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Academic year: 2021

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学 位 論 文 の 要 旨

所 属

三重大学大学院医学系研究科 甲 生命医科学専攻 臨床医学系講座

成 育 医 学 分 野

主論文の題名

氏 名

一 重 大 学

古 屋 か な 恵

P r e d i c t i v e  v a l u e s  o f  e g g ‑ s p e c i f i c  IgE by two commonly used a s s a y  systems f o r  t h e  d i a g n o s i s   o f  egg a l l e r g y  i n  young c h i l d r e n :  a  p r o s p e c t i v e  m u l t i c e n t e r  s t u d y  

主論文の要旨

目的:食物経口負荷試験( OFC )は食物アレルギー診断のゴールドスタンダードであるが、とき に重 j 篤な誘発症状を来すリスクもあり、すべての症例に行うことはできない。そこで、血清特異的 IgE  値が結果予測の指標として用いられ、とくに測定値に対する OFC 陽性予測確率をプロットし たプロパビリティーカーブ(PC )が有用とされている。しかし、 PC はどのような患者を対象とし たか(年齢、重症度、有病率など)、どのよう食品を用いて OFCを行ったか、またその判定基準な ど様々な要素の影響を受けるため、結果の解釈は一律ではない。また、検査方法によっても結果は 異なるが、これまでに報告されたものは ImmunoCAPR(CAP )法によるものがほとんどで、最近 よく用いられるようになったアラスタット 3 g A l l e r g y ( 3 g ,論文中では欧米表記の IMMULITE

2000 3 g A l l e r g y )による PC の報告はない。

鶏卵アレルギーは乳幼児期に最も頻度の多い食物アレルギーであるが、乳児期にアトピー性皮 膚炎があると摂取前からすでに感作が成立していることがあり、低年齢児では鶏卵の摂取が可能で あるか?の診断がしばしば求められる。また、診断が行われた後は、児の成長と共に自然寛解がお こるため、学齢期前にはいつ除去食の解除ができるか?の判定が必要となる。

そこで、本研究では、日常臨床で最も診断が求められるこれらの集団を対象に、多施設共同で 統ーした OFC を実施して、標準的な特異的 IgE 検査法である CAP 法と 3g 法それぞれの診断性能 とその解釈基準を明らかにすることを目的とした。また、選択バイアスを避けるため、プロスペク ティブな手法をとることとした。

方法:医師により OFC が必要と判断された鶏卵除去中の 1 歳から 6 歳の乳幼児 433 名を対象とし た。総合病院 1 8 施設、クリニック 6 施設からエントリーした。 OFC の目的により、 A群( 1 歳代 220 名 乳児期アトピー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎があり、鶏卵感作のために未摂取であった乳 児)、 B群(2 〜 6 歳: 213 名 鶏卵アレルギーの確定診断、あるいは鶏卵摂取による明らかな誘発 症状により、 1 年以上除去継続中で、寛解の判定を必要とする児)の 2 群に分類した。負荷食品は、

加熱卵粉末、非加熱卵粉末(キューピータマゴ(株))を用い、負荷目標量は年齢を考慮して、加熱 卵はA群 6 . 5 g( 1 1 2 個分)、 B 群 13g( 1 個分)、非加熱卵は、両群とも 4 g ( l / 4 個分)に設定した。

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(2)

OFC では微量より負荷を開始、総負荷量が目標量に達するまで、市 I 増摂取させて、摂取 2 時間以 内に客観的症状が出現した場合を陽性と判定した。対象者にはまず加熱卵 OFC を実施、これが陰 性、且つ同意を得られた場合に非加熱卵の負荷試験を実施した。同時に採取した血清で、卵白 (EW )、オボムコイド(O M )特異的 IgE 値を CAP と 3g で測定し、それぞれの診断性能を ROC 解析で評価するとともに、ロジスティック回帰分析により OFC 陽性確率を予測する PC を作成し た 。

結果:加熱卵 OFC では陽性が 1 9 0 名、陰性は 243 名であった。非加熱卵 OFC を行った 113 名で は、陽性 5 8 名、陰性 55 名となった。誘発症状は、じんましんや掻痔感を伴う紅斑などの皮膚症 状(7 0 〜 80% )が多く、消化器症状や呼吸器症状は 30% 程度となった。

E W 、OM 特異的 IgE 値は両検査法ともに負荷陽性が陰性より有意に高値であり、 ROC 曲線の Area Under t h e  Curve (AUC ) は 0 . 7 〜 O

8 と良好な値をとった。 Yaden 指数が最大となるカットオ フ値による感度、特異度も良好であった。測定値は全般に 3g の方が CAP よりも高値であったが、

対数変換後の値は高い直線的な正相関を示した(相関係数約 0 . 9 5 ) 。 PC は特異的 lgE 値が高く なるにつれて陽性確率は上昇する右上がりのカーブとなり、形状はそれぞれの検査法できわめて相 似していた。それぞれの測定値から得られた確率値も高い直線的な正相関(相関係数約 0 . 9 5 ) を示し、診断精度はほぼ同等と考えられた。そこで、 CAP から 3g の特異的 IgE を求める換算式 も確立した。

A群と B 群を比較すると、 A群は B 群に比べて AUC がやや低く、 PC ではカーブの傾きが緩や かで、 95% 信頼区間も広範囲をとり、特異的 IgEを用いる診断は低年齢でやや困難であることが 示唆された。加熱卵 OFC と非加熱卵 OFC を比較すると、 AUC は前者では OM 特異的 IgE が 、 後者では E W 特異的 IgE が高値をとった。

考察:鶏卵アレルギーの確定診断あるいは耐性獲得の判断が必要となる乳幼児を対象に、 c ι A Pと 3g 両検査法の E W および OM 特異的 IgE 値から OFC 給果を予測する判定値と PC を確立した。

日常臨床で OFC が必要とされる患者層を幅広く対象に含めたことで、得られた結果は多くの施設 で活用できるものと考えられた。これまでの先行研究では、 OFC 陽性予測{直は特異的 IgE 値を CAP で測定したものが多く、他の検査法による結果の解釈は困難であったが、本研究では 3g での互換 性も確認した。 CAP と 3g は、特異的 IgE 値だけでなく、個々の OFC 陽性予測 l 値においても高い 相関を示したことから、両検査法はどちらにおいても鶏卵アレルギー児の臨床状態を正確に示す指 標となることが明らかとなった。

結論:乳幼児の鶏卵アレルギーの診断に有用な指標となる鶏卵特異的 IgE 値の陽性予測値と PC を

CAP と3g 両検査法から確立することができた。

参照

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