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【背景と目的】近年,顎顔面領域の 3 次元形態計測法はさまざまな手法が報告されている。今回,われわれは非接触型 3 D 画像撮影解析装置(以下,ベクトラ)を用いた 3 次元分析法の確立を目的とした。【対象と方法】健常成人 5 名(男性:3 名,

女性:2 名)を対象に,撮影日を 2 日あけ咬頭嵌合位を指示し,仰臥位・立位の状態で,それぞれベクトラを使用し撮影 した。同一体位の画像および体位の異なる画像をそれぞれベクトラソフトウェア上で重ね合わせ,重ね合わせ誤差および 体位変化による変化部位・変化量を測定した。さらに,当科で上顎 Le Fort 1 型骨切り術,下顎両側 SSRO による顎矯正 手術を行った 9 名(男性:2 人,女性:7 人)を対象に,初診時 CT の DICOM データとベクトラ撮影データをそれぞれ STL ファイルに変換後,ポリゴン編集ソフトを使用し,前額部,頰骨部を共通領域として,ICP アルゴリズムによる重ね 合わせを行った。3 次元形態計測ソフトを使用し,重ね合わせた画像の誤差および軟組織の変化部位・変化量を測定した。

【結果】ベクトラで異日撮影した同一被検者の画像の重ね合わせでは,口唇周囲で約 3 ~ 4 mm のずれが生じ,撮影体位の 違いにより頰部皮膚の形態変化が描出された。術前 CT データとベクトラデータの共通領域部における重ね合わせ誤差は 0.3mm 以内で,撮影体位の違いにより頰部,顎角部における軟組織変化が全例で認められ,その変化量は 2.5 ~ 3.0mm で あった。【考察】同一モダリティおよび異種モダリティの 3 次元画像の重ね合わせ法はいずれも許容範囲内の誤差であっ たが,筋の緊張状態や体位変化による重力の影響により,軟組織の形態が変化すると考えられ,患者に指示する姿勢や咬 合位などの条件統一の重要性が示唆された。本手法の応用により,顎矯正手術前後の軟組織形態変化の 3 次元分析や,CT の硬組織情報と顔貌の情報を融合した計測・分析が可能であり,診断や手術計画立案に非常に有用であると考えられた。

O-1-3  下顎枝矢状分割時の分割形態による顔貌軟組織への影響

東北大学大学院歯学研究科 口腔病態外科学講座 顎顔面・口腔外科学分野

○山口 佳宏,山内 健介,鈴木飛佳理,佐 藤  工,阿部 陽子,片岡 良浩,野上晋之介,髙 橋  哲

  Soft-tissue changes affected by ramus split pattern of mandibular setback

Division of Oral and Maxillofacial Surgery, Department of Oral Medicine and Surgery, Tohoku University Graduate School of Dentistry

○Y

OSHIHIRO

YAMAGUCHI, K

ENSUKE

YAMAUCHI, H

IKARI

SUZUKI, T

AKUMI

SATO, Y

OKO

ABE, Y

OSHIHIRO

KATAOKA, S

HINNOSUKE

NOGAMI and T

ETSU

TAKAHASHI

【緒言】顎矯正手術において下顎枝矢状分割術は一般的に選択される術式である。しかし,術後の後戻りに対して有意で あるとして,近年では内側の分割形態を,Short split(SS)とする工夫が行われてきている。また,術後の X 線画像を確 認すると long split(LS)では下顎枝後縁より近位骨片後縁が後方へ位置しており,この骨片による軟組織形態への影響 が懸念される。そこで今回われわれはこの split pattern による顔貌軟組織形態変化への影響について比較検討したので報 告する。【患者と方法対象】当科で顎変形症の診断を受け,2013 年 12 月から 2016 年 5 月までに下顎枝矢状分割術を施行 された患者の内 setback 量が 7 mm 以上となった 16 例(26 側)を対象とした。対象患者は 18 ~ 42 歳(平均年齢 25.75 歳)

の男性 3 名,女性 13 名であった。BSSO は 2 人の熟練した術者により行われ,上顎の骨切りを行った患者や bad fracture を呈した患者は除外した。split pattern の判定については手術中に分割面を確認し,近位骨片側に下顎角の内側皮質骨が 確認できれば SS とし,下顎角部に海綿骨もしくは皮質骨内面が確認されれば LS とした。この患者群に対して,手術前日

(T0),術後 3 か月(T1),術後 6 か月(T2)の時点で非接触ハンディタイプ 3 D スキャン(Artec Eva;データデザイン 社製)を用いて顔貌軟組織の撮影を行った。撮影したものは STL ファイルへ変換し,その変化を3次元形態計測ソフト

(3 D-Rugle;メディックエンジニアリング社製)で計測した。評価部位については,耳介下部を選択し,評価範囲は縦 30

× 横 40mm の四角形で測定した。【結果】SS を呈した症例は 9 名 14 側で,LS を呈した症例は 7 名 12 側であった。LS 群 と比較して SS 群の際の方が変化量(体積増加)は減少した。 考察 SS は術後の後戻りにおいても LS と比較して有用であ るとされているが,術後の顔貌軟組織形態についても有利であることが示唆された。

1)Tsuruki Clinic Medical Dental, 2)Uni Orthodontic Clinic, 3)Professional Orthodontic Clinic

○S

ABURO

TSURUKI

1)

, T

ADANORI

FURUYA

2)

, N

ORIO

TANAKA

3)

and H

ITOSHI

CHAYA

2)

【緒言】顎変形症の領域において,シミュレーション手術による術後の硬組織および軟組織の静的形態予測や実際の移動 量との比較検討は広く行われているが,表情などの動的な形態変化を反映させる試みは殆どない。一昨年よりわれわれは 汎用型のモーションキャプチャーカメラを用いて,シミュレーション手術によって得られた顔面軟組織データに,表情を 付与する試みを行ってきた。本年は,歯牙のSTLデータと顔面軟組織 STL データを fusion させ,術後に開口時やスマ イル時に歯列がどのように観察できるかを模擬的に示した。【材料と方法】筆者より得られた顎顔面 CBCT データに対し,

顎顔面手術シミュレーションソフトウェア「ProPlan CMF」により仮想手術を行い,術後の顔面形態の STL データを抽 出した。このデータにデジタル印象採得装置(TRIOS オーラルスキャナ ,3 shape 社)で得られた歯列データを fusion さ せた後,モーションキャプチャーカメラ(Kinect 2 for windows. マイクロソフト社製)に被験者の表情を認識させ,術後 の顔面データに表情および歯牙のデータを反映させた。【結果と考察】今回の試みによって,術後の顔面形態データに表 情を付与するだけでなく,スマイル時の前歯や歯肉の露出量などを観察できるよう改良した。これによりガミースマイル の改善を求める症例などで有用かもしれない。【結論】モーションキャプチャー技術を用いることにより,シミュレーショ ン手術後の顔面形態データに被験者の表情を反映するだけでなく,歯列の情報も反映した。

O-2-1  CAD/CAM により作製したバイトプレートによる顎位再現法の精度について

1)九州歯科大学 生体機能学講座 顎顔面外科学分野,2)九州歯科大学 生体機能学講座 口腔内科学分野

○土 生  学

1)

鶴島 弘基

2)

吉 岡  泉

2)

冨永 和宏

1)

  Evaruation of the jaw position accuracy using a CAD/CAM biteplate

1)Department of Biological Function, Division of Maxillofacial Surgery, Kyushu Dental University, 2)Department of Biological Function, Division of Oral Medicine, Kyushu Dental University

○M

ANABU

HABU

1)

, H

IROKI

TURUSHIMA

2)

, I

ZUMI

YOSHIOKA

2)

and K

AZUHIRO

TOMINAGA

1)

【目的】これまで上下顎骨切り術における顎位は,cephalometric prediction(CP)を基に決定されてきた。しかし,CP は二次元的な分析であるため,顔面非対称症例などにおける yawing 修正が必要な症例は,分析や設計自体も困難である。

このような症例に対して近年は,3 D-CT データを基に顎位を設定する方法が一般的になりつつある。しかし,その設定を 再現する方法は,顎位をフェイス・ボウトランスファーし , モデルサージェリーにより double splint を作製する方法(従 来法)が一般的だが,その間に手技的誤差があることも明らかである。われわれは,設定された顎位の 3 D-CT データを 元に CAD/CAM で double splint を作製し,術野に簡便かつ正確に再現する手法(CAD/CAM 法)を報告してきた。今回 われわれは,術前に設計された顎位の再現性について CAD/CAM 法ならびに従来法について比較検討したので報告する。

【方法】顔面非対称症例における CAD/CAM 法(5 例)ならびに従来法(5 例)における術前後の顎位をシミュレーショ ンソフト上で,術前の設定および術後 3 か月の 3 D-CT データにおける上顎骨ならびに下顎骨の重ね合わせを行い,一致 する面積を算出した。また,術前後の咬筋における咬合時の筋電図を採取し,機能的な影響についても検討した。【結果】

第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会

口演抄録︵

1

日目︶

98 日顎変形誌 2017 年

O-2-2  顎変形症の治療でのコーンビーム CT による画像診断の必要性

1)医療法人社団 ユニ矯正歯科クリニック,2)医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院 歯科口腔外科,3)ののやま矯正歯科医院,4)葉山歯 科 小松矯正科

○古谷 忠典

1)

茶谷 仁史

1)

遠藤 憲雄

1)

西 方  聡

2)

堀向 弘眞

2)

野々山大介

3)

小松真佐子

4)

  Necessity of diagnostic imaging by Cone Beam CT in orthognathic surgery

1)Uni Orthodontic Clinic, 2)Department of Maxillofacial Surgery, Sapporo Higashi-Tokushuukai Hospital, 3)Nonoyama Orthodontic Clinic, 4)Hayama Dental Komatsu Orthodontic Clinic

○T

ADANORI

FURUYA

1)

, H

ITOSHI

CHAYA

1)

, N

ORIO

ENDOU

1)

, S

ATOSHI

NISHIKATA

2)

, H

IROMASA

HORIMUKAI

2)

, D

AISUKE

NONOYAMA

3)

and M

ASAKO

KOMATSU

4)

【目的】従来,開業医において顎変形症の治療を行う場合,口腔内および顔貌写真の他に,歯列石膏模型,X 線規格写真 やオルソパノラマ断層写真などを用いて,診査,診断および治療計画の立案と予後の管理を行ってきた。昨今,コーン ビーム CT(以下 CBCT)などの画像診断機器の発達と低格化により,矯正歯科診療所においても CT 画像を用いた,診査・

診断および治療計画が可能となった。演者らは,その様々な応用方法について本学会で発表してきたが,今回は,その有 用性と優位性について発表する。【方法】当院および共同演者にある頭部全体が入る広視野 CBCT と提携病院の医科用 CT

(以下 MDCT)を用いて,顎顔面形態の評価,顎関節の状態の変化の把握,そして外科矯正治療の治療計画の立案および 予後の管理を,各種画像診断ソフトと治療シミュレーションソフトを用いて行った。【結果】1)基準の設定や顔面の対称 性の評価に大きな有用性があった。2)顎関節の病態の把握と治療時期の判定,そして,予後の予想に有用であった。3)

顎離断手術における手術計画において,Model Surgery よりも優位性があった。4)歯科特有の精度に関して,MDCT よ りも優位性があった。5)術後の安定性について骨の位置の変化や顎関節の変化を具体的に把握できるため,予後不良の 原因の特定や,患者への説明と病態悪化の兆候の把握に有用であった。【結論】矯正歯科診療所内に CBCT を所有し,臨 床応用する意義があると考えられた。

O-2-3  Mandibular autorotation concept(MAC) surgery の術後安定性

1)横浜市立大学附属市民総合医療センター 歯科・口腔外科・矯正歯科,2)横浜市立大学大学院医学研究科 顎顔面口腔機能制御学

○村田 彰吾

1)

高 須  曜

1)

山下 陽介

1)

藤田 紘一

1)

今井 治樹

1)

本田 康二

2)

大 村  進

1)

藤 内  祝

2)

  Postoperative stability of Mandibular autorotation concept surgery

1)Department of Oral and Maxillofacial Surgery/Orthodontics,Yokohama City University Medical Center, 2)Department of Oral and Maxillofacial Surgery/Orthodontics,Yokohama City University Graduate School of Medicine

○S

HOGO

MURATA

1)

, H

IKARU

TAKASU

1)

, Y

OSUKE

YAMASHITA

1)

, K

OICHI

FUJITA

1)

, H

ARUKI

IMAI

1)

, K

OJI

HONDA

2)

, S

USUMU

OMURA

1)

and I

WAI

TOHNAI

2)

【目的】変形性顎関節症(OA)や開咬を伴う骨格性上顎前突症の外科的矯正治療において,進行性下顎頭吸収(PCR)等 が原因と考えられる術後の後戻りの防止は顎変形症治療における重要な課題となっている。第 25 回日本顎変形症学会総 会 に て 報 告 し た Mandibular autorotation concept(MAC) と は, 術 後 の 下 顎 の 後 戻 り や PCR 発 症 の 防 止 を 目 的 に Mandibular autorotation を計画的に利用して上下顎を目的の位置に移動する骨格性上顎前突症の治療概念である。手術の 設定に際しては上顎の上方移動に伴って下顎が設定した回転中心(RC),RC からの距離・回転角度および下顎下縁平面角 によって決められた回転軌道上に移動することが基本となる。MAC では,顎態の違いにより Le Fort I (LF I )型骨切り 術単独,LF I に上顎前歯部歯槽部骨切り術もしくは両側下顎枝矢状分割術を併用することで,下顎ないし下顎頭に対する 外科的侵襲を最小限にした手術が可能となる。今回,われわれは MAC surgery の術後安定性について検討した。【方法】

対象症例は,当科で骨格性上顎前突症の診断にて MAC surgery を行った 14 名。上顎の位置決めに全例 SLM technique を用いた。術式は上顎単独手術7症例,上下顎同時移動術 7 症例。術前(T0),術直後(T1),術後 1 年時(T2)にCT 撮影し,CTデ-タを用いてシュミレーションソフト(SimPlant O&O)上で下顎頭の位置関係を体軸・矢状・冠状方向 より計測し評価した。また側面頭部 X 線規格写真も用いて分析を行った。【結果および考察】T1,T2 時の下顎頭の位置 関係,術後の下顎頭の吸収性変化(PCR)において有意な変化は認めなかった。MAC は正確な上顎位置決めに伴う下顎 の計画的な移動を達成することで,設定通りの顎間関係を獲得できる可能性が示唆された。MAC surgery は術後の後戻 りが懸念される骨格性上顎前突症に対する有用な治療概念の一つであり,安定性のある術後経過が得られることが示され た。