NII-Electronic Library Service
證
空
教
学
に
お
け
る
阿
弥
陀
仏
と
衆
生
の
接
点
(そ
のこ
N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
高
城
宏
明
は
じ
め
に 西 北 イ ン ド で 興 隆 し た 阿 弥 陀 仏 信 仰 は そ の 後 、 中 国 を経
て 日 本 へ と 伝 わ り 日 本 の 仏 教 思 想 に お い て も 重 要 な 位置
− を
占
め て い る と 言 え よう
。 中 で も 鎌 倉新
仏 教 を 提 唱 し た 法然
は 従 来 の 国 家 ・ 氏 族 を 中 心 と し た 仏教
を → 転 し て 民 衆 の 仏 教 と し、 救 済 思 想 の 主 仏 た る 阿 弥 陀 仏 に 関 し て も そ の本
願 に 新 し い 意 味 を 見 い だ す な ど、 わ が 国 の 弥 陀 信 仰 に 大 き な 役 割 を 果 た し た の で あ る 。 そ の 法 然 を 師 と 仰 ぎ、 思 想 形 成 に 師 の 教え
を 継 承 し た 門弟
が 数多
く
あ る 中 に 證 空 が あ る 。 證 空 の教
学 は 法 然 同様
、 念 仏 往 生義
を 説 く の で あ る が、 そ の 教 学 に は か れ 独自
の特
殊
名 目 が用
い ら れ て い る 。 こ の 特 殊 名 目 を 駆 使 す る 点 を考
え る と き 、 難 解 で は あ る が そ れ だ け に ま た 独 創 的 な本
願 念 仏 説 を も 見 る こ と が 出 来 る と 言 え る の で あ る 。 以 下 で は 「 證 空 浄 土 教 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 」 と 題 し て證
空 の 説 く 教 学 の 中 で も 、 特 に 阿 弥 陀 仏観
と 衆 生 観 に 焦 点 を あ て 、 證 空 が 阿 弥 陀 仏 を ど の よう
な 仏 と 考 え て い た の か 、 ま た 證 空 の 持 つ 衆 生観
を 通 じ て 、證
空 教 学 に お け る 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の こNII-Electronic Library Service 西 山 学 報 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 に つ い て 考 え る こ と に す る 。 一
阿
弥
陀
仏
に
つ い て よ ま ず 、 阿 弥 陀 仏 に 関 し て で あ る が、 證 空 は そ の 著 「 玄義
分 自 筆 御 鈔 」第
一 に お い て 、 此 ノ 要 門 二依
リ テ、安
楽 ノ 能 人 阿 弥 陀 仏 、 即 チ、 阿 弥 陀 仏 是 ナ リ 。 別 意 ノ弘
願 ヲ 顕 シ テ 、善
悪 ノ 凡 夫 、悉
ク往
生 ヲ 得 。 其 ノ 弘 願 ノ体
ハ 、 と し て い る 。 つ ま り、 阿 弥 陀 仏 の 本 願 を 特 別 の 本 願 、 弘 願 と 示 し 、 こ の特
別 の 願 で あ る弘
願 の 体 を 阿弥
陀 仏 と し て い る の で あ る 。体
と い う の は 一 般 的 に 言 っ て も、 物事
が は た ら く 時 に そ の も と と な る存
在
を い い 、 そ の 体 の は た らき
と し て 存 在 す る 作 用 を 意 味 す る 用 と の 対 語 で あ る 。 つ ま り 、 こ こ の資
料
の 中 で は 要 門 と の 表 現 が な さ れ て い る が 、 こ の 要 門、 す な わ ち、 證 空 教学
で い う と こ ろ の 観 門 の は た ら き ( 用 ) に よ っ て 我 々衆
生 の 往 生 が導
き 出 さ れ る が 、衆
生 が 救 わ れ る 本 体 ( 体 ) は 阿 弥 陀 仏 の 本 願 、 阿 弥 陀 仏 そ の も の に あ る と す る の で あ る 。 で は そ の 阿 弥 陀 仏 に つ い て證
空 が ど の よう
に 示 し て い る か と いう
と 、 ゼ リ 「 玄 義 分 自 筆御
鈔
」第
三 に 、 阿 弥 陀 仏 ト イ ハ 、 四 十 八 願 成就
ノ 仏 ナ リ 。 故 二 、 正 シ キ 弘 願 の 体 ナ リ 。 「 至 心信
楽
欲 生 我 国 ノ 者 ノ 生 ゼ ズ バ 正 一 2 一 N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service 覚 ヲ 取 ラ ジ 」 ト 、
誓
ヒ シ 菩 薩、 此 ノ 願 二 依 リ テ衆
生 生 ル ベ キ 謂極
マ リ テ 、 ガ 生 ル ベ キ 行 ハ 、 彼 ノ 願 力 ニ ア リ 。 願成
就 セ ル 仏 ヲ 阿 弥 陀 仏 ト号
ス レ バ 、 往 生 ノ 行 ナ リ ト 云 フ 事 ヲ 。 と す る 。 こ の 資 料 に あ る 弘 願 と い う 名 目 に つ い て で あ る が 、 ま ヤ 「観
経
疏 」 玄義
分 に 、 安楽
能 人 顕 彰 別 意 之 弘 願 。 ぼ 又 、 「同
書 」 に、 明 仏 ラ ニ カ 成 ニ リ 知 給 リ フ ヌ’ ゜ 正阿
二 弥知
陀 ル 仏 ベ ハ シ 正 ’ シ 我 ク等
こ れ は善
導
の 「 観 経 疏 」 に 依 る も の で あ る 。 言 弘 願 者 。 如 大 経 説 。 [ 切 善 悪 凡 夫 得 生 者 、 莫 不 皆 乗 阿 弥 陀 仏 大 願 業 力 爲 増 上縁
也 。 と あ る こ と に 起 因 す る も の で あ ろ う が 、 こ の 弘 願 と は 『 無 量 寿 経 』所
説
の 一 切善
悪 の 凡 夫 を 等 しく
救
済 す る 阿 弥 陀 仏 の本
願 で あ り 、 こ の こ と か ら 阿 弥 陀 仏 を 弘 願 の体
と す る の で あ る 。 さ ら に こ の 弘 願 に つ い て 『観
無
量 寿 経 』 を 例 に と れ ば 「 第 七華
座
観 」 出 現 の 住 立 空 中 の 弥 陀 と も 言 え る の で あ る 。 す な わ ち 、 こ こ で の 阿 弥 陀 仏 の 来 迎 は 『 観 経 』 の 説 相 の 上 で 二、 啅 つ と 、釈
尊
が 韋 提 希 に 華 座 を 説 き 進 め る 途 中 に 出 現 し た 住 立 仏 で あ る こ と に意
味 が あ る の で あ 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の 一 ) 一3
一 N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service 西 山 学 報 る 。 善 導 に よ る と こ ろ の 『
観
経 』 観 で 言 え ば 、 諸 師 と は異
な り 、 十 六観
を 定 散 二 善 に 区 分 す る わ け で あ る が 、 今 の華
座 の 見 仏 を韋
提
の 側 か ら考
え る と、 決 し て 定 善 十 三観
を 説 き 終 わ っ た 後 の 見 仏 で は な い こ と に も 留 意 す る 必 要 が あ ろ う 。 ま た、 こ の 他 に も 弘 願 の 体 を 示 し て い る も の が あ る 。 ロ さ「 玄
義
分 自筆
御鈔
」 第 一 弘 願 ノ 体 ハ 南 無 阿 弥 陀 仏 ナ リ 云 々「 序 分 義 自
筆
御 鈔 」童
、 〜4
観 門 弘 願 ヲ 詮 ス ル 故 二 、観
門 二 依 レ バ 、 必 ズ念
仏 ノ心
立 ツ ナ リ 。念
仏 ハ 即 チ 、 弘 願 ノ 体 ナ リ 。 「 定 善 義自
筆
御 鈔 」 巻 二 華 座 ノ観
法 ト イ ハ 、 此 ノ義
ヲ 指 ス ナ リ 。故
二 、 此 ノ 言 二 応 ジ テ 三尊
現 ジ 給 ヘ バ 、 立 所 二 往 生 ヲ 証 得 ス 。 「 我 今 因 仏力
故
、得
見 無 量 寿 仏 及 二 菩 薩 」 ト 云 フ、 即 チ 、 証得
往 生 ノ義
ナ リ 。 無 量寿
仏 ヲ 見 ル ハ 、弘
願 ノ 体、 「 念 仏 衆 生 摂 取 不 捨 」 、 ト 知 ル 。 N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service な ど と 述 べ 、 南 無 阿 弥 陀 仏 の 六 字 名 号 ・ 念 仏 ・ 念 仏 衆 生 摂 取 不
捨
な ど が 弘 願 の体
で あ る と さ ま ざ ま に 説 き 顕 わ し て い る 。 こ の よ う に 、 弘 願 は 一 切 の 善 悪 凡 夫 を 平 等 に救
済 す る 阿 弥 陀 仏 の 本 願 で あ り 、 『 観経
』 第 七 華 座観
に お け る 住 立 空 中 仏 の 来 迎 で あ り、 ま た 、 念 仏 と も 考 え ら れ る も の で あ る 。 で は 證 空 の 教 学 に お い て 阿 弥 陀 仏 を ど の よ う な 仏 と さ れ て い る か に つ い て考
え て み る が、 そ れ に 先 だ っ て ま ず 仏 身 の 捉 え方
よ り 、 一 般 的 な 仏 身 論 に つ い て少
し 述 べ て お く こ と に す る 。 望 月 仏 教 辞 典 に よ る と 、 仏身
と は 、 「 仏 陀釈
尊 の 生身
の 特 勝 並 に 其 の 実 身 に 関 す る種
々 の考
察 を 云 う 。 蓋 し 、 釈 尊 は 浄 飯 王 の 太 子 と し て 降 誕 し、 出 家 成 道 し て 法輪
を 転 じ、 八 十 を 以 て 涅槃
せ ら れ た る も の に し て 、 其 の 内 体 は 即 ち 人 間 身 な り と 雖 も、 理 智 卓 絶 し て 法 界 の性
相 を無
師
独 悟 し、 人 格 絶 高 に し て往
古
来 今 に 独歩
し 、 無 上 士 調 御 丈 夫 天 人 師 と し て 、 四 衆 の 欽 仰 す る 所 な り し を 以 て 、 既 に 仏 陀 の 在 世 中 よ り 神 人 と し て 恭 敬 せ ら れ 、 幾 多 の 讃辞
の 捧 げ ヨ ら れ た る は 事 実 な り 。 」 と 示 さ れ て お り 、 ま ず は釈
尊
の実
身 に 対 す る 考 察 か ら 始 め ら れ た も の だ と 言 う こ と が で き よ う 。 そ し て 、 そ の後
、 二 身 ・ 三身
・ 四 身 ・ 十 身説
等
が 提 唱 さ れ る に 至 っ た の であ
る 。 こ の 中、 中 国、 ま た そ の 後 影 響 を 受 け た 日 本 に於
い て 仏身
論 を いう
場 合 は 一 般 的 に は 三身
説 で あ る 。 三 身 と は 『 十 地 経論
』 、 『 金 剛 般若
波 羅 蜜 経 論 』 等 に 説 か れ る法
・ 報 ・ 応 の 三身
や 『 金 光 明 経 』 に 説 か れ る 所 の法
・ 応 ・化
の 三 身、 ま た 「解
深 密 経 」 で い う 法 身 ・ 解 脱身
・ 化 身等
で あ る が、 こ の 中 も っ と も 一 般 的 な も の が 法 ・ 報 ・ 応 の 三身
で あ る 。 り 浄 影 寺慧
遠 の 「 大乗
義
章 」第
十 九 に は 、 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 牛 の 接 点 ( そ の 一 )5
N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service 西 山 学 報 三 仏 之 義 、 出 地 経 論 。 金 剛 般 若 亦 具 分 別 。 一 法 身 仏 。 二
報
身 仏 。 三 応 身 仏 。ハ ぜ と し て 、 こ の 三
身
が 示 さ れ て い る 。 そ し て 第 一 の 法 身 に つ い て 「 同書
」 に、 法身
仏 者、 就体
彰 名 。 法 者 所 謂無
始
法
性 。 此 法 是 、 其衆
生 体 実 、妄
想 覆 纏 、於
己 無 用 。後
息 妄 想彼
法、 顕 了 便 為 仏体
。 顕 法 成身
名 為法
身
。 と し て 、無
始 の 法性
を 法 身 だ と す る 。 つ ま り 、 こ こ で は無
始 と いう
の で あ る か ら 、 た と え さ か の ぼ っ て も そ の始
点 を 知 りう
る こ と の 不 可 能 な 状 態 か ら の 本 来 真 実 な る 本 性 、真
如 実 相 の体
が 法 身 であ
る と す る の で あ る 。6
ハ ユ 次 に
報
身
に つ い て は 「 同書
」 に 、 報身
仏 者 、 酬 因為
報 。有
作
行 徳 、本
無 今 有、 方 便修
生 。 修 生 之徳
、 酬 因名
報 、 報 徳 之体
名 之 為身
。 又 、 徳 聚 積 亦名
為
身 。 報身
覚 照 、 名 之 為 仏 。 と し て 、 仏 と な る た め の 因 と し て の修
行
を 積 み 重 ね 、 そ の修
行 の 報 い と し て の 功徳
を そ な え た 仏 身 を 報 身 と し て い る 。ハ ユ ま た 、
第
三 の 応身
に つ い て は 「 同書
」 に 、 N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service 応 身 仏 者、
感
化為
応 ( 因 ) 。感
化
之 中 、従
喩名
之、 是義
云 何 。 如 似 世 間 有 人 呼 喚 則 有 響 応 、 此 亦 如 是 。 衆 生機
感
、 義 如 呼 喚 、 如 来 示化
事
、 同 響 応 。 故 名 為 応 、 応 徳 之 体 、 名 之 為 身 、 又、 此 応 徳 聚 積、 名身
、 応身
応、 覚 照 目 之 為 仏 。 と し て 、 衆 生 に 応 じ て そ の身
を変
じ て 現 れ る 仏身
を 応身
と し て い る 。 こ の よ う に 仏 身 論 は 釈 尊 の 人格
に 対 し て 通 常 の 人 間 を 超 越 し た も の と み た 事 か ら 起 こ っ た も の で あ り、 そ の後
釈尊
の 現 身 を 生 身 、 ま た 釈 尊 の 説 い た法
を法
身 とす
る 、 い わ ゆ る 二 身 説 へ と 進 み、 さ ら に そ の 後、 三 身説
、 四 身 説 、 十身
説
へ と 発 展 し て い っ た も の と 考 え ら れ る の で あ る 。 さ て 、 阿 弥 陀 仏 に つ い て で あ る が 、 善 導 は そ の 著 「 観経
疏 」 玄 義 分 に お い て 阿 弥 陀 仏 を 次 の よう
に 捉 え て い る 。 セ 「 観 経疏
」 玄義
分 に 、7
N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
問 日 、 弥 陀 浄 国 為
当
是 報 是 化 也 。 答 日、 是 報 非 化 。 云 何 得 知、 如 大乗
同 性 経 説 、 西方
安
楽 阿弥
陀 仏 是報
仏 報 土 。 又 、 無 量 寿 経 云 、法
蔵 比 丘在
世 饒 王 仏所
、 行菩
薩 道時
、 発 四 十 八 願 。 一 一 願 言若
我
得
仏 、 十方
衆 生称
我 名 号 、 願 生 我 国、 下 至 十 念、若
不 生 者 、 不 取 正 覚 、 今 既 成 仏 、 即 是 酬 因 之身
也 。 とす
る 。 こ こ に お い て善
導
は 阿 弥 陀 仏 を 報 身 と し 、 ま た 阿 弥 陀 仏 が 本 願 を 成 就 し た こ と を説
い て 四 十 八 願 に 酬 わ れ ハ け り た酬
因 の 身 で あ る こ と を 示す
の で あ る 。 ま た 、 「 同 書 」 に、 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の 一 )NII-Electronic Library Service 故 又
知
’ 是観
報
経
西 ゜ 中上 山
輩
学へ
報 臨命
終 時、 皆 言 阿 弥 陀 仏 及 與化
仏 来 迎 此 人 。 然 報身
兼 化 、 共 来 授手
故
名
為
與 、 以 此文
証 と 述 べ て、 阿弥
陀 仏 の 仏 身 は 報身
で あ っ て 、 決 し て 化 身 で は な い とす
る の で あ る 。 こ の よ う に善
導 は 『 大 乗 同 性経
』 を依
用 し て 阿 弥 陀 仏 を 報 仏 、 そ の 極楽
浄 土 を本
願 成就
の 報 土 と し 、 ま た 『 無 量寿
経 』 に よ っ て 、 報 身 仏 で あ る と こ ろ の 阿弥
陀 仏 が 四 十 八 願 酬 因 の報
身 と す る の であ
る 。 こ の 説 を承
け
て 證 空 も 阿 弥 陀 仏 を報
身
と す る こ と に お い て は か わ り は な い と 言 え る 。 し か し な が ら 、 證 空 の 説 く と こ ろ の報
身
は 善 導 と 異 な る の で あ る 。 コ き 「 玄 義 分 自 筆御
鈔
」巻
三 に お い て 、 今 の 善導
の引
用 文 に つ い て 次 の よう
に 釈 し て い る 。 初 ノ文
ハ 、 同 性 経 ノ 中 二 、 浄 土 ノ 中 ニ シ テ 仏 ニ ナ ル ハ 、 悉 ク報
身
ナ リ 。 穢 土 ノ 中 ニ シ テ 成 仏 ス ル ハ 、 悉 ク化
身 ナ リ、 ト定
メ テ 、 別 シ テ 又 、 「 西方
安楽
阿 弥 陀 仏 、 是 報身
報 土 」 ト説
ケ リ 。 此 ノ 経 ノ 説 二 依 ル ニ 、 タ ト ヒ行
門 ノ心
ナ リ ト モ 、 報 身 ト 云 フ 事 明 ラ カ ナ リ 。 況 ン ヤ 、弘
願 成 就 ノ 故 二報
身 ト 悟 リ ヌ レ バ 、彼
ノ 明 ラ カ ナ ル 文 、 此 ノ 道 理 ヨ リ 起 レ リ ト知
レ バ 、 要 門 ヨ リ 帰 ス ル所
ノ報
身
ナ リ ト得
。 故 二 、 唯 報 ニ シ テ 化 ニ ア ラ ズ ト 云 フ ナ リ 。 ミ ヘ へ と し レ ま ず 阿 弥 陀 仏 の報
身
た る こ と を 表 し て い る 。 ま た、 め ぜ 「 同書
」 に 続 け て 、 次 二 、 無 量寿
経 ヲ 引 ク 事 ハ 、 正 シ ク 同 性 経 二報
身
ト説
キ ツ ル故
ヲ尋
ネ テ、 弘 願 成 就 ノ 仏 ナ レ バ 、 因 果 ノ 功 徳 具8
一 N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service 足 シ テ、 自
覚
覚
他 ノ 功 能 円満
シ テ 、 報身
ノ 相 明 ラ カ ナ ル 義 ヲ 顕 ス 。 世 自 在 王 仏 ノ ミ モ ト ニ シ テ菩
薩 ノ 道 ヲ行
ゼ シ バ 因 ナ リ 。 今 成 仏 ス ル ハ果
ナ リ 。 因 二 答 フ ル 身 ヲ 報 ト 云 バ バ 、 是 ゾ 其 ノ 相 ナ リ 。 此 ノ 因 二答
フ ル 身 ハ 、覚
行 窮 満 ノ 相 ナ リ 。 其 ノ 故 ハ 、行
菩
薩 道 ノ時
、 廣 ク 十 方 衆 生 ノ 為 二 「 称 我名
号 下 至 十 念 、 若 不 生者
不 取 正 覚 」 ト 願 ゼ リ 。 是 則 チ 、 直 チ ニ衆
生 ノ 苦 ヲ 慈 ミ テ、 故 ナ ク 此 ノ 願 ヲ 発 ス ニ ア ラ ズ 、 深 ク 、 仏 ノ 功 徳 ヲ覚
リ テ 覚 行 窮満
ノ 徳 二 帰 ス ル 心 深 ク 、 自覚
ノ徳
極 マ リ 、 利 他 ノ 用 満 テ ル事
ヲ 疑 ハ ザ ル 故 二 、 因 ノ 位 ノ 時 、 此 ノ果
位 ノ 功 徳 ヲ 思 ヒ 極 メ テ、 事 止 ム コ ト 得 ズ シ テ 此 ノ 願 ヲ 発 シ 給 フ 。 ( 中 略 ) 弘 願 成就
ノ報
身
、化
身
二 通 ゼ ザ ル義
、 唯 是 ニ ア リ 。 是 ヲ 指 シ テ 別 意 ノ弘
願 ト名
ク 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
と し て い る 。 つ ま り、 證 空 に お い て も 阿 弥 陀 仏 を 報 身 と す る こ と に 関 す る 限 り
善
導
と 同 様 で あ る 。 し か し な が ら、 因 に報
い る こ と と 言う
の は 、 一般
的 に は 菩薩
が 修 行 を す る場
合 に 四弘
誓 願 を 発 し、 六 度 の 行 を 成 じ た 上 に 悟 り を 得 る と い う 意 味 に お い て 理 解 さ れ る 言 葉 で あ る 。 と こ ろ が 、 證 空 に と っ て の 阿 弥 陀 仏 は 因 位 の 時、 つ ま り 法 蔵 菩 薩 の と き 、 果 上 の 功 徳 で あ る 正覚
を 既 に 思 い 窮 め た 仏 な の で あ る 。 四 十 八 願 の 内 と り わけ
第 十 八 願 の成
就 を 思 い 窮 め る こ と 、 言 い換
え る な ら ば 四 十 八 願 を 成 就 す る た め の 修 行 が こ こ に あ る と 言 え る の であ
り 、 ま た、結
果 と し て 仏 と し て の 正覚
を 得 て い る こ と か ら こ れ を 称 し て 別 願 酬 因 の 阿 弥陀
仏 と す る の で あ る 。 證 空 は 「 玄義
分 他筆
鈔 」 巻 下 に お い て も 、 一9
問 日、何
以得
知 。 云 酬 四 十 八 願 之 因、 成 正 覚 。 弥 陀 正覚
酬 三 僧祗
百 大 劫 之 行 、 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の 一 )成
正 覚 。 何 異諸
教 之 報身
哉 。 答NII-Electronic Library Service 西 山 学 日 、 三 僧
祗
劫
行 、 正 覚 仏 也 。 報 為 成 四 十 八 願 也 。 此 本 願 云 若 不 生 者 不取
正 覚 、 併 云為
成 名 号得
生 願 。 仍 酬名
号
得
生 願 因 、成
N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
と す る 。 こ こ に お い て も 強 調 し て い る こ と は 、 四 十 八 願
成
就
の 為 に 兆載
永
劫
の 修 行 が あ り 、 ま た 、 そ の行
を 成 じ て 正 覚 を 得 て い る点
で あ る 。 し か も こ こ で 留 意 す る 必 要 が あ る の は 、 四 十 八 願 の 中 で も と り わ け 第 十 八 願 を 重 視 す る お こ と で あ る 。 こ れ に つ い て 「 玄 義分
自 筆 御 鈔 」 巻 三 に 、=
一 願 言 」 ト ラ イ ハ 、 四 十 八 願各
別 ナ リ、 何 ゾ = = 言 」 、 ト 云 ヒ テ 、何
ゾ 】 文 ヲ 引 ク ト 言 フ 不審
ア リ 。 是 則 「 チ 深 キ 心 ア リ 。観
門 ノ 心 ヲ 顕 セ バ 、 四 十 八 願 ノ 不 同 ア リ テ 、 各 ノ 願 、 欣慕
ノ 故 ト ナ ル 。 弘 願 ノ道
理 ヲ 尋 ヌ レ バ 、10
一 々 ノ 願 文 、 唯衆
生 ノ 為 二 報 身 ノ 覚 行 窮 満 ノ 相顕
レ テ 、度
サ ン ト 願 ジ給
フ ニ ナ ル 。 故 二 、 此 ノ 謂 二 依 レ バ 、 「 称我
名
号 、若
不 生 者 、 不 取 正 覚 」 ノ 一 願 ナ リ ト 顕 ス 心 ナ リ 。 と し て い る 。 こ の 資料
か ら窺
え る こ と は第
十 八 願 を も っ て 仏 と な る べ き 正 因 の 願 、 他 の 四 十 七 願 を も っ て 欣 慕 の 願 と す る こ と であ
る 。 こ の 他 に も 「 玄 義 分 他筆
鈔 」 な ど に よ る と 、 第 十 八 願 以外
の 四 十 七 願 を 能 詮 、第
十 八 願 を 所 詮 と し て い る 。 つ ま り 、 第 十 八 念 仏往
生 願 以 外 の 四 十 七 願 は第
十 八 願 を 詮 す る た め の 欣 慕 の 願 と 位 置 づ け ら れ て い る の で あ っ て 、第
十 八 願 の み が 浄 土往
生 の た め の 正 因 で あ る と し て こ こ に 第 十 八 願 を も っ と も 重 視 す る の で あ る 。 こ れ ら の こ と か ら 、 證 空 に と っ て の 阿 弥 陀 仏 は 『 無 量寿
経 』 所 説 の 四 十 八 願 、 中 で も と り わ け第
十 八 願 を 成 就 し た 正NII-Electronic Library Service 覚 の 体 と 言 え よ う 。 第 十 八 願 の 内 容 は 「 広 く 十 方 の 衆 生 が 、 そ の 思 い を 西 方 極
楽
浄
土 へ 寄 せ、 一 心 に 往 生 を 願 え ば 必 ず そ の 思 い を か な え さ せ 、 一 人 も 残 す と こ ろ な く 摂 い 取 ろう
」 (筆
者 に よ り 意 訳 す る 。 ) と い う も の で あ る か ら 、 我 々 の 往 生 は そ の 第 十 八 願 の 成 就 と と も に 決 宀 疋 し て い る と 見 る べ き な の で あ る 。 我 々 一 切 の 衆 生 の機
根
は 必 ず し も 勝 れ た 聖 人 で あ る と は 限 ら な い か ら、 一 般 に 広 く 説 か れ る 諸 種 の 自 力行
に よ る 出 離 は 不 可 能 で あ る 。 し か し な が ら 、 た と え 機 の能
力
が 劣 っ た 罪悪
生 死 ・ 煩 悩 具 足 の 凡 夫 で あ っ て も何
ら 不審
を い だ く べき
も の で は なく
、 す べ て は 阿 弥 陀 仏 の 本 願 「第
十 八 願 」 に委
ね ら れ 、 阿 弥 陀 仏 が 「 阿 弥 陀 仏 と い う 仏 と し て 現 在 し て い る 」事
実そ
の ま ま が 我 々衆
生 の 往 生 だ と言
え る の であ
る 。 二衆
生
に つ い て ゐ 次 に 衆 生 に つ い て で あ る が、 こ れ に つ い て は 先 の拙
稿 「 證 空 教 学 に 見 ら れ る 衆 生 に つ い て の 一考
察
」 の 中 で 述 べ て い る の で 、 こ こ で は 概 略 の み ふ れ る事
にす
る 。衆
生 と いう
の は 、 一 般 的 に は 生 き と し 生け
る も の 、 こ の 世 に 生 をう
け た も の す べ て を 示 す 言 葉 で あ る 。 ま た 、衆
生 に は 聖 人 も あ り 、 ま た 凡夫
も あ る と いう
具 合 に 、機
根
の 異 なり
に よ っ て そ れ ぞ れ の 生 き 方 が 認 め ら れ る 場 合 が普
通 で あ る が 、浄
土 教 は 罪 悪 生 死 ・ 煩 悩 具 足 の 凡 夫 を対
象
と し た 教 学 で あ る こ と か ら 、衆
生 を 凡 夫 と す る 見 方 が より
般 的 と 言 え よう
。 と こ ろ が浄
土 教 が こ れ ら 凡 夫 を 対象
と す る も の で あ っ た と し て も 、 凡 夫 に は ま た 凡 夫 な り の 生 き 方 や 振 る舞
い が あ る は ず で あ る か ら 、 凡夫
性 を た だ 思 い の ま ま に 露 に し て い る 状態
を 認 め る に留
ま っ て い る だ け で は な く 、 そ こ に は 更 な る何
ら か の 姿 が求
め ら れ る はず
で あ る 。 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の こ11
N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service 西 山 学 證 空 は 「 女 院
御
書 」 報 おぬ 上巻
に お い て 、 次 の よう
に 述 べ て い る 。 十方
衆 生 ひ ろ し と い へ ど も善
人 と 悪 人 と の 二 つ を 出 ず 。善
人 に つ い て 又 二 つ あ り 。 一 つ に は定
善
の 凡美
、 二 つ に は 散 善 の 凡 夫 な り 。 定善
の 凡 夫 と い ふ は 、 心 をす
ま し て 物 を観
ず
る 機 な り 。 観経
の 中 の 日 想 観 よ り 雑 想観
に い た る 十 三 人 こ れ な り 。散
善
の 凡 夫 と い ふ は 、 悪 を と ど め 善 を 修す
る機
、 同 経 の 上 品 上 生 よ り 中 品 下 生 に い た る ま で の 六 人 の姿
こ れ な り 。 悪 人 に つ い て 三 つ あり
。 所 謂 下 品 の 三 人 こ れ な り 。 と し て 、 十 方 の 衆 生 を 善 悪 二 人 に 分 別 し て い る 。 ま た 、 下輩
の 三 品 は 言 う ま で も な く 、 定 善 や 散 善 上 六 品 ま で を も す べ て 凡 夫 と み て い る の で あ る 。 さ ら に 、 「 玄 義 分 自 筆 御 鈔 」 巻 二 や 「往
生礼
讃自
筆
御鈔
」 巻 一 に お い て は 衆 生 に お け る 凡 夫 性 が 明 ら か に さ れ て い る 。 す な わ ち 、 の む「 玄 義 分 自
筆
御
鈔
」 巻 二 染 惑 処 深 、 ト イ ハ 、 垢 障 覆 深 、 浄 體無
由 顕 照 、 ヲ 挙 グ 。 是 即 チ 我等
常 没 ノ 衆 生 ノ 具 セ ル 所 ノ 障 ナ リ 。 「玄
義
分 自筆
御鈔
」 巻 22 此 ノ 道 理 二 依 レ バ 、 定、散
、 二 善 、 依 、 正 、 真、 假 、悉
ク 垢 障 覆 深 ノ衆
生 ノ 為 ナ リ ト 云 フ ニ 相違
セ ズ 。 一 12 一 N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service ゐげ 「 玄
義
分 自筆
御
鈔
」 巻 二 諸 仏 大 悲 、 於 苦 者 、 ト イ ハ 、 大 悲 西 化 ヲ 隠 シ テ 此 ノ 土 二 出 デ給
ヒ シ 志 、 垢 障覆
深
ノ 衆 生 ノ 為 ナ リ 。 垢 障 ノ 衆 生 ト イ ハ 、 常 没 常 流 転 ノ衆
生 ナ リ 。 ホ 「 往 生 礼 讃 自筆
御
鈔
」 巻 一 凡 夫 、 ト イ ハ 、 煩 悩 ヲ 具 シ テ 生 死 ノ果
ヲ 受 ク ル 名 ナ リ 。 是 即 チ 、罪
悪 ヲ 具 ス ル 人 ノ 體 ナ リ 。 13 と し て 、 「 我等
常 没 ノ 衆 生 」 、 「 垢 障 覆 深 ノ 衆 生 」 、 「 常 没 常 流 転 ノ衆
生 」 、 「 罪 悪 ヲ 具 ス ル 人 」 な ど の表
現 を も っ て 我 々 衆 生 を 垢 障 の 凡 夫 ・常
没 常 流 転 の 凡 夫 と 示 し て い る 。 ま た、 次 の 資 料等
に も衆
生 ・ 凡 夫 が 示 さ れ て い る 。 ほ う「 往 生 礼
讃
自筆
御
鈔
」 巻 一 具 足 煩 悩 凡 夫、 ト イ ハ 、今
ノ 教 ( 経 ) ノ 機 ヲ 挙 グ ル ナ リ 。 外 凡 、内
凡 ノ 人 モ 凡夫
ナ リ ト 雖 モ 、彼
ハ 煩 悩 ヲ 伏 セ ル 故 二 具 足 ト ハ 云 フ ベ カ ラ ズ 、 今 ハ薄
地 底 下 ノ 凡 夫 ト 信 ズ ベ シ 。 是曠
劫 流 転 ノ 我等
ナ リ 。 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の 一 ) N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service 西 山 学 報
「
往
生 礼 讃自
筆
御
鈔
」 巻 一 一 切 衆 生 、 ト イ ハ 、 十方
ノ 一 切 衆 生 ヲ 指 ス ナ リ 。是
即
チ 、 本 願 ノ 中 二挙
グ ル 所 ノ 、 十 方 衆 生、 ナ リ 。 是 、往
生 ノ 機 ナ リ 。 ロ を「 玄 義 分 他
筆
鈔
」巻
上 今 経 意 以 凡夫
為 正 機 。 而 凡 夫 者其
體 以 未来
為 體 故 、経
説 為未
来 世 一 切 衆 生 也 。 と し て 、 煩 悩 具 足 ・ 生 死 流 転 の 凡夫
こ そ が 無 量 寿 経 、 観 経 の 対象
と す る 正 機 で あ る と し て い る 。 冖 方 、 「 玄 義 分 他 ド の り 筆鈔
」 巻 中 に お い て は 、 無 塵 法 界 乃 至 寂 用 湛 然 等事
。 是 總 結 釈 上真
如 法 性 體普
凡 夫 具 足 謂 也 。 と し て 、 本 具 仏性
を も 認 め て い る が 、 「 玄 義 分自
筆
御 鈔 」 巻 一 や 「 玄義
分 他筆
鈔
」巻
中 で は 本 来備
え て い る 仏 性 を煩
悩 に 覆 わ れ る こ と で 顕 現 し 得 ず 、 生 死 に 迷 い 続 け る 原因
を こ こ に も と め て い る 。 つ ま り 、 本 来 仏 性 を 有 し つ つ 凡夫
性 を 露 に す る た め に 仏 と な る 可 能 性 を 顕 現 で き ず に い る と こ ろ が 迷え
る 衆 生 た る 由 縁 で あ る と い え よう
。 そ し て 、 一 14 一 N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service こ の 迷 え る 衆 生 が 一 体 如 何 に し て 救 済 さ れ る の か を
考
え る時
、 そ こ に 阿弥
陀 仏 と 衆 生 の 接 点 が 見 い だ せ る の で あ る 。 證 空 に よ る衆
生 の 救 済 は先
に も 述 べ た よ う に 独 自 の 阿 弥陀
仏 観 にあ
る と 言 え る 。 ハ の 「 往 生 礼讃
自 筆御
鈔
」 巻 二 に お い て 、 垢 障 覆 深 ノ衆
生 ノ 為 二 、 五 乗 ノ 法 機 ニ カ ナ ワ ザ ル 故 二 、 直 チ ニ観
法
ヲ修
ス ル ハ 、 リ 弥 陀 ノ 弘 願 二 帰 ス ベ シ 。 弘 願 ノ 體 ハ 称 名 ヲ 詮 ト ス 。故
二 、 専 ラ名
字
ヲ 称 ス ル、 リ 。事
カ ナ ヒ 難 シ 。 二尊
ノ 要 門 ヨ 垢 障 覆 深 ノ衆
生 ノ 易 行 ノ 本 タN工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
と あ る よ う に 、 垢 障 覆 深 の 衆 生 に と っ て は 易 行 た る
称
名
こ そ が 詮 要 か つ 必 須 の も の と す る が、 そ こ に は 称 名 そ の も の を 弘 願 の 本 質 と 見 、衆
生 に は た ら き か け 称 名 せ し め る 、言
い 換 え れ ば 、 衆 生 を し て 弘 願 へ と 帰 入 せ し め る 要 門 、 す な わ ち 観 門 を 併 せ 説 く の で あ る 。 し か し な が ら、 衆 生救
済
の 論 理 は あ く ま で 阿 弥陀
仏 の 弘 願 にあ
る こ と か ら 、 そ の 中 心 は も ち ろ ん 本 願 に あ り 、 中 で も 注 目 す べ き は第
十 八 願 で あ る 。 す な わ ち 、 第 十 八 念 仏 往 生願
は 阿 弥 陀 仏 の 十 劫 正 覚 と 衆 生 の往
生 が 同 時 に 成就
す る こ と を 示 す 願 であ
る と 理 解 す る の で あ る 。 よ っ て 衆 生 の 往生
は法
蔵 が 誓 願 を 満 た し 阿 弥 陀 仏 と し て の 正覚
を得
る 時 点 で 既 に確
立 し て い る こ と と な り 、 衆 生 に と り 必 要 な こ と は 弥 陀 十 劫 正覚
の 謂 れ を 領 解 す る こ と だ と す る の で あ る 。 こ の よ う に 衆 生 の 凡 夫 性 を 示 し、 そ の 往 生 に つ い て は 弥 陀 の 本 願 を 通 じ た 絶 対 他力
を 説 き、 一方
で は 衆 生 の 本 具 仏 性 を 示 す わ け で あ る が 、 こ の こ と は 證 空 が 救 済 の 対象
た る 衆 生 を た だ単
に 罪 悪 の 凡 夫 と 見 な す の み な ら ず 、衆
生 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の こNII-Electronic Library Service 西 山 学 報 に 対 す る 本 来 の
姿
な り 、 あ り方
と は 一 体 如何
な る も の で あ る べ き か を 求 め て い る と も 考 え ら れ る の で あ る 。 あ ち 「安
心 鈔 」 に お い て 證 空 は 、 凡 夫 と は 、 い か に 妄 念 発 さ じ と す れ ど も 発 る を 凡 夫 と は 云 な り 。 を 思 の ま ま に 発 せ と 云 に は 非 ず 。 す な わ 発 れ ば と て往
生 を 疑 ふ 事 は な か る べ し 。 妄 念 と し て、 妄 心 を抑
え よ う と し て も抑
え き れ な い 存在
と し て の 凡 夫 を 認 め な が ら も 妄 り な る 思 い を お こ す 悪 の す が た を 露 呈 す る こ とを
肯 定 す る わ け で は な い の で あ る 。 こ の こ と は 凡 夫 と し て の 衆 生 に 対 し て も 善 な る 姿 勢 が 求 め ら れ て い る と も 考 え ら れ る の で あ る 。 し か し な が ら 、 衆 生 の 往 生 は あ く ま で も 阿 弥 陀 仏 の 救 済 と の 関 わ り に お い て 考 え ね ば な ら な い こ と で あ る か ら、 自 発 的 な 衆 生 の 所 作 に つ い て は 、 と も す れ ば 自 力 行 と の受
け 取 り 方 が な さ れ る 点 を考
慮 す べ き で あ ろ う 。 と も あ れ 、 こ れ ま で 見 て き た よう
に 、 救済
主 と し て の 阿 弥 陀 仏 と そ の 対 象 と な る 凡 夫 、衆
生 に 関 す る 證 空 の 受 け と め 方 が 明 ら か に な っ た の で 、 次 に 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 に つ き 考 え る こ と にす
る 。三
阿
弥
陀
仏
と
衆
生 の接
点
こ れ ま で 見 てき
た よう
に、 證 空 は 阿 弥 陀 仏 と は 『 無 量 寿 経 』 所 説 の 四 十 八 願 、 中 で も第
十 八 願 を 成 就 す る と こ ろ の 正 覚 で あ り 、衆
生 の往
生 は こ の 願 が 成 就す
る 時点
で 決 定 す る も の と し て 、 わ れ わ れ 凡 夫 に と り 必 要 な こ と は 、 こ 一 16 一 N工 工一Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service の 弥
陀
の 正 覚 の 謂 れ を 理 解 す る こ と であ
る と 示 し て い る 。 と こ ろ が 、 現 実 に は わ れ わ れ 衆 生 は 罪悪
生 死 ・ 煩 悩 具 足 の 凡夫
で あ り、 自 ら が 救 い の 身 に あ る こ と 、 往 生 が 決 定 し て い る な ど と は到
底 理 解 で き な い で あ ろ う し 、 も し 仮 に 領 解 が で き れ ば そ の 時 点 で 即 便 往 生 が か な う こ と に な る の で あ る 。 そ こ で 、 次 に わ れ わ れ 衆 生 が阿
弥 陀 仏 の 救 い を ど の よう
に 感 得 し、 そ の 時 の 衆 生 の姿
と は 一 体 ど の よう
な も の か を 考 え る こ と に す る 。 ま む 證 空 は 「 女 院 御 書 」 上 巻 に お い て 、N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
し か れ ば す な は ち 一 心 に 名 号 を
称
念
し て 、 阿 弥 陀 仏 は か た じけ
な く 凡夫
の 行 と た の み た て ま つ る べ き な り 。 ら 衆 生 は貪
瞋 の お も ひ ふ か し と い へ ど も 、 阿 弥 陀 仏 は貪
瞋 の衆
生 の 行体
な る が ゆ え に 帰 命 し て 往 生 す 。 我 と し て、 わ れ わ れ 衆 生 は 貪 瞋 煩 悩 を 持 つ 凡 夫 で あ る が 、 阿 弥 陀仏
は ま さ に こ の 罪 悪 生 死 の 凡 夫 を救
済 せ ん と し て わ れ わ れ に 代 わ り 修 行 さ れ た 仏 で あ る か ら、 衆 生 の 弥 陀 へ の 帰命
こ そ が 往 生 の 正 因 だ と し て い る 。 證 空 と そ の弟
子 実 信 房 蓮 生 と の 間 で交
わ さ れ た 問 答 を 著 し た書
に 「 述 成 」 が あ る が 、 そ の 中 で 蓮 生 の 第 一 の 問 と タ し て 次 の よう
に 示 さ れ て い る 。 一17
一 今 、往
生 は 南無
阿弥
陀 仏 と 心得
て候
ひ け り 。 是 に 付 き て 、南
無
を 彼 の釈
に帰
命 と 候 。 帰命
は 、 命 を 帰 す と書
き て 候 。 さ れ ば 、 正 し く 願 体 に 帰 し 候 ひ ぬ る も の な ら ば 、 帰命
の 謂 れ 立 つ べく
候 。 其 の帰
命
の 謂 れ 立 ち ぬ る 姿 を 云 何 に し て か 知 り 候 は ん ず る ぞ 。 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の こNII-Electronic Library Service 西 山 学 報 と し て 、 わ れ わ れ の
往
生 を 南 無 阿 弥 陀 仏 の 名 号 に 求 め て い る 。 こ の こ と は 衆 生 の往
生 を 思 い 窮 め た 阿 弥 陀 仏 の 正 覚 と そ の 仏 に 南 無 、 す な わ ち 、 帰 依 す る 衆 生 と の機
法 一 体 の 名 号 を 顕 し て い る が 、 凡 夫 と し て の わ れ わ れ 衆 生 が 仏 に 帰 命 す る 境 地 を 一体
ど の よ う に 自 覚 す る も の な の か 、 ま た、 果 た し て そ の よ う な自
覚
が 出 来 る も の か の 問 い で あ る 。 言 い 換 え れ ば 、 弥 陀 の 絶 対 他 力 を 領 解 し た 時 、 證 空 教 学 で 言 え ば 即便
往
生 を 得 た も の の 様 子 を第
三 者 に は ど の よ う に 受 け と め ら れ 、 ま た 見 受 け ら れ る か と い う こ と に も な る で あ ろ う 。 こ れ を 知 る手
だ て と し て 、 ま ず 證 空 が 帰命
に つ い て 述 べ る 箇 所 を 順 次 見 て い く こ と にす
る 。 ヨ「 五 段
鈔
」 此 の 願 と 云 ふ は 、 帰命
な り 。 帰 命 と は 即 ち 南 無 阿 弥 陀 仏 と 極 る な り 。 り 。慈
悲 と は 仏 心 な り 。 仏 心 と 言 ふ は 哀 愍 衆 生 の 心 な り 。 是 の 如 く 意 得 れ ば、 大 慈 大悲
の 心 発 る な 一18
一N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
と す る 。 こ こ は 回 向 発 願 心 の 釈 に 続 く 箇
所
で あ る が 、 こ の 回 向 発 願 心 を帰
命
と す る所
以 は 回 向 を 回 り向
かう
心 と 見 て、 弥 陀 の 六 度 万行
は 衆 生 に 向 か い 成 ぜ ら れ た も の で あ り、 ま た 衆 生 が 十 劫 正 覚 の体
に 願 生 の 思 い を も っ て 回 り 向 かう
時 、弥
陀 と 衆 生 の 二 つ が 無 二 と な る と 言 う の で あ る 。 ま た 、 こ れ を 南 無 阿 弥 陀 仏 の 名 号 と も 示 し て い る 。 そ し て 帰 命 を 心 得 る こ と に よ つ て 慈 悲 の 心 、 仏 心 が 備 わ る と も 顕 し て い る 。 さ ら に 今 の資
料 に 続 け て 、 こ の 回向
心 が 発 る 原 動 と し て 三 つ の 随 喜 を 説 い て い る 。 タ「 女 院
御
書
」 上 巻NII-Electronic Library Service
南
無
と い ふ は 度 我 の 義、 我 を わ た し 給 へ と い ふ 心 な り 。 此心
を 天 竺 に は 南無
と い ひ 、唐
土 に は 帰 命 と い ふ 。 帰命
と い ふ は 経 に 説 が ご と く命
を 仏 に た て ま つ る と い ふ 心 な り 。 衆 生 の 重 んず
る 宝 、 命 に す ぎ た る は な し 。 こ の命
を お も ふ が 故 に 、 諸 の 罪 を つ く り て 、 三 世 の 諸 仏 に も す て は て ら れ 、 十方
の 浄 土 に も い ま だ い ら れ ず し て、 曠 劫 より
こ の か た 今 に い た る ま で 、 生 死 に 輪 廻 し て た だ 無 量 の 苦 悩 を の み う く 。 し か る に 今 う け が た き 人 身 をう
け 、 逢 が た き 観 経 の 教 に よ り 仏 の 願 力 を き き た て ま つ れ ば 、善
悪 の 凡 夫 ひ と し く煩
悩
の 胸 の う ち に 歓 喜 の 心 お こ り て 、 信 心 の あ ま り命
を 阿弥
陀 仏 に た て ま つ る な り 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
と す る 。
衆
生 が 最 も 大 切 に す る命
で あ り 、 当 然 の こ と な が ら こ の 大 切 な命
を 惜 し む の で あ る が 、 そ の 理 由 と し て 、 今 の資
料
に 続 け て 三 つ の 要 因 を 明 ら か に し て い る 。 と こ ろ が 衆 生 の 往 生 は こ の命
を 惜 し む か 否 か に よ っ て 定 ま る も の で は なく
、 観 経 の 教 え を 聞 き 弘 願 の謂
れ を 知 る と こ ろ に あ る と す る の であ
っ て 、 そ の 時 、 歓喜
の あ ま り命
を た て ま つ る こ と と し て い る 。 ま り「 女 院
御
書
」 上 巻 一19
一 し か れ ば 即 ち 今 南 無 阿 弥 陀 仏 と 称 す る 南 無 の 二 字 は、 是 一 切善
悪 の 凡夫
か の 仏 の 願 力 を き き て 、 歓 喜 の 心 を 生ず
る 、往
生 帰 命 の こ こ ろ な り 。 阿弥
陀 仏 の 四字
は南
無 の 衆 生 を わ た さ ん が た め に誓
願 を 起 し て 、 願 行 成 就 せ る他
力
の 一 行 な り 。 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の . )NII-Electronic Library Service 西 山 学 報 と し て 、 こ こ で も 六 字 名 号 を 機 法 一
体
と 見 、「
観
経 疏 自筆
御 鈔 」 玄義
分 巻 一 弥 陀 の 願 力 を 知 り 、歓
喜
の 心 か ら帰
命
す る こ と を 示 し て い る 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
帰
命
、 ト イ ハ 、 サ キ ノ 観 門 ノ 発 願 二 依 リ テ 弥 陀界
二 願 入 シ ヌ レ バ 、 仏 心 ト 相 応 シ ヌ 。機
教 既 二 相 応 シ ヌ レ バ 、 弥 陀 ノ 願 ノ 外 二 生 死 ノ 凡 夫 ノ法
ア ル ベ カ ラ ズ 。 生 死 ノ法
多
シ ト雖
モ 、 命 ヲ 以 テ 収 メ 盡 ク ス 。命
既 二 帰 シ ヌ レ バ 余 ノ 法 ナ シ ト 顕 ス ガ 故 二 、 帰命
ト 云 フ 。 又、 帰命
、 ハ 南 無 ナ リ 。 と す る 。 こ こ に も 示 さ れ て い る よう
に 、 證 空 は 先 に 発 願 を 釈 す る 中 で 観 門 と弘
願 と の 関 係 を 明 ら か に し て い る 。 す な わ ち 、 弘 願 へ の 帰 入 を 誘 引 す る観
門 の 位 を 説 き つ つ 、未
だ 弘 願 に帰
入 せ ず観
門 の 位 に 住 す る こ と を 発 願 と 示 し 、 ま た 、 既 に 弘 願 に 帰 入 し た と こ ろ を帰
命 だ と 表 し 、 こ の帰
命
を す る と き 仏 心 と 相 応 す る と 述 べ て い る 。 こ の よう
に 弥 陀 の 功 徳 を 知 り、信
じ て 疑 わ ず 帰 命 す る と こ ろ に衆
生 の 往 生 が あ る と 言 え る が 、 こ の と き 衆 生 に お い て は随
喜
の 心 、 歓 喜 の 心 な ど 心 の 変 化 を 伴う
こ と が窺
え る の で あ る 。 そ し て そ の 心 は 仏 心 と 相 応 す る も の であ
る と も. ゴ ロう
の で あ る 。 こ の 仏 心 と の 関 係 に つ い て は 、 う き「 安 心
鈔
」 一20
一 此 の 往 生 の 体 と 云 は 、 我 心 と 阿 弥 陀 の御
心 と 一 に な り 合 ひ た る 処 を 云 な り 。 か ふ は 心 得 た れ ど も 何 な る 形 と も 知 ら ず 、 冂 よ り 出 し て 南 無 阿 弥 陀 仏 と 顕 す な り 。 是 心 中 に 思 は へ る 仏 な り 。 爰 を 以 て 南 無 と は 帰 命 と釈
し 、 又NII-Electronic Library Service は 発 願 回 向 と
釈
す 。 此 の 南 無 の 心 は 我等
が 仏 を 憑 む 心 な り 。 阿 弥 陀 仏 と は 憑 む 心 を 彼 の 仏摂
し て あ る 処 を 他 力 の行
と は申
なり
。 さ れ ば 我 等 が 心 を ば 南 無 と 云 ひ 、彼
の 仏 の我
等 を 摂 し 有 を ば 阿 弥 陀 と 云 。彼
此 一 に 成 合 ひ た る姿
を 即 ち 仏 に て お は し ま す処
を 南 無 阿 弥 陀 仏 と は申
な り 。経
に 是 心 作 仏 是 心 是 仏 と 説 る は凡
夫
の 心 に い み じ く 覚 て 仏 と 云 に は 非 ず 。 ロ ハ 阿 弥 陀仏
、凡
夫 の 心 に い み じ く 憑 む 心 の 中 に 入 り 玉 ふ て 凡 夫 の 心を
離 れ 玉 は ず 。 故 に 是 心 是 仏 と は 説 な り 。 さ れ ば往
生 と は 、 仏 の 御 心 と 我 心 と 一 に 成 り あ ひ た る処
を 云 ひ け る なり
。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
と す る 。 凡 夫 が 自 ら の 力 で
悟
り を 得 る こ と を 仏 心 を 備え
た と す る の で は な く、 我 等 凡 夫 を 救 済 し よう
と す る 仏 心 が そ の ま ま 我 等 凡 夫 の 心 中 に宿
る こ と に よ り 、 仏 と 凡 夫 の 心 ど ち ら が ど の 心 と も 見 分 け が つ か な く なり
不 二 と な る姿
が 仏 心 を 備 え た 我等
衆 生 の 心 だ と す る の で あ る 。21
ま へ「 安 心
鈔
」 さ れ ば 我 と 心 を 澄 す故
に 仏 と な る に はあ
ら ず 。 我 等 が 心 の 濁 を 澄 す なり
。 阿 弥 陀 仏 の 濁 れ る 我 等 が 心 中 に 入 り 顕 れ 玉 ふ故
に 、 仏 の 徳 よ り と す る 。 衆 生 の 自力
に よ っ て 自 ら の 心 を清
ら か に す る の で は な く 、 た 水 を 浄 化 す る よう
に 、 仏 心 が 我 等 衆 生 の心
中 に 入 る こ と に よ り 、 浄 化 す る の で あ る と し て い る 。 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の 一 〉 ち ょ う ど 浄摩
尼珠
が有
す る そ の特
性
と し て 濁 っ 仏 心 の 功 徳 が 現 れ た 状 態 そ のも
の が 衆 生 の 心 をNII-Electronic Library Service
西 山 学 報 ま ロ 「 西 山 善 慧 上 人
御
法
語 」 一 代 の 定 散 を 南 無 阿 弥 陀 仏 の 体 と そ 説 入 れ た る こ そ 観 経 の 体 に て は あ れ 。 仏 を も 阿 弥 陀 仏 と 説 く べ き を 生 諸 仏前
と 説 き て 、 地 体 諸 仏 の 功 徳 は 皆 弥 陀 の 功 徳 に て 凡 夫 に成
じ て あ る ら ん事
の う れ し さ よ と 仏 を た ふ た ふ 思 へ ば 、 此 の 心 の 中 に 一 切 の 諸 仏 如 来 入 集 り て 衆 生 の ま よ ひ の心
を も 、 お し む 命 を も お さ め と り て 一 体 に し て 、 衆 生 を 仏 の 体 と し て 仏 に な ら せ た ま ひ た る 故 に 、 仏 が 往 生 の体
に て は あ る ぞ と は申
す 也 。 と す る 。 た と え迷
い の 心 を 持 っ た ま ま で も 、 ま た 、 衆 生 であ
る が 故 に わ が身
の 命 を 惜 し む 存 在 で あ っ た と し て も衆
生 の 心 を そ の ま ま に お さ め 取 る 仏 が 衆 生 の 心 に 入り
込 み 、 こ の身
に い た だ く 功 徳 が す べ て 弥 陀 の し つ ら い と の 思 い の 上 に 嬉 し さ を覚
え る こ と と し て い る 。 こ の よ う に 、我
々 衆 生 ( 凡 夫 ) が 阿 弥 陀 仏 に帰
命
す る 時 、 そ こ に は 随 喜 、 歓 喜 の 思 い が こ み 上 げ て く る と す る の で あ っ て 、 こ の時
、 ま た 衆 生 の 心 は 仏 心 と 相応
し 一 体 と な る の で あ る 。 た だ し 、 仏 心 と の 相 応 は 決 し て衆
生 自 ら が自
力 で 浄 化す
る心
で は な く 、 仏 の 功 徳 が そ の ま ま 我 々 の 心 に 入 り 込 む こ と に よ っ て 仏 心 と 分 別 す る こ と の な い 心 と の ね な る の で あ る 。 「 安 心鈔
」 に お い て證
空 は 、 一 22 一N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
往 生 を 願 は ん 人 は 万 つ の 衆 生 に 於 て 父 母 の 思 を 成 て 哀 み の 心 を 至 し て 方 便 を 回 ら し て 利 益 を
前
き
と す べ き な り 。 是 則 諸 仏 の御
心 に 相 叶 ふ も の な り 。 只 所 詮 は 南 無 阿 弥陀
仏 の 一 行 に 心 を か け つ れ ば 一 切 の 行皆
是
れ に 摂 ま る 。NII-Electronic Library Service
心
の 乱 ん 時も
仏
に 任 せ 奉 て と も か く も 我 心 に 思 ふ 可 ら ず 。 南 無 阿 弥 陀 仏 と申
す 計 り な り 。業
と 釈 す る なり
。 此 謂 を 此 の 如 く ひ し と 意得
る 処 に ふ っ と 往 生 を ば す る な り 。 さ れ ば乱
る 心 も 正定
と し て 、 仏 心 に叶
う
こ と 、 言 い 換 え れ ば 、 仏 の 心 を 備 え る こ と と は 利 他 心 を ま ず 前 面 に 顕 す こ と で あ る と い う の で あ る 。 自 ら の 心 の 乱 れ を 自 ら の 力 に よ り 静 め る こ と で は な く 、 乱 れ る 心 は そ の ま ま で あ っ て も、真
の 他 力 を 心 得 る こ と が 衆 生 の 取 る べ き 姿 であ
り 、 こ の 時 ふ っ と 往 生 す る の で あ る 。 こ の こ と か ら す る と 、 他 力 を領
解
す る こ と、 仏 に帰
命
す る 時点
で は 自 ら の想
い の 中 に 歓 喜 の 思 い と と も に 仏 心 を 備え
、 即便
往 生 を得
る と いう
段階
が考
え ら れ る が 、 そ こ に は 時 間 的 な経
過 は ほ と ん ど 無 い よう
に 思 え る の で あ る 。 自 ら の 心 の 中 に 仏 心 と の相
応 を 自覚
す る こ と は 分 別 の 境 地 を 越 え る も の と は 言 え ず 、 心 に 歓 喜 を 生 じ て も、 そ の 喜 び の 思 い を味
わ う 事 は 意 識 を 越 え た も の と は 言 え な い の で あ る 。 故 に 真 の 歓喜
、 仏 心 と の 相 応 は 分 別 、 認 識 を 越 え た も の と 言 わ ざ る を え な い の で あ る 。 こ の よう
に 考 え る と 、 結 局 の 所 、 帰命
・領
解 の 境 地 と は 自 身 の 意 識 の 中 に は 捉 え ら れ な い も の であ
り 、 自覚
し た と 認 識 し た 瞬 間 に 自 カ 所得
の も の と な る こ と か ら す る と、 衆 生 み ず か ら が 自覚
す る事
は 不 可 能 だ と いう
こ と に な る で あ ろう
。 お 證 空 は 「 玄 義 分 他 筆鈔
」 巻 中 に お い て、 一23
一N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
真 如 可 有 正 因 正 行 二 意 。 所 謂 。 正 因 謂 。 領 解 乗 仏 願 力 往 生 極 楽 。 長
時
起 行 顕 真如
也 。 真 如 理 也 。 而 領 解往
生極
楽 。 顕 彼 真 如 開 悟 云 正 因 真 如 也 。 此 真如
実相
。 諸 仏 所 証 故 。 本 意 。 正 因 道 理 不 立 。 云 諸 経 面為
顕 一 向 真 如 。 嫌 自 力 顕行
也 。 證 空 教 学 に お け る 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 ( そ の 一 ) 是 即 衆 生 流 転 生 死 。 依 迷 云 直 真如
為 本往
生 面 不 為NII-Electronic Library Service 西 山 学 報 と す る 。 こ の
資
料
は 真 如 と い う も の に つ い て 正 因 正行
の 二面
か ら 理解
す る と こ ろ で あ る 。 コ ニ 心 既 具 、 無 行 不 成 」 の 釈 の 上 か ら も理
解
で き る よう
に 、 衆 生 に と っ て ま ず 必 要 と 言 え る こ と は 、 衆 生 の 真 如 を自
力
に 顕 現 さ せ る こ と で は な く 、 あ く ま で自
ら の往
生 は 弥 陀 の 願 カ所
成 に 起 因 す る こ と を 理 解 す る こ と に あ る こ と を押
さ え つ つ 、 他 力 を 領解
し た 上 は そ れま
で 自 力 雑 行 と し て 往 生 の 因 と せ ず に 退 け た 一 切 の 諸 行 を も こ と ご と く 正 行 と 扱 い 、 積 極 的 な 正 行 の 実 践 が 待 た れ る の で あ る 。 こ の こ と か ら考
え ら れ る事
は 、 仏 へ の 帰命
・他
力領
解 以 後 、臨
終
ま で の 間 に 正 行 と し て の 諸 行 を 実践
す
る 衆 生 の姿
で あ る 。 し か し な が ら こ れ に 関 し て も 自 ら が 領 解 を得
、 正 行 を 実 践 す る と い う 自 覚 の 上 の 振 る 舞 い で は真
の領
解 ・ 帰 命 の 姿 と は 言 え な い の で あ る か ら 、 こ こ に お い て も 自 身 の意
識 を 越 え た と こ ろ に あ る 正 行 実 践 な の であ
る 。 故 に こ れ を 知 る 手 だ て と し て は や はり
第 三 者 の 客観
的 な 観 察 に よ る 他 は な い か の よう
に 思 わ れ る 。 まワ 「 述 成 」 の 中 で 證 空 は 、 一 24 一N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
本 尊 に
向
ひ て念
仏申
し 居 た る 二 人 あ り 。 振 舞 は 少 し も替
ら ね ど も自
力他
力 の 趣 き 同 じ か ら ざ る な り 。 と し て 、 ど ち ら も念
仏 を 申 す 人 で は あ る が 、 他 力 に 帰 入 し た 人、 未 だ自
力
の境
地 を 脱 せず
に い る 人 の 違 い を 示 し 、 こ れ に 続 け て こ の 両 者 を さ ら に 詳 し く 説 明 し て い る 。 證 空教
学 に お い て 衆 生 の往
生 を 考 え る と き、 そ こ に は 證 空 独 自 の 阿 弥 陀 仏 観 があ
り 、 こ の 阿 弥 陀 仏 を 知 る と こ ろ に往
生 が あ る の であ
る 。 こ の 「 阿 弥 陀 仏 を知
る こ と 」 が衆
生 ( 凡 夫 ) の 仏 に 帰命
す る姿
であ
る と 言 え る わ け で あ る 。 と こ ろ が 、 弥 陀 へ の 帰 命 の 姿 と い う も の は 、 衆 生自
ら が そNII-Electronic Library Service
う
だ と 自 覚 出 来 る も の で は な い 。 否 、 自 覚 出 来 な い も の と 言 い き る こ と も 出 来 な い の で あ る 。 仏 に帰
命
し た 衆 生 に は 心 の 奥 底 か ら こ み 上 げ る歓
喜
の 思 い が 得 ら れ る の で あ る が、 こ の喜
び を 味 わ い 、認
識 す る こ と は そ の 時 点 で 本 当 の 意 味 で の 帰 命 、 他 力 領 解 と は 言 え な い の で あ り 、真
に 帰命
し て い る か 否 か は こ の 人 を 第 三者
的 に観
察
す る こ と で 知 る こ と が 出 来 る も の と 思 わ れ る 。 そ し て 、 第 三 者 の 客 観 的観
察 に よ り 、 そ の 人 の真
の 帰 命 が 確 認 さ れ る 時 、 そ の 人 は他
力 領 解 の 上 の 正行
を 実 践 す る身
で あ る わ け で あ る 。 よ っ て 次 に 仏 へ の 帰 命 ・他
力
領 解 を し た 衆 生 の 姿 と し て の諸
行
の 実 践 面 、 念 仏 の 自 力 ・ 他 力 の 面 か ら 阿 弥 陀 仏 と 衆 生 の 接 点 を さ ら に 考 え る こ と に す る が 、 こ れ に つ い て は 次 稿 に 続 け る こ と に す る 。 註 ハ ハ ハll
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) @ )@ j @ )@ r @ )@ j @ ) ) ) 「 山 叢 書 」 第 一 巻 、 一 上 「 西 叢 書 」 第 一 巻 、 一 〇 六 下 「大 正 新 脩 大 経 」 第 三 十 七 巻 、 二 四 六 中 「 大 正 新 脩 蔵 経 」 第 三 十 七 巻 、 二 四 六 「 西 山 叢 書 」 第 一 巻 、 三 下 u 西 山 叢 書 」 第 一 巻 、 二 三 ⊥ 上 「 西 山 叢 書 」 第 二 巻 六 六 上 望 月 仏 教 辞 典 四 四 五 二 中 大 正 新 脩 大 蔵 経 」 第 四 十 四 巻 、 八 三 七 下 u 大 正 新 脩 大 蔵 経 」 第 四 十 四 巻 、 八 三 七 下 「 大 正 新 脩 大 蔵 経 」 第 四 十 四 巻 、 八 三 八 證 空 教 に おける 弥 陀 仏と衆 生の 接点 ( そ の一) 一25 一 N工 工 一NII-Electronic Library Service A A A
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12 ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) 西 山 学 報 「 西 山 上 人 篇 鈔 物 集 」 「 西 山 上 短 篇 鈔 物 集 」 「 西 山 人 短 篇 鈔 物 集 」 「 西 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 「 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 「 大 正新 大 蔵 経 」 第 四 十 四 巻 、 「 大正 脩 大 蔵 経 」 第 三 十 七 巻 、 「大 新 脩 大 蔵 経 」 第 三 十 七 巻 、 西 山 叢 書 」 第 } 巻 、 一 一 一 下 u 西 山 叢 書 」 第 一 巻 、 一 一 二 上 「 西 山 全 書 」 第 四 巻 、 三 四 八 下 「 西 山 叢 書 」 第 一 巻 、 一 = 二 西 山 学 報 四 〇 号 ( 平 成 四 年 「 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 九 七 「 西 山 叢 書 」 第 一 巻 四 二 下 「 西 山 叢 書 」 第 一 巻 四 三 下 「 西 山 叢 書 」 第 巻 、 ⊥ ハ 八 下 「西 山 叢 」 第 三 巻 、 八 上 「 西 山 書 」 第 三 巻 、 七 下 「 西 山 叢 」 第 三 巻 、 一 下 「 西 山 全 書 第 四 巻 、 二 四 九 下 「 西 山 書 」 第 四 巻 、 二 七 八 下 「 山 叢 書 第 三 、 二 三 一 七 二 四 七五 = ハ 四 一九 九 八 三 八 上 二五〇 中 二五〇 中 一 一NII-Electronic Library Service
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) ) A ハ A A A40
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) ) ) ) ) ) 「 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 二 一 二 「 西 山 叢 書 」 第 一 巻、 一 四 下 「 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 一 八 四 「 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 一 九 〇 「 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 一 二 九 「 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 一 九 一 「 西 山 全 書 」 第 四 巻 、 二 七 九 下 「 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 」 八 七N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe