248 虚 血性 心疾患 と他 の血管病変合併症 例に対す る 外科治療 の検討
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(2) 19: 954. 日本 心臓 血管 外 科 学 会 雑 誌 表2. 19巻5号(1990). 2期 的手術症例A群 考. 察. 動 脈 硬 化症 は全 身性 病 変 で あ る た め,冠 動 脈 病 変 が 顕 性,潜. 在性 に合 併 す る こ と が 多 く末 梢 動 脈 病 変 の 血 行 再. 建 術 の成 績 に影 響 を及 ぼす.Jamiesonら1)の 早 期 死 亡 例 の40%,遠. 隔 期死 亡例 の59%が. に よ る と して い る.Hertzerら2)に 部 大 動 脈 瘤 で は40%,大. 報 告 で は, 冠 動脈 病 変. よ れ ば術 後 死 因 は腹. 動 脈 腸 骨 動 脈 病 変 で は67%が. 心 筋梗 塞 で あ った と して い る.ま た,末 梢 血 管 病 変 を 有 CAD: coronary artery disease (No. of vessels involved), CAS: carotid artery stenosis, AAA: abdominal aortic aneurysm, AS: aortitis syndrome, ACB: aortocoronary bypass (No. of arteries bypassed), ABF: aortobifemoral bypass, LVA: left ventricular aneurysmectomy, AxBF: axillobifemoral bypass, CE: carotid endarterectomy, FPB: femoropopliteal bypass. す る 虚 血性 心 疾 患症 例 に 対 す る 冠 動 脈 バ イパ ス 術 施行 後,末 梢 病 変 が 増 悪 した り腹 部大 動 脈 瘤 が破 裂 した りす る こと もあ る.そ の た め この よ うな症 例 に対 して冠 動脈 バ イパ ス術,末 梢 血 管 病 変 に 対 す る手 術 を 同 時 に あ る い は二 期 的 に施 行 す る こ とが 試 み られ る よ うに な って きて い る.当 科 で は,大 動 脈,末 梢 動脈 に対 す る手 術 の 際 に は 術 前 に冠 動脈 造 影 を施 行 し,冠 動 脈,心 機 能 な どを 評. 表3. 2期 的手 術症例B群. 価 す る こと に して い る.冠 動 脈 血 行 再 建 術 の 適 応 が 認 め られ れ ば,冠 動 脈 バ イパ ス術 を 優 先 して 施 行 し,術 後状 態 が安 定 す る のを 待 って 二 期 的 に手 術 を行 うの を 原 則 と して い る.両 手 術 間 の 間 隔 は,1回. の 入 院 で 治 療 を行 う. 場 合 は4週 か ら6週 目に 引 き続 く手 術 を行 っ て い る.二 期 的 手 術 に 関 して は数 井 ら3)は 冠 血 行 再 建 を優 先 す る べ き と して い るが,頸 動 脈病 変 合 併 症 例 につ いて は議 論 が CAD: coronary artery disease (No. of vessels involved), AID: aortoiliac disease, AAA: abdominal aortic anerysm, ABF: aortobifemoral bypass, ACB: aortocoronary bypass (No. of arteries bypassed), FPB: femoropopliteal bypass, LVA: left ventricular aneurysmectomy. 多 い. 一 期 的 手術 に 関 し てDavid4)は. 頸 動 脈 と冠 動 脈 に病. 変 を もつ もの は そ の適 応 が あ る と して い る.同 様 に切 迫 破 裂 を呈 す る腹 部 大 動 脈 瘤,壊 死 に陥 る危 険 の あ る大 動 脈腸 骨動 脈 病 変 な ど は一 期的 手 術 を 行 って い る と して い る.当 科 で 行 っ た一 期 的 手 術 症 例 の う ち2例 は術 前 両 病. 待 って,速 や か に 引 き続 く手 術 を施 行 した.全 症 例 と も 症 状 は消 失 し経 過 は良 好 で あ る. 他 の 血 管 病 変 に対 して手 術 を行 った の ち虚 血 性 心 疾 患 に対 す る 手 術 を 施行 した 症 例 は4例 で あ った(表3). 両 手 術 の間 隔 は14日 〜2年1か っ た.症 例12は. 月,平 均14.5か. 月で あ. 腹 部 大 動 脈 瘤 に よ る症 状 が 増 悪 し,冠. 動 脈 多 枝 病 変 が 存 在 した が,大 動 脈 両 大 腿 動 脈 バ イパ ス 術 を 先 行 した.そ の後 冠 動 脈 病 変 が 悪 化 した た め冠 動 脈 バ イパ ス術 を 施 行 したが 低 心 拍 出 のた め死 亡 した,症 例 13は 右 腎 臓 摘 出後 の 症 例 で 術 後 腎 不 全 にて 失 った.症 例 11, 14は. 冠 動 脈 病 変 が 大 動 脈 両 大腿 動 脈 バ イパ ス 術 に. 耐 え う る と判 断 して,先 行 して 行 った.両 例 は良 好 な 成 績 で あ った.. 変 と も安 定 して お り,腎 機 能,肝 機 能,呼 吸 機 能 と も良 好 で 満 足 で き る結 果 を 得 た.切 迫 破 裂 を 呈 した1例 は術 中 に破 裂 を 起 こ し 同時 手 術 を 余儀 な くさ れ た症 例 で あ る が,大 量 の 出血 によ る一 時 的 低 血 圧,大 量輸 血 の た め術 後 腎 不 全 に陥 った.術 前 よ り一 期 的手 術 を 予 定 し術 中管 理 に よ り細 心 の 注 意 を 払 うべ きで あ った と思 わ れ た.諸 家 の 報 告 を み て も一 期 的手 術成 績 は 向上 して お り,術 前 後 にお け る輸 血 量 が 少 な くて 済 み,入 院 期 間 も短 く早 期 の 社 会 復 帰 が 可 能 の た め今 後 も適 応 範 囲 は広 が って くる と考 え られ る. 文 献 1) Jamieson, W.R.E. et al.: Circulation 66 (Suppl. I): 92, 1982. 2) Hertzer, N.R. et al.: Arch. Surg. 114: 1336, 1979. 3) 数井 暉久 ほか:日 胸 外 会 誌 34: 27, 986. 4) David, T.E.: Circulation 72 (Suppl. II):18, 1985..
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