【目的】沖縄県立病院歯科口腔外科では中部病院が 2013 年以降,南部医療センターこども医療センターが 2014 年以降,顎 矯正手術を積極的に行っている。今回,過去 4 年間の顎矯正手術症例の現況を把握し臨床統計的検討を行ったので報告す る。【方法】沖縄県立中部病院と同南部医療センターこども医療センターにおける顎矯正手術施行例について両病院の電 子カルテを用いた。調査項目は,年度別手術件数,性別・性比,手術時年齢,臨床診断名,年代別,手術術式,麻酔時 間,手術時間,出血量,居住地域などについて検討を行った。【結果】全症例数は 99 例であった。年度別手術件数は 4 年 間で増加傾向を示していた。性別では女性が多く,性比では男女比 1:2.7 であった。手術時年齢は,17y1 m ~ 45y6 m の 範囲で平均 24y4 m であった。臨床診断名としては,下顎前突症 63 例,下顎後退症 5 例,非対称症 10 例,開咬症 4 例,
下顎前突症・開咬症 9 例,下顎前突症・非対称 8 例などであった。年代別では 19 歳以下が最も多かった。手術術式では,
下 顎 枝 矢 状 分 割 術(SSRO) が 77 例,SSRO+Le fort1(L1) が 22 例 で あ っ た。 平 均 麻 酔 時 間 は SSRO で 242 分,
surgery
1)Department of Oral and Maxillofacial Surgery, School of Dental Medicine, Tsurumi University, 2)Division of Oral and Maxillofacial Surgery, Department of Reconstructive Oral and Maxillofacial Surgery, School of Dentistry, Iwate Medical University
○H
IROAKISHIGEMATSU
1), K
AZUTOSHINAKAOKA
1), T
OMOOSONOYAMA
1), S
ACHIKOKIMIZUKA
1), K
UNISHIGEOGASAHARA
1), S
HUSUKEYAMADA
1), Y
USUKEAKIYA
1), Y
ASUNARINAKASONE
1), H
IROYUKIYAMADA
2)and Y
OSHIKIHAMADA
1)【目的】顎矯正手術は,咬合機能の改善のみならず,顔貌の整容的改善という側面も有している。その結果,顎矯正手術 前に抱いていた劣等感から解放され,自信に満ちた表情となる症例を多数経験しており,顎矯正手術は QOL の向上に繋 がっていると考えられる。しかし,そのような効果を客観的に評価する方法は確立されていない。そこで本研究では,顎 変形症患者における精神状態の影響を受けるストレス関連ホルモンおよび性ホルモンの動態を調査し,顎矯正手術におけ る精神的影響の客観的評価方法の確立を目指すことを目的とした。【方法】2014 年~ 2016 年までの間に,当科で上下顎同 時移動術または下顎枝矢状分割術を施行した顎変形症患者女性 19 名(平均年齢 28.9 歳)を対象とした。評価方法は,顎 矯正手術前(以下術前)およびプレート除去術前(以下術後)に採血を行い,血清を測定まで-20℃で凍結保存した。測 定項目は,ストレス関連ホルモンとしてカテコラミン 3 分画(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミン)・コルチゾー ル・セロトニン,性ホルモンとしてテストステロン・エストラジオールの血清中濃度とした。【結果】アドレナリンの血 清中濃度は,術前と比較し術後で有意に低下した。ノルアドレナリン・ドパミンの血清中濃度も低下していたが,統計学 的な有意差は認められなかった。コルチゾール・セロトニン・性ホルモンの血清中濃度は,術前・術後に有意な変化は認 められなかった。【結論】術後の血中アドレナリン濃度が,顎矯正手術前と比較し有意に低下していたことは,外科矯正 術前は交感神経機能の亢進をきたすストレス状態であった可能性が示唆された。血清中カテコラミン濃度の測定は,顎矯 正手術が及ぼす精神的影響を客観的に評価する方法として有用である可能性が示唆された。
第 27 回 日本顎変形症学会総会・学術大会
示説抄録︵
2日目︶
164 日顎変形誌 2017 年
P-18-4 奈良県立医科大学口腔外科における 15 年間の顎矯正手術の臨床的検討
奈良県立医科大学 口腔外科学講座
○山本 一彦,川上 正良,堀 田 聡,松末友美子,中山 洋平,下村 忠弘,上山 善弘,桐田 忠昭
Clinical analysis on orthognathic surgery for 15 years at Department of OMS, NaraMedical University
Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Nara Medical University
○K
AZUHIKOYAMAMOTO, M
ASAYOSHIKAWAKAMI, S
ATOSHIHORITA, Y
UMIKOMATSUSUE, Y
OHEINAKAYAMA, T
ADAHIROSHIMOMURA, Y
ASHIHIROUEYAMA and T
ADAAKIKIRITA
【目的】奈良県立医科大学口腔外科における 15 年間の顎矯正手術の臨床的検討を行った。【対象と方法】2002 年から 2016 年までの 15 年間に奈良県立医科大学口腔外科にて顎矯正手術を施行した 148 例を対象とし,性別,年齢,診断,術式,固 定法について検討した。【結果】男性 51 例,女性 97 例で,年齢は 16 ~ 41 歳に分布し,15 ~ 19 歳が 54 例,20 ~ 24 歳 が 42 例,25 ~ 29 歳が 30 例,30 ~ 34 歳が 11 例,35 ~ 39 歳が 9 例,40 歳以上が 2 例であった。臨床診断は下顎前突が 84 例で,下顎前突+非対称が 16 例,下顎前突+開咬が 14 例,下顎前突+非対称+開咬が 1 例,下顎非対称が 3 例,開咬 が 2 例,上下顎非対称が 16 例,上顎前突が 6 例,上顎前突+開咬が 5 例,上下顎前突が 1 例であった。術式は上下顎移 動術が 34 例で,Le Fort Ⅰ型骨切り術(LFⅠ)+下顎枝矢状分割術(SSRO)が 28 例で,このうち 1 例には馬蹄形骨切 りが併用された。また LFⅠ+ SSRO +オトガイ形成術(GP)が 4 例,LFⅠ+ SSRO/ 下顎枝垂直骨切り術(IVRO)が 2 例あった。LF1 単独例は 2 例であった。下顎単独例は 112 例で,SSRO が 95 例,SSRO + GP が 14 例,SSRO/IVRO が 2 例あった。下顎前方骨切り術が 1 例あった。固定法は上顎では金属プレートが 2 例,吸収性プレートが 34 例であった。
下顎では金属プレートが 4 例,吸収性プレートあるいはネジが 142 例で,経皮的に固定した例が 62 例,口腔内から固定 した例が 84 例であった。2007 年より口腔内からの固定に,また 2008 年頃よりプレート固定に移行していた。オトガイ部 は金属プレートが 1 例,吸収性プレートあるいはネジが 17 例であり,2008 年よりプレート固定が行われていた。【結語】
診断や術式に大きな変化はみられなかったが,下顎の固定法に変化がみられた。
P-18-3 当科におけるオトガイ形成術の臨床統計的検討
1)大阪歯科大学附属病院 口腔外科学第二講座,2)公立甲賀病院 歯科口腔外科
○中島 章宏
1),本橋 具和
1),正重 裕一
1),大西 祐一
1),中嶋 正博
1),角熊 雅彦
2)Clinical statistical analysis of genioplasty in our department
1)Second Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Osaka Dental University, 2)Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Kohka Pablic Hospital
○A
KIHIRONAKAJIMA
1), T
OMOKAZUMOTOHASHI
1), Y
UICHISHOJU
1), Y
UICHIONISHI
1), M
ASAHIRONAKAJIMA
1)and M
ASAYUKITUNOKUMA
2)【目的】顎変形症患者において咬合や発音等の機能面の改善を主訴として来院することが多いが,顔貌の改善を主訴とし て来院することも多くなってきている。オトガイ部の審美的問題に対してはオトガイ形成術が適用される。今回われわれ は,過去 18 年間に当科において施行されたオトガイ形成術について臨床統計的に検討したので報告する。【対象症例】
1998 年 2 月から 2016 年 10 月までに当講座においてオトガイ形成術を施行した患者 104 名を対象とし,年度別症例数,性 別,手術時年齢,手術時間,移動方向・移動量,およびオトガイ形成術の施行時期について検討した。【結果】1998 年か ら 2016 年の 18 年間にオトガイ形成術を施行した症例は 104 例で,年間平均症例数は 5.8 例であった。手術時年齢は最小 16 歳,最高 53 歳で 20 歳台が 49 例と最も多く,10 歳台が 24 例,30 歳台が 24 例,40 歳以上は 7 例であった。平均年齢 は男性では 25.8 歳,女性では 26.1 歳で,全体では 25.9 歳であった。また,性別では男性 14 例,女性 90 例で男女比は 1:6.4 であった。手術時間は最長 145 分,最短 29 分で,平均手術時間は 73.9 分であった。移動方向は骨の削合のみを行ったの は 7 例,短縮のみを行ったのは 43 例,側方移動のみを行ったのは 15 例,前方移動のみを行ったのは 23 例,後方移動の み行ったのは 5 例,その他は 11 例であった。また,オトガイ形成術単独は 19 例,他の骨切り術との併用は 44 例,抜釘 時に二期的にオトガイ形成術を行ったのは 41 例であった。
Division of Oral and Maxillofacial Surgery, Department of Medicine of Sensory and Motor Organs, Faculty of Medicine, University of Miyazaki
○K
EIICHIARIMURA, T
AKESHIKANEUJI, Y
UDAIKONDO, Y
USAKUSUEHIRO, K
AORIIGAWA, J
UNKONAGATA and Y
OSHIHIROYAMASHITA
【緒言】宮崎大学医学部歯科口腔外科・矯正歯科において過去 10 年間に顎矯正手術を施行した症例について,臨床統計学 的検討を行ったので,その概要を報告する。【対象および方法】2007 年 1 月から 2016 年 12 月までの 10 年間に,当科を受 診し,顎変形症の診断のもと,顎矯正手術を施行した 143 症例(男性 47 例,女性 96 例)を対象とした。年次別手術件数,
性別,臨床診断,手術時年齢,術式,手術時間,出血量,入院期間および輸血量等の項目について臨床統計学的検討を 行った。【結果】男女比は 1:2,手術時平均年齢は 25.4 歳であり,術式別症例数は,両側下顎枝矢状分割術(以下 SSRO)
単独が 100 例であり,SSRO + IVRO4 例,SSRO +オトガイ形成術 10 例,Le Fort Ⅰ型骨切り術(以下 LF1)+ SSRO17 例,LF1 + SSRO + IVRO2 例,LF1 + SSRO +オトガイ形成術 3 例,オトガイ形成術単独 5 例,Le Fort 2 型骨切り術
+ SSRO1 例,下顎前方歯槽部骨切り術単独 1 例であった。出血量は,SSRO 単独で,平均 392.2ml,LF1 + SSRO で 890ml であった。また手術時間は,SSRO 単独で平均 150.3 分,LF1 + SSRO で 236.6 分であった。近年では,より複雑な 顎変形症に対する上下顎移動術を施行する症例の割合が増加している。また,SSRO 単独症例に関しては,経年的に出血 量,手術時間ともに減少していることがわかった。【考察】顎矯正手術に関しては,安全性はもとより,術後安定性や術 中・術後合併症の軽減が求められる。さらに,患者のニーズの多様化に応えるために様々な治療技術の進歩が必要である と考えられる。
【プログラム・抄録号】
委員会報告
167 27 巻 2 号