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特別講演:Aspects on the relation between function and dentofacial morphology : understanding the aetiology, the treatment stability and the relapse of the anterior open bite

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(1)

understanding the aetiology, the treatment stability

and the relapse of the anterior open bite

Stavros Kiliaridis

Department of Orthodontics, Dental School-Faculty of Medicine, University of Geneva

 Over the years there has been a need to study the influence of masticatory muscle function on

craniofacial growth because the knowledge of the mechanisms behind both normal and abnormal

craniofacial growth is a prerequisite for adequate treatment of craniofacial anomalies, including

dental malocclusions.

 In this presentation, we will view the influence of the masticatory muscle function on craniofacial

growth as it has been recorded in a series of animal experimental and clinical studies. The

com-mon characteristic of these investigations is that the elevator muscles of the mandible influence

the transversal and the vertical dimensions of the face. The decreased loading of the jaws due to

masticatory muscle hypofunction may lead to decreased sutural growth and bone apposition,

re-sulting in turn in an decreased transversal growth of the maxilla and narrower bone bases for the

dental arches. Furthermore, an increase in the function of the masticatory muscles is associated

with anterior growth rotation pattern of the mandible, with well-developed angular, coronoid, and

condylar processes, as well as more dense internal bone structures of the alveolar bone.

 Anterior open bite is a malocclusion with different origin. The importance of diagnosis to

differ-entiate the etiology of the anterior open bite may have an impact on the treatment and the

stabili-ty of the results. In growing individuals the vertical dimension is increased during the eruption of

the teeth and the vertical growth of the alveolar process, in harmony with the individual's

cranio-facial growth. Disruption of the normal mandibular growth due to complicated traumatism or

ar-thritis of the mandibular condyle may create anterior open bite. Extrinsic factors as oral habits,

dysfunction of the masticatory muscles and incorrect tongue position may also influence the

verti-cal dentofacial dimension causing anterior open bite. Treatment of open bite malocclusion is

com-plex and challenging because of the moderate to poor long-term stability and the possibility of

compromised esthetics. Relapse of treated cases could be linked, among others, to the remaining

(2)

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

56 日顎変形誌 2017 年

CV:

Dr Kiliaridis has been Professor and Chairman of the Departments of Orthodontics, University of

Geneva, since 1999. He graduated(DDS)from the University of Thessaloniki, Greece, and

re-ceived his Odont Dr/PhD from Göteborg University, Sweden, where he also completed his

special-ist training in Orthodontics. He worked there as Associate Professor, while running a part-time

private practice. Dr Kiliaridis has authored or co-authored over 200 research papers and

book-chapters and has received several distinctions and international awards. He is coordinator of the

European Orthodontic Teachers Forum and vice president of the Network for Erasmus Based

Eu-ropean Orthodontic Programmes(NEBEOP).

(3)

Diagnosis of the morphology and function in patients

with mandibular laterognathism by 3DMRI

後藤多津子

Tazuko K. Goto

東京歯科大学 歯科放射線学講座 Department of Oral and Maxillofacial Radiology, Tokyo Dental College

 骨格性下顎側方偏位症例は,顎関節症などの functional disorder が下顎前突症など他の顎変形症よ

りも多く認められ,初診時からの形態および機能診断が大切と言われている。たしかに,下顎側方偏

位症例における顎形態と機能において,非対称な左右側がどう異なるのか,正常咬合者との違いはど

こにあるのか,非対称となる成長発育の要因はどこに存在しているのか,そしてそれらから見えて来

る患者さんの顎機能の特性は?など不明な点が残されていた。しかしながら左右非対称という複雑な

解剖形態をもつ本症例において,その答えを見つけることは簡単なことではなかった。そこで我々

は,形態の違いと関連する顎口腔機能を解明することを目的に,先天性疾患がなく,腫瘍性病変もな

く,かつ上顎の非対称が著明でない,すなわち下顎骨の要因が主となる骨格性下顎側方偏位症例に着

目し,咀嚼筋,下顎骨,顎関節について①高解像度の 3D MRI volume data 用いて,あらゆる角度か

ら複雑な解剖構造を正確に把握し,②左右側の違いや正常咬合者との違いを三次元的に規格的に比較

検討した。

 結果,後天的な骨格性下顎側方偏位については,形態や,形態から推定できる顎機能が hemifacial

microsomia など先天的な症例と異なることが明らかとなった。例えば,下顎骨形態において正常者

と異なるのは非偏位側であった。また,咀嚼筋と顎骨はお互い影響を及ぼし合っているが,咀嚼筋は

下顎の側方変位を誘導するよりも,結果として萎縮を起こす要因の方が大きいのではないか,と考え

られた。

 我々が確立した高解像度画像を用いた方法論は,規格性を兼ね備えているため,下顎前突症や下顎

後退症など他の顎変形症においても有用である。また非侵襲的で各患者の長期観察も行える。今後,

様々な顎変形症についての解析や術後経過の解析を進めれば,骨の deformity と機能とがどうむすび

つくのか客観的な情報が加味され,形態の改善が機能回復にどのように有効なのかについて明らかに

なっていくと思われる。

(4)

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

58 日顎変形誌 2017 年

略 歴

[学 歴]

1988 年 九州大学歯学部 卒業

1988 年 九州大学大学院博士課程 歯学研究科 入学(口腔外科)

1992 年 九州大学大学院博士課程 歯学研究科 修了

学位:博士(歯学)歯博甲第 86 号

1992 年 九州大学歯学部 研究生(口腔外科)

[職 歴]

1992 年 九州大学病院 医員(歯科放射線科)

1993 年 The University of British Columbia, Canada, Faculty of Dentistry, Oral Biology,

Postdoc-toral Research Fellow.

1995 年 The Hospital for Sick Children, University of Toronto, Canada, Faculty of Medicine,

Diag-nostic Imaging, Clinical Observer.

1996 年 九州大学病院 医員(歯科放射線科)

1997 年 九州大学歯学部 助手(口腔画像診断学)

1999 年 九州大学歯学部 助教(口腔画像診断学)

2009 年 九州大学病院 講師(口腔画像診断科)

2010 年 Associate Professor and Chairman, Oral Radiology, Oral Diagnosis & Polyclinics, Faculty

of Dentistry, The University of Hong Kong.

2015 年 東京歯科大学 主任教授(歯科放射線学講座)

Honorary Professor, Faculty of Dentistry, The University of Hong Kong

[非常勤勤務]

2002︲2008 年 国立病院機構九州医療センター 放射線科

2009︲2010 年 九州中央病院 歯科口腔外科

[免許・資格]

1988 年 歯科医師免許(歯科医籍登録 第 105541 号)

2004 年 エックス線作業主任者免許(厚生労働省 第 40011586801 号)

1999 年 歯科放射線認定医,2005 年 専門医,2006 年 指導医

(5)

2008 年 顎関節症専門医,2009 年 指導医

2009 年 顎関節症専門医研修施設 代表指導医(九州大学病院 口腔画像診断科)

2011 年 Ionizing Radiation & X-ray Protection, Safety Office, HKU.

2011 年 Private patient and outside practice, Faculty of Dentistry, HKU.

2016 年 顎関節症専門医研修施設 代表指導医(東京歯科大学病院 放射線科)

(6)

【プログラム・抄録号】

シンポジウム

1

61 27 巻 2 号

外科的矯正治療における三次元画像技術の展開

Evolution of 3-dimensional image technology in

orthodontic-orthogna-thic treatment

高橋 一郎

Ichiro Takahashi

九州大学大学院歯学研究院 歯科矯正学分野 The Section of Orthodontics, Faculty of Dental Science, Kyushu University

山内 健介

Kensuke Yamauchi

東北大学大学院歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Tohoku University

Graduate School of Dentistry

 近年,顎変形症治療において顎顔面形態や歯列形態の三次元的評価が行われるようになってきまし

た。骨格型非対称症例など,二次元の形態計測では十分に問題点を把握し,治療成果を評価すること

が難しい症例において客観的評価法として有効であると考えられます。また,歯列の三次元計測につ

いても,Computed tomography の三次元データとの結合も含めて,デジタル画像を用いた診断が可

能となるとともに,デジタルセットアップが治療計画の立案に応用されています。研究レベルでは気

道のように治療に伴う形態の変化が機能の変化に影響を及ぼす領域の三次元評価の必要性が検討さ

れ,成果を挙げてきています。このような中で,口腔外科分野では三次元手術シミュレーション,手

術ナビゲーションなど,三次元画像技術が活発に応用されるようになりましたが,矯正歯科分野での

展開については,三次元歯列分析による術前術後矯正治療への応用も含め,顎顔面の三次元的分析と

連動した歯列の三次元分析等,今後の発展が期待される状況であると考えられます。本シンポジウム

では顎変形症診断・治療における三次元解析の現状と課題,そして,今後の展開について,口腔外科

と矯正歯科の両分野から,手術シミュレーションの最新の考え方や歯列の三次元形態分析の現状,あ

るいは気道の二次元・三次元分析の比較など多方面からの発表をお願いし,議論を進めていきたいと

考えています。

(7)

北 原  亨

Toru Kitahara

九州大学大学院歯学研究院 口腔保健推進学講座 歯科矯正学分野 The Section of Orthodontics, Division of Oral Health, Growth & Development, Faculty of Dental Science, Kyushu University

 これまでに顎矯正手術が睡眠呼吸障害を引き起こす原因になるというエビデンスはないが,下顎骨

後方移動術においては睡眠呼吸障害に対する注意が必要である(顎変形症診療ガイドライン 2008)。

 われわれは側面頭部 X 線規格写真による下顎枝矢状分割術と下顎枝垂直骨切り術による後方移動

術後評価において,舌骨位置および咽頭部気道形態が異なる変化を呈する成果論文の発表を行った

1)

2 術式とも下顎骨後方移動術後には,咽頭部気道の狭小化が惹起され,舌骨は下方移動をおこしその

後緩徐に復位を示したが,下顎枝垂直骨切り術に関しては,移動術直後に示された軟口蓋部気道幅径

および舌根部気道幅径の減少傾向は動的治療終了時まで継続していた。

 一方,医療用コンピュータ技術の発達で三次元画像が広く応用可能となり,顎顔面診断分野では二

次元から三次元診断へのパラダイムシフトが起きようとしている。当講座では Spiral/helical

Com-puted Tomography を用いて,骨格性下顎前突症患者術前後における顎顔面骨格と咽頭気道形態を三

次元的に解析し,個性正常咬合を有する対照群と比較検討した論文を発表した。下顎骨後方移動量が

少なくとも本研究における平均移動量 8.9∓4.3mm の範囲内である場合,咽頭気道の開存性は下顎骨

後方移動術後も維持されることが示唆された

2)

。下顎骨後方移動量が増えるほど舌骨の位置が下がる

ことで咽頭気道の高さが増加し,相補的に気道が確保されていた。

 以上のことより,気道周囲の筋や靭帯によって密接に関連している舌骨を含めた咽頭気道周囲の骨

構造(skeletal frame)は,下顎骨後方移動術後に生理学的適応を呈することにより,咽頭気道のス

ペースの確保につながっていたと推察された。

 本講演では,下顎骨後方移動術前後の咽頭気道変化の二次元ならびに三次元的形態評価に関する研

究結果を交えて報告させていただき,情報交換の機会を提供させていただくことができれば幸いです。

1)Kitahara T, Hoshino Y, Maruyama K, In E, Takahashi I. Changes in the pharyngeal airway

Two-and three-dimensional analysis of changes in

pha-ryngeal airway space after mandibular setback surgery

(8)

【プログラム・抄録号】

シンポジウム

1

63 27 巻 2 号

略 歴

1989 年 3 月 九州大学歯学部 卒業

1994 年 3 月 九州大学大学院歯学研究科 修了

1994 年 4 月 九州大学 助手      

2000 年 4 月 九州大学大学院歯学研究院 助手   

2007 年 4 月 九州大学大学院歯学研究院 助教

2013 年 4 月 九州大学大学院歯学研究院 講師

2016 年 2 月 九州大学病院 講師

現在に至る

(9)

discrepancy between soft & hard tissue by

orthogna-thic surgery

山内 健介

Kensuke Yamauchi

東北大学大学院歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Tohoku University

Graduate School of Dentistry

 顎変形症治療のゴールには良好な咬合関係と調和のとれた顔貌が大きな部分を占めており,それに

向けた診断と治療計画の立案は重要である。近年,三次元画像処理技術の進歩により,従来の頭部 X

線規格写真を中心とした Paper Surgery から,CT 画像を利用した 3D シミュレーションが発展して

きている。特に歯列画像と骨組織の統合技術の向上により,咬合を中心とした硬組織シミュレーショ

ンの再現性は高いといえる。しかしながら患者側が求めている最終的な軟組織形態の予測について

は,硬組織変化に対する軟組織変化の再現性が不十分であることから,臨床的には改善すべき課題が

多い。

 3D シミュレーションは CT 画像を基に行われており,マルチスライス CT(MSCT)やコーンビー

ム CT の種類により撮影体位が異なり,軟組織形態の表現にも違いが生じている。われわれは

MSCT で撮影された DICOM データを画像処理ソフト(Proplan CMF ver.3.0,Materialize 社)で手

術シミュレーションを行い,それとは別に術前後の軟組織を非接触型光学スキャナー(Artec EVA,

Artec 社)で撮影して,両者の画像を比較検討している。また,硬組織の評価としては手術前後に撮

影された MSCT の硬組織画像を用いて,硬組織変化,すなわち骨の立体的移動量を算出することが

可能である。

 撮影体位による差違については,仰臥位と座位では頰部や耳介下部で変化が大きく,その変化量は

患者の体型にも要因があることが判明した。また,硬組織変化に対する軟組織変化についても検証を

行っているが,硬組織変化は術後早期に安定しているにもかかわらず,軟組織変化量は術後 3 か月か

ら 12 か月頃にかけても変化を認める症例もあり軟組織変化の評価時期の設定が難しく,また,口唇

周囲の評価も不安定であることが判明した。

 3D シミュレーションは顔面非対称症例に対して特に有用であると考えているが,軟・硬組織の移

動に伴う変化量のディスクレパンシーを考慮するのは難しいのが現状である。われわれは硬組織を中

(10)

【プログラム・抄録号】

シンポジウム

1

65 27 巻 2 号

略 歴

2001 年 3 月 東北大学歯学部 卒業

2001 年 4 月 九州歯科大学口腔外科学第二講座 研究生

2001 年 11 月 香川県立中央病院歯科口腔外科 嘱託医

2003 年 4 月 九州歯科大学口腔外科学第二講座 助手 

2011 年 4 月 オランダ・マーストリヒト大学頭蓋顎顔面口腔外科講座 留学(~ 2012 年 3 月)

2012 年 9 月 東北大学大学院歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野 助教 

2013 年 4 月 東北大学大学院歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野 講師

東北大学病院 歯科インプラントセンター 副センター長 (兼任)

2017 年 3 月 東北大学大学院歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野 准教授 

資 格

歯学博士,(公社)日本口腔外科学会 専門医・指導医,(公社)日本口腔インプラント学会 専門医

(11)

顔面非対称症例における歯列形態の三次元的分析

3D analysis of facial asymmetry dentition

西 井  康

Yasushi Nishii

東京歯科大学 歯科矯正学講座 Department of Orthodontics, Tokyo Dental College

 顔面非対称症例における顔面形態は,下顎骨のみならず上顎骨を含めた上・中・下顔面の三次元的

な変形が複雑に関与している。典型的な下顎前突を伴う顔面非対称症例では,前額面での上顎骨の傾

斜に伴い,咬合平面の偏位側への傾斜(カント),そして下顎枝部に長さと形態の違いが現れ,下顎

骨体部の傾斜と回転が認められる。このようにある一定のパターンの傾斜と回転により顔面の非対称

が生じている。上下顎歯槽突起とそこに植立している歯にもその影響はおよび,臼歯部の頰舌的なデ

ンタルコンペンセーションにより,偏位側での上顎臼歯の頰側傾斜,下顎臼歯の舌側傾斜そして,非

偏位側での上顎臼歯の舌側傾斜,下顎臼歯の頰側傾斜が認められる。そして,これらはアーチフォー

ムの形態にも影響を及ぼしている。

 近年,顔面非対称症例に代表される上記のような複雑な形態の症例において,CT やレーザース

キャナーデータからの三次元的分析,顎矯正手術シミュレーションの有用性が報告されてきている。

これにより,特に口腔外科医にとり詳細な手術計画の立案や事前準備が可能となり,良好な治療結果

が得られるようになってきた。一方,矯正歯科医にとっての関心事は,初診時における精度の高い三

次元的な診断と治療計画であり,さらには術前にアーチフォームがどのような変形をきたしており,

術前矯正治療でどのような調和を得るのか,また前歯および臼歯部の頰舌的なディコンペンセーショ

ンをどの程度まで達成すれば良いかということである。近年,アンカースクリューの保険導入により

臼歯部の移動が比較的自由に調整することができるようになったため,なおさら術前矯正治療計画の

重要性が増してきている。

 本シンポジウムでは,下顎前突を伴う顔面非対称症例において,術前術後の歯槽部,歯列において

の三次元的な形態評価を行なったので,私見を交えご報告したいと思います。顔面非対称症例におけ

る術前三次元矯正治療目標設定について討議する機会にできれば幸いです。

(12)

【プログラム・抄録号】

シンポジウム

1

67 27 巻 2 号

略 歴

1986 年 3 月 東京歯科大学 卒業

1986 年 4 月 一般歯科医院 勤務

1994 年 4 月 東京歯科大学 歯科矯正学講座 第 1 専修科生

1998 年 4 月 東京歯科大学 歯科矯正学講座 助教 

2001 年 4 月 歯学博士学位 授与

2007 年 7 月 University of Southern California School of Dentistry Visiting Professor

2014 年 4 月 東京歯科大学 歯科矯正学講座 講師

資 格

日本矯正歯科学会 認定医,専門医,指導医

受 賞

優秀ポスター賞:第 26 回特定非営利活動法人日本顎変形症学会総会・学術大会

Outstanding Poster award : The 55th Congress of the Korean Association of Maxillofacial Plastic

and Reconstructive Surgeons

(13)

外科的矯正治療による顎口腔機能変化について

Changes in stomatognathic function by surgical-orthodontic treatment

柴田 考典

Takanori Shibata

北海道医療大学歯学部 School of Dentistry, Health Sciences University of Hokkaido

田中 栄二

Eiji Tanaka

徳島大学大学院医歯薬学研究部 口腔顎顔面矯正学分野 Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of

Biomedical Sciences, Tokushima University Graduate School

 外科的矯正治療による顎口腔機能変化については,かねてより筋活動,顎運動,呼吸,発音,嚥下

等について調査されている。それらの結果は,おしなべて外科的矯正治療前後の機能改善は見られる

ものの,その改善は僅かで健常者の域には遠くおよばない。

 本シンポジウムでは,現在までの外科的矯正治療による顎口腔機能変化についての知見を review

するとともに,術後におけるさらなる機能向上を目指した所謂リハビリテーションの試みを紹介し,

ご批判を仰ぐことにある。

 なお,顎変形症は広い範疇で,周知の如く骨格性下顎前突症,下顎非対称,開咬症,下顎後退症等が

含まれ,本シンポジウムにおける討議の収束を図るため,対象を骨格性下顎前突症に絞ることにした。

 まず松本歯科大学の山田一尋氏には口唇運動と口唇閉鎖力について,ついで徳島大学大学院医歯薬

学研究部の川合暢彦氏には顎口腔機能検査,なかでも咀嚼運動について,また新潟大学大学院医歯学

総合研究科の福井忠雄氏には嚥下時における顎顔面筋の筋活動,舌運動および舌圧発生様相につい

て,骨格性下顎前突症の治療前評価および治療後における変化を概説していただく。さらにそれぞれ

の知見を元に外科的矯正治療における口唇閉鎖力トレーニング,ガム咀嚼トレーニング,および舌に

関する MFT についてご紹介いただき,外科的矯正治療におけるリハビリテーション療法について共

に考えを巡らしたいと思う。

(14)

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

シンポジウム

2

70 日顎変形誌 2017 年

山田 一尋

Kazuhiro Yamada

松本歯科大学 歯科矯正学講座 Department of Orthodontics, Matsumoto Dental University

 骨格性下顎前突患者では上下顎骨の三次元的位置のバランスが崩れ,顎骨の不調和を補償するため

に上下顎前歯のデンタルコンペンセーションがみられる。この歯軸傾斜には,口腔周囲軟組織が関連

する。われわれは,骨格性下顎前突患者の口唇閉鎖力を上下口唇の 8 方向から同時に測定できる多方

位口唇閉鎖力測定装置で,解析を行ってきた。骨格性下顎前突では上下顎前歯デンタルコンペンセー

ションを補償する上下口唇閉鎖力バランスを示し,顎偏位を伴う場合には臼歯部のデンタルコンペン

セーションと歯列弓形態に合わせた上下口唇閉鎖力バランスを示した。

 また,骨格性下顎前突者の審美の評価にスマイル時の口唇の動きの評価は重要である。われわれ

は,ステレオカメラを用いて下顎骨偏位を伴う下顎前突症例を解析し,口唇の非対称を補償するスマ

イル時の口唇運動を示した。

 このように,骨格性下顎前突患者では顎顔面形態に合わせた口唇閉鎖力とスマイル時の口唇運動を

示す。外科的矯正治療後の上下顎骨,上下顎前歯,臼歯の安定には口腔周囲軟組織との調和が必要で

ある。そこで,現在外科的矯正治療後の口唇閉鎖力およびスマイル運動時の口唇運動の変化を解析し

ている。

 本シンポジウムでは,骨格性下顎前突患者の初診時の口唇閉鎖力,スマイル運動時の口唇運動およ

び術後変化,口唇閉鎖力トレーニングも含めて報告したいと考えている。

骨格性下顎前突患者の口唇閉鎖力と口唇運動について

Lip closing force and lip movement in patients with

mandibular protrusion

(15)

略 歴

1981 年 3 月 新潟大学歯学部 卒業

1985 年 3 月 新潟大学歯学部歯学研究科 修了(歯学博士)

1985 年 4 月 新潟大学歯学部 歯科矯正学講座 助手

1988 年 4 月~ 1990 年 3 月

クレイトン大学,ネブラスカ大学 留学

1993 年 4 月 新潟大学歯学部附属病院 講師

2007 年 5 月 松本歯科大学 歯科矯正学講座 教授 

現在に至る

資 格

日本矯正歯科学会 指導医,専門医

日本顎関節学会 指導医,専門医

(16)

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

シンポジウム

2

72 日顎変形誌 2017 年

骨格性下顎前突症患者における術前後の嚥下機能変化

The changes in tongue movement and orofacial muscle

activities during deglutition in patient with

mandibu-lar prognathism before and after orthognathic surgery

福井 忠雄

Tadao Fukui

新潟大学大学院医歯学総合研究科 歯科矯正学分野 Division of Orthodontics, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences

坂 上  馨

1)

,阿 部  遼

1)

,篠倉 千恵

2)

,齋 藤  功

1)

Kei Sakaue

1)

,Ryo Abe

1)

,Chie Sasakura

2)

,Isao Saito

1)

1)新潟大学大学院医歯学総合研究科 歯科矯正学分野 2)ささくら矯正歯科クリニック 歯科矯正学分野 1)Division of Orthodontics, Niigata University Graduate School

of Medical and Dental Sciences

2)Sasakura Orthodontic Clinic

 顎変形症患者における治療目標は形態的,審美的改善と顎口腔機能の改善,安定した咬合関係の確

立である。外科的矯正治療により顎口腔機能は,多少は改善されるが正常咬合者までの向上は得られ

ないというのが定説である。しかし嚥下機能については知られていない点が多い。

 骨格性下顎前突症患者では顎顔面形態や咬合異常などの形態的異常のみならず,嚥下機能の低下が

認められる。嚥下機能の低下は顎顔面の硬組織形態の異常に軟組織の異常が付随することで発現して

いる場合が多い。すなわち,口腔前方部では歯列前方での閉鎖不全と口唇閉鎖不全,口腔中央部では

顎間関係のズレに伴う上下歯列弓の不調和と舌の低位と前方位などである。術後,硬組織形態の改善

に伴い軟組織形態も改善なされるが,その軟組織に付随した機能は徐々に回復することが多い。

 今回われわれは嚥下時の①顎顔面筋の筋活動様相②舌の口蓋への接触様相③舌運動の超音波診断装

置を用いた観察から,下顎前突症患者の特徴を抽出した。また,術後に縦断的観察を行った症例につ

いて呈示し,嚥下機能の改善について紹介する。

 さらに術後の嚥下機能の改善と外科的矯正治療後の形態や咬合の安定性を確保するためには,術後

早期からの口腔筋機能訓練(MFT)が有効と考えており,MFT を含めた術後ハビリテーションにつ

いて,意見交換ができればと考えている。

(17)

略 歴

1990 年 新潟大学歯学部 卒業

1994 年 新潟大学大学院歯学研究科 修了(博士(歯学))

1997 年 新潟大学歯学部 助手

(18)

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

シンポジウム

2

74 日顎変形誌 2017 年

顎変形症患者への顎矯正手術後のリハビリテーション

Rehabilitation of patients with a jaw deformity after

the orthognathic surgery

川合 暢彦

Nobuhiko Kawai

徳島大学大学院医歯薬学研究部 口腔顎顔面矯正学分野 Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of Biomedical Sciences,

Tokushima University Graduate School

 顎変形症患者は顎顔面形態や咬合の異常に伴い,正常咬合者と比較して顎口腔機能が低下してい

る。外科的矯正治療による形態的不調和の改善により顎口腔機能は治療開始前と比較しわずかに向上

するが,正常咬合者と同等のレベルには至らないというのが定説である。外科的矯正治療の目標は,

顎間関係の改善による調和のとれた咬合と顔貌の美的調和の獲得といった形態的改善のみならず口腔

機能の快復にあるため,外科的矯正治療において口腔機能の向上を積極的に試みる必要がある。しか

し多くの症例において,顎口腔機能検査は行っているものの,検査結果を臨床現場で十分に活用でき

ていないと思われる。

 顎変形症患者は治療開始まで自身の咀嚼障害を自覚していない場合が多く,不適切な咀嚼運動を習

慣としていることが多いことから,外科的矯正治療によって形態的な改善が得られた後も,その機能

を十分に発揮できていない可能性がある。当科では咀嚼筋力向上と正しい咀嚼運動の獲得のため,顎

矯正手術後にリハビリテーションとしてガム咀嚼トレーニングを行っている。手術後 3 か月より 1 日

2 回それぞれ 5 分間のガム咀嚼を 90 日間行う。トレーニングは矯正歯科担当医,顎口腔機能検査担

当医,歯科衛生士のチームで行い,患者に顎口腔機能検査結果を説明しながら行うことで,患者の顎

口腔機能への理解を深めるとともに,モチベーションをあげるよう工夫している。顎口腔機能検査は

初診時,手術直前,トレーニング終了時 (手術後 6 か月) および動的治療終了時に行う。咀嚼筋筋電

図および切歯運動経路を測定し,評価項目として最大噛みしめ時の振幅およびガム咀嚼時の異常運動

経路発現率を使用している。これまでの結果として,トレーニングを行っていない顎変形症患者と比

較してトレーニングを受けた患者では,振幅の増大および異常運動経路発現率の低下を認めた。本講

演では,骨格性下顎前突症患者の顎口腔機能に関する従来の報告を基に外科的矯正治療後のリハビリ

テーションの有用性についてお話するとともに,当科での術後リハビリテーションの試みを紹介させ

ていただきます。

(19)

略 歴

2002 年 新潟大学歯学部 卒業

2002 年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科 博士課程 入学

2003 年 アムステルダム大学歯学部 留学(文部科学省最先端分野学生交流推進制度)

2006 年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科 博士課程 修了(歯学博士)

2006 年 広島大学病院 矯正歯科医員

2008 年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科 歯科矯正学分野 助教

2009 年 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔顎顔面矯正学分野 助教

2015 年 徳島大学大学院医歯薬学研究部 口腔顎顔面矯正学分野 助教

2017 年 徳島大学大学院医歯薬学研究部 口腔顎顔面矯正学分野 講師

資 格

日本矯正歯科学会 認定医・指導医

著 書

新 よくわかる顎口腔機能咬合・摂食嚥下・発音を理解する

(共著・日本顎口腔機能学会編,医歯薬出版)

(20)

【プログラム・抄録号】

シンポジウム

3

77 27 巻 2 号

開咬症例に対するアプローチ

Clinical approach to cases with skeletal open bite

高野 正行

Masayuki Takano

東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Tokyo Dental College

川元 龍夫

Tatsuo Kawamoto

九州歯科大学歯学部 顎口腔機能矯正学分野 Division of Orofacial Functions and Orthodontics, Department of Health Improvement Faculty of Dentistry

 顎変形症のなかで開咬症の治療は様々な面で注意を要する疾患です。ひとつには手術療法を含む外

科的矯正治療を選択するべきか,矯正単独の治療法を選ぶべきかという治療方針選択の問題がありま

す。近年,矯正用アンカースクリューなどを用いた治療法の進歩により,矯正単独での適応も拡大し

ているため,治療法の選択には慎重な分析と対応が求められています。また,開咬症は咬合習慣や筋

機能の関与がとりわけ大きいため,その方向からの解析も安定した結果をえるための重要な要素とな

ります。

 そして手術法の選択にあたっては,顔面形態の違いにより異なる手術法を選択するべきか,下顎前

突症を伴う開咬症と下顎後退症を伴うものとでは術後安定性に違いがあるのか,下顎単独手術と上下

顎同時移動術のどちらがより適切なのか,などの問題が挙げられます。さらには,顎関節への対応と

下顎近位骨片のリポジショニングに際しての工夫,骨片固定には何を選択するか,吸収性プレートの

応用は可能か,などについて認識の整理が必要となるでしょう。さらに,術後の対応として,後戻り

を予防するための適切な顎間固定やエラスティックコントロールの方法,筋機能訓練などの注意点,

長期安定性を得るための要件などについて再確認しておくべきでしょう。

 今回,これらの項目について様々な観点から検討し,より安全で確実な外科的矯正治療を進めるた

めの共通認識が得られればと考えます。このシンポジウムでは日本と韓国から 3 名の先生をお迎えし

て,多くの臨床経験や研究をもとに会員の皆様と共に議論を深めて参りたいと思います。

(21)

Jin-Young Choi

Department of Oral and Maxillofacial Surgery, School of Dentistry, Seoul National University, Korea

 Orthodontic treatment of open bite is accompanied by a relatively high rate of relapse, hence

combination of surgical and orthodontic treatment has been preferred thus far. However, upon re-

cent adoption of the SAS system, orthodontic treatment alone has demonstrated successful out-come in treating open bite patients. As an oral and maxillofacial surgeon, accurate knowledge

about indications and prognosis of sole orthodontic treatment and combined orthodontic and surgi-cal treatment is crucial in order to decide for the best treatment plan for each and every patients.

In this report, I would like to suggest an optimal guideline for treatment of open bite patients by

conducting analysis and comparison between cases of orthodontic treatment alone and cases of

combined orthodontic-surgical treatment at the department of Orthodontics and at the department

of Oral and Maxillofacial Surgery, respectively, at the Seoul National University Dental Hospital.

Orthodontic treatment only or orthodontic and

orthognathic surgery for open bite

(22)

【プログラム・抄録号】

シンポジウム

3

79 27 巻 2 号

略 歴

1. Biographical Data

Date of Birth

: Feb 11, 1961

Present Position : Professor(full time), Department of Oral & Maxillofacial Surgery School of

Dentistry, Seoul National University

E︲Mail

: jinychoi@snu.ac.kr

2. Education

1979.3 ~ 1985.2 : DDS, College of Dentistry, Seoul National University

1987.3 ~ 1991.2 : MSD, Graduate School, Seoul National University

1992.10 ~ 1997.10 : MD, School of Medicine, Georg August University in Goettingen Germany

1994.10 ~ 1998.2 : PhD School of Medicine, Georg August University in Goettingen Germany

3. Postgraduate Training and professional work

1985.3 ~ 1986.2 : Internship, Seoul National University Hospital

1986.3 ~ 1988.2 : Residency, Oral and Maxillofacial Surgery, Seoul National University Hospital

1998 ~ present : Lecturer, Assistant professor, Associate professor, Professor in Deptartment of

Oral and Maxillofacial Surgery, School of Dentistry, Seoul National University

2001.2 ~ 2002.1 : visiting professor School of biology Manchester University England

2005. ~ 2009

: Director in Dentofacial Deformity Clinic in Seoul National University Dental

Hospital

2011. ~ 2013

: Director in department of Oral &Maxillofacial Surgery, School of Dentistry,

Seoul National University

2011. ~ 2013

: Director in department of Oral &Maxillofacial Surgery School of Dentistry,

Seoul National University Dental Hospital

20105. ~ 2013.5 : Director in department Education and research in Seoul National University

Dental Hospital

May 2013. ︲Jun 2013︲visiting professor in sleep center in Stanford University Hospital

President

: Korean Academy of Maxillofacial Aesthetic surgery

President

: Korean Association of Dental Sleep Medicine

President

: Korean Association of Cleft Lip and Palate

(23)

開咬症例に対するアプローチ

Surgical treatment for anterior open bite cases

上木耕一郎

Koichiro Ueki

山梨大学大学院総合研究部 医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Division of Medicine, Interdisciplinary Graduate School, University of Yamanashi

 開咬症は,上下歯列の垂直方向での不正咬合であり,前歯部開咬症に対する治療は,非常に困難で

ある。下顎運動障害,口腔機能障害(咀嚼障害,嚥下障害,発語構音障害,舌癖)などの異常を伴い,

これらが原因あるいは結果となっていることが考えられる。垂直的に上下方向に離開するように様々

な力が生じるため,治療終了後に矯正装置を除去した後に最も後戻りが懸念される顎変形である。軽

度の開咬で,上下顎骨の大きさや形態,位置関係に異常がなければ,マルチループによる歯列矯正あ

るいはアンカースクリュー,プレートを用いた矯正治療でも正常な咬合を確立できることができると

思われる。しかし,重度の開咬,上下顎顎骨の大きさや形態,位置関係の異常が認められる場合には

外科矯正手術を適応せざるを得ない。Class Ⅲ開咬症例(high angle case)と Class Ⅱ開咬症例(high

angle case)でも,手術方法,術式の選択,骨片の移動方向,位置において異なると思われる。いず

れの場合も,舌房の確保と下顎枝を取り巻く靭帯,咀嚼筋つまり Pterygomasseter sling の伸展が防

止できるように術式を選択し移動方向,位置を考慮する。下顎枝矢状分割術単独で行う場合には,た

とえ short lingual cut を用いても下顎骨後方で遠位骨片の下方移動を生じさせることになるため,

Pterygomasseter sling の十分な剥離が必要になる。しかし,同部位で同部位での過度な剥離,伸展

操作は術中出血,神経麻痺などを惹起する可能性があるため,上顎骨 Le Fort I 骨切り術を併用し,

上顎臼歯部の上方移動を行う方が予知性が高いと思われる。Class Ⅲで上顎骨の前方移動が許容され

るのであれば,上顎の上方移動はわずかでも前方移動により臼歯部の離開が生じるので,下顎骨遠位

骨片の移動は容易であろう。しかし,Class Ⅲで上顎骨の前方移動が許容されない場合や Class Ⅱで

は上顎骨後方部,翼状突起などの骨干渉の除去や馬蹄形骨切りなどで上顎骨骨片を無理なく上方に移

動させる必要がある。上顎骨の上方移動が行われた後,Class Ⅱでは,下顎骨の counterclockwise

rotation および前方移動を余儀なくされる。しかし,Class Ⅱ high angle case での近位骨片の

coun-terclockwise rotation は過去の報告からも突発性下顎頭吸収(Progressive condylar resorption)の

(24)

【プログラム・抄録号】

シンポジウム

3

81 27 巻 2 号

略 歴

1993 年 3 月 北海道大学歯学部 卒業

1993 年 4 月 金沢大学医学部 歯科口腔外科 研修医

1994 年 4 月 金沢大学大学院医学系研究科(歯科口腔外科) 入学

1998 年 3 月 金沢大学大学院医学系研究科(歯科口腔外科) 修了

1998 年 4 月 金沢大学医学部 歯科口腔外科 医員

2007 年 5 月 金沢大学大学院医学系研究科 歯科口腔外科 助教

2011 年 10 月 金沢大学大学院医学系研究科 歯科口腔外科 講師

2012 年 10 月 山梨大学大学院医学工学総合研究部 医学学域歯科口腔外科学講座 教授

2014 年 10 月 山梨大学大学院総合研究部 医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座 教授

2017 年 6 月 現在に至る

(25)

私たちの行っている開咬症に対する外科矯正手術

Orthognathic surgery for open bite in our team

渡 邊  章

Akira Watanabe

東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Tokyo Dental College

 開咬症に対する手術は,1849 年に小児期に頸部の火傷によって生じた開咬を伴う下顎前突症の成

人女性に対して下顎前方歯槽部骨切り術を行ったのが最初であり,外科矯正手術の始まりでもあっ

た。その後,様々な外科矯正手術が開発され,現在では多くの施設で行われるようになった。しか

し,顎変形症治療の中でも開咬症に対する治療は,後戻りという術後の併発症をいかに予防できるか

が重要でかつ苦慮するところであり,これまで様々な議論が重ねられた。

 開咬症は,発現部位,前歯部切端間の空隙の状態,歯槽性開咬や骨格性開咬といった形態異常の及

ぶ範囲による分類などが存在し,咬合関係は多岐にわたる。また,下顎前突症,下顎後退症,上顎前

突症,非対称症などの顎顔面の変形と合併していることも多く,顎顔面の骨格形態は複雑であり,初

診時の様々な分析と問題点の抽出は重要である。

 開咬症に対する外科矯正手術には,上下顎のそれぞれに行う手術が存在する。上顎に対し行うの

は,上顎前方歯槽部骨切り術,上顎後方歯槽部骨切り術,Le fort Ⅰ型骨切り術が挙げられ,下顎に対

して行うのは,下顎前方歯槽部骨切り術,下顎枝矢状分割法などが挙げられる。これらの手術は,基

本的に症例の顎骨,歯槽部の変形部位を明確にし,その変形に対して修正するように単独,あるいは

いくつかの手術を組み合わせて選択する。また,下顎枝矢状分割法を選択する場合には,遠位骨片が

Counter clockwise rotation の方向で移動すると舌骨上筋群などの筋肉の緊張が強くなり後戻りとして

懸念される。その際には,上顎に対する手術を併用し,下顎の移動量や移動方向を変化させるなどの

工夫を行う。開咬症例は,術前,術中,術後の配慮する点が多く,口腔外科医と矯正歯科医は,綿密

な検討,意見交換をすることが重要であり,症例にあった治療計画を立案することが必須である。

 今回,私たちが行っている開咬症に対する外科矯正手術を供覧するとともに,上顎に対する手術の

注意点,下顎に対する手術の注意点(近位骨片の位置決め,固定法など),術後の管理などの問題点

について検討したい。

(26)

【プログラム・抄録号】

シンポジウム

3

83 27 巻 2 号

略 歴

2001 年 3 月 東京歯科大学 卒業

2002 年 10 月 長崎大学医歯薬学総合研究科 原爆後障害医療研究施設分子医療部門

変異遺伝子解析研究分野

2005 年 3 月 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔外科学専攻)修了

2005 年 4 月 東京歯科大学 口腔外科学講座 病院助手

埼玉県小児医療センター 形成外科 

2006 年 4 月 埼玉県小児医療センター 麻酔科 

2006 年 11 月 東京歯科大学 口腔外科学講座 レジデント

2008 年 4 月 東京都立府中病院(現:多摩総合医療センター)歯科口腔外科 医員

2009 年 4 月 東京歯科大学 口腔外科学講座 助教

2015 年 4 月 東京歯科大学 口腔外科学講座 講師

(27)

安全・確実な上顎骨骨切り術を求めて

Search for safe and reliable maxillary osteotomy

上木耕一郎

Koichiro Ueki

山梨大学大学院総合研究部 医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Division of Medicine, Interdisciplinary Graduate School, University of Yamanashi

竹信 俊彦

Toshihiko Takenobu

神戸市立医療センター中央市民病院歯科 歯科口腔外科 Division of Orofacial Functions and Orthodontics, Department of Health Improvement Faculty of Dentistry

 上顎骨骨切り術とくに Le Fort I 型骨切り術は,外科矯正手術において古くから用いられてきた術

式で,下顎骨骨切り術と併用して用いることが多いと思われます。本術式は,従来から主に上顎後退

症,劣成長に用いられ上顎骨骨片を前方あるいは下方に移動させプレート固定する方法が日本では一

般的でした。上顎洞の内外側壁の骨切り,翼突上顎縫合部の切離や上顎 down fracture を行うため大

口蓋管の中を走行する下行口蓋動脈,翼突静脈叢を損傷し多量の出血を生じる可能性があるため,上

顎後方部の処理を回避してきたことが術式の適応を狭めていたと考えられます。しかも,古くから上

顎骨の上方移動を行ってきた欧米の論文などでは具体的な方法の記載は少なく,回転切削器具で上顎

結節を削除すれは,これが可能になるとの記載があるのみでした。しかし,最近は CT などの画像診

断能力の向上,さらにはこれを駆使したシミュレーションなども進歩してきており,術前により正確

に上顎骨骨切りの予測が可能になってきています。また,馬蹄形骨切り術の追加,改良および超音波

切削機械の開発によって安全・確実に口蓋部,上顎骨後方部,翼状突起の処理を追加することで,上

顎骨骨片を上方,後方への移動が行えるようになってきました。これにより,適応は飛躍的に拡大

し,上顎前突症,開咬症,上顎非対称に用いられることも多くなってきていると思います。本シンポ

ジウムでは,最近の上顎骨骨切り術における安全・確実な方法に関する知見を皆様と共有したいと考

えております。

(28)

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

シンポジウム

4

86 日顎変形誌 2017 年

福岡歯科大学で学んだ上顎骨骨切り術

Maxillary osteotomy in Fukuoka Dental College

泉 喜和子

Kiwako Izumi

福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Fukuoka Dental College

 顎変形症の上顎骨骨切り術には,Le Fort I 型骨切り術(馬蹄形,多分割),上顎前歯部歯槽骨切り

術があり,それら術式のテクニックは,安全性,確実性を含めて,数多くの先生方々がレクチャーさ

れています。それらを聴講し,トピックスは出尽くされていると感じる一方で,私の話で恐縮致しま

すが,術式の手順やテクニック,道具を変えていないにも関わらず,去年辺りから,手術時間短縮と

出血量減少を認め,患者の術後経過がスムーズとなり,早期退院の傾向にあります。おそらく,自分

の手技とそれに関わる解剖がリンクし,さらに状況予測ができるようになり,骨を切ることに迷いが

無くなったのが大きな理由ではないかと考えています。自身の上顎骨骨切り術を確立させることが,

安全かつ確実な手術になるのではないでしょうか。

 安全という観点では,骨膜下の手術を心がけ,操作は明視下で行い盲目的にならないことをモッ

トーにしています。基本的なことであるが,一つ一つのステップを丁寧にしなければなりません。骨

膜下の手術については,浸潤麻酔に留意し,骨膜下,鼻粘膜の剥離ができれば必然的に術野は明視下

となります。私の行う Le Fort I 型骨切り術では bone saw のみで上顎骨を骨切りし,翼状突起を骨

折,下行口蓋動脈を解出させることで,上顎骨片の可動性に自由度を付与しています。確実な,とい

う観点では,患者の診断,手術の設定が大切と考えています。骨片移動の予測ができれば骨切りのデ

ザインが決まり,安定する骨片固定が可能となります。これらのことについて,症例を供覧しながら

述べます。

(29)

略 歴

2000 年 3 月 福岡歯科大学 卒業 

2004 年 3 月 福岡歯科大学大学院(口腔外科学専攻)修了 歯学博士

2004 年 4 月 福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座 助手

2007 年 3 月 福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座 講師

2011 年 4 月 ドイツ・ハノファー医科大学 顎顔面外科学講座(Prof. Gerlich)留学(AO fellow)

2011 年 6 月 ドイツ・フライブルク大学 顎顔面外科学講座(Prof. Schmelzeisen)留学

2012 年 4 月 福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座 講師

現在に至る

資 格

日本口腔外科学会認定 口腔外科指導医・専門医

(30)

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

シンポジウム

4

88 日顎変形誌 2017 年

Safe osteotomy and accurate repositioning of the

max-illa in Le Fort I osteotomy

岩井 俊憲

Toshinori Iwai

横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科・矯正歯科 Department of Oral and Maxillofacial Surgery/Orthodontics, Yokohama City University Hospital

 顎矯正手術における上顎骨骨切り術,特に Le Fort I osteotomy は広く普及しており,多くの施設

で行われている。しかしながら,頻度は少ないものの血流障害による骨壊死や大量出血,失明といっ

た重篤な合併症も報告されている。また,術前計画を反映した wafer を用いたうえで術中計測によ

り上顎骨の repositioning が行われることが多いが,術後の画像の重ね合わせで計画通りの位置に上

顎骨が移動していないこともときに経験する。そのため,術者の技量や経験に依存せず,安全な骨切

りと上顎骨の正確な repositioning を行うための方法が求められる。

 上顎骨の移動様式で難易度が高いのは後方・上方移動である。特に,上顎骨の後上方への移動が必

要な場合には,手術時間が延長したり,予定通りの上顎骨の位置移動が得られないことを経験しう

る。そのため,横浜市立大学では安全・正確な上顎骨骨切り術を行うために,いくつかの手法を考案

してきた。①下行口蓋動脈周囲骨の U 字型骨切り(Omura S, Iwai T, et al, J Craniofac Surg,

2015)により。容易な上顎骨の後方・上方への移動を可能とし,②インジゴカルミンによる生体染色

(Omura S, Iwai T, et al, J Craniofac Surg, 2015)により,上顎骨の分割や U 字骨切り,馬蹄形骨切

り時の口蓋粘膜損傷リスクを減少させ,③ Straight locking miniplate を用いた正確な上顎位置決め

法(Omura S, Iwai T, et al. IJOMS, 2012)により,術者の技量や経験に依存せず,計画通りの位置

に上顎骨を repositioning させることを可能としてきた。さらに,computer simulation によりプラン

ニングした CAD/CAM wafer を用いることで,facebow transfer の必要のない上顎骨骨切り術も行っ

ている。本講演では,われわれが実際に行っている安全・正確な上顎骨骨切り術について報告する。

(31)

略 歴

2002 年 3 月 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業

2002 年 5 月 横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科 研修医

2004 年 4 月 横浜市立港湾病院 歯科口腔外科 専修医

2005 年 4 月 横浜市立大学附属病院 形成外科 常勤特別職診療医

2006 年 3 月 フライブルク大学口腔顎顔面外科 留学(Prof. Rainer Schmelzeisen)

2007 年 4 月 横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科 指導診療医

2010 年 4 月 横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科 助教

2012 年 8 月 横浜市立大学附属病院 歯科・口腔外科・矯正歯科 助教

(32)

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

シンポジウム

4

90 日顎変形誌 2017 年

Young-Wook Park

Deptartment of Oral and Maxillofacial Surgery, College of Dentistry, Gangneung-Wonju National University, Korea

 Recent trends in orthognathic surgery in Korea are esthetic bimaxillary surgery and so called

“V-line” surgery to make patients face smaller. Additionally, performing simultaneous contouring

surgery, oral and maxillofacial surgeons could induce an oval face without any prominence, which

preferred by young Korean generations.

 Most dentofacial deformity in Korean population belongs to asymmetric mandibular excess

growth patterns, primary mandibular excess growth patterns with long face, or bimaxillary pro-trusive growth patterns. Not only to resolve these patients' functional deficiences but to meet the

esthetic needs, we need to move the osteotomized maxillary segments to where bony resistances

are exist. That is posterior impaction, unilateral impaction, superior movement, or even posterior

movement rather than anterior or inferior movement of the maxillary segment. To get long-term

stability for this type of unfavorable movements of osteotomized maxillary segments, more accu-rate and invasive maxillary surgery should be performed.

 In general, surgical complications of maxillary osteotomy can be summarized as follows ;

  ︲Functional sensory disturbances

  ︲Visual disturbances probably due to atypical posterior fracture

  ︲Significant bleeding followed by postoperative airway compromise

  ︲Hypoperfusion sequale on maxillary components

  ︲Palatal fistula after additional osteotomy

  ︲Fibrous union and partial union

  ︲Nasal obstruction and maxillary sinusitis

  ︲Psychosocial problems, i.e., esthetic disappointment after surgery

 The aim of this speech is to present the speaker's experience for safe and reliable maxillary Le

Fort I impaction focusing perfusion, osteofixation, nasal function, soft tissue esthetics, and postoper-ative airway change.

Safe and reliable Le Fort I impaction: the workhorse

in modern orthognathic surgery in Korea

(33)

略 歴

1. Biographical Data

Date of Birth

: Feb 17, 1963

Present Position

: -Professor and Head, Department of Oral & Maxillofacial Surgery College of

Dentistry, Gangneung-Wonju National University-Vice President, The Korean

Association of Maxillofacial Plastic and Reconstructive Suegeons

E︲Mail

: ywpark@gwnu.ac.kr

2. Education

Mar. 1981︲Feb. 1987 : DDS, College of Dentistry, Seoul National University

Mar. 1988︲Feb. 1990 : MSD, Graduate School of Seoul National University

Mar. 1994︲Feb. 1997 : PhD, Graduate School of Seoul National University

(Thesis : An experimental study on the bone induction capacity of the porcine bone matrix-derived

bone morphogenetic protein. )

3. Postgraduate Training

Mar. 1987︲Feb. 1988 : Internship, Seoul National University Dental Hospital

Mar. 1988︲Feb. 1991 : Residency, Oral and Maxillofacial Surgery, Seoul National University Dental

Hospital

Jul. 2003⊖Feb. 2005 : Postdoctoral Research Fellow, Department of Head and Neck Surgery, The

Universityof Texas MD Anderson Cancer Center, USA

(34)

【プログラム・抄録号】

学会賞受賞講演

93 27 巻 2 号

顎変形症患者における顎矯正手術および顎間固定施行後の咬合力と食物・栄養摂取状況

1)東京医療保健大学医療保健学部 医療栄養学科, 2)松本歯科大学病院, 3)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面外科学分野, 4)三重大学大学院医学系研究科 口腔 ・ 顎顔面外科学分野

◯小城 明子

1)

,竹内 由里

2)

,中久木康一

3)

,黒原 一人

4)

Occlusal force and nutritional aspects after postoperative intermaxillary fixation for jaw deformities

1)Division of Medical Nutrition, Faculty of Healthcare, Tokyo Healthcare University, 2)Matsumoto Dental University Hospital, 3)Maxillofacial Surgery, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, 4)Department of Oral

and Maxillofacial Surgery, Mie University Graduate School of Medicine

◯A

KIKO

KOJO

1)

, Y

URI

TAKEUCHI

2)

, K

OICHI

NAKAKUKI

3)

and K

AZUTO

KUROHARA

4)

【目的】顎変形症のために顎矯正手術を施行した患者は,顎位が安定するまで顎の安静を保つ目的で顎間固定をすること がある。顎間固定期間中は固形物を摂取することはできず,顎位が安定し顎間固定を解除した後も,咀嚼能力に応じて段 階的に固形物の摂取が可能となるにとどまる。本研究では,顎間固定解除後の咬合力と普通食摂取までの栄養上の問題を 明らかにすることを目的とした。【方法】下顎枝矢状分割術(SSRO)と Le Fort Ⅰ型骨切り術の組合せ,あるいは SSRO 単独による顎矯正手術および術後に顎間固定を行った患者 15 名について,顎矯正手術前,顎間固定解除後および退院後 約 6 か月までの外来受診時に,咬合力と体重を測定した。同時に,退院後にリスト化した食品を初めて摂取した日を,自 記式調査票により調査した。また,入院前 1 か月および退院後 1 か月の栄養摂取状況を食物摂取頻度調査法により調査し た。【結果】咬合力と体重は顎矯正手術および顎間固定後に減少し,それらが回復するまで,それぞれ順に約 3,6 か月を 要した。同様に,普通食摂取まで 3 か月を要した。食事量の全体的な減少により,退院後は入院前に比べエネルギー摂取 量が少なかった。さらに,創傷治癒に関連する栄養素の摂取量は,健常者に対する推定必要栄養量にも不足していた。 【結論】顎矯正手術および顎間固定施行後の食事摂取量は減少しており,食品の摂取状況は咬合力と関連していた。顎矯 正手術および顎間固定による栄養状態の悪化をできるだけ早く改善し,創傷治癒を促進するために,咬合力の回復に要す る約 3 か月間は,食品の選択や調理工夫のアドバイスを含めた栄養指導が有効であると考えられた。

顔面非対称を伴う不正咬合症例における下顎頭の三次元形態学的特徴

北海道医療大学歯学部 口腔構造・機能発育学系歯科矯正学分野

◯笹本さえら,上 地  潤,今野 正裕,溝 口  到

Three-dimensional morphological characteristics of the mandibular condyles in cases of facial

asymmetry

Division of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Department of Oral Growth and Development School of Dentistry, Health Sciences University of Hokkaido

◯S

AERA

SASAMOTO, J

UN

UECHI, M

ASAHIRO

KONNO and I

TARU

MIZOGUCHI

【緒言】顔面非対称は,様々な原因により顎顔面骨格の形態形成に左右差が生じて発現する。顎顔面形態に多様性をもた らす主要な立体構造物である下顎骨には下顎頭軟骨が存在し,軟骨内骨化による重要な growth site となっている。その ため,顔面非対称と下顎頭形態との関連を調査する研究が多く行われてきたが,その分析手法は下顎骨基準で三次元的に 行われたものではなかった。本研究の目的は,顔面非対称を伴う不正咬合症例の下顎頭の形態的特徴を三次元で明らかに することである。【対象・方法】研究対象には,顔面非対称を呈する不正咬合患者の仮想化したモデル(n=30)を用いた。 まず各モデルの脳頭蓋上顎複合体(CMC),下顎骨(Md)に対し基準座標系を設定した。次に下顎頭の外側と内側の表面 を選択して近似球を算出し,2 つの球の中心を通る直線 L を求めた。また下顎頭を形成する点群の中から直線 L に沿って 最も内側,外側に位置する点を内側極,外側極とし,これらを結んだ線分の長さを下顎頭長軸長,直線を下顎頭長軸とし た。この下顎頭長軸を Md 座標系の体軸面と前頭面に投影し,得られた角度を体軸面における下顎頭長軸角,前頭面にお ける下顎頭長軸角とした。これらを偏位側と非偏位側で計測し Paired t-test を行った。さらに CMC 座標系における下顎 骨の前頭面での傾斜(rolling),体軸面での傾斜(yawing),水平方向への偏位量(swaying)を計測し,下顎頭の左右差 との間の相関性を調べた。【結果】下顎頭長軸長は,非偏位側が偏位側に比べ有意に大きく,swaying との間に有意な負の 相関がみられた。また,体軸面における下顎頭長軸角は,偏位側が非偏位側に比べ有意に大きく,yawing との間に有意 な正の相関がみられた。 【結論】顔面非対称を伴う不正咬合症例では,偏位側と非偏位側における下顎頭の三次元形態に 差異が存在すること,およびその差異は下顎骨の位置・姿勢と関連性を有することが明らかとなった。

参照

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