九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
京都府立総合資料館蔵『古今集註』翻刻と解題
(二)
日高, 愛子
九州大学大学院博士後期課程
https://doi.org/10.15017/15084
出版情報:文獻探究. 46, pp.74-99, 2008-03-31. 文献探究の会 バージョン:
権利関係:
京都府立総合資料館蔵﹃古今集註﹄翻刻と解題︵二︶
日高 愛子
前号において︑栄雅の古今集講釈を聞書したものとして四本があり︑
その系統が二系統に分かれることを示したが︑その後﹃古今集注釈書
伝本書目﹄︵﹁斯道文庫書誌叢三七﹂堂号出版︑平成一九年二月︶に依
り︑東山御文庫に所蔵される一本を新たに知り得たので︑ここに記す︒
この東山御文庫蔵本︵以下︑﹁東山本﹂と略称する︶は︑﹁長享三年
四月十四日二御講膏血ル也﹂として︑他の四本と同じ奥書が確認され
る︒歌注は︑広島大学蔵本︵以下︑﹁為和本﹂と略称する︶および京
都府立総合資料館蔵本︵以下︑﹁京府本﹂と略称する︶の二本と一致
する︒歌の上の句だけを記す書写の構成は為和本と一致するが︑東山
本には為和本に見られるような他説等の加筆はない︒ただし︑東山本
には墨消による訂正が散見される︒京府本と為和本との細かな異同箇
所について︑東山本は為和本と多く一致している一方で︑墨消により
訂正された箇所については京府本と概ね一致している︒したがって︑
東山本は︑為和本に近い一本により書写された後︑古楽本に近い一本
により加筆訂正されたものと思われる︒
以上︑新たに知り得た東山本も合わせ︑五本の系統を改めて示すと︑
おおよそ次のようになる︒ 一系統二系統 京都府立総合資料館蔵本︻京豊本︼ 写本一冊存︵巻十一以下のみ残存︶ ︵外題︶﹁古今集 合本/二上 全﹂東山御文庫蔵本︻東山本︼ 写本一冊 ︵外題︶﹁古今集聞書四季ヨリ真名序□/四月十四日終□﹂広島大学蔵本︻為和本︼ 写本二巻二冊の本文部分 ︵外題︶﹁古今聞書上︵下︶善和毒筆一︵墨消・判読不能︶﹂今治市河野信一記念文化館蔵本︻河野本︼ 写本一冊 ︵外題︶﹁蓮心院自説古今集註﹂京都大学蔵本︻朱書本︼ 刊本﹃両度聞書﹄六巻八冊の余白・行間にある書入 ︵外題︶﹁古今和歌集抄﹂︵内題︶﹁古今和歌集両度聞書﹂
一74一
翻刻
※凡例については︑前号を参照されたい︒
雑歌下までの翻刻を掲載する︒
第十五 恋五 猶︑紙面の都合上︑今号は恋歌五から
二五条の后の宮とは仁明の御子文徳の后也ほいにはあらてとは本意
二非す也子細あるへき也梅の花さかりとよむ也
在原業平朝臣
羅万やあらぬ春や昔の春ならぬ我身ひとつはもとの身にして
序二部書芸
︵*︶ 藤原の仲平の朝臣
瑠一花す㌻き我こそしたに思しかほにいて㌻人にむすはれにけり
ほにいて㌻はそなたよりほにいてたる也むすふとは恋契也此再
枇杷左大臣仲平人二物いひける時の寄也本女房を向て後無音也
然二仲平左大臣をけさうしけると也なかひらをなりひら二書ちか
へ歎業平集にも伊勢集にもなしと也︵*︶
︻校異︼*1仲平︑蔵人頭右近衛中将︑承平七年至左大臣︑御号歪柱左大臣︒昭
宣公二男︑長良卿孫︒ *1明心云︑祇註︑正説也︒
藤原かねすけ朝臣
……
?謔サにのみきかましものを㌻とは河わたるとなしにみなれそめけ
ん
義なし 凡河内みつね
…難
墲ゥことく我をおもはん人もかなさてもやうきと世を心みん
同
もとかた
…難
v方のあまつそらにもすまなくに人はよそにそ思へらなる
同
よみ人しらす
……
?ゥても又またもみまくのほしければなるを人はいとふへら也
同 見まくはみたき也
きのとものり
響雲もなくなきたるあさの我なれやいとはれてのみよをはへぬらん
よみ普しらす
桝一花かたみめならふ人のあまたあれはわすられぬらん数ならぬ身は カタミ 義なしかた見は笙唐朝也めならふ人はめんくに思人あると也
かこの目のならふ心也
︻校異︼めんくに思人ある1思人おほくある
同
ヨ75一うきめのみおひてなかる﹄浦なれはかりにのみこそあまはよるら め
義なしかりにのみとは参会もかりそめと野壷海士のめをかるに
よせて我うきめをよむ也
伊勢
75一あひにあひて物思ころの我袖にやとる月さへぬる㌻かほなる 義なしあひにあひてはあくまて物をおもふ也ぬる﹄かほなるは
面白詞也となり
一75一
よみ人しらす
卿一秋ならてをく白露はねさめする我たまくらのしつく成けり
義なし︵*︶
︻校異︼*1秋ならず︒時の露にあらず︒
同
珊一すまのあまのしほやき衣おきをあらみまとをにあれや君かきまさ
ぬ
義なしをさとは箴ヲサ也
同
…灘ハしろのよとのわかこもかりにたにごぬ人たのむ我そはかなき
同
同
拗一あひみねは恋こそまされみなせ川なに㌻ふかめて思そめけん
水無瀬と云節劇
同
ユ76一暁のしきのはねかきも㌻はかき君かこぬよは我そかすかく 序の聞書二あるへし
同
観一玉かつら今はたゆとや吹風のをとにも人のきこえさるらん
義なし玉かつらは追かけをも云今の世の髪二あらすひんなとに
うつくしくかけし也源六二末摘の寄のたゆましきすちとたのみ
し玉かつらおもひのほかにかけはなれぬる是は末摘のめのとの タサイ 太宰二付て下時髪を饅二やるとての也
同
……c…
?艪サてにまたき時雨のふりぬるは君か心に秋やきぬらむ 義なし 同桝一山の井の浅き心もおもはぬをかけはかりのみ人のみゆらん 同かけはかりのみはそとみる心也 同都一忘草たねとらましをあふ事のいとかくかたき物としりせは ケンサウ ハウイウ 同 忘草は萱草の事也女房は北堂二とふる也忘憂草とも云也愁 を忘草也
︻校異︼愁を忘草也1*
同
……
c難……Oふれとも逢夜のなきは忘草ゆめちに三やおひしけるらん
義なし
一夢にたにあふことかたく成ゆくは我やいをねぬ人やわする㌻
いをねぬは我ねぬほとに夢をみぬかと也
けむけい法師
……
c難
烽?アしも夢にみしかはちなりき思はぬ中そはるけかりける
同
囲さた?ほる備中守喜劇登仁明御子
︻校異︼さたの㌻ほる 備中守 貞朝臣 登 仁明御子−登︑正五位下︒母三国
町︑仁明天皇更衣︑喜僧正妹也︒貞朝臣登︑備中守︑仁明御子︑さた︒
さたののほる
76一ひとりのみなかめふるやのつまなれは人をしのふの草そおひける なかめ長雨也ひとりつくくとなかむる心もあり人をしのふは
一76一
古屋の軒二生る草なれは如此よむ也
僧正遍昭
……
」宮やとはみちもなきまてあれにけりつれなき人をまっとせしまに
義なし
同
77一今こむといひて如しあしたより思ひくらしのねをのみそなく 同おもひくらしとは曰くらしと也
よみ人しらす
77一こめやとは思ふ物からひくらしの鳴ゆふくれはたちまたれつ﹄ 同 こめやとはこうする事かとはおもへとも也
同
73一いまし偽とわひにし物をさ㌻かにの衣にか﹄り我をたのむる
7
一説いましはと也しは例のやすめ字也いましはと用給ふ也いま
は中くとわひしに蛛の衣にくりて又もしやとおもはすると也
蜘 蛛下二嘉事ありの心也︵*︶ に︻校異︼一説いましはと也1* いましはと用給ふ也いまは中くとわひしに蛛
の衣にくりて又もしやとおもはすると也−今しはとは︑春部に︑誰しか
もの詞の如し︒今はとおもひ切で︑わびにし物を︑さ㌻がにの︑又︑人
を待べきやうに我をたのむると云由也︒今しばしと云にはあらず︒不可
用也︒蜘蛛結て好事ありと也 *1万葉第四︑汗しはに名のおしけくも
我はなし妹によりてはちへにたつとも︑今はと云べきを忙しはとよめる
証歌也︒
同
……
c難
「まはこしと思物からわすれつまたる≧﹂とのまたもやまぬか 同ヨ77一月夜にはこぬ人またるかきくもり雨もふらなんわひつ﹄もねん タカムラ 義なし篁事二種工事を此可暗紅也題不知也心得て可見也︵*︶
︻校異︼*1前第九巻︑わたの原の歌の註に委也︒
同
那一うへていにし秋田かるまてみえこねはけさ初かりのねにそ鳴ぬる
田をはしむる時分二かへりし雁の事二よせて田をかるまて人のこ
ぬと恨也
同
…羅……Oぬ人をまつゆふくれの秋風はいかにふけはかわひしかるらん
義なし
同
77一ひざしくも成にける何すみのえのまっはくるしき物にそ有ける 森々寄事
かねみのおほきみ
離すみのえのまつほとひさに成ぬれはあしたつのねになかぬ日はな
し
訳なし
伊勢
…難
ンわの山いかに待みん年ふともたつぬる人もあらしとおもへは
事書に見えたり
⁝馨畢云林院の姿﹂罵膨親植林舞也
ユ78一吹まよふのかせをさむみ秋はきのうつりもゆくか人の心の
一77一
義なしのとまりの寄也 のとまりの型幅是まてかと也
︻校異︼のとまりの可是まてのと也1*
をの㌧こまち
……c難
。はとてわか身時雨にふりぬれは事のはさへにうつろひにけり
同身のふりたる也
羅…
@をのきたき小野貞笹
小野さたき
罵一人をおもふ心のこのはにあらはこそ風のまにくちりもみたれめ
同 心心の木葉ならはみたれんすれと我は不変なる心なると也
同
襯一あま雲のよそにも人のなりゆくかさすかにめにはみゆる物から
事書二見えたりあま雲は天の雲一説雨の雲とも雲の雲用ゆ
︻校異︼事書二見えたりあま雲は天の雲一説雨の雲とも雲の雲用ゆ1天也︒雨は不
用也︒
なりひらの朝臣
ヨ78心ゆきかへりそらにのみしてふる事はわかるる山の風はやみ也 返し 義なし風はやみは其方の心の風のあらきと也わかるる山
こなたといふ心也
かけのりのおほきみ
悩一から衣なれは身にこそまっはれめかけてのみやはこひんと思し
なれは身にこそとは衣のなる㌻とはしほる㌻心也なへてしほれ
は身にまっはるへき二かけてとは衣架二かくる心也 衣架とはご
ろもをかくる物也
︻校異︼かけてとは衣架二かくる心也−衣架にかけてと也︒ 衣架とはごろもをか くる物也1*
とものり
……
c難
H風は身をわけてしもふかなくに人の心のそらになるらむ
義なし
源宗干朝臣
……c難つれもなくなりゆく人の事のはそ秋よりさきのもみちなりける
同
兵衛
89一しての山ふもとをみてそかへりにしつらき人よりまつこらしとて
事書二みえたり兵衛女房也藤原高経朝臣女也女房の寄にては少 7
はしたなき欺と也
︻校異︼事書忌みえたり兵衛女房也藤原高経朝臣女也1* 歎−歌心
こまちかあね
初一時過てかれゆくをの㌻あさちには今は思ひそたえすもえける
事書二みゆおもひは火也
伊勢
初一冬かれの野へとわか身をおもひせはもえては春をまたまし物を ヤクワヤケ ツキ 事書二みゆ春をまたましとは悦をまたんの心遣野火焼トモ不スレ尽
シユンフウフイ シヤウ 春風吹テ又タ生スと云心有へき欺
︻校異︼事書二みゆ一*
としのり
視一水のあわのきえてうき身といひなから流て猶もたのまる墨かな
義なし潤て猶もとはなからへて慧と也
︻校異︼慧−頼
一78一
よみ硬しらす
初一みなせ川ありて行水なくはこそつみに我身をたえぬとおもはめ
水なき河と云も水の流也我身もだえたりともつみにはたのまん
する物をと也
みつね
桝一よしの河よしや人こそつらからめはやくいひてし事はわすれし
義なしはやくとはとくいひし事也
よみ人しらす
……
」世中の人の心は花そめの︾つつろひやすき色にそ有ける
義なし
同
79一心こそうたてにくけれそめさらはうつろふ事もおしからましや 同うたてはうた㌻也
︻校異︼うたてはうた㌻也−転也
こまち
ノ 9一いうみえてうつろふ物は世中の人の心の花にそありける
7
義なし︵*︶
︻校異︼*1見えで︑当流也︒
よみ人しらす
……
c響
艪フみやよをうくひすとなきわひん人の心の花とちりなは
義なし
素性法師
……
?ィもふともかれなん人をいかをむあかす散ぬる花とこそみめ
同 よみ硬しらす蹴一捻はとて君かかれなはわかやとの花をはひとりみてやしのはん 義なしコ80一むねゆきのあをんあそんの心也宗干此時分四品なきとや然共朝臣﹇ と書也 むねゆきのあをむ
……
レ忘草かれもやするとつれもなき人の心にしもはをか南
義なし
そせい法し
……
ソわすれ慕にをかたねと思しはつれなき人の心成けり
同
同
ハづ へ き き80一秋の田のいねてふこともカけなくになにをうしと力人のカるらん いねてふこともとはいねといふ事もいはぬ也悉皆作毛二よせて
うしとかも牛也
きのつらゆき
c鞭
……ヘ薦のなきこそわたれ世中の人の心の値しうけれは
義なし
よみ人しらす
梛一あはれともうしとも物を思時なとか涙のいとなかるらん
同 いとなかるらんとはいとまなかるらむと也いとな.かるらん
と一説不用
同
……
c…
蛛cgをうしと思にきえぬ物なれはかくても塵ぬる世にこそ有けれ
一79一
義なし 羅=
T籐原なほいこの朝臣直孟
典侍藤原なほいこの朝臣
……
c難
?ワのかるもにす聖しの我からとねをこそなかめ世をはうらみ
し
異義なし
剖
⑳一
「なはもとよのおほきみの女也
いなは
80一あひみぬもうきも我身のから衣思しらすもとくるひもかな 同 我身からなる二猶うき身のひものとくる不審と也
すかの㌧たΣをむ忠臣
〇一つれなきを今はこひしと思へとも心よはくもおつる涙か
8
同こひしとよむなり
︻校異︼こひしとよむなり1不恋︒忠臣
伊勢
脚一人しれすたえなましかはわひつ㌻もなき名そとたにいはまし物を
義なし
よみ人しらす
81一それをたに思事とてわかやとを見きとないひそ人のきかくに みきとはみたるとないひそ也人のきかくにとは人のきかんする
にと也おもふ事とてはそれをたに我心のま﹄にせんすると也
同
脱一あふ事のもはらたえぬる時にこそ人の恋しき事もしりけれ 義なしもはらはもつはら也
︻校異︼もはらはもつはら也−専也︒
同
……
c…
レわひはつる時さへものふなしきはいつこをしのふ涙なるらん
同
藤原おきかせ
……?cュてもなきてもいはむかたそなきなみにみゆる髪らすして
同
よみ人しらす
……
」夕されは人なきとこを打はらひなけかんためとなれる我身か
同
同
脳一わたつみのわか身こす浪立帰あまのすむてふうらみつるかな
同 わか身こす波とは涙也末の松山の心二ゆかすうらみつるか
なか肝要也後撰寄二はまちとりたのむをたれとふみそむる跡う
ちつけな我身こす浪
同
師一あらをたをあらすきかへしくても人の心をみてこそやまめ
義なしかへしくてとは返々也心底をしらんと也
同
81一有そうみのはまのまさことたのめしはわする㌻事のかすにそ有け る
義なしありそ海は海の名也名所にも有有所風なとよむなり
同
脚一あしへより雲井をさしてゆくかわのいや遠さかる我身かなしも
一80一
義なし序寄
同
82一しくれつ﹄もみつるよりもことのはの心の秋にあふそわひしき もみつるよりもとは草木の色付は衰なれは也
同
82一秋風のふきと吹ぬるむさしのはなへて草葉の色かはりけり そへ寄也
こまち
82一秋かせにあふたのみこそかなしけれ我身むなしく成ぬと思へは 我身むなしくは田の実二よせて也大風二合て稲の実のらぬと也
平さたふむ
……
侮嘯ゥせのふきうらかへすくさのはのうらみても猶つらめしきかな
義なし
よみ人しらす
謝一秋といへはよそにそき㌻しあた人の我をふるせるなにこそありけ
れ
秋と忍事をはた㌻世間の事と聞しに所詮あた人のこなたをあく
名となると也
︻校異︼所詮1*
同
……c…
?墲キらる身をうちはしの中たえて人もかよはぬ年そへにける
義なし右の書やう例の事事
坂上是のり
……
」あふことをなからのはしのなからへて恋わたるまに年そへにける
義なし とものりフ82一うきなからけぬるあわとも成な㌻んなかれてとたにたのまれぬ身 は 同なかれてとたにはなからへてとたにたのまぬ身はきえたき と也
︻校異︼なかれてとたには一*
よみ人しらす
蹴一流てはいもせの山のなかに出つるよしの㌻河のよしや世中
此寄の心はいもの冒せの山と云ありいもせ不変二会向てあるに
吉野の川中をとをりてへたつる事あり世間万事如此也よしや世
中と観すへき也恋の五巻のとちめに置事一段の事也万葉二せの
山にた㌻にむかへりいもの山事ゆるすかもうち橋わたすとあり
うちはしわたすとはかよふ心也そとわたす橋也
第十六 山辰傷苛可哀傷と無常トハ似タル事也但無常ハ一向二死別.事
也哀傷ハ執事テ哀ナル事事少差別アリ
…… 曹焉│とのみまか−け難山朝臣
脚一なく涙雨とふらなむわたり河水まさりなはかへりくるかに
わたり河は冥途の三途川也雨とふらなんとは涙の雨とふりて川
の水をませと也かへりくるかには帰来るやうにと也
︻校異︼川の一* かへりくるかには一*
一81一
コ脚一さきのおほきおほいまうちきみをしらかはのあたりとは忠仁公也﹇ 太政大臣は天智天皇十年二大伴六字を始て任也其後忠仁公任す
其時分太政大臣只二人豊富麩傍官を辞せすといへとも前と云也
前後の差也
そせい硬し
脚一ちのなみたおちてそたきつしら川は君かよまての名にこそ有けれ
異義なし白河と云名所詮忠仁公存生の時まての名也只今はちの
涙にて色の紅なると也寄の感也
︻校異︼可の感情−感慨聖歌也
コ劉一ほりかはのおほきおほいまうちきみは昭宣公也寛平三年正月二莞五﹇ +六太政大臣関白の始と也
︻校異︼ほりかはのおほきおほいまうちきみは一*
離僧都勝延或説僧焉昭とあり禦の説遍昭二非すと也雅経卿説し
かと勝延也
僧都勝延
83一空蝉はからをみつ㌻もなくさめつ深草の山けふりたにたて 義なしなくさみ也詞はなくさめと云也
囲かむつけのみねを上野羅
かむつけみねを
………
?[草?への桜し心あらはy﹂としはかりはすみそめにさけ
義なし きのとものり脇一ねてもみゆねてもみえけり大かたはうつせみのよそ夢には有ける ユイシキ ミトクシンシツ カクシヤウ うつせみの世あたなる世はた㌻夢と也唯識論二愚書真実 覚常 シヨムチゥ 処夢中とあり きのつらゆき
……
?イとこそいふへかりけれ世中にう?ある物と驚けるかな
義なし
みふのた㌧みね
……
?ハるかうちにみるをのみやは夢といはんはかなき世をもう?と
はみす
同
同
c難
……ケをせけはふちと成てもよとみけり別をとむるしからみそなき
同
閑院
フ83一さきた㌻ぬくひのやちたひかなしきはなかる㌻水のかへりこぬ也 くひのやちたひ後悔也八千度
コ脇一きのとものりか身まかりけるとは当量撰者四人の内にて中程二卒﹇ せし也然共四人たるによりて序二は書と也
︻校異︼きのとものりか身まかりけるとは1友則
つらゆき
83一あすしらぬ我身とおもへとくれぬまの今日は人こそかなしかりけ れ
義なし 理哀なる寄と也
一82一
た㌧みね
……蜉Vしもあれ秋やは人の別へきあるをみるたに恋しき物を
同
凡河内みつね
……
c難
̲な蝉時雨にぬるもみちは差おひ人のたもと成けり
同
た㌧みね
……
ヒふち衣はつ登いとはわひ人の涙の玉のをとそなりける
義なし
つらゆき
c…
……??ウ露のおくての出かりそめにうき劇中を思ぬるかな
同
た㌧みね
ヨ4一すみそめの君の挟は雲なれやたえす涙の雨とのみふる
8
同 すみ染は凶服也
︻校異︼すみ染は一*
よみ甘しらす
……c難
?オひきの山へに今はすみそめの衣の袖のひる時はなし
事書二みえたり墨染凶服也
諒イ本
…蕪…
リ漫談の花をみてとはいつの比とも呈しり給ぬ
たかむらの朝臣
痴一水のおもにしっく花の色さやかにも君かみかけのおもほゆるかな
しつくとはしつみもはてす又あらはれもせぬ也さやかにも清き 事也きっかと也催馬楽二かつらきのとよらの寺のまへなれやゑ
のはみにしつくしら玉桂とあり
︻校異︼しっくとはしつみもはてす又あらはれもせぬ也さやかにも清き事也きつ
かと也催馬楽二かつらきのとよらの寺のまへなれやゑのはみにしつくしら
玉桂とあり一しっくと即身︑しつむといはゴしつむにあらず︒沈は底へ
ママ たるも又水にいる也︒しっくとは︑水あらはるれども水に入はてず︑又︑
水の下なる石も浪より出るやうなれど顕れもはてずかくれもはてぬ様な
るをいへり︒万葉︑藤なみのかげなる海の底きよみしっく石をも玉とそ
わが見る︑足引の山の紅葉にしっくあひてちらん山路を君がこえまく︑
催馬楽︑かづらきの寺のまへなるや︑とよらの寺の西なるや︑えのはみ
にしら玉しっく︑しら玉しっくとは︑沈もはてず又顕もせぬ也︒さやか
にもは︑清くきっかとしたる心也︒此歌心︑池の水の花の枝のすぐかれ
てしっく色のさやかなるやうに︑君のみかげのおもほゆるとよめる也︒
…響
[草のみかとの御国己心戦笥の御年己心事也痴一草ふかき霞の谷に影かくしてる日のくれしけふにやはあらぬ
序の聞書二あり
僧正遍正
フ4一みな人は花の衣になりぬ也こけのふもとよかはきたにせよ
事書によくみゆかうふり給なと㌻は人の五位二成玉翰諒闇二弓懸 8
を着人数を被定也
︻校異︼事書によくみゆかうふり給なと㌻は人の五位二成事也諒闇二凶服を着人数
を恒定也1かうぶり造りてとは︑五位叙爵也︒
一83一
近院の右のおほいまうちきみ
84一うちつけにさひしくもあるかもみちはもぬしなきやとは色なかり けり ト 事書二みゆ河原のおほいまうちきみは融公也 トウロ︻校異︼は融公也−嵯峨源氏融︑寛平七年八月十五日莞︑七十三︒
コ蹴一近院右大臣也良有公也寛平七年子時大納言右大将民部卿皇太子伝 ︻校異︼也良有公也−能有︑文徳源氏 干時1* 皇太子−太子
つらゆき
脚一郭公けさなくこゑにおとろけは君にわかれし時にそありける
事書二みゆ
︻校異︼事書二みゆ1藤原たかつねの朝臣 長良卿男
きのもちゆき茂行
……
c難
ヤよりも人こそあたになりにけれいつれをさきにごひんとかみし
事書二みゆ
つらゆき
き き へ85一色もカもむカしのこさににほへともうへけん人のカけそ恋しき 事書二みゆむかしのこさとは色のこくにほふ也むかしのこさす
と云本あり不用︵*︶
︻校異︼*1書写の人のしどけなくて︑昔のこさにを︑さのこさずと書たるにつ
けてよみにく曝せば︑みだり事このむもの墨徒事を尺したる也︒
同
……
c…
?Nまさて煙たえにししほかまの浦さひしくも変わたるかな マンリコウチ 事書二みえたり嫁女六条の上二町万里小路の東二首夏
圃誌しもと利基也高藤の量
コ脇一みはるのありすけ 御春有助﹇ みはるのありすけ脇一君かうへしひとむらす㌻きむしのねのしけきのへとも成にけるか な 事書二みゆことかき二さうしとは座敷なとの事也はやくそこに侍 りけれはとはもと行てありしと也︻校異︼事書二みゆ一* なとの事−也︑曹司 そこに侍りけれは一*
とものり
羅三とならはことのはさへもきえ参むみれは涙のたきまさりけり
事書二みゆち㌻とは友則か父黒黒友也
よみ訂しらす
脇一なき人のやとにかよは㌻郭公かけてねにのみなくとつけなん
義なしなき人の宿は後家欺暑しての山へ時鳥に事付せんと也
同
85一たれみよと花さけるらんしら雲のたつのとはやくなりにし物を 同 たつ野とは雲立野となると也
同
フ85一かすくにわれをわすれぬ物ならは山のかすみをあはれとは見よ 事書二見えたり此事書二帳のかたひらのひもとはき丁のかたひら
にわなとてをあり其事也
︻校異︼事書二見えたり此事書二帳のかたひらのひもとはき丁のかたひらにわなと アツミ ママ てをあり其事也−式部卿のみこは︑敦 慶
一84一
よみ恥しらす
……
c…
き心をつけて吟味スヘキ可ト也 ?c
Oゑをたにきかてわかる㌻たまよりもなきとこにねん君そかなし事書二みゆ哀なる寄と也
大江千里
……
c難
烽ンちはを風にきかせてみるよりもはかなき物はいのち聴けり
事書にみゆ
藤原これもと
……
c灘……Iをなとあたなる物と思ひけんわか身も草にをかぬはかりを
同
なりひらの朝臣
……
?ツみにゆくみちとはかねてきこかときのふ今日とはおもはさり
しを
同
在原しけはる
蹴一かりそめのゆきかひちとそ思こし今はかきりのかとて成けり
同 哀なる事と也行かひちとは行かよひち也
第十七 雑寄上 雑二にて色くをましへ入事也
︻校異︼雑二にて色くをましへ入事也1*
よみ訂しらす
脇一わかうへに露そをくなる天河とわたる舟のかひのしつくか
伊勢物語二種々在之後撰雑一二入住わひぬ今はかきりと山さとに 身をかくすへき宿もとめてん此可よみて蔀死して面二水そ㌻き ていき出てなと憂事にありとわたる舟はと渡舟也
︻校異︼面ニー*
同
細一思とちまとみせる夜は唐錦た㌻まくおしき物にそありける
おもふとちは友とし也まとひは円居園居也た㌻まくおしきとは シ 錦をたつは大事なれはたつ事おしきと也我恋二よせて書史義二云 ヘンキンヒ 片錦美なりと云とも猶まなひせいしかたしとはをしへてたつへ
からす功者にた﹄すへきと也又左伝二曲善錦あり人をしてまな
ひた﹄しめすとあり同心也
同
脇一うれしきをなに㌻つ㌻まむ唐衣たもとゆたかにたてといはましを
義なし中古の可二うれしきをむかしは袖につ㌻みけりこよひは
身にもあまりぬる哉
︻校異︼中古の可ニー*
同
痂一かぎりなき君かためにとおる花は時しもわかぬ物にそ有ける
義なし時しもわかぬは四の時をわかぬと也此寄春の部二も賀部
にも入つへしき事也
同
フ86一むらさきのひともとゆへにむさしの﹄草はみなからあはれとそみ る
義なし一本ゆへは草はおほけれとも一本つ㌻生と也古き説也一
本さけるしら菊の花ともありみなからはみな㌻から也
一85一
創86一めのおとうとをもて侍けるとは女房のいもうと也うへのきぬとは﹇ 紫の上のきぬ四位より上へ着也五位まてはあけ也
なりひらの朝臣
86一紫の色こき時はめもはるにのなる草木そわかれさりける 義なしめもはるにとは草の目のはる也はるかにの同心也
コ糟一大納言ふちはらのくにつねの朝臣とは大納言にも朝臣を付也寛平﹇ 六年五月五日二言大納言即位三位也
︻校異︼大納言ふちはらのくにつねの朝臣とは大納言にも朝臣を付也寛平六年五 ツネ 月山日二任大納言即位三位也−国命 寛平六年五月五日任中納言︑即宰相︒
大納言にも朝臣をつくる也
近院の右のおほいまうちきみ
86一色なしと人やみるらむ昔よりふるき心にそめてし物を 直なしそめぬうへのきぬと云二二て色なしとありそめ絹也心に
そめてしは志深也
︻校異︼そめ絹1そめぬ絹
黒いその神のなんまっとは南松繰地いその神の神官也其社を姓に
せし也みやつかへは神職にて 仕 事あり神識を出ても仕也かう
ふり給とは五位二なる也
︻校異︼いその神のなんまっとは南松名乗訪いその神の神官也其社を姓にせし也
みやつかへは1南松は実名也︒其社を姓とする也︒石上は姓也︒神官也︒
かうふり給とは五位二なる也1*
切87一ふるの今道﹇ 布留は姓 今道は名宝 ふるのいまうち脚一日のひかりやふしわかねはいその神ふりにしさとに花もさきけり 天子の御事也君の御めくみはやふをもわかぬと也花もさきけり は春二身の成と也日月に影は浄不浄善悪をわかぬ心なり
……
T麟麟諺引剥霧引割引剥籍
キタイ 御記代王帝記にも有欺氏の三神はならの春日大原玉音吉田社是也
二条の后は高子王藤原良相の御女貞観八年二月二女御十年十二月
生第一皇子十一年三月本星太子元慶元年正月即位日為中宮六年正
月為皇太后宮
なりひらの朝臣
87一おほはらやをしほの山もけふこそは早世のこともおもひいつらめ ヲ 異義なし名所分別あるへきとて大原やとあるは西也大原と云は
北二あり此所は人隠遁して有所也然二名所を可分別事御物語也を
しほ山詠は西なるを北の大原二少将井の尼閑居の所へ三条殿御 ケイ 喫の後伊勢大輔か可二世にとよむとよのみそきをよそにしてを
しほの山のみ雪をやみし御幸二よせて也返しをしほ山梢もみえ
すふりつみしこやすへらきの御ゆきならまし何も女房の寄にて
しとけなき事もあるへき二通俊卿の撰する集二入事如何愈々可心
海事と也冷泉烏丸の所丁付て少将井の尼と云けると也
……
蛯謔オみねのむねさた遍昭の僧名也
よしみねのむねさた
87一あまつ風雲のかよひち吹とちよをとめのすかたしはしと㌻めん
一86一
事書二みゆをとめの即きよみ原の天皇の吉野二御座の時天女下て
五たひ袖を返して舞しょりありし事也是文武の御事也
河原の左のおほいまうちきみ
脇一ぬしやたれとへとしらたまいはなくにさらはなへてやあはれと思
はん
事書二みゆ此寄すき事二非す陰陽のならひ也玉のかさしの事弓懸
の都を出給ふ時の事二あり男にもある也これは女房の也
コ訓一寛平御時二の事書の嵩置かめをもたせてとは平子の事也おほみきの﹇ おろしとは酒のくたるをと也蔵人とものわらひてとは女蔵人也后
の御方二つかふまつる也三条院女蔵人左近と同事也
︻校異︼寛平御時二の事書の末ニー事書に 三条院女蔵人左近と惨事也1*
としゅきの朝臣
訓一たまたれのこかめやいつらこようきのいその浪わけおきにいてに
けり
古人も不審ありしと也玉だれは御簾二こそなと云也土の物二薬の
玉の如二か㌻りたるを云と雲気寄年始てあると心得へしいつらと
はいつくへそと也かめを中二をきあるしはさかなもとめてこゆ
るきのいそきありきけりとうたひにありおろしはをうしの御服 くるはみすのこうと云二欺こまかの事也︵*︶
︻校異︼くるはみすのこうと七二歎1と云て一座もめす也︒俊成卿︑﹁玉だれのこ﹂ す とつゴくるは︑みそのこすと云々歎︒ *1一説︑玉だれのかめをなか
にをきてと云風俗のうたとかや︒かめの玉だれは︑かめに玉のたれたる
かたあるを云などあまたかきたり︒歌には玉だれとてかめによみつゴけ たる事︑此歌の外になし︒玉だれのみすとのみよめり︒風俗のうたにつ きてよめるにこそ︒ けむけい法師離かたちこそみやまかくれのくち木なれ心は花になさはなりなむ 事書二みゆ
きのとものり
……
ソ蝉のはのよるの衣はうすけれとうつりかこくもにほひぬるかな
事書二みゆうつりかはあなたの匂也
よみ人しらす
……
」をそくいつる月にもある哉あしひきの山のあなたもおしむへら也
義なし
同
脇一わか心なくさめかねつさらしなやをはすて山にてる月をみて
子細大和物語二ありをはをすて㌻則此寄よむへき事如何但女房
の云二得てすてたれとも我と唐心をひるかへして浅事事と思と
りて此可をよみたる歎後悔の心也俊頼朝臣説二をはすてさるま
へはかふり山と三塁をはすてとは捨て台付たる歎と
なりひらの朝臣
籾一おほかたは月をもめてしこれそこのつもれは人のおいとなるもの
花も同事なれとも月は常住也
きのつらゆき
88一かつみれとうとくもある哉月かけのいたらぬさともあらしと思へ は フウ 月をみれはうれしき中二うとましきと也風して也みつねよそへ
も行へき事を云也
一87一
同
き88一ふたつなき物と思しをみなそこに山のはならていつる月力け 義なし山のはならては月もくたらす水ものほらすと也
よみ人しらす
蹴一あまの河雲のみおにてばやければひかりと㌻めす月そなかる㌻
同 みおは水の早所也
同
……c…
??ゥすして月のかくる缶もとはあなたおもてそ恋しがりける
義なし
なりひらの朝臣
……
??ゥなくにまたきも月のかくるふ山のはにけていれすもあらな
ん
事書二みゆ
コ獅一田むらのみかとの御時に斎院に侍けるあきらけいことは慧子田村
し アキラケイコ ツラ ノ ニ は文徳也慧子母藤原列聖従五位上国雄壮慧子代始斎院天安 ヒシテ ナカレ シラスル ハイ 元年二月癒々其事秘レ世莫レ知云々若先是又有此事歎遂被癒云
シリソク 々元慶元年正月六日莞以述子為斎院母同惟喬二年而退
︻校異︼黒むらのみかとの御澄に斎院に侍けるあきらけいことは慧子1*
コヨ キヤウシンヨ
髄一
?ワ 敬信慧子の母也よるかの朝臣母也
︻校異︼あま一* 慧子の母也1*
あま敬信
……
」おほそらをてり行月しきょけれは雲かくせともひかりけなくに
事書二見えたり よみ人しらす 8一いその神ふるからをの㌻もとかしは本の心はわすられなくに
8
もとの丸いはん為也ふるからは布留也枯たれとも本柏は葉の春
まて残と也をのとは小野也布留野㌻事也万葉二ほたてふるから
と是も枯たる方二よむ也
同
フ8一いにしへの野中のしみつぬるけれともとの心をしる人そくむ
8
義なし野中清水播州いなみのにあり
同
8一いにしへのしつのをたまきいやしきもよきもさかりはありし物也
8
同 をた巻は糸をまく物也いやしきをいはん為也
同
……c鞭A三そあれ我も昔はおとこ山さかゆく時もありこしものを
義なし
同
……c挙
「中にふりぬる物はつのくにのなからのはしと我となりけり
同
同
ヲ89一さ﹄のはにふりつむ雪のうれを貼もみもとくたちゆくわかざかり はも
うれを﹄もみは上のをもき也うれこす風と云も上こすかせ也も
とくたち行とは本か末になる心念な㌻め也わかざかりはもは昔
二我かへると也わもとよむ也万葉二︵*︶夜くたちと云も夜の末
也
︻校異︼本か1本のかたぶきてくだりて *1夜くたちにね覚てをれば干せとめ
一88一
心もしのになくちどりかも︑又︑夜くだちてなく河千鳥むべしこそ昔の
人もしのびみにけれ︑か様につかひたる詞也︒
同
89一おほあらきのもりのした草おいぬれは駒もすさめすかる人もなし 義なし駒もすさめぬとは賞翫せぬ也所によりて賞翫するをも左
の桜あさ例の事也︵*︶
︻校異︼*1又は︑桜あさのおふの下草おひぬれば︒
……c響
ゥそふれはとまらぬ物を年といひてことしはいたく老そしにける
義なし
蹴一をしてるやなにはの水にやくしほのからくも我はおいにけるかな
をしてるはあし引の山久方の雲の類也塩海をはをしてると云湖
をはにほてると云也舟ををしてると云はをしいたす心也をして
るやなにはのとつ﹄けたる也准.つとよむ也左のおほとも些事也
︻校異︼あし引の山久方の雲−久方の空︑足引の山
同
……
ソおいらくのこむとしりせはかとさしてなしとこたへてあはさらま
しを
義なし
コ脇一左に此みつの可昔ありけるみたりのおきなとは三人の翁也雪堤の﹇ 説二おくの可四首をかへて七人の翁とあり既二三首の左二みたりの
翁とあり七人不用
……
?ウかさまにとしもゆかなむとりもあへすすくるよはひやともにか
へると
……
レとりとむる物にしあらねはとし月をあはれあなうとすくしつるか
な蹴一と﹄めあへすむへもとしとはいはれけりしかもつれなくすくるよ
はひか じ としとは俊の心也 トシ︻校異︼俊−速
89一鏡山いさたちよりてみてゆかむ年へぬる身はおいやしぬると 以上四首義なし左の事書例の事也
コヨ クワン 90一なりひらの朝臣のは﹄のみことは伊登内親王桓武の皇女 貞観﹇ 三年九月二莞 ニ︻校異︼貞観三年−貞観二年
90一おいぬれはさらぬわかれもありといへはいよくみまくほしきき みかな
義なしさらぬ別は治定の別也︵*︶
︻校異︼*1不避別院︒回避しがたき也︒のがれぬ事也︒
なりひらの朝臣
……
?「中にさらぬわかれのなくもかなちよもとなけく人のこのため
同 返し也
一89一
ありはらのむねやな
〇一白雪のやへふりしきるかへる山かへるくもおいにけるかな
かへるくもは返々くれく也後撰二かへるの山とあり不可然 9
とあり
としゅきの朝臣
ヨ〇一おいぬとてなとか我身をせめきけむおいすは今日にあはまし物か
9
セッカンノ心也子又ハ弟ナトヲセムル心ナルヘシ ヤメテ義なしせめきけんは城をせむる敵をせむるに記す圃の ケイテイカキノ フセク ソノアナトリヲ字也毛詩二兄弟庸圃レ外トニ禦二其務 一悔歎子をせむる臣をせ
むると云心也人にあなつられしと也
セッカンノ ゼ ハ ナトヲセムル ナルヘシ ヤメテ︻校異︼ 義なしせめきけんは城をせむる敵をせむるに非す圃の字也毛 ソノアナトリヲ ケイテイカキノ フセク 詩二兄弟庸圃レ外ト二言二其 務 一悔歎子をせむる臣をせむると云白洲
人にあなつられしと也1などか我身をせめきけんとは︑鳳来けんとは歎
怨つるよし也︒なげきこし︑恨こしなど云︑同心也︒毛詩常様詩二︑兄
セメケドモカキノホカニフセグソノアナドリヲ ママ 弟圃干蛮人禦国忌務一と云︒圃の字をよめりと云も︑心はしのかに
たがふまじけれど︑此詞つねに歌などに読ならへる事ならねば責来けん
にてありなん︒圃の字は︑子をせむる︑臣をせむると云心也︒
よみ人しらす 〇一ちはやふるうちのはしもりなれをしそあはれとは思年のへぬれは
9
ヨ〇一我みてもひさしくなりぬすみの江の岸のひめ奪いくよへぬらん
同 9
〇一住吉の岸の姫松人ならはいくよかへしと㌻はましものを
いく代かへしとよむなり 9
同
07一梓弓いそ蝿のこ松たかよにかようつよかねてたねをまきけん
9
以上四首義なし左の事書例事性命物に誰世にか種はまきしと人
とは﹄いかにいはねの松はこたへん
響かくしつ直をやつくさむ山局砂のおのへにたてる松ならなくに
@義なし⁝⁝⁝⁝響をかもしる人にせん高砂の松も昔の友ならなくに
よみ嬉しらす
……
怩墲スつ海のおきつしほあひにうかふあわのきえぬ物からよる方も
なし
同
同
1一わたつ海のかさしにさせる白妙の浪もてゆへるあはちしま山
9
同 此わたつ海はた﹄海の事二非海神事也
同
1一わたのはらよせくる浪のしはくもみまくのほしき玉つしまかも
しはくは渇く也見まくのほしきは面白二よりて馬道二衣通姫 9
地をしめ給也万葉君臣つしまみれともあかすいかにしてつ㌻み
もてゆかんみぬ人のため
同
13一なにはかたしほみちくらしあま衣たみの㌻しまにたつなきわたる
9
義なしみのをあまの衣とよむ也
羅;らゆきかいつみの国に侍ける時にやまとよりとある
囲藤原たきさ和泉国︑貫之ありし時たきさ大和なりけると也任
しっと些事年紀二付て不審あり此た㌻ふさ延喜廿二年正月晦日二任
一90一
大和守又廿年二宇多御門春日社二御幸の時た㌻ふさ後国司也両条共
二しかと記置事也然は若当集奏覧延喜五年以後入たる寄歎と也
藤原た㌧ふさ
…川
鼬Nをおもひおきつのはまになくたつのたつねくれはそありとたに
きく
義なしおきつの濱和泉国名所也
つらゆき
螂一おきつ浪たかしのはまのはま松のなにこそ君をまちわたりつれ
同 両国の通路の所也
同
……
ソなにはかたおふる玉もをかりそめのあまとそ我はなりぬへらなる
同事書二みゆ
みふのた﹂みね
フ91一すみよしとあまはっくともなかみすな人忘草おふといふ也 長居すなは長居の濱の名所也
つらゆき
……
ソ雨によりたみ?しまをけふゆけとなにはかくれぬ物にそ置ける
同事書二みゆ
﹈卿一法皇にし河におはしましける時つるすにたてりといふことを題に﹇ てとは法皇は寛平の御事也にし河は大井河也かつら川をも云是は
大井河也
︵*︶鶴立洲 秋山浮水 事跡山峡なと九首ありと也︵*︶
︻校異︼法皇にし河におはしましける時つるすにたてりといふことを題にてとは
法皇は寛平の御事也にし河は大井河也かつら川をも云是は大井河也1* *1此時 *1行幸も同ある歎︒ 同
……
ソあしたつのたてる河辺を吹風によせてかへらぬ浪かとそみる
義なし
難=
カのみこの家とは驚のみこ也
伊勢
蜘一水のうへにうかへる船のきみならはこ㌻そとまりといはまし物を
事書二あらは也舟ならはこ㌻にと﹄めまいらせんと也舟はて㌻
とは舟こきとめたる事也あまを船はつと云もとめたる事也君は
船蛸は水ともあり
飼92一からこと物名二備前とあり先達の説二都二ちかきとあり是をさみす し ツクシチンセイ れ二黒す当家説た㌻音旧聞たる也筑紫鎮西よりも艶聞と也 ヰノマへ︻校異︼さみすれ一さみする
真せい法師
……c難宸アまてひぎかよへるからことは浪のをすけて風そひきける
在原行平朝臣
……
蛛c…Oきちらす瀧の皇ひろひをきてよのうき時の涙にそかる
なりひらの朝臣
……
ソぬきみたる人こそあるらし白玉のまなくもちるか袖のせはきに
…韓?@師文字なれはせうきんとよむ也
承均法師
響たかためにひきてさらせるぬのなれや世をへてみれと器人もな
一91一
き
以上四首義なし
神たい法師
ヨ92一きょたきのせ﹄のしらいとくりためて山わけ衣をりてきましを︵*︶高雄にも醍醐にも清瀧あり是は吉野心意着衣は桑門の衣の事也
︻校異︼*1顕注に此歌はよしのにてよみけると云々︒
…聾
梹桝蝌a也仙人住也洞ある也
伊勢
92一たちぬはぬきぬきし人もなき物をなに山姫のぬのさらすらん たちぬはぬは仙人のきる衣の事事
︻校異︼たちぬはぬは仙人のきる衣の事也−仙衣也︒
たちはなのなかもり
……
c難
ハしなくてさらせるぬのをたなはたにわか心とやけふはかさまし フミツキ 事書二みえたり文月よむ論
難=
ミえの山なるをとはの瀧とは西坂の水のみと云所の南也
たΣみね
92一たちたきったきのみなかみ年つもちおいにけらしなくろきすちな し
義なしたきっとはたきったる心也みなかみは水の上を髪二よせ
て也源物二白髪を瀧のよとみとあり同心也
みつね
……
c灘
Cふけと所もさらぬ皇云はよをへておつる水にそ有ける義なし
難…
O条の町惟高の鯉歯村文徳也其時の裏也
堰外の人也
一一一条の窪
む93一おもひせく心のうちのたきなれやおっとはみれとをとのきこえぬ 事書二見えたり心のうちの瀧述懐也をとのきこえぬとは画なれ
は也
つらゆき
……
?ウきそめし時より後はうちはへて世は春なれや色のつねなる
事書二みゆ
コ勉一屏風のゑによみあはせてとは絵をみてよむと寄をみて絵をかくと﹇ かはる也
︻校異︼屏風のゑによみあはせてとは一*
坂上これのり
勉一かりてほす山田のいねのこきたれてなきこそわたれ秋のうけれは
義なし事書二あり
第十八 鱗介下
よみ人しらす
…難
「中はなにかつねなるあすか㌻はきのふのふちそけふはせになる
義なし
同
響いく世しもあらしわか身をなぞもかくあまのかるもに思みた登
一92一
人問いくはくもなきにと也
同
螂一番のくる峯のあさきりはれすのみ思ひつきせぬ最中のうさ
同 序寄也助覧か寄くるみを隠して詠︵*︶
︻校異︼*1人間暫時の事也︒其内に思ひをする也︒
小野のたかむら朝臣
3一しかりとてそむかれなくに事しあれはまつなけかれぬあなう世中
同 人間はうき時はすてんと云然見すてられぬ物と也た㌻とに 9
かくにうき世と也
をの㌧さたき
フ93一宮こ人いかにと㌻は㌻山たかみはれぬくもるにわふとこたへよ 事書二みえたり行平のとふ人あらはの可に同
コヨ サクワン 93一文屋のやすひてみかはのそうとはせう也昔は守介尉小目其領く﹇ ありしと也あかたみにはえいてた㌻しやとは田舎見二下らんやと チモク アカタメシ 也秋の除目京官也春の除目県召受領也冠召も京官也後拾遺の事
書二つかさめしの比右大臣へ申状二付て受領の事を云さては一篇二
不定也
︻校異︼文屋のやすひて一*
小野小町
93一わひぬれは身をうき草のねをたえてさそふ水あらはいなむとそ思 事書二見えたりいつくへなりともいかんと也
︻校異︼事書二見えたりいつくへなりともいかんと也−歌は︑いつくへなりともさ
そふ人あらばいかんと云也︒ 同 93一あはれてふ事こそうたて世中を思はなれぬほたし成けれ 憂世をそむかんと思立に中くあはれなる事なとありて思た﹄ れぬと也色くに物を企ての章魚 よみ熱しらす 94一あはれてふことのはことにをく露は昔をこふる涙なりけり 義なし 同
c響……
「中の︾つきもつらきもつれなくにまっしる物は涙導けり
同
同
兜一よのなかは夢かうつ㌻かうつ㌻ともゆめともしらすありてなけれ
は
如夢幻泡影 如露亦如電ありでなければ 亦有年空 非有弓懸
の空也
同
……
?「中にいつら我身のありてなしあはれとやいはんあなうとやい
はむ
義なし
同
……
?R里は物のわひしき事こそあれ世のうきよりはすみよかりけり
同
これたかのみこ
%一白雲のたえすたなひく峯にたにすめはすみぬる世にこそ有けれ
同 これたか小野の雲深所にてあるへし
一93一
︻校異︼これたか小野の雲深所にてあるへし1惟喬御子の住給し小野の山里︑雲
深所の事なるべし︒
ふるのいまみち
46一しりにけむき路てもいとへ世中は浪のさはきに風そしくめる
9
キ 如此如此しりたる平しらすはき㌻てもいとへと也風そしくめる
は風の吹しく也吹張たる心也︵*︶
︻校異︼*1風そしくめるは︑後撰歌にも︑白つゆに風の吹しく秋の㌻はつらぬ
きとめぬ玉ぞちりける︑しきりにふく風を︑吹しくとも風そしくめると
も云也︒
そせい
フ4一いつくにかよをはいとはむ心こそのにも山にもまとふへらなれ
9
迷へらなれは市中ノ隠なれはいつくにても心こそ肝要なれと也
いかに籠居してありとも心のもちやうにて野にも山にも迷んと
也
よみ遷しらす
……
c響
「心は昔よりやはうかりけんわか身ひとつのためになれるか
義なし
同
粥一よのなかをいとふ山辺のくさ木とやあなうの花の色にいてにけん
草も木も忌中かうきかと酬うのはなのうきと色に出る歎と也白
き色也
同
……
?ンよしの缶のあなたにやとも哉世のうき時のかくれかにせむ
義なし
同 ユ95一世にふれはうさこそまされみよしの墨いはのかけみちふみならし てん 同 ふみならしてんとはふみなれて住へきと也 同52一いかならむいはほのなかにすまはかはよのうきことのきこえこさ
9
らん
義なし岩ほの中外道四人あり天上し山に入穿二七海二入墨は死を
遁急雷尺二山倉庫市ともあり
同
鰯一あしひきの山のまにくかくれなむうき世中はあるかひもなし
義なしまにくは山のま㌻也
同
卿一世中のうけくにあきぬおく山のこのはにふれるゆきやけなまし
うけくとはうきにあくと也行やを雪によせて消ましと也うけく センミヤウ ウツルイノチ ヤス さむけくつらけく御物丸秘 遷 命 二安らけく平らげく
とよむ事あり其時の事二手をうつをかしはてうつと云也
⁝響2のよしな
もの㌧へのよしな
ヨ5一世のうきめみえぬやまちへいらむには思ふ人こそほたし重けれ
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同 文字なき寄也みえぬのえと山ちへのへと仮名遣ちかへはく
るしからぬ也
凡河内みつね
離世をすて缶にいる人山にても猶つき時はいっちゆくらん
事書二見えたり
一94一