 軍1位mmHg
増減とあるは意趣に封ずる増減を意味し,+は噌を,一は減を示す
即ち:B.A. P.にはいすれも有意変動は見ら
れなv・.
眼内圧は準均2.33士1.39mmHgの下降を示
し,これは明かに有意と認められる.
R.A. P.は下降し,その度は最高血圧では 5・21士2.59mmHg, 最低血圧では 358±2.59
[ 34 ]
諸種要因の網膜中心動脈血歴に及ぼす影響に就て
35mmHgであって,共に有意変動である.脹圧 はL63±1・93mmHgの下降を示して居るが,
余の実駒範囲内ではこの変動は有意とは認めら
れない.
第3章考
漁温器法による加温は,それが全く風隠熱の 利用である点に於てヂアテルミe・…,超短波,赤 外線等によるものと本質的に異るものがある.
即ち,漁濫捲法によの外表に加えられた温熱 は,傳導により逐次深部紐織を加温するが,こ の際生体に於ては,該部に於ける液流の存在に 注意すべき・である.即ち,力曜された組織内を 流れる,より低濫の液体は,民部よ妙熱を奪 い,液流に從ってこれを更に傳直する.眼部の 場合に注目されるべき聖意としては血流と前房
水とである。
眼部に於ける濫器法の場合の温熱分布に就て は高塚の実験があるが,それによると,眼瞼,
結膜は極めて良く加温されるが,眼球内はあま り良く加温されない.殊に硝子体の加温は悪 く,前房内とも相当の差がある(第1表参照),
從って眼瞼,結膜等の血管と,眼内血管とが受 ける影響は大いに異るものがあると考えられ る.また,温漁法の場合に,限瞼,結膜の充血
は概ね認められて居るが,限内血管の変化に就 ては記載はまちまちである.さて余の実験成績 を見ると,瞑内圧並にR.A. P.の低下が認め られる.余はこめ結果を次の如く説明して見た
Ln.
余の実験では漁温筆法の温度を斗5。Cとした が,とれはHertelの550C,武藤,高塚等の 50。C.に比して相当低濫である.また,捲法実 施の時闇も15分の短時間である.これ等の点か らして,強熱作用は上記諸氏の実験に於ける程 彊くはないと考えられる.余の場合,結膜嚢温 度の上昇は準均LO4。Cであって,眼内濫度の
按
上昇は測定しなかったが,高塚の実験から推し ても,それは極めて僅かであろうと考えられ る.即ち,温鴇法を施せば野糞,結膜等の血管 拡張,尭.血は著明に見られるが,これ等の変化 は眠内血管には,常に必ずしも同程度に現れ得 るものではないのである.
次に眼瞼及び結膜には,眼動脈の分枝が相当 に分布して居る.從って,それ等の心嚢が拡張 すれば,抵抗が減少して,それより中枢部の動 脈,即ち,眼動脹の血圧下降が起ることは明か である.この場合に眼動脈の分枝の一部である 網膜中心動脈を含めた眼内動脈は,その末楕に 於て,紅熱作用をあまり受けなV・場合には,血 圧の下降により血管はむしろ狭窄するであろ
う.この事は眼内圧の下降の一因となり得るも
のである.
なほ球結膜,殊に角膜周擁血管の拡張を認め る場合には,虹彩毛毒血血管にも影響が及ぶと 考えられ,これが房水の蛋白質増加の重要因子
としてあげられて居るが,この際蛋白質の増加 は,武藤の実験では可成早期に起り,また角膜 周壁血管の拡張e{Fth)ら,房水の生産と共に排出 も増加して居るであろうことは極めて考え易い ことである.網膜血管,虹彩毛様体血管の口径 の変化とか,房水新陳代謝速度等は,眼内犀に 対し重要な影響を及ぼすものであり,その挙衡 歌聖も容易に変量得るものであると思われる が,余の実験に於ける如き程度の鞍懸憲法に於 ては,以上述べた如き因果関係が成立するもの
と考えられる.
第4章結
滋藤器法による温熱の深達度は,全く熱取置 及び液流に左右される点に於て,超短波,ヂア
論
テルミー,赤外線等の透熱性を有する恋のと異 る点がある.余は漁温器法の温度を:45。C,実施
g 35 )
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山 岸時間を15分として,その前後に於ける網膜申心 動脈血圧の変動を測定し,衣の如き結果を得
た.
(1)上腰:動脹血圧には変化を認めなレ・.
(2)眼内圧は李均2.33±1.39mmHgの有意
下降を示す.
(3)網膜中心動脈血圧は,最高血圧は準均 5.21士259mmHg,最低血圧は李均3.58土2.59
mm:Hgの,共に有意な下降を示し,從って脈 圧には有意変動は認められない. 、
(4}以上の結果は,漁温器法により眼瞼,結 膜等の前眼部組織がよく加涯されるのに比し,
眼球内の加温が極めて少い爲,末梢の抵抗減退 による眼動脈の血圧下降が,中心動脈其他の眼 内血管に波及した爲と考えられる.
主 要文 献
1) Hertel: Arch. Ophthalm. (D.) 49, 125.
(1900)・ 2)樋渡一夫:眼臨23,6,345.
(昭.3), 3)高塚武次:日眼,40,1369・
(昭,11). 4)武藤直也:日眼,35,197,
778,1407・(昭6). 5)Wessely=Arch・
Klin. Chirurg. 71, 554. (1903). 6) Wesseiy:
Arch. Angerhk. 60, 1. (1908). 7) Leber:
Graefe一 Saemisch Hb. II. 2, Abt. 296, 324,
328, 330. (1903). 8) Si1ex: Arch. Angenhlc.
26, 141. (1893).
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